(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103070
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】面光源装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240725BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240725BHJP
【FI】
F21S2/00 482
F21S2/00 481
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007207
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野上 将輝
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA01
3K244BA03
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA13
3K244DA19
3K244DA22
3K244DA24
3K244DA27
3K244GA01
3K244GA02
(57)【要約】
【課題】色むらの発生を抑制することができる面光源装置を提供すること。
【解決手段】本発明の面光源装置は、複数の発光装置と、光拡散板と、光学シートと、を有し、前記複数の発光装置は、複数のX方向線と、複数のY方向線と、がなす格子の各交点に配置され、前記複数の発光装置のそれぞれは発光素子と光束制御部材とを有し、前記発光素子は、a方向に並んだ2つのLEDチップと、蛍光体と、を有し、前記格子の対角線上の距離をdとしたときに、前記複数の発光装置のそれぞれにおいて、半径をd/2とした仮想円上における、第1交点の色度座標のy値をCy1とし、第2交点の色度座標のy値をCy2としたときに、Cy>Cy2を満たし前記複数の発光素子は、それぞれ、前記仮想円においてCyがCy2よりも大きい点が前記格子の対角線に平行な線上に位置するように配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置された複数の発光装置と、
前記複数の発光装置から離間し、前記複数の発光装置に対して、前記基板とは反対側に配置された光拡散板と、
前記光拡散板に対して、前記複数の発光装置とは反対側に配置された光学シートと、を有し、
前記複数の発光装置は、X方向に延びる複数のX方向線と、前記X方向に垂直なY方向に延びる複数のY方向線と、がなす格子の各交点に配置され、
前記複数の発光装置のそれぞれは発光素子と光束制御部材とを有し、
前記発光素子は、a方向に並んだ2つの第1色の光を発するLEDチップと、前記LEDチップおよびその周囲を覆うように配置された、前記第1色の光を第2色の光に変換する蛍光体と、を有し、
前記格子の対角線上において、任意の発光素子の発光面の中心と、隣接する発光素子の発光面の中心とを結ぶ距離をdとしたときに、
前記複数の発光装置のそれぞれにおいて、前記a方向と前記X方向とが平行となるように前記発光素子を配置したと仮定した場合であって、前記光拡散板の前記発光装置側の表面上に配置された、前記発光素子の発光面の中心の直上に位置する点Oを中心とし、半径をd/2とした仮想円上における、前記点Oを通り、前記a方向に平行な線と、前記仮想円とが交わる第1交点C1の色度座標のy値をCy1とし、前記点Oを通り、前記格子の対角線に平行な線と、前記仮想円とが交わる第2交点C2の色度座標のy値をCy2としたときに、Cy1>Cy2を満たし、
前記複数の発光素子は、それぞれ、前記仮想円においてCyがCy2よりも大きい点が前記格子の対角線に平行な線上に位置するように配置されている、
面光源装置。
【請求項2】
Cy1-Cy2をΔCyとしたとき、ΔCy≧0.003である、請求項1に記載の面光源装置。
【請求項3】
前記複数の発光素子は、それぞれ、前記仮想円においてCyが(Cy1+Cy2)/2よりも大きい点が前記格子の対角線に平行な線上に位置するように配置されている、請求項1に記載の面光源装置。
【請求項4】
前記複数の発光素子は、それぞれ、前記仮想円においてCyがCy1である点が前記格子の対角線に平行な線上に位置するように配置されている、請求項1に記載の面光源装置。
【請求項5】
前記面光源装置におけるCyの最大値と、Cyの最小値との差は、0.008以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項6】
前記光学シートは、プリズムシート、拡散シート、もしくはDBEFであるか、または、これらの内の2種以上の組み合わせである、請求項1~4のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項7】
前記LEDチップは平面視したときに長方形である、請求項1~4のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項8】
前記発光素子の発光面は平面視したときに円形である、請求項1~4のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項9】
前記光束制御部材の入射面、および出射面は円対称である、請求項1~4のいずれか一項に記載の面光源装置。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか一項に記載の面光源装置と、
前記面光源装置から出射される光を照射される表示部材と、
を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置、および当該面光源装置を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの透過型画像表示装置では、バックライトとして直下型の面光源装置を使用することがある。近年、光源として複数の発光装置を有する、直下型の面光源装置が使用されるようになってきている。たとえば、特許文献1は、このような面光源装置(表示装置)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1Aは面光源装置10の一例の内部を示す。
図1Aに示されるように、面光源装置10は複数の発光装置200を有し、複数の発光装置200は格子状に配置されている。より具体的には、
図1Aに示されるように複数の発光装置200は、X方向に延びる複数のX方向線1と、X方向に垂直なY方向に延びる複数のY方向線2とがなす格子の各交点に配置されている。
【0005】
図1Bは、面光源装置10の部分断面図(発光装置の断面図)を示す。
図1Bに示されるように、上記の様に配置される発光装置200のそれぞれは、発光素子220と、発光素子220からの光を制御するための光束制御部材(レンズ)300を有する。発光素子220からの光は光束制御部材300によって制御され、制御された光は光拡散板120および光学シート130に到達し、光拡散板120および光学シート130に到達した光は拡散される。このようにして面光源装置10は光源として機能する。
【0006】
図2Aは、
図1Aにおいて、発光装置200から上記の光束制御部材300を取り除き発光素子220が見える状態とした図である。また、
図2Bは、
図2Aの部分拡大図である。
図2Bに示されるように、発光素子220は、青色LEDチップ221と、青色LEDチップ221からの光によって蛍光を発する黄色蛍光体222とを有する。
【0007】
このような発光素子220は、青色LEDチップ221からの青色光と、黄色蛍光体222からの黄色光との組み合わせにより面光源装置の発光面において白色光となることが求められる。また、このような発光素子220は、
図2Bに示されるように2つの青色LEDチップ221を有する場合がある。本発明者らが検討したところ、このような場合において、
図2Bに示されるように、2つの青色LEDチップ221が並ぶa方向と、発光装置200が並ぶX方向またはY方向とが平行であると、面光源装置10の発光面から理想的な白色光が得られない可能性があることを見いだした。具体的には、a方向と、X方向またはY方向とが平行であると、面光源装置10の発光面において、
図2Bに示される格子の2つの対角線3の交点4を中心とする領域に色むらが生じる可能性がある(青色が強くなる可能性がある)ことを見いだした。なお、この問題は、青色LEDチップ221と、黄色蛍光体222との組み合わせに限られず、LEDチップと、蛍光体との組み合わせで目的の色について色むらのない光を得ようとする場合のすべてに当てはまる。このような場合の例としては、LEDチップからの光と、蛍光体からの光とが補色の関係にあり、白色光を得ようとする場合などが挙げられる。
【0008】
本発明の目的は、色むらの発生を抑制することができる面光源装置を提供することである。また、本発明の目的は、当該面光源装置を有する表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の面光源装置および表示装置を提供する。
[1]基板上に配置された複数の発光装置と、前記複数の発光装置から離間し、前記複数の発光装置に対して、前記基板とは反対側に配置された光拡散板と、前記光拡散板に対して、前記複数の発光装置とは反対側に配置された光学シートと、を有し、前記複数の発光装置は、X方向に延びる複数のX方向線と、前記X方向に垂直なY方向に延びる複数のY方向線と、がなす格子の各交点に配置され、前記複数の発光装置のそれぞれは発光素子と光束制御部材とを有し、前記発光素子は、a方向に並んだ2つの第1色の光を発するLEDチップと、前記LEDチップおよびその周囲を覆うように配置された、前記第1色の光を第2色の光に変換する蛍光体と、を有し、前記格子の対角線上において、任意の発光素子の発光面の中心と、隣接する発光素子の発光面の中心とを結ぶ距離をdとしたときに、前記複数の発光装置のそれぞれにおいて、前記a方向と前記X方向とが平行となるように前記発光素子を配置したと仮定した場合であって、前記光拡散板の前記発光装置側の表面上に配置された、前記発光素子の発光面の中心の直上に位置する点Oを中心とし、半径をd/2とした仮想円上における、前記点Oを通り、前記a方向に平行な線と、前記仮想円とが交わる第1交点C1の色度座標のy値をCy1とし、前記点Oを通り、前記格子の対角線に平行な線と、前記仮想円とが交わる第2交点C2の色度座標のy値をCy2としたときに、Cy1>Cy2を満たし、前記複数の発光素子は、それぞれ、前記仮想円においてCyがCy2よりも大きい点が前記格子の対角線に平行な線上に位置するように配置されている、面光源装置。
[2]Cy1-Cy2をΔCyとしたとき、ΔCy≧0.003である、[1]に記載の面光源装置。
[3]前記複数の発光素子は、それぞれ、前記仮想円においてCyが(Cy1+Cy2)/2よりも大きい点が前記格子の対角線に平行な線上に位置するように配置されている、[1]または[2]に記載の面光源装置。
[4]前記複数の発光素子は、それぞれ、前記仮想円においてCyがCy1である点が前記格子の対角線に平行な線上に位置するように配置されている、[1]~[3]のいずれかに記載の面光源装置。
[5]前記面光源装置におけるCyの最大値と、Cyの最小値との差は、0.008以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の面光源装置。
[6]前記光学シートは、プリズムシート、拡散シート、もしくはDBEFであるか、または、これらの内の2種以上の組み合わせである、[1]~[5]のいずれかに記載の面光源装置。
[7]前記LEDチップは平面視したときに長方形である、[1]~[6]のいずれかに記載の面光源装置。
[8]前記発光素子の発光面は平面視したときに円形である、[1]~[7]のいずれかに記載の面光源装置。
[9]前記光束制御部材の入射面、および出射面は円対称である、[1]~[8]のいずれかに記載の面光源装置。
[10][1]~[9]のいずれかに記載の面光源装置と、前記面光源装置から出射される光を照射される表示部材と、を有する、表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、色むらの発生を抑制することができる面光源装置を提供することができる。また、本発明によれば、当該面光源装置を有する表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1Aは、面光源装置における発光装置の配置を示す図であり、
図1Bは面光源装置における発光装置の断面図を示す。
【
図2】
図2A、Bは、面光源装置における発光素子の配置を示す図である。
【
図3】
図3A、Bは、実施の形態に係る面光源装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4Aは、実施の形態に係る面光源装置における発光装置の配置を示す図であり、
図4Bは、面光源装置における発光装置の断面図を示す。
【
図5】
図5A~Eは、光束制御部材を示す図である。
【
図6】
図6Aは、実施の形態に係る面光源装置における発光素子の配置を示す図であり、
図6Bは、
図6Aの部分拡大図である。
【
図7】
図7A、Bは、実施の形態に係る面光源装置における発光素子の配置を説明するための図である。
【
図9】
図9Aは、比較例の面光源装置における色度分布のシミュレーション結果を示し、
図9Bは、実施の形態に係る面光源装置における色度分布のシミュレーション結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態に係る表示装置および面光源装置について説明する。なお、図面は説明のためのものであり、必ずしも実際の縮尺等を表したものではない。
【0013】
(表示装置および面光源装置)
図3A、Bは、本発明の実施の形態に係る面光源装置100の外観を示す図である。
図3Aは面光源装置100の平面図であり、
図3Bは正面図である。
図4Aは、
図3BのA-A線の断面図である。また、
図4Bは、面光源装置100における発光装置200の断面を示す図である。
図3Aに示されるように、面光源装置100は、筐体110、および光拡散板120を有する。また、
図4Aに示されるように、面光源装置100は、光学シート130を有する。
【0014】
図3Bに示されるように、面光源装置100は、面光源装置100からの光を照射される表示部材(被照射部材)102(例えば液晶パネル)と組み合わせることで、表示装置100’として使用されうる。
【0015】
図3A~4Bに示されるように、本実施の形態に係る面光源装置100は、筐体110、複数の発光装置200、光拡散板120、および光学シート130を有する。複数の発光装置200は、筐体110の底板112上に、格子状に配置されている。底板112の内面は、拡散反射面として機能することが好ましい。また、筐体110の天板114には、矩形の開口部が設けられている。光拡散板120は、この開口部を塞ぐように配置されており、複数の発光装置200から離間し、複数の発光装置200に対して、基板210とは反対側に配置され、発光面として機能する。発光面の大きさは、特に限定されないが、例えば約400mm×約700mmである。
【0016】
光学シート130は、光拡散板120に対して複数の発光装置200とは反対側に配置される。本実施の形態においては、光学シート130は、光拡散板120上に配置されている。光学シート130は、1枚のシート状部材で構成されていてもよいし、複数枚のシート状部材で構成されていてもよい。本実施の形態では、光学シート130は、複数枚のシート状部材で構成されている。具体的には、光学シート130は、プリズムシート、拡散シート、もしくはDBEFであるか、または、これらの内の2種以上の組み合わせであればよい。
【0017】
図4A、Bに示されるように、面光源装置100は複数の発光装置200を有し、複数の発光装置200のそれぞれは、光束制御部材300と、発光素子220とを有する。以下、それぞれについて説明する。なお、本実施の形態においては、複数の発光装置200は、基板210上に配置されている。本実施の形態において、基板210は複数あり、それぞれX方向に延びる矩形の部材である。
【0018】
〈発光装置〉
発光装置200は、面光源装置100の光源である。発光装置200は、
図4Aに示されるように、X方向に延びる複数のX方向線1と、X方向に垂直なY方向に延びる複数のY方向線2とがなす格子の各交点に配置されている。なお、複数のX方向線1の間の間隔は一定であっても一定でなくてもよい。同様に、複数のY方向線2の間の間隔は一定であっても一定でなくてもよい。本実施の形態において、複数のX方向線1の間の間隔および複数のY方向線2の間の間隔はそれぞれ一定である。なお、発光装置200は、平面視したときに、光束制御部材300の中心軸CAが格子の交点に一致するように配置されることが好ましい。なお、X方向線1およびY方向線2は、発光装置の配置を説明するための仮想的な線である。
【0019】
複数のX方向線1および複数のY方向線2によって形成される格子(単位格子)の形状は、長方形(正方形を含む)であればよい。格子(単位格子)のX方向の長さと、Y方向の長さとの比は特に制限されないが、X方向の長さを1としたときに、Y方向の長さは、例えば、0.9~1.5であることが好ましく、1~1.3であることが好ましく、1.1であることが好ましい。
【0020】
〈光束制御部材〉
図5A~Eは、光束制御部材300の構成を示す図である。
図5Aは、光束制御部材300の平面図であり、
図5Bは側面図であり、
図5Cは底面図であり、
図5Dは断面図であり、
図5Eは、
図5Cの部分拡大図である。
【0021】
図5D、5Eに示されるように、光束制御部材300は、凹部310、入射面320、出射面330、裏面340、反射部350、凸条360、鍔部370、および脚部380を有する。
【0022】
凹部310は、光束制御部材300の裏側(発光素子220側)の中央部に形成されている。凹部310の内面は、入射面320として機能する。入射面320は、発光素子220から出射された光の大部分を、その進行方向を制御しつつ光束制御部材300の内部に入射させる。したがって、光束制御部材300は、入射面320が発光素子220と対向するように配置される。入射面320は、光束制御部材300の中心軸CAと交わり、中心軸CAを軸として回転対称(円対称)である。凹部310の形状は、特に限定されないが、例えば半長球(楕円の長軸を回転軸として得られた回転楕円体を短軸に沿って2つに分割した形状)である。
【0023】
出射面330は、光束制御部材300の表側(光拡散板120側)に、鍔部370から突出するように形成され、光束制御部材300の中心軸CAと交差するように配置される。出射面330は、光束制御部材300内に入射した光を、進行方向を制御しつつ外部に出射させる。出射面330は、中心軸CAを軸として回転対称(円対称)である。
【0024】
本実施の形態では、出射面330は、光束制御部材300の表側において、中心軸CAを中心とする所定範囲(中心軸CAの近傍)に配置された第1出射面330aと、第1出射面330aを取り囲む様に配置された第2出射面330bとを有する。本実施の形態では、第1出射面330aは、光拡散板120に対して凹形状の滑らかな曲面であり、第2出射面330bは、光拡散板120に対して凸形状の滑らかな曲面であり、鍔部370の天面と接続している。
【0025】
裏面340は、光束制御部材300の裏側に配置される面であり、出射面330と反対側の面である。
【0026】
反射部350は、光束制御部材300の裏側において、入射面320(凹部310)を取り囲むように配置され、発光素子220から出射され、出射面330でフレネル反射した光を反射させるための傾斜面(本実施の形態においては第1傾斜面361、第2傾斜面362、および稜線363を有する複数の凸条360)を有する(
図5E参照)。
【0027】
反射部350の位置は、特に限定されないが、発光素子220の発光中心から出射され、入射面320で入射し、かつ出射面330(第1出射面330aおよび第2出射面330b)でフレネル反射した光が多く到達する領域であることが好ましい。反射部350は、光束制御部材300において、光束制御部材300で最も高い部分より外側(中心軸CAから離れた位置)に配置されることが好ましい。
【0028】
出射面330から到達した光の反射率を向上させる観点から、上述した反射部350は、複数の凸条360(全反射プリズム)を有するように構成されていることが好ましい。
【0029】
複数の凸条360は、底面視したときに、光束制御部材300の中心軸CAに対して放射状(回転対称)に配置されている。
図5Eに示されるように各凸条360は、平面状の第1傾斜面361と、平面状の第2傾斜面362と、第1傾斜面361と第2傾斜面362との交線である稜線363とを有しており、全反射プリズムのように機能する。
図5Dに示されるように、凸条360の稜線363を含む仮想直線は、稜線363よりも表側(光拡散板120側)の位置で中心軸CAと交わる。すなわち、各凸条360は、裏側(発光素子220側)よりも表側(光拡散板120側)の方が中心軸CAに近づくように、中心軸CAに対し所定の角度(例えば30°)で傾いている。反射部350に到達した光は、いずれかの凸条360の2つの面(第1傾斜面361および第2傾斜面362)で順次反射して、出射面330に向かう光となる。
【0030】
鍔部370は、出射面330の外縁と裏面340の外縁との間に配置され、中心軸CAから離れる方向に延在する。370の形状は、略円環状である。鍔部370を設けることで、光束制御部材300の取り扱いおよび位置合わせが容易になる。鍔部370の厚みは、特に限定されず、出射面330の必要面積や鍔部370の成形性などを考慮して決定される。
【0031】
光束制御部材300は複数の脚部380を有していてもよい(
図5B参照)。複数の脚部380は、裏面340から突出している略円柱状の部材である。複数の脚部380は、発光素子220に対して適切な位置に光束制御部材300を支持する。
【0032】
〈発光素子〉
図6Aは、
図4Aにおいて発光装置200から光束制御部材300を取り除いた状態を示し、発光素子220が見える状態を示している。また、
図6Bは、
図6Aの部分拡大図である。
【0033】
発光素子220は、発光装置200と同様に、X方向に延びる複数のX方向線1と、X方向に垂直なY方向に延びる複数のY方向線2とがなす格子の各交点に配置されていればよい。より具体的には、発光素子220は、平面視したときにその光軸LA(
図4B参照)が上述の交点に一致するように配置されることが好ましい。なお、発光素子の光軸LAとは、発光素子220からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。あるいは、発光素子220は、発光面225の中心(重心)が交点に一致するように配置されることが好ましい。本実施の形態において、発光面225は円形であり、発光面225の中心(重心)は円形である発光面の中心である。
【0034】
発光素子220は、
図7Aに示されるように、格子の対角線3上において、任意の発光素子220の発光面225の中心と、隣接する発光素子220の発光面225の中心とを結ぶ距離をdとし、以下の様に配置されたと仮定した場合に、光束制御部材との組み合わせで以下の様な配光となる。なお、この配光は1つの発光素子220のみを発光させたと仮定した場合の配光である。
【0035】
すなわち、発光素子220は、
図7Aに示されるように、a方向とX方向(X方向線1)とが平行になるように発光素子220を配置したと仮定した場合であって、光拡散板120の発光装置200側の表面上に配置された、発光素子220の発光面225の中心の直上に位置する点Oを中心とし、半径をd/2とした仮想円上における、点Oを通り、a方向に平行な線と、仮想円とが交わる第1交点C1の色度座標のy値をCy1とし、点Oを通り、格子の対角線に平行な線と、前記仮想円とが交わる第2交点C2の色度座標のy値をCy2としたときに、Cy1>Cy2を満たす。これは対角線方向よりもX方向の方がより黄色が強く、X方向よりも対角線方向の方がより青色が強いことを意味する。なお、「色度座標」とは、CIE色度図における座標を意味する。
【0036】
図7Bは、上記の様に配置したと仮定した場合の色度分布のシミュレーション結果の一例を示す。
図7Bには上述の第1交点C1および第2交点C2が示されている。また、
図7Bにおいて、黒色に近いほど青色がより強いことを示し、白色に近いほど黄色がより強いことを示している。
【0037】
図7Bからわかるように、C1はC2よりも白く黄色がより強いことがわかる。具体的には、本実施の形態において、C1の色度座標のy値であるCy1は0.264であり、C2の色度座標のy値であるCy2は0.255であり、Cy1>Cy2を満たす。また、Cy1-Cy2をΔCyとしたときに、ΔCyは0.009である。
【0038】
上記の様な発光素子220は、以下のように配置されることで本発明の効果を発揮することができる。すなわち、発光素子220は、それぞれ、仮想円においてCyがCy2よりも大きい点が格子の対角線3に平行な線上に位置するように配置される。これにより、
図6Bに示される格子の2つの対角線3の交点4を中心とした領域に、青色が強くなる色むらが生じるのを抑制することができる。なお。本実施の形態において、a方向は、平面視したときに、長辺および短辺を有する長方形である2つの青色LEDチップ221が並列に並ぶ方向である。また、本実施の形態において、2つの青色LEDチップ221は同一形状である。また、本実施の形態において、a方向は当該長方形の長辺に垂直な方向である。
【0039】
なお、Cy1-Cy2をΔCyとしたとき、ΔCy≧0.003であることが好ましく、ΔCy≧0.005であることがより好ましく、ΔCy≧0.009であることがさらに好ましい。
【0040】
また、複数の発光素子220は、それぞれ、仮想円においてCyが(Cy1+Cy2)/2よりも大きい点が前記格子の対角線3に平行な線上に位置するように配置されていることがより好ましい。また、複数の発光素子は220、それぞれ、仮想円においてCyがCy1である点が格子の対角線3に平行な線上に位置するように配置されていることがさらに好ましい。また、面光源装置におけるCyの最大値と、Cyの最小値との差は、0.008以下であることが好ましく、0.005以下であることがさらに好ましい。
【0041】
図6Bに示されるように、1つの格子について対角線3は2つあるが、交点4を中心とした領域の色むらを抑制するという観点から、いずれか1つの対角線3について、発光素子220が上記のように配置されることが好ましい。また、面光源装置100の色むらを全体的に抑制するという観点から、互いに平行な複数の対角線3のそれぞれについて発光素子220が上記の様に配置されることが好ましい。また、面光源装置において、複数の発光素子220のa方向はすべて平行となることが好ましい。
【0042】
図8は、発光素子220の断面図を示す。本実施の形態において、発光素子220は白色LEDパッケージである。このような発光素子220は、2つの青色LEDチップ221と、青色LEDチップ221およびその周囲を覆うように配置された黄色蛍光体222と、2つの青色LEDチップ221および黄色蛍光体222を封止する封止材223と、を含む。本実施の形態では、複数の青色LEDチップ221が樹脂枠224の中に配置されており、封止材223が樹脂枠224の中に充填されている。
【0043】
発光素子220では、複数の青色LEDチップ221から青色光が出射される。出射された青色光の一部が封止材223中の黄色蛍光体222に当たると、黄色蛍光体222から黄色光が発生し、発光面225から黄色光が出射される。一方、青色光の他の一部は、封止材223中の黄色蛍光体222に当たらずに発光面225からそのまま出射される。発光面225から出射された黄色光と青色光とが混色することで白色光が得られる。ここで発光素子220の発光面225から出射される青色光の強度と黄色光の強度は実質的に同じであることが好ましい。なお、本実施の形態において、
図7Aに示されるように発光面225は平面視したときに円形である。
【0044】
青色LEDチップ221は、青色領域の波長の光を出射する半導体素子である。たとえば、青色LEDチップ221は、発光波長帯域が450nm~460nm程度の青色光を出射する。青色LEDチップ221の発光面の形状は、特に制限されず、例えば長方形である。複数の青色LEDチップ221は、樹脂枠224の中に配置されている。
【0045】
LEDチップと、蛍光体との組み合わせは、上記の青色LEDチップと黄色蛍光体との組み合わせに制限されない。LEDチップは第1色の光を発することができ、蛍光体は第1色の光が当たったときに第2色の光に変換することができればよい。第1色の光と、第2色の光とは、例えば、補色の関係にあることが好ましい。また、第1色の光と、第2色の光とは混色して白色光となることが好ましい。
【0046】
(シミュレーション)
図9Aは、
図1A、
図2A、Bに示される比較例の面光源装置10における光拡散板上の色度分布を示し、
図9Bは、本実施の形態に係る面光源装置100における光拡散板上の色度分布を示す。
【0047】
図9A、
図9Bにおいて、複数のX方向線1と複数のY方向線2との交点に発光装置200が配置されている。また、
図9Aに示されるように、比較例の面光源装置10において、発光素子220はa方向がX方向線1と平行になるように配置されている。一方で、
図9Bに示されるように、本実施の形態において、発光素子220はa方向がX方向およびY方向に平行とならないように配置されている。具体的には、本実施の形態において、発光素子220は、CyがCy1である点が前記格子の対角線3に平行な線上に位置するように配置されている(a方向と対角線3が平行となるように配置されている)。
【0048】
図9A、
図9Bにおいて、黒色に近いほど青色がより強いことを示し、白色に近いほど黄色がより強いことを示している。
図9Aと、
図9Bとの比較からわかるように、
図9Aでは、格子の2つの対角線の交点を中心とした領域に青色が強い部分があり、色むらが生じた。これに対して、
図9Bでは、格子の対角線の交点を中心とした領域の色むらが抑制された。これは、本実施の形態では、上記の様に発光素子220が配置されていることで格子の対角線の交点を中心とした領域に光の干渉によって青色が強くなる領域が生じることが抑制されるためと考えられる。
【0049】
(効果)
本実施の形態に係る面光源装置では、面光源装置において色むらの発生を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の面光源装置は、例えば、液晶表示装置のバックライトや一般照明などに適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 X方向線
2 Y方向線
3 対角線
4 対角線の交点
10、100 面光源装置
100’ 表示装置
102 表示部材
110 筐体
112 底板
114 天板
120 光拡散板
130 光学シート
200 発光装置
210 基板
220 発光素子
221 青色LEDチップ
222 黄色蛍光体
223 封止材
224 樹脂枠
225 発光面
300 光束制御部材
310 凹部
320 入射面
330 出射面
330a 第1出射面
330b 第2出射面
340 裏面
350 反射部
360 凸条
361 第1傾斜面
362 第2傾斜面
363 稜線
370 鍔部
380 脚部
CA 中心軸
LA 光軸