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特開2024-103024コンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法
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  • 特開-コンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法 図1
  • 特開-コンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法 図2
  • 特開-コンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法 図3
  • 特開-コンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法 図4
  • 特開-コンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103024
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】コンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/30 20060101AFI20240725BHJP
   B65G 43/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B65G15/30 A
B65G43/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007143
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】岡村 洸征
(72)【発明者】
【氏名】平尾 宣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大夢
【テーマコード(参考)】
3F024
3F027
【Fターム(参考)】
3F024AA14
3F024AA19
3F027AA02
3F027DA23
(57)【要約】
【課題】既存のコンベアベルトにも発磁体を取り付けて長期間使用が可能なコンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法を提供する。
【解決手段】コンベアベルトへの発磁体の取付構造1は、コンベアベルト2と、コンベアベルト2の側面2cから内側に凹むように形成された凹部21に配置された発磁体3と、凹部21における発磁体3よりも外側の位置に配置され、凹部21を封止する接着部4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアベルトと、
前記コンベアベルトの側面から内側に凹むように形成された凹部に配置された発磁体と、
前記凹部における前記発磁体よりも外側の位置に配置され、前記凹部を封止する接着部と、を備えるコンベアベルトへの発磁体の取付構造。
【請求項2】
前記接着部は、前記凹部に充填された補修材である請求項1に記載のコンベアベルトへの発磁体の取付構造。
【請求項3】
コンベアベルトの側面から内側に凹むように切込みを入れて凹部を形成する凹部形成工程と、
前記凹部に発磁体を配置する発磁体配置工程と、
前記凹部における前記発磁体よりも外側の位置に、前記凹部を封止するように接着部を配置する接着部配置工程と、を備えるコンベアベルトへの発磁体の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、掘削工事において掘削ズリ(掘削岩屑)等の物品を搬送する際に、ベルトコンベアが使用されている。ベルトコンベアのベルト(コンベアベルト)に損傷が生じることがあり、ベルコンスキャナシステムを用いて損傷の位置を検出するために、コンベアベルトに発磁体を取り付ける場合がある(下記の特許文献1参照)。
【0003】
コンベアベルトに発磁体を取り付けるには、熱加硫機を用いてコンベアベルトを接続する際に、接続箇所に発磁体を設置して加硫する方法がある。また、コンベアベルトの表面を削って発磁体を設置して、その上側にパッチや補修テープ等の補修材を貼り付ける方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-122995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、加硫して取り付ける方法は、コンベアベルトを接続する際に行うため、既存のコンベアベルトには埋込むことができない。また、補修材を貼り付ける方法では、ベルトコンベアの長期運転によって補修材が剥がれ落ちる可能性があり、特に泥成分が多い掘削ズリを運搬する際にベルトコンベアヘッド部においてスクレーパを強く充てる必要があり補修材が剥がれ発磁体が脱落する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、既存のコンベアベルトにも発磁体を取り付けて長期間使用が可能なコンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係るコンベアベルトへの発磁体の取付構造は、コンベアベルトと、前記コンベアベルトの側面から内側に凹むように形成された凹部に配置された発磁体と、前記凹部における前記発磁体よりも外側の位置に配置され、前記凹部を封止する接着部と、を備える。
【0008】
このように構成されたコンベアベルトへの発磁体の取付構造では、コンベアベルトの側面から内側に凹むように形成された凹部に発磁体が配置され、凹部の開口は接着部で封止されている。よって、発磁体はコンベアベルトの内部に埋め込まれているため、発磁体が脱落することなく、コンベアベルトを長期間使用することができる。また、このような取付構造であれば、既存のコンベアベルトにも発磁体を取り付けることができる。
【0009】
また、本発明に係るコンベアベルトへの発磁体の取付構造では、前記接着部は、前記凹部に充填された補修材であってもよい。
【0010】
このように構成されたコンベアベルトへの発磁体の取付構造では、接着部は凹部に充填された補修材であるため、凹部を容易に封止することができる。
【0011】
また、本発明に係るコンベアベルトへの発磁体の取付方法は、コンベアベルトの側面から内側に凹むように切込みを入れて凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部に発磁体を配置する発磁体配置工程と、前記凹部における前記発磁体よりも外側の位置に、前記凹部を封止するように接着部を配置する接着部配置工程と、を備える。
【0012】
このように構成されたコンベアベルトへの発磁体の取付方法では、コンベアベルトの側面から内側に凹むように形成された凹部に発磁体が配置され、凹部の開口は接着部で封止されている。よって、発磁体はコンベアベルトの内部に埋め込まれているため、発磁体が脱落することなく、コンベアベルトを長期間使用することができる。また、このような取付方法であれば、既存のコンベアベルトにも発磁体を取り付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るコンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法によれば、既存のコンベアベルトにも発磁体を取り付けて長期間使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るコンベアベルトへの発磁体の取付構造の断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコンベアベルトへの発磁体の取付方法を説明する図である。
図3】本発明の一実施形態に係るコンベアベルトへの発磁体の取付方法を説明する図であり、図2の後工程を示す。
図4】本発明の一実施形態に係るコンベアベルトへの発磁体の取付方法を説明する図であり、図3の後工程を示す。
図5】本発明の一実施形態に係るコンベアベルトへの発磁体の取付方法を説明する図であり、図4の後工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るコンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法について説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、本開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺等を異ならせている。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンベアベルトへの発磁体の取付構造の断面図である。
図1に示すように、コンベアベルトへの発磁体の取付構造1は、コンベアベルト2と、発磁体3と、接着部4と、を備えている。
【0017】
コンベアベルト2は、例えばトンネル掘削等で掘削した掘削ズリ(掘削岩屑)等の物品を搬送する際に使用される。コンベアベルト2は、不図示のモータによって回転されたローラに巻回されている。なお、コンベアベルト2は、掘削ズリ以外の物品を搬送される際に使用されていてもよい。
【0018】
コンベアベルト2は、例えばゴム等の材料によって形成されている。コンベアベルト2は、板状に形成されている。コンベアベルト2は、図1に示す断面と直交する方向(図1の紙面に直交する方向)に長い形状をしている。コンベアベルト2は、物品が載置される表面2aと、表面2aと反対側の面の裏面2bと、表面2a及び裏面2bに直交する一対の側面2c(図1では、一方の側面2cのみ図示している)と、を有している。
【0019】
コンベアベルト2の側面2cには、内方に向かって凹む凹部21が形成されている。凹部21は、例えばコンベアベルト2の側面2cにホットカッター6(図2参照)等の工具で切込みを入れることによって形成されている。凹部21の大きさは、例えば、開口21aから開口21aと反対側の奥部21bまでの長さが0.3cm~5.0cm程度であり、コンベアベルト2の長さ方向の長さが1.0cm~8.0cm程度である。
【0020】
発磁体3は、コンベアベルト2の凹部21に配置されている。発磁体3は、凹部21において、凹部21の奥部21bに突き当たって配置されている。なお、発磁体3は凹部21の奥部21bに対して隙間をあけて配置されていてもよい。
【0021】
発磁体3は、例えば円盤状に形成されている(図3参照)。なお、発磁体3の形状は適宜設定可能である。磁気検出機によって、コンベアベルト2において発磁体3が配置されている位置を検出する。当該位置を基点として、コンベアベルト2に生じた損傷位置を検出することができる。
【0022】
接着部4は、コンベアベルト2の凹部21において、発磁体3よりも外側の位置に配置されている。接着部4は、凹部21の開口21a側に配置されている。接着部4は、凹部21の開口21aを封止している。
【0023】
接着部4は、補修材41が充填されて形成されている。補修材41として、例えば、株式会社チップトップジャパン製の品番:マルチフェイス(Multiface)1.5、素材:2液混合型ポリウレタン系充填剤(A液=ポリオール、B液=(脂肪族)ポリイソシアネートプレポリマー)、性能:(1)ポットライフ(23℃)=1.5分、(2)硬化時間(23℃)=15~30分、(3)硬化後の硬度=70±5(ショアA)を採用することができる。
【0024】
コンベアベルトへの発磁体の取付構造1は、コンベアベルト2に長さ方向に100mおきに設けられている。なお、コンベアベルトへの発磁体の取付構造1の設置間隔は適宜設定可能である。
【0025】
次に、コンベアベルトへの発磁体の取付方法について、主に図2から図5を用いて説明する。
【0026】
凹部形成工程を行う。
図2に示すように、コンベアベルト2の側面2cから、ホットカッター6で内側に凹むように切込み22を入れる。ゴム等の材料で形成されたコンベアベルト2が、表面2aと裏面2bとを結ぶ厚み方向に開いて、凹部21(図3参照)が形成される。
【0027】
発磁体配置工程を行う。
図3に示すように、コンベアベルト2の凹部21に発磁体3を押し込む。発磁体3が凹部21の奥部21b(図1参照)に到達するまで押し込む。
【0028】
接着部配置工程を行う。
図4に示すように、コーキングガン等の工具7を用いて、凹部21に補修材41を流し込む。凹部21における発磁体3よりも外側の位置に、補修材41を充填する。この際に、補修材41は、発磁体3の上側及び下側等の周りに充填されてもよい。図5に示すように、充填された補修材41が固まって接着部4が形成され、凹部21を封止する。
【0029】
このように構成されたコンベアベルトへの発磁体の取付構造1では、コンベアベルト2の側面2cから内側に凹むように形成された凹部21に発磁体3が配置され、凹部21の開口21aは接着部4で封止されている。よって、発磁体3はコンベアベルト2の内部に埋め込まれているため、発磁体3が脱落することなく、コンベアベルト2を長期間使用することができる。また、このような取付構造であれば、既存のコンベアベルト2にも発磁体3を取り付けることができる。
【0030】
また、接着部4は凹部21に充填された補修材41であるため、凹部21を容易に封止することができる。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0032】
例えば、接着部4として凹部21に充填された補修材41を用いて説明したが、本発明はこれに限られない。凹部21を封止するように凹部21の隙間に充填材が充填された構成であったり、凹部21を封止するように補修テープが貼られた構成であったりしてもよい。
【0033】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施形態に係るコンベアベルトへの発磁体の取付構造及びコンベアベルトへの発磁体の取付方法は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0034】
1 コンベアベルトへの発磁体の取付構造
2 コンベアベルト
2c 側面
3 発磁体
4 接着部
21 凹部
41 補修材
図1
図2
図3
図4
図5