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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103046
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】緩衝器
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/34 20060101AFI20240725BHJP
   F16F 9/06 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
F16F9/34
F16F9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007175
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大宮 智徳
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA53
3J069AA54
3J069AA64
3J069EE02
3J069EE10
(57)【要約】
【課題】ロッドの動き出し時にロッドに軸力を発生させることが可能となる緩衝器を提供する。
【解決手段】作動流体と気体とが封入されているシリンダ15と、シリンダ15内に挿入されて、シリンダ15を第1室61と第2室62とに区画するピストン51と、一端がピストン51に連結され、他端がシリンダ15の外部へ延出されているロッド52と、シリンダ15の端部に設けられる閉塞部材32,41と、を備え、第2室62に設けられ、第2室62を作動流体が充填される作動流体室65と気体が充填される気体室66とに区画するフリーピストン55と、気体室66に設けられ、気体室66を第1気体室71と第2気体室72とに区画すると共にフリーピストン55の移動により流動する気体の移動を抑制するバルブ機構33と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体と気体とが封入されているシリンダと、
前記シリンダ内に挿入されて、該シリンダを第1室と第2室とに区画するピストンと、
一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダの外部へ延出されているロッドと、
前記シリンダの端部に設けられる閉塞部材と、
を備える緩衝器であって、
前記第2室に設けられ、該第2室を前記作動流体が充填される作動流体室と前記気体が充填される気体室とに区画するフリーピストンと、
前記気体室に設けられ、該気体室を第1気体室と第2気体室とに区画すると共に前記フリーピストンの移動により流動する前記気体の移動を抑制するバルブ機構と、
を備える緩衝器。
【請求項2】
請求項1に記載の緩衝器であって、
前記バルブ機構は、
前記第2気体室から前記第1気体室への前記気体の流通を許容し、前記第1気体室から前記第2気体室への前記気体の流通を抑制する逆止弁と、
前記第1気体室の圧力が前記第2気体室の圧力に対して所定値以上の圧力になった場合に開弁する圧力バルブと、
を備える緩衝器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の緩衝器であって、
前記シリンダの外側に設けられ、前記第2気体室を形成するタンク
を備える緩衝器。
【請求項4】
請求項3に記載の緩衝器であって、
前記タンクは、前記シリンダの径方向外側に、前記シリンダを内包するよう設けられる緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
フリーピストンによって作動流体室と気体室とを区画している緩衝器が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-232845号公報
【特許文献2】実開昭63-52605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緩衝器において、ロッドの動き出し時にロッドに軸力を発生させる要望がある。
【0005】
したがって、本発明は、ロッドの動き出し時にロッドに軸力を発生させることが可能となる緩衝器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る一の態様は、作動流体と気体とが封入されているシリンダと、前記シリンダ内に挿入されて、該シリンダを第1室と第2室とに区画するピストンと、一端が前記ピストンに連結され、他端が前記シリンダの外部へ延出されているロッドと、前記シリンダの端部に設けられる閉塞部材と、を備える緩衝器であって、前記第2室に設けられ、該第2室を前記作動流体が充填される作動流体室と前記気体が充填される気体室とに区画するフリーピストンと、前記気体室に設けられ、該気体室を第1気体室と第2気体室とに区画すると共に前記フリーピストンの移動により流動する前記気体の移動を抑制するバルブ機構と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロッドの動き出し時にロッドに軸力を発生させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る第1実施形態の緩衝器を概略的に示す断面図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の緩衝器のバルブ機構の平面図である。
図3】本発明に係る第1実施形態の緩衝器のバルブ機構の断面図である。
図4】本発明に係る第2実施形態の緩衝器のバルブ機構の平面図である。
図5】本発明に係る第2実施形態の緩衝器のバルブ機構の断面図である。
図6】本発明に係る第3実施形態の緩衝器のバルブ機構の平面図である。
図7】本発明に係る第3実施形態の緩衝器のバルブ機構の断面図である。
図8】本発明に係る第4実施形態の緩衝器を概略的に示す断面図である。
図9】本発明に係る第5実施形態の緩衝器を概略的に示す断面図である。
図10】本発明に係る第6実施形態の緩衝器を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
第1実施形態の緩衝器(Shock absorber)について、図1図3を参照しつつ以下に説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態の緩衝器11を概略的に示すものである。この緩衝器11は、自動車や鉄道車両等の車両のサスペンション装置に用いられるものである。緩衝器11は、具体的には自動車のサスペンション装置に用いられる油圧緩衝器である。緩衝器11は、シリンダ15とタンク16とを備えている。シリンダ15は円筒状である。タンク16はシリンダ15よりも大径の有底円筒状である。タンク16はシリンダ15の径方向外側に、シリンダ15と同軸状に設けられている。言い換えれば、タンク16は、シリンダ15の径方向外側に設けられ、シリンダ15を内包するよう設けられている。
【0011】
タンク16は、胴部20と、底部21と、を有している。
胴部20は円筒状である。
底部21は、胴部20の軸方向の一方の端部を閉塞する。
胴部20の軸方向における底部21とは反対側は開口部22となっている。
【0012】
緩衝器11は、バルブボディ31とロッドガイド32(閉塞部材)とを備えている。バルブボディ31は、後述するバルブ機構33を主体的に構成するものである。
【0013】
バルブボディ31は円環状である。バルブボディ31は、タンク16内に設けられて、底部21に載置されている。バルブボディ31は、外周部が、大径部35と、これよりも小径の小径部36とを有している。バルブボディ31は、大径部35が軸方向の一側に設けられており、小径部36が軸方向の他側に設けられている。バルブボディ31は、その軸方向において大径部35が小径部36よりも底部21側に位置する向きで、底部21に対し径方向に位置決めされた状態で載置されている。バルブボディ31の小径部36にシリンダ15の軸方向の一端部が嵌合されている。
【0014】
ロッドガイド32は、円環状である。ロッドガイド32は、タンク16の軸方向の底部21とは反対側の端部に設けられている。ロッドガイド32は、タンク16の胴部20に嵌合されて固定されている。ロッドガイド32は、シリンダ15の軸方向の他端部を径方向に位置決めした状態で支持する。ロッドガイド32は、タンク16およびシリンダ15の両方について、軸方向の底部21とは反対側の端部を閉鎖する。言い換えれば、ロッドガイド32は、タンク16およびシリンダ15の両方について、軸方向の開口部22側の端部を閉鎖する。
【0015】
緩衝器11は、シール部材41(閉塞部材)を備えている。
【0016】
シール部材41は、ロッドガイド32の軸方向における底部21とは反対側に設けられている。シール部材41は、タンク16の軸方向における底部21とは反対側の端部に設けられている。シール部材41は、円環状であり、胴部20の内周部に嵌合されている。シール部材41は、シール性を有する。シール部材41は、タンク16およびシリンダ15に両方について、軸方向の底部21とは反対側の端部をロッドガイド32とによって閉鎖する。言い換えれば、シール部材41は、タンク16およびシリンダ15の両方について、シリンダ15の軸方向の開口部22側の端部を閉鎖する。
【0017】
タンク16には、胴部20の軸方向における底部21とは反対の端部に係止部45が形成されている。係止部45は、胴部20から胴部20の径方向における内方に延出している。シール部材41は、この係止部45とロッドガイド32とに挟持されている。タンク16の径方向における係止部45よりも内側が、タンク16の開口部22となっている。
【0018】
緩衝器11はピストン51を備えている。ピストン51は、シリンダ15内に、シリンダ15の軸方向に沿って摺動可能となるように挿入されている。
【0019】
緩衝器11はロッド52を備えている。ロッド52は、軸方向の一端がシリンダ15の内部に挿入されている。ロッド52は、この一端がピストン51に連結されている。ロッド52は、軸方向の他端が、ロッドガイド32とシール部材41とに挿通されてタンク16の開口部22からタンク16およびシリンダ15の外部に延出されている。
【0020】
ロッドガイド32とシール部材41とが、タンク16およびシリンダ15の軸方向における底部21とは反対側の端部に設けられて、タンク16およびシリンダ15と、ロッド52との間を閉塞する。
【0021】
緩衝器11は、ロッド52のタンク16およびシリンダ15から外部に延出する部分が車両の車体側に連結され、タンク16が車両の車輪側に連結される。あるいは、緩衝器11は、ロッド52のタンク16およびシリンダ15から外部に延出する部分が車両の車輪側に連結され、タンク16が車両の車体側に連結される。
【0022】
緩衝器11はフリーピストン55を備えている。フリーピストン55は、シリンダ15内のピストン51とバルブボディ31との間に設けられている。フリーピストン55は、シリンダ15の胴部20内に、シリンダ15の軸方向に沿って摺動可能に挿入されている。フリーピストン55には、その外周部に、シリンダ15との隙間をシールするOリング等の図示略のシール部材が設けられている。
【0023】
ピストン51は、シリンダ15およびタンク16を第1室61と第2室62との二室に区画している。第1室61は、シリンダ15内のピストン51とロッドガイド32との間に設けられている。第2室62は、シリンダ15内のピストン51とバルブボディ31との間と、タンク16とシリンダ15およびバルブボディ31との間とに設けられている。
【0024】
フリーピストン55は、第2室62に設けられて、第2室62を、作動流体室65と、気体室66とに区画している。作動流体室65は、シリンダ15内のピストン51とフリーピストン55との間に設けられている。気体室66は、シリンダ15内のフリーピストン55とバルブボディ31との間と、タンク16とシリンダ15およびバルブボディ31との間とに設けられている。
【0025】
バルブボディ31を含むバルブ機構33は、気体室66に設けられて、気体室66を、第1気体室71と、第2気体室72とに区画している。第1気体室71は、シリンダ15内のフリーピストン55とバルブボディ31との間に設けられている。第2気体室72は、タンク16とシリンダ15およびバルブボディ31との間に設けられている。言い換えれば、シリンダ15の外側に設けられたタンク16が第2気体室72を形成している。ロッド52は、第1室61内を貫通している。ロッド52は第2室62の作動流体室65を貫通していない。
【0026】
シリンダ15およびタンク16には、作動流体と気体とが封入されている。シリンダ15内の第1室61と、第2室62のシリンダ15内の作動流体室65とには、作動流体としての油液が充填されている。シリンダ15およびタンク16内の第2室62の気体室66には、気体が充填されている。すなわち、気体室66の第1気体室71と第2気体室72とに気体が充填されている。
【0027】
ロッド52は、ピストン51と一体になってシリンダ15に対して軸方向に移動する。その際に、ピストン51がシリンダ15の内周面を摺動し、ロッド52がロッドガイド32の内周面およびシール部材41の内周面を摺動する。シール部材41はロッド52の摺動を可能としつつロッド52との隙間を閉塞する。ロッド52がシリンダ15からの突出量を増やす緩衝器11の伸び行程において、ピストン51は第1室61側へ移動する。ロッド52がシリンダ15からの突出量を減らす緩衝器11の縮み行程において、ピストン51は第2室62の作動流体室65側へ移動する。
【0028】
ピストン51には、図示は略すが、縮み行程において第2室62の作動流体室65の油液をピストン51を介して第1室61に流す縮み側の減衰力発生機構が設けられている。この縮み側の減衰力発生機構は、作動流体室65の作動流体室65の油液を第1室61に流す際に減衰力を発生させる。
【0029】
また、ピストン51には、図示は略すが、伸び行程において第1室61の油液をピストン51を介して第2室62の作動流体室65に流す伸び側の減衰力発生機構が設けられている。この伸び側の減衰力発生機構は、第1室61の油液を作動流体室65に流す際に減衰力を発生させる。
【0030】
フリーピストン55は、ロッド52の第1室61内への進入量の変化に応じてシリンダ15に対して軸方向に移動する。すなわち、フリーピストン55は、ロッド52が第1室61内への進入量を増やすと、その体積に応じて底部21側に移動し、ロッド52が第1室61内への進入量を減らすと、その体積に応じて底部21とは反対側に移動する。油液が充填されることで体積がほぼ変化しない第1室61および作動流体室65に対して、気体室66には、第1気体室71と第2気体室72とに、ロッド52の第1室61への入出による第1室61の内容積の変化を、圧縮および圧縮からの戻りで容易に吸収することができる量の気体が充填されている。
【0031】
図2および図3に示すように、バルブ機構33は、バルブボディ31を主体として構成されている。バルブボディ31は、図3に示すように、円板状部81と、脚部82と、を有している。
【0032】
円板状部81は、板状であり、図2に示すように円環状である。円板状部81には、径方向の中央に、図3に示すように円板状部81をその軸方向に貫通する貫通穴84が形成されている。
【0033】
脚部82は、円筒状であり、円板状部81の外周部に形成されている。脚部82は、円板状部81の軸方向において、円板状部81から一側に突出している。脚部82には、脚部82を径方向に貫通する貫通溝85が形成されている。脚部82には、貫通溝85が、脚部82の周方向に等間隔で複数、具体的には5箇所形成されている。なお、ここでは貫通溝85を5箇所としたが、必ずしもこの限りではない。バルブボディ31に貫通溝85が形成されることによって、バルブボディ31の円板状部81と図1に示すタンク16の底部21との間の部分が、タンク16の胴部20とシリンダ15およびバルブボディ31との間の部分に連通している。よって、タンク16の底部21とバルブボディ31の図3に示す円板状部81との間の部分も、図1に示す第2気体室72となっている。
【0034】
図3に示すように、バルブボディ31には、円板状部81および脚部82の外周部に、上記した大径部35と小径部36とが形成されている。バルブボディ31の外周部において、大径部35は軸方向の脚部82側に形成されている。バルブボディ31の外周部において、小径部36は、軸方向の円板状部81側に形成されている。貫通溝85は、バルブボディ31の軸方向における大径部35の位置に形成されている。
【0035】
バルブボディ31には、円板状部81の外周側の部分に、バルブボディ31を軸方向に直線状に貫通する外側通路91が形成されている。バルブボディ31には、外側通路91が、バルブボディ31の周方向に等間隔で複数、具体的には、図2に示すように5箇所設けられている。なお、ここでは外側通路91を5箇所としたが、必ずしもこの限りではない。複数の外側通路91は、バルブボディ31の中心軸線から等間隔の位置に配置されている。複数の外側通路91は、いずれも、図3に示すように貫通溝85の溝底に開口している。
【0036】
バルブボディ31には、バルブボディ31の径方向における外側通路91よりも内側に、内側通路92が形成されている。
【0037】
内側通路92は、第1通路部95と、第2通路部96とを有している。
【0038】
第1通路部95は、バルブボディ31の軸方向における円板状部81の脚部82とは反対側の端面から円板状部81の途中位置まで形成されている。第1通路部95は、バルブボディ31の中心軸線を中心とする円環状である。
【0039】
内側通路92は、第2通路部96を、バルブボディ31の周方向に等間隔で複数、具体的には5箇所有している。なお、ここでは第2通路部96を5箇所としたが、必ずしもこの限りではない。
【0040】
第2通路部96は、それぞれが、径方向通路部98と、軸方向通路部99とを有している。
【0041】
径方向通路部98は、バルブボディ31の軸方向における第1通路部95の中間位置から、バルブボディ31の径方向における外方に延出している。なお、ここでは、径方向通路部98が、第1通路部95からバルブボディ31の径方向における外方に延出する場合を例にとり説明したが、必ずしもこの限りではなく、第1通路部95からバルブボディ31の径方向における内方に延出するようにすることも可能である。
【0042】
軸方向通路部99は、この径方向通路部98の、バルブボディ31の径方向における外端部から、バルブボディ31の軸方向における円板状部81の脚部82側の端面まで延びている。軸方向通路部99は、バルブボディ31の径方向における脚部82よりも内側に形成されている。
【0043】
内側通路92は、第1通路部95からバルブボディ31の径方向に放射状をなして複数の第2通路部96を有している。
【0044】
バルブ機構33は、ディスクバルブ101と、ディスクバルブ102と、ピン部材103と、ナット部材104と、ディスク105とを有している。
【0045】
ディスクバルブ101は、円板状であり、その径方向の中央にディスクバルブ101をディスクバルブ101の軸方向に貫通する貫通孔111が形成されている。ディスクバルブ101は、バルブボディ31の軸方向における円板状部81の脚部82とは反対側の端面に当接している。ディスクバルブ101は、外側通路91を開閉する。
【0046】
ディスクバルブ101には、ディスクバルブ101をディスクバルブ101の軸方向に貫通する通路穴112が形成されている。通路穴112は、図2に示すように、ディスクバルブ101の中心軸線を中心とする円弧状である。ディスクバルブ101には、ディスクバルブ101の周方向に等間隔で複数、具体的には4箇所の通路穴112が形成されている。複数の通路穴112は、ディスクバルブ101の中心軸線から等距離の位置にあり、ディスクバルブ101の中心軸線を中心とする同一円上に配置されている。図3に示すように、ディスクバルブ101の中心軸線から通路穴112までの距離は、バルブボディ31の中心軸線から第1通路部95までの距離と同等である。
【0047】
ディスクバルブ102は、円板状であり、その径方向の中央にディスクバルブ102をディスクバルブ102の軸方向に貫通する貫通孔115が形成されている。ディスクバルブ102は、その外径が、脚部82の内径よりも小さくなっている。ディスクバルブ102は、バルブボディ31の軸方向における円板状部81の脚部82側の端面に当接している。ディスクバルブ102は、内側通路92の軸方向通路部99を開閉する。
【0048】
ピン部材103は、ネジ軸部121と、頭部122とを有している。頭部122は、ネジ軸部121の軸方向における一端側に設けられている。頭部122は、その外径がネジ軸部121の外径よりも大径となっている。ネジ軸部121の軸方向における頭部122とは反対側の外周部にはオネジ123が形成されている。
【0049】
ディスク105は、円板状であり、その径方向の中央にディスク105をディスク105の軸方向に貫通する貫通孔118が形成されている。ディスク105の半径は、ディスクバルブ101の中心軸線から通路穴112までの距離と同等になっている。
【0050】
ピン部材103は、ネジ軸部121が、そのオネジ123側を先頭にして、ディスクバルブ102の貫通孔115と、バルブボディ31の貫通穴84と、ディスクバルブ101の貫通孔111と、ディスク105の貫通孔118とに挿通される。この状態でディスク105よりも突出するネジ軸部121のオネジ123にナット部材104が螺合される。これにより、ピン部材103の頭部122と、ディスク105およびナット部材104とで、ディスクバルブ102の内周側とディスクバルブ101の内周側とがバルブボディ31に固定される。
【0051】
ディスクバルブ101は、その径方向におけるディスク105よりも外側の部分がバルブボディ31から離間することで外側通路91を開放する。これにより、ディスクバルブ101は、図1に示す第2気体室72と第1気体室71とを、図3に示す外側通路91を介して連通させる。また、ディスクバルブ101は、その径方向におけるディスク105よりも外側の部分がバルブボディ31に当接することで外側通路91を閉塞する。これにより、ディスクバルブ101は、図1に示す第2気体室72と第1気体室71との、図3に示す外側通路91を介する連通を遮断する。ディスクバルブ101は、通路穴112によって、図1に示す第1気体室71を、図3に示す内側通路92に常時連通させる。ディスクバルブ101と、バルブボディ31とが、図1に示す第2気体室72から第1気体室71への気体の流通を許容し、第1気体室71から第2気体室72への気体の流通を抑制する、図3に示す第1逆止弁125(逆止弁)を構成している。
【0052】
ディスクバルブ102は、その径方向における頭部122よりも外側の部分がバルブボディ31から離間することで内側通路92を開放可能となる。これにより、図1に示す第1気体室71と第2気体室72とが、図3に示す内側通路92を介して連通可能となる。また、ディスクバルブ102は、その径方向における頭部122よりも外側の部分がバルブボディ31に当接することで内側通路92を閉塞する。これにより、ディスクバルブ102は、図1に示す第2気体室72と第1気体室71との、図3に示す内側通路92を介する連通を遮断する。ディスクバルブ102と、バルブボディ31とが、図1に示す第1気体室71から第2気体室72への気体の流通を許容し、第2気体室72から第1気体室71への気体の流通を抑制する、図3に示す第2逆止弁126(逆止弁)を構成している。
【0053】
バルブ機構33は、弾性部材131と、開閉部材132とを有している。
弾性部材131は、ゴム等の弾性材料からなる。弾性部材131は、第1通路部95に嵌合可能な円環状である。弾性部材131は、第1通路部95の深さよりも厚さが薄い。弾性部材131は、第1通路部95の径方向通路部98よりも溝底側に嵌合されて、第1通路部95の溝底に当接している。弾性部材131を、金属製のコイルばねや板バネとしても良い。
【0054】
開閉部材132は、弾性部材131よりも剛性が高い、例えば金属材料からなる。開閉部材132は、第1通路部95に摺動可能に嵌合される円環状である。開閉部材132は、第1通路部95の深さよりも厚さが薄い。開閉部材132は、第1通路部95の弾性部材131よりも溝底とは反対側に嵌合されて、弾性部材131に当接する。開閉部材132は、弾性部材131の付勢力で図3に示す基本位置に位置するとき、第1通路部95と、第2通路部96との連通を遮断する。これにより、開閉部材132は、図1に示す第1気体室71と第2気体室72との、図3に示す内側通路92を介する連通を遮断する。開閉部材132は、弾性部材131の付勢力に抗して第1通路部95の溝底側に移動すると、第1通路部95と、第2通路部96とを連通させる。これにより、開閉部材132は、図1に示す第1気体室71と第2気体室72とを、図3に示す内側通路92を介して連通させる。よって、開閉部材132は、内側通路92を開閉する。開閉部材132と弾性部材131とが、図1に示す第1気体室71の圧力が第2気体室72の圧力に対して所定値以上の圧力になった場合に開弁する、図3に示す圧力バルブ135を構成している。圧力バルブ135の開弁圧は、第2逆止弁126の開弁圧よりも高くなっている。よって、圧力バルブ135の開弁時には、第2逆止弁126が常に開弁する。
【0055】
図1に示すフリーピストン55は、基本的には、上記したように、ロッド52の第1室61内への進入量の変化に応じてシリンダ15に対して軸方向に移動する。すなわち、伸び行程において、ロッド52が第1室61内への進入量を減らすと、その体積に応じて底部21とは反対側に移動する。フリーピストン55は、縮み行程においてロッド52が第1室61内への進入量を増やすと、その体積に応じて底部21側に移動する。
【0056】
伸び行程においては、ピストン51が第1室61側に移動することになって、第1室61の液圧が上昇し、作動流体室65の液圧が低下する。すると、その初期に、この作動流体室65の液圧低下で、フリーピストン55が、底部21とは反対側に移動して第1気体室71の圧力を低下させる。これにより、第1気体室71の圧力が、第2気体室72の圧力よりも低くなる。第1気体室71の圧力が、第2気体室72の圧力よりも低くなると、比較的小さい圧力差でも第1逆止弁125が開弁して、外側通路91を介して、第2気体室72の気体を第1気体室71に流す。これにより、第1気体室71の圧力が過度に低くなることを抑制する。なお、このとき、第2逆止弁126は、第2気体室72の気体の内側通路92への流入を規制している。第1逆止弁125の開弁後、第1室61側の圧力が作動流体室65側の液圧よりも所定値以上高くなると、ピストン51に設けられた図示略の伸び側の減衰力発生機構が、第1室61の油液をピストン51を介して作動流体室65に流す。その際に、この伸び側の減衰力発生機構が、減衰力を発生させる。
【0057】
縮み行程においては、ピストン51が作動流体室65側に移動することになって、作動流体室65の液圧が上昇し、第1室61の液圧が低下する。すると、その初期に、作動流体室65の液圧上昇で、フリーピストン55が底部21側に移動して第1気体室71の圧力を上昇させる。これにより、第1気体室71の圧力が第2気体室72の圧力よりも高くなる。このように第1気体室71の圧力が第2気体室72の圧力よりも高くなるものの、第1気体室71の圧力が第2気体室72の圧力に対して所定値以上の圧力となるまでは、圧力バルブ135が閉じている。また、このとき、第1逆止弁125は、第1気体室71の気体の外側通路91への流入を規制している。このため、第1気体室71の圧力が比較的急激に立ち上がる。これにより、作動流体室65の液圧の立ち上がりも比較的高くなり、縮み行程の初期にロッド52に軸力を発生させる。このように、バルブ機構33は、その圧力バルブ135が、フリーピストン55の移動により流動する気体の移動を抑制する。そして、第1気体室71の圧力が第2気体室72の圧力よりも所定値以上の圧力になると、開閉部材132が弾性部材131の付勢力に抗して第1通路部95の溝底側に移動し、第1通路部95を第2通路部96に連通させる。すなわち、圧力バルブ135が開弁する。すると、第2逆止弁126が開弁し、内側通路92を介して、第1気体室71の気体が第2気体室72に流れる。これにより、第1気体室71の圧力の過度な上昇を抑制する。圧力バルブ135および第2逆止弁126の開弁後、第1室61側の液圧が作動流体室65側の液圧よりも所定値以上高くなると、ピストン51に設けられた図示略の縮み側の減衰力発生機構が、作動流体室65の油液をピストン51を介して第1室61に流す。その際に、この縮み側の減衰力発生機構が減衰力を発生させる。
【0058】
特許文献1,2には、フリーピストンによって作動流体と気体とを区画している緩衝器が開示されている。ところで、緩衝器における応答性の向上のため、ロッドの動き出し時(極微低速時)においてもロッドに軸力を発生させることが求められる。この領域は、液圧でロッドに軸力を発生させることが難しく、摩擦力によって、この軸力を発生させるようになっているものの、十分ではない可能性がある。
【0059】
第1実施形態の緩衝器11は、ピストン51により第1室61と区画される第2室62を、作動流体としての油液が充填される作動流体室65と、気体が充填される気体室66とに区画するフリーピストン55を設ける。そして、この気体室66に、気体室66を第1気体室71と第2気体室72とに区画するようにバルブ機構33を設ける。これにより、ロッド52の第1室61への入出による第1室61の内容積の変化を、圧縮および圧縮からの戻りで吸収することができる量の気体が充填される必要がある気体室66を第1気体室71および第2気体室72に分けて、それぞれの容積を小さくすることができる。そして、第1気体室71と第2気体室72とを区画するように設けられたバルブ機構33に、フリーピストン55の移動により流動する気体の移動を抑制する圧力バルブ135を設ける。よって、ロッド52およびピストン51が移動し、それに伴ってフリーピストン55が移動しても、圧力バルブ135が、第1気体室71と第2気体室72との間の気体の移動を抑制する。第1気体室71および第2気体室72のそれぞれの容積を小さくできることから、ロッド52の動き出し時(極微低速時)に、体積が小さくされた第1気体室71あるいは第2気体室72の圧力を即座に立ち上げることができて、ロッド52に軸力を発生させることができる。一方で、圧力バルブ135は、開弁することで、第1気体室71と第2気体室72との圧力差が過大となることを抑制する。これにより、各シール部への負荷が過大となることを抑制することができる。その結果、油液の漏出を抑制することができる。
【0060】
第1実施形態の緩衝器11は、圧力バルブ135が、第1気体室71の圧力が第2気体室72の圧力に対して所定値以上の圧力になった場合に開弁することで、第1気体室71から第2気体室72へ気体を流す行程のロッド52の動き出し時にロッド52に軸力を発生させるとともに、その際に第1気体室71の圧力が過大となることを抑制する。また、緩衝器11は、第1逆止弁125が、第2気体室72から第1気体室71への気体の流通を許容し、第1気体室71から第2気体室72への気体の流通を抑制するため、第1気体室71から第2気体室72への気体が流れる行程では、圧力バルブ135を上記のように良好に作動させることができ、第2気体室72から第1気体室71へ気体が流れる行程では、第2気体室72から第1気体室71へ気体を円滑に流すことができる。
【0061】
第1実施形態の緩衝器11は、シリンダ15の外側にタンク16を設けて、第2気体室72を形成しているため、シリンダ15の軸長の長大化を抑制することができる。
【0062】
第1実施形態の緩衝器11は、タンク16が、シリンダ15の径方向外側に、シリンダ15を内包するよう設けられているため、簡素でコンパクトな構造となる。
【0063】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を主に図4および図5に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0064】
図4および図5に示すように、第2実施形態の緩衝器11Aにおいては、バルブ機構33とは一部異なるバルブ機構33Aがバルブ機構33にかえて設けられている。バルブ機構33Aは、バルブボディ31とは一部異なるバルブボディ31Aをバルブボディ31にかえて有している。バルブボディ31Aは、円板状部81とは一部異なる円板状部81Aを円板状部81にかえて有している。円板状部81Aは、内側通路92とは一部異なる内側通路92Aを内側通路92にかえて有している。内側通路92Aは、第1通路部95とは一部異なる第1通路部95Aを第1通路部95にかえて有している。
【0065】
第1通路部95Aは、バルブボディ31Aの軸方向における円板状部81Aの脚部82とは反対側の端面から円板状部81の途中位置まで形成されている。第1通路部95Aは、バルブボディ31の中心軸線に沿う直線状である。内側通路92Aは、第1通路部95Aを、バルブボディ31の周方向に等間隔で複数、具体的には5箇所有している。なお、ここでは第1通路部95Aを5箇所としたが、必ずしもこの限りではない。
【0066】
第2通路部96は、それぞれが、一体一で対応する第1通路部95Aに連通している。第2通路部96は、径方向通路部98が、一体一で対応する第1通路部95Aのバルブボディ31Aの軸方向における中間位置から、バルブボディ31Aの径方向における外方に延出している。内側通路92Aは、ディスクバルブ101の通路穴112を介して第1気体室71に常時連通する。
【0067】
バルブ機構33Aは、弾性部材131Aと、開閉部材132Aとを有している。
弾性部材131Aは、ゴム等の弾性材料からなる。バルブ機構33Aは、弾性部材131Aを第1通路部95Aと同数、具体的には5個有している。複数の弾性部材131Aは、それぞれ一対一で対応する第1通路部95A内に摺動可能に嵌合する円柱状であって、第1通路部95Aの深さよりも長さが短い。弾性部材131Aは、第1通路部95Aの径方向通路部98よりも溝底側に嵌合されて、第1通路部95Aの溝底に当接している。弾性部材131Aを、金属製のコイルばねや板バネとしても良い。
【0068】
開閉部材132Aは、弾性部材131Aよりも剛性が高い、例えば金属材料からなる。バルブ機構33Aは、開閉部材132Aを第1通路部95Aと同数、具体的には5個有している。複数の開閉部材132Aは、それぞれ、一対一で対応する第1通路部95A内に摺動可能に嵌合される円柱状であって、第1通路部95Aの深さよりも長さが短い。開閉部材132Aは、第1通路部95Aの弾性部材131Aよりも溝底とは反対側に嵌合されて、弾性部材131Aに当接する。開閉部材132Aは、弾性部材131Aの付勢力で基本位置に位置するとき、第1通路部95Aと、径方向通路部98との連通を遮断する。これにより、開閉部材132Aは、第1気体室71(図1参照)と第2気体室72(図1参照)との内側通路92Aを介する連通を遮断する。開閉部材132Aは、弾性部材131Aの付勢力に抗して第1通路部95Aの溝底側に移動すると、第1通路部95Aと、径方向通路部98すなわち第2通路部96とを連通させる。これにより、開閉部材132Aは、第1気体室71(図1参照)と第2気体室72(図1参照)とを内側通路92Aを介して連通させる。よって、開閉部材132Aは、内側通路92Aを開閉する。開閉部材132Aと弾性部材131Aとが、第1気体室71(図1参照)の圧力が第2気体室72(図1参照)の圧力に対して所定値以上の圧力になった場合に開弁する圧力バルブ135Aを構成している。圧力バルブ135Aの開弁圧は第2逆止弁126の開弁圧よりも高くなっている。
【0069】
緩衝器11Aにおいては、縮み行程での作動が緩衝器11とは一部異なる。すなわち、縮み行程では、ピストン51(図1参照)が作動流体室65(図1参照)側に移動することになって、作動流体室65(図1参照)の液圧が上昇し、第1室61(図1参照)の液圧が低下する。すると、その初期に、作動流体室65(図1参照)の液圧上昇で、フリーピストン55(図1参照)が底部21(図1参照)側に移動して第1気体室71(図1参照)の圧力を上昇させる。これにより、第1気体室71(図1参照)の圧力が第2気体室72(図1参照)の圧力よりも高くなる。このように第1気体室71(図1参照)の圧力が第2気体室72(図1参照)の圧力よりも高くなるものの、第1気体室71(図1参照)の圧力が第2気体室72(図1参照)の圧力に対して所定値以上の圧力となるまでは、圧力バルブ135Aが閉じている。また、このとき、第1逆止弁125が、第1気体室71(図1参照)の気体の外側通路91への流入を規制している。このため、第1気体室71(図1参照)の圧力が比較的急激に立ち上がる。これにより、作動流体室65(図1参照)の圧力の立ち上がりも比較的高くなり、縮み行程の初期にロッド52に軸力を発生させる。このように、バルブ機構33Aは、圧力バルブ135Aが、フリーピストン55(図1参照)の移動により流動する気体の移動を抑制する。そして、第1気体室71(図1参照)の圧力が第2気体室72(図1参照)の圧力よりも所定値以上の圧力になると、開閉部材132Aが弾性部材131Aの付勢力に抗して第1通路部95Aの溝底側に移動し、第1通路部95Aを第2通路部96に連通させる。すなわち、圧力バルブ135Aが開弁する。すると、第2逆止弁126が開弁して、内側通路92Aを介して、第1気体室71(図1参照)の気体を第2気体室72(図1参照)に流す。これにより、第1気体室71(図1参照)の圧力の過度な上昇を抑制する。
【0070】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態を主に図6および図7に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0071】
図6および図7に示すように、第3実施形態の緩衝器11Bにおいては、バルブ機構33とは一部異なるバルブ機構33Bがバルブ機構33にかえて設けられている。バルブ機構33Bは、バルブボディ31とは一部異なるバルブボディ31Bをバルブボディ31にかえて有している。
【0072】
バルブボディ31Bは、その軸方向の脚部82とは反対側、かつ、その径方向の内側にある第1構成部材141Bと、脚部82を含む第2構成部材142Bとを有している。
【0073】
第2構成部材142Bは、その軸方向の脚部82とは反対側、かつ、その径方向の内側に、凹状部145Bを有している。凹状部145Bは、第2構成部材142Bの軸方向において脚部82とは反対側の端面から脚部82側に凹んでいる。凹状部145Bは、その凹み方向奥側の底面に、第1通路部95Baを有している。第1通路部95Baは、凹状部145Bの凹み方向奥側の底面から、第2構成部材142Bの軸方向における脚部82側に凹んでいる。第1通路部95Baは、第2構成部材142Bの中心軸線を中心とする円環状である。
【0074】
第2構成部材142Bには、第2通路部96が、径方向通路部98において凹状部145Bの側壁面に開口するように形成されている。第2構成部材142Bには、径方向の中央に、第2構成部材142Bを第2構成部材142Bの軸方向に貫通する貫通穴84Baが形成されている。貫通穴84Baは、凹状部145Bの底面の第1通路部95Baよりも径方向内側の中央に形成されている。
【0075】
第1構成部材141Bは、円板状であり、その外径が、凹状部145Bの内径よりも小径となっている。第1構成部材141Bは、その外周部に、大径部151Bと小径部152Bとが形成されている。大径部151Bは、第1構成部材141Bの軸方向の一側に形成されている。小径部152Bは、第1構成部材141Bの軸方向の他側に形成されている。小径部152Bは、その外径が、大径部151Bの外径よりも小径である。第1構成部材141Bには、径方向の中央に、第1構成部材141Bを第1構成部材141Bの軸方向に貫通する貫通穴84Bbが形成されている。
【0076】
緩衝器11Bにおいては、ピン部材103とは一部異なる、リベットタイプのピン部材103Bをピン部材103にかえて有している。ピン部材103Bは、ネジ軸部121とは一部異なる軸部121Bをネジ軸部121にかえて有している。
【0077】
第1構成部材141Bは、小径部152Bが大径部151Bよりも凹状部145Bの底面側に位置する向きで凹状部145Bの底面に載置される。そして、ピン部材103Bが、軸部121B側を先頭にして、ディスクバルブ102の貫通孔115と、第2構成部材142Bの貫通穴84Baと、第1構成部材141Bの貫通穴84Bbと、ディスクバルブ101の貫通孔111と、ディスク105の貫通孔118とに挿通される。この状態でディスク105よりも突出する軸部121Bが加締められて加締部123Bが形成される。これにより、第1構成部材141Bと第2構成部材142Bとが中心軸線を一致させて一体化されてバルブボディ31Bとなり、ピン部材103Bの頭部122と、ディスク105および加締部123Bとで、ディスクバルブ102の内周側と、ディスクバルブ101の内周側とが、バルブボディ31Bに固定される。バルブボディ31Bの円板状部81Bは、第1構成部材141Bと第2構成部材142Bとで形成される点が、バルブボディ31の円板状部81とは相違している。
【0078】
この状態で、第1構成部材141Bの小径部152Bと、第2構成部材142Bの凹状部145Bの側壁面との間に、第1通路部95Bbが形成される。第1通路部95Bbは、第2構成部材142Bの凹状部145Bの側壁面が、第1通路部95Baの径方向外側の側壁面と径方向に重なって軸方向に連続し、第1構成部材141Bの小径部152Bが、第1通路部95Baの径方向内側の側壁面と径方向に重なって軸方向に連続する。
【0079】
また、この状態で、第1構成部材141Bの大径部151Bと、第2構成部材142Bの凹状部145Bの側壁面との間に、第1通路部95Bcが形成される。第1通路部95Bcは、第2構成部材142Bの凹状部145Bの側壁面が、第1通路部95Bbの径方向外側の側壁面と径方向に重なって軸方向に連続する。第1通路部95Bcは、第1構成部材141Bの大径部151Bが、第1通路部95Bbの径方向内側の側壁面よりも大径となっている。
【0080】
バルブ機構33Bは、弾性部材131とは一部異なる弾性部材131Bを弾性部材131にかえて有しており、開閉部材132とは一部異なる開閉部材132Bを開閉部材132にかえて有している。
【0081】
弾性部材131Bは、第1通路部95Baに嵌合可能な円環状である。弾性部材131Bは、第1通路部95Baに嵌合されて、第1通路部95Baの溝底に当接する。弾性部材131Bは、軸方向の長さが、第1通路部95Baの軸方向の長さと同等である。弾性部材131Bを、金属製のコイルばねや板バネとしても良い。
【0082】
開閉部材132Bは、第1通路部95Bb,95Baに摺動可能に嵌合される円環状である。開閉部材132Bは、軸方向の長さが、第1通路部95Bbの軸方向の長さと同等である。開閉部材132Bは、第1通路部95Bbに嵌合されて、弾性部材131Bに当接している。開閉部材132Bは、内径が、大径部151Bの内径よりも小径である。これにより、開閉部材132Bは、第1通路部95Bcへの進入が規制される。
【0083】
開閉部材132Bは、弾性部材131Bの付勢力で基本位置に位置するとき、第1通路部95Bb,95Bcと、径方向通路部98との連通を遮断する。これにより、開閉部材132Bは、第1気体室71(図1参照)と第2気体室72(図1参照)との内側通路92Bを介する連通を遮断する。開閉部材132Bは、弾性部材131Bの付勢力に抗して第1通路部95Baの溝底側に移動すると、第1通路部95Bb,95Bcと、径方向通路部98すなわち第2通路部96とを連通させる。これにより、開閉部材132Bは、第1気体室71(図1参照)と第2気体室72(図1参照)とを内側通路92Bを介して連通させる。よって、開閉部材132Bは、内側通路92Bを開閉する。開閉部材132Bと弾性部材131Bとが、第1気体室71(図1参照)の圧力が第2気体室72(図1参照)の圧力に対して所定値以上の圧力になった場合に開弁する圧力バルブ135Bを構成している。圧力バルブ135Bの開弁圧は第2逆止弁126の開弁圧よりも高くなっている。
【0084】
緩衝器11Bにおいては、縮み行程での作動が緩衝器11とは一部異なる。すなわち、縮み行程では、ピストン51(図1参照)が作動流体室65(図1参照)側に移動することになって、作動流体室65(図1参照)の圧力が上昇し、第1室61(図1参照)の圧力が低下する。すると、その初期に、作動流体室65(図1参照)の圧力上昇で、フリーピストン55(図1参照)が底部21(図1参照)側に移動して第1気体室71(図1参照)の圧力を上昇させる。これにより、第1気体室71(図1参照)の圧力が第2気体室72(図1参照)の圧力よりも高くなる。このように第1気体室71(図1参照)の圧力が第2気体室72(図1参照)の圧力よりも高くなるものの、第1気体室71(図1参照)の圧力が第2気体室72(図1参照)の圧力に対して所定値以上の圧力となるまでは、圧力バルブ135Bが閉じている。また、このとき、第1逆止弁125は、第1気体室71(図1参照)の気体の外側通路91への流入を規制している。このため、第1気体室71(図1参照)の圧力が比較的急激に立ち上がる。これにより、作動流体室65(図1参照)の圧力の立ち上がりも比較的高くなり、縮み行程の初期にロッド52に軸力を発生させる。このように、バルブ機構33Bは、圧力バルブ135Bが、フリーピストン55(図1参照)の移動により流動する気体の移動を抑制する。そして、第1気体室71(図1参照)の圧力が第2気体室72(図1参照)の圧力よりも所定値以上の圧力になると、開閉部材132Bが弾性部材131Bの付勢力に抗して第1通路部95Baの溝底側に移動し、第1通路部95Bb,95Bcを第2通路部96に連通させる。すなわち、圧力バルブ135Bが開弁する。すると、第2逆止弁126が開弁して、内側通路92Bを介して、第1気体室71(図1参照)の気体を第2気体室72(図1参照)に流す。これにより、第1気体室71(図1参照)の圧力の過度な上昇を抑制する。
【0085】
第3実施形態の緩衝器11Bによれば、バルブボディ31Bを、第1構成部材141Bと第2構成部材142Bとに分割することで、第1通路部95Bbの径方向内側の側壁面の径を、第1通路部95Bcの径方向内側の側壁面の径よりも小径にしても、第1通路部95Bbに開閉部材132Bを配置することができる。これにより、開閉部材132Bおよび弾性部材131Bの第1通路部95Bcからの抜けを規制することができる。
【0086】
なお、バルブ機構33Bにおいてリベットタイプのピン部材103Bにかえて、バルブ機構33,33Aと同様のピン部材103およびナット部材104を用いても良い。逆に、バルブ機構33,33Aにおいて、ピン部材103およびナット部材104にかえてリベットタイプのピン部材103Bを用いても良い。
【0087】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態を主に図8に基づいて第1~第3実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1~第3実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0088】
図8に示すように、第4実施形態の緩衝器11Cにおいては、シリンダ15とは一部異なるシリンダ15Cがシリンダ15にかえて設けられている。シリンダ15Cは、胴部20Cと、底部21Cと、を有している。胴部20Cは円筒状である。底部21Cは、胴部20Cの軸方向の一方の端部を閉塞する。胴部20Cの軸方向における底部21Cとは反対側は開口部22Cとなっている。
【0089】
緩衝器11Cは、ロッドガイド32とは一部異なるロッドガイド32Cをロッドガイド32にかえて有している。ロッドガイド32Cは、円環状である。ロッドガイド32Cは、シリンダ15Cの軸方向の底部21Cとは反対側の端部に設けられている。ロッドガイド32Cは、シリンダ15Cの胴部20Cに嵌合されて固定されている。ロッドガイド32Cは、シリンダ15Cの軸方向の底部21Cとは反対側の端部を閉鎖する。言い換えれば、ロッドガイド32Cは、シリンダ15Cの軸方向の開口部22C側の端部を閉鎖する。
【0090】
緩衝器11Cは、シール部材41とは一部異なるシール部材41Cをシール部材41にかえて有している。シール部材41Cは、ロッドガイド32Cの軸方向における底部21Cとは反対側に設けられている。シール部材41Cは、シリンダ15Cの軸方向における底部21Cとは反対側の端部に設けられている。このシール部材41Cは、円環状であり、胴部20Cの内周部に嵌合されている。シール部材41Cは、シール性を有する。シール部材41Cは、シリンダ15Cの軸方向の底部21Cとは反対側の端部を閉鎖する。言い換えれば、シール部材41Cは、シリンダ15Cの軸方向の開口部22C側の端部を閉鎖する。
【0091】
胴部20Cの軸方向における底部21Cとは反対の端部には係止部45Cが形成されている。係止部45Cは、胴部20Cから胴部20Cの径方向における内方に延出している。シール部材41Cは、この係止部45Cとロッドガイド32Cとに挟持されている。シール部材41Cはシリンダ15の胴部20Cとの隙間を閉塞する。シリンダ15Cの径方向における係止部45Cよりも内側が、シリンダ15Cの開口部22Cとなっている。
【0092】
緩衝器11Cは、ピストン51とは一部異なるピストン51Cをピストン51にかえて有している。ピストン51Cは、シリンダ15Cの胴部20C内に、シリンダ15Cの軸方向に沿って摺動可能に挿入されている。ピストン51Cには、ピストン51と同様、縮み側の減衰力発生機構と伸び側の減衰力発生機構とが設けられている。
【0093】
ロッド52の軸方向の一端がシリンダ15Cの内部に挿入されている。ロッド52は、この一端がピストン51Cに連結されている。ロッド52は、軸方向の他端が、ロッドガイド32Cとシール部材41Cとに挿通されてシリンダ15Cの開口部22Cからシリンダ15Cの外部に延出されている。よって、ロッド52は、シリンダ15Cの外部に延出されている。ロッドガイド32Cとシール部材41Cとが、シリンダ15Cの軸方向における底部21Cとは反対側の端部に設けられて、シリンダ15Cと、ロッド52との間を閉塞する。
【0094】
緩衝器11Cは、フリーピストン55とは一部異なるフリーピストン55Cをフリーピストン55にかえて有している。フリーピストン55Cは、シリンダ15C内のピストン51Cと、シリンダ15Cの底部21Cとの間に設けられている。フリーピストン55Cは、シリンダ15Cの胴部20C内に、シリンダ15Cの軸方向に沿って摺動可能に挿入されている。フリーピストン55Cには、その外周部に、シリンダ15Cとの隙間をシールするOリング等の図示略のシール部材が設けられている。
【0095】
緩衝器11Cは、バルブ機構33とは一部異なるバルブ機構33Cをバルブ機構33にかえて有している。バルブ機構33Cは、シリンダ15C内のフリーピストン55Cと、シリンダ15Cの底部21Cとの間に設けられている。バルブ機構33Cは、シリンダ15Cの胴部20C内に嵌合されて固定されている。バルブ機構33Cは、シリンダ15Cの軸方向において底部21Cから離れている。
【0096】
ピストン51Cは、シリンダ15Cを第1室61Cと第2室62Cとの二室に区画している。第1室61Cは、シリンダ15C内のシリンダ15Cの軸方向におけるピストン51Cとロッドガイド32Cとの間に設けられている。第2室62Cは、シリンダ15C内のシリンダ15Cの軸方向におけるピストン51Cと、シリンダ15Cの底部21Cとの間とに設けられている。ロッド52は、第1室61C内を貫通している。ロッド52は第2室62Cを貫通していない。
【0097】
フリーピストン55Cは、第2室62Cに設けられて、第2室62Cを、作動流体室65Cと、気体室66Cとに区画している。作動流体室65Cは、シリンダ15C内のピストン51Cとフリーピストン55Cとの間に設けられている。気体室66Cは、シリンダ15C内のフリーピストン55Cと、シリンダ15Cの底部21Cとの間に設けられている。
【0098】
バルブ機構33Cは、気体室66Cに設けられて、気体室66Cを、第1気体室71Cと、第2気体室72Cとに区画している。第1気体室71Cは、シリンダ15C内のフリーピストン55Cとバルブ機構33Cとの間に設けられている。第2気体室72Cは、シリンダ15C内のバルブ機構33Cと底部21Cとの間とに設けられている。言い換えれば、第1気体室71Cと第2気体室72Cとは、シリンダ15Cの軸方向に並んで設けられている。
【0099】
シリンダ15Cには、作動流体と気体とが封入されている。シリンダ15C内の第1室61Cと、シリンダ15C内の第2室62Cの作動流体室65Cとには、作動流体としての油液が充填されている。シリンダ15C内の第2室62Cの気体室66Cの第1気体室71Cと第2気体室72Cとには、気体が充填されている。気体室66Cには、第1気体室71Cと第2気体室72Cとに、ロッド52の第1室61Cへの入出による第1室61Cの内容積の変化を、圧縮および圧縮からの戻りで吸収することができる量の気体が充填されている。
【0100】
ここで、バルブ機構33Cは、第1適用例としては、図2および図3に示す第1実施形態のバルブ機構33のバルブボディ31の脚部82をなくして外周部をストレートにしたものとなり、これをバルブボディ31の外周部においてシリンダ15Cの胴部20C内に嵌合固定することになる。
【0101】
あるいは、バルブ機構33Cは、第2適用例としては、図4および図5に示す第2実施形態のバルブ機構33Aのバルブボディ31Aの脚部82をなくして外周部をストレートにしたものとなり、これをバルブボディ31Aの外周部においてシリンダ15Cの胴部20C内に嵌合固定することになる。
【0102】
あるいは、バルブ機構33Cは、第3適用例としては、図6および図7に示す第3実施形態のバルブ機構33Bのバルブボディ31Bの脚部82をなくして外周部をストレートにしたものとなり、これをバルブボディ31Bの外周部においてシリンダ15Cの胴部20C内に嵌合固定することになる。
【0103】
これら第1適用例、第2適用例および第3適用例のいずれにおいても、バルブ機構33Cは、ディスクバルブ101が第1気体室71C側に配置され、ディスクバルブ102が第2気体室72C側に配置される向きで、シリンダ15Cの胴部20C内に嵌合固定される。第1適用例では、バルブ機構33Cが、第1実施形態のバルブ機構33と同様に機能する。第2適用例では、バルブ機構33Cが、第2実施形態のバルブ機構33Aと同様に機能する。第3適用例では、バルブ機構33Cが、第3実施形態のバルブ機構33Bと同様に機能する。
【0104】
第4実施形態の緩衝器11Cは、第1~第3実施形態のタンク16をなくすことができるため、部品点数を低減することができる。
【0105】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態を主に図9に基づいて第4実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第4実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0106】
図9に示すように、第5実施形態の緩衝器11Dにおいては、シリンダ15Cとは一部異なるシリンダ15Dがシリンダ15Cにかえて設けられている。シリンダ15Dは、胴部20Cとは一部異なる胴部20Dを胴部20Cにかえて有している。胴部20Cには、その軸方向の底部21C側に、胴部20Dを径方向に貫通する貫通穴151Dが形成されている。
【0107】
緩衝器11Dは、貫通穴151Dを囲んで胴部20Cから胴部20Cの径方向における外側に延出する連結管部152Dと、連結管部152Dのシリンダ15Dとは反対側に連結されるタンク153Dとを有している。
【0108】
タンク153Dは、胴部161Dと、底部162Dと、蓋部163Dとを有している。
胴部161Dは円筒状である。底部162Dは、胴部161Dの軸方向の一方の端部を閉塞する。蓋部163Dは、胴部161Dの軸方向の他方の端部を閉塞する。胴部161Dは、胴部20Dと平行に配置されている。シリンダ15Dおよびタンク153Dの軸方向において、底部162Dは、底部21Cと位置を合わせている。
【0109】
緩衝器11Dは、バルブ機構33Cとは一部異なるバルブ機構33Dをバルブ機構33にかえて有している。バルブ機構33Dは、タンク153D内に設けられている。バルブ機構33Dは、タンク153Dの胴部161D内に嵌合されて固定されている。バルブ機構33Dは、タンク153Dの軸方向において、底部162Dおよび蓋部163Dの両方に対して離間しており、蓋部163Dと連結管部152Dとの間に配置されている。
【0110】
ピストン51Cは、シリンダ15Dおよびタンク153Dを第1室61Cと第2室62Dとの二室に区画している。第1室61Cは、シリンダ15Dの軸方向におけるピストン51Cとロッドガイド32Cとの間に設けられている。第2室62Dは、シリンダ15D内のシリンダ15Dの軸方向におけるピストン51Cとシリンダ15Dの底部21Dとの間と、連結管部152D内と、タンク153D内とに設けられている。
【0111】
フリーピストン55Cは、第2室62Dに設けられて、第2室62Dを、作動流体室65Cと、気体室66Dとに区画している。作動流体室65Cは、シリンダ15D内のピストン51Cとフリーピストン55Cとの間に設けられている。気体室66Dは、シリンダ15D内のフリーピストン55Cとシリンダ15Dの底部21Dとの間と、連結管部152D内と、タンク153D内とに設けられている。
【0112】
バルブ機構33Dは、気体室66Dに設けられて、気体室66Dを、第1気体室71Dと、第2気体室72Dとに区画している。第1気体室71Dは、シリンダ15D内のフリーピストン55Cと底部21Cとの間と、連結管部152D内と、タンク153D内の底部162Dとバルブ機構33Dとの間とに設けられている。第2気体室72Dは、タンク153D内のバルブ機構33Dと蓋部163Dとの間とに設けられている。
【0113】
シリンダ15Dおよびタンク153Dには、作動流体と気体とが封入されている。シリンダ15D内の第1室61Cと、第2室62Dのシリンダ15D内の作動流体室65Cとには、作動流体としての油液が充填されている。シリンダ15Dおよびタンク153D内の第2室62Dの気体室66Dの第1気体室71Dと第2気体室72Dとには、気体が充填されている。気体室66Dには、第1気体室71Dと第2気体室72Dとに、ロッド52の第1室61Cへの入出による第1室61Cの内容積の変化を、圧縮および圧縮からの戻りで吸収することができる量の気体が充填されている。
【0114】
ここで、バルブ機構33Dは、第1適用例としては、図2および図3に示す第1実施形態のバルブ機構33のバルブボディ31の脚部82をなくして外周部をストレートにしたものとなり、これをバルブボディ31の外周部においてタンク153Dの胴部161D内に嵌合固定することになる。
【0115】
あるいは、バルブ機構33Dは、第2適用例としては、図4および図5に示す第2実施形態のバルブ機構33Aのバルブボディ31Aの脚部82をなくして外周部をストレートにしたものとなり、これを、バルブボディ31Aの外周部においてタンク153Dの胴部161D内に嵌合固定することになる。
【0116】
あるいは、バルブ機構33Dは、第3適用例としては、図6および図7に示す第3実施形態のバルブ機構33Bのバルブボディ31Bの脚部82をなくして外周部をストレートにしたものとなり、これをバルブボディ31Bの外周部においてタンク153Dの胴部161D内に嵌合固定することになる。
【0117】
これら第1適用例、第2適用例および第3適用例のいずれにおいても、バルブ機構33Dは、ディスクバルブ101が第1気体室71D側に配置され、ディスクバルブ102が第2気体室72D側に配置される向きで、タンク153Dの胴部161D内に嵌合固定される。第1適用例では、バルブ機構33Dが、第1実施形態のバルブ機構33と同様に機能する。第2適用例では、バルブ機構33Dが、第2実施形態のバルブ機構33Aと同様に機能する。第3適用例では、バルブ機構33Dが、第2実施形態のバルブ機構33Aと同様に機能する。
【0118】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態を主に図10に基づいて第5実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第5実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
【0119】
図10に示すように、第6実施形態の緩衝器11Eにおいては、タンク153Dとは一部異なるタンク153Eがタンク153Dにかえて設けられている。タンク153Eは、胴部161Dとは一部異なる胴部161Eを胴部161Dにかえて有している。胴部161Eは、その軸方向の長さが、胴部161Dよりも長くなっている。
【0120】
緩衝器11Eは、フリーピストン55Cとは一部異なるフリーピストン55Eをフリーピストン55Cにかえて有している。フリーピストン55Eは、タンク153E内に設けられている。フリーピストン55Eは、タンク153Eの胴部161E内に、タンク153Eの軸方向に沿って摺動可能に挿入されている。フリーピストン55Eは、胴部161Eの軸方向における連結管部152Dよりも底部162Dとは反対側に嵌合されている。フリーピストン55Eには、その外周部に、タンク153Eとの隙間をシールするOリング等の図示略のシール部材が設けられている。
【0121】
緩衝器11Eは、バルブ機構33Dが、タンク153Eの胴部161D内に嵌合されて固定されている。バルブ機構33Dは、タンク153Eの軸方向において、フリーピストン55Eと蓋部163Dとの間に設けられている。バルブ機構33Dは、タンク153Eの軸方向において、蓋部163Dから離間している。
【0122】
ピストン51Cは、シリンダ15Dおよびタンク153Eを第1室61Cと第2室62Eとの二室に区画している。第1室61Cは、シリンダ15D内のシリンダ15Dの軸方向におけるピストン51Cとロッドガイド32Cとの間に設けられている。第2室62Eは、シリンダ15D内のシリンダ15Dの軸方向におけるピストン51Cとシリンダ15Dの底部21Cとの間と、連結管部152D内と、タンク153E内とに設けられている。
【0123】
フリーピストン55Eは、第2室62Eに設けられて、第2室62Eを、作動流体室65Eと、気体室66Eとに区画している。作動流体室65Eは、シリンダ15D内のピストン51Cと底部21Cとの間と、連結管部152D内と、タンク153E内の底部162Dとフリーピストン55Eとの間に設けられている。気体室66Eは、タンク153E内のフリーピストン55Eと蓋部163Dとの間に設けられている。
【0124】
バルブ機構33Dは、気体室66Eに設けられて、気体室66Eを、第1気体室71Eと、第2気体室72Eとに区画している。第1気体室71Eは、タンク153E内のフリーピストン55Eとバルブ機構33Dとの間に設けられている。第2気体室72Eは、タンク153E内のバルブ機構33Dと蓋部163Dとの間に設けられている。
【0125】
シリンダ15Dおよびタンク153Eには、作動流体と気体とが封入されている。シリンダ15D内の第1室61Cと、第2室62Eのシリンダ15D内およびタンク153E内の作動流体室65Eとには、作動流体としての油液が充填されている。第2室62Eのタンク153E内の気体室66Eの第1気体室71Eと第2気体室72Eとには、気体が充填されている。気体室66Eには、第1気体室71Eと第2気体室72Eとに、ロッド52の第1室61Cへの入出による第1室61Cの内容積の変化を、圧縮および圧縮からの戻りで吸収することができる量の気体が充填されている。
【0126】
ここで、バルブ機構33Dは、第1適用例としては、図2および図3に示す第1実施形態のバルブ機構33のバルブボディ31の脚部82をなくして外周部をストレートにしたものとなり、これをバルブボディ31の外周部においてタンク153Eの胴部161E内に嵌合固定することになる。
【0127】
あるいは、バルブ機構33Dは、第2適用例としては、図4および図5に示す第2実施形態のバルブ機構33Aのバルブボディ31Aの脚部82をなくして外周部をストレートにしたものとなり、これを、バルブボディ31Aの外周部においてタンク153Eの胴部161E内に嵌合固定することになる。
【0128】
あるいは、バルブ機構33Dは、第3適用例としては、図6および図7に示す第3実施形態のバルブ機構33Bのバルブボディ31Bの脚部82をなくして外周部をストレートにしたものとなり、これをバルブボディ31Bの外周部においてタンク153Eの胴部161E内に嵌合固定することになる。
【0129】
これら第1適用例、第2適用例および第3適用例のいずれにおいても、バルブ機構33Dは、ディスクバルブ101が第1気体室71E側に配置され、ディスクバルブ102が第2気体室72E側に配置される向きで、タンク153Eの胴部161E内に嵌合固定される。第1適用例では、バルブ機構33Dが、第1実施形態のバルブ機構33と同様に機能する。第2適用例では、バルブ機構33Dが、第2実施形態のバルブ機構33Aと同様に機能する。第3適用例では、バルブ機構33Dが、第2実施形態のバルブ機構33Bと同様に機能する。
【符号の説明】
【0130】
11,11A~11E…緩衝器、15,15C,15D…シリンダ、32,32Cロッドガイド…32(閉塞部材)、33,33A~33D…バルブ機構、41,41C…シール部材(閉塞部材)、51,51C…ピストン、52…ロッド、55,55C,55E…フリーピストン、61,61C…第1室、62,62C,62D,62E…第2室、65,65C,65E…作動流体室、66,66C~66E…気体室、71,71C~71E…第1気体室、72,72C~72E…第2気体室、125…第1逆止弁(逆止弁)、126…第2逆止弁(逆止弁)、135,135A,135B…圧力バルブ、153,153D,153E…タンク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10