(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103003
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】画像印刷システムおよび画像印刷方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240725BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240725BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240725BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H04N1/00 127Z
H04N1/00 L
B41J29/38 401
B41J29/00 E
B41J29/00 Z
B41J29/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007116
(22)【出願日】2023-01-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 奈央
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信孝
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼田 英明
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061BB10
2C061CG01
2C061CG15
2C061CL08
2C061CL10
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HK11
2C061HN05
2C061HN15
5C062AA05
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB41
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC28
5C062AC42
5C062AC60
5C062AE01
5C062AE14
5C062AE15
5C062AE16
5C062AF01
5C062AF02
5C062AF12
5C062BA02
5C062BB03
(57)【要約】
【課題】同一のネットワークに接続していない読取装置と印刷装置とを用いて、手軽に原稿のコピーを実行する。
【解決手段】画像読取装置は、第1近距離無線通信部、近距離無線通信よりも通信速度が高速であり通信距離が長い無線通信を実行可能な第1無線通信部、読取部を備え、印刷装置は、近距離無線通信を実行可能な第2近距離無線通信部、無線通信を実行可能な第2無線通信部、印刷部を備え、第1近距離無線通信部は、近距離無線通信に対応するデバイスの探索により特定した印刷装置の第2近距離無線通信部との間で近距離無線通信の接続を確立し、第1無線通信部は、第1近距離無線通信部が第2近距離無線通信部から受信した接続要求に応じて、第2無線通信部との間で無線通信の接続を確立し、読取部による原稿の読取により生成された画像データを、無線通信を用いて第2無線通信部へ送信し、印刷部は、第2無線通信部が受信した画像データに基づく印刷を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置と、印刷装置とを備える画像印刷システムであって、
前記画像読取装置は、
所定の近距離無線通信を実行可能な第1近距離無線通信部と、
前記近距離無線通信よりも通信速度が高速であり通信距離が長い所定の無線通信を実行可能な第1無線通信部と、
原稿を読み取り可能な読取部と、を備え、
前記印刷装置は、
前記近距離無線通信を実行可能な第2近距離無線通信部と、
前記無線通信を実行可能な第2無線通信部と、
画像データに基づいて印刷を実行可能な印刷部と、を備え、
前記第1近距離無線通信部は、前記近距離無線通信に対応するデバイスの探索により特定した前記印刷装置の前記第2近距離無線通信部との間で前記近距離無線通信の接続を確立し、
前記第1無線通信部は、前記第1近距離無線通信部が前記近距離無線通信により前記第2近距離無線通信部から受信した接続要求に応じて、前記第2無線通信部との間で前記無線通信の接続を確立し、前記読取部による前記原稿の読取により生成された画像データを、前記無線通信を用いて前記第2無線通信部へ送信し、
前記印刷部は、前記第2無線通信部が受信した前記画像データに基づく印刷を実行する、ことを特徴とする画像印刷システム。
【請求項2】
前記画像読取装置は、前記印刷装置との前記無線通信の接続の指示をユーザーから受け付けるための受付部を有し、
前記受付部が前記指示を受け付けたことを契機として、前記第1近距離無線通信部は前記探索を開始する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像印刷システム。
【請求項3】
前記画像読取装置は、前記接続要求を承諾するか否かの指示をユーザーから受け付けるためのユーザーインターフェイス画面を所定の表示部に表示させ、
前記第1無線通信部は、前記ユーザーインターフェイス画面が前記承諾の指示を受け付けた場合に、前記第2無線通信部との間で前記無線通信の接続を確立する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像印刷システム。
【請求項4】
前記印刷装置は、ユーザーを認証するための認証部を有し、
前記第1近距離無線通信部は、ユーザーによって前記画像読取装置に対して入力された認証情報を、前記近距離無線通信により前記第2近距離無線通信部へ送信し、
前記認証部は、前記第2近距離無線通信部が受信した前記認証情報が、前記印刷装置にユーザー毎に登録された認証情報のいずれかと一致するか否かを判定し、
前記第2近距離無線通信部が受信した前記認証情報が、前記登録された認証情報のいずれかと一致する場合に、前記第2近距離無線通信部は前記近距離無線通信により前記第1近距離無線通信部へ前記接続要求を送信する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像印刷システム。
【請求項5】
前記画像読取装置は、ICカードリーダーと接続可能であり、前記ICカードリーダーがユーザーのICカードから読み取った前記認証情報を、前記ICカードリーダーを介して入力する、ことを特徴とする請求項4に記載の画像印刷システム。
【請求項6】
前記印刷装置は、
前記第2近距離無線通信部が前記近距離無線通信により前記画像読取装置と接続した場合に、前記近距離無線通信により前記画像読取装置と接続した旨を記憶する記憶部を有し、
前記印刷部による印刷が終了した場合、前記近距離無線通信により前記画像読取装置と接続した旨が前記記憶部に記憶されていれば、前記第2無線通信部と前記第1無線通信部との前記無線通信を切断する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像印刷システム。
【請求項7】
前記印刷装置は、
前記第2近距離無線通信部が前記近距離無線通信により前記画像読取装置と接続した場合に、前記近距離無線通信により前記画像読取装置と接続した旨を記憶する記憶部を有し、
前記印刷部による印刷が終了した場合、前記近距離無線通信により前記画像読取装置と接続した旨が前記記憶部に記憶されていれば、前記第2無線通信部から前記無線通信により前記第1無線通信部へ印刷終了の旨を通知し、
前記画像読取装置は、前記第1無線通信部が前記印刷終了の旨の通知を受信した場合に、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との前記無線通信を切断する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像印刷システム。
【請求項8】
前記印刷装置は、
前記第2近距離無線通信部が前記近距離無線通信により前記画像読取装置と接続した場合に、前記近距離無線通信により前記画像読取装置と接続した旨を記憶する記憶部を有し、
前記印刷部による印刷が終了した場合、前記近距離無線通信により前記画像読取装置と接続した旨が前記記憶部に記憶されていれば、前記第2無線通信部から前記無線通信により前記第1無線通信部へ印刷終了の旨を通知し、
前記画像読取装置は、
前記第1無線通信部が前記印刷終了の旨の通知を受信した場合に、前記無線通信を継続するか否かの指示をユーザーから受け付けるためのユーザーインターフェイス画面を所定の表示部に表示させ、
前記ユーザーインターフェイス画面が継続しない旨の指示を受け付けた場合に、前記第1無線通信部と前記第2無線通信部との前記無線通信を切断する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像印刷システム。
【請求項9】
前記第1近距離無線通信部は、ユーザーによって前記画像読取装置に対して入力された認証情報を、前記近距離無線通信により前記第2近距離無線通信部へ送信し、
前記印刷部は、前記第2無線通信部が受信した前記画像データに基づく印刷を実行する際に、前記第2近距離無線通信部が受信した前記認証情報の一部を、前記画像データに重ねて透かし印刷する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像印刷システム。
【請求項10】
画像読取装置と印刷装置とが協働して実行する画像印刷方法であって、
前記画像読取装置は、
所定の近距離無線通信を実行可能な第1近距離無線通信部と、
前記近距離無線通信よりも通信速度が高速であり通信距離が長い所定の無線通信を実行可能な第1無線通信部と、
原稿を読み取り可能な読取部と、を備え、
前記印刷装置は、
前記近距離無線通信を実行可能な第2近距離無線通信部と、
前記無線通信を実行可能な第2無線通信部と、
画像データに基づいて印刷を実行可能な印刷部と、を備え、
前記第1近距離無線通信部が、前記近距離無線通信に対応するデバイスの探索により特定した前記印刷装置の前記第2近距離無線通信部との間で前記近距離無線通信の接続を確立する第1接続行程と、
前記第1無線通信部が、前記第1近距離無線通信部が前記近距離無線通信により前記第2近距離無線通信部から受信した接続要求に応じて、前記第2無線通信部との間で前記無線通信の接続を確立する第2接続行程と、
前記第1無線通信部が、前記読取部による前記原稿の読取により生成された画像データを、前記無線通信を用いて前記第2無線通信部へ送信する画像送信工程と、
前記印刷部が、前記第2無線通信部が受信した前記画像データに基づく印刷を実行する印刷工程と、を備えることを特徴とする画像印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像印刷システムおよび画像印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有線LAN(Local Area Network)方式の同一のネットワークにスキャナーおよびプリンターが接続された構成が開示されている(特許文献1参照)。このようなスキャナーとプリンターは、同一のネットワークを介してデータ通信を行うことができる。また、スキャナーとプリンターとが、いわゆるアクセスポイントを介して同一の無線LANに接続していれば、スキャナーとプリンターは、同一の無線LANを介してデータ通信を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザーが、スキャナーとプリンターとを用いて、原稿の読取および印刷、つまり原稿のコピーを実行しようとしたとき、スキャナーとプリンターとを同一のネットワークに接続したり、それらを介在して制御を行うスマートデバイスやパーソナルコンピューターを用意したりする必要があった。このような接続や別の機器の用意を必要とせず、より手軽に原稿のコピーを実行するための改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
画像読取装置と、印刷装置とを備える画像印刷システムであって、前記画像読取装置は、所定の近距離無線通信を実行可能な第1近距離無線通信部と、前記近距離無線通信よりも通信速度が高速であり通信距離が長い所定の無線通信を実行可能な第1無線通信部と、原稿を読み取り可能な読取部と、を備え、前記印刷装置は、前記近距離無線通信を実行可能な第2近距離無線通信部と、前記無線通信を実行可能な第2無線通信部と、画像データに基づいて印刷を実行可能な印刷部と、を備え、前記第1近距離無線通信部は、前記近距離無線通信に対応するデバイスの探索により特定した前記印刷装置の前記第2近距離無線通信部との間で前記近距離無線通信の接続を確立し、前記第1無線通信部は、前記第1近距離無線通信部が前記近距離無線通信により前記第2近距離無線通信部から受信した接続要求に応じて、前記第2無線通信部との間で前記無線通信の接続を確立し、前記読取部による前記原稿の読取により生成された画像データを、前記無線通信を用いて前記第2無線通信部へ送信し、前記印刷部は、前記第2無線通信部が受信した前記画像データに基づく印刷を実行する。
【0006】
画像読取装置と印刷装置とが協働して実行する画像印刷方法であって、前記画像読取装置は、所定の近距離無線通信を実行可能な第1近距離無線通信部と、前記近距離無線通信よりも通信速度が高速であり通信距離が長い所定の無線通信を実行可能な第1無線通信部と、原稿を読み取り可能な読取部と、を備え、前記印刷装置は、前記近距離無線通信を実行可能な第2近距離無線通信部と、前記無線通信を実行可能な第2無線通信部と、画像データに基づいて印刷を実行可能な印刷部と、を備え、前記第1近距離無線通信部が、前記近距離無線通信に対応するデバイスの探索により特定した前記印刷装置の前記第2近距離無線通信部との間で前記近距離無線通信の接続を確立する第1接続行程と、前記第1無線通信部が、前記第1近距離無線通信部が前記近距離無線通信により前記第2近距離無線通信部から受信した接続要求に応じて、前記第2無線通信部との間で前記無線通信の接続を確立する第2接続行程と、前記第1無線通信部が、前記読取部による前記原稿の読取により生成された画像データを、前記無線通信を用いて前記第2無線通信部へ送信する画像送信工程と、前記印刷部が、前記第2無線通信部が受信した前記画像データに基づく印刷を実行する印刷工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】画像印刷システムが実行する原稿のコピー処理の一部を示すフローチャート。
【
図3】原稿のコピー処理の残りの一部を示すフローチャート。
【
図4】第2実施形態を説明するためのフローチャート。
【
図5】第4実施形態を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0009】
1.システム構成の概略説明:
図1は、本実施形態にかかる画像印刷システム1の構成を簡易的に示している。画像印刷システム1は、画像読取装置10と印刷装置20とを有する。画像印刷システム1は、画像印刷方法を実行する。画像印刷システム1を、無線通信システムと捉えてもよい。同様に、画像印刷システム1が実行する処理を、無線通信方法と捉えてもよい。
【0010】
画像読取装置10は、読取対象の原稿を読み取るスキャナーであり、シートフィードタイプの製品であってもよいし、フラットベッドタイプの製品であってもよい。むろん、画像読取装置10は、持ち運びに便利なハンディサイズの製品であってもよい。画像読取装置10は、第1制御部11、第1表示部13、第1操作受付部14、第1記憶部15、第1BLE IF16、第1Wi-Fi IF17、読取部18等を備える。BLEは、ブルートゥースローエナジー(Bluetooth Low Energy)の略である。IFは、インターフェイスの略である。
【0011】
第1制御部11は、プロセッサーとしてのCPUや、メモリーを含んで構成される。第1制御部11では、プロセッサーがメモリーに保存された読取制御プログラム12に従った演算を実行することにより、本実施形態にかかる処理を実現する。
【0012】
第1表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。第1表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路と、を含む構成であってもよい。
第1操作受付部14は、ユーザーによる操作や入力を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、キーボード等によって実現される。タッチパネルとしての第1操作受付部14は、第1表示部13の一機能として実現される。
【0013】
第1記憶部15は、例えば、ハードディスクドライブや、ソリッドステートドライブや、その他のメモリーによる記憶手段である。第1制御部11が有するメモリーの一部を第1記憶部15と捉えてもよい。第1記憶部15を、第1制御部11の一部と捉えてもよい。
【0014】
ブルートゥース(登録商標)は近距離無線通信の規格の一つであり、BLEはブルートゥース規格群の一つである。本実施形態では、近距離無線通信の一例としてBLEを採用する。BLEは、近距離かつ低消費電力で利用できる点に特徴がある。第1BLE IF16又は、第1BLE IF16および第1BLE IF16と協働する第1制御部11は、所定の近距離無線通信を実行可能な「第1近距離無線通信部」に該当する。
【0015】
Wi-FiやWi-Fiダイレクト(登録商標)は無線LANの規格であるIEEE802.11の規格群による無線通信であり、Wi-Fi Allianceによって認証されている。この無線通信は、BLEに比べると、通信速度が高速であり且つ通信距離が長い。第1Wi-Fi IF17又は、第1Wi-Fi IF17および第1Wi-Fi IF17と協働する第1制御部11は、近距離無線通信よりも通信速度が高速であり通信距離が長い所定の無線通信を実行可能な「第1無線通信部」に該当する。
【0016】
読取部18は、原稿を光学的に読み取る手段である。読取部18は、原稿を照射する光源、原稿からの反射光や透過光を受光して光電変換により読取結果としての電気信号を生成し出力するイメージセンサー、イメージセンサーからの出力をデジタル信号に変換等して画像データとするアナログフロントエンド等、スキャナーとして一般的な構成を有する。むろん、読取部18は、原稿を搬送するためのローラーやモーターといった搬送部を含んでいてもよい。
【0017】
印刷装置20は、インクやトナーといった色材を用いて紙等の媒体へ印刷するプリンターである。印刷装置20は、第2制御部21、第2表示部23、第2操作受付部24、第2記憶部25、第2BLE IF26、第2Wi-Fi IF27、印刷部28等を備える。第2制御部21は、プロセッサーとしてのCPUや、メモリーを含んで構成され、プロセッサーがメモリーに保存された印刷制御プログラム22に従った演算を実行することにより、本実施形態にかかる処理を実現する。印刷装置20における第2表示部23、第2操作受付部24、第2記憶部25、第2BLE IF26、第2Wi-Fi IF27についての基本的な説明は、第1表示部13、第1操作受付部14、第1記憶部15、第1BLE IF16、第1Wi-Fi IF17の説明を準用する。
【0018】
第2BLE IF26又は、第2BLE IF26および第2BLE IF26と協働する第2制御部21は、近距離無線通信を実行可能な「第2近距離無線通信部」に該当する。第2Wi-Fi IF27又は、第2Wi-Fi IF27および第2Wi-Fi IF27と協働する第2制御部21は、前記所定の無線通信を実行可能な「第2無線通信部」に該当する。
【0019】
印刷部28は、画像データに基づいて印刷を実行する手段である。印刷部28が採用し得る印刷方式は、インクジェット方式、電子写真方式、サーマル方式等、特に問わない。むろん、印刷部28は、媒体を搬送するためのローラーやモーターといった搬送部を含んでいてもよい。
図1に示す構成の全てが本実施形態において必須の構成と言う訳でない。画像印刷システム1は、
図1に示す構成以外の構成を含んでいてもよい。
【0020】
2.原稿のコピーに関する第1実施形態:
図2および
図3は、画像印刷システム1が実行する原稿のコピー処理をフローチャートにより示している。
図3は
図2の続きである。
図2,3では、画像読取装置10が実行する処理と、印刷装置20が実行する処理とを並列に記載している。各フローチャートの説明が、画像印刷方法や無線通信方法の説明である。また、
図2,
図3に基づく以下の説明を、第1実施形態とも呼ぶ。
【0021】
画像読取装置10は、印刷装置20との無線通信の接続の指示をユーザーから受け付けるための「受付部」を有する。
図1によれば、第1表示部13は、当該受付部の例として無線接続ボタン13aを有する。無線接続ボタン13aは第1表示部13に表示されるソフトウェアキーである。むろん、無線接続ボタン13aは物理的なボタンであってもよい。ユーザーが、無線接続ボタン13aを押すことで、
図2に示す画像読取装置10によるフローチャートが開始される。
【0022】
画像読取装置10では、無線接続ボタン13aが押されて無線通信の接続指示を受け付けたことを契機として、第1近距離無線通信部が、BLEに対応するデバイスの探索を行う(ステップS100)。ただし、画像読取装置10は、無線接続ボタン13aの操作ではなく、例えばスマートフォン等の外部装置からの指示を契機として、ステップS100を開始してもよい。
【0023】
BLEに対応するデバイスは、BLEの規格に則ったビーコン信号を発信している。ビーコン信号の発信をアドバタイズとも言う。第1制御部11は、画像読取装置10の周囲における、BLEに対応するデバイスがそれぞれ発信するビーコン信号を、第1BLE IF16を介して取得することにより、周囲のBLEに対応するデバイスを認識する。これがステップS100の探索である。
【0024】
ビーコン信号には、発信元のデバイスに固有の識別情報や、機種や製品を特定するための情報が含まれている。そこで、第1制御部11は、ステップS100の探索により認識したBLEに対応するデバイスの中にプリンターが有るか否かを、ビーコン信号に基づいて判定する(ステップS110)。第1制御部11は、ステップS100の探索により認識したBLEに対応するデバイスの中にプリンターが有る場合、ステップS110の“Yes”の判定からステップS120へ進み、一方、そのようなデバイスの中にプリンターが無い場合、ステップS110の“Nо”の判定から
図2,3のフローチャートを終了する。
【0025】
以下では、ステップS100の探索により、BLEに対応するデバイスとして少なくとも印刷装置20の存在が第1制御部11に認識され、ステップS110で“Yes”と判定されたものとして説明を続ける。
ステップS120では、第1制御部11は、ステップS100の探索により認識することに成功したプリンターのリストを第1表示部13に表示させる。画像読取装置10の周囲に、BLEに対応するデバイスとして複数台のプリンターが存在していた場合、これら複数台のプリンターが、例えば、それぞれの機種名を明示する形で第1表示部13にリスト状に表示される。仮に、ステップS100の探索により認識することができたプリンターが一台のみであれば、その一台のプリンターだけがステップS120において第1表示部13に表示される。
【0026】
ユーザーは、ステップS120で第1表示部13に表示されたプリンターの中から、印刷に使用するプリンターを、第1操作受付部14を操作することにより任意に一台選択する。第1制御部11は、このようなプリンターの選択を受け付ける(ステップS130)。ここでは、印刷装置20がユーザーにより選択されたものとする。つまり、ステップS100の探索の結果として、一台の印刷装置20が特定された。
ステップS140では、第1制御部11は、ステップS130で受け付けた選択にかかるプリンター、ここでは印刷装置20に対して、BLEの接続要求を、第1BLE IF16から送信させる。
【0027】
印刷装置20においては、第2BLE IF26が、BLEの接続要求を受信する(ステップS300)。印刷装置20の第2制御部21は、このようにBLEの接続要求を受信したら、BLEの接続要求の送信元との間で、BLEの規格に則ってBLE接続を確立する。すなわち、第2制御部21と第1制御部11とは、ステップS300を契機として、第2BLE IF26と第1BLE IF16との間でBLE接続を確立する(ステップS310,S150)。
【0028】
なお、第2制御部21は、第2近距離無線通信部が、近距離無線通信つまりBLEにより画像読取装置10と接続した場合に、近距離無線通信により画像読取装置10と接続した旨(以下、スキャナー接続情報)を、第2記憶部25に記憶させる。印刷装置20は、画像読取装置10以外のスマートフォン等のデバイスとBLE接続することも有り得る。そこで、第2制御部21は、画像読取装置10とBLE接続した場合と、画像読取装置10ではないデバイスとBLE接続した場合とを区別するために、ステップS310では画像読取装置10とのBLE接続の確立に伴って、スキャナー接続情報を記憶する。
【0029】
ステップS320では、第2制御部21は、スキャナーからの接続要求に応じてBLE接続をしたか否かを判定する。スキャナー接続情報が第2記憶部25に記憶されていれば、スキャナーからの接続要求に応じてBLE接続をしたと言えるため、ステップS320の“Yes”の判定からステップS340へ進む。一方、スキャナー接続情報が第2記憶部25に記憶されていなければ、スキャナーではない他のデバイスと現在BLE接続をしていると言えるため、ステップS320の“No”の判定からステップS330へ進む。ステップS320は、第2制御部21が、何らかのデバイスとBLE接続したことを認識した場合に行う判定である。ステップS330以降については詳しくは説明しないが、第2制御部21は、現在BLE接続しているデバイスとの間で必要な処理フローを実行すればよい。
【0030】
ステップS340では、第2制御部21は第2BLE IF26に、Wi-Fiダイレクトの接続要求をBLEにより画像読取装置10へ送信させる。
画像読取装置10においては、印刷装置20からBLEにより送信されたWi-Fiダイレクトの接続要求を、第1BLE IF16が受信する(ステップS160)。
ステップS170では、第1BLE IF16を介してWi-Fiダイレクトの接続要求を認識した第1制御部11は、Wi-Fiダイレクトの接続要求を承諾するか否かの指示をユーザーから受け付けるためのUI画面(以下、第1UI画面)を、第1表示部13に表示させる。UIは、ユーザーインターフェイスの略である。
【0031】
ユーザーは、第1操作受付部14を操作することにより第1UI画面において、印刷装置20から画像読取装置10に対するWi-Fiダイレクトの接続要求を承諾するか否か指示する。第1制御部11は、第1UI画面が承諾の指示を受け付けた場合は、ステップS180の“Yes”の判定からステップS190へ進み、一方、第1UI画面が前記接続要求を拒否する旨の指示を受け付けた場合は、ステップS180の“Nо”の判定から
図2,3のフローチャートを終了する。
【0032】
ステップS190では、第1制御部11は、Wi-Fiダイレクト接続を確立する。ここでは、印刷装置20の第2Wi-Fi IF27がWi-Fiダイレクトの機能を有し、画像読取装置10の第1Wi-Fi IF17がWi-Fiの機能を有するものとする。Wi-Fiダイレクトは、知られているように外部のルーターやアクセスポイントを介することなく機器同士が一対一で無線通信する規格であり、ここでは第2Wi-Fi IF27が無線LANの一種のアクセスポイントとして機能する。そのため、第1制御部11は、このような第2Wi-Fi IF27に直接にアクセスするためのSSIDや暗号キーを印刷装置20から取得し、第1Wi-Fi IF17に設定することで、第1Wi-Fi IF17と第2Wi-Fi IF27との間でWi-Fiダイレクト接続による無線通信を確立する(ステップS190,S350)。第1制御部11によるSSIDや暗号キーの取得は、第1BLE IF16と第2BLE IF26との間のBLEを用いた情報のやり取りにより自動で行われてもよいし、暗号キーの入力等の一部処理は、ユーザーの手入力を介してもよい。
【0033】
第1Wi-Fi IF17と第2Wi-Fi IF27との間でWi-Fiダイレクト接続が確立した後は、第1制御部11および第2制御部21は、第1BLE IF16と第2BLE IF26との間のBLE接続を切断してもよい。つまり、画像読取装置10と印刷装置20は、一対一の無線通信を、それまでのBLE接続からWi-Fiダイレクト接続に切り替える。
【0034】
第1Wi-Fi IF17と第2Wi-Fi IF27との接続後、ステップS360では、第2制御部21は、第2Wi-Fi IF27に、印刷部28に関する印刷設定情報を画像読取装置10へ送信させる。印刷設定情報とは、例えば、カラー/モノクロの別や、印刷に用いる画像データの解像度等の情報である。
画像読取装置10側では、第2Wi-Fi IF27によって送信された印刷設定情報を、第1Wi-Fi IF17が受信する(ステップS200)。
【0035】
ステップS210では、第1制御部11は、ステップS200で受信した印刷設定情報に応じて、読取部18に対する設定を行う。つまり、印刷設定情報におけるカラー/モノクロの別や解像度に従って、読取部18に対して、カラースキャン又はモノクロスキャンの設定や読取解像度の設定を行う。
ステップS220では、第1制御部11は、読取部18に原稿の読取を実行させる。原稿はユーザーによって画像読取装置10にセットされた原稿である。読取部18は、ステップS210で行われた設定に従って、原稿の読取を実行し、読取結果としての画像データを生成する。
【0036】
ステップS230では、第1制御部11は、ステップS220の読取により生成された画像データを、第1Wi-Fi IF17に、印刷装置20へ送信させる。
印刷装置20側では、第1Wi-Fi IF17によって送信された画像データを、第2Wi-Fi IF27が受信する(ステップS370)。
ステップS380では、第2制御部21は、ステップS370で受信した画像データに基づく印刷を、印刷部28に実行させる。
【0037】
ステップS380による印刷の終了後、ステップS390では、第2制御部21は、第2Wi-Fi IF27によるWi-Fiダイレクト機能を終了させて、Wi-Fiダイレクト接続を切断する。このとき、画像読取装置10では、第1Wi-Fi IF17が第2Wi-Fi IF27との無線通信が切断されたことを認識して、印刷装置20との無線通信を終了する(ステップS240)。以上で、
図2,3のフローチャートが終了する。
【0038】
ステップS380,S390の流れについて補足説明する。上述したように、ステップS310では、第2制御部21は、スキャナー接続情報を第2記憶部25に記憶させる。そこで、第2制御部21は、印刷部28による印刷ジョブの印刷が終了する度に、第2記憶部25にスキャナー接続情報が記憶されているか否かを判定する。そして、第2記憶部25にスキャナー接続情報が記憶されていれば、終了した印刷は画像読取装置10から送信された画像データに基づく印刷、つまり原稿のコピーであったと言えるため、ステップS390を実行する。これが結果的に、ステップS380,S390の流れとなる。また、ステップS390では、第2制御部21は併せて、第2記憶部25に記憶されているスキャナー接続情報を消去する。
【0039】
ステップS170による第1UI画面の表示や、第1UI画面によりユーザーの承諾を受けるステップS180は、省くことも可能である。つまり、フローチャートとしては、ステップS160から直にステップS190へ進む内容であってもよい。
【0040】
3.第1実施形態のまとめ:
このように本実施形態によれば、画像印刷システム1は、画像読取装置10と印刷装置20とを備える。画像読取装置10は、所定の近距離無線通信を実行可能な第1近距離無線通信部と、前記近距離無線通信よりも通信速度が高速であり通信距離が長い所定の無線通信を実行可能な第1無線通信部と、原稿を読み取り可能な読取部18と、を備え、印刷装置20は、前記近距離無線通信を実行可能な第2近距離無線通信部と、前記無線通信を実行可能な第2無線通信部と、画像データに基づいて印刷を実行可能な印刷部28と、を備える。そして、第1近距離無線通信部は、前記近距離無線通信に対応するデバイスの探索により特定した印刷装置20の第2近距離無線通信部との間で前記近距離無線通信の接続を確立し、第1無線通信部は、第1近距離無線通信部が前記近距離無線通信により第2近距離無線通信部から受信した接続要求に応じて、第2無線通信部との間で前記無線通信の接続を確立し、読取部18による原稿の読取により生成された画像データを、前記無線通信を用いて第2無線通信部へ送信し、印刷部28は、第2無線通信部が受信した画像データに基づく印刷を実行する。
【0041】
前記構成によれば、同一のネットワークに接続していない画像読取装置10と印刷装置20との組み合わせにおいて、それらの前記近距離無線通信の接続を利用して前記無線通信の一対一の接続を確立することで、原稿のコピーをすることができる。そのため、他のデバイスやネットワーク環境を用意したり、複雑な接続手順を踏んだりする必要がなく、ユーザーにとって利便性が向上する。
【0042】
また、本実施形態によれば、画像読取装置10は、印刷装置20との前記無線通信の接続の指示をユーザーから受け付けるための受付部を有し、この受付部が前記指示を受け付けたことを契機として、第1近距離無線通信部が前記探索を開始するとしてもよい。
前記構成によれば、ユーザーは前記受付部を操作して指示するだけで、前記探索から前記無線通信の接続まで実行させることができ、原稿のコピーに要するユーザーの手間を極力減らすことができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、画像読取装置10は、前記接続要求を承諾するか否かの指示をユーザーから受け付けるためのUI画面を所定の表示部に表示させ、第1無線通信部は、UI画面が前記承諾の指示を受け付けた場合に、第2無線通信部との間で前記無線通信の接続を確立する、としてもよい。
前記構成によれば、画像読取装置10は、印刷装置20から前記近距離無線通信により、前記無線通信に関する接続要求を受けたとき、第1UI画面を介してユーザーの承諾を得た場合に、第2無線通信部との間で前記無線通信の接続を確立することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、印刷装置20は、第2近距離無線通信部が前記近距離無線通信により画像読取装置10と接続した場合に、前記近距離無線通信により画像読取装置10と接続した旨を記憶する記憶部を有し、印刷部28による印刷が終了した場合、前記近距離無線通信により画像読取装置10と接続した旨が記憶部に記憶されていれば、第2無線通信部と第1無線通信部との前記無線通信を切断する、としてもよい。
前記構成によれば、印刷装置20の第2記憶部25にスキャナー接続情報が記憶されていれば、印刷終了後に第2無線通信部と第1無線通信部との前記無線通信が自動的に切断されるため、通信切断のためのユーザーの手間を省くことができる。
【0045】
4.第2実施形態:
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態を含む以下の各実施形態では、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と共通する説明は適宜省略する。また、以下の各実施形態の組み合わせも当然に本明細書の開示範囲に含む。
【0046】
印刷装置20は、ユーザーを認証するための「認証部」を有するとしてもよい。ここでは、第2制御部21が認証部としても機能する。第1近距離無線通信部は、ユーザーによって画像読取装置10に対して入力された認証情報を、前記近距離無線通信により第2近距離無線通信部へ送信し、認証部は、第2近距離無線通信部が受信した前記認証情報が、印刷装置20にユーザー毎に登録された認証情報のいずれかと一致するか否かを判定する。そして、第2近距離無線通信部が受信した前記認証情報が、前記登録された認証情報のいずれかと一致する場合に、第2近距離無線通信部は前記近距離無線通信により第1近距離無線通信部へ前記接続要求を送信する、としてもよい。
【0047】
図4は、このような第2実施形態を説明するためのフローチャートであり、
図2,3と同様に、図内の左に画像読取装置10による処理を示し、図内の右に印刷装置20による処理を示している。
図4では、ステップS150の後、およびステップS320の“Yes”の後を示している。
ステップS320の“Yes”の判定後、ステップS332では、第2制御部21は第2BLE IF26に、ユーザーにより入力された認証情報の要求を、BLEにより画像読取装置10へ送信させる。ユーザーにより入力された認証情報を、以下では、入力認証情報とも呼ぶ。
【0048】
画像読取装置10においては、印刷装置20からBLEにより送信された、認証情報の要求を、第1BLE IF16が受信する(ステップS152)。
ステップS154では、第1制御部11は、ステップS152で受信した要求に応じて、第1BLE IF16に、入力認証情報をBLEにより印刷装置20へ送信させる。
印刷装置20においては、画像読取装置10からBLEにより送信された入力認証情報を、第2BLE IF26が受信する(ステップS334)。
【0049】
ステップS154の前提として、第2実施形態では画像読取装置10がユーザーから認証情報を入力済みであるとする。認証情報とは、例えば、ユーザーのIDやパスワード、ユーザー名等、ユーザーの個人情報である。知られているように、ユーザーは、自身の認証情報を画像読取装置10へ入力し、その認証情報が正当な情報であることが画像読取装置10によって認められたとき、画像読取装置10を使用可能となる。第2実施形態では、画像読取装置10がユーザーから入力した認証情報を、印刷装置20からの求めに応じて、印刷装置20へ送信する。
【0050】
ユーザーによる画像読取装置10への認証情報の入力方法は様々であり、例えば、ユーザーは、第1操作受付部14を操作して認証情報を入力することができる。画像読取装置10は、ICカードリーダーと接続可能であり、ICカードリーダーがユーザーのICカードから読み取った認証情報を、ICカードリーダーを介して入力するとしてもよい。ICカードリーダーは、例えば、いわゆるNFC(Near Field Communication)に対応したカードリーダーであり、認証情報が書き込まれたICカードから、NFCを用いて認証情報を読み取り、読み取った認証情報を画像読取装置10へ入力する。NFCも近距離無線通信の一種であるが、BLEに比べると通信距離が短い。ICカードリーダーを用いることで、ユーザーは、認証情報を手軽に画像読取装置10へ入力することができる。その他、ユーザーによる画像読取装置10への認証情報の入力は、顔、指紋、声等の生体認証の類であってもよい。
【0051】
第2実施形態では、印刷装置20の第2記憶部25にも、ユーザー毎の認証情報が予め登録されているものとする。このような印刷装置20に登録済みの認証情報を、登録認証情報と呼ぶ。ステップS336では、認証部としての第2制御部21は、入力認証情報が登録認証情報のいずれかと一致するか否かを判定し、いずれかと一致すれば“Yes”の判定からステップS338へ進む。一方、認証部としての第2制御部21は、入力認証情報が登録認証情報のいずれとも一致しなければ“Nо”の判定からステップS340へ進む。ステップS340以降については、第1実施形態で説明した通りである。
【0052】
ステップS156,S338では、第1制御部11および第2制御部21は、Wi-Fiダイレクトの規格に則ったやり取りや手続きにより、第1Wi-Fi IF17と第2Wi-Fi IF27との間でWi-Fiダイレクト接続の無線通信を確立する。
図4では特に記載していないが、ステップS336の“Yes”の後は、当然、印刷装置20から画像読取装置10に対して、入力認証情報が登録認証情報と一致した旨の通知をしたり、Wi-Fiダイレクト接続の要求をしたりして、ステップS156,S338が実行される。従って、第2実施形態でも、第2近距離無線通信部は前記近距離無線通信により第1近距離無線通信部へ、前記無線通信の直接的あるいは間接的な接続要求を送信し、その上で前記無線通信の接続が確立される。
【0053】
ステップS156,S338の後は、ステップS360,S200へ処理を進める。このような第2実施形態によれば、画像読取装置10が取得した入力認証情報と、印刷装置20が有する登録認証情報との一致を条件として、第1UI画面の表示やユーザーからの承諾の入力といったステップS170,S180を省くことができる。つまり、セキュリティーを高めながら、ユーザーの手間を減らして、同一のネットワークに接続していない画像読取装置10と印刷装置20との組み合わせにおいて前記近距離無線通信の接続を利用して前記無線通信の接続を確立することができる。
なお、登録認証情報は、画像読取装置10の第1記憶部15に記憶されていて、ステップS336の判定とその後の分岐は、画像読取装置10が担当するとしてもよい。
【0054】
5.第3実施形態:
上述したように、印刷装置20は、第2近距離無線通信部が前記近距離無線通信により画像読取装置10と接続した場合に、前記近距離無線通信により画像読取装置10と接続した旨を記憶する記憶部として、第2記憶部25を有する。印刷装置20は、印刷部28による印刷が終了した場合、前記近距離無線通信により画像読取装置10と接続した旨が記憶部に記憶されていれば、第2無線通信部から前記無線通信により第1無線通信部へ印刷終了の旨を通知するとしてもよい。そして、画像読取装置10は、第1無線通信部が前記印刷終了の旨の通知を受信した場合に、第1無線通信部と第2無線通信部との前記無線通信を切断するとしてもよい。
【0055】
このように第3実施形態では、印刷装置20の第2記憶部25にスキャナー接続情報が記憶されていれば、印刷終了後に、第2無線通信部から前記無線通信により第1無線通信部へ印刷終了の旨が通知され、この通知を契機として画像読取装置10が第1無線通信部と第2無線通信部との前記無線通信を自動的に切断する。そのため、ユーザーの手間を省くことができる。
【0056】
6.第4実施形態:
第4実施形態は、印刷装置20が印刷終了の旨の通知をするまでの流れは第3実施形態と同じである。第4実施形態では、画像読取装置10は、第1無線通信部が印刷終了の旨の通知を受信した場合に、前記無線通信を継続するか否かの指示をユーザーから受け付けるためのUI画面を所定の表示部に表示させ、このUI画面が継続しない旨の指示を受け付けた場合に、第1無線通信部と第2無線通信部との前記無線通信を切断する。
【0057】
図5は、第4実施形態を説明するためのフローチャートであり、
図2,3,4と同様に、図内の左に画像読取装置10による処理を示し、図内の右に印刷装置20による処理を示している。
図5では、ステップS380の後を示している。第2制御部21は、印刷部28による印刷が終了したとき、上述したように、第2記憶部25にスキャナー接続情報が記憶されているか否かを判定する。そして、第2記憶部25にスキャナー接続情報が記憶されていれば、ステップS382を実行する。これが結果的に、ステップS380,S382の流れとなる。
【0058】
ステップS382では、第2制御部21は、第2Wi-Fi IF27に、印刷終了の通知を画像読取装置10へ送信させる。
画像読取装置10側では、第2Wi-Fi IF27によって送信された印刷終了の通知を、第1Wi-Fi IF17が受信する(ステップS232)。
【0059】
印刷終了の通知を受信したら、ステップS234では、第1制御部11は、Wi-Fiダイレクトの接続を継続するか否かの指示をユーザーから受け付けるためのUI画面(以下、第2UI画面)を、第1表示部13に表示させる。
ユーザーは、第1操作受付部14を操作することにより第2UI画面において、画像読取装置10と印刷装置20とのWi-Fiダイレクトの接続を継続するか否か指示する。第1制御部11は、第2UI画面が継続の指示を受け付けた場合は、ステップS236の“Yes”の判定からステップS238へ進み、一方、第2UI画面が継続しない旨の指示を受け付けた場合は、ステップS236の“Nо”の判定からステップS242へ進む。第2UI画面は、画像読取装置10および印刷装置20を用いた原稿のコピーを継続するか否かの意思確認のためのUI画面とも言える。
【0060】
ステップS242では、第1制御部11は、第1Wi-Fi IF17の機能を停止させる。このとき、印刷装置20では、第2Wi-Fi IF27が第1Wi-Fi IF17との無線通信が切断されたことを認識して、画像読取装置10との無線通信を終了する(ステップS392)。ステップS392では、第2制御部21は併せて、第2記憶部25に記憶されているスキャナー接続情報を消去する。以上で、
図5のフローチャートを終了する。
【0061】
第1制御部11は、ステップS236で“Yes”と判定した後は、データの無通信の状態がある一定時間以上続いたか否かをステップS238で判定する。ここで言う無通信とは、第1Wi-Fi IF17から第2Wi-Fi IF27に向けての無線通信が無いことを意味する。一定時間は、例えば10分である。無通信の状態が一定時間以上続いた場合は、第1制御部11は、画像読取装置10および印刷装置20を用いた原稿のコピーを継続する意思がユーザーに無いものとみなし、ステップS238の“Yes”からステップS242へ進めばよい。なお、
図5において、ステップS234,S236,S238を無くせば、第3実施形態となる。
【0062】
このように第4実施形態では、印刷装置20の第2記憶部25にスキャナー接続情報が記憶されていれば、印刷終了後に、第2無線通信部から前記無線通信により第1無線通信部へ印刷終了の旨が通知され、この通知を認識した画像読取装置10が、第2UI画面を表示する。これにより、第1無線通信部と第2無線通信部との前記無線通信を継続するか否かの判断をユーザーに委ねて、ユーザーの利便性に寄与することができる。
【0063】
7.第5実施形態:
上述したように、第1近距離無線通信部は、ユーザーによって画像読取装置10に対して入力された認証情報、つまり入力認証情報を、前記近距離無線通信により第2近距離無線通信部へ送信する。印刷部28は、第2無線通信部が受信した画像データに基づく印刷をステップS380において実行する際に、第2近距離無線通信部が受信した入力認証情報の一部を、画像データに重ねて透かし印刷するとしてもよい。透かし印刷自体は、公知技術なので説明を省く。ここで言う入力認証情報の一部とは、例えばユーザー名等であり、パスワード等の秘匿すべき情報は当然含まない。このような第5実施形態によれば、ユーザーの認証情報の一部が、原稿のコピー結果としての媒体に透かしとして印刷されるため、コピーの偽造防止や、他の印刷結果物との混同防止といった効果を奏する。なお、画像読取装置10から印刷装置20への入力認証情報の送信方法は、BLEによる近距離無線通信ではなく、Wi-Fiダイレクトによる無線通信であってもよい。
【0064】
8.その他の説明:
特許請求の範囲においては、請求項同士の組み合わせの一部のみを記載しているが、本明細書は、独立請求項と従属請求項との一対一の組み合わせだけでなく、当然に複数の従属請求項の各種組み合わせを開示範囲に含める。
【0065】
本実施形態は、画像読取システム1以外にも、画像読取装置10や、印刷装置20もそれぞれ発明として開示する。むろん、画像読取システム1や、各装置10,20が実行する方法、これら方法をプロセッサーと協働して実現するためのプログラム12,22も開示する。例えば、画像読取装置10と印刷装置20とが協働して実行する画像印刷方法であって、画像読取装置10は、所定の近距離無線通信を実行可能な第1近距離無線通信部と、前記近距離無線通信よりも通信速度が高速であり通信距離が長い所定の無線通信を実行可能な第1無線通信部と、原稿を読み取り可能な読取部18と、を備え、印刷装置20は、前記近距離無線通信を実行可能な第2近距離無線通信部と、前記無線通信を実行可能な第2無線通信部と、画像データに基づいて印刷を実行可能な印刷部28と、を備え、第1近距離無線通信部が、前記近距離無線通信に対応するデバイスの探索により特定した印刷装置20の第2近距離無線通信部との間で前記近距離無線通信の接続を確立する「第1接続行程」と、第1無線通信部が、第1近距離無線通信部が前記近距離無線通信により第2近距離無線通信部から受信した接続要求に応じて、第2無線通信部との間で前記無線通信の接続を確立する「第2接続行程」と、第1無線通信部が、読取部18による原稿の読取により生成された画像データを、前記無線通信を用いて第2無線通信部へ送信する「画像送信工程」と、印刷部28が、第2無線通信部が受信した画像データに基づく印刷を実行する「印刷工程」と、を備える画像印刷方法を把握することができる。
【0066】
これまでの説明によれば、ステップS150,S300や、ステップS150,S300に至る工程が、第1接続行程に含まれる。また、ステップS190,S350あるいはステップS156,S338や、ステップS190,S350あるいはステップS156,S338に至る工程が、第2接続行程に含まれる。また、ステップS230や、ステップS230に至る工程が、画像送信工程に含まれる。また、ステップS380や、ステップS380に至る工程が、印刷工程に含まれる。
【0067】
画像読取装置10の第1制御部11は、第1Wi-Fi IF17を介してプリンターとWi-Fiダイレクト接続して実行した無線通信に関する履歴を、第1記憶部15に保存してもよい。そして、第1制御部11は、ステップS120のリスト表示では、ステップS100の探索の結果認識した複数台のプリンターについて、前記履歴において過去の接続回数が多いプリンター順に優先的に上位に表示してもよい。あるいは、第1制御部11は、ステップS100の探索の結果認識したプリンターのうち、前記履歴において過去の接続回数が最も多いプリンターを自動的に選択し、つまりステップS120,S130をスキップして、ステップS140の要求の送信先としてもよい。また、前記履歴における接続回数を、接続時間、コピー回数、コピー枚数といった指標に置き換えて解釈してもよい。
【0068】
BLEに対応するデバイスを探索、特定し、BLEの接続要求を送信する主体は、これまでの説明のように画像読取装置10ではなく、逆に印刷装置20であってもよい。つまり、これまでの説明における画像読取装置10、印刷装置20それぞれの処理の少なくとも一部について、実行主体を入れ替えて実施形態を解釈してもよい。さらに、スマートフォン等のスマートデバイスが、BLEに対応するデバイスとして画像読取装置10および印刷装置20を探索し、探索した画像読取装置10と印刷装置20とにステップS150,S310以降の処理を実行させることも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…画像印刷システム、10…画像読取装置、11…第1制御部、12…読取制御プログラム、13…第1表示部、14…第1操作受付部、15…第1記憶部、16…第1BLE IF、17…第1Wi-Fi IF、18…読取部、20…印刷装置、21…第2制御部、22…印刷制御プログラム、23…第2表示部、24…第2操作受付部、25…第2記憶部、26…第2BLE IF、27…第2Wi-Fi IF、28…印刷部