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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103067
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】フェンス
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20240725BHJP
   E04H 17/04 20060101ALI20240725BHJP
   E01F 8/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
E04H17/16 105Z
E04H17/04 A
E01F8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007202
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】523023650
【氏名又は名称】株式会社伊勢安ワイヤクリエイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】佐飛 輝明
【テーマコード(参考)】
2D001
2E142
【Fターム(参考)】
2D001AA01
2D001BA02
2D001CA02
2D001CB04
2D001CD04
2D001DA04
2E142AA01
2E142CC12
2E142HH01
2E142HH13
2E142JJ06
(57)【要約】
【課題】支柱の太さが不必要に大きくなりコストが嵩むことを低減できるフェンスを提供することを目的とする。
【解決手段】フェンス1は、複数の支柱10の間に架設されると共に所定間隔を隔てて対向する一対の網体20の対向間に固形物が充填される。フェンス1は、一対の網体20の側面部22の端部22aが支柱10の外面13に固定されるので、側面部22の長さを変更することで、一対の網体20の対向間隔を変更することができる。即ち、支柱10の太さを変更することを不要とできる。よって、支柱10の太さが不必要に大きくなりコストが嵩むことを低減できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面から立設される複数の支柱と、支柱間に架設されると共に所定間隔を隔てて対向される一対の網体とを備え、前記一対の網体の対向間に固形物が充填されるフェンスにおいて、
前記一対の網体の少なくとも一方の網体は、平板状の網状体を折り曲げて形成される両側の側面部と、それら両側の側面部の間に位置する正面部とを備え、前記側面部の端部が前記支柱に取り付けられることを特徴とするフェンス。
【請求項2】
前記一対の網体を一組として複数組が前記支柱の立設方向に沿って配設され、
前記一対の網体を連結すると共に前記支柱の立設方向に隣接する組の網体どうしを連結する連結部材を備えることを特徴とする請求項1記載のフェンス。
【請求項3】
前記支柱間に架設されると共に所定間隔を隔てて対向される一対の屈曲網体を備え、前記一対の屈曲網体の対向間に固形物が充填され、
前記一対の屈曲網体の少なくとも一方の屈曲網体は、平板状の網状体を折り曲げて形成される両側の側面部と、それら両側の側面部の間に位置し前記平板状の網状体を折り曲げて形成される屈曲面部とを備え、前記側面部の端部が前記支柱に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェンス。
【請求項4】
両端に形成される第1係合部を前記網体に係合させて前記一対の網体どうしを連結する第1フック部材と、両端に形成される第2係合部を前記屈曲網体に係合させて前記一対の屈曲網体どうしを連結する第2フック部材とを備え、
前記一対の網体における前記正面部の対向間隔と前記一対の屈曲網体における前記屈曲面部の対向間隔とが同一とされ、
前記第2係合部の係合代が前記第1係合部の係合代よりも短くされることを特徴とする請求項3に記載のフェンス。
【請求項5】
網状体から形成され、前記一対の網体の上方の開口部分を覆う蓋網体と、その蓋網体を前記一対の網体に固定する蓋固定部材とを備え、
前記蓋固定部材は、末端どうしが連結される一対の挟持片を備え、
前記一対の挟持片の一方には、めねじが形成され、前記一対の挟持片の他方には、ねじ部材を挿通させるための挿通部が形成されることを特徴とする請求項1記載のフェンス。
【請求項6】
前記網体を前記支柱に固定する網固定部材を備え、
前記網固定部材は、前記支柱の外面に取り付けられる被取着部と、その被取着部から延設され、前記支柱の外面の内の前記被取着部が取り付けられる外面と共に前記網体の線材を取り囲む囲繞部とを備えることを特徴とする請求項1記載のフェンス。
【請求項7】
前記網固定部材の被取着部が取り付けられる前記支柱の外面は、前記一対の網体が対向する方向を臨む側の面であることを特徴とする請求項6記載のフェンス。
【請求項8】
前記網固定部材は、前記被取着部の一側および前記一側の反対側となる他側から延設される一対の前記囲繞部を備えることを特徴とする請求項7記載のフェンス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンスに関し、特に、支柱の太さが不必要に大きくなりコストが嵩むことを低減できるフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
地面から立設される複数の支柱と、支柱間に架設されると共に所定間隔を隔てて対向される一対の金網(網体)とを備え、一対の網体の対向間に砕石(固形物)が充填されるフェンスが知られている(特許文献1)。
【0003】
このフェンスによれば、金網のみから構成されるフェンスと比較して、音が固形物で遮断されるので、遮音性を向上できる。また、視界が固形物で遮られるので、遮視性も向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-048440号公報(例えば、段落0024,0026、図3,7など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、平板状に形成される一対の網体の間に支柱を挟む構造であるため、一対の網体の対向間隔(即ち、固形物を充填できる空間の厚み寸法)が支柱の太さに依存する。そのため、支柱の太さが不必要に大きくなりコストが嵩むという問題点があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、支柱の太さが不必要に大きくなりコストが嵩むことを低減できるフェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明のフェンスは、地面から立設される複数の支柱と、支柱間に架設されると共に所定間隔を隔てて対向される一対の網体とを備え、前記一対の網体の対向間に固形物が充填されるものであって、前記一対の網体の少なくとも一方の網体は、平板状の網状体を折り曲げて形成される両側の側面部と、それら両側の側面部の間に位置する正面部とを備え、前記側面部の端部が前記支柱に取り付けられる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のフェンスによれば、一対の網体の少なくとも一方の網体は、平板状の網状体を折り曲げて形成される両側の側面部と、それら両側の側面部の間に位置する正面部とを備え、側面部の端部が支柱に取り付けられるので、側面部の長さを変更することで、一対の網体の対向間隔を変更することができる。即ち、支柱の太さを変更することを不要とできる。よって、支柱の太さが不必要に大きくなりコストが嵩むことを低減できる。
【0009】
請求項2記載のフェンスによれば、請求項1記載のフェンスの奏する効果に加え、一対の網体を一組として複数組が支柱の立設方向に沿って配設され、一対の網体を連結すると共に支柱の立設方向に隣接する組の網体どうしを連結する連結部材を備えるので、充填された固形物の重量により一対の網体が対向間隔を拡大させる方向に変形することと、支柱の立設方向に隣接する組の網体どうしの間隔が拡大する(支柱の立設方向に分離する)こととを1の部材(連結部材)により低減できる。
【0010】
請求項3記載のフェンスによれば、請求項1又は2に記載のフェンスの奏する効果に加え、一対の屈曲網体の少なくとも一方の屈曲網体は、平板状の網状体を折り曲げて形成される両側の側面部と、それら両側の側面部の間に位置し平板状の網状体を折り曲げて形成される屈曲面部とを備え、側面部の端部が支柱に取り付けられるので、平面視L字状に屈曲したフェンスを形成できる。
【0011】
また、側面部の長さを変更することで、一対の屈曲網体の対向間隔を変更することができる。即ち、支柱の太さを変更することを不要とできる。よって、支柱の太さが不必要に大きくなりコストが嵩むことを低減できる。
【0012】
請求項4記載のフェンスによれば、請求項3記載のフェンスの奏する効果に加え、両端に形成される第1係合部を網体に係合させて前記一対の網体どうしを連結する第1フック部材と、両端に形成される第2係合部を屈曲網体に係合させて一対の屈曲網体どうしを連結する第2フック部材とを備えるので、充填された固形物の重量により一対の網体および一対の屈曲網体がそれぞれ対向間隔を拡大させる方向に変形することを低減できる。
【0013】
ここで、一対の網体と比較して、一対の屈曲網体は、対向間隔を拡大させる方向に変形し難い。この場合、一対の網体における正面部の対向間隔と一対の屈曲網体における屈曲面部の対向間隔とが同一とされ、第2係合部の係合代が第1係合部の係合代よりも短くされるので、両端の第2係合部を屈曲網体にそれぞれ係合させて一対の屈曲網体どうしを連結する作業を行い易くできる。
【0014】
一方、対向間隔を拡大させる方向に変形し易い一対の網体については、第1係合部の係合代が第2係合部の係合代よりも長くされていることで、地震の揺れを受けた際に第1係合部と網体との係合が外れることを低減できる。
【0015】
請求項5記載のフェンスによれば、請求項1記載のフェンスの奏する効果に加え、網状体から形成され、一対の網体の上方の開口部分を覆う蓋網体と、その蓋網体を一対の網体に固定する蓋固定部材とを備えるので、固形物が充填される空間を封止して、固形物が脱落することを低減できる。
【0016】
蓋固定部材は、末端どうしが連結される一対の挟持片を備え、一対の挟持片の一方には、めねじが形成され、一対の挟持片の他方には、ねじ部材を挿通させるための挿通部が形成されるので、網体の線材と蓋網体の線材とが一対の挟持片の間に導入されるように、一対の挟持片をその先端から網体および蓋体に差し込み、挿通部に挿通したねじ部材をめねじに締結することで、体の線材と蓋網体の線材とを一対の挟持片の間に挟持して、蓋網体を網体に固定することができる。
【0017】
請求項6記載のフェンスによれば、請求項1記載のフェンスの奏する効果に加え、網体を支柱に固定する網固定部材を備え、網固定部材は、支柱の外面に取り付けられる被取着部と、その被取着部から延設され、支柱の外面の内の被取着部が取り付けられる外面と共に網体の線材を取り囲む囲繞部とを備えるので、網固定部材の被取着部を支柱の外面に取り付けることで、網体の線材が支柱の外面と網固定部材の囲繞部とにより取り囲まれた状態とできる。よって、網体を支柱に固定する作業の作業性を向上できる。
【0018】
請求項7記載のフェンスによれば、請求項6記載のフェンスの奏する効果に加え、網固定部材の被取着部が取り付けられる支柱の外面は、一対の網体が対向する方向を臨む側の面であるので、網固定部材により網体を支柱に固定する作業を網体の外側から行うことができる。即ち、固形物を充填する空間側から作業することを不要とできる。よって、網体を支柱に固定する作業の作業性を向上できる。
【0019】
請求項8記載のフェンスによれば、請求項7記載のフェンスの奏する効果に加え、網固定部材は、被取着部の一側および一側の反対側となる他側から延設される一対の囲繞部を備えるので、支柱を挟んで両側に位置する2枚の網体を1の網固定部材により支柱に固定することができる。よって、固定に要する工数と部品コストとを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態におけるフェンスの正面図である。
図2】(a)は、図1のフェンスにおけるIIa部の拡大図であり、(b)は、図2(a)のIIb-IIb線におけるフェンスの断面図である。
図3図1のIII-III線におけるフェンスの断面図である。
図4】(a)は、図1におけるフェンスのIVa部の拡大図であり、(b)は、図4(a)のIVb-IVb線におけるフェンスの断面図であり、(c)は、図1におけるフェンスのIVc部の拡大図であり、(d)は、図4(c)のIVd-IVd線におけるフェンスの断面図である。
図5】(a)は、図1のフェンスにおけるVa部の拡大図であり、(b)は、図5(a)のVb-Vb線におけるフェンスの断面図であり、(c)は、図5(a)のVc-Vc線におけるフェンスの断面図である。
図6】(a)は、図1のフェンスにおけるVIa部の拡大図であり、(b)は、図6(a)のVIb-VIb線におけるフェンスの断面図である。
図7】(a)は、第2実施形態におけるフェンスの断面図であり、図7(b)は、第3実施形態におけるフェンスの断面図である。
図8】(a)は、第4実施形態におけるフェンスの部分拡大図であり、(b)は、図8(a)のVIIIb-VIIIb線におけるフェンスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1を参照して第1実施形態におけるフェンス1を説明する。図1は第1実施形態におけるフェンス1の正面図である。なお、図1では、矢印U,D,F,B,L,R方向をそれぞれフェンス1の上方向、下方向、前方向、後方向、左方向、右方向として説明する(図2から図8においても同様)。
【0022】
図1に示すように、フェンス1は、複数の支柱10の間に配置されると共にその支柱を挟む一対の網体20の間に砕石などの固形物(図示せず)を充填したものであり、網のみで構成されるフェンスよりも遮音性、遮視性に優れる。フェンス1は、例えば、家屋の外側に設置される屋外の仕切りや塀に用いられる。
【0023】
フェンス1は、網体20が平板状の網状体を折り曲げて形成される側面部22を備え、その側面部22の端部22aを支柱10に固定する構造(図2参照)により、支柱10の太さが不必要に大きくなりコストが嵩むという問題点を解決するものである。
【0024】
フェンス1は、地面Gから上方(矢印U方向)に立設され、左右方向(矢印L-R方向)に所定距離を隔てて配設される複数の支柱10と、その複数の支柱10の間に架設されると共に前後方向(矢印F-B方向)に所定間隔を隔てて対向される一対の網体20と、その網体20を支柱10に固定する網固定部材30と、一対の網体20を前後方向に連結する第1フック部材40と、を備える。
【0025】
フェンス1は、一対の網体20を1組として複数組が支柱10の立設方向(上下方向(矢印U-D方向))に配設される構造とされ、上下方向に隣り合う2組の一対の網体20どうしを連結する連結部材50をさらに備える。また、フェンス1は、最上部の一対の網体20によって形成される上部の開口を覆う蓋網体60と、その蓋網体60を網体20に固定する蓋固定部材70と、を備える。本実施形態では、網体20は、上下方向に4つ連結されている。
【0026】
フェンス1は、フェンス1のストレート部分(支柱10間に平面視直線状に延びる部分)を構成する一対の網体20に加え、フェンス1のコーナー部分(支柱10間に平面視L字状に延びる部分)を構成する一対の屈曲網体80を備える(図3参照)。本実施形態では、一対の屈曲網体80は90°に屈曲される。フェンス1は、ストレート部分と、コーナー部分とを備えるので、これらを組み合わせることで、フェンスの形状の自由度を向上できる。また、フェンス1のコーナー部分に配置される蓋網体100は、対向する一対の屈曲網体80が上部に形成する開口の形状と対応した平面視L字状とされる。
【0027】
網体20は、複数の線材23から構成される網状体である。本実施形態では、網体20の線材23は、上下方向(矢印U-D方向)に延びる複数の縦線23aと、その縦線23aに直交する方向(左右方向(矢印L-R方向))に延びる横線23bとを備える。網体20の側面部22は、最も先端側(正面部21と反対側の端)に位置する縦線23aと、その縦線23aよりも先端側の横線23bとから構成される端部22aを備える(図2参照)。
【0028】
屈曲網体80は、複数の線材83から構成される網状体である。本実施形態では、屈曲網体80の線材83は、上下方向(矢印U-D方向)に延びる複数の縦線83aと、その縦線83aに直交する方向(左右方向(矢印L-R方向)及び前後方向(矢印F-B方向))に延びる複数の横線83bとを備える。屈曲網体80の側面部82a,82bは、最も先端側(側面部82a,82bの屈曲面部81a,81bと連続しない側の端)に位置する縦線83aと、その縦線83aから先端側の横線83bとから構成される端部82a1,82b1を備える(図3参照)。
【0029】
網体20及び屈曲網体80には、隣り合う縦線23a,83aの離れる距離が大きく設定される幅広部A1と、離れる距離が幅広部A1と比較して狭く設定される幅狭部B1とが形成される(図4参照)。
【0030】
支柱10は、地面Gに一部が埋設される基部11と、その基部11に固定される柱部12とを備える。基部11は、四角柱状のコンクリートで構成され、その大部分が地面G内に埋設される。基部11は、上方(矢印U方向)の一部(上部)が地面Gから露出される。柱部12は、基部11の上部から上方に延び、網体20や屈曲網体80が固定される金属の部分である。柱部12は、断面正方形の筒状の柱であって、その最上端の開口がキャップ14によって閉じられる。柱部12の対向する2つの外面を組とする一組の外面13には、上下方向の所定の位置に複数の穴13aが設けられる(図2参照)。
【0031】
次に、図2(a)及び図2(b)を参照して、網固定部材30について説明する。図2(a)は、図1のフェンス1におけるIIa部の拡大図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb-IIb線におけるフェンス1の断面図である。
【0032】
図2(a)及び図2(b)に示すように、網固定部材30は、支柱10の外面13に固定される平板状の被取着部31と、その被取着部31の左右方向(矢印L-R方向)の両端から張り出す囲繞部32とを備える。被取着部31には、貫通孔31aが設けられる。囲繞部32は、被取着部31の面に対して垂直に立設する立設部と、その立設部に接続され、立設部と直交する方向であって被取着部31から離れる方向に延びる平面部と、その平面部に接続され、平面部と直交する方向であって被取着部31に向かう方向に延びる端部とを備える断面略コ字状に形成される。端部が延びる長さは、立設部が延びる長さよりも長く設定される。網固定部材30の一方の囲繞部32の端部から他方の囲繞部32の端部までの距離は、支柱10の太さよりやや大きく設定される。
【0033】
網固定部材30は、被取着部31の貫通孔31aと支柱10の外面13の穴13aに挿通させたねじと、ターンナット13bとによって支柱10に取り付けられる。このとき、網固定部材30は、網体20の側面部22の横線23bの端面23b1を支柱10の外面13に向けた状態で、側面部22の縦線23aの一部を網固定部材30の囲繞部32と支柱10の外面13とで取り囲む。本実施形態では、囲繞部32の立設部の立設する長さが端部22aの縦線23aから端面23b1までの長さと略同一に設定される。そのため、縦線23aが囲繞部32に当接した状態で、端面23b1が支柱10の外面13に当接される。
【0034】
網固定部材30の囲繞部32の幅方向(上下方向(矢印U-D方向))の寸法は、囲繞部32が配置される部分における隣り合う横線23bの離れる距離と略同一に設定される。そのため、網固定部材30によって網体20を支柱10に固定する際に、網体20を上下方向(矢印U-D方向)にずれ難くできる。よって、網体20を支柱10に固定する作業の作業性を向上できる。
【0035】
フェンス1の最終端となる部分では、被取着部31の両端から張り出す囲繞部32のうちの網体20(屈曲網体80)が配置される側とは反対側の囲繞部32によって側面部22(側面部82a,82b)の端部22a(端部82a1,82b1)が支柱10に固定される。支柱10の太さ分だけフェンス1を小さくできる。また、網固定部材30を網体20(屈曲網体80)の内側に配置できるので、網固定部材30を外側に露出させ難くできる。この場合、外側に網固定部材30が露出し難いので、外観を良好にできる。また、網固定部材30の被取着部31が一対の網体20(一対の屈曲網体80)の内側に配置されるので、一対の網体20の対向間に固形物を充填させれば、被取着部31が固形物によって露出しないようにできる。よって、被取着部31を固定するねじが外されることによるいたずらを防止することができる。
【0036】
網体20は、縦線23aの一部が囲繞部32と支柱10の外面13とで取り囲まれ、囲繞部32の立設部と端部との離れる距離が縦線23aの直径よりも大きく設定される(図2(b)参照)。そのため、網体20の左右方向(矢印L-R方向)の取付の位置ずれを許容し易くできる。よって、網体20を支柱10に固定する作業の作業性を向上できる。
【0037】
また、網固定部材30は、囲繞部32が被取着部31の両端から張り出しているので、支柱10を挟んで左右方向(矢印L-R方向)に対向する2つの網体20を同時に支柱10に取り付けることができる。よって、網体20を支柱10に固定する作業の効率を向上できる。
【0038】
フェンス1のストレート部分の左右方向(矢印L-R方向)に隣り合う網体20を接続する部分において、網固定部材30は、被取着部31の両端から囲繞部32が張り出し、その囲繞部32に左右方向に対向する2つの網体20の側面部22の端部22aが固定されるので、網固定部材30の被取着部31は、左右方向に対向する2つの網体20の側面部22の間に配置することができる。よって、一対の網体20で形成される空間の外側から網固定部材30を支柱10に取り付けることができる。その結果、網体20を支柱10に固定する作業の作業性を向上できる。
【0039】
網固定部材30は、一方の囲繞部32の端部から他方の囲繞部32の端部までの距離が支柱10の太さよりやや大きく設定され、端部が延びる長さは、立設部が延びる長さよりも長く設定されるので、網固定部材30を支柱10に取り付ける際に、両端の囲繞部32の端部を支柱10の外面13(被取着部31が取り付けられる外面13に接続される両方の外面13)に嵌めることができる。よって、平面部と外面13とが対向する方向の端部と外面13との隙間、及び、その方向に直交する外面13と端部との隙間を少なくすることができる。その結果、網体20の縦線23aの一部が囲繞部32と支柱10の外面13とで取り囲まれる空間を閉じ易くできる。
【0040】
また、網固定部材30は、縦線23aを囲繞部32と支柱10の外面13とで囲まれた空間で取り囲むので、囲繞部32の端部がない場合と比較して、側面部22の端部22aが外側に抜けてしまうことを抑制できる。
【0041】
次に、図3を参照して、フェンス1のコーナー部分の屈曲網体80について説明する。図3は、図1のIII-III線におけるフェンス1の断面図である。なお、右方向(矢印R方向)及び後方(矢印B方向)に延びるフェンス1のストレート部分が省略されて図示される。
【0042】
屈曲網体80は、前方(矢印F方向)に配置される前網80aと、後方(矢印B方向)に配置される後網80bとを備える。前網80aは、屈曲してコーナー部分の角を形成する部分であり、後網80bは、屈曲してコーナー部分の隅を形成する部分である。本実施形態では、屈曲網体80の屈曲角度θは90°であるが、任意の角度(例えば、45°以上180°未満)で適宜設定可能である。
【0043】
前網80aは、平板状の網状体の両端を折り曲げて形成される側面部82aと、その両端の側面部82aの間の屈曲面部81aとを備える。本実施形態では、屈曲面部81aは、平面視において、その中心で屈曲角度θに屈曲される。前網80aの側面部82aが折り曲げられる方向は、屈曲面部81aが屈曲される方向と同一の方向である。
【0044】
後網80bは、平板状の網状体の両端を折り曲げて形成される側面部82bと、その両端の側面部82bの間の屈曲面部81bとを備える。本実施形態では、屈曲面部81bは、平面視において、その中心で屈曲角度θに屈曲される。後網80bの側面部82bが折り曲げられる方向は、屈曲面部81bが屈曲される方向とは反対側の方向である。また、前網80aと後網80bとを対向させたときに、側面部82a,82bが対応する位置となるように、平面視において、後網80bの屈曲面部81bの長さは、前網80aの屈曲面部81aの長さよりも短く設定される。
【0045】
屈曲網体80は、側面部82aの端部82a1及び側面部82bの端部82b1が網固定部材30によって、支柱10に取り付けられる。網固定部材30によって、屈曲網体80を支柱10へ取り付ける方法については、網固定部材30によって、網体20を支柱10へ取り付ける方法と同一であるので、その詳細な説明は省略する。この場合、側面部22が側面部82a,82bに、縦線23aが縦線83aに、横線23bが横線83bに、端面23b1が端面83b1に、端部22aが端部82a1,82b1にそれぞれ対応する。
【0046】
屈曲網体80が支柱10に取り付けられた状態において、屈曲網体80の前網80aと後網80bとが対向する距離は、一対の網体20どうしが対向する距離と略同一に設定される。
【0047】
次に、図4(a)から図4(d)を参照して、第1フック部材40及び第2フック部材90について説明する。図4(a)は、図1におけるフェンス1のIVa部の拡大図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb-IVb線におけるフェンス1の断面図であり、図4(c)は、図1におけるフェンス1のIVc部の拡大図であり、図4(d)は、図4(c)のIVd-IVd線におけるフェンス1の断面図である。
【0048】
図4(a)及び図4(b)に示すように、第1フック部材40は、金属の丸棒の両端を折り曲げて形成される第1係合部41と、その両端(一端および他端)の第1係合部41の間の本体部42とを備える。即ち、本体部42は、第1フック部材40のうちの直線部分を構成する部分である。本実施形態では、第1フック部材40の第1係合部41が本体部42に対して折り曲げられる角度は150°程度とされる。
【0049】
第1フック部材40の第1係合部41が前後方向(矢印F-B方向)に対向する一対の網体20の縦線23aを係合して、一対の網体20を連結する。第1係合部41は、網体20の幅狭部B1に係合される。
【0050】
第1フック部材40は、左右方向(矢印L-R方向)及び上下方向(矢印F-B方向)に所定の間隔ごとに離隔されて網体20に配置される(図1参照)。
【0051】
一対の網体20の縦線23aが第1フック部材40によって連結されるので、充填された固形物の重量により一対の網体20が対向間隔を拡大させる方向(前後方向(矢印F-B方向))に膨らむことを抑制できる。さらに、第1係合部41が縦線23aに係合し、隣り合う横線23bどうしの距離が狭い幅狭部B1に配置されるので、第1係合部41が係合される縦線23aの上下方向(矢印U―D方向)には、第1係合部41が係合する部分から近い部分に横線23bが存在する。そのため、一対の網体20の内側に固形物を充填したときに、第1係合部41が係合する縦線23aに変形させようとする力が加わったとしても、縦線23aが変形する力を横線23bで受けて、縦線23aが変形することを抑制できる。
【0052】
図4(a)及び図4(b)に示すように、第2フック部材90の形状は、第2係合部91の長さ(第2係合部91の長さに対する第1係合部41の長さ)及び第2係合部91が本体部92に対して折り曲げられる角度のみが第1フック部材40と異なり、他の構成は第1フック部材40と同一とされる。この場合、第2フック部材90が係合する部分は、コーナー部分の屈曲網体80(前網80aの屈曲面部81a及び後網80bの屈曲面部81b)の縦線83aである。
【0053】
本実施形態では、第1フック部材40の第1係合部41が本体部42に対して折り曲げられる角度が150°程度であるのに対して、第2フック部材90の第2係合部91が本体部92に対して折り曲げられる角度が180°程度とされる。
【0054】
対向する一対の屈曲網体80の縦線83aを第2フック部材90の第2係合部91が係合して、一対の屈曲網体80を連結する。第2係合部91は、屈曲網体80の幅狭部B1に係合される。
【0055】
第2フック部材90は、左右方向(矢印L-R方向)に延びる部分の屈曲網体80において、左右方向及び上下方向(矢印U-D方向)に所定の間隔ごとに離隔されて配置され、前後方向(矢印F-B方向)に延びる部分の屈曲網体80において、前後方向および上下方向に所定の間隔ごとに離隔されて配置される(図1参照)。
【0056】
第2フック部材90の第2係合部91が線材83(縦線83a)に係合する長さである係合代Lbは、第1フック部材40の第1係合部41が線材23(縦線23a)に係合する長さである係合代Laよりも短く設定される。
【0057】
ここで、一対の屈曲網体80は、一対の網体20の離隔する距離と略同一とされるので、一対の屈曲網体80は、一対の網体20が対向する距離よりも大きくした場合に比較して、少なくとも前網80a又は後網80bのどちらかが一対の網体20よりも外側に突出し難くできる。よって、フェンス1の外観を良好にできる。
【0058】
この場合、一対の網体20に比較して、一対の屈曲網体80は、屈曲面部81a,81bが屈曲角度θで屈曲されるので、対向間隔を拡大させる方向(左右方向(矢印L-R方向)又は前後方向(矢印F-B方向))に変形し難い。第1フック部材40又は第2フック部材90を縦線23a又は縦線83aに係合させる際に、対向する一対の縦線23a又は縦線83aのうちの一方を一端側の係合部に引っ掛け、その後、他方を他端側の係合部の屈曲した内側に入れなければならない。そのため、係合部の係合代が長いと他方に係合させ難い。第2フック部材90は、一対の網体20における正面部21の対向間隔と一対の屈曲網体80における屈曲面部81a,81bの対向間隔とが略同一とされ、第2係合部91の係合代Lbが第1係合部41の係合代Laよりも短くされるので、両端の第2係合部91を屈曲網体80にそれぞれ係合させて一対の屈曲網体80どうしを連結する作業を行い易くできる。
【0059】
一方、対向間隔を拡大させる方向に変形し易い一対の網体20については、第1係合部41の係合代Laが第2係合部91の係合代Lbよりも長くされていることで、地震の揺れを受けた際に第1係合部41と網体20との係合が外れることを低減できる。また、第1フック部材40の第1係合部41が本体部42に対して折り曲げられる角度が150°程度とされるので、第1係合部41の先端は、折り曲げられた根元に近い部分よりも本体部42に対して離れる距離が大きい。そのため、網体20を第1係合部41に係合し易くできる。
【0060】
次に、図5(a)から図5(c)を参照して、連結部材50について説明する。図5(a)は、図1のフェンス1におけるVa部の拡大図であり、図5(b)は、図5(a)のVb-Vb線におけるフェンス1の断面図であり、図5(c)は、図5(a)のVc-Vc線におけるフェンス1の断面図である。
【0061】
図5(a)から図5(c)に示すように、連結部材50は、平面視H字状の部材である。連結部材50は、平面視矩形の平板状の本体部52と、その本体部52の矩形を形成する4辺のうちの対向する2辺からその2辺の外側に延びる係合部51とを備える。係合部51は、対向する2辺のそれぞれの辺に2つの係合片51a,51bが辺の中央を離隔して配置される。係合片51a,51bは、同一の方向に折り曲げられて断面C字状とされる。係合片51a,51bの上下方向(矢印U-D方向)の幅の寸法は、幅狭部B1の隣り合う横線23bどうしが離れる距離よりもやや小さく設定される。
【0062】
連結部材50は、係合部51が上下方向(矢印U-D方向)に隣り合う網体20の上端と下端とをそれぞれ連結する。連結部材50の係合片51aには、上方に位置する網体20の縦線23aが係合され、連結部材50の係合片51bには、下方に位置する網体20の縦線23aが係合される。さらに、連結部材50は、前後方向(矢印F-B方向)に対向する一対の網体20の縦線23aどうしも連結する。
【0063】
連結部材50の一対の係合片51a,51bが幅狭部B1に配置される。側面部22に近い側(左右方向(矢印L-R方向)の端側)の正面部21は、側面部22から遠い側(左右方向の中央側)の正面部21よりも剛性が高いので、連結部材50が不要とされる。連結部材50は、第1フック部材40が配置される左右方向の領域よりも内側の領域に配置される(図1参照)。即ち、側面部22付近では、連結部材50に代えて、第1フック部材40が配置される。よって、第1フック部材40よりも製造コストの高い連結部材50を少なくできるので、フェンス1の製造コストを抑制することができる。
【0064】
連結部材50は、対向方向(前後方向(矢印F-B方向))に配置される一対の網体20どうしを連結しつつ、上下方向(矢印U-D方向)に隣り合う網体20どうしを連結するので、充填された固形物の重量により一対の網体20が対向間隔を拡大させる方向に変形することと、上下に隣接する組の網体20どうしの間隔が拡大する(支柱10の立設方向に分離する)こととを1の部材(連結部材50)により低減できる。
【0065】
連結部材50の各係合片は、幅狭部B1に配置されるので、各係合片が係合される縦線23aの上下方向(矢印U―D方向)には、各係合片が係合する部分から近い部分に横線23bが存在する。そのため、一対の網体20の内側に固形物を充填したときに、各係合片が係合する縦線23aに変形させようとする力が加わったとしても、縦線23aが変形する力を横線23bで受けて、縦線23aが変形することを抑制できる。
【0066】
フェンス1におけるストレート部分を形成する一対の網体20の連結部材50による上下方向(矢印U-D方向)の連結について説明したが、フェンス1におけるコーナー部分を形成する一対の屈曲網体80の連結部材50による上下方向の連結についても同様であるため、その説明を省略する。
【0067】
次に、図6(a)及び図6(b)を参照して、蓋網体60及び蓋固定部材70について説明する。図6(a)は、図1のフェンス1におけるVIa部の拡大図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb-VIb線におけるフェンス1の断面図である。なお、図6(b)では、前後方向(矢印F-B方向)の形状が支柱10の中心線に対して線対称の形状をしているため、前後方向の半分が省略して図示される。なお、蓋網体100を一対の屈曲網体80へ取り付ける方法は、蓋網体60を一対の網体20に取り付ける方法と同様であるため、その説明を省略する。
【0068】
図6(a)及び図6(b)に示すように、蓋網体60は、一対の網体20の開口する上部を覆い、平板状の網状体から構成される蓋である。
【0069】
蓋網体60は、平板状、且つ、平面視長方形の網状体の短手方向の両端から一方向に向かって折り曲げて形成される斜面部62と、それら両端の斜面部62の間に位置する天面部61とを備える。蓋網体60の長手方向の長さは、隣り合う支柱10どうしの間の距離と略同一に設定され(図1参照)、蓋網体60の短手方向の長さは、前後方向に対向する一対の網体20の離隔する距離と略同一に設定される。蓋網体60の短手方向の両端に斜面部62が形成されるので、開口よりも上方に蓋網体60を配置できる。よって、一対の網体20の開口よりも上方に固形物が溢れるように充填されたとしても許容し易くできる。
【0070】
蓋網体60の複数の線材63は、短手方向に延びる複数の縦線63aと、長手方向に延びる複数の横線63bとから構成される。
【0071】
蓋網体60の前後方向(矢印F-B方向)の両端の横線63bの離れる距離は、支柱10に一対の網体20を固定した状態における一対の網体20の正面部21の横線23bどうしの離れる距離と略同一に設定される。その結果、蓋網体60を一対の網体20の上部に配置した状態で、蓋網体60の前後方向の両端の横線63bが一対の網体20の正面部21の横線23bの上部に位置される。
【0072】
蓋固定部材70は、平板状の金属から構成される断面略コ字状の部材である。対向する一対の挟持片71と、その一対の挟持片71のそれぞれの一端に接続される連続片72とを備える。一対の挟持片71のうちの一方の挟持片71には、ナット73が設けられ、他方の挟持片71には、一方の挟持片71のナット73に対応する部分に挿通部74が設けられる。ナット73が設けられる側の挟持片71(一方の挟持片71)の他端側には、他方の挟持片71に対向する方向とは反対側に屈曲する案内部75が設けられる。本実施形態では、蓋固定部材70は、いわゆるクリップナットとして構成される。
【0073】
一対の挟持片71のそれぞれにナット73又は挿通部74が形成される位置は、連続片72から線材63(横線63b)の直径と線材23(横線23b)の直径とを足した距離よりも挟持片71の他端側に位置する。
【0074】
蓋網体60は、支柱10にすべての一対の網体20が固定された後に、最上部の一対の網体20が形成する開口を閉じるように覆う。蓋固定部材70の一対の挟持片71は、挿通部74が形成される側の挟持片71をフェンス1の外側に向け、ナット73が形成される側の挟持片71をフェンス1の内側に向けて、蓋網体60の前後方向の両端の横線63bと一対の網体20の正面部21の横線23bとを挟持するように他端側から押し込む。
【0075】
そのため、網体20及び蓋網体60の外側からねじ76を挿通部74に挿通させてナット73に締結することができる。よって、網体20及び蓋網体60の内側からねじ76を締結する場合と比較して、ねじ76を一対の挟持片71のナット73に締結する作業の作業性を向上できる。
【0076】
蓋固定部材70は、蓋網体60の前後方向(矢印F-B方向)の両端の横線63bと、正面部21の横線23bとを同時に挟持した状態で、ナット73が締結されるので、蓋固定部材70によって蓋網体60が一対の網体20に固定される。
【0077】
次に、図7(a)を参照して、第2実施形態におけるフェンス101について説明する。上記第1実施形態では、一対の網体20の両方が側面部22を備える場合について説明したが、これに対して、一対の網体120のうちの一方の網体(前網120a)が側面部122aを備え、他方の網体(後網120b)が正面部121bのみを備える場合について説明する。
【0078】
図7(a)は、第2実施形態におけるフェンス101の断面図である。図7(a)は、第1実施形態におけるフェンス1の図2(b)に対応する部分を示す図である(図7(b)においても同様)。なお、上記第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0079】
図7(a)に示すように、一対の網体120は、前方(矢印F方向)側に配置される前網120aと、後方(矢印B方向)側に配置される後網120bとを備える。前網120aは、平板状の網状体の両端を折り曲げて形成される側面部122aと、その側面部122aの間の正面部121aとを備え、後網120bは、平板状の網状体である正面部121bを備える。
【0080】
後網120bを支柱10へ取り付ける方法を説明する。後網120bは、正面部121bの左右方向(矢印L-R方向)の両端の縦線23aが網固定部材30の囲繞部32と、支柱10の後方(矢印B方向)側の外面13とで取り囲まれるようにして、支柱10に固定される。なお、前網120aを支柱10へ取り付ける方法は、第1実施形態の網体20を支柱10へ取り付ける方法と同一であるため、その説明を省略する。
【0081】
第2実施形態のフェンス101によれば、一方側の網体(前網120a)が側面部122aを備え、他方側の網体(後網120b)が正面部121bのみを備えるので、フェンス101の1の網体(後網120b)が形成する壁面をフラットな面にできる。例えば、後網120bが形成する壁面(フラット面)を人と面する側に設置することで、人と面する側に隙間が形成されないので、手や足がフェンスの隙間に挟まれることを防止できる。
【0082】
次に、図7(b)を参照して、第3実施形態におけるフェンス201について説明する。上記第1実施形態では、網固定部材30は、支柱10を挟んで左右方向(矢印L-R方向)に対向する網体20どうし(前方(矢印F方向)の網体20どうし、又は、後方(矢印B方向)の網体20どうし)を固定する場合について説明したが、これに対して、第3実施形態では、網固定部材30は、支柱10を挟んで前後方向(矢印F-B方向)に対向する一対の網体20どうしを固定する場合について説明する。この場合、支柱10は、穴13a及びターンナット13bが設けられる外面13が左右方向(固形物が充填される一対の網体20が対向する方向と直交する方向)を向く面とされ、側面部22の端部22aは、最も先端側の縦線23aとされる。図7(b)は、第3実施形態におけるフェンス201の断面図である。なお、上記各実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0083】
図7(b)に示すように、前後方向(矢印F-B方向)に対向する一対の網体20の側面部22の端部22aと、網固定部材30とは、支柱10の左右方向(矢印L-R方向)の外面13に配置される。側面部22の端部22aの縦線23aが網固定部材30の囲繞部32と、支柱10の左右方向の外面13とに取り囲まれて、網体20が支柱10に固定される。
【0084】
第3実施形態のフェンス201によれば、網固定部材30の被取着部31が、一対の網体20の内側に配置されるので、一対の網体20の対向間に固形物を充填させれば、被取着部31が外側に露出しないようにできる。その結果、支柱10の外側に露出する部分を少なくでき、外観を良好にできる。また、被取着部31を固定するねじが外されることによるいたずらを防止することができる。
【0085】
この場合、囲繞部32と、支柱10の外面13とで取り囲まれる部分の左右方向(矢印L-R方向)の距離は、縦線23aの左右方向(矢印L-R方向)への移動を規制するように縦線23aの直径の大きさと略同一に設定されても良い。即ち、被取着部31の面から立設部が立設する距離が縦線23aの直径の大きさと略同一に設定されても良い。この場合、囲繞部32の平面部と支柱10の外面13とで縦線23aを挟み易くできるので、網体20の左右方向の位置ずれを発生し難くできる。
【0086】
次に、図8(a)及び図8(b)を参照して、第4実施形態におけるフェンス301について説明する。上記第1実施形態では、連結部材50が縦線23a(又は、縦線83a)に係合される場合について説明したが、これに対して、第4実施形態では、連結部材350が横線23b(又は、横線83b)に係合される場合について説明する。この場合、網体20(又は、屈曲網体80)の幅広部A2は、隣り合う縦線23a(又は、縦線83a)どうしの離れる距離が広い部分とされ、網体20の幅狭部B2は、隣り合う縦線23a(又は、縦線83a)どうしの離れる距離が幅広部A2よりも狭い部分とされる。
【0087】
図8(a)は、第4実施形態におけるフェンス301の部分拡大図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb-VIIIb線におけるフェンス301の断面図である。図8(a)は、第1実施形態のフェンス1における図5(a)に対応し、図8(b)は、第1実施形態のフェンス1における図5(b)に対応する部分を示した図である。なお、上記各実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0088】
図8(a)及び図8(b)に示すように、第4実施形態では、連結部材350は、平面視略H字状の部材である。連結部材350は、平面視矩形の平板状の本体部352と、その本体部352の矩形を形成する4辺のうちの対向する2辺から垂直に延びる係合片351とを備える。それぞれの係合片351は、断面C字状に形成され、そのC字状の両端が係合部351a,351bとされる。係合部351a,351bの左右方向(矢印L-R方向)の幅の寸法は、幅狭部B2の隣り合う縦線23aどうしが離れる距離よりもやや小さく設定される。
【0089】
連結部材350は、係合片351が上下方向(矢印U-D方向)に隣り合う網体20の上端と下端とをそれぞれ連結する。連結部材350の係合部351aには、上方(矢印U方向)に位置する網体20の横線23bが係合され、連結部材350の係合部351bには、下方(矢印D方向)に位置する網体20の横線23bが係合される。さらに、連結部材350は、前後方向(矢印F-B方向)に対向する横線23bどうしも連結する。連結部材350の係合部351a,351bが幅狭部B2に配置される。
【0090】
連結部材350は、対向方向(前後方向(矢印F-B方向))に配置される一対の網体20どうしを連結しつつ、上下方向(矢印U-D方向)に隣り合う網体20どうしを連結するので、充填された固形物の重量により一対の網体20が対向間隔を拡大させる方向に変形することと、上下に隣接する組の網体20どうしの間隔が拡大する(支柱10の立設方向に分離する)こととを1の部材(連結部材350)により低減できる。
【0091】
連結部材50の各係合部は、左右方向(矢印L-R方向)の幅の寸法が幅狭部B2の隣り合う縦線23aどうしが離れる距離よりもやや小さく設定され、幅狭部B2に配置されるので、幅狭部B2の縦線23aが連結部材350の左右方向の移動を規制する。よって、上下方向(矢印U-D方向)に隣り合う網体20どうしの左右方向への移動を規制し、網体20どうしの左右方向の相対位置がずれることを抑制できる。
【0092】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0093】
上記各実施形態では、フェンス1,101,201,301は、家屋の外側に設置される屋外の仕切りや塀などに用いられる場合について説明したが、鉄道の線路沿いのフェンスに用いられても良い。
【0094】
上記各実施形態では、一対の網体20(屈曲網体80)が上下方向(矢印U-D方向)に複数枚連結される場合について説明したが、一対の網体20(屈曲網体80)は上下方向に一枚であっても良い。この場合、連結部材50,350を不要にできる。
【0095】
上記各実施形態では、網固定部材30の囲繞部32が被取着部31の両端に形成される場合について説明したが、囲繞部32は、被取着部31の一方の端に形成されるものであっても良い。
【0096】
上記各実施形態では、屈曲網体80の屈曲面部81a,81bは1か所で屈曲される場合(図3参照)について説明したが、屈曲面部81a,81bは、複数か所で屈曲されても良い。
【0097】
上記各実施形態では、屈曲網体80の屈曲面部81a,81bはその中心で屈曲される場合について説明したが、屈曲された後の面の長さの比が異なる部分で屈曲されても良い。この場合、例えば、屈曲された後の面の長さの比が1:2や1:3とされる。
【0098】
上記各実施形態では、フェンス1,101,201,301の最終端の部分は、被取着部31の両端から張り出す囲繞部32のうちの網体20(屈曲網体80)が配置される側とは反対側の囲繞部32によって側面部22の端部22a(端部82a1,82b1)が支柱10に固定される場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。フェンス1,101,201,301の最終端の部分は、被取着部31の両端から張り出す囲繞部32のうちの網体20(屈曲網体80)が配置される側の囲繞部32によって側面部22の端部22a(端部82a1,82b1)が支柱10に固定されても良い。
【0099】
上記各実施形態では、第1フック部材40を網体20に係合させ、第2フック部材90を屈曲網体80に係合させる場合について説明したが、第1フック部材40を屈曲網体80に係合させ、第2フック部材90を網体20に係合させても良い。また、第1フック部材40を一対の網体20及び一対の屈曲網体80の両方に係合させても良いし、第2フック部材90を一対の網体20及び一対の屈曲網体80の両方に係合させても良い。
【0100】
上記各実施形態では、第1フック部材40、第2フック部材90及び連結部材50のそれぞれの係合部(第1係合部41、第2係合部91及び係合部51)が一対の網体20、又は、一対の屈曲網体80が対向する一方側と他方側とで同一の方向に曲げられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。係合部は、一対の網体20、又は、一対の屈曲網体80が対向する一方側と他方側とで異なる方向に曲げられても良い。
【0101】
上記各実施形態では、フェンス1,101,201,301が蓋網体60及び蓋固定部材70を備える場合について説明したが、蓋網体60及び蓋固定部材70を省略しても良い。
【0102】
上記各実施形態では、蓋網体60が平板状の網状体を折り曲げて天面部61と斜面部62とを備える形状とされる場合について説明したが、蓋網体60は、平板状の網状体をそのまま使用するものであっても良い。
【0103】
上記各実施形態では、第1フック部材40及び第2フック部材90が縦線23a,83aに係合される場合について説明したが、第1フック部材40及び第2フック部材90は、横線23b,83bに係合されても良い。この場合、第4実施形態の網体20(屈曲網体80)を使用して、幅狭部B2に第1フック部材40又は第2フック部材90が係合されることが好ましい。
【0104】
第1実施形態から第3実施形態では、網体20(屈曲網体80)が幅広部A1及び幅狭部B1を備え、第4実施形態では、網体20(屈曲網体80)が幅広部A2及び幅狭部B2を備える場合について説明したが、網体20(屈曲網体80)は、幅広部A1,A2及び幅狭部B1,B2を備えるものであっても良いし、縦線23a,83a及び横線23b,83bの隣り合う距離がいずれも同一のものであっても良い。
【0105】
第1実施形態、第2実施形態および第4実施形態では、網体20の支柱10への取付状態(端部22aの縦線23aが囲繞部32に当接する状態)において、端面23b1が支柱10の外面13に突き当たる場合について説明したが、網体20の支柱10への取付状態において、端面23b1が支柱10の外面13から離れるように縦線23aよりも先端側の横線23bの長さを短くしても良い。
【符号の説明】
【0106】
1,101,201,301 フェンス
10 支柱
13 外面
20,120 網体
21,121a,121b 正面部
22,122a 側面部
22a 端部
23,63,83 線材
30 網固定部材
31 被取着部
32 囲繞部
40 第1フック部材
41 第1係合部
50,350 連結部材
60,100 蓋網体
70 蓋固定部材
71 挟持片
73 ナット(めねじ)
74 挿通部
80 屈曲網体
81a,81b 屈曲面部
82a,82b 側面部
82a1,82b1 端部
90 第2フック部材
91 第2係合部
La 係合代
Lb 係合代
G 地面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8