(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010307
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】光検出装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
H01L27/146 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】36
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111571
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小野 瑞生
(72)【発明者】
【氏名】安藤 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】土井 浩平
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118BA14
4M118CA03
4M118DD04
4M118DD12
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA33
4M118GA02
4M118GB07
4M118GB11
4M118GB12
4M118GC07
4M118GD04
4M118GD07
4M118HA33
(57)【要約】
【課題】 負バイアスの伝送路を比較的容易に形成可能な光検出装置を提供する。
【解決手段】 導体基板の光電変換部間の領域に貫通トレンチ部を備えるようにした。そして、貫通トレンチ部を、半導体基板の裏面側に形成され、裏面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに裏面と反対側の表面側に形成され、第1のトレンチ部のそ子面及び表面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有するものとした。また、第1のトレンチ部の幅を第2のトレンチ部の幅よりも広くした。また、第2のトレンチ部内に配置された第2の導体からなる第2の導体部と、第2のトレンチ部の内側面と第2の導体部との間に配置された絶縁膜と、第1のトレンチ部内に配置され、第2の導体部の裏面側の端部と接し、且つ第1の導体からなる第1の導体部とを備えるようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、
前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズと、
前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部とを備え、
前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記第1面側に形成され、前記第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに前記第1面と反対側の第2面側に形成され、前記第1のトレンチ部の底面及び前記第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、前記第1のトレンチ部の幅が前記第2のトレンチ部の幅よりも広くなっており、
さらに、前記第1のトレンチ部内に配置された第1の導体からなる第1の導体部と、
前記第2のトレンチ部内に配置され、前記第1面側の端部が前記第1の導体部と接し、且つ前記第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部と、
前記第2のトレンチ部の内側面と前記第2の導体部との間に配置された絶縁膜とを備える
光検出装置。
【請求項2】
前記第1のトレンチ部の幅は、前記第2のトレンチ部の幅よりも100nm以上大きい
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記第2の導体部の前記第1面側の端部は、前記第1のトレンチ部の前記底面側の開口部から前記マイクロレンズ側に突出しており、
前記第1の導体部は、前記第1のトレンチ部内において、前記底面側の開口部から突出している前記第2の導体部の前記第1面側の端部と接している
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第1のトレンチ部の内面及び前記半導体基板の前記第1面を連続的に覆う固定電荷膜を備える
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第2の導体は、リン及びボロンの少なくとも一方が添加されたポリシリコンである
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第1の導体は、前記第2の導体よりも抵抗率が低い材料である
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記第1の導体は、金属材料又はITOである
請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記第1のトレンチ部の幅方向の中心及び前記第1の導体部の幅方向の中心のそれぞれは、前記第2のトレンチ部の幅方向の中心よりも前記二次元アレイの中心部側に位置している
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
さらに、前記半導体基板の前記第1面側に、入射光を回折させる回折構造を備える
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうち、前記二次元アレイの行方向に沿って延びている領域及び列方向に沿って延びている領域の一方又は両方に形成されている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうち、前記二次元アレイの行方向に沿って延びている領域と列方向に沿って延びている領域とが互いに交差する位置にのみ形成されており、
さらに、前記第1の導体部と前記マイクロレンズとの間に配置され、前記第1の導体部を互いに電気的に接続する第3の導体からなる第3の導体部を備える
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記第3の導体は、前記第1の導体と同じ材料、又は前記第2の導体よりも抵抗率が低い材料である
請求項11に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記第3の導体は、金属材料又はITOである
請求項12に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記第3の導体部は、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうち、前記二次元アレイの行方向に沿って延びている領域と重なる位置及び列方向に沿って延びている領域と重なる位置の一方又は両方に形成されている
請求項11に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記第2の導体部の前記第1面側の端部は、該端部が前記第2のトレンチ部内に位置するように、前記第1のトレンチ部の底面よりも前記第2面側に引っ込んでおり、
前記第1の導体部は、前記第2のトレンチ部内に入り込んで、前記第2の導体部の前記第1面側の端部と接している
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項16】
さらに、前記第1の導体部と前記第2のトレンチ部の内側面との間に配置された層間膜を備え、
前記層間膜は、絶縁膜、固定電荷膜又はそれらが積層された多層膜である
請求項15に記載の光検出装置。
【請求項17】
半導体基板と、
前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、
前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズと、
前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部と、
前記半導体基板の前記第1面を覆うように配置された固定電荷膜と、
前記固定電荷膜と前記マイクロレンズとの間に配置された第1の導体からなる第1の導体部と、
前記貫通トレンチ部内に配置され、前記第1面側の端部が前記第1の導体部と接し、且つ前記第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部と、
前記貫通トレンチ部の内側面と前記第2の導体部との間に配置された絶縁膜とを備え、
前記絶縁膜の前記第1面側の端部は、前記貫通トレンチ部の前記第1面側の開口部から前記マイクロレンズ側に突出している
光検出装置。
【請求項18】
前記第1の導体部は、前記光電変換部と前記マイクロレンズとの間に配置された透明導電膜である
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項19】
前記第1の導体部は、前記貫通トレンチ部と前記マイクロレンズとの間に配置された画素間遮光部である
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項20】
前記第2の導体部の前記第1面側の端部は、前記半導体基板の前記第1面からの前記第2の導体部の高さと、前記半導体基板の前記第1面からの前記絶縁膜の高さとが同一となるように、前記第1面よりも前記マイクロレンズ側に突出している
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項21】
前記第2の導体部の前記第1面側の端部は、前記半導体基板の前記第1面からの前記第2の導体部の高さが、前記第1面からの前記絶縁膜の高さよりも高くなるように、前記第1面よりも前記マイクロレンズ側に突出しており、
前記第1の導体部は、前記第2の導体部の前記第1面側の端部の頂面及び側面と接している
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項22】
前記貫通トレンチ部内には、複数種類の導体が配置されている
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項23】
前記半導体基板の前記第1面に、前記第1面と反対側の第2面側に窪んだ凹構造を備える
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項24】
複数の前記マイクロレンズは、隣り合う2以上の前記光電変換部からなる1つの光電変換部群に対して1つ配置される共有型のマイクロレンズを含んでいる
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項25】
前記貫通トレンチ部は、前記光電変換部を挟んで互いに対向する部分に、前記光電変換部の内側に突出している突出部を有する
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項26】
前記光電変換部間の領域のうちの、前記貫通トレンチ部が形成された領域以外の領域に形成され、前記半導体基板の前記第1面又は前記第1面と反対側の第2面の一方にのみ開口部を有する有底のトレンチ部を備える
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項27】
前記半導体基板を有する第1の基板、画素トランジスタを有する第2の半導体基板、及びロジック回路を有する第3の半導体基板がこの順に積層された積層構造を有する
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項28】
半導体基板と、
前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、
前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズと、
前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部とを備え、
前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記第1面側に形成され、前記第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに前記第1面と反対側の第2面側に形成され、前記第1のトレンチ部の底面及び前記第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、前記第1のトレンチ部の幅が前記第2のトレンチ部の前記第1のトレンチ部との境界部の幅よりも広くなっており、
さらに、前記第1のトレンチ部内及び前記第2のトレンチ部内に配置された導体部と、
前記第1のトレンチ部の内側面と前記導体部との間、並びに前記第2のトレンチ部の内側面と前記導体部との間に配置された絶縁膜とを備え、
前記光電変換部は、第1の導電型の半導体領域を含み、
前記半導体基板は、前記光電変換部と前記貫通トレンチ部との間に、前記第1のトレンチ部の内側面及び前記第2のトレンチ部の内側面に連続的に沿うように形成された、前記第1の導電型とは逆導電型の半導体領域からなるピニング領域を有している
光検出装置。
【請求項29】
前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうち、前記二次元アレイの行方向に沿って延びている領域と列方向に沿って延びている領域とが互いに交差する位置における、前記第1のトレンチ部と前記第2のトレンチ部との界面は、その他の位置の前記界面に比べて、前記第1面に近い側に形成されている
請求項28に記載の光検出装置。
【請求項30】
前記第1のトレンチ部は、前記半導体基板の前記第1面側に向かうほど幅が大きくなっており、前記第1のトレンチ部の前記第1面側の端部の幅が前記第2のトレンチ部の前記第1のトレンチ部との境界部の幅よりも広くなっている
請求項28に記載の光検出装置。
【請求項31】
前記導体部は、前記半導体基板の前記第1面側に形成された第1の導体部と、前記半導体基板の前記第2面側に形成された第2の導体部とを有し、
前記第1の導体部と前記第2の導体部とが互いに異なる材料で形成されている
請求項28に記載の光検出装置。
【請求項32】
前記第1の導体部の材料は、前記第2の導体部の材料よりも抵抗率が低い材料である
請求項31に記載の光検出装置。
【請求項33】
前記第2の導体部の材料は、リン及びボロンの少なくとも一方が添加されたポリシリコンである
請求項31に記載の光検出装置。
【請求項34】
半導体基板、前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズ、及び前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部を有し、前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記第1面側に形成され、前記第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに前記第1面と反対側の第2面側に形成され、前記第1のトレンチ部の底面及び前記第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、前記第1のトレンチ部の幅が前記第2のトレンチ部の幅よりも広くなっており、さらに、前記第1のトレンチ部内に配置された第1の導体からなる第1の導体部、前記第2のトレンチ部内に配置され、前記第1面側の端部が前記第1の導体部と接し、且つ前記第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部、及び前記第2のトレンチ部の内側面と前記第2の導体部との間に配置された絶縁膜を有する光検出装置を備える
電子機器。
【請求項35】
半導体基板、前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズ、前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部、前記半導体基板の前記第1面を覆うように配置された固定電荷膜、前記固定電荷膜と前記マイクロレンズとの間に配置された第1の導体からなる第1の導体部、前記貫通トレンチ部内に配置され、前記第1面側の端部が前記第1の導体部と接し、且つ前記第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部、及び前記貫通トレンチ部の内側面と前記第2の導体部との間に配置された絶縁膜を備え、前記絶縁膜の前記第1面側の端部は、前記貫通トレンチ部の前記第1面側の開口部から前記マイクロレンズ側に突出している光検出装置を備える
電子機器。
【請求項36】
半導体基板、前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズ、及び前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部を備え、前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記第1面側に形成され、前記第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに前記第1面と反対側の第2面側に形成され、前記第1のトレンチ部の底面及び前記第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、前記第1のトレンチ部の幅が前記第2のトレンチ部の前記第1のトレンチ部との境界部の幅よりも広くなっており、さらに、前記第1のトレンチ部内及び前記第2のトレンチ部内に配置された導体部、及び前記第1のトレンチ部の内側面と前記導体部との間、並びに前記第2のトレンチ部の内側面と前記導体部との間に配置された絶縁膜を備え、前記光電変換部は、第1の導電型の半導体領域を含み、前記半導体基板は、前記光電変換部と前記貫通トレンチ部との間に、前記第1のトレンチ部の内側面及び前記第2のトレンチ部の内側面に連続的に沿うように形成された、前記第1の導電型とは逆導電型の半導体領域からなるピニング領域を有している光検出装置を備える
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術(本開示に係る技術)は、光検出装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、半導体基板と、半導体基板に二次元アレイ状に形成された光電変換部と、光電変換部間に形成された貫通トレンチ部と、貫通トレンチ部内に配置された導体部と、貫通トレンチ部の内側面と導体部との間に配置された絶縁膜と、半導体基板の受光面側において貫通トレンチ部に沿うように形成された画素間遮光部と、を備える光検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の光検出装置では、導体部と画素間遮光部とがコンタクトを介して接続されており、画素領域の外側から画素間遮光部及びコンタクトを通して導体部に負バイアスを印加することで、暗電流の発生を抑制可能となっている。また、導体部に画素間遮光部が接続されているので、画素間遮光部の分だけ負バイアスの伝送路の抵抗値を低減でき、IRドロップを抑制可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、画素の微細化が進みつつあるが、特許文献1に記載の光検出装置では、画素の微細化が進むと、導体部とコンタクトとの合わせずれに対するマージンが少なくなるため、コンタクトが導体部を踏み外す可能性が高くなり、導体部と画素間遮光部との接続の形成が難しくなる。それゆえ、負バイアスの伝送路の形成が難しくなる。
【0005】
本開示は、負バイアスの伝送路を比較的容易に形成可能な光検出装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の光検出装置は、(a)半導体基板と、(b)半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、(c)半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズと、(d)半導体基板の光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部とを有し、(e)貫通トレンチ部は、半導体基板の第1面側に形成され、第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに第1面と反対側の第2面側に形成され、第1のトレンチ部の底面及び第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、(f)第1のトレンチ部の幅が第2のトレンチ部の幅よりも広くなっており、(g)さらに、第1のトレンチ部内に配置された第1の導体からなる第1の導体部と、(h)第2のトレンチ部内に配置され、第1面側の端部が第1の導体部と接し、且つ第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部と、(i)第2のトレンチ部の内側面と第2の導体部との間に配置された絶縁膜とを備えることを要旨とする。
【0007】
本開示の他の光検出装置は、(a)半導体基板と、(b) 半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、(c)半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズと、(d)半導体基板の光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部と、(e)半導体基板の第1面を覆うように配置された固定電荷膜と、(f)固定電荷膜とマイクロレンズとの間に配置された第1の導体からなる第1の導体部と、(g)貫通トレンチ部内に配置され、第1面側の端部が第1の導体部と接し、且つ第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部と、(h)貫通トレンチ部の内側面と第2の導体部との間に配置された絶縁膜とを備え、(i)絶縁膜の第1面側の端部は、貫通トレンチ部の第1面側の開口部からマイクロレンズ側に突出していることを要旨とする。
【0008】
本開示の他の光検出装置は、(a)半導体基板と、(b)半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、(c)半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズと、(d)半導体基板の光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部とを備え、(e)貫通トレンチ部は、半導体基板の第1面側に形成され、第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに第1面と反対側の第2面側に形成され、第1のトレンチ部の底面及び第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、第1のトレンチ部の幅が第2のトレンチ部の第1のトレンチ部との境界部の幅よりも広くなっており、(f)さらに、第1のトレンチ部内及び第2のトレンチ部内に配置された導体部と、(g)第1のトレンチ部の内側面と導体部との間、並びに第2のトレンチ部の内側面と導体部との間に配置された絶縁膜とを備え、(h)光電変換部は、第1の導電型の半導体領域を含み、(i)半導体基板は、光電変換部と貫通トレンチ部との間に、第1のトレンチ部の内側面及び第2のトレンチ部の内側面に連続的に沿うように形成された、第1の導電型とは逆導電型の半導体領域からなるピニング領域を有していることを要旨とする。
【0009】
本開示の電子機器は、(a)半導体基板、(b)半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、(c)半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズ、(d)及び半導体基板の光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部を有し、(e)貫通トレンチ部は、半導体基板の第1面側に形成され、第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに第1面と反対側の第2面側に形成され、第1のトレンチ部の底面及び第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、(f)第1のトレンチ部の幅が第2のトレンチ部の幅よりも広くなっており、(g)さらに、第1のトレンチ部内に配置された第1の導体からなる第1の導体部、(h)第2のトレンチ部内に配置され、第1面側の端部が第1の導体部と接し、且つ第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部、(i)及び第2のトレンチ部の内側面と第2の導体部との間に配置された絶縁膜を有する光検出装置を備えることを要旨とする。
【0010】
本開示の他の電子機器は、(a)半導体基板、(b)半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、(c)半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズ、(d)半導体基板の光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部、(e)半導体基板の第1面を覆うように配置された固定電荷膜、(f)固定電荷膜とマイクロレンズとの間に配置された第1の導体からなる第1の導体部、(g)貫通トレンチ部内に配置され、第1面側の端部が第1の導体部と接し、且つ第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部、(h)及び貫通トレンチ部の内側面と第2の導体部との間に配置された絶縁膜を備え、(i)絶縁膜の第1面側の端部は、貫通トレンチ部の第1面側の開口部からマイクロレンズ側に突出している光検出装置を備えることを要旨とする。
【0011】
本開示の他の電子機器は、(a)半導体基板、(b)半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、(c)半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズ、(d)及び半導体基板の光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部を備え、(e)貫通トレンチ部は、半導体基板の第1面側に形成され、第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに第1面と反対側の第2面側に形成され、第1のトレンチ部の底面及び第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、第1のトレンチ部の幅が第2のトレンチ部の第1のトレンチ部との境界部の幅よりも広くなっており、(f)さらに、第1のトレンチ部内及び第2のトレンチ部内に配置された導体部、(g)及び第1のトレンチ部の内側面と導体部との間、並びに第2のトレンチ部の内側面と導体部との間に配置された絶縁膜を備え、(h)光電変換部は、第1の導電型の半導体領域を含み、(i)半導体基板は、光電変換部と貫通トレンチ部との間に、第1のトレンチ部の内側面及び第2のトレンチ部の内側面に連続的に沿うように形成された、第1の導電型とは逆導電型の半導体領域からなるピニング領域を有している光検出装置を備えることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成を示す図である。
【
図2】
図1のA-A’線で破断した場合の、固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図3】
図1のB領域における、第1のトレンチ部及び第2のトレンチ部の平面構成を示す図である。
【
図4】比較例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図6】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図7】
図6に示した第1のトレンチ部及び第2のトレンチ部の平面構成を示す図である。
【
図8】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図9】
図8に示した第1のトレンチ部及び第2のトレンチ部の平面構成を示す図である。
【
図10】変形例に係る固体撮像装置の第1のトレンチ部及び第2のトレンチ部の平面構成を示す図である。
【
図11】
図10のC-C’線で破断した場合の固体撮像装置1の断面構成を示す図である。
【
図12】変形例に係る固体撮像装置の第1のトレンチ部及び第2のトレンチ部の平面構成を示す図である。
【
図13】
図12のD-D’線で破断した場合の固体撮像装置1の断面構成を示す図である。
【
図14】変形例に係る固体撮像装置の第1のトレンチ部、第2のトレンチ部及び第3の導体部の平面構成を示す図である。
【
図15】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図16】第2の実施形態に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図17】比較例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図18A】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図18B】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図18C】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図18D】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図18E】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図18F】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図19】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図20】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図21】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図22】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図23】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図24】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図25】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図26】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図28】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図29】
図28に示した貫通トレンチ部の平面構成を示す図である。
【
図30】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図31】第3の実施形態に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図32】
図1のB領域における、第1のトレンチ部の平面構成を示す図である。
【
図33】クロス部及びスリット部の断面構成を示す図である。
【
図34A】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34B】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34C】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34D】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34E】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34F】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34G】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34H】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34I】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34J】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34K】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34L】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図34M】固体撮像装置の製造方法を示す図である。
【
図35】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図36】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図37】変形例に係る固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【
図38】第4の実施形態に係る電子機器の概略構成示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示の実施形態に係る光検出装置及び電子機器の一例を、
図1~
図38を参照しながら説明する。本開示の実施形態は以下の順序で説明する。なお、本開示は以下の例に限定されるものではない。また、本明細書に記載された効果は例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0014】
1.第1の実施形態:固体撮像装置
1-1 固体撮像装置の全体の構成
1-2 要部の構成
1-3 固体撮像装置の製造方法
1-4 変形例
2.第2の実施形態:固体撮像装置
2-1 要部の構成
2-2 固体撮像装置の製造方法
2-3 変形例
3.第3の実施形態:固体撮像装置
3-1 要部の構成
3-2 固体撮像装置の製造方法
3-3 変形例
4.第4の実施形態:電子機器への応用例
【0015】
〈1.第1の実施形態:固体撮像装置〉
[1-1 固体撮像装置の全体の構成]
本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置1(広義には「光検出装置」)について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る固体撮像装置1の全体構成を示す図である。
図1の固体撮像装置1は、裏面照射型のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
図38に示すように、固体撮像装置1(1002)はレンズ群1001を介して、被写体からの像光(入射光)を取り込み、撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
図1に示すように、固体撮像装置1は、画素領域2と、垂直駆動回路3と、カラム信号処理回路4と、水平駆動回路5と、出力回路6と、制御回路7とを備えている。
【0016】
画素領域2は、半導体基板8上において、二次元アレイ状に配列された複数の画素9を有している。画素9は、
図2に示した光電変換部19と、複数の画素トランジスタとを有している。複数の画素トランジスタとしては、例えば、転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅トランジスタ、及び選択トランジスタが挙げられる。
垂直駆動回路3は、例えば、シフトレジスタによって構成され、所望の画素駆動配線10を選択し、選択した画素駆動配線10に画素9を駆動するためのパルスを供給し、各画素9を行単位で駆動する。即ち、垂直駆動回路3は、画素領域2の各画素9を行単位で順次垂直方向に選択走査し、各画素9の光電変換部19において受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線11を通してカラム信号処理回路4に供給する。
【0017】
カラム信号処理回路4は、例えば、画素9の列毎に配置されており、1行分の画素9から出力される信号に対して画素列毎にノイズ除去等の信号処理を行う。例えばカラム信号処理回路4は画素固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)及びAD(Analog Digital)変換等の信号処理を行う。
水平駆動回路5は、例えば、シフトレジスタによって構成され、水平走査パルスをカラム信号処理回路4に順次出力して、カラム信号処理回路4の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路4の各々から信号処理が行われた画素信号を水平信号線12に出力させる。
【0018】
出力回路6は、カラム信号処理回路4の各々から水平信号線12を通して、順次に供給される画素信号に対し信号処理を行って出力する。信号処理としては、例えば、バファリング、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等を用いることができる。
制御回路7は、垂直同期信号、水平同期信号、及びマスタクロック信号に基づいて、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4、及び水平駆動回路5等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路7は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4、及び水平駆動回路5等に出力する。
【0019】
[1-2 要部の構成]
次に、固体撮像装置1の詳細構造について説明する。
図2は、
図1のA-A’線で破断した場合の、固体撮像装置1の断面構成を示す図である。
図2に示すように、固体撮像装置1は、半導体基板8、固定電荷膜13、及び絶縁膜14がこの順に積層されてなる受光層15が配置されている。また、受光層15の絶縁膜14側の面(以下、「裏面S1」とも呼ぶ)には、各画素9に対応するように二次元アレイ状に配列された、複数のカラーフィルタ16、及び複数のマイクロレンズ17がこの順に配置されている。即ち、複数のマイクロレンズ17は、半導体基板8の受光面(以下、「裏面S2」とも呼ぶ。広義には「第1面」)側に配置されている。さらに、受光層15の半導体基板8側の面(以下、「表面S3」とも呼ぶ)には、配線層18が配置されている。なお、以下では、半導体基板8の受光面と反対側の面(広義には「第2面」)も「表面S3」と記載する。
【0020】
半導体基板8は、例えば、シリコン(Si)基板によって構成されている。半導体基板8には、各画素9の領域それぞれに光電変換部19が形成されている。即ち、光電変換部19は、半導体基板8に二次元アレイ状に形成されている。光電変換部19には、半導体基板8の裏面S2側から表面S3側に順に、p型半導体領域20と、n型半導体領域21と、pwell領域22とが形成されている。そして、光電変換部19は、pn接合によってフォトダイオードを構成し、受光量に応じた電荷を生成する。また、光電変換部19は、pn接合で生じる静電容量(接合容量)に光電変換で生成した電荷を蓄積する。
【0021】
また、半導体基板8には、光電変換部19間の領域のうちの少なくとも一部に貫通トレンチ部23が形成されている。
図2では、貫通トレンチ部23を、半導体基板8の光電変換部19間の領域のうち、光電変換部19の二次元アレイの行方向に沿って延びている領域及び列方向に沿って延びている領域の両方に形成した場合を例示している。即ち、光電変換部19間の領域すべてに、格子状に貫通トレンチ部23が形成されている。貫通トレンチ部23は、半導体基板8の厚さ方向に半導体基板8を貫通して形成されている。貫通トレンチ部23は、半導体基板8の裏面S2側に形成された第1のトレンチ部24と、半導体基板8の表面S3側に形成された第2のトレンチ部25とを有している。第1のトレンチ部24は、半導体基板8の裏面S2に開口部26を有し、開口部26から半導体基板8の深さ方向に形成されている。また、第2のトレンチ部25は、半導体基板8の表面S3及び第1のトレンチ部24の底面S4のそれぞれに開口部28,29を有し、開口部28から半導体基板8の深さ方向に形成されている。また、第1のトレンチ部24の幅W
1は、第2のトレンチ部25の幅W
2よりも広くなっている。好ましくは、第1のトレンチ部24の幅W
1は、第2のトレンチ部25の幅W
2よりも100nm以上大きくする。
また、
図3に示すように、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、第2のトレンチ部25の幅方向の中心は、第1のトレンチ部24の幅方向の中心と重なるように位置している。
図3は、
図1のB領域における、第1のトレンチ部24及び第2のトレンチ部25の平面構成を示す図である。
図3では、マイクロレンズ17等、他の構成は省略している。
【0022】
第2のトレンチ部25の内部には、半導体基板8の表面S3側から第1のトレンチ部24の底面S4側まで、所定の導体(以下、「第2の導体」とも呼ぶ)からなる第2の導体部30が配置されている。第2の導体部30は、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、各光電変換部19を囲むように、貫通トレンチ部23と同一の格子状に形成されている。これにより、第2の導体部30に負バイアスを印加することで、光電変換部19の第2のトレンチ部25側を高ホール濃度状態(ホールアキュミレーション状態)とすることができ、貫通トレンチ部23の周囲における暗電流の発生を抑制することができる。第2の導体部30の裏面S2側の端部27は、底面S4側の第2のトレンチ部25の開口部29からマイクロレンズ17側に突出している。これにより、第2の導体部30の端部27は、第1のトレンチ部24内(第1のトレンチ部24の開口部26と底面S4との間)に位置し、第1の導体部33と接することで、第1の導体部33と電気的に接続されている。
【0023】
第2の導体部30の材料(第2の導体)としては、例えば、リン(P)及びボロン(B)の少なくとも一方が添加されたポリシリコンを採用できる。ここで、例えば、第2の導体として、タングステン、アルミニウム等の金属を用いた場合、金属は光の吸収率が高いため、量子効率QEが低下する可能性がある。また、金属を用いた場合、金属が光電変換部19内に拡散する可能性がある。これに対し、第1の実施形態では、第2の導体として、リンやボロンが添加されたポリシリコンを用いることで、光の吸収率が低いため、量子効率QEの低下を抑制でき、また、光電変換部19内への金属の拡散を防止できる。
【0024】
第2のトレンチ部25の内側面と第2の導体部30との間には、絶縁膜31が配置されている。絶縁膜31は、第2のトレンチ部25の内側面全体を被覆している。これにより、絶縁膜31は、第2の導体部30と光電変換部19とを電気的に絶縁している。絶縁膜31の裏面S2側の端部32は、第1のトレンチ部24の底面S4と同じ面内に位置している。また、絶縁膜31の材料としては、例えば、シリコン酸化物(SiO2)を採用できる。
【0025】
第1のトレンチ部24の内部には、第2の導体と異なる所定の導体(以下、「第1の導体」とも呼ぶ)からなる第1の導体部33が配置されている。第1の導体部33は、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、各光電変換部19を囲むように、貫通トレンチ部23及び第2の導体部30と同一の格子状に形成されている。第1の導体部33は、第1のトレンチ部24内において、底面S4側の第2のトレンチ部25の開口部26から突出している第2の導体部30の端部27と接している。即ち、第1の導体部33は、第2の導体部30の端部27を覆って、第2の導体部30に電気的に接続される。これにより、第1の導体部33は、第2の導体部30の各部と接続された格子状の配線として機能し、負バイアスの伝送路の抵抗値を全体として低減でき、伝送路の抵抗成分による負バイアスの電位降下(IRドロップ)を抑制できる。それゆえ、画素領域2の外周から遠い画素9、つまり、画素領域2の中央部の画素9におけるシェーディング特性の悪化を抑制できる。
また、第1の導体部33は、第2の導体部30の端部27を覆うことで、端部27への光の入射を妨げる画素間遮光部としても機能する。また、第1の導体部33の幅W3は、第2の導体部30の幅W4よりも広くなっている。例えば、第1の導体部33の幅W3は、製造時に発生する第1の導体部33と第2の導体部30との合わせずれによっても、第1の導体部33が第2の導体部30を踏み外すことがなく、また、第1の導体部33の側面が第1のトレンチ部24の内側面に接触することがない幅となるように設計する。
【0026】
第1の導体部33の材料(第1の導体)としては、例えば、第2の導体部30の材料(第2の導体)よりも抵抗率が低い材料を採用できる。これにより、第1の導体部33の抵抗値を低下でき、画素領域2の外側から印加される負バイアスの電位降下(IRドロップ)をより適切に抑制できる。それゆえ、画素領域2の外周から遠い画素9、つまり、画素領域2の中央部の画素9における、シェーディング特性の悪化をより適切に抑制することができる。第2の導体よりも抵抗率が低い材料としては、例えば、金属材料(タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等)、ITO(Indium Tin Oxide)が挙げられる。
【0027】
固定電荷膜13は、半導体基板8の裏面S2(光電変換部19の裏面S2)、及び第1のトレンチ部24の内面(内側面、底面S4)を連続的に被覆している。即ち、固定電荷膜13は、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、各光電変換部19と重なるように、光電変換部19と同一の二次元アレイ状に配置される。これにより、光電変換部19の裏面S2側を高ホール濃度状態(ホールアキュミレーション状態)とすることができ、暗電流の発生を抑制することができる。
図2では、固定電荷膜13は、底面S4側の開口部26から突出している第2の導体部30の側面も被覆している。固定電荷膜13の材料としては、例えば、半導体基板8上に形成することで、固定電荷を発生させてピニングを強化させることが可能な、負の電荷を有する高屈折率材料膜又は高誘電体膜を採用できる。例えば、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)及びチタン(Ti)の少なくとも1つの元素を含む酸化物又は窒化物等が挙げられる。特に、半導体基板8上に形成することで、ブリスターの発生を抑制でき、半導体基板8の平面部から剥がれ難いという点から、酸化ハフニウム(HfO
2)がより好ましい。
【0028】
絶縁膜14は、固定電荷膜13の裏面S5側に配置され、受光層15の裏面S1側全体が平坦面となるように、固定電荷膜13の裏面S5及び第1の導体部33を連続的に被覆している。絶縁膜14の材料としては、例えば、シリコン酸化物(SiO2)を採用できる。
カラーフィルタ16は、マイクロレンズ17側から見た場合に、絶縁膜14の裏面S1側であって、各光電変換部19と重なる位置に配置されている。即ち、1つの光電変換部19に対して1つのカラーフィルタ16が形成されている。カラーフィルタ16としては、例えば、マイクロレンズ17が集光した光に含まれる所定波長の光を透過させる複数種類のフィルタを採用できる。これにより、カラーフィルタ16それぞれは、カラーフィルタ16に応じた所定波長の光を透過し、透過した光を光電変換部19に入射させる。
【0029】
マイクロレンズ17は、カラーフィルタ16の裏面S6側であって、各光電変換部19と重なる位置に配置されている。即ち、1つの光電変換部19に対して1つのマイクロレンズ17が形成されている。これにより、マイクロレンズ17それぞれは、被写体からの像光(入射光)を集光し、集光した入射光を、対応する光電変換部19内に入射させる。
配線層18は、半導体基板8の表面S3側に配置されている。配線層18は、層間絶縁膜34と、層間絶縁膜34を介して複数層に積層された配線(不図示)とを有している。そして配線層18は、複数層の配線を介して、各画素9の画素トランジスタを駆動する。
【0030】
以上の構成を有する固体撮像装置1では、半導体基板8の裏面S2側から光が照射され、照射された光がマイクロレンズ17及びカラーフィルタ16を透過し、透過した光が光電変換部19で光電変換されて信号電荷が生成される。そして、生成された信号電荷が、配線層18の配線で形成された
図1の垂直信号線11から画素信号として出力される。
また、第1の実施形態に係る固体撮像装置1では、第1のトレンチ部24の幅W
1を第2のトレンチ部25の幅W
2よりも広くした。それゆえ、第1のトレンチ部24内に配置する第1の導体部33の幅W
3を広くすることができ、第1の導体部33と第2の導体部30との接続箇所において、第1の導体部33が第2の導体部30を踏み外す可能性を低減できる。そのため、第1の導体部33と第2の導体部30とを比較的容易に接続できる。したがって、負バイアスの伝送路を比較的容易に形成することができる。
【0031】
ここで、例えば、
図4に示すように、第1のトレンチ部24が省略され、第2のトレンチ部25が半導体基板8の厚さ方向に半導体基板8を貫通し、第2の導体部30の裏面S2側の端部27が半導体基板8の裏面S2と同じ面内に位置する場合を考える。この場合、第1の導体部33と第2の導体部30との接続箇所において、第1の導体部33がずれると、第1の導体部33が半導体基板8と接続され、リーク電流を生じる可能性がある。
これに対し、第1の実施形態では、第2の導体部30の裏面S2側の端部27を、第1のトレンチ部24の底面S4側の開口部29からマイクロレンズ17側に突出させるようにした。そして、第1の導体部33を、第1のトレンチ部24内において、底面S4側の開口部26から突出している第2の導体部30の裏面S2側の端部27と接するようにした。そのため、第1の導体部33と第2の導体部30との接続時に、第1の導体部33と第2の導体部30との合わせずれが生じても、半導体基板8と第2の導体部30とが電気的に接続されることを防止することができ、リーク電流を抑制することができる。
【0032】
[1-3 固体撮像装置の製造方法]
次に、固体撮像装置1の製造方法について説明する。
まず、
図5Aに示すように、光電変換部19、第2のトレンチ部25、絶縁膜31及び第2の導体部30の形成、並びに薄肉化が行われた半導体基板8を用意する。第2のトレンチ部25としては、半導体基板8の表面S3側から掘り込んだ有底のトレンチ部を形成する。また、第2のトレンチ部25の底面S7は、
図2に示した固体撮像装置1の第2のトレンチ部25の開口部29よりも深い位置(裏面S2側の位置)に形成する。薄肉化の方法としては、例えば、特開2011-96851号公報に記載の方法を採用できる。
【0033】
続いて、リソグラフィー法及びドライエッチング法を用いて、
図5Bに示すように、半導体基板8の裏面S2側にエッチングを行い、半導体基板8の裏面S2側に第1のトレンチ部24を形成する。また、第1のトレンチ部24の底面S4は、
図5Aに示した第2のトレンチ部25の底面S7よりも深い位置(表面S3側の位置)に形成する。その際、絶縁膜31及び第2の導体部30をエッチングせずにそのまま残し、第1のトレンチ部24の底面S4から、絶縁膜14で被覆された第2の導体部30の端部27を突出させる。
【0034】
続いて、
図5Cに示すように、底面S4側の開口部26から突出している第2の導体部30の端部27から絶縁膜14を除去した後、半導体基板8の裏面S2側に固定電荷膜13を形成する。固定電荷膜13は、半導体基板8の裏面S2、第2のトレンチ部25の内面(内側面、底面S4)及び第2の導体部30の端部27を連続的に被覆するように形成する。続いて、
図5Dに示すように、固定電荷膜13の裏面S5側に絶縁膜14を形成した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、絶縁膜14の裏面S1側を平坦化させる。絶縁膜14は、第1のトレンチ部24内を絶縁膜14で埋めて形成する。
【0035】
続いて、リソグラフィー法及びドライエッチング法を用いて、
図5Eに示すように、絶縁膜14の裏面S1側にエッチングを行い、第1の導体部33の形成予定位置に溝35を形成する。溝35は、第2の導体部30の端部27が溝35の底面S8から露出されるように形成する。続いて、PVD(Physical Vapor Deposition)法を用いて、
図5Fに示すように、絶縁膜14の裏面S1側に第1の導体部33の材料(例えば、タングステン(W))からなる導体層36を形成する。導体層36は、溝35内を導体層36が埋め尽くすように形成する。続いて、CMP法を用いて、
図5Gに示すように、導体層36及び絶縁膜14の裏面S1側の部分を除去して、第1の導体部33を形成する。第1の導体部33は、溝35の底面S8において、第2の導体部30の端部27と接続される。
続いて、
図2に示すように、絶縁膜14の裏面S1側の部分を形成した後、絶縁膜14の裏面S1側にカラーフィルタ16及びマイクロレンズ17をこの順に形成する。
このような手順により、
図2に示した固体撮像装置1を製造する。
【0036】
[1-4 変形例]
(1)なお、第1の実施形態では、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、第1のトレンチ部24の幅方向の中心と、第2のトレンチ部25の幅方向の中心とが重なるように位置している例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図6及び
図7に示すように、第1のトレンチ部24の幅方向の中心と、第2のトレンチ部25の幅方向の中心とがずれていてもよい。一例としては、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、第1のトレンチ部24の幅方向の中心及び第1の導体部33の幅方向の中心のそれぞれが、第2のトレンチ部25の幅方向の中心よりも画素領域2(画素9の二次元アレイ)の中心部側に位置している構成としてもよい。これにより、画素領域2の端部側(高像高側)において、入射光が第1の導体部33にあたって遮られること抑制でき、画素領域2の中心部側(低像高側)の画素9と高像高側の画素9との出力バラツキを抑制することができる。
【0037】
(2)また、第1の実施形態では、半導体基板8の裏面S2側に、固定電荷膜13、絶縁膜14及び第1の導体部33が配置された第1のトレンチ部24(STI)を形成する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図8及び
図9に示すように、半導体基板8の裏面S2側に、入射光を回折させる回折構造37を更に形成してもよい。一例としては、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、回折構造37として、光電変換部19の中心部に角筒状の凹部が形成されている構成としてもよい。即ち、第1のトレンチ部24のSTIを形成するときに、マイクロレンズ17の直下に、第1の導体部33が配置されていないSTIを形成する。これにより、マイクロレンズ17で集光され入射した光が斜め方向に回折されることで、光路長が長くなり、量子効率QEを増加できる。
【0038】
(3)また、第1の実施形態では、貫通トレンチ部23を、半導体基板8の光電変換部19間の領域すべてに形成して、クロスパターンのレイアウトとする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図10及び
図11に示すように、貫通トレンチ部23を、光電変換部19間の領域のうちの一部にのみ貫通トレンチ部23が形成された構成(ストライプパターンのレイアウト)としてもよい。一例としては、貫通トレンチ部23を、半導体基板8の光電変換部19間の領域のうち、光電変換部19の二次元アレイの行方向に沿って延びている領域及び列方向に沿って延びている領域の一方に形成する。
図10では、貫通トレンチ部23が行方向にのみに沿って形成されている場合を例示している。第2のトレンチ部25は、半導体基板8の光電変換部19間の領域すべてに形成する。
図11に示すように、貫通トレンチ部23が形成されていない領域(
図10では、列方向に沿って延びている領域)の第2のトレンチ部25は有底のトレンチ部とする。
図11は、
図10のC-C’線で破断した場合の、固体撮像装置1の断面構成を示す図である。
【0039】
(4)また、例えば、
図12及び
図13に示すように、貫通トレンチ部23を、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、半導体基板8の光電変換部19間の領域のうち、光電変換部19の二次元アレイの行方向に沿って延びている領域と列方向に沿って延びている領域とが互いに交差する位置にのみ形成されている構成としてもよい。この場合、第2のトレンチ部25は、半導体基板8の光電変換部19間の領域すべてに形成する。
図13に示すように、貫通トレンチ部23が形成されていない領域(
図12では、交差する位置以外のすべての領域)の第2のトレンチ部25は、有底のトレンチ部とする。
図13は、
図11のD-D’線で破断した場合の、固体撮像装置1の断面構成を示す図である。これにより、第1の導体部33は、第2の導体部30の交差部それぞれと接続された十字状の配線として機能し、第1の実施形態に示した第1の導体部33による格子状の配線には劣るが、負バイアスの伝送路の抵抗値を全体として低減でき、伝送路の抵抗成分による負バイアスの電位降下(IRドロップ)を抑制でき、シェーディング特性の悪化を抑制できる。
図13は
図12のD-D’線で破断した場合の固体撮像装置1の断面構成を示す図である。
【0040】
また、絶縁膜14には、第1の導体部33とカラーフィルタ16(マイクロレンズ17)との間に、所定の導体(以下、「第3の導体」とも呼ぶ)からなる第3の導体部38が配置されている。第3の導体部38は、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、各光電変換部19を囲むように、貫通トレンチ部23及び第2の導体部30と同一の格子状に形成されている。即ち、第3の導体部38は、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、半導体基板8の光電変換部19間の領域のうち、光電変換部19の二次元アレイの行方向に沿って延びている領域と重なる位置及び列方向に沿って延びている領域と重なる位置の両方に形成されている。また、第3の導体部38は、底面S4側の開口部26から突出している第1の導体部33の端部39と接している。即ち、第3の導体部38は、第1の導体部33を互いに電気的に接続している。
図13では、第3の導体部38が第1の導体部33の端部39を覆っている場合を例示している。これにより、第3の導体部38は、第1の導体部33それぞれと接続された網状の配線として機能し、負バイアスの伝送路の抵抗値を全体としてより低減でき、伝送路の抵抗成分による負バイアスの電位降下(IRドロップ)をより抑制できる。それゆえ、画素領域2の外周から遠い画素9、つまり画素領域2の中央部の画素9における、シェーディング特性の悪化をより抑制することができる。
【0041】
第3の導体部38の材料(第3の導体)としては、例えば、第1の導体と同じ材料、又は第2の導体部30の材料(第2の導体)よりも抵抗率が低い材料を採用できる。これにより、第3の導体部38の抵抗値を低下でき、画素領域2の外側から印加される負バイアスの電位降下(IRドロップ)をより適切に抑制できる。それゆえ、画素領域2の外周から遠い画素9、つまり画素領域2の中央部の画素9における、シェーディング特性の悪化をより適切に抑制することができる。第2の導体よりも抵抗率が低い材料としては、例えば、金属材料(タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等)、ITOが挙げられる。
【0042】
なお、
図12では、第3の導体部38を、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、半導体基板8の光電変換部19間の領域のうち、光電変換部19の二次元アレイの行方向に沿って延びている領域及び列方向に沿って延びている領域のそれぞれと重なる位置に形成して、クロスパターンのレイアウトとする場合を例示している。第3の導体部38のレイアウトは、他の構成を採用することもできる。例えば、
図14に示すように、第3の導体部38を、光電変換部19間の領域と重なる位置のうちの一部にのみ第3の導体部38が形成された構成(ストライプパターンのレイアウト)としてもよい。一例としては、第3の導体部38を、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、半導体基板8の光電変換部19間の領域のうち、光電変換部19の二次元アレイの行方向に沿って延びている領域と重なる位置及び列方向に沿って延びている領域と重なる位置の一方に形成する。
図14では、第3の導体部38が列方向にのみに沿って形成されている場合を例示している。
【0043】
(5)また、第1の実施形態では、第2の導体部30の裏面S2側の端部27が、第1のトレンチ部24の底面S4側の開口部26からマイクロレンズ17側に突出しており、第1の導体部33が、突出した第2の導体部30の端部27と接している例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図15に示すように、第2の導体部30の裏面S2側の端部27は、その端部27が第2のトレンチ部25内に位置するように、第1のトレンチ部24の底面S4よりも表面S3側に引っ込んでいる構成としてもよい。この場合、第1の導体部33は、第2のトレンチ部25内に入り込んで、引っ込んだ第2の導体部30の端部27と接している構成とする。これにより、例えば、第1の導体部33の材料としてタングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等等の金属材料が用いることで、金属材料は光の透過率が低いので、ある画素9の光電変換部19に入射した光が、隣接する画素9の光電変換部19に進入することを防止でき、画素9毎の混色を抑制できる。
また、第1の導体部33と第2のトレンチ部25の内側面との間には、層間膜40を配置してもよい。層間膜40としては、例えば、絶縁膜、固定電荷膜又はそれらが積層された多層膜を採用できる。絶縁膜の材料としては、例えば、絶縁膜31と同じ材料が挙げられる。また、固定電荷膜の材料としては、例えば、固定電荷膜13と同じ材料が挙げられる。
図15では、層間膜40として、絶縁膜31を延長して用いた場合を例示している。
【0044】
(6)また、第1の実施形態では、固定電荷膜13の裏面S5及び第1の導体部33を連続的に被覆する膜として、絶縁膜14を用いる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、絶縁膜14に代えて、透明導電膜を用いた構成としてもよい。これにより、透明導電膜は、第1の導体部33それぞれと接続されたシート状の配線として機能し、負バイアスの伝送路の抵抗値を全体としてより低減でき、伝送路の抵抗成分による負バイアスの電位降下(IRドロップ)をより抑制できる。それゆえ、画素領域2の外周から遠い画素9、つまり、画素領域2の中央部の画素9における、シェーディング特性の悪化をより抑制できる。透明導電膜の材料としては、例えば、ITOを採用することができる。
【0045】
(7)また、本技術は、上述したイメージセンサとしての固体撮像装置1の他、ToF(Time of Flight)センサとも呼ばれる距離を測定する測距センサ等も含む光検出装置全般に適用することができる。測距センサは、物体に向かって照射光を発光し、その照射光が物体の表面で反射され返ってくる反射光を検出し、照射光が発光されてから反射光が受光されるまでの飛行時間に基づいて物体までの距離を算出するセンサである。この測距センサの受光画素構造として、上述した画素9の構造を採用することができる。
【0046】
〈2.第2の実施形態:固体撮像装置〉
[2-1 要部の構成]
次に、本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置1について説明する。第2の実施形態に係る固体撮像装置1の全体構成は、
図1と同様であるから図示を省略する。
図16は、第2の実施形態に係る固体撮像装置1の断面構成を示す図である。
図16は、
図16において、
図2に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
【0047】
図16に示すように、固体撮像装置1は、半導体基板8、固定電荷膜49、反射防止膜50、及び透明導電膜51(広義には「第1の導体部」)がこの順に積層されてなる受光層15が配置されている。また、受光層15の透明導電膜51側の面(裏面S1)には、各画素9に対応するように二次元アレイ状に配列された、複数のカラーフィルタ16、及び複数のマイクロレンズ17がこの順に配置されている。即ち、複数のマイクロレンズ17は、半導体基板8の受光面(裏面S2。広義には「第1面」)側に配置されている。また、透明導電膜51は、固定電荷膜49とマイクロレンズ17との間に配置されている。さらに、受光層15の半導体基板8側の面(表面S3)には、配線層18が配置されている。なお、以下では、半導体基板8の受光面と反対側の面(広義には「第2面」)も「表面S3」と記載する。
【0048】
半導体基板8は、例えば、シリコン(Si)基板によって構成されている。半導体基板8には、各画素9の領域それぞれに光電変換部19が形成されている。即ち、光電変換部19は、半導体基板8に二次元アレイ状に形成されている。光電変換部19には、半導体基板8の裏面S2側にn型半導体領域が形成され、表面S3側にp型半導体領域が形成されている。そして、光電変換部19は、pn接合によってフォトダイオードを構成し、受光量に応じた電荷を生成する。また、光電変換部19は、n型半導体領域とp型半導体領域とのpn接合で生じる静電容量(接合容量)に光電変換で生成した電荷を蓄積する。
【0049】
また、半導体基板8には、光電変換部19間の領域のうちの少なくとも一部に貫通トレンチ部52が形成されている。
図16では、貫通トレンチ部52を、半導体基板8の光電変換部19間の領域のうち、光電変換部19の二次元アレイの行方向に沿って延びている領域及び列方向に沿って延びている領域のそれぞれに形成した場合を例示している。即ち光電変換部19間の領域すべてに、格子状に貫通トレンチ部52が形成されている。貫通トレンチ部52は、半導体基板8の厚さ方向に半導体基板8を貫通して形成されている。
【0050】
貫通トレンチ部52の内部には、半導体基板8の表面S3側から裏面S2側まで、所定の導体(以下、「第2の導体」とも呼ぶ)からなる導体部53(広義には「第2の導体部」)が配置されている。導体部53は、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、各光電変換部19を囲むように、貫通トレンチ部52と同一の格子状に形成されている。これにより、導体部53に負バイアスを印加することで、光電変換部19の貫通トレンチ部52側を高ホール濃度状態(ホールアキュミレーション状態)とすることができ、貫通トレンチ部23の周囲における暗電流の発生を抑制できる。導体部53の裏面S2側の端部54は、半導体基板8の裏面S2からの導体部53の高さが、半導体基板8の裏面S2からの絶縁膜56の高さとが同一となるように、貫通トレンチ部52の裏面S2側の開口部55からマイクロレンズ17側に突出している。これにより、半導体基板8の裏面S2側において、絶縁膜56の端部57間から導体部53の端部54が露出されるため、露出された端部54が、透明導電膜51と接することで、透明導電膜51と電気的に接続されている。
【0051】
導体部53の材料(第2の導体)としては、例えば、リン(P)及びボロン(B)の少なくとも一方が添加されたポリシリコンを採用できる。ここで、例えば、第2の導体として、タングステン(W)、アルミニウム(Al)等の金属を用いた場合、金属が光電変換部19内に拡散する可能性がある。また、金属を用いた場合、金属は光の吸収率が高いため、量子効率QEが低下する可能性がある。これに対し、第2の実施形態では、第2の導体として、リン(P)やボロン(B)が添加されたポリシリコンを用いることで、光電変換部19内への金属の拡散を防止でき、また、光の吸収率が低いため、量子効率QEの低下を抑制できる。
【0052】
貫通トレンチ部52の内側面と導体部53との間には、絶縁膜56が配置されている。絶縁膜56は、貫通トレンチ部52の内側面全体を被覆している。これにより、絶縁膜56は、導体部53と光電変換部19とを電気的に絶縁している。また、絶縁膜56の裏面S2側の端部57は、貫通トレンチ部52の裏面S2側の開口部55からマイクロレンズ17側に突出している。また、絶縁膜56は、貫通トレンチ部52の表面S3側を閉塞している。絶縁膜56の材料としては、例えば、シリコン酸化物(SiO2)を採用できる。
【0053】
固定電荷膜49は、半導体基板8の裏面S2(光電変換部19の裏面S2)を被覆している。即ち、固定電荷膜49は、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、各光電変換部19と重なるように、光電変換部19と同一の二次元アレイ状に配置される。これにより、光電変換部19の裏面S2側を高ホール濃度状態(ホールアキュミレーション状態)とすることができ、暗電流の発生を抑制することができる。
図16では、固定電荷膜49は、裏面S2側の開口部55から突出している導体部53(絶縁膜56の被覆あり)の側面も被覆している。固定電荷膜49の材料としては、例えば、半導体基板8上に形成することで、固定電荷を発生させてピニングを強化させることが可能な、負の電荷を有する高屈折率材料膜又は高誘電体膜を採用できる。例えば、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)及びチタン(Ti)の少なくとも1つの元素を含む酸化物又は窒化物等が挙げられる。特に酸化ハフニウム(HfO
2)が好ましい。
反射防止膜50は、固定電荷膜49の裏面S9を被覆している。即ち、反射防止膜50は、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、各光電変換部19と重なるように、光電変換部19と同一の二次元アレイ状に配置される。これにより、光電変換部19に入射される光が透明導電膜51と固定電荷膜49との界面で反射されることを抑制できる。反射防止膜50の材料としては、例えば、酸化タンタル(TaO)を採用することができる。
【0054】
透明導電膜51は、反射防止膜50の裏面S10側に配置され、反射防止膜50の裏面S10及び導体部53の裏面S2側の端部54を連続的に被覆している。即ち、透明導電膜51は、光電変換部19とマイクロレンズ17との間に配置されている。また透明導電膜51は、裏面S2側の開口部55から突出している導体部53の端部54と接している。即ち、絶縁膜56の端部57間から露出された端部54と電気的に接続される。これにより、透明導電膜51は、導体部53の各部と接続されたシート状の配線として機能し、負バイアスの伝送路の抵抗値を全体として低減でき、伝送路の抵抗成分による負バイアスの電位降下(IRドロップ)を抑制できる。それゆえ、画素領域2の外周から遠い画素9、つまり画素領域2の中央部の画素9におけるシェーディング特性の悪化を抑制できる。
【0055】
透明導電膜51の材料(広義には「第1の導体」)としては、例えば、導体部53の材料(第2の導体)よりも抵抗率が低い材料を採用できる。即ち、第1の導体は第2の導体と異なる導体とする。これにより、透明導電膜51の抵抗値を低下でき、画素領域2の外側から印加される負バイアスの電位降下(IRドロップ)をより適切に抑制でき、画素領域2の中央部の画素9におけるシェーディング特性の悪化をより適切に抑制することができる。第2の導体よりも抵抗率が低い材料としては、例えばITOが挙げられる。
カラーフィルタ16は、マイクロレンズ17側から見た場合に、透明導電膜51の裏面S1側であって、各光電変換部19と重なる位置に配置されている。即ち、1つの光電変換部19に対して1つのカラーフィルタ16が形成されている。カラーフィルタ16としては、例えば、マイクロレンズ17が集光した光に含まれる所定波長の光を透過させる複数種類のフィルタを採用できる。これにより、カラーフィルタ16それぞれは、カラーフィルタ16に応じた所定波長の光を透過し、透過した光を光電変換部19に入射させる。
【0056】
また、カラーフィルタ16間のうち、透明導電膜51側の部分には、画素間遮光部58が配置されている。画素間遮光部58は、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、各光電変換部19を囲むように、貫通トレンチ部52及び導体部53と同一の格子状に形成されている。これにより、画素間遮光部58は、導体部53の端部54を覆うことで、端部54への光の入射を妨げることができる。また、画素間遮光部58は、透明導電膜51の裏面S1と接し、透明導電膜51を介して導体部53と電気的に接続されている。これにより、画素間遮光部58は、透明導電膜51の各部と接続された格子状の配線として機能し、負バイアスの伝送路の抵抗値を全体として低減でき、伝送路の抵抗成分による負バイアスの電位降下(IRドロップ)をより抑制することができる。それゆえ画素領域2の中央部の画素9におけるシェーディング特性の悪化をより抑制することができる。
【0057】
画素間遮光部58の材料としては、例えば、導体部53の材料(第2の導体)よりも抵抗率が低い材料を採用できる。これにより、画素間遮光部58の抵抗値を低下でき、画素領域2の外側から印加される負バイアスの電位降下(IRドロップ)をより適切に抑制できる。それゆえ、画素領域2の中央部の画素9におけるシェーディング特性の悪化をより適切に抑制できる。第2の導体よりも抵抗率が低い材料としては、例えば金属材料(タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu))が挙げられる。
図16では、画素間遮光部58が、透明導電膜51側にチタニウム(Ti)からなる第1の遮光膜59を有し、マイクロレンズ17側にタングステン(W)からなる第2の遮光膜60を有する場合を例示している。
また、カラーフィルタ16間のうち、透明導電膜51側の部分には、絶縁膜61が配置されている。絶縁膜56の材料としては、例えば、シリコン酸化物(SiO
2)を採用できる。
【0058】
マイクロレンズ17は、カラーフィルタ16の裏面S6側であって、各光電変換部19と重なる位置に配置されている。即ち、1つの光電変換部19に対して1つのマイクロレンズ17が形成されている。これにより、マイクロレンズ17それぞれは、被写体からの像光(入射光)を集光し、集光した入射光を、対応する光電変換部19内に入射させる。
配線層18は、半導体基板8の表面S3側に配置されている。配線層18は、層間絶縁膜34と、層間絶縁膜34を介して複数層に積層された配線(不図示)とを有している。そして配線層18は、複数層の配線を介して、各画素9の画素トランジスタを駆動する。
【0059】
以上の構成を有する固体撮像装置1では、半導体基板8の裏面S2側から光が照射され、照射された光がマイクロレンズ17及びカラーフィルタ16を透過し、透過した光が光電変換部19で光電変換されて信号電荷が生成される。そして、生成された信号電荷が、配線層18の配線で形成された
図1の垂直信号線11から画素信号として出力される。
また、第2の実施形態に係る固体撮像装置1では、絶縁膜56の裏面S2側の端部57を、貫通トレンチ部52の裏面S2側の開口部55からマイクロレンズ17側に突出させるようにした。そして、半導体基板8の裏面S2を固定電荷膜49によって覆うようにした。それゆえ、光電変換部19の裏面S2及び側面を絶縁膜56及び固定電荷膜49で覆うことができ、光電変換部19と透明導電膜51とが電気的に接続されることを防止できる。そのため、透明導電膜51と導体部53とを比較的容易に接続することができる。したがって、負バイアスの伝送路を比較的容易に形成することができる。
【0060】
ここで、例えば、半導体基板8の表面S3側から半導体基板8内にp型の不純物を拡散し、光電変換部19の貫通トレンチ部52側にp型の不純物領域を形成した場合、高ホール濃度状態とすることで、暗電流の発生を抑制できる。しかし、p型の不純物領域を形成する方法では、p型の不純物領域の分だけ、光電変換部19の体積が減少する。これに対し、例えば、貫通トレンチ部52の内部に導体部53を配置し、導体部53に負バイアスを印加して、光電変換部19の貫通トレンチ部52側を高ホール濃度状態とする方法によれば、p型の不純物領域を使わないので、光電変換部19の体積が減少せずに済む。
しかし、負バイアスを印加する方法では、画素領域2の外側から導体部53を通して導体部53の各部に負バイアスを印加するため、導体部53の抵抗値が高いと、リーク電流が発生する可能性があった。それゆえ、画素領域2の外周から遠い画素9、つまり、画素領域2の中央部の画素9において、負バイアスのIRドロップが発生し、シェーディング特性が悪化する可能性あった。IRドロップは、チップサイズが大きくなるほど顕著となる。それゆえ、近年のチップサイズの拡大によって、導体部53が金属材料等の抵抗値が低い材料から構成される場合にも、IRドロップが問題となる可能性があった。
【0061】
そのため、例えば、
図17に示すように、半導体基板8の裏面S2とカラーフィルタ16との間に透明導電膜51を配置し、透明導電膜51と導体部53とを電気的に接続することで、負バイアスのIRドロップを抑制することが考えられる。しかし、透明導電膜51と導体部53との接続箇所において、透明導電膜51からのコンタクトの形成位置がずれると、透明導電膜51が半導体基板8と接続され、リーク電流を生じる可能性がある。
これに対し、第2の実施形態では、光電変換部19の裏面S2及び側面を絶縁膜56及び固定電荷膜49で覆うようにした。これにより、光電変換部19と透明導電膜51とが電気的に接続されることを防止することができ、リーク電流を抑制することができる。
【0062】
[2-2 固体撮像装置の製造方法]
次に、固体撮像装置1の製造方法について説明する。
まず、
図18Aに示すように、光電変換部19、貫通トレンチ部52、絶縁膜56及び導体部53の形成、並びに薄肉化が行われた半導体基板8を用意する。貫通トレンチ部52としては、半導体基板8の表面S3側から掘り込んだ有底のトレンチ部を形成する。また、貫通トレンチ部52の底面S11は、
図16に示した固体撮像装置1の貫通トレンチ部52の開口部55よりも深い位置(裏面S2側の位置)に形成する。また、薄肉化の方法としては、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を採用できる。
【0063】
続いて、リソグラフィー法及びドライエッチング法を用いて、
図18Bに示すように、半導体基板8の裏面S2側にエッチングを行い、半導体基板8の裏面S2側から、絶縁膜56で被覆された導体部53の端部54を突出させる(操作型ドライエッチング)。半導体基板8の裏面S2からの導体部53の高さは、例えば1μm±0.7μm程度とする。
続いて、
図18Cに示すように、半導体基板8の裏面S2側に固定電荷膜49及び反射防止膜50をこの順に形成する。固定電荷膜49及び反射防止膜50は、半導体基板8の裏面S2、導体部53(絶縁膜56あり)の側面及び頂面、を連続的に被覆するように形成する。固定電荷膜49は、例えば、厚さ14nm程度の酸化アルミニウム膜(AlxOy)とする。また、反射防止膜50は、例えば、厚さ44nm程度の酸化タンタル膜(TaO)とする。続いて、
図18Dに示すように、反射防止膜50の裏面S10側に第1の透明導電膜51aを形成する。第1の透明導電膜51aの材料としては、例えば、ITOを採用できる。続いて、CMP法を用いて、
図18Eに示すように、第1の透明導電膜51a、絶縁膜56及び導体部53の裏面S12側を平坦化させる。平坦化は、導体部53の端部54が絶縁膜56間から露出されるように、導体部53の端部54よりも深い位置まで行う。
【0064】
続いて、
図18Fに示すように、第1の透明導電膜51aの裏面S12に第2の透明導電膜51bを形成して、透明導電膜51を形成する。第2の透明導電膜51b(透明導電膜51)は、絶縁膜56間から露出された導体部53の端部54と接続される。第2の透明導電膜51bの材料としては第1の透明導電膜51aの材料と同じ材料を採用できる。
続いて、
図16に示すように、透明導電膜51の裏面S1側にカラーフィルタ16(画素間遮光部58を含む)及びマイクロレンズ17をこの順に形成する。
このような手順により、
図16に示した固体撮像装置1を製造する。
【0065】
[2-3 変形例]
【0066】
(1)なお、第2の実施形態では、透明導電膜51を介して、導体部53と画素間遮光部58とを電気的に接続する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図19及び
図20に示すように、導体部53と画素間遮光部58とを直接に電気的に接続する構成としてもよい。一例としては、画素間遮光部58(広義には「第1の導体部」)が導体部53の端部54に接するように、画素間遮光部58を、カラーフィルタ16間から導体部53の端部54まで突出させて形成する。即ち、第2の実施形態の「第1の導体部」として、貫通トレンチ部52とマイクロレンズ17との間に配置された画素間遮光部58を用いる。これにより、画素間遮光部58は、導体部53の端部54を直接に覆うことで、端部54への光の入射をより適切に妨げることができ、導体部53(ポリシリコン等)による光の吸収を抑制できる。また、端部54への入射を妨げられた光を反射して、光電変換部19に向けることができる。
図19では、
図16に示した透明導電膜51に代えて、絶縁膜62を用い場合を例示している。絶縁膜62の材料としては、例えば、シリコン酸化物(SiO)を採用できる。また
図20では、透明導電膜51を絶縁膜62に変更せず、画素間遮光部58の構成のみを変更した場合を例示している。これにより、絶縁膜62に変更した場合に比べ、負バイアスの伝送路の抵抗値を全体としてより低減でき、伝送路の抵抗成分による負バイアスの電位降下(IRドロップ)をより抑制できる。それゆえ、画素領域2の中央部の画素9におけるシェーディング特性の悪化をより抑制できる。
【0067】
(2)また、第2の実施形態では、貫通トレンチ部52内に導体部53のみが配置された例、つまり1種類の導体のみが配置された例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、貫通トレンチ部52内に複数種類の導体が配置された構成としてもよい。一例としては、
図21に示すように、2種類の導体が配置された構成とする。
図21では、導体部53の裏面S2側の端部54は、その端部54が貫通トレンチ部52内に位置するように、絶縁膜56の裏面S2側の端部57よりも表面S3側に引っ込んでいる構成とする。この場合、透明導電膜51は、貫通トレンチ部52内に入り込んで、引っ込んだ導体部53の端部54と接している構成とする。これにより、導体部53の端部54への光の入射をより適切に妨げることができ、導体部53による光の吸収を抑制できる。また、他の一例としては、導体部53の材料(第2の導体)が複数種類の導体からなる構成としてもよい。例えば、
図16に示した導体部53の端部54側を金属材料で形成してもよい。
【0068】
(3)また、第2の実施形態では、半導体基板8の裏面S2側に、固定電荷膜49、反射防止膜50及び透明導電膜51を形成する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図22に示すように、半導体基板8の裏面S2に、半導体基板8の裏面S2側に窪んだ凹構造63を更に形成してもよい。一例としては、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、凹構造63として、光電変換部19の中心部に凹部が形成されている構成としてもよい。これにより、凹構造63内に透明導電膜51が配置され、透明導電膜51が裏面S2側に近づくことで、光電変換部19で生成された電荷が半導体基板8の裏面S2側から表面S3に転送されるように、光電変換部19内に電位勾配を形成できる。
【0069】
(4)また、第2の実施形態では、半導体基板8の裏面S2からの導体部53の突出量と絶縁膜56の突出量とを同一とする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図23に示すように、導体部53の裏面S2側の端部54が、絶縁膜56の端部57よりもマイクロレンズ17側に突出した構造としてもよい。即ち、導体部53の裏面S2側の端部54を、半導体基板8の裏面S2からの導体部53の高さが、裏面S2からの絶縁膜56の高さよりも高くなるように、裏面S2よりもマイクロレンズ17側に突出した構造としてもよい。
図23では、
図16に示した絶縁膜56から、導体部53の側面のうちの、反射防止膜50の裏面S10よりもマイクロレンズ17側の部分を省略した構造とした場合を例示している。この場合、透明導電膜51は、導体部53の端部54の頂面及び側面と接する。これにより、導体部53と透明導電膜51との接触面積を増大でき、負バイアスの伝送路の抵抗値を全体としてより低減することができ、伝送路の抵抗成分による負バイアスの電位降下(IRドロップ)をより適切に抑制することができる。
【0070】
(5)また、第2の実施形態では、複数のマイクロレンズ17に、1つの光電変換部19に対して1つ配置される個別型のマイクロレンズ17を配置する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図24に示すように、複数のマイクロレンズ17に、隣り合う2以上の光電変換部19からなる1つの光電変換部群64に対して1つ配置される共有型のマイクロレンズ17を含む構成としてもよい。
図24では、2行×2列の光電変換部19に対して1つの共有型のマイクロレンズ17を配置した場合を例示している。
【0071】
(6)また、第2の実施形態では、貫通トレンチ部52を、半導体基板8の光電変換部19間の領域すべてに形成する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図25、
図26及び
図27に示すように、貫通トレンチ部52を、光電変換部19間の領域のうちの一部にのみ貫通トレンチ部52が形成された構成としてもよい。一例としては、1行×2列の合計2つの光電変換部19からなる光電変換部群64に対して1つの共有型のマイクロレンズ17を配置し、また、光電変換部群64の外周の領域にのみ貫通トレンチ部52を形成する。この場合、光電変換部群64を構成する2つの光電変換部19間の領域には、半導体基板8の裏面S2及び表面S3の一方にのみ開口部65を有する有底のトレンチ部66を形成する。即ち、有底のトレンチ部66は、光電変換部19間の領域のうちの、貫通トレンチ部52が形成された領域以外の領域に形成される。
図25は、開口部65を表面S3に有し、トレンチ部66の内部に絶縁膜56及び導体部53が内面(内側面、底面)側からこの順に配置されている場合を例示している。また、
図26は、開口部65を裏面S2に有し、トレンチ部66の内部に固定電荷膜49、反射防止膜50及び導体部53が内面側からこの順に配置されている場合を例示している。
図25及び
図26は、
図27のE-E’線で破断した場合の固体撮像装置1の断面構成を示す図である。
【0072】
(7)また、例えば、
図28及び
図29に示すように、マイクロレンズ17側から見た場合に、貫通トレンチ部52が、光電変換部19を挟んで互いに対向する部分に、光電変換部19の内側に突出している突出部67を有する構成としてもよい。
図28及び
図29では、突出部67は、光電変換部19を挟んで互いに対向する部分と同様に、半導体基板8の厚さ方向に半導体基板8を貫通して形成されている。また、突出部67の内部には、絶縁膜56及び導体部53が配置されている。これにより、1つの画素9に対して2つのフォトダイオードを有するデュアルPD(Dual Photo Diode)を構成することができる。
図28は、
図29のF-F’線で破断した場合の固体撮像装置1の断面構成を示す図である。
【0073】
(8)また、例えば、
図30に示すように、固体撮像装置1は、半導体基板8を有する第1の基板500、画素トランジスタ68を有する第2の基板600、及びロジック回路69を有する第3の基板700がこの順に積層された構成としてもよい。一例としては、半導体基板8、転送ゲート70及びフローティングディフュージョン71を有する第1の基板500(広義には「センサ基板」)、フローティングディフュージョン71に蓄積された信号電荷を読み出す画素トランジスタ68を有する第2の基板600、及び読み出した画素信号を処理するロジック回路69を有する第3の基板700(広義には「ロジック基板」)がこの順に積層された積層構造とする。信号電荷を読み出す画素トランジスタ68としては、例えば、リセットトランジスタ、増幅トランジスタ、選択トランジスタが挙げられる。また、ロジック回路69としては、例えば、垂直駆動回路3、カラム信号処理回路4、水平駆動回路5、出力回路6及び制御回路7が挙げられる。
図30では、第1の基板500は、2行×2列の画素9それぞれのフローティングディフュージョン71を互いに接続するパッド部72を備えている。これにより、フローティングディフュージョン71を画素トランジスタ68へ接続するための配線を減らすことができる。
【0074】
(9)また、本技術は、上述したイメージセンサとしての固体撮像装置1の他、ToF(Time of Flight)センサとも呼ばれる距離を測定する測距センサ等も含む光検出装置全般に適用することができる。測距センサは、物体に向かって照射光を発光し、その照射光が物体の表面で反射され返ってくる反射光を検出し、照射光が発光されてから反射光が受光されるまでの飛行時間に基づいて物体までの距離を算出するセンサである。この測距センサの受光画素構造として、上述した画素9の構造を採用することができる。
【0075】
〈3.第3の実施形態〉
[3-2 要部の構成]
次に、本開示の第3の実施形態に係る固体撮像装置1について説明する。第3の実施形態に係る固体撮像装置1の全体構成は、
図1と同様であるから図示を省略する。
図31は、第3の実施形態に係る固体撮像装置1の断面構成を示す図である。
図31は、
図31において、
図2に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
図31に示すように、固体撮像装置1は、半導体基板8、ピニング膜80、及び絶縁膜81がこの順に積層されてなる受光層15が配置されている。また、受光層15の絶縁膜81側の面(以下、「裏面S1」とも呼ぶ)には、各画素9に対応するように二次元アレイ状に配列された、複数のカラーフィルタ16、及び複7数のマイクロレンズ17がこの順に配置されている。即ち、複数のマイクロレンズ17は、半導体基板8の受光面(以下、「裏面S2」とも呼ぶ。広義には「第1面」)側に配置されている。なお、以下では、半導体基板8の受光面と反対側の面(広義には「第2面」)も「表面S3」と記載する。また、
図31では、半導体基板8を有する第1の基板500、SF(Source Follower)回路及び配線層(BEOL:back end of line)を有する第2の基板600、及びロジック回路を有する第3の基板700がこの順に積層された構成とした場合を例示している。
【0076】
半導体基板8は、例えば、シリコン(Si)基板によって構成されている。半導体基板8には、各画素9の領域それぞれに光電変換部19が形成されている。即ち、光電変換部19は、半導体基板8に二次元アレイ状に形成されている。光電変換部19には、半導体基板8の裏面S2側から表面S3側に順に、p型半導体領域82と、n型半導体領域83と、p型半導体領域84とが形成されている。即ち、光電変換部19は、n型(広義には「第1の導電型」)の半導体領域を含んでいる。そして、光電変換部19は、pn接合によってフォトダイオードを構成し、受光量に応じた電荷を生成する。また、光電変換部19は、pn接合で生じる静電容量(接合容量)に光電変換で生成した電荷を蓄積する。
【0077】
また、半導体基板8には、光電変換部19間の領域のうちの少なくとも一部に貫通トレンチ部85が形成されている。
図31では、貫通トレンチ部85を、半導体基板8の光電変換部19間の領域のうち、光電変換部19の二次元アレイの行方向に沿って延びている領域及び列方向に沿って延びている領域の両方に形成した場合を例示している。即ち、光電変換部19間の領域すべてに、格子状に貫通トレンチ部85が形成されている。貫通トレンチ部85は、半導体基板8の厚さ方向に半導体基板8を貫通して形成されている。貫通トレンチ部85は、半導体基板8の裏面S2側に形成された第1のトレンチ部86と、半導体基板8の表面S3側に形成された第2のトレンチ部87とを有している。
第2のトレンチ部87は、半導体基板8の表面S3側及び第1のトレンチ部86の底面S4側のそれぞれに開口部88,89を有し、表面S3側の開口部88から半導体基板8の深さ方向に形成されている。また、第2のトレンチ部87の幅W
2は、半導体基板8の表面S3側から第1のトレンチ部86の底面S4側に向かうにつれて連続的に小さくなっている。また、第1のトレンチ部86は、半導体基板8の裏面S2に開口部90を有し、第2のトレンチ部87と連続するように、第2のトレンチ部87の開口部89から半導体基板8の深さ方向に形成されている。また、第1のトレンチ部86の幅W
1は、半導体基板8の深さ方向の位置に関わらず、一定となっている。また、第1のトレンチ部86の幅W
1は、第2のトレンチ部87のうちの狭い部分、つまり第2のトレンチ部87と第1のトレンチ部86との境界部の幅W
2aよりも広くなっている。また、第2のトレンチ部87の幅方向の中心は、第1のトレンチ部86の幅方向の中心と重なるように位置している。
【0078】
また、
図32及び
図33に示すように、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、半導体基板8の光電変換部19間の領域のうち、二次元アレイの行方向に沿って延びている領域と列方向に沿って延びている領域とが互いに交差する位置(以下「クロス部G」とも呼ぶ)における、第1のトレンチ部86と第2のトレンチ部87との界面は、その他の位置(以下「スリット部H」とも呼ぶ)の界面に比べて、裏面S2に近い側に形成されている。これにより、例えばクロス部Gの界面とスリット部Hの界面とを同じ深さ位置とした場合に比べ、クロス部Gにおいて、第1のトレンチ部86が形成される範囲、つまり比較的幅が広い溝が形成される範囲が狭くて済み、光電変換部19の体積の減少を抑制できる。
【0079】
なお、クロス部Gの界面とスリット部Hの界面との深さ位置の差は、第2のトレンチ部87を形成する際に、マイクロローディング効果により、スリット部Hの第2のトレンチ部87のエッチング速度に比べ、クロス部Gの第2のトレンチ部87のエッチング速度が速くなることを利用することで構成できる。また、クロス部Gの第1のトレンチ部86の幅W
5は、スリット部Hの第1のトレンチ部86の幅W
6よりも広くなっている。
図32は、
図1のB領域における、第1のトレンチ部86の平面構成を示す図である。また、光電変換部19の体積の点から、スリット部Hにおける、第1のトレンチ部86と第2のトレンチ部87との界面についても、可能な限り裏面S2側に形成することが望ましい。
【0080】
また、貫通トレンチ部85(第1のトレンチ部86、第2のトレンチ部87)の内部には、半導体基板8の表面S3側から裏面S2側まで、所定の導体からなる導体部91が配置されている。導体部91は、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、各光電変換部19を囲むように、貫通トレンチ部85と同一の格子状に形成されている。これにより、導体部91に負バイアスを印加することで、光電変換部19の貫通トレンチ部85側を高ホール濃度状態(ホールアキュミレーション状態)とすることができ、貫通トレンチ部85の周囲における暗電流の発生を抑制することができる。導体部91は、半導体基板8の裏面S2側に形成された第1の導体部92と、半導体基板8の表面S3側に形成された第2の導体部93とを有している。第2の導体部93は、第2のトレンチ部87の開口部88側から半導体基板8の深さ方向に形成されている。また、第2の導体部93の幅W4は、半導体基板8の表面S3側から第1のトレンチ部86の底面S4側に向かうほど小さくなっている。また、第1の導体部92は、第2のトレンチ部87の開口部89側から半導体基板8の深さ方向に形成されている。また、第1の導体部92の幅W3は、第1のトレンチ部86の底面S4側から半導体基板8の裏面S2側に向かうほど大きくなっている。
【0081】
また、第2の導体部93の裏面S2側の端部94は、底面S4側の第2のトレンチ部87の開口部89からマイクロレンズ17側に突出している。これにより、導体部91の端部94は、第1のトレンチ部86内に位置し、第1の導体部92と接することで、第1の導体部92と電気的に接続されている。即ち、第1の導体部92は、第2の導体部93の端部94を覆って、第2の導体部93に電気的に接続される。これにより、第1の導体部92は、第2の導体部93の各部と接続された格子状の配線として機能し、負バイアスの伝送路の抵抗値を全体として低減でき、伝送路の抵抗成分による負バイアスの電位降下(IRドロップ)を抑制できる。それゆえ、画素領域2の外周から遠い画素9、つまり、画素領域2の中央部の画素9におけるシェーディング特性の悪化を抑制することができる。
図31では、第1の導体部92と第2の導体部93とが同一の材料で一体的に形成されている場合を例示している。また、第1の導体部92(導体部91)の裏面S2側の端部95は、第1のトレンチ部86の開口部90から突出し、絶縁膜81と接している。
【0082】
導体部91の材料(所定の導体)としては、例えば、リン(P)及びボロン(B)の少なくとも一方が添加されたポリシリコンを採用できる。ここで、例えば、所定の導体として、タングステン、アルミニウム等の金属を用いた場合、金属は光の吸収率が高いため、量子効率QEが低下する可能性がある。また、金属を用いた場合、金属が光電変換部19内に拡散する可能性がある。これに対し、第1の実施形態では、所定の導体として、リンやボロンが添加されたポリシリコンを用いることで、光の吸収率が低いため、量子効率QEの低下を抑制でき、また、光電変換部19内への金属の拡散を防止することができる。
【0083】
また、貫通トレンチ部85(第1のトレンチ部86、第2のトレンチ部87)の内側面と導体部91(第1の導体部92、第2の導体部93)との間には、絶縁膜96が配置されている。絶縁膜96は、貫通トレンチ部85の内側面全体を被覆している。これにより、絶縁膜96は、導体部91と光電変換部19とを電気的に絶縁している。絶縁膜96の裏面S2側の端部97は、第1のトレンチ部86の開口部90から突出し、絶縁膜81と接している。絶縁膜96の材料としては、例えば、シリコン酸化物(SiO2)を採用できる。
【0084】
また、半導体基板8には、光電変換部19と貫通トレンチ部85との間に、p型(広義には「第1の導電型とは逆導電型の半導体領域」)の半導体領域からなるピニング領域98を有している。
図31では、ピニング領域98が、第1のトレンチ部86の内側面、及び第2のトレンチ部87の内側面に連続的に沿うように、半導体基板8の表面S3側から裏面S2側まで形成されている場合を例示している。ピニング領域98は、マイクロレンズ17側から見た場合に、光電変換部19それぞれの周囲を取り囲むように、額縁状に形成されている。p型の半導体領域を構成する不純物としては、例えば、ボロン(B)を採用できる。これにより、負バイアスの印加の度合いに関わらず、光電変換部19の貫通トレンチ部85側を高ホール濃度状態(ホールアキュミレーション状態)とすることができ、貫通トレンチ部85の周囲における暗電流の発生をより抑制することができる。
【0085】
ピニング膜80は、半導体基板8の裏面S2のうちの、第1のトレンチ部86間の部分(光電変換部19の裏面S2)を被覆している。即ち、ピニング膜80は、半導体基板8の厚さ方向から見た場合に、各光電変換部19と重なるように、光電変換部19と同一の二次元アレイ状に配置される。ピニング膜80としては、p型の不純物領域、固定電荷膜を採用できる。固定電荷膜の材料としては、例えば、半導体基板8上に形成することで、固定電荷を発生させてピニングを強化可能な、負の電荷を有する高屈折率材料膜又は高誘電体膜を採用できる。例えば、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)及びチタン(Ti)の少なくとも1つの元素を含む酸化物又は窒化物等が挙げられる。特に、半導体基板8上に形成することで、ブリスターの発生を抑制でき、半導体基板8の平面部から剥がれ難いという点から、酸化ハフニウム(HfO2)がより好ましい。これにより、光電変換部19の裏面S2側を高ホール濃度状態(ホールアキュミレーション状態)とすることができ、暗電流の発生を抑制することができる。
【0086】
絶縁膜81は、ピニング膜80の裏面S5側に配置され、受光層15の裏面S1側全体が平坦面となるように、ピニング膜80の裏面S5及び第1の導体部92を連続的に被覆している。絶縁膜81の材料としては、例えば、シリコン酸化物(SiO2)を採用できる。
カラーフィルタ16は、マイクロレンズ17側から見た場合に、絶縁膜81の裏面S1側であって、各光電変換部19と重なる位置に配置されている。即ち、1つの光電変換部19に対して1つのカラーフィルタ16が形成されている。カラーフィルタ16としては、例えば、マイクロレンズ17が集光した光に含まれる所定波長の光を透過させる複数種類のフィルタを採用できる。これにより、カラーフィルタ16それぞれは、カラーフィルタ16に応じた所定波長の光を透過し、透過した光を光電変換部19に入射させる。カラーフィルタ16の配列としては、例えば、Bayer配列を採用できる。また、カラーフィルタ16間には、画素間遮光部99が配置されている。画素間遮光部99は、マイクロレンズ17側から見た場合に、各光電変換部19を囲むように、貫通トレンチ部52及び導体部53と同一の格子状に形成されている。これにより、画素間遮光部58は、第1の導体部92(導体部91)の端部95への光の入射を妨げることができる。
【0087】
マイクロレンズ17は、カラーフィルタ16の裏面S6側であって、各光電変換部19と重なる位置に配置されている。即ち、1つの光電変換部19に対して1つのマイクロレンズ17が形成されている。これにより、マイクロレンズ17それぞれは、被写体からの像光(入射光)を集光し、集光した入射光を、対応する光電変換部19内に入射させる。
【0088】
以上の構成を有する固体撮像装置1では、半導体基板8の裏面S2側から光が照射され、照射された光がマイクロレンズ17及びカラーフィルタ16を透過し、透過した光が光電変換部19で光電変換されて信号電荷が生成される。そして、生成された信号電荷が、配線層18の配線で形成された
図1の垂直信号線11から画素信号として出力される。
また、第3の実施形態に係る固体撮像装置1では、第1のトレンチ部86の幅W
1を第2のトレンチ部87の第1のトレンチ部86との境界部の幅W
2aよりも広くした。それゆえ、第1のトレンチ部86内に配置する第1の導体部92の幅W
3を広くすることができる。そのため、例えば、画素領域2の外側で第1の導体部92の裏面S2側の端部95にコンタクト(不図示)を介して負バイアスを印加する場合、第1の導体部92とコンタクトとの合わせずれに対するマージンが大きくなるため、コンタクトが第1の導体部92を踏み外す可能性を低減できる。その結果、コンタクトと第1の導体部92とを比較的容易に接続できる。したがって、負バイアスの伝送路を比較的容易に形成することができる。
【0089】
ここで、例えば、高エネルギーイオン注入を用いて、半導体基板8の表面S3側から半導体基板8内にp型の不純物を拡散し、光電変換部19の貫通トレンチ部85側にp型の不純物領域を形成した場合、高ホール濃度状態とすることで、暗電流の発生を抑制できる。しかし、高エネルギーイオン注入を用いる方法では、半導体基板8が厚い場合、p型の不純物領域が表面S3と平行な方向に広がるため、p型の不純物領域の分だけ、光電変換部19の体積が減少する可能性がある。また、高エネルギーイオン注入によって光電変換部19内に結晶欠陥を生じ、結晶欠陥由来の暗電流や白点が発生する可能性がある。
これに対し、第3の実施形態に係る固体撮像装置1では、光電変換部19と貫通トレンチ部85との間に、第1のトレンチ部86の内側面及び第2のトレンチ部87の内側面に連続的に沿うように形成されたp型(第1の導電型とは逆導電型)の半導体領域からなるピニング領域98を有するようにした。即ち、ピニング領域98を、貫通トレンチ部85の内側面から光電変換部19側にp型の不純物を側壁ドーピングをすることで得られる構成とした。それゆえ、例えば、半導体基板8の表面S3側から不純物を拡散してp型の不純物領域を形成する方法に比べ、p型の不純物が拡散される範囲が狭くなるため、p型の不純物領域が形成される範囲が狭くて済み、光電変換部19の体積の減少を抑制できる。また、例えば、高エネルギーイオン注入を用いる方法と異なり、光電変換部19内に結晶欠陥を生じることを抑制でき、結晶欠陥由来の暗電流や白点の発生を抑制できる。
【0090】
[3-2 固体撮像装置の製造方法]
次に、固体撮像装置1の製造方法について説明する。
まず、
図34Aに示すように、光電変換部19及び第2のトレンチ部87が形成された半導体基板8を用意する。第2のトレンチ部87としては、半導体基板8の表面S3側から掘り込んだ有底のトレンチ部を形成する。また、第2のトレンチ部87の底面S13は、
図31に示した固体撮像装置1の第2のトレンチ部87の開口部89よりも深い位置(裏面S2側の位置)に形成する。第2のトレンチ部87の形成方法としては、例えば、リソグラフィー法及びドライエッチング法を用いて、エッチングを行う方法を採用できる。
図34Aでは、半導体基板8の表面S3に酸化膜100を配置した場合を例示している。
【0091】
続いて、
図34Bに示すように、第2のトレンチ部87の内側面側に拡散防止膜101を形成する。拡散防止膜101は、第2のトレンチ部87の内側面及び底面を被覆するように形成した後、異方性エッチングを用いて底面を被覆する部分のみ除去することで、第2のトレンチ部87の内側面のみを被覆するように形成される。拡散防止膜101は、半導体基板8を構成するシリコン(Si)に対して高い選択比を有する膜である。拡散防止膜101の形成方法としては、例えば、シリコン酸化膜(SiO
2)とシリコン窒化膜(SiN)とで形成する方法を採用できる。これにより、後述する工程において、第1のトレンチ部86を形成する際に、第2のトレンチ部87の内側面が削れることを防止することができる。
【0092】
続いて、
図34Cに示すように、半導体基板8の表面S3側からエッチングを行い、第2のトレンチ部87の底面S13側に第1のトレンチ部86を形成する。第1のトレンチ部86としては、第2のトレンチ部87の底面S13側から掘り込んだ有底のトレンチ部を形成する。続いて、
図34Dに示すように、第1のトレンチ部86の内側面から光電変換部19側にp型の不純物を拡散する側壁ドーピングを行い、第1のトレンチ部86の内側面に沿うように、p型の半導体領域からなる第1のピニング領域102を形成する。第1のピニング領域102は、
図31に示したピニング領域98の一部を構成する。側壁ドーピングの方法としては、例えば、プラズマドーピング法(PLAD法)、固相拡散法を採用できる。特に、後述するように、第1のトレンチ部86の幅W
1が、半導体基板8の裏面S2側に向かうほど大きい構成とする場合には、コンフォーマリティに優れた固相拡散が好ましい。
図34Dでは、プラズマドーピング法を採用し、直進するプラズマによって、第1のトレンチ部86の内側面側よりも底面側で第1のピニング領域102の深さが深くなった場合を例示している。続いて、アニール(ANL)処理を行い、p型の不純物を活性化させる。
【0093】
続いて、洗浄を行って、
図34Eに示すように、第2のトレンチ部87の内側面から拡散防止膜101を除去する。続いて、第2のトレンチ部87の内側面から光電変換部19側にp型の不純物を拡散する側壁ドーピングを行い、第2のトレンチ部87の内側面に沿うように、p型の半導体領域からなる第2のピニング領域103を形成する。なお、側壁ドーピングの方法としては、例えば、第1のピニング領域102の形成に用いた方法と異なる方法を採用してもよいし、同じ方法を採用してもよい。同じ方法を採用する場合、第1のピニング領域102の形成のための側壁ドーピングと、第2のピニング領域103の形成のための側壁ドーピングとを同時に行ってもよい。
図34Eでは、プラズマドーピング法を採用し、直進するプラズマによって、第1のトレンチ部86の底面側で第1のピニング領域102の深さがさらに深くなった場合を例示している。続いて、アニール処理を行い、p型の不純物を活性化させる。続いて、
図34Fに示すように第1のトレンチ部86及び第2のトレンチ部87の内面(内側面、底面)に酸化膜(SiO
2)104を形成する。
【0094】
続いて、
図34Gに示すように、第1のトレンチ部86及び第2のトレンチ部87の内部に導体部91を形成する。導体部91は、第1のトレンチ部86及び第2のトレンチ部87内を所定の導体が埋め尽くすように形成する。続いて、
図34Hに示すように、半導体基板8の裏面S2側からエッチングを行い、半導体基板8の裏面S2側に、
図34Iに示したSTI(Shallow Trench Isolation)部107を形成するための溝部105を形成する。続いて、
図34Iに示すように、溝部105の内部に酸化膜(SiO
2)106を形成する。酸化膜(SiO
2)106は、溝部105内をシリコン酸化物(SiO
2)が埋め尽くすように形成する。溝部105と酸化膜(SiO
2)106とにより、STI部107を構成する。
続いて、
図34Jに示すように、半導体基板8の表面S3側に、FD拡散層及びFDコンタクトを形成するためのポリシリコン108を埋設する。
図34Jでは、STI部107に埋込コンタクトを形成した場合を例示した。なお、FD拡散層の形成手法及びFDコンタクトの構造及びレイアウトは
図34Jに示した形成手法等に限定されない。続いて、
図34Kに示すように、転送ゲート109を形成する。転送ゲート109としては、例えば、平面タイプの転送ゲート、掘り込みタイプ(垂直転送)の転送ゲートを採用できる。
【0095】
続いて、
図34Lに示すように、第1の基板500を形成した後に、SF回路のトランジスタ形成及び配線層形成を行い、第1の基板500に第2の基板600を積層する。トランジスタの構造としては、例えば、平面レイアウト、2階構造を採用できる。続いて、ロジック回路を有する第3の基板700を第2の基板600に接合する。続いて、CMP法を用いて、半導体基板8の裏面S2側の部分を除去し貫通トレンチ部85を形成する。
続いて、
図34Mに示すように、第1の基板500(半導体基板8)の裏面S2側にピニング膜80及び絶縁膜81をこの順に形成する。続いて、絶縁膜81の裏面S1側にカラーフィルタ16及びマイクロレンズ17をこの順に形成する。
このような手順により、
図31に示した固体撮像装置1を製造する。
【0096】
ここで、例えば、第1の基板500に第2の基板600及び第3の基板700を積層した後、半導体基板8の裏面S2側から掘り込んで第1のトレンチ部86を形成し、第1のトレンチ部86の内側面側からp型の不純物の拡散を行う場合を考える。この場合、第3の基板700が有するロジック回路が高温に弱いため、アニール(ANL)処理を行うことができない。そのため、p型の不純物を活性化できず、暗電流の発生を抑制できない。
これに対し、第3の実施形態では、第1の基板500に第2の基板600及び第3の基板700を積層する前に、半導体基板8の表面S3側から掘り込んで第1のトレンチ部86を形成し、第1のトレンチ部86の内側面側からp型の不純物の拡散を行うようにした。それゆえ、第3の基板700が有するロジック回路に高温にさらされずに済むため、アニール処理を行うことができ、p型の不純物を活性化でき、暗電流の発生を抑制できる。
【0097】
[3-2 変形例]
(1)第1の実施形態では、第1のトレンチ部86の幅W
1を、半導体基板8の深さ方向の位置に関わらず一定とする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図35に示すように、第1のトレンチ部86の幅W
1が、半導体基板8の裏面S2側に向かうほど大きくなっている構成としてもよい。ここで、例えば、
図34D及び
図34Eに示すように、第1のトレンチ部86の内壁面→第2のトレンチ部87の内壁面の順に側壁ドーピングを行う場合、第1のトレンチ部86の内壁面は側壁ドーピングが2回行われる。これに対し、第1のトレンチ部86の幅W
1を、半導体基板8の裏面S2側に向かうほど大きくした場合、2回目の側壁ドーピングにおいて、第1のトレンチ部86の内壁面にp型の不純物が入り難くすることができ、第1のトレンチ部86の内壁面のp型の不純物の濃度が高くなり過ぎることを防止できる。また、例えば、第1のトレンチ部86の幅W
1を一定とした場合に比べ、第1のトレンチ部86が形成される範囲、つまり、比較的幅が広い溝が形成される範囲が狭くて済み、光電変換部19の体積の減少を抑制できる。
また、第1のトレンチ部86のテーパー角(互いに対向する内壁面同士がなす角度)と、第2のトレンチ部87のテーパー角との差は、側壁ドーピングの都合上、可能な限り小さくすることが望ましい。なお、第1のトレンチ部86の幅W
1を半導体基板8の裏面S2側に向かうほど大きくした場合、第1のトレンチ部86の裏面S2側の端部の幅W
1aは、第2のトレンチ部87の第1のトレンチ部86との境界部の幅W
2aよりも広くする。
【0098】
(2)また、第1の実施形態では、第1の導体部92と第2の導体部93とを同一の材料で形成する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図36に示すように、第1の導体部92と第2の導体部93とを互いに異なる材料で形成する構成としてもよい。第2の導体部93の材料としては、例えば、リン(P)及びボロン(B)の少なくとも一方が添加されたポリシリコンを採用できる。また、第1の導体部92の材料としては、例えば、第2の導体部93の材料よりも抵抗率が低い材料が挙げられる。これにより、導体部91の抵抗値をより低下でき、画素領域2の外側から印加される負バイアスの電位降下をより適切に抑制できる。それゆえ、画素領域2の外周から遠い画素9、つまり、画素領域2の中央部の画素9における、シェーディング特性の悪化をより適切に抑制することができる。第2の導体部93の材料よりも抵抗率が低い材料としては、例えば、金属材料(タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等)、ITOが挙げられる。
図36では、第1の導体部92が、埋め込み遮光メタルとして機能する金属材料からなる場合を例示している。また、第1の導体部92は、複数の異種材料が積層された構成としてもよい。
【0099】
(3)また、第1の実施形態では、第1のトレンチ部86と第2のトレンチ部87との界面を、可能な限り半導体基板8の裏面S2側の位置(
図33参照)に形成する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図37に示すように、
図33に示した位置よりも、半導体基板8の表面S3に近い側に形成してもよい。
図37では、さらに、クロス部Gにおける、第1のトレンチ部86と第2のトレンチ部87との界面が、スリット部Hにおける界面よりも、表面S3側に形成されている場合を例示している。
【0100】
(4)また、第1の実施形態では、1つの光電変換部19に対してカラーフィルタ16を1つ形成する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、2×2、3×3、4×4、1×2の光電変換部19に対してカラーフィルタ16を1つ形成する構成としてもよい。2×2の光電変換部19に対してカラーフィルタ16を1つ形成する場合には、カラーフィルタ16の配列としては、例えば、Quad Bayer配列を採用できる。また、1×2の光電変換部19に対してカラーフィルタ16を1つ形成する場合には、例えば、1つの画素9に2つの光電変換部19を形成し、1つの画素9に対して1つのカラーフィルタ16を形成する構成や、1つの画素9に1つの光電変換部19を形成し、2つの画素9に対して1つのカラーフィルタ16を形成する構成を採用できる。
【0101】
(4)また、本技術は、上述したイメージセンサとしての固体撮像装置1の他、ToF(Time of Flight)センサとも呼ばれる距離を測定する測距センサ等も含む光検出装置全般に適用することができる。測距センサは、物体に向かって照射光を発光し、その照射光が物体の表面で反射され返ってくる反射光を検出し、照射光が発光されてから反射光が受光されるまでの飛行時間に基づいて物体までの距離を算出するセンサである。この測距センサの受光画素構造として、上述した画素9の構造を採用することができる。
【0102】
〈4.第4の実施形態〉
本開示に係る技術(本技術)は、各種の電子機器に適用されてもよい。
図38は、本技術を適用した電子機器としての撮像装置(ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等)の概略的な構成の一例を示す図である。
図38に示すように、撮像装置1000は、レンズ群1001と、固体撮像装置1002(第1の実施形態に係る固体撮像装置1)と、DSP(Digital Signal Processor)回路1003と、フレームメモリ1004と、モニタ1005と、メモリ1006とを備えている。DSP回路1003、フレームメモリ1004、モニタ1005及びメモリ1006は、バスライン1007を介して相互に接続されている。
【0103】
レンズ群1001は、被写体からの入射光(像光)を固体撮像装置1002に導き、固体撮像装置1002の受光面(画素領域)に結像させる。
固体撮像装置1002は、上述した第1の実施の形態のCMOSイメージセンサからなる。固体撮像装置1002は、レンズ群1001によって受光面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号としてDSP回路1003に供給する。
DSP回路1003は、固体撮像装置1002から供給される画素信号に対して所定の画像処理を行う。そして、DSP回路1003は、画像処理後の画像信号をフレーム単位でフレームメモリ1004に供給し、フレームメモリ1004に一時的に記憶させる。
【0104】
モニタ1005は、例えば、液晶パネルや、有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなる。モニタ1005は、フレームメモリ1004に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号に基づいて、被写体の画像(動画)を表示する。
メモリ1006は、DVD、フラッシュメモリ等からなる。メモリ1006は、フレームメモリ1004に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号を読み出して記録する。
【0105】
なお、固体撮像装置1を適用できる電子機器としては、撮像装置1000に限られるものではなく、他の電子機器にも適用することができる。また、固体撮像装置1002として、第1の実施形態に係る固体撮像装置1を用いる構成としたが、他の構成を採用することもできる。例えば、第2の実施形態に係る固体撮像装置1、第3の実施形態に係る固体撮像装置1、及び第1~第3の実施形態の変形例に係る固体撮像装置1等、本技術を適用した他の光検出装置を用いる構成としてもよい。
【0106】
なお、本技術は、以下のような構成も取ることができる。
(1)
半導体基板と、
前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、
前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズと、
前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部とを備え、
前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記第1面側に形成され、前記第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに前記第1面と反対側の第2面側に形成され、前記第1のトレンチ部の底面及び前記第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、前記第1のトレンチ部の幅が前記第2のトレンチ部の幅よりも広くなっており、
さらに、前記第1のトレンチ部内に配置された第1の導体からなる第1の導体部と、
前記第2のトレンチ部内に配置され、前記第1面側の端部が前記第1の導体部と接し、且つ前記第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部と、
前記第2のトレンチ部の内側面と前記第2の導体部との間に配置された絶縁膜とを備える
光検出装置。
(2)
前記第1のトレンチ部の幅は、前記第2のトレンチ部の幅よりも100nm以上大きい
前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記第2の導体部の前記第1面側の端部は、前記第1のトレンチ部の前記底面側の開口部から前記マイクロレンズ側に突出しており、
前記第1の導体部は、前記第1のトレンチ部内において、前記底面側の開口部から突出している前記第2の導体部の前記第1面側の端部と接している
前記(1)又は(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記第1のトレンチ部の内面及び前記半導体基板の前記第1面を連続的に覆う固定電荷膜を備える
前記(1)から(3)の何れかに記載の光検出装置。
(5)
前記第2の導体は、リン及びボロンの少なくとも一方が添加されたポリシリコンである
前記(1)から(4)の何れかに記載の光検出装置。
(6)
前記第1の導体は、前記第2の導体よりも抵抗率が低い材料である
前記(1)から(5)の何れかに記載の光検出装置。
(7)
前記第1の導体は、金属材料又はITOである
前記(6)に記載の光検出装置。
(8)
前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記第1のトレンチ部の幅方向の中心及び前記第1の導体部の幅方向の中心のそれぞれは、前記第2のトレンチ部の幅方向の中心よりも前記二次元アレイの中心部側に位置している
前記(1)から(7)の何れかに記載の光検出装置。
(9)
さらに、前記半導体基板の前記第1面側に、入射光を回折させる回折構造を備える
前記(1)から(8)の何れかに記載の光検出装置。
(10)
前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうち、前記二次元アレイの行方向に沿って延びている領域及び列方向に沿って延びている領域の一方又は両方に形成されている
前記(1)から(9)の何れかに記載の光検出装置。
(11)
前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうち、前記二次元アレイの行方向に沿って延びている領域と列方向に沿って延びている領域とが互いに交差する位置にのみ形成されており、
さらに、前記第1の導体部と前記マイクロレンズとの間に配置され、前記第1の導体部を互いに電気的に接続する第3の導体からなる第3の導体部を備える
前記(1)から(9)の何れかに記載の光検出装置。
(12)
前記第3の導体は、前記第1の導体と同じ材料、又は前記第2の導体よりも抵抗率が低い材料である
前記(11)に記載の光検出装置。
(13)
前記第3の導体は、金属材料又はITOである
前記(12)に記載の光検出装置。
(14)
前記第3の導体部は、前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうち、前記二次元アレイの行方向に沿って延びている領域と重なる位置及び列方向に沿って延びている領域と重なる位置の一方又は両方に形成されている
前記(1)から(13)の何れかに記載の光検出装置。
(15)
前記第2の導体部の前記第1面側の端部は、該端部が前記第2のトレンチ部内に位置するように、前記第1のトレンチ部の底面よりも前記第2面側に引っ込んでおり、
前記第1の導体部は、前記第2のトレンチ部内に入り込んで、前記第2の導体部の前記第1面側の端部と接している
前記(1)から(5)の何れかに記載の光検出装置。
(16)
さらに、前記第1の導体部と前記第2のトレンチ部の内側面との間に配置された層間膜を備え、
前記層間膜は、絶縁膜、固定電荷膜又はそれらが積層された多層膜である
前記(15)に記載の光検出装置。
(17)
半導体基板と、
前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、
前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズと、
前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部と、
前記半導体基板の前記第1面を覆うように配置された固定電荷膜と、
前記固定電荷膜と前記マイクロレンズとの間に配置された第1の導体からなる第1の導体部と、
前記貫通トレンチ部内に配置され、前記第1面側の端部が前記第1の導体部と接し、且つ前記第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部と、
前記貫通トレンチ部の内側面と前記第2の導体部との間に配置された絶縁膜とを備え、
前記絶縁膜の前記第1面側の端部は、前記貫通トレンチ部の前記第1面側の開口部から前記マイクロレンズ側に突出している
光検出装置。
(18)
前記第1の導体部は、前記光電変換部と前記マイクロレンズとの間に配置された透明導電膜である
前記(17)に記載の光検出装置。
(19)
前記第1の導体部は、前記貫通トレンチ部と前記マイクロレンズとの間に配置された画素間遮光部である
前記(17)に記載の光検出装置。
(20)
前記第2の導体部の前記第1面側の端部は、前記半導体基板の前記第1面からの前記第2の導体部の高さと、前記半導体基板の前記第1面からの前記絶縁膜の高さとが同一となるように、前記第1面よりも前記マイクロレンズ側に突出している
前記(17)から(19)の何れかに記載の光検出装置。
(21)
前記第2の導体部の前記第1面側の端部は、前記半導体基板の前記第1面からの前記第2の導体部の高さが、前記第1面からの前記絶縁膜の高さよりも高くなるように、前記第1面よりも前記マイクロレンズ側に突出しており、
前記第1の導体部は、前記第2の導体部の前記第1面側の端部の頂面及び側面と接している
前記(17)に記載の光検出装置。
(22)
前記貫通トレンチ部内には、複数種類の導体が配置されている
前記(17)から(21)の何れかに記載の光検出装置。
(23)
前記半導体基板の前記第1面に、前記第1面と反対側の第2面側に窪んだ凹構造を備える
前記(17)から(22)の何れかに記載の光検出装置。
(24)
複数の前記マイクロレンズは、隣り合う2以上の前記光電変換部からなる1つの光電変換部群に対して1つ配置される共有型のマイクロレンズを含んでいる
前記(17)から(23)の何れかに記載の光検出装置。
(25)
前記貫通トレンチ部は、前記光電変換部を挟んで互いに対向する部分に、前記光電変換部の内側に突出している突出部を有する
前記(17)から(24)の何れかに記載の光検出装置。
(26)
前記光電変換部間の領域のうちの、前記貫通トレンチ部が形成された領域以外の領域に形成され、前記半導体基板の前記第1面又は前記第1面と反対側の第2面の一方にのみ開口部を有する有底のトレンチ部を備える
前記(17)から(25)の何れかに記載の光検出装置。
(27)
前記半導体基板を有する第1の基板、画素トランジスタを有する第2の半導体基板、及びロジック回路を有する第3の半導体基板がこの順に積層された積層構造を有する
前記(17)から(26)の何れかに記載の光検出装置。
(28)
半導体基板と、
前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部と、
前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズと、
前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部とを備え、
前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記第1面側に形成され、前記第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに前記第1面と反対側の第2面側に形成され、前記第1のトレンチ部の底面及び前記第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、前記第1のトレンチ部の幅が前記第2のトレンチ部の前記第1のトレンチ部との境界部の幅よりも広くなっており、
さらに、前記第1のトレンチ部内及び前記第2のトレンチ部内に配置された導体部と、
前記第1のトレンチ部の内側面と前記導体部との間、並びに前記第2のトレンチ部の内側面と前記導体部との間に配置された絶縁膜とを備え、
前記光電変換部は、第1の導電型の半導体領域を含み、
前記半導体基板は、前記光電変換部と前記貫通トレンチ部との間に、前記第1のトレンチ部の内側面及び前記第2のトレンチ部の内側面に連続的に沿うように形成された、前記第1の導電型とは逆導電型の半導体領域からなるピニング領域を有している
光検出装置。
(29)
前記半導体基板の厚さ方向から見た場合に、前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうち、前記二次元アレイの行方向に沿って延びている領域と列方向に沿って延びている領域とが互いに交差する位置における、前記第1のトレンチ部と前記第2のトレンチ部との界面は、その他の位置の前記界面に比べて、前記第1面に近い側に形成されている
前記(28)に記載の光検出装置。
(30)
前記第1のトレンチ部は、前記半導体基板の前記第1面側に向かうほど幅が大きくなっており、前記第1のトレンチ部の前記第1面側の端部の幅が前記第2のトレンチ部の前記第1のトレンチ部との境界部の幅よりも広くなっている
前記(28)又は(29)に記載の光検出装置。
(31)
前記導体部は、前記半導体基板の前記第1面側に形成された第1の導体部と、前記半導体基板の前記第2面側に形成された第2の導体部とを有し、
前記第1の導体部と前記第2の導体部とが互いに異なる材料で形成されている
前記(28)から(30)の何れかに記載の光検出装置。
(32)
前記第1の導体部の材料は、前記第2の導体部の材料よりも抵抗率が低い材料である
前記(31)に記載の光検出装置。
(33)
前記第2の導体部の材料は、リン及びボロンの少なくとも一方が添加されたポリシリコンである
前記(31)又は(32)に記載の光検出装置。
(34)
半導体基板、前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズ、及び前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部を有し、前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記第1面側に形成され、前記第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに前記第1面と反対側の第2面側に形成され、前記第1のトレンチ部の底面及び前記第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、前記第1のトレンチ部の幅が前記第2のトレンチ部の幅よりも広くなっており、さらに、前記第1のトレンチ部内に配置された第1の導体からなる第1の導体部、前記第2のトレンチ部内に配置され、前記第1面側の端部が前記第1の導体部と接し、且つ前記第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部、及び前記第2のトレンチ部の内側面と前記第2の導体部との間に配置された絶縁膜を有する光検出装置を備える
電子機器。
(35)
半導体基板、前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズ、前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部、前記半導体基板の前記第1面を覆うように配置された固定電荷膜、前記固定電荷膜と前記マイクロレンズとの間に配置された第1の導体からなる第1の導体部、前記貫通トレンチ部内に配置され、前記第1面側の端部が前記第1の導体部と接し、且つ前記第1の導体と異なる第2の導体からなる第2の導体部、及び前記貫通トレンチ部の内側面と前記第2の導体部との間に配置された絶縁膜を備え、前記絶縁膜の前記第1面側の端部は、前記貫通トレンチ部の前記第1面側の開口部から前記マイクロレンズ側に突出している光検出装置を備える
電子機器。
(36)
半導体基板、前記半導体基板に二次元アレイ状に形成された複数の光電変換部、前記半導体基板の受光面である第1面側に配置された複数のマイクロレンズ、及び前記半導体基板の前記光電変換部間の領域のうちの少なくとも一部に形成され、前記半導体基板を該半導体基板の厚さ方向に貫通する貫通トレンチ部を備え、前記貫通トレンチ部は、前記半導体基板の前記第1面側に形成され、前記第1面に開口部を有する第1のトレンチ部、並びに前記第1面と反対側の第2面側に形成され、前記第1のトレンチ部の底面及び前記第2面のそれぞれに開口部を有する第2のトレンチ部を有し、前記第1のトレンチ部の幅が前記第2のトレンチ部の前記第1のトレンチ部との境界部の幅よりも広くなっており、さらに、前記第1のトレンチ部内及び前記第2のトレンチ部内に配置された導体部、及び前記第1のトレンチ部の内側面と前記導体部との間、並びに前記第2のトレンチ部の内側面と前記導体部との間に配置された絶縁膜を備え、前記光電変換部は、第1の導電型の半導体領域を含み、前記半導体基板は、前記光電変換部と前記貫通トレンチ部との間に、前記第1のトレンチ部の内側面及び前記第2のトレンチ部の内側面に連続的に沿うように形成された、前記第1の導電型とは逆導電型の半導体領域からなるピニング領域を有している光検出装置を備える
電子機器。
【符号の説明】
【0107】
1…固体撮像装置、2…画素領域、3…垂直駆動回路、4…カラム信号処理回路、5…水平駆動回路、6…出力回路、7…制御回路、8…半導体基板、9…画素、10…画素駆動配線、11…垂直信号線、12…水平信号線、13…固定電荷膜、14…絶縁膜、15…受光層、16…カラーフィルタ、17…マイクロレンズ、18…配線層、19…光電変換部、20…p型半導体領域、21…n型半導体領域、22…pwell領域、23…貫通トレンチ部、24…第1のトレンチ部、25…第2のトレンチ部、26…開口部、27…端部、28…開口部、29…開口部、30…第2の導体部、31…絶縁膜、32…端部、33…第1の導体部、34…層間絶縁膜、35…溝、36…導体層、37…回折構造、38…第3の導体部、39…端部、40…層間膜、49…固定電荷膜、50…反射防止膜、51…透明導電膜、51a…第1の透明導電膜、51b…第2の透明導電膜、52…貫通トレンチ部、53…導体部、54…端部、55…開口部、56…絶縁膜、57…端部、58…画素間遮光部、59…第1の遮光膜、60…第2の遮光膜、61,62…絶縁膜、63…凹構造、64…光電変換部群、65…開口部、66…トレンチ部、67…突出部、68…画素トランジスタ、69…ロジック回路、70…転送ゲート、71…フローティングディフュージョン、72…パッド部、80…ピニング膜、81…絶縁膜、82…p型半導体領域、83…n型半導体領域、84…p型半導体領域、85…貫通トレンチ部、86…第1のトレンチ部、87…第2のトレンチ部、88…開口部、89…開口部、90…開口部、91…導体部、92…第1の導体部、93…第2の導体部、94…端部、95…端部、96…絶縁膜、97…端部、98…ピニング領域、99…画素間遮光部、100…酸化膜、101…拡散防止膜、102…第1のピニング領域、103…第2のピニング領域、104…酸化膜、105…溝部、106…酸化膜、107…STI部、108…ポリシリコン、109…転送ゲート、500…第1の基板、600…第2の半導体基板、700…第3の半導体基板、1000…撮像装置、1001…レンズ群、1002…固体撮像装置、1003…DSP回路、1004…フレームメモリ、1005…モニタ、1006…メモリ、1007…バスライン