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  • 特開-車止め 図1
  • 特開-車止め 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103021
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】車止め
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
E04H6/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007135
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】592193443
【氏名又は名称】株式会社高田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100228511
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彩秋
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(74)【代理人】
【識別番号】100166442
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋雅
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】弁理士法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 晃一
(57)【要約】
【課題】 設置及び取り外しが容易かつ使い回し可能で、意匠性にも優れる車止めを提供する。
【解決手段】 鋳造により一体成形されたアルミ製の車止め1であって、ストッパー2と、タイヤ載置板3とを備え、ストッパー2は中空で、側面視山型かつ上面視矩形状であり、左右方向に延び、後面21は曲面で形成されており、中空部分には、少なくとも2つのボルト固定部4、4が設けられていて、ボルト固定部4のボルトが、車止めの設置箇所に開けられたドリル穴に挿入されることによって車止め本体が固定され、車止め1の取り外しは、ストッパー2の左面23及び右面24に設けられている溝穴230、240にバールが差し込まれて同時に上向きに力が加わることで行われる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造により一体成形されたアルミ製の車止めであって、ストッパーと、タイヤ載置板とを備え、
ストッパーは中空で、側面視山型かつ上面視矩形状であり、左右方向に延び、後面が曲面で形成されていて、中空部分には、少なくとも2つのボルト固定部が設けられており、ボルト固定部に差し込まれたボルトが、車止めの設置箇所に開けられたドリル穴に挿入されることによって車止め本体が固定されるものであると共に、ストッパーの前面は末広がり状の傾斜面で、左面及び右面の下縁には、それぞれ矩形状の溝穴が設けられており、
タイヤ載置板は、ストッパー前面の下縁から前方に伸びて設けられている板状体で、上面には滑り止め部が設けられていて、先端には前方に向かって傾斜する傾斜部を有していることを特徴とする車止め。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車止め本体の設置及び取り外しが容易であると共に、取り外した後も他所で複数回使い回し可能で、加えて意匠性にも優れた車止めに関する。
【背景技術】
【0002】
車の駐車時、駐車スペースから車体がはみ出てしまったり、塀などの構造物に衝突したりすることを防ぐため、駐車スペース内には移動する車のタイヤに触突するような車止めが予め設置されていることが多い。
【0003】
また、時間貸駐車場には多くの車止めが設置されるが、それらの車止めは駐車場運営管理会社が購入したものであり、時間貸駐車場としての土地利用が終了すると取り外されて他の新たな時間貸駐車場に設置される。この時間貸駐車場としての土地利用期間は都市部ではごく短期なことが多く、よって、頻繁に車止めの設置及び取り外しが行われることから、その設置及び取り外しの作業は容易であることが望ましい。
【0004】
一方、従来、車止めを取り外す際の取り外し器具との接触や、車止めとしての使用中における車両との接触等において、車止め本体が破損してしまうことが多く、車止めを取り外し後も他所で複数回使い回しすることは難しかった。近年の地球環境や経済・社会の持続可能性に関する危機意識の高まりもあり、車止めにおいても、取り外し後も他所で複数回使い回しできる、再利用可能なものが求められている。加えて、駐車場のような外構・エクステリアは、従来から機能性だけでなく意匠性も重視されている。外構・エクステリアは近年より多彩になっており、意匠性に優れたものが求められている。
【0005】
特許文献1には、設置に手数を要せず、また、取り外し可能なパーキングブロックが記載されている。特許文献2には、車止め本体が鋳造により一体成形されたアルミで出来ており、破損や欠損を回避できる強靭性を備えた車止めが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-266617号
【特許文献2】特開2022-98869号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のパーキングブロックは、本体の材質がアスファルトやコンクリートであるため、車との繰り返しの接触による破損の虞や、カビ・コケの発生による汚れの発生の虞がある。特許文献2に記載の車止めは、鋳造により一体成形されたアルミ製のため、使用時に破損することは無く、意匠性にも優れているが、設置や取り外しの際の施工性については言及されていなかった。
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、車止め本体の設置及び取り外しが容易であると共に、使用時や取り外し時の破損を回避できる強靭性を備え、取り外し後に他所で複数回使い回し可能で、加えて意匠性にも優れた車止めを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
鋳造により一体成形されたアルミ製の車止めであって、ストッパーと、タイヤ載置板とを備え、ストッパーは中空で、側面視山型かつ上面視矩形状であり、左右方向に延び、後面が曲面で形成されていて、中空部分には、少なくとも2つのボルト固定部が設けられており、ボルト固定部に差し込まれたボルトが、車止めの設置箇所に開けられたドリル穴に挿入されることによって車止め本体が固定されるものであると共に、ストッパーの前面は末広がり状の傾斜面で、左面及び右面の下縁には、それぞれ矩形状の溝穴が設けられており、タイヤ載置板は、ストッパー前面の下縁から前方に伸びて設けられている板状体で、上面には滑り止め部が設けられていて、先端には前方に向かって傾斜する傾斜部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、車止め本体が鋳造により一体成形されたアルミ製のため、車両が駐車する際や、車止め本体を取り外す際の破損を回避でき、耐久性に優れる。加えて、アルミ製のため、一般的なコンクリート製の車止めと比べて軽量で、特にストッパー部分は中空なので軽量化されており、また、車止めの設置及び取り外しに使用する器具や材料、その使用に専門的なものは必要無いため、施工性に優れる。
【0011】
さらに、車止めは、設置する箇所に開けられたドリル穴にボルトが挿入され固定されるものであるが、車止めのストッパーの左面及び右面には、溝穴が設けられていて、この溝穴にバールが差し込まれ力が加わることで、車止めを固定しているボルトを抜くことが出来るので、車止め本体を容易に取り外しでき、また、車止め本体を傷つけることなく取り外し可能なので、取り外し後に他所で複数回使い回しすることが出来る。
【0012】
加えて、車止めのストッパーは、側面視山型かつ上面視矩形状で、左右方向に延びて形成されており、一般的な車止めとは異なりデザイン性に優れた見た目をしているので、意匠性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の車止めの全体斜視図である。
図2】本発明の車止めの下面を示した図である。
図3】本発明の車止めの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下より、本発明の車止めの実施例について詳説する。本実施例における前後左右は図1に示す通りである。本実施例の車止め1は、図1に示されるように、ストッパー2と、タイヤ載置板3とを備える。ストッパー2とタイヤ載置板3はアルミ製で、砂型を用いた鋳造によって一体成形されており、ここではアルミ合金のAC7Aで形成されている。図1乃至3に示されるように、地面に接している箇所以外の各縁部は滑らかな面となるよう形成されている。
【0015】
ストッパー2は、図2及び図3に示されるように中空で、側面視山型かつ上面視矩形状であり、左右方向に延び、後面21は曲面で形成されている。ストッパー2の前面22は、末広がり状に傾斜していて、前面22には、車両のタイヤの取っ掛かりが良いように凹部220が左右に延びて設けられている。ストッパー2の左面23及び右面24の下縁には、車止め1の取り外しの際にバールを差し込むために使用する、矩形状の溝穴230、240がそれぞれ設けられている。溝穴230、240の寸法は、一般的なバールの先端部が入る程度の大きさである。
【0016】
ストッパー2とタイヤ載置板3の境界部は曲面によって滑らかに接続されており、タイヤ載置板3は板状体である。タイヤ載置板3は、ストッパー2の前面22の下縁から前方に延びて設けられていて、滑り止め部31と、傾斜部32とを有している。滑り止め部31は、タイヤ載置板3の上面に設けられていて、左右に延びた直線状の凸部が配列している。傾斜部32は、滑り止め部31の前側端部付近において、地面方向に向かって傾斜して設けられている。タイヤ載置板3の上下方向厚みは、傾斜部32の先端部からストッパー2との境界部にかけて緩やかに厚みが増している。本実施例では、傾斜部32の、先端部の厚みは4mm、ストッパー2との境界部は8~10mmである。また、図2に示されるように、タイヤ載置板3の下面の全面には、リブ33が設けられている。リブ33は縦溝状であって、溝部分はタイヤ載置板3の下面縁部よりもわずかにへこんでいる。
【0017】
タイヤ載置板3とストッパー2の境界付近には、図2に示されるように、ボルト固定部4、4が設けられている。ボルト固定部4、4は、ストッパー2の中空部分に収容されるように、中空部分の左右両端に車止め1と一体形成されている。ボルト固定部4には、図示していないがボルトが差し込まれ、地面にボルトが挿入されて車止め1が固定される。ボルトはステンレス製であり、ネジ先が車止め1の下面から突出する。車止め1の設置の際、設置箇所にはドリル穴が空けられ、ドリル穴の内部にエポキシ系接着剤、又は、エポキシ系接着剤に類似したが注入された後、ボルトがドリル穴に挿入される。車止め1の取り外しは、左右の溝穴230、240それぞれにバールを差し込み、同時に上向きに力を加えることで行われ、そうすることでドリル穴からボルトが抜かれ、よって、車止め1が取り外される。
【0018】
以上のように構成された車止め1は、ストッパー2とタイヤ載置板3とが鋳造によって一体成形されているため、車両が駐車する際や、車止め1本体を取り外す際の破損を回避でき、耐久性に優れる。加えて、本発明の車止め1はアルミ製のため、一般的なコンクリート製の車止めと比べて軽量であり、また、車止め1のストッパー2は中空で軽量化されていて、また、車止め1の設置及び取り外しに使用する器具や材料、その使用に専門的なものは必要無いため、施工性に優れる。
【0019】
さらに、車止め1は、設置する箇所に開けられたドリル穴にボルトが挿入され固定されるものであるが、車止め1のストッパーの左面23及び右面24には、溝穴230、240が設けられていて、この溝穴230、240にバールが差し込まれ上向きに力が加わることで、車止め1を固定しているボルトを抜くことが出来るので、車止め1本体を容易に取り外しでき、また、車止め1本体を傷つけることなく取り外し可能なので、取り外し後に他所で複数回使い回しすることが出来る。
【0020】
加えて、車止め1はアルミ合金の鋳物で形成されており、鋳物特有の意匠性や、鋳物でしか実現できないデザインを有しており、特に、ストッパー2の後面21は曲面で形成されており、車止め1を斜め後ろから見たとき、格別な美しさを呈する。また、車止め1本体は、一般的な車止め本体よりも長手方向に長く延びて形成されているので、特別な存在感があり意匠性に優れる。
【0021】
一方、本発明の車止め1に車両が駐車する際、車両のタイヤが触突したことによる衝撃でストッパー2が後側へ転倒するようなボルト回りの力のモーメントが発生しても、タイヤ載置板3に掛かった車重がストッパー2の転倒やずれを防ぐことが出来る。本発明の車止め1は、地面との固定においてその位置をストッパー2とタイヤ載置板3との境界部とすることにより、タイヤがストッパー2に触突するポイントである触突点の略直下にボルト固定部4が位置するため、車止め1が転倒する際の支点となるボルトとの距離を限りなく小さくすることができ、これによって生じるボルト回りの力のモーメントも可能な限り小さくすることが出来る。すると、この時生じるボルト回りの力のモーメントが、タイヤ載置板3に係る車重と釣り合う若しくはより小さくなるため、車重によって車止め1の転倒が押え込まれ、従来の車止めよりも転倒し難く、且つ、ずれ難くなる。これにより、本発明の車止め1の固定は、ストッパー2とタイヤ載置板3の左右両端2箇所のみで押えるだけで良く、また、車止め1の設置及び取り外しに使用する器具や材料、その使用に専門的なものは必要無いため、施工性及びコストに優れた車止め1とすることが出来る。
【0022】
また、タイヤ載置板3は、その上面において、滑り止め部31と傾斜部32とを有しており、タイヤがタイヤ載置板3上で空転するのを防止したり、乗り上げ易くしたりと、車の移動がよりスムーズとなるよう補助する役割を果たしている。この時、タイヤ載置板3の肉厚を傾斜部32の先端部からストッパー2との境界部にかけて緩やかに厚みを増していくように構成されていて、本実施例では、傾斜部32の、先端部の厚みは4mm、ストッパー2との境界部は8~10mmであるが、このように薄く形成されていることにより、タイヤがタイヤ載置板3上に乗り上げたことに気づき難くなり、従来の同様の構成を有した車止めよりも安全で自然な車の停め心地を提供することが出来る。また、材質にアルミを用いることにより、自然な車の停め心地を提供するほどタイヤ載置板3が薄くとも、アルミ特有の強靭性や防錆性、耐食性を発揮することが出来る。
【0023】
加えて、タイヤ載置板3の下面には、タイヤ載置板3の長手方向に直交する、つまり前後方向に延伸するリブ33が全面に亘って設けられており、これによってタイヤ載置板3の前後方向に対する曲げ剛性を増大させることが出来る。曲げ剛性が増大することにより、車重によるタイヤ載置板3のたわみから生じる破断を防ぐことができるため、強靭な車止め1を提供することが可能となる。
【0024】
また、ストッパー2の前面22に、末広がり状の傾斜面が設けられていることにより、前面22が直壁だった場合と比較して、ストッパー2にタイヤが触突した際に、前側面が傾いている分だけタイヤによる衝撃を受け流すことが出来る。このため、ストッパー2とタイヤ載置板3との境界部におけるひずみが生じにくく、当該箇所での剪断が生じてしまうのを防ぐことが出来る。さらに、タイヤがストッパー2に触突した際に最も負荷が掛かっているストッパー2とタイヤ載置板3の境界部を曲面とすることにより、タイヤがストッパー2を押すことで該境界部に生じる応力が集中するポイントが分散するため、応力集中による破壊が発生する確率を低くすることが出来る。また、ストッパー2とタイヤ載置板3の境界部を曲面によって連結することにより、表面塗装の際に塗料が溜まらず、車止め1全体にムラなく塗装を施すことが出来る上に、成形に砂型を用いる際に砂型が崩れ難く、成形される車止め1の意匠性を高めることが出来る。
【0025】
加えて、ボルト固定部4がストッパー2の中空部分に隠蔽されるように位置しているため、車止め1の表面にはボルトが露出せず、ボルト固定部4から雨水等の侵入による車止め1本体の劣化や、ボルトの腐食を防止することが出来て、且つ、意匠性の良い車止め1を提供することが出来る。
【0026】
本発明の車止め1は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で適宜変更できる。例えば、実施例において材料としてAC7Aを使用しているが、その他の鋳物用アルミ合金としても良い。ボルトもステンレス製以外でもよい。また、滑り止め部31の形状は本実施の形態において左右に延びる直線の集合としているが、タイヤが空転しないような滑り止めの機能を持つものであればどんな形状としても良いし、例えば、商品のロゴを浮き上がらせて滑り止めの機能を持たせても良い。また、リブ33は、タイヤ載置板3の長手方向に直交する向きでなくとも良く、タイヤ載置板3の強度が増すものであれば斜めに配置されていても良い。車止め1の左右寸法は、図面では40cmだが、1m、又は、2mのものも可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 車止め
2 ストッパー
21 後面
22 前面
23 左面
24 右面
230、240 溝穴
3 タイヤ載置板
31 滑り止め部
32 傾斜部
33 リブ
4 ボルト固定部


図1
図2
図3