(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103058
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】ダイナミックマップの更新方法および更新装置
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20240725BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240725BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007191
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生富 直孝
(72)【発明者】
【氏名】南部 世紀夫
(72)【発明者】
【氏名】米山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼瀬 大樹
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼野 百恵
【テーマコード(参考)】
2C032
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C032HB11
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】地図更新作業の自動化を実現することができるダイナミックマップの更新方法および更新装置を提供する。
【解決手段】ダイナミックマップの対象エリアに設置したセンシング機器12により前記対象エリアを所定の時間間隔でセンシングし、そのセンシングデータを前記対象エリアの空間データとして取得するセンシングデータ取得手段20と、更新前の前記対象エリアの空間データであるマスターデータと、取得した前記センシングデータを比較して差分を検出する差分検出手段22と、検出した前記差分に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新する更新手段24とを有するようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナミックマップを更新する方法であって、
前記ダイナミックマップの対象エリアに設置したセンシング機器により前記対象エリアを所定の時間間隔でセンシングし、そのセンシングデータを前記対象エリアの空間データとして取得するステップと、
更新前の前記対象エリアの空間データであるマスターデータと、取得した前記センシングデータを比較して差分を検出するステップと、
検出した前記差分に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新するステップとを有することを特徴とするダイナミックマップの更新方法。
【請求項2】
検出した前記差分をスコアとして算出し、算出したスコアに基づいて更新の優先順位を設定するステップを有し、設定した優先順位に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新することを特徴とする請求項1に記載のダイナミックマップの更新方法。
【請求項3】
前記差分を検出する際に、歩行者および走行車両を含む移動体をノイズとして除去し、道路環境の変状のみを前記差分として検出することを特徴とする請求項1または2に記載のダイナミックマップの更新方法。
【請求項4】
ダイナミックマップを更新する装置であって、
前記ダイナミックマップの対象エリアに設置したセンシング機器により前記対象エリアを所定の時間間隔でセンシングし、そのセンシングデータを前記対象エリアの空間データとして取得するセンシングデータ取得手段と、
更新前の前記対象エリアの空間データであるマスターデータと、取得した前記センシングデータを比較して差分を検出する差分検出手段と、
検出した前記差分に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新する更新手段とを有することを特徴とするダイナミックマップの更新装置。
【請求項5】
検出した前記差分をスコアとして算出し、算出したスコアに基づいて更新の優先順位を設定する手段を有し、前記更新手段は、設定した優先順位に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新することを特徴とする請求項4に記載のダイナミックマップの更新装置。
【請求項6】
前記差分検出手段は、前記差分を検出する際に、歩行者および走行車両を含む移動体をノイズとして除去し、道路環境の変状のみを前記差分として検出することを特徴とする請求項4または5に記載のダイナミックマップの更新装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックマップの更新方法および更新装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車両の関連技術として、走行に必須となるダイナミックマップに関する研究開発が進められている(例えば、特許文献1を参照)。従来のダイナミックマップの更新作業では、手作業で記録媒体に保存されている地図を差し替える手法が採用されている。また、実際の空間は道路工事や建物の更新によって日々変化するものであり、実空間に変化がある度に地図の計測作業、更新作業を実施することは、作業要員の確保や運用コストの面で難しい。そのため、年に1回等の頻度で更新するのが一般的であり、実空間を地図に反映させるのに遅れが発生する。
【0003】
一方、従来の地図の更新方法として、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS:Social Networking Service)による更新リクエスト量に応じて更新の要求が高いエリアを中心に更新する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/188671号
【特許文献2】特開2019-20889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の従来の特許文献2の更新方法では、ダイナミックマップ更新のニーズが集まらないエリアの地図更新が遅延してしまうおそれがあった。このような事態を招かないように、更新のニーズに関わらず、地図更新作業の自動化を実現することができる技術が求められていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、地図更新作業の自動化を実現することができるダイナミックマップの更新方法および更新装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るダイナミックマップの更新方法は、ダイナミックマップを更新する方法であって、前記ダイナミックマップの対象エリアに設置したセンシング機器により前記対象エリアを所定の時間間隔でセンシングし、そのセンシングデータを前記対象エリアの空間データとして取得するステップと、更新前の前記対象エリアの空間データであるマスターデータと、取得した前記センシングデータを比較して差分を検出するステップと、検出した前記差分に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新するステップとを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新方法は、上述した発明において、検出した前記差分をスコアとして算出し、算出したスコアに基づいて更新の優先順位を設定するステップを有し、設定した優先順位に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新方法は、上述した発明において、前記差分を検出する際に、歩行者および走行車両を含む移動体をノイズとして除去し、道路環境の変状のみを前記差分として検出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るダイナミックマップの更新装置は、ダイナミックマップを更新する装置であって、前記ダイナミックマップの対象エリアに設置したセンシング機器により前記対象エリアを所定の時間間隔でセンシングし、そのセンシングデータを前記対象エリアの空間データとして取得するセンシングデータ取得手段と、更新前の前記対象エリアの空間データであるマスターデータと、取得した前記センシングデータを比較して差分を検出する差分検出手段と、検出した前記差分に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新する更新手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新装置は、上述した発明において、検出した前記差分をスコアとして算出し、算出したスコアに基づいて更新の優先順位を設定する手段を有し、前記更新手段は、設定した優先順位に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新装置は、上述した発明において、前記差分検出手段は、前記差分を検出する際に、歩行者および走行車両を含む移動体をノイズとして除去し、道路環境の変状のみを前記差分として検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るダイナミックマップの更新方法によれば、ダイナミックマップを更新する方法であって、前記ダイナミックマップの対象エリアに設置したセンシング機器により前記対象エリアを所定の時間間隔でセンシングし、そのセンシングデータを前記対象エリアの空間データとして取得するステップと、更新前の前記対象エリアの空間データであるマスターデータと、取得した前記センシングデータを比較して差分を検出するステップと、検出した前記差分に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新するステップとを有するので、地図更新作業の自動化を実現することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新方法によれば、検出した前記差分をスコアとして算出し、算出したスコアに基づいて更新の優先順位を設定するステップを有し、設定した優先順位に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新するので、優先順位の高い順から地図更新を優先的に行うことができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新方法によれば、前記差分を検出する際に、歩行者および走行車両を含む移動体をノイズとして除去し、道路環境の変状のみを前記差分として検出するので、更新処理の負荷を軽減することができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係るダイナミックマップの更新装置によれば、ダイナミックマップを更新する装置であって、前記ダイナミックマップの対象エリアに設置したセンシング機器により前記対象エリアを所定の時間間隔でセンシングし、そのセンシングデータを前記対象エリアの空間データとして取得するセンシングデータ取得手段と、更新前の前記対象エリアの空間データであるマスターデータと、取得した前記センシングデータを比較して差分を検出する差分検出手段と、検出した前記差分に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新する更新手段とを有するので、地図更新作業の自動化を実現することができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新装置によれば、検出した前記差分をスコアとして算出し、算出したスコアに基づいて更新の優先順位を設定する手段を有し、前記更新手段は、設定した優先順位に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新するので、優先順位の高い順から地図更新を優先的に行うことができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新装置によれば、前記差分検出手段は、前記差分を検出する際に、歩行者および走行車両を含む移動体をノイズとして除去し、道路環境の変状のみを前記差分として検出するので、更新処理の負荷を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明に係るダイナミックマップの更新装置の実施の形態を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るダイナミックマップの更新方法の実施の形態を示す概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係るダイナミックマップの更新方法および更新装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るダイナミックマップの更新装置10は、ダイナミックマップの対象エリアに設置された複数のセンシング機器12と、遠隔地の管理室などに設置されたサーバ14とを有する。センシング機器12とサーバ14は、図示しないネットワーク通信網によって接続している。
【0022】
センシング機器12は、対象エリアを所定の時間間隔(例えば、数マイクロ秒の時間間隔や24時間間隔など)でセンシングする機器であり、カメラ16と、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサ18によって構成される。カメラ16は、設置場所の周辺を撮像して画像データを取得する。LiDARセンサ18は、レーザー光を使用して、カメラ16によって撮像される画像に対応する点群データを取得する。取得した画像データおよび点群データは、センシングデータとしてサーバ14側に送信されるようになっている。
【0023】
サーバ14は、データの管理および処理を行うコンピュータであり、センシングデータ取得手段20と、差分検出手段22と、更新手段24と、データストレージ26(記憶手段)を有するとともに、図示しない通信手段、入力手段、出力手段などを有している。
【0024】
センシングデータ取得手段20は、センシング機器12から送信されるセンシングデータを対象エリアの空間データとして取得するものである。取得したセンシングデータは、データストレージ26に記憶される。センシングデータの取得は、所定の時間間隔(例えば、24時間間隔)で行ってもよい。
【0025】
差分検出手段22は、更新前の対象エリアの空間データであるマスターデータと、センシングデータを比較して差分を検出するものである。具体的には、データストレージ26に保存されているマスターデータと、センシングデータを比較して差分の有無を検出する。差分を検出した場合、編集用のブランチデータ(マスターデータのコピー)を作成する一方で、変更箇所を特定する。変更箇所は、マスターデータとセンシングデータ間の差分を抽出することにより特定する。差分の抽出方法としては、画像データについては、例えば周知の画像認識による特徴量の変化の検出方法を用いることができる。また、点群データについては、例えば周知のデータの重ね合わせによる差分の検出方法を用いることができる。
【0026】
更新手段24は、差分検出手段22で検出した差分に基づいて、マスターデータにおける地物を削除または追加して、マスターデータを更新するものである。具体的には、差分検出手段22で特定した変更箇所について、除却地物、新規地物をそれぞれ判別する。除却地物は、マスターデータには存在するが、センシングデータには存在しない地物であり、新規地物は、マスターデータには存在しないが、センシングデータに存在する地物である。続いて、判別の結果に応じて、除却地物を削除、または、新規地物を追加することによりブランチデータを更新する。更新したブランチデータをマスターデータとしてデータストレージ26に記憶し、蓄積する。
【0027】
データストレージ26は、各種データを記憶し、蓄積するものである。記憶されるデータは、更新の元となるダイナミックマップの地図を示すマスターデータ、更新前のマスターデータをアーカイブ化したデータ、センシング機器12から送信されるセンシングデータなどである。
【0028】
次に、上記の更新装置10を用いた地図の自動メンテナンス方法(更新方法)の処理フローについて説明する。
図2に示すように、まず最初に、ダイナミックマップの対象エリアをセンシング機器12により自動でセンシングして、取得したセンシングデータを現状の空間データとしてサーバ14のデータストレージ26に蓄積する(ステップS1、S2)。本センシングは、日々の点検等で安全管理などを主目的として撮像される画像データを転用してもよいが、即時更新のために、原則として毎日更新されるデータを使用することが望ましい。
【0029】
次に、蓄積されたセンシングデータと、データストレージ26に保存されている元の地図(マスターデータ)を差分検出手段22で比較して差分の有無を確認する(ステップS3)。差分が確認されない場合は(ステップS3でNo)、処理を終了する。一方、差分が確認された場合は(ステップS3でYes)、編集用のブランチデータ(マスターデータのコピー)を作成して、変更箇所を特定する(ステップS4、S5)。変更箇所は、マスターデータとセンシングデータ間の差分を抽出することにより特定する。
【0030】
次に、変更箇所について、除却地物(マスターデータには存在するが、センシングデータには存在しない地物)、新規地物(マスターデータには存在しないがセンシングデータに存在する地物)を更新手段24でそれぞれ判別し(ステップS6、S8)、その結果に応じて、ブランチデータの更新(地物の削除、追加)を行う(ステップS7、S9)。
【0031】
具体的には、ステップS6において、マスターデータに存在し、センシングデータで消えたものがあるか否かを判定し、消えたものがある場合には(ステップS6でYes)、地物を削除してブランチデータを更新する(ステップS7)。一方、消えたものがない場合には(ステップS6でNo)、ブランチデータを更新することなく、ステップS8に進む。また、ステップS8において、マスターデータにはなく、センシングデータで増えたものがあるか否かを判定し、増えたものがある場合には(ステップS8でYes)、地物を追加してブランチデータを更新する(ステップS9)。一方、増えたものがない場合には(ステップS8でNo)、ブランチデータを更新することなく、ステップS10に進む。
【0032】
最後に、変更があったエリアについてシミュレーション走行を実施し、この結果に基づいて、現地での実車走行が可能か否かを判定する(ステップS10)。シミュレーション走行が完了し、現地での実車走行が可能と判定される場合には(ステップS10でYes)、地図更新完了通知を地図の管理担当者に送信するとともに(ステップS11)、マスターデータをアーカイブ化してデータストレージ26に保存し(ステップS12)、更新後のブランチデータをマスターデータに更新する(ステップS13)。一方、シミュレーション走行を実行できず、現地での実車走行が可能ではないと判定される場合には(ステップS10でNo)、エラー通知を地図の管理担当者に送信する(ステップS14)。
【0033】
本実施の形態によれば、地図メンテナンス作業(地図更新作業)の自動化を実現することができる。自動メンテナンスの例外処理(エラー通知を受信した場合)のみ管理担当者が対応すればよいので、地図メンテナンス作業の自動化による省人化、省力化を図ることができる。また、対象エリアについて、常に最新の空間データのダイナミックマップを提供することができる。自動メンテナンスにアーカイブ機能、ブランチ機能を付加することで、地図データのバージョン管理が容易となる。さらに、従来手法では対象エリアでの専用車両による計測作業が必須であるのに対し、本実施の形態では、このような作業が不要となるため、地図計測作業コストを削減することができる。
【0034】
なお、上記の実施の形態において、更新の優先度付けをしてもよい。より具体的には、検出した差分をスコアとして算出し、算出したスコアに基づいて更新の優先順位を設定し、設定した優先順位に基づいて、マスターデータにおける地物を削除または追加して、ブランチデータを更新してもよい。このようにすれば、優先順位の高い順から地図更新を優先的に行うことができる。例えば、YOLOなどの画像認識技術を用いて画像の特徴量を抽出し、マスターデータとセンシングデータの2つの画像の特徴量の差分をスコアリングしてスコアの高い順から地図更新を優先的に行うようにしてもよい。また、マスターデータとセンシングデータの点群データの差分についても同様に変化量をスコアリングしてスコアの高い順から地図更新を優先的に行うようにしてもよい。車線の変更や災害(土砂崩れ)等、自動運転走行にとってクリティカルな環境の変化は、前述のスコアに寄らず最優先で更新を行うことが望ましい。
【0035】
また、差分の判断基準については、基本的に毎日朝夕2回の計測を実施し、朝→夕、夕→朝の差分を確認してもよい。計測の頻度を上げることで理論上リアルタイムな差分の抽出も可能である。画像データや点群データの差分を検出する際に、歩行者や走行車両といった、常に変化し続ける移動体などの物体をノイズとして除去し、道路環境の変状のみを差分抽出の対象としてもよい。このようにすれば、更新処理の負荷を軽減することができる。
【0036】
以上説明したように、本発明に係るダイナミックマップの更新方法によれば、ダイナミックマップを更新する方法であって、前記ダイナミックマップの対象エリアに設置したセンシング機器により前記対象エリアを所定の時間間隔でセンシングし、そのセンシングデータを前記対象エリアの空間データとして取得するステップと、更新前の前記対象エリアの空間データであるマスターデータと、取得した前記センシングデータを比較して差分を検出するステップと、検出した前記差分に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新するステップとを有するので、地図更新作業の自動化を実現することができる。
【0037】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新方法によれば、検出した前記差分をスコアとして算出し、算出したスコアに基づいて更新の優先順位を設定するステップを有し、設定した優先順位に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新するので、優先順位の高い順から地図更新を優先的に行うことができる。
【0038】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新方法によれば、前記差分を検出する際に、歩行者および走行車両を含む移動体をノイズとして除去し、道路環境の変状のみを前記差分として検出するので、更新処理の負荷を軽減することができる。
【0039】
また、本発明に係るダイナミックマップの更新装置によれば、ダイナミックマップを更新する装置であって、前記ダイナミックマップの対象エリアに設置したセンシング機器により前記対象エリアを所定の時間間隔でセンシングし、そのセンシングデータを前記対象エリアの空間データとして取得するセンシングデータ取得手段と、更新前の前記対象エリアの空間データであるマスターデータと、取得した前記センシングデータを比較して差分を検出する差分検出手段と、検出した前記差分に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新する更新手段とを有するので、地図更新作業の自動化を実現することができる。
【0040】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新装置によれば、検出した前記差分をスコアとして算出し、算出したスコアに基づいて更新の優先順位を設定する手段を有し、前記更新手段は、設定した優先順位に基づいて、前記マスターデータにおける地物を削除または追加して、前記マスターデータを更新するので、優先順位の高い順から地図更新を優先的に行うことができる。
【0041】
また、本発明に係る他のダイナミックマップの更新装置によれば、前記差分検出手段は、前記差分を検出する際に、歩行者および走行車両を含む移動体をノイズとして除去し、道路環境の変状のみを前記差分として検出するので、更新処理の負荷を軽減することができる。
【0042】
なお、2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施の形態に係るダイナミックマップの更新方法および更新装置は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「11.住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明に係るダイナミックマップの更新方法および更新装置は、ダイナミックマップの更新作業に有用であり、特に、地図更新作業の自動化を実現するのに適している。
【符号の説明】
【0044】
10 ダイナミックマップの更新装置
12 センシング機器
14 サーバ
16 カメラ
18 LiDARセンサ
20 センシングデータ取得手段
22 差分検出手段
24 更新手段
26 データストレージ