(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103073
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】電子部品の製造方法及び電子部品保持治具
(51)【国際特許分類】
H01G 13/00 20130101AFI20240725BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20240725BHJP
H01C 7/00 20060101ALI20240725BHJP
H01C 7/02 20060101ALI20240725BHJP
H01C 7/04 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H01G13/00 351Z
H01G4/30 517
H01G4/30 311Z
H01G13/00 351A
H01C7/00 400
H01C7/02
H01C7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007210
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 崇明
(72)【発明者】
【氏名】野村 英憲
【テーマコード(参考)】
5E001
5E033
5E034
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC04
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E033BD01
5E033BH01
5E034AB01
5E034BB01
5E034DA07
5E034DC01
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC36
5E082BC38
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082FG54
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082MM04
5E082MM13
5E082MM15
5E082MM32
(57)【要約】
【課題】電子部品の衝突の可能性を低減可能な電子部品の製造方法及び電子部品保持治具を提供する。
【解決手段】本発明の電子部品1の製造方法は、誘電体層14と内部電極15とが積層された積層体チップ1Aを含む電子部品1を準備する電子部品準備工程と、前記電子部品1を、電子部品保持治具200に、互いに所定距離離間して整列配置された状態で保持する電子部品保持工程と、前記電子部品保持治具200における前記積層体チップ1Aの位置情報を取得する位置情報取得工程と、前記電子部品1が前記電子部品保持治具200に保持された状態で、前記電子部品1を処理する処理工程と、前記電子部品1の処理結果を前記位置情報と結び付ける情報リンク工程と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と内部電極とが積層された積層体チップを含む電子部品を準備する電子部品準備工程と、
前記電子部品を、電子部品保持治具に、互いに所定距離離間して整列配置された状態で保持する電子部品保持工程と、
前記電子部品保持治具における前記積層体チップの位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記電子部品が前記電子部品保持治具に保持された状態で、前記電子部品を処理する処理工程と、
前記電子部品の処理結果を前記位置情報と結び付ける情報リンク工程と、を含む、
電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記処理工程は、前記電子部品に対する外観検査工程を含む、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記処理工程は、前記電子部品に対する特性検査工程を含む、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記処理工程は、前記積層体チップに対する外部電極形成工程を含む、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記処理工程は、前記電子部品に対する130℃以上の熱処理工程を含む、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記処理工程は、前記電子部品に対する水中処理工程を含む、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記処理工程は、前記電子部品の、長尺状の包装部材への収納工程を含む、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記電子部品の処理結果は、前記包装部材上での位置情報を含む、
請求項7に記載の電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記電子部品間の距離は0.1mm以上10mm以下である、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記電子部品は、
長さ方向の寸法が、1.0mm以上3.2mm以下、
幅方向の寸法が、0.5mm以上2.5mm以下、
積層方向の寸法が、0.5mm以上2.8mm以下である、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記電子部品保持治具は、耐熱温度が130℃以上260℃以下の粘着シートである、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法に用いる電子部品保持治具。
【請求項12】
前記電子部品保持治具は、吸水率が0.01%以上3%以下の粘着シートである、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法に用いる電子部品保持治具。
【請求項13】
前記電子部品保持治具は、基材と粘着層とを有する粘着シートであり、前記処理工程の後、前記粘着層を洗浄することで再利用可能である、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法に用いる電子部品保持治具。
【請求項14】
前記電子部品保持治具は、基材と粘着層とを有する粘着シートであり、前記基材の厚みは50μm以上200μm以下、前記粘着層の厚みは50μm以上300μm以下である、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法に用いる電子部品保持治具。
【請求項15】
前記電子部品保持治具は、基材と粘着層とを有する粘着シートであり、前記粘着層は、シリコーン樹脂もしくはフッ素樹脂製である、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法に用いる電子部品保持治具。
【請求項16】
前記電子部品保持治具は、透過性を有する粘着シートである、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法に用いる電子部品保持治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造方法及び電子部品保持治具に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ等の電子部品は、例えば、外部電極の形成、種々の検査、個包装等の度に、バラの状態から振込装置を用いて整列される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、電子部品をバラの状態から振込装置を用いて整列させる際、振込み効率をあげるために、一定量の電子部品を密な状態でまとめて振込装置内に投入する必要がある。そうすると、電子部品同士が衝突し、その後の工程で発生する不良を内在させてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、電子部品の衝突の可能性を低減可能な電子部品の製造方法及び電子部品保持治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、誘電体層と内部電極とが積層された積層体チップを含む電子部品を準備する電子部品準備工程と、前記電子部品を、電子部品保持治具に、互いに所定距離離間して整列配置された状態で保持する電子部品保持工程と、前記電子部品保持治具における前記積層体チップの位置情報を取得する位置情報取得工程と、前記電子部品が前記電子部品保持治具に保持された状態で、前記電子部品を処理する処理工程と、前記電子部品処理結果を前記位置情報と結び付ける情報リンク工程と、を含む、電子部品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子部品の衝突の可能性を低減可能な電子部品の製造方法及び電子部品保持治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の積層セラミックコンデンサ1Bの概略斜視図である。
【
図2】
図1の積層セラミックコンデンサ1BのII-II線に沿った断面図である。
【
図3】積層セラミックコンデンサ1Bの製造方法を説明するフローチャートである。
【
図6】粘着シート200に保持された複数の電子部品1を示す斜視図である。
【
図7】検査位置での第1外観検査装置301の配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明にかかる、電子部品1の製造方法及び電子部品保持治具の実施形態について説明する。電子部品1としては、抵抗、サーミスタ、コイル、積層セラミックコンデンサ等が考えられるが、実施形態において、電子部品1として、積層体チップ1A、又は、積層体チップ1Aの端面に外部電極3が形成された積層セラミックコンデンサ1Bを例にして説明する。また、実施形態において電子部品保持治具は、粘着シート200を例にして説明する。
【0010】
図1は、実施形態の積層セラミックコンデンサ1Bの概略斜視図である。
図2は、
図1の積層セラミックコンデンサ1BのII-II線に沿った断面図である。
【0011】
(積層セラミックコンデンサ1B)
積層セラミックコンデンサ1Bは、略直方体形状で、積層体チップ1Aと、積層体チップ1Aの両端に設けられた一対の外部電極3とを備える。積層体チップ1Aは、複数の誘電体層14と複数の内部電極15とが積層された内層部11を含む。
【0012】
以下の説明において、積層セラミックコンデンサ1Bの向きを表わす用語として、積層セラミックコンデンサ1Bにおいて、一対の外部電極3が設けられている方向を長さ方向Lとする。誘電体層14と内部電極15とが積層されている方向を積層方向Tとする。長さ方向L及び積層方向Tのいずれにも交差する方向を幅方向Wとする。
【0013】
また、積層体チップ1Aの6つの外表面のうち、積層方向Tに相対する一方を第1主面A1、他方を第2主面A2とし、幅方向Wに相対する一対の外表面を側面Bとし、長さ方向Lに相対する一対の外表面の一方を第1端面C1、他方を第2端面C2とする。第1主面A1と第2主面A2とを区別して説明する必要のない場合、合わせて主面Aとして説明する。第1端面C1と第2端面C2とを区別して説明する必要のない場合、合わせて端面Cとして説明する。
【0014】
実施形態の積層セラミックコンデンサ1Bが、長さ方向Lの寸法が、1.0mm以上3.2mm以下、幅方向Wの寸法が、0.5mm以上2.5mm以下、積層方向Tの寸法が、0.2mm以上2.8mm以下であることが好ましい。
【0015】
(積層体チップ1A)
積層体チップ1Aは、内層部11と、内層部11の両方の主面A側に配置される外層部12とを備える。積層体チップ1Aは、角部及び稜線部に丸みがつけられていることが好ましい。角部は、積層体チップ1Aの3面が交る部分であり、稜線部は、積層体チップ1Aの2面が交る部分である。
【0016】
(誘電体層14)
誘電体層14は、誘電体材料で製造されている。誘電体材料としては、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、又はCaZrO3等の成分を含む誘電体セラミックを用いることができる。また、これらの成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物等の主成分よりも含有量の少ない成分を添加したものを用いてもよい。そのほか、PZT系セラミック等の圧電体セラミック、スピネル系セラミック等の半導体セラミック、フェライト等の磁性体セラミックを用いることもできる。また、圧電体セラミックを用いた場合は圧電部品として機能し、半導体セラミックを用いた場合はサーミスタとして機能し、磁性体セラミックを用いた場合はインダクタとして機能する。ただし、インダクタの場合、内部電極15はコイル状の導体となる。
【0017】
(内部電極15)
内部電極15は、複数の第1内部電極15Aと、複数の第2内部電極15Bとを備える。第1内部電極15Aと第2内部電極15Bとは、交互に配置されている。なお、第1内部電極15Aと第2内部電極15Bとを特に区別して説明する必要のない場合、まとめて内部電極15として説明する。
【0018】
内部電極15としては、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等の金属を含有している。内部電極15は、さらに誘電体層に含まれるセラミックスと同一組成系の誘電体粒子を含んでいてもよい。
【0019】
内部電極15は、第1内部電極15Aと第2内部電極15Bとの間で互いに対向する対向部152と、第1内部電極15Aと第2内部電極15Bとの間で互いに対向せず、対向部152から一方の端面C側に引き出された引出部151とを備える。引出部151の端部は、端面Cに露出し、外部電極3に電気的に接続されている。引出部151が延びる方向は、第1内部電極15Aと第2内部電極15Bとで異なり、第1端面C1側と第2端面C2側とに交互に引き出される。そして、積層方向Tに隣り合う第1内部電極15Aと第2内部電極15Bとの対向部152間に電荷が蓄積され、コンデンサとして機能する。
【0020】
積層体チップ1Aは第1内部電極15A及び第2内部電極15Bが対向する対向部152と側面Bとの間に位置する側部ギャップ部20(
図1に図示)、及び、対向部152と端面Cとの間に位置し、第1内部電極15A及び第2内部電極15Bのいずれか一方の引出部151を含む端部ギャップ部21(
図2に図示)を含む。
【0021】
(外層部12)
外層部12は、内層部11の誘電体層14と同じ誘電体セラミック材料で製造されている。
【0022】
(外部電極3)
外部電極3は、積層体チップ1Aの第1端面C1に設けられた第1外部電極3Aと、積層体チップ1Aの第2端面C2に設けられた第2外部電極3Bとを備える。なお、第1外部電極3Aと第2外部電極3Bとを特に区別して説明する必要のない場合、まとめて外部電極3として説明する。外部電極3は、端面Cだけでなく、主面A及び側面Bの端面C側の一部も覆っている。
【0023】
外部電極3は、下地電極層30と、下地電極層30の外側に配置されためっき層31とを含んでいてもよい。外部電極3は、積層体チップ1A上に直接設けられてもよく、また、前処理として積層体チップ1A上に触媒を設けてもよい。下地電極層30は、焼付層30a、樹脂層30b、薄膜層30c等から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0024】
焼付層30aは、ガラスと金属とを含む。ガラスは、Si等を含む。金属としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。焼付層30aは、複数層であってもよい。焼付層30aは、ガラス及び金属を含む導電性ペーストを積層体チップ1Aに塗布して焼き付けたものであり、内部電極15と同時焼成したものでもよく、内部電極15を焼成した後に焼き付けてもよい。
【0025】
樹脂層30bは、導電性粒子と熱硬化性樹脂を含んでもよい。樹脂層30bは、焼付層30aを形成せずに積層体チップ1A上に直接形成してもよい。樹脂層30bは、複数層であってもよい。
【0026】
薄膜層30cは、スパッタ法又は蒸着法等の薄膜形成法により形成され、金属粒子が堆積された1μm以下の層である。
【0027】
めっき層31は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる1種の金属又は当該金属を含む合金のめっきを含むことが好ましい。めっき層31は複数層により形成されていてもよい。実施形態では、第1めっき層31aとしてNiめっき層、第2めっき層31bとしてSnめっき層の2層構造である。なお、めっき層31はガラスを含まないことが好ましい。
【0028】
第1めっき層31aをNiめっき層とした場合、下地電極層30が積層セラミックコンデンサ1Bを実装する際のはんだによって侵食されることを防止することができる。
【0029】
第2めっき層31bとしてSnやAuを用いた場合、積層セラミックコンデンサ1Bを実装する際のはんだの濡れ性を向上させ、容易に実装することができる。第2めっき層31bは必要に応じて形成されるものであり、外部電極3は、第1めっき層31aから構成されたものであってもよい。第2めっき層31bをめっき層31の最外層として設けてもよく、第2めっき層31b上に他のめっき層を設けてもよい。
【0030】
めっき層31の単位体積あたりの金属割合は99体積%以上であることが好ましい。
【0031】
(積層セラミックコンデンサ1Bの製造方法)
次に、積層セラミックコンデンサ1Bの製造方法について説明する。
図3は積層セラミックコンデンサ1Bの製造方法を説明するフローチャートである。
【0032】
(電子部品準備工程S1)
電子部品準備工程において、まず、誘電体シート及び内部電極用の導電性ペーストを準備する。誘電体シートや内部電極用の導電性ペーストには、バインダ及び溶剤が含まれるが、公知の有機バインダや有機溶剤を用いることができる。誘電体シート上に、例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷等により所定のパターンで内部電極用の導電性ペーストを印刷し、内部電極パターンを形成する。
【0033】
内部電極パターンが印刷されていない外層部用の誘電体シートを所定枚数積層し、その上に内部電極パターンが印刷された誘電体シートを順次積層し、その上に外層部用の誘電体シートを所定枚数積層し、積層シートを作製する。積層シートを静水圧プレス等の手段により積層方向にプレスして積層ブロックを作製する。
【0034】
積層ブロックを所定のサイズにカットし、個片化された積層体チップ1Aを切り出す。このとき、バレル研磨等により積層体チップ1Aの角部及び稜線部に丸みをつけてもよい。その後、積層体チップ1Aを焼成する。焼成温度は、誘電体や内部電極の材料にもよるが、900~1300℃であることが好ましい。
【0035】
その後、複数の積層体チップ1Aの端面Cに焼付層30aを形成する。焼付層30aの形成の際、複数の積層体チップ1Aの端面Cに導電性ペーストを塗布し、焼成さやに導電性ペースが塗布された積層体チップ1Aを入れて焼成することで、焼付層30aが形成される。そして、さらに外部電極3の他の層が形成されて積層セラミックコンデンサ1Bが製造される。
【0036】
ここで、本実施形態の電子部品1の製造方法は、外部電極3が形成される前の積層体チップ1A、又は外部電極3が形成された後の積層セラミックコンデンサ1Bに対して外観検査等の各種処理を行う各種処理工程を含む。以下、これらの処理工程について説明するが、処理工程における被処理体は、積層体チップ1A又は積層セラミックコンデンサ1Bであるので、電子部品1として説明する。
【0037】
各種処理工程は、例えば、電子部品保持工程S2、外観検査工程S4、第1情報リンク工程S5、特性検査工程S6、第2情報リンク工程S7、収納工程S8、及び第3情報リンク工程S9を含む。
【0038】
(電子部品保持工程S2)
電子部品保持工程は、電子部品1を、振込装置100を用いて整列させる。
図4は、振込装置100を示す斜視図である。
図5は、電子部品保持工程を説明する図である。
【0039】
振込装置100は、複数の電子部品1を整列させる装置である。なお、積層方向を磁石や積層方向および幅方向の寸法差を利用して電子部品1を同じ向きに揃えてもいい。振込装置100は、パレット本体101とベース102とを備える。パレット本体101は、整列エリア103と、整列エリア103を囲む側壁部104とを含む。パレット本体101には、整列エリア103内に複数の電子部品1を供給可能とする供給口が設けられている。整列エリア103には、複数の凹部106が設けられている。それぞれの凹部106には、1つの電子部品1が収納可能となっている。
【0040】
なお、
図4において凹部106は、図示する便宜上行4×5列で配置されている。ただし、凹部106の個数や配置状態はこれに限定されない。例えば、行方向及び列方向の凹部106の数を多くして、凹部106の合計は数千から数万個にすることが好ましい。
【0041】
複数の電子部品1は、バラの状態で振込装置100に供給される。電子部品1は、整列エリア103内を移動しつつ、凹部106に1つずつ収納され、凹部106の行列に対応して整列配置される。
【0042】
図5(a)は、電子部品1を凹部106に収納した振込装置100の断面図である。図示するように、電子部品1が凹部106に収納されると、電子部品1の一部が、開口部から上方に突出する。ただし、電子部品1は開口部から突出させなくてもよく、突出させなければ、電子部品1をよりスムーズに振り込むことが可能になる。
【0043】
図5(a)の状態から、
図5(b)に示すように、複数の電子部品1の主面Aもしくは側面Bに対して粘着シート200を押圧して、複数の電子部品1を粘着シート200に一括して保持する。
【0044】
(粘着シート200)
粘着シート200は、基材201と、基材201の片面に形成された、粘着層202とを含む。粘着シート200は、以下の特性を有することが好ましい。
吸水率:吸水した際の体積変化率は3%以下で、吸水率は、0.01%以上3%以下。
大きさ:一辺あたり200mm以上1000mm以下。
柔軟性:ある程度の柔軟性を備えており、90°以上に折り曲げても、もとに形状にもどる弾性も備えている。
透過性を有する。
【0045】
(基材201)
基材201は以下の特性を有することが好ましい。
厚み:0.05mm以上0.2mm以下。
吸水率:吸水した際の体積変化率は3%以下で、吸水率は、0.01%以上3%以下。
材質:ガラス繊維を含むエポキシ樹脂製、ポリイミド製、PET製。なお、金属性の板状体の主面に粘着層202を形成してもよい。
【0046】
(粘着層202)
粘着層202は、以下の特性を有することが好ましい。
厚み:50μm以上300μm以下。
耐熱温度:130℃以上260℃以下の領域で粘着性を失わず、その後の熱処理でも電子部品1を保持し続けることが可能。
体積抵抗率:10^10Ω・cmが好ましい。体積抵抗率が高いと、その後の測定工程で誤測定が起きにくい。
接着力:0.1N/25cm以上3N/25cm以下。0.1N/25cm以上であれば、電子部品1を脱落させることなく保持し続ける事が可能。
材質:シリコーン樹脂又はフッ素樹脂。
処理後、洗浄することで再利用可能。
【0047】
次いで、
図5(b)の状態から、
図5(c)に示すように、粘着シート200に保持された複数の電子部品1を振込装置100から引き離して凹部106内から引き上げる。
【0048】
図6は、粘着シート200に保持された複数の電子部品1を示す斜視図であり、粘着シート200上の電子部品1が、
図4に示した4×5ではなく、多数配置されている例を示す。例えば366×280mmの1枚の粘着シート200には、GR18サイズ1.6mm×0.8mm×0.5mmの電子部品1の場合1000個、GR21サイズ2.0mm×1.25mm×0.6mmの電子部品1の場合1000個、GR31サイズ3.2mm×1.6mm×0.85mmの電子部品1の場合1000個、GR32サイズ3.2mm×2.5mm×2.0mmの電子部品1の場合1000個程、搭載される。なお、これらのサイズは、EIA規格で公差を含むものとする。
【0049】
ただし、これに限定されず、電子部品1の保持方法としては、例えば外部電極3を形成した後の積層セラミックコンデンサ1B等、焼成さやの上で散り散りになっている電子部品1を、1つずつピッキングし、粘着シートに移し替えてもよい。このように1つずつピッキングすれば、電子部品1同士の衝突を起こすことなく粘着シートに保持させることが可能である。
【0050】
(位置情報取得工程S3)
粘着シート200には、それぞれ個別の識別情報210が付されている。識別情報210は、バーコード、QRコード(登録商標)等の2次元バーコードであってもよく、また数値であってもよい。そして、個々の電子部品1はそれぞれ、特定の識別情報210を有する粘着シート200における、何行何列の位置にある電子部品1であるという位置情報が付される。なお、識別情報210と個々の電子部品1のロット情報とをリンクさせ、設計情報と電子部品1の作成情報とをリンクさせてもよい。また、識別情報210と粘着シートを加工に用いた回数とがリンクしていてもよい。
【0051】
(外観検査工程S4)
次いで、処理工程としての外観検査工程において、複数の電子部品1を保持する粘着シート200は、第1外観検査装置301が配置されている検査位置に搬送される。
図7は、外観検査工程を説明する図である。第1外観検査装置301は、CCD等の撮像装置を備え、粘着シート200に保持された状態で電子部品1の外観を検査する。なお、
図7においては電子部品1として積層セラミックコンデンサ1Bを図示する。
【0052】
第1外観検査装置301は、電子部品1の第1主面A1側を撮像する撮像装置301a1のみならず、側面B1側を撮像する撮像装置301b1及び側面B2側を撮像する撮像装置301b2を含む。また、粘着シート200が透明である場合、粘着シート200を通した外観検査も可能である。この場合、さらに第2主面A2側を撮像する撮像装置301a2を備えていてもよい。なお、第2主面A2側の撮像については、粘着シート200から電子部品1をピッキングした際、直接、第2主面A2側を撮像してもいい。
【0053】
(第1情報リンク工程S5)
情報リンク工程としての第1情報リンク工程では、外観検査工程S4において取得されたそれぞれの電子部品1の検査結果が、位置情報取得工程において取得された、対応する電子部品1の位置情報もしくは識別情報210とリンク付けされて、図示しない記憶部に記憶される。
【0054】
(特性検査工程S6)
次いで、電子部品1に対して処理工程として特性検査工程が行われる。
図8は特性検査工程を説明する図である。
図8においても電子部品1として積層セラミックコンデンサ1Bを図示する。電子部品1の特性検査方法としては、種々の方法があるが、例えば、粘着シート200上に保持された電子部品1としての積層セラミックコンデンサ1Bの外部電極3に測定プローブ303を接触させて、静電容量、絶縁抵抗値等各種パラメータを測定する。特性検査は、測定時に加熱して電圧を印加して測定するバーンイン試験であってもよい。また、特性検査は複数回行ってもよく、その場合、特性検査と特性検査との間に外観検査工程を挟んでもよい。
【0055】
特性検査工程の後、例えば一定の基準を満たさない積層セラミックコンデンサ1Bが含まれている場合、静電容量値を戻すための熱処理工程を含んでもよい。この場合、熱処理は、一例として130~200℃で10分~3時間とする。熱処理工程は、特性検査後であってもよく、次に述べる第2情報リンク工程の後であってもよい。
【0056】
また、特性検査工程は、水中で超音波により積層体チップ1A内での誘電体層との界面の剥離を検査する水中検査工程を含んでいてもよい。
【0057】
(第2情報リンク工程S7)
第2情報リンク工程では、特性検査工程において取得されたそれぞれの電子部品1の検査結果が、対応する電子部品1の位置情報とリンク付けされて、図示しない記憶部に記憶される。
【0058】
(収納工程S8)
続いて、処理工程として、電子部品1としての積層セラミックコンデンサ1Bを長尺状の包装部材であるキャリアテープ400に収納する。
図9は収納工程を説明する図である。外観選別工程や特性検査工程等の各種工程でOKとなった積層セラミックコンデンサ1Bを、収納工程において、キャリアテープ400に配された収納穴401に収納し、トップテープ402で封をする。
【0059】
収納工程では、図示するように、粘着シート200に保持されている積層セラミックコンデンサ1Bはノズル403でピッキングされてキャリアテープ400に収納される。ピッキングの際、直接、第2主面A2側を撮像してもいい。
【0060】
キャリアテープ400は、長尺で薄い帯状の部材であり、電子部品を収納するための複数の収納穴401がその長手方向に等間隔で配列形成されている。キャリアテープ400において、各収納穴401に順次、ノズル403でピックアップされた積層セラミックコンデンサ1Bが装填された後、収納穴401の開口側の面に、同じく長尺で薄い帯状の部材からなるトップテープ402が重ね合わされて、これらを挟み込んだ状態で熱圧着して梱包される。
【0061】
(第3情報リンク工程S9)
第3情報リンク工程では、収納工程において、積層セラミックコンデンサ1Bが、どのキャリアテープ400のどの収納穴401に収納されたかという情報が、個々の積層セラミックコンデンサ1Bの位置情報とリンク付されて、図示しない記憶部に記憶される。
【0062】
(実施形態の効果)
以上、実施形態は、電子部品1として、積層体チップ1A又は、その積層体チップ1Aを含む積層セラミックコンデンサ1Bを準備する電子部品準備工程を含む。
【0063】
そして、これらの電子部品1を、電子部品保持治具である粘着シート200の、粘着層202に、互いに所定距離離間して整列配置された状態で保持する電子部品保持工程を含む。さらに、粘着シート200上における電子部品1の位置情報を取得する位置情報取得工程と、電子部品1が粘着シート200に保持された状態で、電子部品1を処理する処理工程と、電子部品1の処理結果を位置情報と結び付ける情報リンク工程と、を含む。
【0064】
実施形態によると、整列状態を維持したまま、複数の処理工程が行われる。したがって、電子部品1がバラバラ状態を整列させるために用いる振込装置を使用する回数が減少される。振込装置内での電子部品同士の衝突による不良品の発生の可能性が低減される。
【0065】
個々の電子部品1に対して、位置情報と処理結果とが結び付けられるので、下流側の工程や、ユーザで問題が起きたとしても、電子部品1と位置情報、識別IDとが結びついており、どこで問題が起きたのかがトレース可能で不良品の発生原因を突き止めやすい。
【0066】
電子部品は、所定距離離間されて整列保持されているので、ハンドリングしやすい。
【0067】
キャリアテープ400に収納されるまで電子部品1同士が衝突する可能性が低減されるため、最終形態としての積層セラミックコンデンサ1Bの品質が向上する。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく、以下を含む種々の変更及び変形が可能である。
【0069】
<1>誘電体層と内部電極とが積層された積層体チップを含む電子部品を準備する電子部品準備工程と、前記電子部品を、電子部品保持治具に、互いに所定距離離間して整列配置された状態で保持する電子部品保持工程と、前記電子部品保持治具における前記積層体チップの位置情報を取得する位置情報取得工程と、前記電子部品が前記電子部品保持治具に保持された状態で、前記電子部品を処理する処理工程と、前記電子部品処理結果を前記位置情報と結び付ける情報リンク工程と、を含む、電子部品の製造方法。
【0070】
<2>前記処理工程は、前記電子部品に対する外観検査工程を含む、<1>に記載の電子部品の製造方法。
【0071】
<3>前記処理工程は、前記電子部品に対する特性検査工程を含む、<1>又は<2>に記載の電子部品の製造方法。
【0072】
<4>前記処理工程は、前記積層体チップに対する外部電極形成工程を含む、<1>から<3>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【0073】
<5>前記処理工程は、前記電子部品に対する130℃以上の熱処理工程を含む、<1>から<4>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【0074】
<6>前記処理工程は、前記電子部品に対する水中処理工程を含む、<1>から<5>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【0075】
<7>前記処理工程は、前記電子部品の、長尺状の包装部材への収納工程を含む、<1>から<6>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【0076】
<8>前記電子部品の処理結果は、前記包装部材上での位置情報を含む、<7>に記載の電子部品の製造方法。
【0077】
<9>前記電子部品間の距離は0.1mm以上10mm以下である、<1>から<8>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【0078】
<10>前記電子部品は、長さ方向の寸法が、1.0mm以上3.2mm以下、幅方向の寸法が、0.5mm以上2.5mm以下、積層方向の寸法が、0.2mm以上2.8mm以下である、<1>から<9>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【0079】
<11>前記電子部品保持治具は、耐熱温度が130℃以上260℃以下の粘着シートである、<1>から<10>のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法に用いる電子部品保持治具。
【0080】
<12>前記電子部品保持治具は、吸水率が0.01%以上3%以下の粘着シートである、<11>に記載の電子部品保持治具。
【0081】
<13>前記電子部品保持治具は、基材と粘着層とを有する粘着シートであり、前記処理工程の後、前記粘着層を洗浄することで再利用可能である、<11>又は<12>に記載の電子部品保持治具。
【0082】
<14>前記電子部品保持治具は、基材と粘着層とを有する粘着シートであり、前記基材の厚みは50μm以上200μm以下、前記粘着層の厚みは50μm以上300μm以下である、<11>から<13>のいずれか1つに記載の電子部品保持治具。
【0083】
<15>前記電子部品保持治具は、基材と粘着層とを有する粘着シートであり、前記粘着層は、シリコーン樹脂もしくはフッ素樹脂製である、<11>から<14>のいずれか1つに記載の電子部品保持治具。
【0084】
<16>前記電子部品保持治具は、透過性を有する粘着シートである<11>から<15>のいずれか1つに記載の電子部品保持治具。
【符号の説明】
【0085】
1 電子部品
1B 積層セラミックコンデンサ
1A 積層体チップ
3 外部電極
14 誘電体層
15 内部電極
30 下地電極層
30a 焼付層
100 振込装置
106 凹部
200 粘着シート
202 粘着層
210 識別情報
301 第1外観検査装置
302 第2外観検査装置
303 測定プローブ
400 キャリアテープ
401 収納穴