(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103077
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】人流データ取得システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0203 20230101AFI20240725BHJP
【FI】
G06Q30/0203
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007217
(22)【出願日】2023-01-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】523023661
【氏名又は名称】森本 鉄也
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】森本 鉄也
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB02
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】所定の条件を満たす母集団から人流データを得る。
【解決手段】人流データ取得システム1は、利用者2の求めに応じて交換されると共に、識別情報を保持するRFIDタグ33を付した複数の保冷用品3と、複数の要素領域S1、S2、S3ごとに設置されて、要素領域ごとに存在するRFIDタグ33の識別情報を取得するリーダーライター6と、リーダーライター6が得た識別情報に基づいて人流データを得る情報処理装置7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の求めに応じて交換されると共に、識別情報を保持するRFIDタグを付した複数の保冷用品と、
複数の要素領域ごとに設置されて、前記要素領域ごとに存在する前記RFIDタグの前記識別情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が得た識別情報に基づいて人流データを得る情報処理部と、を備える、人流データ取得システム。
【請求項2】
前記情報処理部は、前記要素領域ごとに存在する前記RFIDタグの数が前記要素領域ごとに存在する利用者の数であると仮定することによって、前記要素領域ごとに存在する前記利用者の数を得る滞在数計数部を含む、請求項1に記載の人流データ取得システム。
【請求項3】
複数の前記要素領域は、第1の要素領域と前記第1の要素領域とは別の第2の要素領域と、を含み、
前記情報処理部は、所定の期間内において、前記第1の要素領域から前記第2の要素領域に移動した前記RFIDタグの数が前記第1の要素領域から前記第2の要素領域に移動した前記利用者の数であると仮定することによって、前記第1の要素領域から前記第2の要素領域に移動した前記利用者の数を得る移動数計数部を含む、請求項2に記載の人流データ取得システム。
【請求項4】
解けた前記保冷用品を冷却することによって、再び交換可能な状態とする再利用装置と、
前記再利用装置に対して再生可能エネルギを利用して得た電力を供給する電力供給装置と、を備える、請求項1又は2に記載の人流データ取得システム。
【請求項5】
複数の前記要素領域が設定される全体領域における天候情報を得る天候情報取得部を備え、
前記情報処理部は、前記天候情報取得部から得た天候情報に基づいて、前記再利用装置に保管されて交換可能な状態である前記保冷用品の数を決定する待機数決定部を含む、請求項4に記載の人流データ取得システム。
【請求項6】
前記天候情報は、気温であり、
前記待機数決定部は、前記天候情報が示す気温が、閾値気温よりも高い場合に前記交換可能な状態である前記保冷用品の数を第1の値に設定し、前記天候情報が示す気温が、前記閾値気温よりも低い場合に前記交換可能な状態である前記保冷用品の数を第2の値に設定し、
前記第1の値は前記第2の値より多い、請求項5に記載の人流データ取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に貸し出される保冷用品を利用して人流データを取得するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、テーマパークといった施設の利用者に対して、使用可能な状態の保冷用品を貸し出すサービスに関する技術を開示する。このような施設では、施設内における人流データの重要性が高まっている。人流データを利用することによって、施設利用者の満足度を高める種々の情報を提供することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6971723号
【特許文献2】特許第7138879号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献2は、人流可視化システムを開示する。この人流可視化システムは、個人ごとに所有する携帯端末装置から位置、固有識別子及び時刻等を含むデータを取得する。
【0005】
携帯端末装置からデータを得る場合には、得られたデータの偏りが含まれる可能性がある。例えば、そもそも、携帯端末装置を所持していない人に関するデータを得ることができない。また、その偏りに起因する影響を考慮することも困難である。
【0006】
そこで、本発明は、所定の条件を満たす母集団から人流データを得ることが可能な人流データ取得システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である人流データ取得システムは、利用者の求めに応じて交換されると共に、識別情報を保持するRFIDタグを付した複数の保冷用品と、複数の要素領域ごとに設置されて、要素領域ごとに存在するRFIDタグの識別情報を取得する情報取得部と、情報取得部が得た識別情報に基づいて人流データを得る情報処理部と、を備える。
【0008】
この人流データ取得システムは、保冷用具を着用しているという利用者の母集団から、人流データを得ることができる。従って、偏りのない所定の条件を満たしている母集団から人流データを得ることができる。
【0009】
上記の人流データ取得システムの情報処理部は、要素領域ごとに存在するRFIDタグの数が要素領域ごとに存在する利用者の数であると仮定することによって、要素領域ごとに存在する利用者の数を得る滞在数計数部を含んでもよい。この構成によれば、要素領域ごとに存在する利用者の数を得ることができる。
【0010】
上記の人流データ取得システムにおいて、複数の要素領域は、第1の要素領域と第1の要素領域とは別の第2の要素領域と、を含み、情報処理部は、所定の期間内において、第1の要素領域から第2の要素領域に移動したRFIDタグの数が第1の要素領域から第2の要素領域に移動した利用者の数であると仮定することによって、第1の要素領域から第2の要素領域に移動した利用者の数を得る移動数計数部を含んでもよい。この構成によれば、第1の要素領域から第2の要素領域に移動した利用者の数を得ることができる。
【0011】
上記の人流データ取得システムは、解けた保冷用品を冷却することによって、再び交換可能な状態とする再利用装置と、再利用装置に対して再生可能エネルギを利用して得た電力を供給する電力供給装置と、を備えてもよい。この構成によれば、二酸化炭素の排出を伴うことなく保冷用具を再利用可能な状態とすることができる。
【0012】
上記の人流データ取得システムは、複数の要素領域が設定される全体領域における天候情報を得る天候情報取得部を備えてもよい。情報処理部は、天候情報取得部から得た天候情報に基づいて、再利用装置に保管されて交換可能な状態である保冷用品の数を決定する待機数決定部を含んでもよい。この構成によれば、再利用装置の駆動に要するエネルギの無駄を低減させることができる。
【0013】
上記の人流データ取得システムにおいて、天候情報は、気温であり、待機数決定部は、天候情報が示す気温が、閾値気温よりも高い場合に交換可能な状態である保冷用品の数を第1の値に設定し、天候情報が示す気温が、閾値気温よりも低い場合に交換可能な状態である保冷用品の数を第2の値に設定し、第1の値は第2の値より多くてもよい。この構成によれば、再利用装置の駆動に要するエネルギの無駄を好適に低減させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所定の条件を満たす母集団から人流データを得ることが可能な人流データ取得システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態の人流データ取得システムが適用される場面を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、人流データ取得システムの機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、人流データ取得システムが備えるコンピュータの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、人流データ取得システム1が適用される様子を模式的に示す。
図1に示すように、人流データ取得システム1は、テーマパークや博覧会の会場といった施設で用いられる。施設に入場した利用者2は、制限された全体領域Sにおいて行動する。利用者2は、入退出ゲートSGを通過することになし全体領域Sの外へ出ることは基本的にできない。
【0018】
全体領域Sには、いくつかの要素領域S1、S2、S3が設定される。要素領域S1、S2、S3は、例えば、テーマパークにおけるアトラクションごとに設定されてもよい。要素領域S1、S2、S3は、例えば、博覧会におけるパビリオンごとに設定されてもよい。
【0019】
要素領域S1、S2、S3において利用者2がどのように存在しているかを示す情報は、施設の運営者にとって有益である。要素領域S1、S2、S3において利用者2がどのように存在しているかを示す情報を、以下「人流データ」と称する。この人流データは、いくつかの要素データを含む。
【0020】
例えば、要素データは、所定期間において要素領域S1、S2、S3のそれぞれに存在する利用者2の数であってもよい。また、要素データは、所定期間においてある要素領域S1から別の要素領域S2に移動した利用者2の数であってもよい。要素データは、そのほかの定義に基づく情報であってもよい。
【0021】
人流データは、利用者2ごとに取得されるなんらかの情報を取得することを要する。例えば、利用者2が所持するスマートフォンといった携帯端末装置から情報を取得する手段があり得る。しかし、全ての利用者2がスマートフォンを所持しているわけではない。また、個人的な所有物であるスマートフォンから情報を取得されることに心理的な抵抗を覚える利用者2も存在し得る。
【0022】
そこで、本実施形態の人流データ取得システム1は、利用者2に貸し出される保冷用品3(保冷用品)を利用する。保冷用品3には、識別情報を保持するRFIDタグ33が取り付けられている。RFIDタグ33には、識別情報の他に、保冷用品3の管理に要する情報が付されているだけであり、利用者2の個人情報は含まない。
【0023】
保冷用品3は、施設の利用者2に対して提供される。保冷用品3には、襟巻形状やベスト形状といった着用具に保冷剤が取り付けられており、利用者2が涼をとるために適した形状を有する。保冷用品3は、利用開始からしばらくの期間は、涼しさを保つことができるが、時間の経過と共に保冷剤がとける。従って、保冷用品3は、所定時間が経過すると涼しさを提供することができなくなる。そこで、利用者2は、施設内に複数設置されている交換ステーションSTに赴く。交換ステーションSTには、交換ボックス30が設置されている。交換ボックス30には、利用可能な状態の保冷用品3が複数収められている。利用者2は、交換ボックス30から保冷用品3を取出し、使用済みの保冷用品3sを返却する。つまり、利用者2は、施設内に滞在する間は、自らの意思によって、涼をとることが可能な保冷用品3を利用し続けることができる。
【0024】
保冷用品3は、所定の利用料を支払った利用者2に対して提供されてもよい。つまり、保冷用品3の交換サービスは、有償で提供されてもよい。また、保冷用品3の交換サービスは、施設の利用料に含まれたものであり、利用料の他に追加料金を支払うことなく利用可能としてもよい。
【0025】
施設内又は施設の近傍には、使用済みの保冷用品3sを再度利用可能な状態とする再利用装置4が設けられている。使用済みの保冷用品3は、いくつかの処理を経て利用可能な状態に再生される。処理は、すくなくとも、浄化処理と、再凍結処理と、を含む。浄化処理は、除菌、殺菌及びウイルス除去といった処理を含む。これらの具体的な処理については、公知の処理方法を利用することができる。さらに、再凍結処理は、冷却庫といった冷却装置によってなされる。
【0026】
再利用装置4は、これらの処理を行うための浄化装置及び冷却装置を含む。これらの装置の稼働には、所定の電力を要する。これらの電力は、再生可能エネルギによって賄われる。この構成によれば、二酸化炭素の排出を伴わない保冷用品3の交換サービスの提供が可能となる。
【0027】
例えば、再利用装置4の稼働に要するエネルギは、再生可能エネルギを利用して得た電力によって賄われてもよい。例えば、再生可能エネルギを利用した発電として、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、水力発電、地熱発電、太陽熱利用発電などが例示できる。電力供給装置は、これらの発電装置のいずれか一つ又は複数の組み合わせであってもよい。
図1には、再生可能エネルギを利用して得た電力を供給する装置として、太陽光発電装置5を図示する。太陽光発電装置5は、施設内又は施設の近傍に設けられている。太陽光発電装置5は、パワーコンディショナなどの付帯装置を介して、再利用装置4に直接に接続されている。つまり、太陽光発電装置5と再利用装置4と接続には、火力発電所などと接続されている電力系統を介しない。このような電力網は、いわゆるマイクログリッドと称されることもある。
【0028】
<人流データ取得システム>
図2に示すように人流データ取得システム1は、保冷用品3と、リーダーライター6(情報取得部)と、情報処理装置7(情報処理部)と、を備える。さらに、人流データ取得システム1には、再利用装置4と、太陽光発電装置5(電力供給装置)と、天候情報取得装置8(天候情報取得部)を含めてもよい。
【0029】
<保冷用品>
保冷用品3は、着用具と、保冷剤と、RFIDタグ33と、を備える。RFIDタグ33は、着用具に取り付けられてもよいし、保冷剤に取り付けられてもよい。RFIDタグ33は、例えば2.45GHz帯のマイクロ波に対応したものを利用できる。
【0030】
<リーダーライター>
リーダーライター6は、比較的電波出力が大きいものが採用される。例えば、リーダーライター6が出力する電波は、250mWより大きく1Wより小さいものであってもよい。このような大きさの電波を発するリーダーライター6によれば、数メートルの範囲に存在するRFIDタグ33と通信を行うことができる。
【0031】
リーダーライター6とRFIDタグ33との通信可能な距離には制限がある。従って、要素領域S1、S2、S3の広さに応じて、1又は複数のリーダーライター6を設置する。例えば、比較的狭い要素領域S1には、1台のリーダーライター6を設置する。比較的広い要素領域S3には、3台のリーダーライター6を設置する。
【0032】
リーダーライター6は、読み取ったRFIDタグ33の情報を、情報処理装置7に送る。リーダーライター6と情報処理装置7との接続は、LANといった有線接続であってもよいし、WIFIといった無線接続であってもよい。
【0033】
<情報処理装置>
情報処理装置7は、RFIDタグ33から得たデータを利用して人流データを得る。さらに、情報処理装置7は、再利用装置4において利用可能な状態である保冷用品3の数を管理する。情報処理装置7は、コンピュータが所定のプログラムを実行することによって実現される。
図3は、実施形態に係る人流データ取得システム1の情報処理装置7を構成するコンピュータ700のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0034】
一例として、コンピュータ700はハードウェア構成要素として、プロセッサ701と、主記憶部702と、補助記憶部703と、通信制御部704と、を備える。なお、コンピュータ700は、さらに付加的な構成要素を備えてもよい。例えば、コンピュータ700は、入力操作を受け付ける入力部705と、処理結果を出力する出力部706と、を備えてもよい。
【0035】
プロセッサ701は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを実行する演算装置である。プロセッサの例としてCPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)が挙げられるが、プロセッサ701の種類はこれらに限定されない。例えば、プロセッサ701はセンサ及び専用回路の組み合わせでもよい。専用回路はFPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラム可能な回路でもよいし、他の種類の回路でもよい。
【0036】
主記憶部702は、人流データ取得システム1の情報処理装置7等を実現するためのプログラム、プロセッサ701から出力された演算結果などを記憶する装置である。主記憶部702は例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のうちの少なくとも一つにより構成される。
【0037】
補助記憶部703は、一般に主記憶部702よりも大量のデータを記憶することが可能な装置である。補助記憶部703は例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。補助記憶部703は、コンピュータ700を人流データ取得システム1の情報処理装置7等として機能させるためのプログラムと各種のデータとを記憶する。
【0038】
通信制御部704は、通信ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータ通信を実行する装置である。通信制御部704は例えばネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。
【0039】
図2に示すように情報処理装置7は、機能的な構成要素として、人流データ処理部71と、管理データ処理部72と、を含む。これらの機能的な構成要素は、プロセッサ701によってプログラムが実行されることにより実現される。
【0040】
<人流データ処理部>
人流データ処理部71は、滞在数計数部711と、移動数計数部712と、を含む。滞在数計数部711は、要素領域S1、S2、S3ごとに、滞在する利用者2の数を数える。滞在数計数部711は、所定期間内に要素領域S1、S2、S3に滞在し続けたRFIDタグ33の数を、滞在数として数える。そして、滞在数計数部711は、要素領域S1、S2、S3ごとに存在するRFIDタグ33の滞在数が要素領域S1、S2、S3ごとに存在する利用者2の数であると仮定することによって、要素領域S1、S2、S3ごとに存在する利用者2の数を得る。
【0041】
移動数計数部712は、例えば、ある要素領域S1から別の要素領域S2に移動したRFIDタグ33の数を数える。移動の態様は、要素領域S1、S2、S3における全ての組み合わせについて実行される。さらに、移動数計数部712は、要素領域S1、S2の組み合わせにおいて、要素領域S1から要素領域S2への移動を数えると共に、要素領域S2から要素領域S1への移動も数える。
【0042】
RFIDタグ33は、個別の識別情報を保持しているから、ある時間に要素領域S1に存在したRFIDタグ33と、べつの時間に要素領域S2に存在したRFIDタグ33と、が一致することを判別することができる。従って、移動数計数部712は、所定期間内において、あるRFIDタグ33がどの要素領域S1、S2、S3に存在したかを判定する。移動数計数部712は、所定期間内においてひとつの要素領域S1に留まり続けたRFIDタグ33を移動数の数え上げから除く。ひとつの要素領域S1に留まり続けたRFIDタグ33の数は、上述した滞在数に相当する。移動数計数部712は、のこりのRFIDタグ33について、ある要素領域S1から別の要素領域S2に移動したRFIDタグ33の数を数える。
【0043】
さらに、移動数計数部712は、要素領域S1、S2、S3から交換ステーションSTに移動したRFIDタグ33の数を数える。この計数によれば、交換を要する保冷用品3sは、どの要素領域S1、S2、S3から移動してくるものが多いのかを知ることができる。
【0044】
<管理データ処理部>
管理データ処理部72は、天候情報取得装置8から得たデータを用いて、再利用装置4において利用可能な状態である保冷用品3の数を管理するためのデータを生成する。
【0045】
天候情報取得装置8は、複数の要素領域S1、S2、S3が設定される全体領域Sにおける天候情報を得る。天候情報は、例えば、「晴れ」、「曇り」、「雨」といった気象情報や、「気温」などの天候に関する情報を含む。本実施形態では、天候情報として気温を用いる動作を例示する。従って、気温を取得する天候情報取得装置8は、例えば温度センサである。なお、天候情報取得装置8は、それ自身が気温を測定する機能を有するものに限定されない。例えば、天候情報取得装置8は、外部情報源から天候情報を取得する情報取得装置であってもよい。
【0046】
天候情報取得装置8は、気温データを取得し、電子情報として情報処理装置7に送る。天候情報取得装置8は、情報処理装置7に対して有線又は無線で接続されている。
【0047】
管理データ処理部72は、待機数決定部721を含む。待機数決定部721は、気温を閾値気温と比較する。気温が閾値気温よりも高い場合、交換可能な状態である保冷用品3の数を第1の値に設定する。気温が閾値気温よりも低い場合、交換可能な状態である保冷用品3の数を第2の値に設定する。この場合において、第1の値は、第2の値より多い。
【0048】
つまり、気温が高い場合には、保冷用品3の需要数が増加すると予想できる。従って、待機数決定部721は、気温が高い場合(閾値気温よりも高い場合)に、交換可能な状態である保冷用品3の数を多めに設定する。
【0049】
逆に、気温が低い場合には、保冷用品3の需要数が減少すると予想できる。従って、待機数決定部721は、気温が低い場合(閾値気温よりも低い場合)に、交換可能な状態である保冷用品3の数を少なめに設定する。なお、気温が低い場合に設定される数(第2の値)は、ゼロを含めてもよい。つまり、気温がある程度低い場合には、そもそもの保冷用品3の需要がない場合があり得る。この場合に、冷却された保冷用品3を保管することは、保管装置を駆動させるエネルギの無駄を生じさせる。従って、保冷用品3の需要がみk困れないと判断される場合には、待機数決定部721は、交換可能な状態である保冷用品3の数をゼロとして設定してよい。
【0050】
<作用効果>
人流データ取得システム1は、利用者2の求めに応じて交換されると共に、識別情報を保持するRFIDタグ33を付した複数の保冷用品3と、複数の要素領域S1、S2、S3ごとに設置されて、複数の要素領域S1、S2、S3ごとに存在するRFIDタグ33の識別情報を取得するリーダーライター6と、リーダーライター6が得た識別情報に基づいて人流データを得る情報処理装置7と、を備える。
【0051】
この人流データ取得システム1は、保冷用品3を着用しているという利用者2の母集団から、人流データを得ることができる。従って、偏りのない所定の条件を満たしている母集団から人流データを得ることができる。
【0052】
情報処理装置7は、要素領域S1、S2、S3ごとに存在するRFIDタグ33の数が要素領域ごとに存在する利用者2の数であると仮定することによって、要素領域S1、S2、S3ごとに存在する利用者2の数を得る滞在数計数部711を含む。この構成によれば、要素領域S1、S2、S3ごとに存在する利用者2の数を得ることができる。
【0053】
情報処理装置7は、所定の期間内において、第1の要素領域S1から第2の要素領域S2に移動したRFIDタグ33の数が第1の要素領域S2から第2の要素領域S2に移動した利用者2の数であると仮定することによって、第1の要素領域S1から第2の要素領域S2に移動した利用者の数を得る移動数計数部712を含む。この構成によれば、第1の要素領域S1から第2の要素領域S2に移動した利用者2の数を得ることができる。
【0054】
人流データ取得システム1は、解けた保冷用品3を冷却することによって、再び交換可能な状態とする再利用装置4と、再利用装置4に対して太陽光発電によって得た電力を供給する太陽光発電装置5と、をさらに備える。この構成によれば、二酸化炭素の排出を伴うことなく保冷用品3を再利用可能な状態とすることができる。
【0055】
上記の人流データ取得システム1は、複数の要素領域S1、S2、S3が設定される全体領域Sにおける天候情報を得る天候情報取得装置8を備える。情報処理装置7は、天候情報取得装置8から得た天候情報に基づいて、再利用装置4に保管されて交換可能な状態である保冷用品3の数を決定する待機数決定部721を含む。この構成によれば、再利用装置4の駆動に要するエネルギの無駄を低減させることができる。
【0056】
人流データ取得システム1において、天候情報は、気温である。待機数決定部721は、天候情報が示す気温が、閾値気温よりも高い場合に交換可能な状態である保冷用品3の数を第1の値に設定し、天候情報が示す気温が、閾値気温よりも低い場合に交換可能な状態である保冷用品3の数を第2の値に設定する。第1の値は第2の値より多い。この構成によれば、再利用装置4の駆動に要するエネルギの無駄を好適に低減させることができる。
【0057】
本発明の人流データ取得システムは、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1…人流データ取得システム、2…利用者、3…保冷用品、4…再利用装置、5…太陽光発電装置(電力供給装置)、6…リーダーライター(情報取得部)、7…情報処理装置(情報処理部)、8…天候情報取得装置(天候情報取得部)、33…RFIDタグ、711…滞在数計数部、712…移動数計数部、721…待機数決定部、S…全体領域、S1,S2,S3…要素領域。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の求めに応じて交換されると共に、識別情報を保持するRFIDタグを付した複数の保冷用品と、
前記利用者の入退場が制限された全体領域に設定される複数の要素領域ごとに設置されて、前記要素領域ごとに存在する前記RFIDタグの前記識別情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が得た識別情報に基づいて人流データを得る情報処理部と、を備え、
前記複数の要素領域は、第1の要素領域と、前記第1の要素領域とは別の第2の要素領域と、前記第1の要素領域及び前記第2の要素領域とは別の領域であって、利用可能な前記保冷用品が収められた交換ボックスが配置されている交換領域と、を含み、
前記情報処理部は、所定の期間内において前記第1の要素領域から前記交換領域に移動した前記RFIDタグの数を数えると共に前記第2の要素領域から前記交換領域に移動した前記RFIDタグの数を数えることにより、交換を要する前記保冷用品が前記第1の要素領域又は前記第2の要素領域のいずれから移動することが多いかを示す情報を得る移動数計数部を有する、人流データ取得システム。
【請求項2】
前記情報処理部は、前記要素領域ごとに存在する前記RFIDタグの数が前記要素領域ごとに存在する利用者の数であると仮定することによって、前記要素領域ごとに存在する前記利用者の数を得る滞在数計数部を含む、請求項1に記載の人流データ取得システム。
【請求項3】
前記移動数計数部は、所定の期間内において、前記第1の要素領域から前記第2の要素領域に移動した前記RFIDタグの数が前記第1の要素領域から前記第2の要素領域に移動した前記利用者の数であると仮定することによって、前記第1の要素領域から前記第2の要素領域に移動した前記利用者の数を更に得る、請求項2に記載の人流データ取得システム。
【請求項4】
解けた前記保冷用品を冷却することによって、再び交換可能な状態とする再利用装置と、
前記再利用装置に対して再生可能エネルギを利用して得た電力を供給する電力供給装置と、を備える、請求項1又は2に記載の人流データ取得システム。
【請求項5】
複数の前記要素領域が設定される全体領域における天候情報を得る天候情報取得部を備え、
前記情報処理部は、前記天候情報取得部から得た天候情報に基づいて、前記再利用装置に保管されて交換可能な状態である前記保冷用品の数を決定する待機数決定部を含む、請求項4に記載の人流データ取得システム。
【請求項6】
前記天候情報は、気温であり、
前記待機数決定部は、前記天候情報が示す気温が、閾値気温よりも高い場合に前記交換可能な状態である前記保冷用品の数を第1の値に設定し、前記天候情報が示す気温が、前記閾値気温よりも低い場合に前記交換可能な状態である前記保冷用品の数を第2の値に設定し、
前記第1の値は前記第2の値より多い、請求項5に記載の人流データ取得システム。