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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010306
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】簡易的な圧力鍋を構成するフタ
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240117BHJP
   A47J 36/06 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A47J27/00 101D
A47J36/06
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111569
(22)【出願日】2022-07-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000160810
【氏名又は名称】久野 浩光
(72)【発明者】
【氏名】久野 浩光
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA01
4B055BA13
4B055CA21
4B055CB03
4B055FA09
4B055FB54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】無害かつ耐熱性があり、使い勝手のよい、調理用鍋の蓋を提供すること。
【解決手段】大小2枚の円板を中心揃えて貼り合せたような形状の木材板を形成し、フタ1とする。フタ薄肉部は釜口外径以上の大きさであり、フタ厚肉部は釜口内径より小さい寸法とする。釜4にフタ1を被せ、フタ1の上に一般鍋5を載せ、一般鍋5に水を入れた状態で使用する。また、板材の下面にはフタ1と釜4とがズレるのを留める凹凸部を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理鍋用の蓋、フタにおいて、無害かつ耐熱性ある素材で板材を形成し、この板材を調理鍋の口径より広い面積に切り出し、この板材の上面はおよそ平坦に形成し、この板材の下面形状は調理鍋の口部分と気密的に閉じ合う形状とし、この板材の下面にはフタと鍋口がズレるのを留める凹凸部を設けることを特徴とするフタ。
【請求項2】
調理鍋の口径より広い面積の木材板の上面をおよそ平坦に形成し、この木材板の下面形状は調理鍋の口部分と気密的に閉じ合う形状とし、この板材の下面にはフタと鍋口がズレるのを留める凹凸部を設けることを特徴とするフタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は圧力鍋用の蓋、フタの発明である。圧力鍋といっても簡易的な圧力鍋であり、微弱に加圧できるだけの物である。とはいえ微弱ながらも加圧により、調理温が100℃前後となり、美味しく炊飯できるようになる。圧力差は微弱であっても、炊上りの味は大きな違いとなって表れる。
本願が主に想定している利用形態は、電気炊飯器の釜をガスコンロ炊飯に転用して用いるフタの発明である。ただし用いる鍋釜は限定されるわけではない。
【背景技術】
【0002】
ご飯炊き、炊飯は、普通の鍋でも行える。だが圧力のかかる鍋で炊飯するほうが美味しく炊ける。悪い例で説明すれば、富士山頂で炊飯する場合、気圧が低いので沸騰させても60℃が限界温度となる。そんな低温で炊くと、固い芯が残った不味いご飯になってしまう。米粒はあんな小さいのに、しっかり100℃近くで茹で続けないとまともに炊けない。
ところで昨今の日本は、電力需給が逼迫している。節電方法のひとつとして、電気を使わずに炊飯する方法が勧められている。そのひとつが土鍋炊飯である。ただし昔は大家族用の大きな羽釜と厚く重いフタによって、加圧炊飯できていた。しかしながら昨今は核家族や単身者世帯が多く、それら世帯では炊飯量が少ない。それゆえ小さな土鍋と軽いフタでの炊飯となり、加圧されず、その結果として美味しいご飯が炊けなかった。
フタに加圧作用をもたせるには、フタに重石を載せれば実現できる。そのような先願として特許文献1、特許文献2があった。特許文献1はドーナツ形の重石で、フタの摘み部分がドーナツ穴に嵌る構成である。特許文献2は砂利詰め小座布団的な重石である。
しかしながら特許文献1、特許文献2とも、蒸気でフタが浮いてズレる危険が高かった。炊飯中は、白濁粘性の泡が吹き出し、釜とフタは滑り易くなる。そして蒸気圧でフタが浮くので、ズレ落ち易い。また製造販売者としても使用者としても、重石は負担がかかる物品であった。重石は重いし嵩張るし、落とせば足を怪我する危険物となる。重石は、運搬、流通にも苦労するし、保管収納でも場所をとる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実全昭58-032739号、持手と係合するドーナツ形の重石
【特許文献2】特開2021-053329号、25cm角の砂利詰め袋の重石
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は3つある。
課題1、加圧調理可能なフタを形成する事。
課題2、フタが鍋からズレ落ちるのを防ぐ事。
課題3、フタを軽薄短小化する事。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題1を解決するには、フタを出来るだけ重くして、鍋内蒸気を閉じ込める必要がある。ところが課題3では、フタの軽量化という真逆な事を求められ、両立困難である。そこで「身近な代用品利用策」を着想した。それはフタの上に、重石代りとして、一般鍋を載せる構成である。この一般鍋に1リットルの水を入れれば、一般鍋が1kgの重石の代用品となる。この方策は一見、貧乏臭く、陳腐に感じる。だが特許文献1のようなドーナツ形の重石を使う事と比べれば、代用品策があらゆる面で優れている事が解る。代用品策ならば、フタ部分だけ製造すればよいので楽である。そして流通販売も楽、使用者の使い勝手はさほど負担にならない、そして収納場所も嵩張らずに済む、のである。課題2に対しては、フタ裏面にズレ留め凹凸部を設ける事で解決する。
あらためて本願の課題解決手段を説明すると、無害かつ耐熱性ある素材の板材を形成し、この板材を調理鍋の口径より広い面積に切り出し、この板材の上面をおよそ平坦に形成し、この板材の下面は調理鍋の口部分と気密的に閉じ合う形状とし、さらにこの板材の下面にフタと鍋口がズレるのを留める凹凸部を設けることを解決手段とする。
【0006】
ここでいう調理鍋とは、炊飯用釜、煮物用鍋などである。主に想定しているのは、電気炊飯器の釜である。この釜を転用して、ガスコンロ炊飯する事を主目的としている。ただし釜鍋は限定はされず、いろんな鍋を採用できるとする。ほとんどの場合は、円形鍋であるが、角型鍋も採用し得る。角型鍋に適用させる場合は、フタ形状も四角形とする。
ここでいう板材とは、主に木材であるが、陶磁器、ガラス、金属、ホウロウびき金属、石材でも可能である。耐熱性があれば合成樹脂や他の新素材も採用し得る。
ここでいう「およそ平坦」とは、水平に置いた板材上に一般鍋を載せる場合に、一般鍋が大きく傾いたり、グラついたりしない程度の平坦形状であるという意味である。
ここでいう「気密的」とは、鍋を板材で閉じ、板材に重石を載せ、鍋が沸騰するまで蒸気を漏らさぬ程度の気密性である。深海や宇宙など極端な気圧での気密性ではない。
ここでいう「凹凸部」とは、凸条や突起や溝である。より詳しくは重石を載せた板材が鍋の蒸気圧で浮いても、板材が鍋から外れない程度の段差を有する凹凸部である。
【発明の効果】
【0007】
本願の加圧調理鍋用のフタ上面は平面なので、重石代りに水入り鍋を載せて調理鍋を加圧できて、高温調理を可能とする効果がある。加圧によって鍋は100℃前後の温度になるので、炊飯ならば美味しく炊けるし、煮物ならば柔らかく煮える。
(調理中にフタ開閉する為に把手は必要)であるが、炊飯には該当しない。炊飯は(途中でフタ開閉しない調理)である。そして火を止めて蒸らし時間後にフタ開けするので、その時点で温度は下がってフタ周囲を持てる。このような盲点を見出して(フタ把手の省略)を実現し、フタの上に一般鍋を置く事が可能になり、加圧調理効果を得ているわけである。
本願の加圧調理鍋用のフタの下面にはズレ留め凹凸部を備える構成なので、調理中に蒸気が噴いても、フタがズレる事はなく、安全に調理できる。炊飯においては、白濁粘性の泡が吹き出すので、釜とフタは滑り易くなる。釜内の蒸気は強い圧力になってフタを浮かす。だがフタ周囲から蒸気が漏れれば、鍋内圧力はすぐ下がる。またフタの下面の凹凸部によって、フタはズレないので、安全は保たれるのである。
本願のフタは、軽薄短小化した構成なので、製造、流通、販売、使用、収納の各段階において、作業がし易くなるという効果がある。板状の単純構造ゆえ、作り易い。板状ゆえ荷造り運搬し易く、軽いので流通も楽である。板状で陳列し易く、販売も楽である。家庭で扱う際にも、軽いので楽である。板状ゆえ、収納も嵩張らない。これら多くの利点があるので、製造以外の諸経費も少なくなり、低コスト化できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】釜に実施例1のフタを被せ、一般鍋を載せた状態の中心点を通る垂直面で切断した断面図である。ただし図を解り易くする為、フタの断面のみハッチング(斜線縞)を描いた。釜、一般鍋の断面のハッチングは略した。
図2】実施例1のフタ裏面の斜視図である。
図3】実施例2のフタの断面図である。
図4】実施例3のフタの断面図である。
図5】実施例4のフタの断面図である。
図6】実施例5のフタの下面の斜視図である。
図7】実施例6のフタの下面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願のフタの凹凸部は、さまざまな形態を構成し得る。実施例1は製造し易い。実施例2は係合安定性が高い。実施例3は組合せる鍋サイズの適応性がある。実施例4は両面使えるリバーシブルである。実施例5はフタの把手付きである。実施例6は角鍋用である。
【実施例0010】
図1図2を参照として実施例1を説明する。図2のような、大小2枚の円板を中心揃えて貼り合せたような形状の木材板を形成し、フタ1とする。フタ薄肉部2は釜口外径以上の大きさであり、フタ厚肉部3は釜口内径より小さい寸法とする。釜4にフタ1を被せ、フタ1の上に一般鍋5を載せ、一般鍋5に水5を入れた状態の垂直断面図が図1である。実施例1のフタ1では、段差ひとつの形状だが、2段、3段と段を増やした形状でもよい。
このフタ1を使っての炊飯方法を説明する。釜4は電気炊飯器の釜4を転用する。電気炊飯器の釜4は、肉厚で丸底で炊飯に適している。釜4に米と所定量の水を入れる。フタ1の裏面を水で濡らしてから、釜4に被せる。フタ1の裏を濡らす事で、密封度が増す。それから一般鍋5に水6を1リットル入れて、フタ1に載せる。一般鍋5が重さ1kgの重石代りとなる。そして釜4をコンロに置いて点火する。釜4が沸騰して、フタ1の周囲から蒸気が出てきたら、中弱火に火力調節する。キッチンタイマーを10分にセット、スタートさせる。10分経過したら火を止め、再びキッチンタイマー10分をスタートさせてご飯を蒸らす。10分経過したら炊き上りである。炊く量やご飯硬さの好みなどに応じて、火加減、加熱時間、蒸らし時間は調節すればよい。一般鍋に入れる水量も調節可能である。
片付け時は、フタ1を適当な場所に収納するだけなので、負担にならない。重石代りの一般鍋5は、水を捨て、鍋は元の鍋置き場に片付けるだけである。特許文献1のような重石を片付ける場合は、嵩張るし、倒れたり落ちたりすると危険なので、低い場所に安定させるなど気苦労がかかる。
【実施例0011】
実施例2は図3に示すように、フタ7の裏に釜口と係合する円形の溝8をつけた構成である。図理解し易さの為、溝8の外側は肉薄とし、溝8の内側は肉厚とした。このフタ7の形は、実施例1と似たような円板であり、斜視図などは省略する。
実施例2のフタ7は、釜口と溝8が係合するで、蒸気を閉じ込め易い。もちろん溝形状を釜口と密接する丸底溝とすれば、よりピッタリ係合させられる。
【実施例0012】
実施例3は図4に示すように、丸いお盆を裏返したような形状のフタ9である。フタ9の裏面の縁沿いを厚くした形状である。組合せる釜が多少、大きくても小さくても適応できる。
【実施例0013】
実施例4は図5に示すように、とても扁平なお椀のような形であり、両面使えるリバーシブルなフタ10である。フタ10の上面は直径の小さな円形の凸条11のある形状であり、フタ10の下面は縁沿いを厚くした形状である。組合せる釜の寸法許容範囲は、より広がる。
【実施例0014】
図6を参照として実施例5を説明する。実施例5は、半分は円形で、残り半分は方形のフタ12である。フタ12の下面の中央寄りに6個の小突起13を設けて、ズレ留めとしている。フタ12の上面は平面とする。フタ12の角部分14は、把手となる。
【実施例0015】
図7を参照として角鍋用の実施例6を説明する。とても扁平な下駄のような形である。実施例6は、対象とする角鍋に合せた正方形とし、フタ15の下面に2本の凸条16を設けた形状である。フタ15の上面は平面とする。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本願のフタは、主に電気炊飯器の窯と組合せて、ガスコンロ炊飯する構成である。だがその他の鍋釜と組合せる構成も可能である。また炊飯用に限定されず、煮物調理に用いる事もできる。フタの素材は、木材以外に、陶磁器、ガラス、金属、ホーローびき金属、石材でも可能である。耐熱性があれば合成樹脂や他の新素材も採用し得る。ただ木材が最適である。木材は、煮物レベルの耐熱性はあるし、材料入手も加工もし易い。断熱性もあるので、把手が無くても、周囲を摘み持てる。特に炊飯においては途中でフタを開ける事は堅く禁止される。そして火を止めた後は蒸らし時間を要するので、炊飯後にフタを開ける時点で、フタの温度は下がっている。木材は、親水性あって濡れ易いので、フタを濡らして鍋に被せると密閉できる。鍋フタでありながら把手無し構成なので、製造、流通、販売、使用、収納の各段階において、作業がし易い。
【符号の説明】
【0017】
1、フタ 2、フタ薄肉部 3、フタ肉厚部 4、釜 5、一般鍋 6、水
7、フタ 8、溝 9、フタ 10、フタ 11、凸条 12、フタ
13、小突起 14、角部分 15、フタ 16、凸条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理鍋用の蓋、フタにおいて、無害かつ耐熱性ある素材で板材を形成し、この板材を調理鍋の口径より広い面積に切り出し、この板材の上面はおよそ平坦に形成し、この板材は蒸気穴の開いていない形状とし、この板材の下面形状は調理鍋の口部分と気密的に閉じ合う形状とし、この板材の下面にはフタと鍋口がズレるのを留める凹凸部を設けることを特徴とするフタ。
【請求項2】
調理鍋の口径より広い面積の木材板の上面をおよそ平坦に形成し、この木材板は蒸気穴の開いていない形状とし、この木材板の下面形状は調理鍋の口部分と気密的に閉じ合う形状とし、この板材の下面にはフタと鍋口がズレるのを留める凹凸部を設けることを特徴とするフタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
図1】釜に実施例1のフタを被せ、一般鍋を載せた状態の中心点を通る垂直面で切断した断面図である。ただし図を解り易くする為、フタの断面のみハッチング(斜線縞)を描いた。釜、一般鍋の断面のハッチングは略した。
図2】実施例1のフタ裏面の斜視図である。
図3】実施例2のフタの断面図である。
図4】実施例3のフタの断面図である。
図6】実施例5のフタの下面の斜視図である。
図7】実施例6のフタの下面の斜視図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本願のフタの凹凸部は、さまざまな形態を構成し得る。実施例1は製造し易い。実施例2は係合安定性が高い。実施例3は組合せる鍋サイズの適応性がある。実施例5はフタの把手付きである。実施例6は角鍋用である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
実施例2は図3に示すように、フタ7の裏に釜口と係合する円形の溝8をつけた構成である。図理解し易さの為、溝8の外側は肉薄とし、溝8の内側は肉厚とした。このフタ7の形は、実施例1と似たような円板であり、斜視図などは省略する。
実施例2のフタ7は、釜口と溝8が係合するので、蒸気を閉じ込め易い。もちろん溝形状を釜口と密接する丸底溝とすれば、よりピッタリ係合させられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
実施例3は図4に示すように、丸いお盆を裏返したような形状のフタ9である。フタ9の裏面の縁沿いを厚くした形状である。組合せる釜が多少、大きくても小さくても適応できる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本願のフタは、主に電気炊飯器の釜と組合せて、ガスコンロ炊飯する構成である。だがその他の鍋釜と組合せる構成も可能である。また炊飯用に限定されず、煮物調理に用いる事もできる。フタの素材は、木材以外に、陶磁器、ガラス、金属、ホーローびき金属、石材でも可能である。耐熱性があれば合成樹脂や他の新素材も採用し得る。ただ木材が最適である。木材は、煮物レベルの耐熱性はあるし、材料入手も加工もし易い。断熱性もあるので、把手が無くても、周囲を摘み持てる。特に炊飯においては途中でフタを開ける事は堅く禁止される。そして火を止めた後は蒸らし時間を要するので、炊飯後にフタを開ける時点で、フタの温度は下がっている。木材は、親水性あって濡れ易いので、フタを濡らして鍋に被せると密閉できる。鍋フタでありながら把手無し構成なので、製造、流通、販売、使用、収納の各段階において、作業がし易い。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
1、フタ 2、フタ薄肉部 3、フタ肉厚部 4、釜 5、一般鍋 6、水
7、フタ 8、溝 9、フタ 12、フタ 13、小突起 14、角部分
15、フタ 16、凸条
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】手続補正書
【補正対象項目名】手続補正2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は圧力鍋用の蓋、フタの発明である。圧力鍋といっても簡易的な圧力鍋であり、微弱に加圧できるだけの物である。とはいえ微弱ながらも加圧により、調理温が100℃前後となり、美味しく炊飯できるようになる。圧力差は微弱であっても、炊上りの味は大きな違いとなって表れる。
本願が主に想定している利用形態は、電気炊飯器の釜をガスコンロ炊飯に転用して用いるフタの発明である。ただし用いる鍋釜は限定されるわけではない。
【背景技術】
【0002】
ご飯炊き、炊飯は、普通の鍋でも行える。だが圧力のかかる鍋で炊飯するほうが美味しく炊ける。悪い例で説明すれば、富士山頂で炊飯する場合、気圧が低いので沸騰させても60℃が限界温度となる。そんな低温で炊くと、固い芯が残った不味いご飯になってしまう。米粒はあんな小さいのに、しっかり100℃近くで茹で続けないとまともに炊けない。
ところで昨今の日本は、電力需給が逼迫している。節電方法のひとつとして、電気を使わずに炊飯する方法が勧められている。そのひとつが土鍋炊飯である。ただし昔は大家族用の大きな羽釜と厚く重いフタによって、加圧炊飯できていた。しかしながら昨今は核家族や単身者世帯が多く、それら世帯では炊飯量が少ない。それゆえ小さな土鍋と軽いフタでの炊飯となり、加圧されず、その結果として美味しいご飯が炊けなかった。
フタに加圧作用をもたせるには、フタに重石を載せれば実現できる。そのような先願として特許文献1、特許文献2があった。特許文献1はドーナツ形の重石で、フタの摘み部分がドーナツ穴に嵌る構成である。特許文献2は砂利詰め小座布団的な重石である。
しかしながら特許文献1、特許文献2とも、蒸気でフタが浮いてズレる危険が高かった。炊飯中は、白濁粘性の泡が吹き出し、釜とフタは滑り易くなる。そして蒸気圧でフタが浮くので、ズレ落ち易い。また製造販売者としても使用者としても、重石は負担がかかる物品であった。重石は重いし嵩張るし、落とせば足を怪我する危険物となる。重石は、運搬、流通にも苦労するし、保管収納でも場所をとる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実全昭58-032739号、持手と係合するドーナツ形の重石
【特許文献2】特開2021-053329号、25cm角の砂利詰め袋の重石
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は3つある。
課題1、加圧調理可能なフタを形成する事。
課題2、フタが鍋からズレ落ちるのを防ぐ事。
課題3、フタを軽薄短小化する事。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題1を解決するには、フタを出来るだけ重くして、鍋内蒸気を閉じ込める必要がある。ところが課題3では、フタの軽量化という真逆な事を求められ、両立困難である。そこで「身近な代用品利用策」を着想した。それはフタの上に、重石代りとして、一般鍋を載せる構成である。この一般鍋に1リットルの水を入れれば、一般鍋が1kgの重石の代用品となる。この方策は一見、貧乏臭く、陳腐に感じる。だが特許文献1のようなドーナツ形の重石を使う事と比べれば、代用品策があらゆる面で優れている事が解る。代用品策ならば、フタ部分だけ製造すればよいので楽である。そして流通販売も楽、使用者の使い勝手はさほど負担にならない、そして収納場所も嵩張らずに済む、のである。課題2に対しては、フタ裏面にズレ留め凹凸部を設ける事で解決する。
あらためて本願の課題解決手段を説明すると、無害かつ耐熱性ある素材の板材を形成し、この板材を調理鍋の口径より広い面積に切り出し、この板材の上面をおよそ平坦に形成し、この板材の下面は調理鍋の口部分と気密的に閉じ合う形状とし、さらにこの板材の下面にフタと鍋口がズレるのを留める凹凸部を設けることを解決手段とする。
【0006】
ここでいう調理鍋とは、炊飯用釜、煮物用鍋などである。主に想定しているのは、電気炊飯器の釜である。この釜を転用して、ガスコンロ炊飯する事を主目的としている。ただし釜鍋は限定はされず、いろんな鍋を採用できるとする。ほとんどの場合は、円形鍋であるが、角型鍋も採用し得る。角型鍋に適用させる場合は、フタ形状も四角形とする。
ここでいう板材とは、主に木材であるが、陶磁器、ガラス、金属、ホウロウびき金属、石材でも可能である。耐熱性があれば合成樹脂や他の新素材も採用し得る。
ここでいう「およそ平坦」とは、水平に置いた板材上に一般鍋を載せる場合に、一般鍋が大きく傾いたり、グラついたりしない程度の平坦形状であるという意味である。
ここでいう「気密的」とは、鍋を板材で閉じ、板材に重石を載せ、鍋が沸騰するまで蒸気を漏らさぬ程度の気密性である。深海や宇宙など極端な気圧での気密性ではない。
ここでいう「凹凸部」とは、凸条や突起や溝である。より詳しくは重石を載せた板材が鍋の蒸気圧で浮いても、板材が鍋から外れない程度の段差を有する凹凸部である。
【発明の効果】
【0007】
本願の加圧調理鍋用のフタ上面は平面なので、重石代りに水入り鍋を載せて調理鍋を加圧できて、高温調理を可能とする効果がある。加圧によって鍋は100℃前後の温度になるので、炊飯ならば美味しく炊けるし、煮物ならば柔らかく煮える。
(調理中にフタ開閉する為に把手は必要)であるが、炊飯には該当しない。炊飯は(途中でフタ開閉しない調理)である。そして火を止めて蒸らし時間後にフタ開けするので、その時点で温度は下がってフタ周囲を持てる。このような盲点を見出して(フタ把手の省略)を実現し、フタの上に一般鍋を置く事が可能になり、加圧調理効果を得ているわけである。
本願の加圧調理鍋用のフタの下面にはズレ留め凹凸部を備える構成なので、調理中に蒸気が噴いても、フタがズレる事はなく、安全に調理できる。炊飯においては、白濁粘性の泡が吹き出すので、釜とフタは滑り易くなる。釜内の蒸気は強い圧力になってフタを浮かす。だがフタ周囲から蒸気が漏れれば、鍋内圧力はすぐ下がる。またフタの下面の凹凸部によって、フタはズレないので、安全は保たれるのである。
本願のフタは、軽薄短小化した構成なので、製造、流通、販売、使用、収納の各段階において、作業がし易くなるという効果がある。板状の単純構造ゆえ、作り易い。板状ゆえ荷造り運搬し易く、軽いので流通も楽である。板状で陳列し易く、販売も楽である。家庭で扱う際にも、軽いので楽である。板状ゆえ、収納も嵩張らない。これら多くの利点があるので、製造以外の諸経費も少なくなり、低コスト化できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】釜に実施例1のフタを被せ、一般鍋を載せた状態の中心点を通る垂直面で切断した断面図である。ただし図を解り易くする為、フタの断面のみハッチング(斜線縞)を描いた。釜、一般鍋の断面のハッチングは略した。
図2】実施例1のフタ裏面の斜視図である。
図3】実施例2のフタの断面図である。
図4】実施例3のフタの断面図である。
図5実施例4のフタの下面の斜視図である。
図6実施例5のフタの下面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願のフタの凹凸部は、さまざまな形態を構成し得る。実施例1は製造し易い。実施例2は係合安定性が高い。実施例3は組合せる鍋サイズの適応性がある。実施例4はフタの把手付きである。実施例5は角鍋用である。
【実施例0010】
図1図2を参照として実施例1を説明する。図2のような、大小2枚の円板を中心揃えて貼り合せたような形状の木材板を形成し、フタ1とする。フタ薄肉部2は釜口外径以上の大きさであり、フタ厚肉部3は釜口内径より小さい寸法とする。釜4にフタ1を被せ、フタ1の上に一般鍋5を載せ、一般鍋5に水5を入れた状態の垂直断面図が図1である。実施例1のフタ1では、段差ひとつの形状だが、2段、3段と段を増やした形状でもよい。
このフタ1を使っての炊飯方法を説明する。釜4は電気炊飯器の釜4を転用する。電気炊飯器の釜4は、肉厚で丸底で炊飯に適している。釜4に米と所定量の水を入れる。フタ1の裏面を水で濡らしてから、釜4に被せる。フタ1の裏を濡らす事で、密封度が増す。それから一般鍋5に水6を1リットル入れて、フタ1に載せる。一般鍋5が重さ1kgの重石代りとなる。そして釜4をコンロに置いて点火する。釜4が沸騰して、フタ1の周囲から蒸気が出てきたら、中弱火に火力調節する。キッチンタイマーを10分にセット、スタートさせる。10分経過したら火を止め、再びキッチンタイマー10分をスタートさせてご飯を蒸らす。10分経過したら炊き上りである。炊く量やご飯硬さの好みなどに応じて、火加減、加熱時間、蒸らし時間は調節すればよい。一般鍋に入れる水量も調節可能である。
片付け時は、フタ1を適当な場所に収納するだけなので、負担にならない。重石代りの一般鍋5は、水を捨て、鍋は元の鍋置き場に片付けるだけである。特許文献1のような重石を片付ける場合は、嵩張るし、倒れたり落ちたりすると危険なので、低い場所に安定させるなど気苦労がかかる。
【実施例0011】
実施例2は図3に示すように、フタ7の裏に釜口と係合する円形の溝8をつけた構成である。図理解し易さの為、溝8の外側は肉薄とし、溝8の内側は肉厚とした。このフタ7の形は、実施例1と似たような円板であり、斜視図などは省略する。
実施例2のフタ7は、釜口と溝8が係合するので、蒸気を閉じ込め易い。もちろん溝形状を釜口と密接する丸底溝とすれば、よりピッタリ係合させられる。
【実施例0012】
実施例3は図4に示すように、丸いお盆を裏返したような形状のフタ9である。フタ9の裏面の縁沿いを厚くした形状である。組合せる釜が多少、大きくても小さくても適応できる。
【実施例0013】
図5を参照として実施例4を説明する。実施例4は、半分は円形で、残り半分は方形のフタ12である。フタ12の下面の中央寄りに6個の小突起13を設けて、ズレ留めとしている。フタ12の上面は平面とする。フタ12の角部分14は、把手となる。
【実施例0014】
図6を参照として角鍋用の実施例5を説明する。とても扁平な下駄のような形である。実施例5は、対象とする角鍋に合せた正方形とし、フタ15の下面に2本の凸条16を設けた形状である。フタ15の上面は平面とする。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本願のフタは、主に電気炊飯器の窯と組合せて、ガスコンロ炊飯する構成である。だがその他の鍋釜と組合せる構成も可能である。また炊飯用に限定されず、煮物調理に用いる事もできる。フタの素材は、木材以外に、陶磁器、ガラス、金属、ホーローびき金属、石材でも可能である。耐熱性があれば合成樹脂や他の新素材も採用し得る。ただ木材が最適である。木材は、煮物レベルの耐熱性はあるし、材料入手も加工もし易い。断熱性もあるので、把手が無くても、周囲を摘み持てる。特に炊飯においては途中でフタを開ける事は堅く禁止される。そして火を止めた後は蒸らし時間を要するので、炊飯後にフタを開ける時点で、フタの温度は下がっている。木材は、親水性あって濡れ易いので、フタを濡らして鍋に被せると密閉できる。鍋フタでありながら把手無し構成なので、製造、流通、販売、使用、収納の各段階において、作業がし易い。
【符号の説明】
【0016】
1、フタ 2、フタ薄肉部 3、フタ肉厚部 4、釜 5、一般鍋 6、水
7、フタ 8、溝 9、フタ 12、フタ 13、小突起 14、角部分
15、フタ 16、凸条
【手続補正2】
【補正対象書類名】手続補正書
【補正対象項目名】手続補正3
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】手続補正書
【補正対象項目名】手続補正4
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】手続補正書
【補正対象項目名】手続補正5
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】手続補正書
【補正対象項目名】手続補正6
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】手続補正書
【補正対象項目名】手続補正7
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】手続補正書
【補正対象項目名】手続補正8
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】手続補正書
【補正対象項目名】手続補正10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6