(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103005
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】RFタグ付きパレットおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 19/38 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
B65D19/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007118
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】関口 好彦
(72)【発明者】
【氏名】小森 敦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 学
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA02
3E063FF20
(57)【要約】
【課題】
パレットまたはパレットで運ぶワークを管理する際に、RFタグをパレットに強固に固定でき、かつ外部からの衝撃によるRFタグの破損を低減する。
【解決手段】
本発明は、ワークの搬送または保管に用いられるパレットと、パレットに取り付けられるRFタグ40と、パレットを構成するプレート10の一方の面に配置されるRFタグ40を包む第1シリコーン硬化体20と、プレート10の一方の面と反対側の他方の面からプレート10を貫通して第1シリコーン硬化体20に挿入固定されている第2シリコーン硬化体のリベット30と、を備えるRFタグ付きパレット、およびその製造方法に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの搬送または保管に用いられるパレットと、
前記パレットに取り付けられるRFタグと、
前記パレットを構成するプレートの一方の面に配置される前記RFタグを包む第1シリコーン硬化体と、
前記プレートの前記一方の面と反対側の他方の面から前記プレートを貫通して前記第1シリコーン硬化体に挿入固定されている第2シリコーン硬化体のリベットと、
を備えるRFタグ付きパレット。
【請求項2】
前記第1シリコーン硬化体は、縮合反応型シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1に記載のRFタグ付きパレット。
【請求項3】
RFタグ付きパレットを製造方法であって、
前記RFタグ付きパレットは、
ワークの搬送または保管に用いられるパレットと、
前記パレットに取り付けられるRFタグと、
前記パレットを構成するプレートの一方の面に配置される前記RFタグを包む第1シリコーン硬化体と、
前記プレートの前記一方の面と反対側の他方の面から前記プレートを貫通して前記第1シリコーン硬化体に挿入固定されている第2シリコーン硬化体のリベットと、
を備えており、
前記パレットを構成するプレートの一部に、前記プレートの厚さ方向に貫通する穴を形成する穴形成工程と、
硬化して前記第1シリコーン硬化体となる未硬化状態の硬化性シリコーン組成物中に前記RFタグを埋め込むRFタグ埋め込み工程と、
前記RFタグを埋め込んだ前記硬化性シリコーン組成物に、前記穴を通じて前記リベットを挿入するリベット設置工程と、
前記リベット設置工程後に、前記RFタグを埋め込んだ前記硬化性シリコーン組成物を硬化して前記第1シリコーン硬化体と前記リベットとを固定する硬化工程と、
を含むことを特徴とするRFタグ付きパレットの製造方法。
【請求項4】
前記硬化工程は、空気中の水分を利用した縮合反応によって前記硬化性シリコーン組成物を硬化していることを特徴とする請求項3に記載のRFタグ付きパレットの製造方法。
【請求項5】
前記リベット設置工程は、前記RFタグを埋め込んだ前記硬化性シリコーン組成物を前記プレートの前記一方の面に配置する配置工程と、
前記一方の面に配置された前記硬化性シリコーン組成物に、前記穴を通じて前記リベットを挿入する挿入工程と、
を含むことを特徴とする請求項3または4に記載のRFタグ付きパレットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFタグ付きのパレットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RF(Radio Frequency)タグやバーコードを用いて各種部材の管理を簡便かつ確実に行うための管理システムの利用が広がっている。
【0003】
その一例として、ワークの品種の識別のためにRFシステムが備えられた搬送システムを挙げることができる。この搬送システムは、パレットに搭載されるワークの品種情報が書き込まれてパレットに取り付けられたRFタグと、RFタグの情報を読取るリーダとを含む。これにより、複数台の加工装置に対して共用の供給コンベア及び共用の排出コンベアによってワークを供給しかつ排出する搬送システムにおいて、ワーク品種の切替時においても、設備の稼働率の低下を招くことなく、排出コンベア上におけるワーク品種のロットのまとまりが維持される搬送システムを提供できる(特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来技術では、パレットにRFタグを取り付ける際には、通常、粘着テープあるいは両面粘着テープが用いられる。しかし、かかる固定方法は、経年使用により、RFタグがパレットから剥がれやすいという問題を有する。また、外部からの衝撃によってRFタグが壊れやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、パレットまたはパレットで運ぶ製品(ワーク)を管理する際に、RFタグをパレットに強固に固定でき、かつ外部からの衝撃によるRFタグの破損を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係るRFタグ付きパレットは、
ワークの搬送または保管に用いられるパレットと、
前記パレットに取り付けられるRFタグと、
前記パレットを構成するプレートの一方の面に配置される前記RFタグを包む第1シリコーン硬化体と、
前記プレートの前記一方の面と反対側の他方の面から前記プレートを貫通して前記第1シリコーン硬化体に挿入固定されている第2シリコーン硬化体のリベットと、
を備えるRFタグ付きパレットである。
(2)別の実施形態に係るRFタグ付きパレットにおいて、好ましくは、前記第1シリコーン硬化体は、縮合反応型シリコーンゴムであっても良い。
(3)上記目的を達成するための一実施形態に係るRFタグ付きパレットの製造方法において、
前記RFタグ付きパレットは、
ワークの搬送または保管に用いられるパレットと、
前記パレットに取り付けられるRFタグと、
前記パレットを構成するプレートの一方の面に配置される前記RFタグを包む第1シリコーン硬化体と、
前記プレートの前記一方の面と反対側の他方の面から前記プレートを貫通して前記第1シリコーン硬化体に挿入固定されている第2シリコーン硬化体のリベットと、
を備えており、
前記RFタグ付きパレットの製造方法は、
前記パレットを構成するプレートの一部に、前記プレートの厚さ方向に貫通する穴を形成する穴形成工程と、
硬化して前記第1シリコーン硬化体となる未硬化状態の硬化性シリコーン組成物中に前記RFタグを埋め込むRFタグ埋め込み工程と、
前記RFタグを埋め込んだ前記硬化性シリコーン組成物に、前記穴を通じて前記リベットを挿入するリベット設置工程と、
前記リベット設置工程後に、前記RFタグを埋め込んだ前記硬化性シリコーン組成物を硬化して前記第1シリコーン硬化体と前記リベットとを固定する硬化工程と、を含む。
(4)別の実施形態に係るRFタグ付きパレットの製造方法において、好ましくは、前記硬化工程は、空気中の水分を利用した縮合反応によって前記硬化性シリコーン組成物を硬化しても良い。
(5)別の実施形態に係るRFタグ付きパレットの製造方法において、好ましくは、前記リベット設置工程は、
前記RFタグを埋め込んだ前記硬化性シリコーン組成物を前記プレートの前記一方の面に配置する配置工程と、
前記一方の面に配置された前記硬化性シリコーン組成物に、前記穴を通じて前記リベットを挿入する挿入工程と、
を含んでも良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パレットまたはパレットで運ぶワークを管理する際に、RFタグをパレットに強固に固定でき、かつ外部からの衝撃によるRFタグの破損を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るRFタグ付きパレットの斜視図、底面図および当該底面図の一部Aの拡大写真を示す。
【
図2】
図2は、
図1と異なる変形例1に係るRFタグ付きパレットの平面図および右側面図(2A)と、
図1と異なる変形例2に係るRFタグ付きパレットの平面図および正面図(2B)と、変形例1の一部の拡大写真(2C)と、を示す。
【
図3】
図3は、
図1のRFタグ付きパレットを構成するプレートに取り付けられたRFタグ近傍の縦断面図を示す。
【
図4】
図4は、
図3のRFタグ付きパレットの要部を製造する各工程のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲の各請求項に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
1.RFタグ付きパレット
図1は、本発明の実施形態に係るRFタグ付きパレットの斜視図、底面図および当該底面図の一部Aの拡大写真を示す。
図2は、
図1と異なる変形例1に係るRFタグ付きパレットの平面図および右側面図(2A)と、
図1と異なる変形例2に係るRFタグ付きパレットの平面図および正面図(2B)と、変形例1の一部の拡大写真(2C)と、を示す。(2A)および(2B)では、好適な寸法(単位:mm)も表示している。
図3は、
図1のRFタグ付きパレットを構成するプレートに取り付けられたRFタグ近傍の縦断面図を示す。ここで、「縦断面図」は、第1シリコーン硬化体からリベットに向かう方向に沿って切断した断面図を意味する。
【0012】
この実施形態およびその変形例1,2に係るRFタグ付きパレット1は、ワークの搬送または保管に用いられるパレット5と、パレット5に取り付けられるRFタグ40と、パレット5を構成するプレート10の一方の面に配置されるRFタグ40を包む第1シリコーン硬化体20と、プレート10の一方の面と反対側の他方の面からプレート10を貫通して第1シリコーン硬化体20に挿入固定されている第2シリコーン硬化体のリベット30と、を備える。RFタグ40は、好ましくは、その周囲を第1シリコーン硬化体20にて完全に覆われている。このため、RFタグ40は、外部からの衝撃で破損するリスクを低減できる。なお、変形例1,2に係るRFタグ付きパレット1を構成するパレット5は、穴ありのパレットである点で、
図1のRFタグ付きパレット1を構成するパレット5と異なる。
【0013】
パレット5は、ワークを搬送し、あるいは保管するために用いられる構造体である。パレット5は、この実施形態およびその変形例1,2では、略直方体形状を有するが、形状に制約はない。パレット5は、外枠と、外枠補強のための補強プレートとを備える。本願では、外枠を構成するプレートおよび外枠補強プレートの両者とも、「プレート」と称する。
【0014】
RFタグ40は、電子タグ、ICタグ、無線タグ、RFタグ等、他の名称で呼称されることもある。この実施形態およびその変形例1,2でいう「RFタグ」は、対応するリーダ(専用の受信装置の他、PCやスマートフォンにリーダの機能を備えたもの等)とともに好適に用いられ、リーダとの間で非接触にてデータを送信または送受信できるものをいう。かかる非接触の送信または送受信は、好ましくは電波によって行われる。なお、リーダは、ライタ(書き込み)を兼ねていても良い。RFタグ40は、好ましくは、ICチップを含む制御回路、メモリ、アンテナ等の部品を一体化したものである。
【0015】
RFタグ40は、リーダからの電波等をエネルギーとして動作可能であって電池を内蔵しないパッシブタグ、電池を内蔵して自らの電力により電波を発するアクティブタグ、電池を内蔵しつつも上位のシステムへの通信起動をパッシブ方式で行うセミアクティブタグのいずれをも含み得る。RFタグ40は、好ましくは、パッシブタグである。さらに、RFタグ40は、電磁誘導方式、電波方式のいずれの方式で駆動可能なタグでも良い。RFタグ40の形状は、箱型(すなわち、直方体)、球体、卵型、カード型、コイン型、スティック型、ラベル型等の如何なる形状でも良い。
【0016】
第1シリコーン硬化体20は、シリコーンエラストマーであって、その構造の主鎖がシロキサン結合(Si-O結合)を持つシリコーンゴムまたはシリコーン樹脂である。第1シリコーン硬化体20は、縮合反応型シリコーンゴムまたは付加反応型(付加硬化型ともいう)シリコーンゴムのいずれでも良いが、好ましくは、空気中の水分によって硬化できる縮合反応型シリコーンゴムである。
【0017】
リベット30は、第1シリコーン硬化体20に固着されるビス型の第2シリコーン硬化体である。なお、第2シリコーン硬化体の代わりに、未硬化状態のシリコーン組成物を用いても良い。リベット30は、好ましくは、軸部31と、ヘッド部32とを備える。軸部31は、プレート10をその厚さ方向に貫通する穴15を通して、第1シリコーン硬化体20に挿入固定されている。ヘッド部32は、穴15より大きい。この結果、リベット30と第1シリコーン硬化体20とは、プレート10を挟んで一体化されている。リベット30と第1シリコーン硬化体20は、共にシリコーンエラストマーである。このため、リベット30と第1シリコーン硬化体20とは同種材料で一体となっている。
【0018】
2.RFタグ付きパレットの製造方法
(1)第1シリコーン硬化体用の材料
第1シリコーン硬化体20は、硬化性シリコーン組成物を硬化して成る。硬化性シリコーン組成物は、未硬化状態においては、自立した形状を保持でき、かつ、押圧力に従って変形可能である。このため、未硬化状態にある硬化性シリコーン組成物は、RFIDタグ40を埋め込むために容易に変形可能であり、かつ配置する場所の凹凸や曲面に応じて変形させることで、配置する場所の表面形状にかかわらず密着させることが可能である。なお、配置する場所にプライマーを塗布することで、第1シリコーン硬化体20とプレート10との間の接着力を一層高めることもできる。
【0019】
未硬化状態の硬化性シリコーン組成物は、25℃におけるウイリアムス可塑度が50~500の範囲内にあることが好ましく、50~300の範囲内にあることがより好ましく、50~250の範囲内にあることがさらにより好ましい。なお、ウイリアムス可塑度は、平行板可塑度計(ウイリアムスプラストメーター)を使用し、JIS K 6249「未硬化および硬化シリコーンゴムの試験方法」に規定の測定方法に準じて測定されるものである。
【0020】
硬化性シリコーン組成物の硬化タイプは、縮合反応型、または付加反応型のいずれのタイプの硬化性組成物でも良いが、好ましくは常温放置に伴う空気中の水分との反応により容易に硬化可能な縮合反応型である。縮合反応型の硬化性シリコーン組成物は、配置から硬化に至るまで取り扱いに特殊なスキル等を要求せず、簡単な方法で固着させることが可能な組成物である。
【0021】
以下、この実施形態およびその変形例1,2にて好適に使用可能な縮合反応型の硬化性シリコーン組成物について詳細に説明する。
【0022】
縮合反応型の硬化性シリコーン組成物は、主に以下の成分から構成される。
【0023】
(1-1)オルガノポリシロキサン
オルガノポリシロキサンは、縮合反応型の硬化性シリコーン組成物の主剤成分であり、下記の化学式(1)または化学式(2)により表されるジオルガノポリシロキサンである。
【0024】
【0025】
【0026】
上記の化学式(1),(2)において、Rは一価の炭化水素基である。Rとしては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2-エチルブチル基、オクチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基(ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、アリル基等)、アリール基(フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジフェニル基等)、アラルキル基(ベンジル基、フェニルエチル基等)、および、上記炭化水素基の炭素原子に結合している水素原子の少なくとも一部をハロゲンやシアノ基等で置換したもの(クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基、3-シアノプロピル基等)から選択される一または複数の炭化水素基を挙げることができる。Rの炭素数としては、1~12であることが好ましく、1~10であることが一層好ましい。
【0027】
上記の化学式(1),(2)においては、Aは酸素原子または-(CH2)m-(mは1~8)で表されるポリメチレン基(メチレン基を含む)である。Aは、酸素原子またはエチレン基であることが好ましい。
【0028】
上記の化学式(1),(2)において、nは(1-1)成分の25℃における動粘度を100~1000000cm2/sの範囲内とする任意の数である。当該動粘度は、500~500000cm2/sの範囲内とすることが一層好ましい。
【0029】
上記の化学式(1),(2)において、Bは加水分解性基である。Bとしては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、ケトオキシム基(ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基等)、アルケニルオキシ基(イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基等)を挙げることができる。なお、上記の化学式(1),(2)におけるxは2または3である。
【0030】
上記(1-1)成分は、公知の方法(例えば、環状シロキサンまたは線状オリゴマーと酸触媒または塩基触媒とを用いた平衡反応による方法)により製造することができる。
【0031】
なお、(1-1)成分であるジオルガノポリシロキサンに分岐構造を導入する場合には、常法として、重合中にSiO3/2単位およびSiO4/2単位のうち少なくとも一方を含むシランまたはシロキサンをジオルガノポリシロキサンがゲル化しない程度に添加する方法を用いることができる。(1-1)成分については、汚れを低減するため、洗浄等により低分子シロキサンを除去してから用いることが好ましい。
【0032】
(1-2)架橋剤
架橋剤としては、加水分解性基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するシラン、または、当該シランの部分加水分解縮合物を用いる。加水分解性基の例としては、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ケトオキシム基(ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基等)、アルケニルオキシ基(イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基等)、アミノ基(N-ブチルアミノ基、N,N-ジエチルアミノ基等)、アミド基(N-メチルアセトアミド基等)を挙げることができる。これらの中では、アルコキシ基、ケトオキシム基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基を用いることが好ましい。架橋剤の配合量は、(1-1)成分100質量部に対して1~50質量部の範囲内にあることが好ましく、2~30質量部の範囲内にあることが一層好ましく、5~20質量部の範囲内にあることがより一層好ましい。
【0033】
(1-3)硬化触媒
硬化触媒は必須ではないが、硬化触媒を用いることにより、縮合反応型の硬化性シリコーン組成物の硬化を促進することができる。硬化触媒の例としては、アルキル錫エステル化合物(ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート等)、チタン酸エステルまたはチタンキレート化合物(テトライソプロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナ)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等)、その他の適切な有機金属化合物(ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、アルコキシアルミニウム化合物等)、アミノアルキル基置換アルコキシシラン(3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等)、アミン化合物またはその塩(ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等)、第4級アンモニウム塩(ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等)、アルカリ金属の低級脂肪酸塩(酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸リチウム等)、のアルカリ金属の低級脂肪酸塩、ジアルキルヒドロキシルアミン(ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等)、グアニジル基を有するシランまたはシロキサン(テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等)を挙げることができる。これらは、1種のみで用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。硬化触媒の配合量は、(1-1)成分100質量部に対して0~20質量部の範囲内にあることが好ましく、0.001~10質量部の範囲内にあることが一層好ましく、0.01~5質量部の範囲内にあることがより一層好ましい。
【0034】
(1-4)充填剤
充填剤は、必須ではないが、補強等の目的で好適に用いることができる。充填剤の例としては、補強剤(ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、これらのシリカの表面を有機珪素化合物で疎水化処理したシリカ、石英粉末、タルク、ゼオライト、ベントナイト等)、繊維質充填剤(アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等)、塩基性充填剤(炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、セライト等)を挙げることができる。これらの中では、シリカ、炭酸カルシウムおよびゼオライトを用いることが好ましく、表面を疎水化処理したヒュームドシリカおよび炭酸カルシウムを用いることが一層好ましい。上記充填剤の配合量は、目的や充填剤の種類により選択することができるが、(1-1)成分に対して1~90体積%の範囲内にあり、5~60体積%の範囲内にあることが好ましい。
【0035】
(1-5)接着性付与成分
接着性付与成分は必須ではないが好適に用いられる。接着性付与成分の例としては、アミノ基含有オルガノアルコキシシラン(γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等)、エポキシ基含有オルガノアルコキシシラン(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)、メルカプト含有オルガノアルコキシシラン(γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)、アミノ基含有オルガノアルコキシシランとエポキシ基含有オルガノアルコキシシランとの反応混合物を挙げることができる。接着性付与成分の配合量は、(1-1)成分100質量部に対して0.1~5質量部の範囲内にあることが好ましい。
【0036】
(2)製造工程のフロー
図4は、
図3のRFタグ付きパレットの要部を製造する各工程のフローを示す。
【0037】
この実施形態およびその変形例1,2に係るRFタグ付きパレットの製造方法は、
パレット5を構成するプレート10の一部に、プレート10の厚さ方向に貫通する穴15を形成する穴形成工程(S100)と、
硬化して第1シリコーン硬化体20となる未硬化状態の硬化性シリコーン組成物中にRFタグ40を埋め込むRFタグ埋め込み工程(S200)と、
RFタグ40を埋め込んだ硬化性シリコーン組成物に、穴15を通じてリベット30を挿入するリベット設置工程(S300)と、
リベット設置工程(S300)後に、RFタグ40を埋め込んだ硬化性シリコーン組成物を硬化して第1シリコーン硬化体20とリベット30とを固定する硬化工程(S400)と、を含む。RFタグ付きパレット1は、この実施形態およびその変形例1,2において項目1.で説明した構成を有する。この実施形態およびその変形例1,2では、硬化工程(S400)は、好ましくは、空気中の水分を利用した縮合反応によって硬化性シリコーン組成物を硬化する工程である。
【0038】
リベット設置工程(S300)は、RFタグ40を埋め込んだ硬化性シリコーン組成物をプレート10の一方の面に配置する配置工程(S310)と、当該一方の面に配置された硬化性シリコーン組成物に、穴15を通じてリベット30を挿入する挿入工程(S320)と、を含んでも良い。また、S310とS320とを逆順にしても良い。さらには、S100とS200とを逆順にしても良い。
【0039】
3.その他実施形態
以上、本発明の実施形態およびその変形例1,2に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態およびその変形例1,2に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0040】
例えば、リベット30は、上述の実施形態およびその変形例1,2では、その製造方法を問わないシリコーン硬化体であるが、第1シリコーン硬化体20と同様の縮合反応型の硬化性シリコーン組成物を硬化した硬化体、付加反応型の硬化性シリコーン組成物を硬化した硬化体、光硬化型の硬化性シリコーン組成物を硬化した硬化体、または電子線硬化型の硬化性シリコーン組成物を硬化した硬化体でも良い。
【0041】
上述の実施形態では、パレット5の筐体内部の補強プレートに穴15を開けて、RFタグ40を入れた第1シリコーン硬化体20とリベット30とを固定している。しかし、補強プレートではなく、パレット5の外枠を構成するプレートに穴15を開けて、RFタグ40を入れた第1シリコーン硬化体20とリベット30とを固定しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、パレットを使用する産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1・・・RFタグ付きパレット、5・・・パレット、10・・・プレート、15・・・穴、20・・・第1シリコーン硬化体、30・・・リベット、31・・・軸部、32・・・ヘッド部、40・・・RFタグ。