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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103085
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】バルブの取付構造
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/00 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
F01M13/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007227
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】金子 英依子
(72)【発明者】
【氏名】宮永 斎庸
(72)【発明者】
【氏名】平松 千明
【テーマコード(参考)】
3G015
【Fターム(参考)】
3G015BD10
3G015BD23
3G015BD28
3G015BD35
3G015DA04
3G015FB01
(57)【要約】
【課題】内燃機関にバルブを取り付けるための取付部材にがたつきが生じることを抑制できるバルブの取付構造を提供する。
【解決手段】この取付構造は、バルブとは別体となる取付部材25を備える。取付部材25は、内燃機関のセパレータ12に取り付けられたバルブを覆うとともにセパレータ12に固定されることにより、バルブをセパレータ12に対し取り外し不能とする。取付部材25には、バルブを覆ったときにセパレータ12から突出する樹脂製の突起30を挿通させる固定孔29が形成されている。取付部材25は、固定孔29に挿通された突起30に対し樹脂かしめを施すことによってセパレータ12に固定されている。固定孔29の内面には、突起30の外面に対応して位置する第1面31、及び、第1面31に繋がるとともに第1面31より固定孔29の中心から離れるように位置する第2面32が形成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室から流出したガスを同機関の吸気系に流すための通路のガス流通面積を調整するバルブに適用され、前記バルブとは別体となる取付部材を備え、前記取付部材は、内燃機関に取り付けられたバルブを覆うとともに内燃機関に固定されることにより、前記バルブを内燃機関に対し取り外し不能とするものであるバルブの取付構造において、
前記取付部材には、内燃機関に取り付けられたバルブを覆ったときに内燃機関から突出する樹脂製の突起を挿通させる孔が形成されており、
前記取付部材は、前記孔に挿通された前記突起に対し樹脂かしめを施すことによって内燃機関に固定することが可能であり、
前記孔の内面には、前記突起の外面に対応して位置する第1面、及び、前記第1面に繋がるとともに前記第1面よりも前記孔の中心から離れるように位置する第2面が形成されているバルブの取付構造。
【請求項2】
前記第2面は、円弧状に湾曲することにより、前記第1面よりも前記孔の中心から離れるように位置するものである請求項1に記載のバルブの取付構造。
【請求項3】
前記孔には、その孔の中心線周りに間隔をおいて複数の前記第2面が形成されている請求項1に記載のバルブの取付構造。
【請求項4】
前記取付部材には複数の前記孔が形成されており、
前記孔に形成された前記第2面は、その孔の中心線周りについての位置が複数の前記孔毎に異なっている請求項1~3のいずれか一項に記載のバルブの取付構造。
【請求項5】
内燃機関の燃焼室から流出したガスを同機関の吸気系に流すための通路のガス流通面積を調整するバルブに適用され、前記バルブとは別体となる取付部材を備え、前記取付部材は、内燃機関に取り付けられたバルブを覆うとともに内燃機関に固定されることにより、前記バルブを内燃機関に対し取り外し不能とするものであるバルブの取付構造において、
前記取付部材には、内燃機関に取り付けられたバルブを覆ったときに内燃機関から突出する樹脂製の突起を挿通させる孔が形成されており、
前記取付部材は、前記孔に挿通された前記突起に対し樹脂かしめを施すことによって内燃機関に固定することが可能であり、
前記取付部材における前記孔の周りには、内燃機関から離れる方向に突出する突部が形成されているバルブの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される内燃機関には、同機関の燃焼室から流出したガスを吸気系に流す通路のガス流通面積を調整するバルブが設けられている。こうしたバルブは、内燃機関に取り付けられる。また、上記バルブは、例えば特許文献1に示されるように、バルブを覆う取付部材を内燃機関に固定することによって内燃機関に対し取り外し不能とされる。内燃機関に対する取付部材の固定は次のように行われる。すなわち、取付部材には内燃機関から突出する突起を挿通させる孔が形成されており、その孔に挿通された上記突起に対し熱かしめを施すことによって取付部材が内燃機関に対し固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-183827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃機関に対するバルブの上記取付構造では、取付部材の孔と内燃機関の突起との間のクリアランスの分、取付部材に上記突起周りでの回転方向のがたつきが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するバルブの取付構造は、内燃機関の燃焼室から流出したガスを同機関の吸気系に流すための通路のガス流通面積を調整するバルブに適用される。この取付構造は、バルブとは別体となる取付部材を備える。取付部材は、内燃機関に取り付けられたバルブを覆うとともに内燃機関に固定されることにより、バルブを内燃機関に対し取り外し不能とする。上記取付部材には、内燃機関に取り付けられたバルブを覆ったときに内燃機関から突出する樹脂製の突起を挿通させる孔が形成されている。上記取付部材は、孔に挿通された突起に対し樹脂かしめを施すことによって内燃機関に固定することが可能である。上記孔の内面には、突起の外面に対応して位置する第1面、及び、第1面に繋がるとともに第1面より孔の中心から離れるように位置する第2面が形成されている。
【0006】
上記構成によれば、取付部材の孔に挿通される突起が樹脂かしめに伴って溶融すると、その溶融した箇所が孔の第2面に内側に入り込み、その状態で取付部材が内燃機関に対し固定される。このため、取付部材に上記突起周りでの回転方向のがたつきが生じることは、突起における樹脂かしめにより溶融して第2面の内側に入り込んだ箇所と上記第2面とによって抑制される。
【0007】
上記課題を解決するバルブの取付構造は、内燃機関の燃焼室から流出したガスを同機関の吸気系に流すための通路のガス流通面積を調整するバルブに適用される。この取付構造は、バルブとは別体となる取付部材を備える。取付部材は、内燃機関に取り付けられたバルブを覆うとともに内燃機関に固定されることにより、バルブを内燃機関に対し取り外し不能とする。上記取付部材には、内燃機関に取り付けられたバルブを覆ったときに内燃機関から突出する突起を挿通させる孔が形成されている。上記取付部材は、孔に挿通された突起に対し樹脂かしめを施すことによって内燃機関に固定することが可能である。上記取付部材における孔の周りには、内燃機関から離れる方向に突出する突部が形成されている。
【0008】
上記構成によれば、取付部材の孔を挿通する突起が樹脂かしめに伴い溶融すると、その溶融した箇所が取付部材の突部を覆い、その状態で取付部材が内燃機関に対し固定される。このため、取付部材に上記突起周りでの回転方向のがたつきが生じることは、突起における樹脂かしめにより溶融して上記突部を覆う箇所と上記突部とによって抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】内燃機関のセパレータに取り付けられたバルブを示す斜視図である。
図2図1のバルブを別の方向から見た状態を示す斜視図である。
図3図2のバルブ及びその周辺を矢印3-3方向から見た状態を示す断面図である。
図4図1のバルブをセパレータに取り付けるための取付部材を示す平面図である。
図5図4の取付部材における固定孔周りを示す拡大図である。
図6図5の取付部材及びセパレータの突起を矢印6-6方向から見た状態を示す断面図である。
図7図5の取付部材及びセパレータの突起を矢印7-7方向から見た状態を示す断面図である。
図8図6及び図7の突起に対し樹脂かしめを施す途中の状態を示す断面図である。
図9図8の突起及その周辺を矢印9-9方向から見た状態を示す平断面図である。
図10図8及び図9の突起に対し樹脂かしめを施した後の状態を示す断面図である。
図11図10の突起を示す平面図である。
図12】取付部材における固定孔の他の例を示す平面図である。
図13】取付部材における固定孔の他の例を示す平面図である。
図14】取付部材における固定孔の他の例を示す平面図である。
図15】固定孔における第2面の他の例を示す断面図である。
図16】固定孔における第2面の他の例を示す断面図である。
図17】取付部材における固定孔の周辺構造の他の例を示す平面図である。
図18】取付部材における固定孔の周辺構造の他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、バルブの取付構造の一実施形態について、図1図11を参照して説明する。
図1及び図2に示すバルブ11は、内燃機関の燃焼室から流出したガスを吸気系に戻す通路のガス流通面積を調整するためのものである。こうしたバルブ11としては、例えばPCVバルブが挙げられる。バルブ11は、内燃機関のセパレータ12に取り付けられている。セパレータ12は、樹脂によって形成されており、内燃機関のシリンダヘッドに取り付けられている。また、バルブ11は、セパレータ12の内部に繋がるとともに、ホースを介して内燃機関の吸気通路に接続されている。
【0011】
内燃機関では、燃焼室からクランクケース内に流出したブローバイガスが、シリンダブロック、シリンダヘッド、セパレータ12、バルブ11、及びホースの内部を通過するブローバイガス通路を介して吸気通路に流される。上記セパレータ12は、ブローバイガス通路を通過するブローバイガス中のオイル等の液体を同ブローバイガスから分離する。バルブ11は、ブローバイガス通路のガス流通面積を変化させることにより、ブローバイガス通路から内燃機関の吸気通路に流されるブローバイガスの流量を調整する。
【0012】
<バルブ11及びその周辺の構造>
図3に示すように、バルブ11は、セパレータ12に対し傾いた状態で取り付けられている。バルブ11は、流量調整部13と配管接続部14とを備えている。流量調整部13は、ブローバイガスを流すためのブローバイガス通路15のガス流通面積を調整する。配管接続部14は、流量調整部13をホース16に接続するためのものである。ホース16は、内燃機関の吸気通路に繋がっている。内燃機関のブローバイガスは、セパレータ12内でオイル等の液体と分離された後、バルブ11の流量調整部13及び配管接続部14を介してホース16に流れる。
【0013】
バルブ11の流量調整部13は、円筒状のハウジング13aを備えている。ハウジング13aは、セパレータ12に形成された取付孔17にねじ込まれている。ハウジング13aにおける配管接続部14側の端部と反対側の端部には連通孔18が形成されている。連通孔18は、セパレータ12の内部と繋がっている。ハウジング13aの外周面にはフランジ19が形成されている。フランジ19は、セパレータ12の上記取付孔17よりも大径に形成されている。フランジ19は、セパレータ12の外面における上記取付孔17の開口部周りの部分に接している。ハウジング13aの外周面であって上記取付孔17の内周面に対応する部分には、シールリング20が設けられている。シールリング20は、上記取付孔17の内周面に当接することにより、ハウジング13aの外周面と取付孔17の内周面との間をシールする。
【0014】
ハウジング13aの内部には、可動部材21と、スプリング22と、リング23とが設けられている。可動部材21は、ハウジング13aと同一軸線上に延びる円筒状に形成されている。スプリング22は、可動部材21を上記連通孔18側に付勢する。リング23は、ハウジング13aにおける配管接続部14側の開口部の内周面に嵌め込まれている。配管接続部14は、円筒状のハウジング14aを備えている。ハウジング14aは、流量調整部13の上記ハウジング13aにおける配管接続部14側の開口部に嵌め込まれている。これにより、上記ハウジング14aと上記ハウジング13aとの間に上記リング23が挟み込まれている。配管接続部14のハウジング14aの内部は、上記リング23を介して流量調整部13のハウジング13aの内部と連通している。また、配管接続部14のハウジング14aであって流量調整部13側の端部には、鍔部14cが形成されている。ハウジング14aにおける鍔部14cと反対側の端部の外周面には、突出部14bが形成されている。突出部14bには上記ホース16が嵌め込まれている。
【0015】
流量調整部13におけるハウジング13a内の可動部材21は、スプリング22の付勢力によってハウジング13aの連通孔18を閉塞する位置に向けて付勢されている。また、可動部材21における配管接続部14側の端部は、リング23の内側に挿入されている。可動部材21の外周面は、リング23の内周面よりも小径とされており、且つ、連通孔18に近い部分ほど大径とされている。ホース16内及び配管接続部14のハウジング14a内には内燃機関の吸気負圧が作用するため、その吸気負圧に基づき可動部材21がスプリング22の付勢力に抗して配管接続部14側に移動する。可動部材21が配管接続部14側に移動すると、可動部材21によって閉塞されていたハウジング14aの連通孔18が開放される。そして、連通孔18が開放されることにより、内燃機関におけるセパレータ12内のブローバイガスが、バルブ11の流量調整部13及び配管接続部14を介してホース16に流れる。
【0016】
このときのブローバイガスの流量は、可動部材21とリング23との相対位置によって変わる。すなわち、内燃機関の低負荷運転時には、可動部材21が配管接続部14側に最も大きく移動する。このときには可動部材21の外周面における大径となる部分がリング23の内周面と対向した状態となるため、それら外周面と内周面との間のガス流通面積が小さくなる。その結果、バルブ11を通過するブロ-バイガスの流量が少なくなる。そして、機関負荷が高くなる機関運転状態に移行してゆくほど、スプリング22の付勢力に抗した可動部材21の配管接続部14側への移動量が小さくなってゆく。その結果、機関負荷が高くなるに従い上記外周面と上記内周面とのガス流通面積が大きくなる。その結果、バルブ11を通過するブロ-バイガスの流量が多くなってゆく。なお、配管接続部14のハウジング14a内にはスプリング24が設けられている。スプリング24は、可動部材21が配管接続部14側に過度に移動することを抑制するためのものである。
【0017】
<内燃機関のセパレータ12に対するバルブ11の取付構造>
バルブ11は、ハウジング13aを内燃機関のセパレータ12における取付孔17にねじ込むことにより、セパレータ12に取り付けられている。セパレータ12に取り付けられたバルブ11は、金属製の取付部材25によってセパレータ12に対し取り外し不能とされている。取付部材25は、セパレータ12に取り付けられたバルブ11を覆う。そして、その取付部材25がセパレータ12に対し固定されることにより、バルブ11が取付部材25によってセパレータ12に対し取り外し不能とされている。
【0018】
図1及び図2に示すように、取付部材25は、固定部26と、正面被覆部27と、側面被覆部28とを、備えている。固定部26は、バルブ11の上側で略水平に延びる板状に形成されている。固定部26は、セパレータ12に対し固定されている。正面被覆部27は、固定部26における配管接続部14側の一辺から下方に延びる板状に形成されている。正面被覆部27は、バルブ11における配管接続部14のハウジング14aの鍔部14cを覆っている。側面被覆部28は、固定部26における上記正面被覆部27と接する二辺から下方に延びる板状に形成されている。側面被覆部28は、セパレータ12におけるバルブ11がねじ込まれた箇所を覆っている。
【0019】
図3に示すように、取付部材25の固定部26には固定孔29が形成されている。セパレータ12には、上方に向かって突出する樹脂製の突起30が形成されている。突起30は、セパレータ12に取り付けられたバルブ11を取付部材25が覆ったとき、図3に二点鎖線で示すように取付部材25の固定部26における固定孔29に挿通される。このように固定孔29に挿通された突起30に対し樹脂かしめを施すことにより、突起30が図3に実線で示すように径が拡大するよう変形する。これにより、取付部材25が内燃機関のセパレータ12に固定される。その結果、バルブ11の少なくとも流量調整部13が、詳しくは配管接続部14及び流量調整部13が、取付部材25によって内燃機関のセパレータ12に対し取り外し不能になる。
【0020】
<固定孔29の詳細>
図4に示すように、取付部材25の固定部26には、複数の固定孔29が形成されている。複数の固定孔29にはそれぞれセパレータ12の突起30が挿通される。固定孔29の内面には、上記突起30の外面に対応して位置する第1面31、及び、第1面31に繋がるとともに第1面31よりも固定孔29の中心から離れるように位置する第2面32が形成されている。第2面32は、円弧状に湾曲することにより、第1面31よりも固定孔29の中心から離れるように位置している。一つの固定孔29の内面には、固定孔29の中心線周りに間隔をおいて複数の第2面32が形成されている。第2面32は、固定孔29の中心を挟む両側にそれぞれ形成されている。この例では、第2面32における固定孔29の中心線周りについての位置が、複数の固定孔29毎に同じとなっている。
【0021】
次に、本実施形態におけるバルブ11の取付構造の作用について説明する。
取付部材25を内燃機関のセパレータ12に固定する際には、セパレータ12に取り付けられたバルブ11を覆うように取付部材25が配置される。このとき、取付部材25における固定部26の固定孔29には、図5図7に示すようにセパレータ12の突起30が挿通される。その後、図8に示すように、かしめ用ホーン33を突起30の上方から下降させることにより、突起30の先端が図8及び図9の二点鎖線で示すように溶融する。その結果、突起30の溶融した箇所が、図10に二点鎖線で示すように固定孔29の第2面32の内側に入り込む。その状態で、図11に示すように、取付部材25が突起30によって内燃機関のセパレータ12に対し固定される。
【0022】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)取付部材25の固定孔29に挿通される突起30が樹脂かしめに伴い溶融すると、その溶融した箇所が固定孔29の第2面32の内側に入り込み、その状態で取付部材25が内燃機関のセパレータ12に対し固定される。このため、取付部材25に突起30周りでの回転方向のがたつきが生じることは、突起30における樹脂かしめにより溶融して第2面32の内側に入り込んだ箇所と上記第2面32とによって抑制される。
【0023】
(2)固定孔29の第2面32は、円弧状に湾曲することにより、第1面31よりも固定孔29の中心から離れるように位置するものである。第2面32を上述した形状とすることにより、取付部材25を製造する際に取付部材25の固定孔29をパンチによる打ち抜きによって形成する場合において、そのパンチの上記打ち抜きに伴う摩耗を抑えることができる。また、固定孔29の第2面32を円弧状とすることにより、突起30が樹脂かしめに伴い溶融するとき、その溶融した箇所が固定孔29の第2面32の内側に入り込みやすくなる。
【0024】
(3)固定孔29には、その固定孔29の中心線周りに間隔をおいて複数の第2面32が形成されている。このため、取付部材25における突起30周りでの回転方向についてのがたつきが、固定孔29の中心線周りにおける間隔をおいた複数の位置で、突起30における樹脂かしめにより溶融して第2面32の内側に入り込んだ箇所と第2面32とで抑えられる。従って、上記がたつきに対する取付部材25及び突起30の強度を高めることができる。
【0025】
(4)取付部材25の固定部26に複数の固定孔29が形成されており、それらの固定孔29に対しそれぞれセパレータ12の突起30が挿通されるため、セパレータ12に固定された取付部材25が突起30周りでの回転方向に動きにくくなる。
【0026】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・固定孔29の数を一つにしたり、三つ以上にしたりしてもよい。
【0027】
・一つの固定孔29における第2面32の数を一つにしたり、三つ以上にしたりしてもよい。
図12に示すように、固定孔29に形成された第2面32は、その固定孔29の中心線周りについての位置が複数の固定孔29毎に異なっていてもよい。この場合、取付部材25に突起30周りでの回転方向のがたつきが生じることを、突起30における樹脂かしめにより溶融して第2面32の内側に入り込んだ箇所と上記第2面32とによって、一層効果的に抑制することができるようになる。
【0028】
図13に示すように、固定孔29は四角形状に形成されていてもよい。この場合、固定孔29の内面における突起30と近接する箇所が第1面31となり、固定孔29の内面における四隅に対応する箇所がそれぞれ第2面32となる。なお、固定孔29を四角形状以外の多角形状に形成することも可能である。
【0029】
図14に示すように、固定孔29は長孔状に形成されていてもよい。この場合、固定孔29の内面における平行となって突起30と近接する箇所が第1面31となり、固定孔29の内面における円弧情に湾曲する箇所が第2面32となる。
【0030】
図15及び図16に示すように、固定孔29の第2面32は、段差によって形成されるものであってもよい。この場合、固定孔29における第2面32の内側の箇所は、取付部材25の固定部26を厚さ方向、すなわち図15及び図16の上下方向に貫通しないようにされる。
【0031】
・固定孔29に第2面32を形成する代わりに、図17及び図18に示すように取付部材25における固定部26の固定孔29の周りにセパレータ12から離れる方向、すなわち図18の上方に突出する突部34を形成してもよい。この場合、固定孔29を挿通する突起30が樹脂かしめに伴い溶融すると、その溶融した箇所が突部34を覆い、その状態で取付部材25がセパレータ12に対し固定される。このため、取付部材25に突起30周りでの回転方向のがたつきが生じることは、突起30における樹脂かしめにより溶融して上記突部34を覆う箇所と上記突部34とによって抑制される。突部34の数については、一つの固定孔29につき一つにしたり、三つ以上にしたりすることも可能である。
【0032】
・バルブ11の取付箇所及び取付部材25の固定箇所は、内燃機関におけるセパレータ12以外の箇所であってもよい。
・バルブ11としてPCVバルブを例示したが、バルブ11はEGRバルブ等のPCVバルブ以外のバルブであってもよい。
【0033】
次に、上記実施形態から把握できる技術思想について記載する。
(A)
内燃機関の燃焼室から流出したガスを同機関の吸気系に流すための通路のガス流通面積を調整するバルブに適用され、前記バルブとは別体となる取付部材を備え、前記取付部材は、内燃機関に取り付けられたバルブを覆うとともに内燃機関に固定されることにより、前記バルブを内燃機関に対し取り外し不能とするものであるバルブの取付構造において、
前記取付部材には、内燃機関に取り付けられたバルブを覆ったときに内燃機関から突出する樹脂製の突起を挿通させる孔が形成されており、
前記取付部材は、前記孔に挿通された前記突起に対し樹脂かしめを施すことによって内燃機関に固定することが可能であり、
前記孔の内面には、前記突起の外面に対応して位置する第1面、及び、前記第1面に繋がるとともに前記第1面よりも前記孔の中心から離れるように位置する第2面が形成されているバルブの取付構造。
【0034】
(B)
前記第2面は、円弧状に湾曲することにより、前記第1面よりも前記孔の中心から離れるように位置するものである(A)に記載のバルブの取付構造。
【0035】
(C)
前記孔には、その孔の中心線周りに間隔をおいて複数の前記第2面が形成されている(A)又は(B)に記載のバルブの取付構造。
【0036】
(D)
前記取付部材には複数の前記孔が形成されており、
前記孔に形成された前記第2面は、その孔の中心線周りについての位置が複数の前記孔毎に異なっている(A)~(C)のいずれか一つに記載のバルブの取付構造。
【符号の説明】
【0037】
11…バルブ
12…セパレータ
15…ブローバイガス通路
16…ホース
17…取付孔
25…取付部材
26…固定部
27…正面被覆部
28…側面被覆部
29…固定孔
30…突起
31…第1面
32…第2面
33…かしめ用ホーン
34…突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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