IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サントリーホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-レバウジオシドD含有組成物 図1
  • 特開-レバウジオシドD含有組成物 図2
  • 特開-レバウジオシドD含有組成物 図3
  • 特開-レバウジオシドD含有組成物 図4
  • 特開-レバウジオシドD含有組成物 図5
  • 特開-レバウジオシドD含有組成物 図6
  • 特開-レバウジオシドD含有組成物 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103056
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】レバウジオシドD含有組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/60 20060101AFI20240725BHJP
   A23L 2/385 20060101ALI20240725BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20240725BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20240725BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240725BHJP
【FI】
A23L2/60
A23L2/385
A23L2/00 A
A23L27/00 101A
A23L5/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007188
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】浦井 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】ゲジン ザファー
【テーマコード(参考)】
4B035
4B047
4B117
【Fターム(参考)】
4B035LC04
4B035LE03
4B035LG04
4B035LG05
4B035LG20
4B035LK03
4B035LP21
4B047LB09
4B047LE01
4B047LF07
4B047LG06
4B047LG07
4B047LG28
4B047LG32
4B047LP02
4B117LC13
4B117LK06
4B117LK07
4B117LK11
4B117LL02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ステビオール配糖体の水溶解性を向上した配糖体含有液体組成物を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、混合溶媒の総重量基準で、50~95重量%のグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールと、5~50重量%のエタノールとを含む混合溶媒と、RebDと、を含む液体組成物であって、RebDの含有量が、液体組成物の総重量基準で1.5~30重量%である、液体組成物が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合溶媒の総重量基準で、
50~95重量%のグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールと、
5~50重量%のエタノールとを含む混合溶媒と、
RebDと、を含む液体組成物であって、
前記RebDの含有量が、前記液体組成物の総重量基準で1.5~30重量%である、液体組成物。
【請求項2】
前記1種以上の多価アルコールと前記エタノールとの比率が、重量比で15:1~1:1である、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
前記1種以上の多価アルコールと前記エタノールの合計含有量が、前記混合溶媒の総重量基準で90~100重量%である、請求項1または2に記載の液体組成物。
【請求項4】
前記RebDと、前記1種以上の多価アルコールと、前記エタノールから実質的になる、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の液体組成物と、飲料濃縮物の総重量基準で50~99重量%の水とを含む、飲料濃縮物。
【請求項6】
RebD、グリセリン、エチレングリコール、およびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコール、エタノールならびに水を含む、飲料濃縮物であって、前記飲料濃縮物の総重量基準で、
0.01~10重量%のRebDと、
0.4~50重量%の前記1種以上の多価アルコールと、
0.4~25重量%のエタノールと、を含む飲料濃縮物。
【請求項7】
α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよび2-ヒドロキシ-γシクロデキストリンからなる群から選択される1種以上のシクロデキストリンを含む、請求項5または6に記載の飲料濃縮物。
【請求項8】
γ-シクロデキストリンを含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の飲料濃縮物。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか一項に記載の飲料濃縮物を含む飲料。
【請求項10】
液体組成物の総重量基準でRebDを1.5~30重量%含む液体組成物の製造方法であって、
混合溶媒の総重量基準で、
50~95重量%のグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールと、
5~50重量%のエタノールとを含む混合溶媒を調製すること、および
前記混合溶媒にRebDを溶解させて、RebDを液体組成物の総重量基準で1.5~30重量%含む液体組成物を調製すること、
を含む、方法。
【請求項11】
前記混合溶媒における前記1種以上の多価アルコールと前記エタノールとの比率が、重量比で15:1~1:1である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1ppm~700ppmのRebD、
5ppm~3,000ppmのグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコール、ならびに
2ppm~1,000ppmのエタノール
を含む、飲料。
【請求項13】
RebDを1ppm~700ppm含み、前記1種以上の多価アルコールと前記エタノールとの比率が、重量比で15:1~1:1である、請求項12に記載の飲料。
【請求項14】
α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよび2-ヒドロキシ-γシクロデキストリンからなる群から選択される1種以上のシクロデキストリンを含む、請求項12または13に記載の飲料。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか一項に記載の飲料の2~10倍濃縮物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多価アルコールとエタノールとRebDとを含む液体組成物およびその製造方法、多価アルコールとエタノールとRebDとを含む飲料濃縮物およびその製造方法等に関する。本発明はまた、多価アルコールとエタノールとRebDとを含む飲料およびその製造方法等にも関する。
【背景技術】
【0002】
キク科ステビア(Stevia rebaudiana)の葉にはジテルペノイドの一種であるステビオール(Steviol)とよばれる二次代謝産物が含まれており、そのステビオールに糖が付加したステビオール配糖体は砂糖の数百倍もの甘味を呈することからカロリーレスの甘味料として食品産業に利用されている。肥満が深刻な社会問題として国際的に発展しており、健康増進および医療費削減の観点からもカロリーレスの甘味料の要望は日々大きくなっている。現在では人工的に合成されたアミノ酸誘導体のアスパルテーム(Aspartame)やアセスルファムカリウム(Acesulfame Potassium)が人工甘味料として利用されているが、ステビオール配糖体のように天然に存在するカロリーレス甘味料はより安全で消費者理解(Public Acceptance)が得られやすいと期待される。
【0003】
ステビアに含まれる主要なステビオール配糖体として、ジテルペン骨格に糖が4つ付加したレバウジオシドA(Rebaudioside A;以下、「RebA」とも称する)や、その前駆体であるステビオール3糖配糖体のステビオシド(Stevioside)がよく知られており、これら2つがステビアの甘味の中心的な物質である。近年、RebAよりもさらに味質が優れるステビオール配糖体として、ジテルペン骨格に5つの糖が付加したレバウジオシドD(以下、「RebD」とも称する)や、ジテルペン骨格に6つの糖が付加したレバウジオシドM(以下、「RebM」とも称する)も甘味料としての利用が試みられている。
【0004】
一方で、レバウジオシドDを含むいくつかのステビオール配糖体は、水への溶解性が一般的に低いことが知られている。そのため、ステビオール配糖体の水への溶解性を高める試みも行われてきている。例えば、国際公開第2019/108609号(特許文献1)は、加熱したグリセロール、プロピレングリコールまたはそれらの混合溶媒にステビオール配糖体組成物を添加して濃縮液を得ることを開示している。特表2016-501555号(特許文献2)は、ステビア成分、シロップ成分、エタノール、水およびグリセロールを含む液体ステビア組成物とすることで高濃度のステビア成分を長期間溶液中に留めることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/108609号
【特許文献2】特表2016-501555号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような状況の下、新たなステビオール配糖体溶解性向上手法の開発が待たれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが検討したところ、特定の多価アルコールとエタノールとを含む混合溶媒を用いてRebD含有液体組成物を調製すると、RebDの溶解性が向上し、高濃度でRebDを含有する液体組成物が得られることを知得した。また、これを用いて飲料の前駆体である飲料濃縮物や飲料を調製することで、RebD含有飲料を提供することができることを知得した。本発明はこのような知見に基づくものである。
【0008】
本発明には、例えば、以下の態様の発明が含まれる。
[1]
混合溶媒の総重量基準で、
50~95重量%のグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールと、
5~50重量%のエタノールとを含む混合溶媒と、
RebDと、を含む液体組成物であって、
前記RebDの含有量が、前記液体組成物の総重量基準で1.5~30重量%である、液体組成物。
[2]
前記1種以上の多価アルコールと前記エタノールとの比率が、重量比で15:1~1:1である、[1]に記載の液体組成物。
[3]
前記1種以上の多価アルコールと前記エタノールの合計含有量が、前記混合溶媒の総重量基準で90~100重量%である、[1]または[2]に記載の液体組成物。
[4]
前記RebDと、前記1種以上の多価アルコールと、前記エタノールから実質的になる、[1]~[3]のいずれかに記載の液体組成物。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載の液体組成物と、飲料濃縮物の総重量基準で50~99重量%の水とを含む、飲料濃縮物。
[6]
RebD、グリセリン、エチレングリコール、およびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコール、エタノールならびに水を含む、飲料濃縮物であって、前記飲料濃縮物の総重量基準で、
0.01~10重量%のRebDと、
0.4~50重量%の前記1種以上の多価アルコールと、
0.4~25重量%のエタノールと、を含む飲料濃縮物。
[7]
α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよび2-ヒドロキシ-γシクロデキストリンからなる群から選択される1種以上のシクロデキストリンを含む、[5]または[6]に記載の飲料濃縮物。
[8]
γ-シクロデキストリンを含む、[5]~[7]のいずれかに記載の飲料濃縮物。
[9]
[5]~[8]のいずれかに記載の飲料濃縮物を含む飲料。
[10]
液体組成物の総重量基準でRebDを1.5~30重量%含む液体組成物の製造方法であって、
混合溶媒の総重量基準で、
50~95重量%のグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールと、
5~50重量%のエタノールとを含む混合溶媒を調製すること、および
前記混合溶媒にRebDを溶解させて、RebDを液体組成物の総重量基準で1.5~30重量%含む液体組成物を調製すること、
を含む、方法。
[11]
前記混合溶媒における前記1種以上の多価アルコールと前記エタノールとの比率が、重量比で15:1~1:1である、[10]に記載の方法。
[12]
1ppm~700ppmのRebD、
5ppm~3,000ppmのグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコール、ならびに
2ppm~1,000ppmのエタノール
を含む、飲料。
[13]
RebDを1ppm~700ppm含み、前記1種以上の多価アルコールと前記エタノールとの比率が、重量比で15:1~1:1である、[12]に記載の飲料。
[14]
α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよび2-ヒドロキシ-γシクロデキストリンからなる群から選択される1種以上のシクロデキストリンを含む、[12]または[13]に記載の飲料。
[15]
[12]~[14]のいずれかに記載の飲料の2~10倍濃縮物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、高濃度でRebDを含有する液体組成物を提供することができる。本発明の好ましい態様によれば、ハンドリング性に優れ、かつ、高濃度でRebDを含有する液体組成物を提供することができる。また、本発明の他の態様によれば、高濃度でRebDを含有する液体組成物をより短い時間で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】参考例における、エタノール水溶液を用いたRebD溶解量を示す図である。
図2】実施例Aにおける、グリセリンとエタノールの混合溶液の粘度を示す図である。
図3】実施例Cにおける、サンプル調製時から5時間までの濁度(NTU)の変化を示す図である。
図4】実施例Dにおける、溶媒4(グリセリンとエタノール体積比が70:30)を用いた異なるRebD含有量および温度における溶解時間を示す図である。
図5】実施例Eにおける、RebD含有液体組成物を水に添加した後のRebD再析出までの監察結果を示す図である。
図6】実施例Fにおける、シクロデキストリンの添加によるRebD再析出の抑制効果を示す図である。
図7】実施例Gにおける、官能評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。
【0012】
本明細書において「ppm」とは、特に明記しない限り、「質量ppm」を意味する。通常飲料の比重は1であるため、「質量ppm」は「mg/L」と同視し得る。また、本明細書において、「重量%」は「質量%」と同視し得る。本明細書において、「約」との文言は、主体が「約」に続く数値の±25%、±10%、±5%、±3%、±2%または±1%の範囲に存在することを意味する。例えば「約10」は、7.5~12.5の範囲を意味する。
【0013】
1.液体組成物
本発明は、一側面として、以下の液体組成物(以下、「本発明の液体組成物」ともいう)を提供する。
混合溶媒の総重量基準で、
50~95重量%のグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールと、
5~50重量%のエタノールとを含む混合溶媒と
RebDと、を含む液体組成物であって、
前記RebDの含有量が、前記液体組成物の総重量基準で1.5~30重量%である、液体組成物。
【0014】
本発明の一態様による液体組成物は、RebDを高濃度で含有することができ、かつ、ハンドリング性に優れる。本発明者らがグリセリンを用いてRebDを溶解させたところ、高濃度で含有できることが判明したが、グリセリンは粘度が高いためハンドリング性に乏しい。そこで本発明者らはグリセリン等の多価アルコールにエタノールを所定量混合して混合溶媒とすることでRebDの溶解度を高く維持しつつ、粘度を低下させることができるという予想外の効果を知得した。本明細書の参考例において実証されているように、エタノール水溶液ではRebDの溶解度が必ずしも向上しなかったことから、グリセリン等の多価アルコールとエタノールとを所定の割合で混合することでRebDを高濃度で溶解することができたことは予想外であった。本発明の一態様による液体組成物は、RebDを高濃度で含むことができるため、飲料濃縮液を調整する際にRebD濃度を高く維持するのに有用である。
【0015】
本発明の一態様による液体組成物は、所定量の特定の多価アルコールと所定量のエタノールとを含む混合溶媒とRebDとを含む液体組成物であって、RebDの含有量が所定の範囲内の液体組成物である。所定量の特定の多価アルコールと所定量のエタノールとを含む混合溶媒を用いることで、1.5~30重量%もの高い濃度でRebDを溶解し得る。
【0016】
本発明の一態様による液体組成物は、グリセリン(グリセロールとも称される)、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールを含む。多価アルコールは、好ましくはグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールから選択される1種以上であり、より好ましくはグリセリンおよびエチレングリコールから選択される1種以上であり、さらに好ましくはグリセリンである。
【0017】
グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールの含有量は、混合溶媒の総重量基準で、50~95重量%であり、好ましくは52~93重量%、より好ましくは60~87重量%、さらにより好ましくは62~80重量%である。このような範囲とすることで、混合溶媒の粘度を抑えつつ、RebDの溶解性を向上できるため好ましい。あるいは、上記1種以上の多価アルコールの含有量は、50~93重量%、50~90重量%、50~87重量%、50~85重量%、50~80重量%、50~75重量%、50~70重量%、50~65重量%、50~60重量%、50~55重量%、52~93重量%、52~90重量%、52~87重量%、52~85重量%、52~80重量%、52~75重量%、52~70重量%、52~65重量%、52~60重量%、52~55重量%、55~95重量%、55~93重量%、55~90重量%、55~87重量%、55~85重量%、55~80重量%、55~75重量%、55~70重量%、55~65重量%、55~60重量%、60~95重量%、60~93重量%、60~87重量%、60~85重量%、60~80重量%、60~75重量%、60~70重量%または60~65重量%であってもよい。ここで、混合溶媒の総重量とは、上記1種以上の多価アルコールと後述のエタノールおよび任意の他の溶媒との合計重量である。2種以上の多価アルコールを含有する場合、多価アルコールの含有量は含有されている多価アルコールの合計含有量である。多価アルコールの含有量は例えばHPLCによって測定することができる。あるいは、多価アルコールの添加量が判明している場合は、原料の添加量(およびその比重)から算出してもよい。
【0018】
本発明の一態様による液体組成物は、エタノールを含む。エタノールの由来は特に限定されず、発酵により得たものや化学合成によって得たものを用いることができる。
【0019】
エタノールの含有量は、混合溶媒の総重量基準で、5~50重量%であり、好ましくは7~48重量%、より好ましくは13~40重量%、さらにより好ましくは20~38重量%である。このような範囲とすることで、混合溶媒の粘度を抑えつつ、RebDの溶解性を向上できるため好ましい。あるいは、エタノールの含有量は、7~50重量%、7~48重量%、7~45重量%、7~40重量%、10~50重量%、10~48重量%、10~45重量%、10~40重量%、13~50重量%、13~48重量%、13~45重量%、13~40重量%、15~50重量%、15~48重量%、15~45重量%、15~40重量%、20~50重量%、20~48重量%、20~45重量%、20~40重量%、25~50重量%、25~48重量%、25~45重量%、25~40重量%、30~50重量%、30~48重量%、30~45重量%、30~40重量%、35~50重量%、35~48重量%、35~45重量%または35~40重量%であってもよい。。エタノールの含有量は例えばHPLCによって測定することができる。あるいは、エタノールの添加量が判明している場合は、原料の添加量(およびその比重)から算出してもよい。
【0020】
本発明の他の一態様において、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールとエタノールとの混合溶媒は、多価アルコールとエタノールとを、体積比で90:10~40:60で混合して得たものであってもよい。好ましい体積比は、80:20~50:50であり、より好ましくは75:25~55:45である。2種以上の多価アルコールを含有する場合、多価アルコールの体積は混合する多価アルコールの合計体積である。
【0021】
混合溶媒は、上記1種以上の多価アルコールとエタノール以外の溶媒を含んでいてもよい。そのような任意の他の溶媒としては、例えば、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコール以外の多価アルコール、エタノール以外の一価アルコールおよび水から選択される1種以上の溶媒が挙げられる。そのような多価アルコールとして、例えば、上記以外の二価または三価のアルコールなどが挙げられる。また、一価アルコールとして、例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2-ブタノールおよび2-メチル-2-プロパノールなどが挙げられる。水は、特に限定されず、水道水、イオン交換水、精製水または純水などを用いることができる。
【0022】
本発明の一態様における液体組成物に含まれる混合溶媒は、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールとエタノールから実質的になる。本明細書において「~から実質的になる(consisting essentially of)」とは、本発明に用いる混合溶媒が、上記1種以上の多価アルコールとエタノール以外の溶媒を少量含み得ることを意味する。例えば、混合溶媒が上記1種以上の多価アルコールとエタノールから実質的になる場合、上記1種以上の多価アルコールとエタノールの合計含有量が、混合溶媒の総重量基準で好ましくは85~100重量%、より好ましくは90~100重量%、さらに好ましくは95~100重量%であることを意味する。上記1種以上の多価アルコールとエタノールの合計含有量が、混合溶媒の総重量基準で100重量%であるとは、混合溶媒が上記1種以上の多価アルコールとエタノールから構成されており、任意の他の溶媒の含有量が不純物量(1重量%未満)であることを意味する。
【0023】
本発明の好ましい態様において、上記1種以上の多価アルコールと前記エタノールとの比率が、重量比で15:1~1:1であり、好ましくは10:1~1.5:1であり、より好ましくは7:1~2:1である。比率がこの範囲内であることでRebDをより高濃度で溶解させることができる点で好ましい。
【0024】
本発明の一態様による液体組成物に含まれるレバウジオシドD(RebD)の由来は特に限定されず、植物から単離・精製したものや、生合成によって得たものや化学合成によって得たものを用いることができる。
【0025】
本発明の一態様による液体組成物は、RebD以外のステビオール配糖体を含んでいてもよく、例えば、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE,レバウジオシドF、レバウジオシドI、レバウジオシドJ、レバウジオシドK、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドQ、レバウジオシドR、ズルコシドA、ズルコシドC、ルブソシド、ステビオール、ステビオールモノシド、ステビオールビオシドおよびステビオシドからなる群から選択される1種以上のステビオール配糖体をさらに含んでいてもよい。
【0026】
本発明の一態様において、RebDの含有量は、上記液体組成物の総重量基準で1.5~30重量%である。本明細書において、液体組成物の総重量とは、上記混合溶媒およびRebDならびに任意成分の合計重量である。任意成分としては、上記のRebD以外のステビオール配糖体や保存料などの添加量が挙げられる。RebDの含有量は、液体組成物の総重量基準で、1.5~30重量%であり、好ましくは5~20重量%、より好ましくは8~19重量%である。あるいは、1.5~25重量%、1.5~20重量%、1.5~19重量%、1.5~18重量%、1.5~16重量%、1.5~14重量%、1.5~12重量%、3~20重量%、3~19重量%、3~18重量%、3~16重量%、3~14重量%、3~12重量%、5~20重量%、5~19重量%、5~18重量%、5~16重量%、5~14重量%、5~12重量%、8~20重量%、8~19重量%、8~18重量%、8~16重量%、8~14重量%または8~12重量%であってもよい。RebDの含有量は例えばHPLCによって測定することができる。あるいは、RebDの添加量が判明している場合は、原料の添加量から算出してもよい。
【0027】
本発明の他の一態様において、RebDの含有量は、上記液体組成物の体積に対して1.5~30w/v%である。すなわち、RebDの含有量が上記液体組成物の体積に対して1.5w/v%である場合、液体組成物100ml中にRebDが1.5g含まれていることを意味する。RebDの含有量は、上記液体組成物の体積に対して1.5~30w/v%であり、好ましくは5~25w/v%、より好ましくは8~20w/v%である。あるいは、1.5~25w/v%、1.5~20w/v%、1.5~19w/v%、1.5~18w/v%、1.5~16w/v%、1.5~14w/v%、1.5~12w/v%、3~20w/v%、3~18w/v%、3~16w/v%、3~14w/v%、3~12w/v%、5~25w/v%、5~20w/v%、5~18w/v%、5~16w/v%、5~14w/v%、5~12w/v%、8~20w/v%、8~18w/v%、8~16w/v%、8~14w/v%または8~12w/v%であってもよい。RebDの含有量は例えばHPLCによって測定することができる。あるいは、RebDの添加量が判明している場合は、原料の添加量から算出してもよい。
【0028】
本発明の好ましい態様における液体組成物は、RebDと、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールと、エタノールから実質的になる。これは、本発明の好ましい態様における液体組成物が、RebDと、上記1種以上の多価アルコールとエタノール以外の成分を少量含み得ることを意味する。例えば、混合溶媒に他の任意の溶媒が含まれることや、RebD以外の任意成分を含むことが挙げられる。液体組成物が、RebDと、上記1種以上の多価アルコールとエタノールから実質的になる場合、RebDと、上記1種以上の多価アルコールとエタノールの合計含有量が、液体組成物の総重量基準で好ましくは85~100重量%、より好ましくは90~100重量%、さらに好ましくは95~100重量%であることを意味する。RebDと、上記1種以上の多価アルコールとエタノールの合計含有量が、液体組成物の総重量基準で100重量%であるとは、液体組成物がRebDと、上記1種以上の多価アルコールとエタノールから構成されており、任意の他の溶媒および・または溶質の含有量が不純物量(1重量%未満)であることを意味する。
【0029】
液体組成物の粘度は特に限定されないが、例えば、20~25℃で測定した場合に約1~約600mPa・s、好ましくは約1~約400mPa・s、より好ましくは約1~約300mPa・sである。粘度は粘度計(例えば実施例において使用しているもの)によって測定することができる。一般的に、粘度が低いほどハンドリング性に優れるため好ましい。
【0030】
2.液体組成物の製造方法
本発明は、一側面として、以下の液体組成物の製造方法(以下、「本発明の液体組成物の製造方法」ともいう)を提供する。
液体組成物の総重量基準でRebDを1.5~30重量%含む液体組成物の製造方法であって、
混合溶媒の総重量基準で、
50~95重量%のグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールと、
5~50重量%のエタノールとを含む混合溶媒を調製すること、および
前記混合溶媒にRebDを溶解させて、RebDを液体組成物の総重量基準で1.5~30重量%含む液体組成物を調製すること、
を含む、方法。
【0031】
混合溶媒は上記1種以上の多価アルコールとエタノールが含まれていればよく、所望により任意の他の溶媒を含んでいてもよい。これらの溶媒の混合順序は特に限定されない。また、これらの溶媒は一度に全量を混合してもよく、少量ずつ段階的に混合してもよい。任意の他の溶媒としては、上記液体組成物の項目で述べたものを用いることができる。
【0032】
本発明の一態様における液体組成物の製造方法に用いる混合溶媒は、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールとエタノールから実質的になる。1種以上の多価アルコールとエタノールは、「1.液体組成物」の項目で述べた含有量となるように混合することができる。
【0033】
本発明の好ましい態様において、上記1種以上の多価アルコールと前記エタノールとの比率が、重量比で15:1~1:1であり、好ましくは10:1~1.5:1であり、より好ましくは7:1~2:1である。比率がこの範囲内であることでRebDをより高濃度で溶解させることができる点で好ましい。
【0034】
本発明の他の好ましい態様において、上記1種以上の多価アルコールと前記エタノールとを、90:10~40:60、好ましくは80:20~50:50、より好ましくは75:25~55:45の体積比で混合してもよい。比率がこの範囲内であることでRebDをより高濃度で溶解させることができる点で好ましい。
【0035】
本発明の一態様の液体組成物の製造方法によれば、RebDが溶媒に溶解する速度がグリセリンの単一溶媒を用いた場合よりも速いため、高濃度でRebDを含有する液体組成物をより短い時間で製造することができる点で好ましい。これにより製造効率が向上する。
【0036】
本発明の一態様において、得られる液体組成物中のRebDの含有量は、上記液体組成物の総重量基準で1.5~30重量%である。RebDは、その含有量が液体組成物の総重量基準で、1.5~30重量%、好ましくは5~20重量%、より好ましくは8~19重量%となるように添加して溶解させることができる。あるいは、液体組成物の総重量基準で、1.5~25重量%、1.5~20重量%、1.5~19重量%、1.5~18重量%、1.5~16重量%、1.5~14重量%、1.5~12重量%、3~20重量%、3~19重量%、3~18重量%、3~16重量%、3~14重量%、3~12重量%、5~20重量%、5~19重量%、5~18重量%、5~16重量%、5~14重量%、5~12重量%、8~20重量%、8~19重量%、8~18重量%、8~16重量%、8~14重量%または8~12重量%となるように、RebDを混合溶媒に添加して溶解させてもよい。
【0037】
本発明の一態様の液体組成物の製造方法において、RebDを溶解させる温度は特に限定されないが、例えば、55℃未満、50℃未満、45℃未満、40℃未満、または35℃未満の温度で混合溶媒にRebDを溶解させることができる。本発明の他の態様の液体組成物の製造方法は、実質的に加熱を行わずに混合溶媒にRebDを溶解させる。本明細書において、「実質的に加熱を行わない」とは、ヒーターなどの加熱装置で意図的に外部から熱を供給する工程を含まないことを意味し、溶解熱や製造装置が稼働する際に発する熱や、外気温の影響による熱による加温が生じる製造方法を除外するものではない。
【0038】
本発明の製造方法において、「RebD」、「1種以上の多価アルコール」、「エタノール」、「RebD以外のステビオール配糖体」および「RebD以外の任意成分」に関しては、「1.液体組成物」の項目で述べたものを用いることができる。
【0039】
3.飲料濃縮物
本発明は、一側面として、RebD、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコール、エタノールおよび水を含む、飲料濃縮物(以下、「本発明の飲料濃縮物」ともいう)を提供する。飲料濃縮物は、水または炭酸水で希釈して飲料を調製するためのものであり、シラップ(syrup)とも称される。
【0040】
本発明の一態様による飲料濃縮物は、本発明の一態様による液体組成物と、飲料濃縮物の総重量基準で50~99重量%の水とを含む、飲料濃縮物である。
【0041】
本発明の他の一態様による飲料濃縮物は、RebD、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコール、エタノールおよび水を含む、飲料濃縮物であって、前記飲料濃縮物の総重量基準で、0.01~10重量%のRebDと、0.4~50重量%の上記1種以上の多価アルコールと、0.4~25重量%のエタノールと、を含む飲料濃縮物である。この飲料濃縮物は、本発明の一態様による液体組成物と、飲料濃縮物の総重量基準で50~99重量%の水とを混合することで得たものであってもよい。
【0042】
本発明のさらに他の一態様による飲料濃縮物は、水または炭酸水での希釈によって後述の「5.飲料」の項目に記載の飲料となるものである。通常、水または炭酸水での希釈では、飲料濃縮物中の水分量が単に増加するだけであるため、飲料濃縮物中のRebD、上記1種以上の多価アルコールおよびエタノールは維持される。したがって、例えば、水での2倍希釈によって飲料を調製した場合に後述の飲料の組成を有する飲料濃縮物は、RebD、上記1種以上の多価アルコールおよびエタノールが後述の飲料の約2倍の濃度で含まれている飲料濃縮物である。好ましい態様によれば、後述の飲料の1.5~20倍濃縮物、2~15倍濃縮物、2~10倍濃縮物または4~8倍濃縮物が提供される。
【0043】
本発明のいくつかの態様における飲料濃縮物に含まれる水の量は、飲料濃縮物の総重量基準で50~99重量%である。好ましい態様において、水の量は、飲料濃縮物の総重量基準で60~99重量%、70~97重量%、75~95重量%または80~90重量%であってもよい。水の含有量は、水の添加量が判明している場合は、原料の添加量(およびその比重)から算出することができる。
【0044】
本発明のいくつかの態様における飲料濃縮物に含まれる上記1種以上の多価アルコールの量は、飲料濃縮物の総重量基準で、0.4~50重量%である。好ましい態様において、上記1種以上の多価アルコールの量は、飲料濃縮物の総重量基準で1~40重量%、2~30重量%、5~25重量%、8~20重量%または10~15重量%であってもよい。2種以上の多価アルコールを含有する場合、多価アルコールの含有量は含有されている多価アルコールの合計含有量である。多価アルコールの含有量は例えばHPLCによって測定することができる。あるいは、多価アルコールの添加量が判明している場合は、原料の添加量(およびその比重)から算出してもよい。
【0045】
本発明のいくつかの態様における飲料濃縮物に含まれるエタノールの量は、飲料濃縮物の総重量基準で、0.4~25重量%である。好ましい態様において、エタノールの量は、飲料濃縮物の総重量基準で0.6~20重量%、0.8~15重量%、1~15重量%、1.5~10重量%または2~6重量%であってもよい。エタノールの含有量は例えばHPLCによって測定することができる。あるいは、エタノールの添加量が判明している場合は、原料の添加量(およびその比重)から算出してもよい。
【0046】
本発明のいくつかの態様における飲料濃縮物に含まれるRebDの量は、飲料濃縮物の総重量基準で、0.01~10重量%である。好ましい態様において、RebDの量は、飲料濃縮物の総重量基準で0.1~8重量%、0.2~5重量%、0.5~4重量%、1~3重量%または0.05~0.5重量%であってもよい。RebDの含有量は例えばHPLCによって測定することができる。あるいは、RebDの添加量が判明している場合は、原料の添加量から算出してもよい。
【0047】
本発明のいくつかの態様による飲料濃縮物は、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよび2-ヒドロキシ-γシクロデキストリンからなる群から選択される1種以上のシクロデキストリンを含む。本発明の好ましい態様による飲料濃縮物は、γ-シクロデキストリンを含む。上記1種以上のシクロデキストリンを含有することは、RebDの再結晶(再析出)を抑える点で好ましい。理論に拘束されることを望むものではないが、シクロデキストリンが溶液中でRebDの溶解状態を安定化しているものと推察される。
【0048】
上記1種以上のシクロデキストリンの含有量は特に限定されないが、好ましくは、飲料濃縮物に含まれるRebDの量との重量比(RebD:シクロデキストリン)が1:0.05~1:5、より好ましくは1:0.1~1:3、さらに好ましくは1:0.2~1:3、特に好ましくは1:0.4~1:1.5、1:0.5~1:1.4または1:0.6~1:1.3である。
【0049】
本発明のいくつかの態様による飲料濃縮物は、さらに他の甘味料を含んでいてもよい。そのような他の甘味料としては、ショ糖(スクロース)、果糖ぶどう糖液糖、モグロシドV、キシリトール、コーンシロップ、果糖、砂糖、ぶどう糖、麦芽糖、高果糖液糖、糖アルコール(キシリトールやエリスリトールなど)、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、水飴、羅漢果末、羅漢果抽出物、甘草末、甘草抽出物、ソーマトコッカスダニエリ種子末、ソーマトコッカスダニエリ種子抽出物などの天然甘味料や、アセスルファムカリウム、スクラロース、ネオテーム、アスパルテーム、サッカリンなどの人工甘味料などが挙げられる。中でもすっきりさ、飲みやすさ、自然な味わい、適度なコク味の付与の観点から、天然甘味料を用いることが好ましく、特に、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、スクロース、砂糖が好適に用いられる。これら甘味成分は一種類のみ用いてもよく、また複数種類を用いてもよい。
【0050】
本発明のいくつかの態様による飲料濃縮物は、任意の倍率で希釈して飲料に用いることができる。その際、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍に水や炭酸水で希釈して使用することができる。また、飲料濃縮物は、濃縮されているため保存性や輸送性の面で好ましい。本発明のいくつかの態様による液体濃縮物はRebDを高濃度で含有するため、飲料を調製する際により高倍率で希釈することができるため好ましい。飲料濃縮物は、好ましくは液体状である。
【0051】
本発明のいくつかの態様による飲料濃縮物に含まれる可溶性固形分量は15%を超え50%以下、20~50%、25~50%、30~50%、35~50%、40~50%、20~40%、25~40%、30~40%、20~35%または20~30%であってもよい。濃縮物に含まれる可溶性固形分量は、糖度計(屈折計)を用いて測定することができる。
【0052】
本発明の飲料濃縮物において、「RebD」、「1種以上の多価アルコール」、「エタノール」、「RebD以外のステビオール配糖体」および「RebD以外の任意成分」に関しては、「1.液体組成物」の項目で述べたものを用いることができる。
【0053】
4.飲料濃縮物の製造方法
本発明は、一側面として、RebD、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコール、エタノールおよび水を含む飲料濃縮物の製造方法(以下、「本発明の飲料濃縮物の製造方法」ともいう)を提供する。
【0054】
本発明の一態様における飲料濃縮物の製造方法は、上記の本発明の液体組成物に水を添加することを含む。本発明の好ましい態様によれば、本発明の液体組成物に水を添加し、前記飲料濃縮物の総重量基準で、0.01~10重量%のRebDと、0.4~50重量%のグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールと、0.4~2重量%のエタノールと、を含む飲料濃縮物を得ることを含む。本発明の他の一態様における飲料濃縮物の製造方法は、水にRebDと、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールと、エタノールとを添加し、飲料濃縮物の総重量基準で、0.01~10重量%のRebDと、0.4~50重量%のグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールと、0.4~25重量%のエタノールと、を含む飲料濃縮物を得ることを含む。
【0055】
上記工程の後または上記工程と同時に、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよび2-ヒドロキシ-γシクロデキストリンからなる群から選択される1種以上のシクロデキストリンを添加してもよい。
【0056】
さらに、上記工程の後または上記工程と同時に、さらに他の甘味料を添加してもよい。そのような他の甘味料としては、「3.飲料濃縮物」の項目に記載のものを用いることができる。
【0057】
飲料濃縮物を得た後は、直ぐに後続の工程で飲料を調製してもよく、あるいは、飲料濃縮物の状態で輸送してもよい。
【0058】
5.飲料
本発明は、一側面として、RebD、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコール、エタノールならびに水を含む飲料(以下、「本発明の飲料」ともいう)を提供する。
【0059】
本発明の一態様による飲料は、本発明の一態様による飲料濃縮物を含む飲料である。
【0060】
本発明の他の一態様による飲料は、1~700ppmのRebD、5~3,000ppmのグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコール、ならびに2~1,000ppmのエタノールを含む、飲料である。この飲料は、本発明の一態様による飲料濃縮物を水で希釈して得たものであってもよい。
【0061】
本発明の好ましい態様による飲料は、「甘味の立ち上がり」、「甘味強度」、「甘味の後引き」、「苦味強度」および「苦味の後引き」からなる群から選択される1つ以上の官能評価項目において、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコールおよびエタノールを含まないRebD含有飲料よりも砂糖に近い味質を有する。
【0062】
本発明のいくつかの態様における飲料に含まれるRebDの量は、例えば、10~50ppm、50~600ppm、50~200ppm、100~300ppmまたは200~500ppmであってもよい。
【0063】
本発明のいくつかの態様における飲料に含まれる上記1種以上の多価アルコールの量は、例えば、10~3,000ppm、50~2,800ppm、100~2,700ppm、500~2,500ppmまたは800~2,000ppmであってもよい。
【0064】
本発明のいくつかの態様における飲料に含まれるエタノールの量は、例えば、10~1,000ppm、50~900ppm、100~800ppm、150~700ppmまたは200~600ppmであってもよい。
【0065】
本発明のいくつかの態様における飲料は、さらにα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよび2-ヒドロキシ-γシクロデキストリンからなる群から選択される1種以上のシクロデキストリンを含んでいてもよい。好ましくは、γシクロデキストリンが含まれる。飲料に含まれるシクロデキストリンの量は、例えば、1~700ppm、10~50ppm、50~600ppm、50~200ppm、100~300ppmまたは200~500ppmであってもよい。
【0066】
本発明のいくつかの態様による飲料は、RebA、RebB、RebC、RebE、RebF、RebG、RebI、RebJ、RebK、RebM、RebN、RebO、RebQ、RebR、RebV、RebW、RebKA、ズルコシドA、ルブソシド、ステビオール、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ステビオシド、スクロース、果糖ぶどう糖液糖、エリスリトール、モグロシドV、コーンシロップ、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、サッカリンおよびキシリトールからなる群から選択される一種以上をさらに含む。
【0067】
本発明の飲料の例としては、特に限定されるものではないが、例えば炭酸飲料、非炭酸飲料、アルコール飲料、ノンアルコール飲料、コーヒー飲料、茶飲料、ココア飲料、栄養飲料、機能性飲料、果実・野菜系飲料、乳性飲料などが挙げられる。
【0068】
本発明のいくつかの態様による飲料は、ノンアルコール飲料であっても、アルコール飲料であってもよい。本明細書においてノンアルコール飲料とは、日本の酒税法第2条に基づきアルコール度数が1v/v%未満の飲料を意味する。本明細書においてアルコール飲料とは、アルコール度数が1v/v%以上の飲料のことであるが、ここでいうアルコールとは、特に断らない限り、エチルアルコール(エタノール)を意味する。本発明のアルコール飲料のアルコール度数は特に限定されない。本発明の一態様によるアルコール飲料は、アルコール度数が1~60v/v%である。なお本明細書において、アルコール度数は体積/体積基準の百分率(v/v%)で示されるものとする。また、飲料のアルコール度数は、日本国税局指定の方法で測定することができる。例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。あるいは、使用する酒類のアルコール度数が判明している場合には、そのアルコール度数と添加量から算出することができる。
【0069】
本発明のアルコール飲料に用いるアルコール成分としては、特に限定されない。清酒、焼酎、ビール、果実酒(ブドウを原料とした赤ワインや白ワイン、ブドウ以外の果実(パイナップル、リンゴ、ナシ、桃、ビワ、いちご、さくらんぼ、ザクロ、マルメロ、梅、スグリ)を原料とした醸造酒)、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ、リキュール(梅酒など)、廃糖蜜などを原料とした醸造酒などの飲用可能なアルコール成分であればどのような原料を用いてもよい。本発明の一態様におけるアルコール飲料は蒸留酒、醸造酒、浸漬酒またはこれらの組み合わせを含む。醸造酒としては、日本酒、ビールおよび種々の果実酒、例えば、ブドウを原料とした赤ワインや白ワイン、ブドウ以外の果実(パイナップル、リンゴ、ナシ、桃、ビワ、いちご、さくらんぼ、ザクロ、マルメロ、梅、スグリ)を原料とした醸造酒、ならびに廃糖蜜を原料とした醸造酒などが挙げられる。蒸留酒としては、焼酎、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ、ウオツカ、ジン、テキーラおよびラム酒などが挙げられる。また浸漬酒としては、梅酒、梅以外の果実(オレンジなどの柑橘類、りんごなどの仁果類、桃などの核果類、マンゴーなどの熱帯性及び亜熱帯性果実など)を原料とした浸漬酒が挙げられる。
【0070】
本発明の飲料の甘味強度は特に限定されないが、好ましくは3~15、より好ましくは5~13、さらに好ましくは7~11である。本明細書において、「甘味強度」は物質の呈する甘味の強さを意味する。本明細書において甘味強度はスクロース当量(Sucrose Equivalent Value: SEV)で表し得る。例えば、本明細書において、単位濃度Brix1当たりにスクロースの呈する甘味強度を1と定めた場合、スクロースの甘味度は1であり、RebAは約200~約450、RebDは約200~約300、RebMは約200~約300の甘味度を有する。これらの甘味度に本発明の飲料中の甘味料の濃度(w/v%(飲料の場合はw/w%と同視し得る))を乗じて得られる数値が本発明の飲料の甘味強度となる。本発明において甘味強度を計算する際に、甘味度に幅のある高甘味度甘味料は特に断りのない限りその中心値を用いる。また、本発明の飲料の甘味強度は、ステビオール配糖体のみに由来するものでなくてもよく、任意の他の甘味料を含有する場合はこれらの甘味料に由来する甘味強度との合計値である。例えば、羅漢果抽出物の甘味度は約110~約150(中心値約130)、モグロシドVの甘味度は約240~約300(中心値約270)、ソーマチンの甘味度は約2,000となる。例えば、ブドウ糖(グルコース)の甘味度は約0.6~約0.7(中心値約0.65)であり、甘味度にブドウ糖の濃度Brix値を乗じて得られる数値がブドウ糖溶液の甘味強度となる。したがって、ブドウ糖の濃度がBrix1.5の場合、ブドウ糖溶液の甘味強度は0.65×1.5=0.975となる。
【0071】
スクロースの甘味度1に対する他の甘味料の甘味度の相対比は、公知の砂糖甘味換算表等から求めることができる。例えば、スクロースの甘味度を1とすると、グルコースは約0.6~約0.7、フルクトースは約1.3~約1.7、マルトースは約0.4、フラクトオリゴ糖は約0.6、マルトオリゴ糖は約0.3、イソマルトオリゴ糖は約0.4~約0.5、ガラクトオリゴ糖は約0.7、乳糖は約0.2~0.3、プシコースは約0.7、アロースは約0.8、タガトースは約0.9、果糖ぶどう糖液糖は約0.75である。スクロースの甘味度1に対する甘味の相対比が未知の甘味料や文献によって値が異なる甘味料については、スクロースの甘味度1に対する甘味の相対比を官能試験によって定めてもよい。そのような官能試験としては、例えば、甘味強度3.0から5.0まで0.5刻となるよう砂糖を純水に添加したサンプルを調製し、その中から所定濃度の甘味料の水溶液と同等の甘味強度を持つ砂糖添加サンプルを選択する方法が挙げられる。
【0072】
本発明のいくつかの態様において、飲料の甘味強度は10以下、9以下、8以下、7以下、6以下または5以下であってもよく、例えば4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8または6~7であってもよい。本発明のさらに他の一態様において、飲料の甘味強度は10~15、11~15、12~15、13~15、14~15、10~14、10~13、10~12または10~11であってもよい。
【0073】
本発明のいくつかの態様の飲料のエネルギー(総エネルギー量)は、特に限定されないが、約5~約100kcal/100ml、約20~約80kcal/100mlまたは約25~約70kcal/100mlとなり得る。甘味物質やアルコールのエネルギーは既知であるか、含有量をHPLC等にて測定し、エネルギー換算係数を乗じて算出することや、カロリーメーター(例えばボンブカロリーメーター等)により物理的燃焼熱を測定し、これを消化吸収率や排泄熱量などで補正すること等により決定することができる。
【0074】
本発明の飲料は、加熱殺菌をされ、容器に詰められた状態の容器詰飲料として調製してもよい。容器としては、特に限定されず、例えば、PETボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶などを挙げることができる。加熱殺菌を行う場合、その種類は特に限定されず、例えばUHT殺菌及びレトルト殺菌等の通常の手法を用いて行うことができる。加熱殺菌工程の温度は特に限定されないが、例えば65~130℃、好ましくは85~120℃で、10~40分である。ただし、上記の条件と同等の殺菌価が得られれば適当な温度で数秒、例えば5~30秒での殺菌でも問題はない。
【0075】
本発明の飲料において、「RebD」、「1種以上の多価アルコール」、「エタノール」、「RebD以外のステビオール配糖体」および「RebD以外の任意成分」に関しては、「1.液体組成物」の項目で述べたものを用いることができる。
【0076】
6.飲料の製造方法
本発明は、一側面として、RebD、グリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコール、エタノールならびに水を含む飲料の製造方法(以下、「本発明の飲料の製造方法」ともいう)を提供する。
【0077】
本発明の一態様における飲料の製造方法は、上記の本発明の飲料濃縮物に水を添加することを含む。本発明の好ましい態様によれば、本発明の飲料濃縮物に水を添加し、1ppm~700ppmのRebD、5ppm~3,000ppmのグリセリン、エチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される1種以上の多価アルコール、ならびに2ppm~1,000ppmのエタノール、を含む飲料を得ることを含む。本発明の他の一態様における飲料の製造方法は、水にRebDと、上記1種以上の多価アルコールと、エタノールとを添加し、1ppm~700ppmのRebD、5ppm~3,000ppmの上記1種以上の多価アルコール、および2ppm~1,000ppmのエタノール、を含む飲料を得ることを含む。
【0078】
本発明のいくつかの態様における飲料の製造方法は、低甘味度甘味料またはRebD以外の高甘味度甘味料を配合することをさらに含む。種々の低甘味度甘味料またはRebD以外の高甘味度甘味料を配合することで、味質の調整やカロリーの調整などを行うことができる。配合可能な低甘味度甘味料またはRebD以外の高甘味度甘味料については、「5.飲料」の項目で記載したものを適宜用いることができる。
【0079】
本発明のいくつかの態様による製造方法は、容器詰工程やその後の殺菌工程を含んでいてもよい。容器詰めは、公知の任意の方法で行うことができる。容器詰めした後に加熱殺菌を行う場合、その種類は特に限定されず、例えばUHT殺菌及びレトルト殺菌等の通常の手法を用いて行うことができる。加熱殺菌工程の温度は特に限定されないが、例えば50~130℃、好ましくは50~120℃で、10~40分である。ただし、上記の条件と同等の殺菌価が得られれば適当な温度で数秒、例えば5~30秒での殺菌でも問題はない。
【0080】
[本発明の例示的な態様]
以下に本発明の例示的な態様を示すが、本発明は下記の態様に制限されるものではない。
本発明の一態様によれば、混合溶媒の総重量基準で、
60~87重量%のグリセリンと、
13~40重量%のエタノールとを含む混合溶媒と、
RebDと、を含む液体組成物であって、
前記RebDの含有量が、前記液体組成物の総重量基準で1.5~30重量%、好ましくは5~20重量%、より好ましくは8~19重量%である、液体組成物が提供される。
【0081】
本発明の一態様によれば、混合溶媒の総重量基準で、
60~87重量%のグリセリンと、
13~40重量%のエタノールとを含む混合溶媒と、
RebDと、を含む液体組成物であって、
前記RebDの含有量が、前記液体組成物の体積に対して1.5~30w/v%、好ましくは5~25w/v%、より好ましくは8~20w/v%である、液体組成物が提供される。
【0082】
本発明の一態様によれば、混合溶媒の総重量基準で、
60~87重量%のグリセリンと、
13~40重量%のエタノールとを含む混合溶媒と、
RebDと、を含む液体組成物であって、
前記RebDの含有量が、前記液体組成物の総重量基準で1.5~30重量%、好ましくは5~20重量%、より好ましくは8~19重量%であり、
前記1種以上の多価アルコールと前記エタノールの合計含有量が、前記混合溶媒の総重量基準で90~100重量%である、液体組成物が提供される。
【0083】
本発明の一態様によれば、液体組成物の総重量基準でRebDを1.5~30重量%、好ましくは5~20重量%、より好ましくは8~19重量%含む液体組成物の製造方法であって、
混合溶媒の総重量基準で、
60~87重量%のグリセリンと、
13~40重量%のエタノールとを含む混合溶媒を調製すること、および
前記混合溶媒にRebDを溶解させて、RebDを液体組成物の総重量基準で、1.5~30重量%、好ましくは5~20重量%、より好ましくは8~19重量%含む液体組成物を調製すること、
を含む、方法が提供される。
【0084】
本発明の一態様によれば、液体組成物の総重量基準でRebDを5~20重量%含む液体組成物の製造方法であって、
混合溶媒の総重量基準で、
60~87重量%のグリセリンと、
13~40重量%のエタノールとを含む混合溶媒を調製すること、および
前記混合溶媒にRebDを溶解させて、RebDを液体組成物の総重量基準で、5~20重量%含む液体組成物を調製すること、
を含み、
55℃未満、50℃未満、45℃未満、40℃未満、または35℃未満の温度で混合溶媒にRebDを溶解させる、方法が提供される。
【0085】
本発明の一態様によれば、RebD、グリセリン、エタノールおよび水を含む、飲料濃縮物であって、前記飲料濃縮物の総重量基準で、
0.2~5重量%のRebDと、
5~25重量%のグリセリンと、
0.4~25重量%、好ましくは0.6~20重量%、より好ましくは1~15重量%のエタノールと、を含む飲料濃縮物が提供される。
【0086】
本発明の一態様によれば、RebD、グリセリン、エタノール、γ-シクロデキストリンおよび水を含む、飲料濃縮物であって、前記飲料濃縮物の総重量基準で、
0.2~5重量%のRebDと、
5~25重量%のグリセリンと、
0.4~25重量%、好ましくは0.6~20重量%、より好ましくは1~15重量%のエタノールと、を含み、
飲料濃縮物に含まれるRebDの量との重量比(RebD:γ-シクロデキストリン)が1:0.05~1:5である、飲料濃縮物が提供される。
【0087】
本発明の一態様によれば、
50~600ppmのRebD、
100~2,700ppmのグリセリン、および
100~800ppmのエタノール
を含む、飲料が提供される。
【0088】
本発明の一態様によれば、
50~600ppmのRebD、
100~2,700ppmのグリセリン、
100~800ppmのエタノール、および
50~600ppmのγ-シクロデキストリン
を含む、飲料が提供される。
【実施例0089】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0090】
[参考例]エタノール水溶液中のRebD溶解度
参考としてエタノール水溶液中にどの程度RebDが溶解するかを評価した。まず、エタノール含有量が体積%で50%、80%および90%となるようにエタノール(純度:99%)と水とを混合して、エタノール水溶液を調製した。また、対照用にエタノールを含まない水(エタノール含有量:0%)を用意した。10℃、20℃、30℃および40℃の各溶媒にRebD(純度95%)を白濁するまで撹拌しながら添加し、溶解開始24時間後に、0.45μmメンブレンフィルターにて透過液を得て、透過液中に含まれるRebDをLCMSにて定量した。結果を図1に示す。
【0091】
[実施例A]種々のグリセリン・エタノール比率
グリセリン(純度99%、ナカライテスク株式会社)とエタノール(純度99%、ナカライテスク株式会社)を表1に記載の種々の体積比で混合して混合溶媒を得た。その際、マグネティックスターラー(AS ONE社製、HSH-6D)を使用し、450rpmにて均一になるまで攪拌を加熱も冷却もせずに環境温度(atmospheric temperature)で実施し、混合溶媒とした。

【表1】
【0092】
また、別途、エタノール(純度99 %、ナカライテスク株式会社)とグリセリン(純度99 %、ナカライテスク株式会社)を表2の所定の比率になるように計量し、ガラスビーカーに添加した。マグネティックスターラー(AS ONE社製、HSH-6D)を使用し、450rpmにて均一になるまで攪拌を加熱も冷却もせずに環境温度で実施し、混合溶媒とした。比重は、各溶媒を混合した後に100mlのメスシリンダーに入れ、その際の重量を測定することで算出した。比重測定は室温(24℃)で実施した。下表のA~Fが上記表の溶媒2~7に対応する。
【表2】
【0093】
次に、表3に示すようにRebD(純度95%)を1g計量し、9mlの各混合溶媒が入ったガラスビーカーに添加し、加熱も冷却もせずに環境温度で撹拌を実施した。撹拌はマグネティックスターラー(AS ONE社製、HSH-6D)を使用して、450rpmで実施した。重量基準のRebD濃度は表2に記載の比重を用いて求めた。
【表3】
【0094】
RebDを各溶媒に添加してから4時間後に外観を評価したところ、例A3~A6のサンプルについてはRebDが全て溶解し、透明な溶液となっていた。例A1、A2およびA7のサンプルはRebDが若干溶け残り、薄い白濁色を示していた。例A8~A10のサンプルではRebDが大きく溶け残り、濃い白濁色を示していた。また、得られた各試料の粘度を粘度計(東機産業株式会社製、TVB―10)を使用し、20~25℃の範囲内で測定した。結果を図2に示す。溶媒1(グリセリンのみ)を用いた試料では、粘度が830mPa・sにも達し、ハンドリングが容易でないことが理解できる。一方で、エタノールと混合することでその粘度が大幅に低下し、ハンドリング性が大幅に向上することが分かる。
【0095】
[実施例B]グリセリン・エタノール混合溶媒における溶解時間
実施例Aと同様に、グリセリンをエタノールを表4に記載の種々の体積比で混合して混合溶媒を得た。
【表4】
【0096】
次に、表5に示すように各溶媒にを9ml秤量し、1gのRebDと共にフラスコに投入した。重量基準のRebD濃度は表2に記載の比重を用いて求めた。フラスコには撹拌子を入れ、撹拌させながら溶解させた。撹拌はマグネティックスターラー(AS ONE社製、HSH-6D)を使用して、450rpmで実施した。
【表5】
【0097】
撹拌開始から完全に溶解するまでの時間を測定し、表6にまとめた。
【表6】
【0098】
[実施例C]異なるRebD含有量における溶解時間
実施例Aの溶媒4と同様に、グリセリンとエタノールを70:30の体積比で混合して混合溶媒を得た。この混合溶媒を本実施例に用いた。RebDの重量基準の含有量は、溶媒の比重(混合溶媒:1.128、グリセリン:1.26)を用いて算出した。
【0099】
【表7】
【0100】
サンプル調製時から5時間までの濁度(NTU)の変化をHACH社製の卓上用濁度計2100ANを用いて測定した。ガラスバイアル中において、各溶媒を40℃の湯浴で保温しながら、溶解は撹拌を行わずに行った。結果を図3に示す。
【0101】
[実施例D]異なるRebD含有量および温度における溶解時間
実施例Cと同様に、溶媒4を用いて異なるRebD含有量および温度における溶解時間を評価した。使用したサンプルは下表8のとおりである。RebDの重量基準の含有量は、溶媒の比重(混合溶媒:1.128)を用いて算出した。
【表8】
【0102】
実施例Aの溶媒4と同様に、グリセリンとエタノールを70:30の体積比で混合して混合溶媒とし、RebD(純度95%)が所定の比率となるように混合溶媒をガラスビーカーに添加し、24.5℃または40℃条件で均一に分散するまで攪拌を実施した。撹拌はマグネティックスターラー(AS ONE社製、HSH-6D)を使用して、450rpmで実施した。RebDが分散したことを目視にて確認し、溶解完了時間とした。例D1~D5の試料は24.5℃で撹拌し、例D6~9の試料は40℃で撹拌した。実施例Cとは異なり、本実施例では撹拌を行って溶解までにかかる時間を評価した。結果を図4に示す。24.5℃ではRebD含有量が15w/v%以上となると溶解まで180分以上かかり、40℃ではRebD含有量が20w/v%以上となると溶解まで150分以上かかった。
【0103】
[実施例E]再析出抑制の検討
実施例Bで得られた例B1~B6の液体組成物をRebDの初期濃度が10,000ppmとなるように水に添加した。添加直後から水中に溶解しているRebD量をモニタリングし、120分後まで観察した。結果を図5に示す。図中の試料の数値は資料に用いた溶媒のグリセリンの体積比を意味し、「100」の試料が例B1の試料である。この結果から、RebD濃度が120分後には約1,500ppmまで低下した。また、試験開始後5~10分程度でRebDの再析出が目視で確認できた。
【0104】
[実施例F]シクロデキストリンの効果の検討
実施例Cの例C2と同様に調整した液体組成物を7ml計量した。γシクロデキストリンを表9の通り添加し、50℃にて攪拌溶解を実施した。そこから5ml採取し、RebDの終濃度が約10,000ppmとなるように計量した純水に添加した。経時的にサンプリングを実施し、0.45μmメンブレンフィルターで透過液を得て、透過液中に溶解しているRebDをLCMSにて定量した。
【表9】
添加後の再析出の有無を評価した。結果を図6に示す。シクロデキストリンの添加によりRebDの再析出が抑制されていることが観察された。例F1~F4の中では、RebD1gに対するシクロデキストリンの量が0.7gであるF2のサンプルがRebDの再析出を最も効果的に抑制していた。
【0105】
[実施例G]官能評価
<サンプルの調製>
実施例Cの例C3の液体組成物(グリセリンとエタノールを70:30の体積比で混合したもの(比重:1.128))10gを計量し、γシクロデキストリン(ナカライテスク株式会社)を1.5g添加した。試料の甘さを10スクロース当量(Sucrose Equivalent Value: SEV)に調整するため、RebDのスクロースに対する甘味度を200として、上記サンプルを0.866g計量(100mgのRebD含有)し、純水を加えて溶液量を200mlに調整した。得られた飲料サンプルの組成を表10に示す。飲料サンプル比較対象として、RebD100mgを純水で溶液量を200mlに調整したものをRebD単体溶液とし、スクロース(ショ糖、三菱ケミカルフーズ株式会社製)20gを純水で溶液量を200mlに調整したものを砂糖溶液として準備した。
【表10】
【0106】
<官能評価>
得られた飲料サンプルの味質を官能により比較評価した。官能評価項目となる味質としては「甘味の立ち上がり」、「甘味強度」、「甘味の後引き」、「苦味強度」、「苦味の後引き」および「総合評価」についてであり、官能に関してよく訓練された者(4名)がパネリストとなって検証した。具体的には、砂糖(sugar)のみを含む試料(基準試料、甘味強度:10、スクロース含有量:10g/100ml)のスコアを0点とし、-3.0~+3.0の範囲で0.5点刻みでこの基準試料との味質の違いを数値化した。なお、試験を行う前に、各パネリスト間で目的やスコア付け手法について十分にすり合わせを行った。結果を表11と図7に示す。得られた結果は4名のパネリストの評点の平均点である。
【表11】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7