(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103087
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】プリンタ、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
B41J2/165 401
B41J2/165 101
B41J2/165 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007230
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】林 翔
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056JA06
2C056JA21
2C056JB15
(57)【要約】
【課題】ノズル面の洗浄不足を抑制することに貢献するプリンタ、制御方法、および制御プログラムを提供する。
【解決手段】プリンタは第一ノズル面、第二ノズル面、第一キャップ、第二キャップ、洗浄液タンク、洗浄液タンクに接続される接続流路、接続流路と第一キャップを接続する第一分岐流路、接続流路と第二キャップを接続する第二分岐流路、第一ポンプ、第二ポンプ、制御部を備える。制御部は第一キャップが第一ノズル面に密着した状態で第一ポンプを第一供給期間D31の間駆動させ、洗浄液タンクから接続流路および第一分岐流路を介して第一キャップに洗浄液を供給する。制御部は第二キャップが第二ノズル面に密着した状態で第二ポンプを第二供給期間D32の間駆動させ、洗浄液タンクから接続流路および第二分岐流路を介して第二キャップに洗浄液を供給する。第一供給期間D31は第二供給期間D32と重ならない第一特定供給期間DA1を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一インクを吐出する第一ノズルが設けられた第一ノズル面と、
第二インクを吐出する第二ノズルが設けられた第二ノズル面と、
前記第一ノズルを覆って前記第一ノズル面に密着する第一キャップと、
前記第二ノズルを覆って前記第二ノズル面に密着する第二キャップと、
洗浄液が収容される洗浄液タンクと、
前記洗浄液タンクに接続される接続流路と、
前記接続流路と前記第一キャップとを互いに接続する第一分岐流路と、
前記接続流路と前記第二キャップとを互いに接続する第二分岐流路と、
前記第一キャップに接続される第一流路に設けられる第一ポンプと、
前記第二キャップに接続される第二流路に設けられる第二ポンプと、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記第一キャップが前記第一ノズル面に密着した状態で前記第一ポンプを第一供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第一分岐流路を介して前記第一キャップに前記洗浄液を供給する第一供給処理と、
前記第二キャップが前記第二ノズル面に密着した状態で前記第二ポンプを第二供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第二分岐流路を介して前記第二キャップに前記洗浄液を供給する第二供給処理と
を行い、
前記第一供給期間は、前記第二供給期間と重ならない第一特定供給期間を含む
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記第二供給期間の第二供給開始点は、前記第一供給期間の第一供給開始点よりも後であることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記第一分岐流路に設けられる第一バルブと、
前記第二分岐流路に設けられる第二バルブと
を備え、
前記制御部は、
前記第一キャップが前記第一ノズル面に密着し、且つ前記第一バルブを閉じた状態で前記第一ポンプを第一吸引期間の間駆動させることで、前記第一ノズルから前記第一インクを吸引する第一吸引処理と、
前記第二キャップが前記第二ノズル面に密着し、且つ前記第二バルブを閉じた状態で前記第二ポンプを第二吸引期間の間駆動させることで、前記第二ノズルから前記第二インクを吸引する第二吸引処理と
を行い、
前記第一吸引期間および前記第二吸引期間は、前記第一吸引期間および前記第二吸引期間が互いに重なる重複吸引期間を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項4】
第三インクを吐出する第三ノズルが設けられた第三ノズル面と、
前記第三ノズル面に密着する第三キャップと、
前記第三キャップに接続される第三流路に設けられる第三ポンプと、
前記接続流路と前記第三キャップとを互いに接続する第三分岐流路と
を備え、
前記制御部は、
前記第三キャップが前記第三ノズル面に密着した状態で前記第三ポンプを第三供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第三分岐流路を介して前記第三キャップに前記洗浄液を供給する第三供給処理を行い、
前記第三供給期間は、前記第一供給期間および前記第二供給期間の少なくとも一方と重なる重複供給期間を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記第一キャップに接続される流路であって、前記第一分岐流路とは異なる第一排液流路と、
前記第二キャップに接続される流路であって、前記第二分岐流路とは異なる第二排液流路と
を備え、
前記制御部は、
前記第一供給処理の後に、前記第一キャップ内に大気が供給される状態で前記第一ポンプを第一排出期間の間駆動させることで、前記第一排液流路を介して前記第一キャップから前記洗浄液を排出する第一排出処理と、
前記第二供給処理の後に、前記第二キャップ内に前記大気が供給される状態で前記第二ポンプを第二排出期間の間駆動させることで、前記第二排液流路を介して前記第二キャップから前記洗浄液を排出する第二排出処理と
を行い、
前記第一排出期間および前記第二排出期間は、前記第一排出期間および前記第二排出期間が互いに重なる重複排出期間を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記第一ノズル面には、単色の前記第一インクを吐出する前記第一ノズルが設けられ、
前記第二ノズル面には、複数の第二ノズルが設けられ、
前記複数の第二ノズルは、
第一色の前記第二インクを吐出する第一色ノズルと、
前記第一色とは異なる第二色の前記第二インクを吐出する第二色ノズルと
を含み、
前記第二供給期間の第二供給開始点から前記第二排出期間の第二排出開始点までの長さは、前記第一供給期間の第一供給開始点から前記第一排出期間の第一排出開始点までの長さよりも短い
ことを特徴とする請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第一供給処理と前記第一ポンプを第一停止期間の間停止させる第一停止処理とを交互に繰り返し、
前記第二供給処理と前記第二ポンプを第二停止期間の間停止させる第二停止処理とを交互に繰り返す
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記第二供給期間は、前記第一供給期間と重ならない第二特定供給期間を含み、
N回目の前記第一停止処理における前記第一停止期間は、N回目の前記第二供給処理における前記第二特定供給期間と重なる第一重複停止期間を含み、
N回目の前記第二停止処理における前記第二停止期間は、N+1回目の前記第一供給処理における前記第一特定供給期間と重なる第二重複停止期間を含む
ことを特徴とする請求項7に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記第一流路に設けられる第一バルブと、
前記第二流路に設けられる第二バルブと
を備え、
前記第二供給期間の第二供給終了点は、前記第一供給期間の第一供給終了点よりも後であり、
前記制御部は、
前記第一供給処理において、前記第一キャップが前記第一ノズル面に密着し、且つ前記第一バルブが開いた状態で前記第一ポンプを前記第一供給期間の間駆動させ、
前記第二供給処理において、前記第二キャップが前記第二ノズル面に密着し、且つ前記第二バルブが開いた状態で前記第二ポンプを前記第二供給期間の間駆動させ、
前記第二供給期間は、前記第一バルブが開いた状態の開放期間を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載のプリンタ。
【請求項10】
第一インクを吐出する第一ノズルが設けられた第一ノズル面と、
第二インクを吐出する第二ノズルが設けられた第二ノズル面と、
前記第一ノズルを覆って前記第一ノズル面に密着する第一キャップと、
前記第二ノズルを覆って前記第二ノズル面に密着する第二キャップと、
洗浄液が収容される洗浄液タンクと、
前記洗浄液タンクに接続される接続流路と、
前記接続流路と前記第一キャップとを互いに接続する第一分岐流路と、
前記接続流路と前記第二キャップとを互いに接続する第二分岐流路と、
前記第一キャップに接続される第一流路に設けられる第一ポンプと、
前記第二キャップに接続される第二流路に設けられる第二ポンプとを備えたプリンタの制御方法であって、
前記第一キャップが前記第一ノズル面に密着した状態で前記第一ポンプを第一供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第一分岐流路を介して前記第一キャップに前記洗浄液を供給する第一供給処理と、
前記第二キャップが前記第二ノズル面に密着した状態で前記第二ポンプを第二供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第二分岐流路を介して前記第二キャップに前記洗浄液を供給する第二供給処理と
を備え、
前記第一供給期間は、前記第二供給期間と重ならない第一特定供給期間を含む
ことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
第一インクを吐出する第一ノズルが設けられた第一ノズル面と、
第二インクを吐出する第二ノズルが設けられた第二ノズル面と、
前記第一ノズルを覆って前記第一ノズル面に密着する第一キャップと、
前記第二ノズルを覆って前記第二ノズル面に密着する第二キャップと、
洗浄液が収容される洗浄液タンクと、
前記洗浄液タンクに接続される接続流路と、
前記接続流路と前記第一キャップとを互いに接続する第一分岐流路と、
前記接続流路と前記第二キャップとを互いに接続する第二分岐流路と、
前記第一キャップに接続される第一流路に設けられる第一ポンプと、
前記第二キャップに接続される第二流路に設けられる第二ポンプとを備えたプリンタのコンピュータに、
前記第一キャップが前記第一ノズル面に密着した状態で前記第一ポンプを第一供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第一分岐流路を介して前記第一キャップに前記洗浄液を供給する第一供給処理と、
前記第二キャップが前記第二ノズル面に密着した状態で前記第二ポンプを第二供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第二分岐流路を介して前記第二キャップに前記洗浄液を供給する第二供給処理と
を実行させる制御プログラムであって、
前記第一供給期間は、前記第二供給期間と重ならない第一特定供給期間を含む
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズル面に設けられたノズルからインクを吐出するプリンタがある。特許文献1は、複数の印刷ヘッドと複数のキャップと溶解液タンクと複数の吸引ポンプとを備えるプリンタを開示する。複数の印刷ヘッドは、ノズルが設けられるノズル形成面を含む。キャップはノズル形成面を封止する。溶解液タンクは、洗浄液としてインク溶解液を貯留する。溶解液タンクにはチューブが接続される。チューブは溶解液タンクから延びた後、複数のチューブに分岐する。複数のチューブは、それぞれ、キャップに接続される。複数の吸引ポンプは、それぞれ、キャップに対応付けられて設けられる。プリンタは、キャップがノズル形成面を封止した状態で、複数の吸引ポンプを駆動する。これにより、インク溶解液が溶解液タンクからチューブを介して各キャップ内に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プリンタにおいて、各吸引ポンプの駆動期間が互いに一致していると、各吸引ポンプが溶解液タンクからインク溶解液を吸引することが難しくなる可能性がある。これにより、上記プリンタでは、各キャップへのインク溶解液の供給量が減少し、洗浄が難しくなる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、洗浄不足を抑制することに貢献するプリンタ、制御方法、および制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るプリンタは、第一インクを吐出する第一ノズルが設けられた第一ノズル面と、第二インクを吐出する第二ノズルが設けられた第二ノズル面と、前記第一ノズルを覆って前記第一ノズル面に密着する第一キャップと、前記第二ノズルを覆って前記第二ノズル面に密着する第二キャップと、洗浄液が収容される洗浄液タンクと、前記洗浄液タンクに接続される接続流路と、前記接続流路と前記第一キャップとを互いに接続する第一分岐流路と、前記接続流路と前記第二キャップとを互いに接続する第二分岐流路と、前記第一キャップに接続される第一流路に設けられる第一ポンプと、前記第二キャップに接続される第二流路に設けられる第二ポンプと、制御部とを備え、前記制御部は、前記第一キャップが前記第一ノズル面に密着した状態で前記第一ポンプを第一供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第一分岐流路を介して前記第一キャップに前記洗浄液を供給する第一供給処理と、前記第二キャップが前記第二ノズル面に密着した状態で前記第二ポンプを第二供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第二分岐流路を介して前記第二キャップに前記洗浄液を供給する第二供給処理とを行い、前記第一供給期間は、前記第二供給期間と重ならない第一特定供給期間を含むことを特徴とする。
【0007】
第一態様によれば、第一特定供給期間が第二供給期間と重ならないので、第一供給処理では、第一特定供給期間の間、第二ポンプが停止された状態で第一ポンプが駆動される。このため、第一特定供給期間の間、第二ポンプが駆動された状態で第一ポンプが駆動される場合に比べて、洗浄液タンクから第一キャップへの洗浄液の供給量が増加する。よって、プリンタは、洗浄不足を抑制することに貢献する。
【0008】
前記第二供給期間の第二供給開始点は、前記第一供給期間の第一供給開始点よりも後であってもよい。
【0009】
この場合、第一特定供給期間が、第一供給期間の第一供給開始点から始まる。このため、第一供給処理では、第二ポンプが停止された状態で第一ポンプの駆動が開始される。このため、第二ポンプが駆動された状態で、または第二ポンプの駆動開始と同時に第一ポンプの駆動が開始される場合に比べて、第一供給期間の第一供給開始点から第二供給期間の第二供給開始点までの間に、洗浄液タンクから第一キャップへの洗浄液の供給量が増加する。よって、プリンタは、第一ノズル面の洗浄不足をさらに抑制することに貢献する。
【0010】
前記第一分岐流路に設けられる第一バルブと、前記第二分岐流路に設けられる第二バルブとを備え、前記制御部は、前記第一キャップが前記第一ノズル面に密着し、且つ前記第一バルブを閉じた状態で前記第一ポンプを第一吸引期間の間駆動させることで、前記第一ノズルから前記第一インクを吸引する第一吸引処理と、前記第二キャップが前記第二ノズル面に密着し、且つ前記第二バルブを閉じた状態で前記第二ポンプを第二吸引期間の間駆動させることで、前記第二ノズルから前記第二インクを吸引する第二吸引処理とを行い、前記第一吸引期間および前記第二吸引期間は、前記第一吸引期間および前記第二吸引期間が互いに重なる重複吸引期間を含んでもよい。
【0011】
この場合、第一吸引期間および第二吸引期間が重複吸引期間を含むので、プリンタは、第一吸引期間および第二吸引期間が互いに完全にずれている場合に比べて、第一吸引処理および第二吸引処理にかかる時間を短くすることに貢献する。
【0012】
第三インクを吐出する第三ノズルが設けられた第三ノズル面と、前記第三ノズル面に密着する第三キャップと、前記第三キャップに接続される第三流路に設けられる第三ポンプと、前記接続流路と前記第三キャップとを互いに接続する第三分岐流路とを備え、前記制御部は、前記第三キャップが前記第三ノズル面に密着した状態で前記第三ポンプを第三供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第三分岐流路を介して前記第三キャップに前記洗浄液を供給する第三供給処理を行い、前記第三供給期間は、前記第一供給期間および前記第二供給期間の少なくとも一方と重なる重複供給期間を含んでもよい。
【0013】
この場合、第三供給期間が重複供給期間を含むので、プリンタは、第三供給期間が第一供給期間および第二供給期間と完全にずれている場合に比べて、第一供給処理、第二供給処理、および第三供給処理にかかる時間を短くすることに貢献する。
【0014】
前記第一キャップに接続される流路であって、前記第一分岐流路とは異なる第一排液流路と、前記第二キャップに接続される流路であって、前記第二分岐流路とは異なる第二排液流路とを備え、前記制御部は、前記第一供給処理の後に、前記第一キャップ内に大気が供給される状態で前記第一ポンプを第一排出期間の間駆動させることで、前記第一排液流路を介して前記第一キャップから前記洗浄液を排出する第一排出処理と、前記第二供給処理の後に、前記第二キャップ内に前記大気が供給される状態で前記第二ポンプを第二排出期間の間駆動させることで、前記第二排液流路を介して前記第二キャップから前記洗浄液を排出する第二排出処理とを行い、前記第一排出期間および前記第二排出期間は、前記第一排出期間および前記第二排出期間が互いに重なる重複排出期間を含んでもよい。
【0015】
この場合、第一排出期間および第二排出期間が重複排出期間を含むので、プリンタは、第一排出期間および第二排出期間が互いに完全にずれている場合に比べて、第一排出処理および第二排出処理にかかる時間を短くすることに貢献する。
【0016】
前記第一ノズル面には、単色の前記第一インクを吐出する前記第一ノズルが設けられ、前記第二ノズル面には、複数の第二ノズルが設けられ、前記複数の第二ノズルは、第一色の前記第二インクを吐出する第一色ノズルと、前記第一色とは異なる第二色の前記第二インクを吐出する第二色ノズルとを含み、前記第二供給期間の第二供給開始点から前記第二排出期間の第二排出開始点までの長さは、前記第一供給期間の第一供給開始点から前記第一排出期間の第一排出開始点までの長さよりも短くてもよい。
【0017】
この場合、プリンタでは、第二供給期間の第二供給開始点から第二排出期間の第二排出開始点までの長さが、第一供給期間の第一供給開始点から第一排出期間の第一排出開始点までの長さよりも短いので、キャップ内において、洗浄液が第二ノズル面に接触する時間が、洗浄液が第一ノズル面に接触する時間よりも短くなる。よって、プリンタは第一色と第二色との混色による不具合を抑制することに貢献する。
【0018】
前記制御部は、前記第一供給処理と前記第一ポンプを第一停止期間の間停止させる第一停止処理とを交互に繰り返し、前記第二供給処理と前記第二ポンプを第二停止期間の間停止させる第二停止処理とを交互に繰り返してもよい。
【0019】
この場合、第一供給処理によってキャップ内に発生した負圧が、第一停止処理によって低下する。よって、プリンタは、第一供給処理において、第一ノズルから第一インクが吸引されることを抑制することに貢献する。第二供給処理によってキャップ内に発生した負圧が、第二停止処理によって低下する。よって、プリンタは、第二供給処理において、第二ノズルから第二インクが吸引されることを抑制することに貢献する。
【0020】
前記第二供給期間は、前記第一供給期間と重ならない第二特定供給期間を含み、N回目の前記第一停止処理における前記第一停止期間は、N回目の前記第二供給処理における前記第二特定供給期間と重なる第一重複停止期間を含み、N回目の前記第二停止処理における前記第二停止期間は、N+1回目の前記第一供給処理における前記第一特定供給期間と重なる第二重複停止期間を含んでもよい。
【0021】
この場合、プリンタは、最初の第一供給処理の開始から最後の第二供給処理の終了までにかかる時間を短くすることに貢献する。
【0022】
前記第一流路に設けられる第一バルブと、前記第二流路に設けられる第二バルブとを備え、前記第二供給期間の第二供給終了点は、前記第一供給期間の第一供給終了点よりも後であり、前記制御部は、前記第一供給処理において、前記第一キャップが前記第一ノズル面に密着し、且つ前記第一バルブが開いた状態で前記第一ポンプを前記第一供給期間の間駆動させ、前記第二供給処理において、前記第二キャップが前記第二ノズル面に密着し、且つ前記第二バルブが開いた状態で前記第二ポンプを前記第二供給期間の間駆動させ、
前記第二供給期間は、前記第一バルブが開いた状態の開放期間を含んでもよい。
【0023】
この場合、開放期間では、第一バルブが開いた状態から閉じた状態に切り替えられることによる衝撃によって第一ノズル内の第一インクが後退することが抑制される。よって、プリンタは第一ノズルにおける第一インクの不吐出を抑制することに貢献する。
【0024】
本発明の第二態様に係る制御方法は、第一インクを吐出する第一ノズルが設けられた第一ノズル面と、第二インクを吐出する第二ノズルが設けられた第二ノズル面と、前記第一ノズルを覆って前記第一ノズル面に密着する第一キャップと、前記第二ノズルを覆って前記第二ノズル面に密着する第二キャップと、洗浄液が収容される洗浄液タンクと、前記洗浄液タンクに接続される接続流路と、前記接続流路と前記第一キャップとを互いに接続する第一分岐流路と、前記接続流路と前記第二キャップとを互いに接続する第二分岐流路と、前記第一キャップに接続される第一流路に設けられる第一ポンプと、前記第二キャップに接続される第二流路に設けられる第二ポンプとを備えたプリンタの制御方法であって、前記第一キャップが前記第一ノズル面に密着した状態で前記第一ポンプを第一供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第一分岐流路を介して前記第一キャップに前記洗浄液を供給する第一供給処理と、前記第二キャップが前記第二ノズル面に密着した状態で前記第二ポンプを第二供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第二分岐流路を介して前記第二キャップに前記洗浄液を供給する第二供給処理とを備え、前記第一供給期間は、前記第二供給期間と重ならない第一特定供給期間を含むことを特徴とする。
【0025】
第二態様は第一態様と同様の利点に貢献する。
【0026】
本発明の第三態様に係る制御プログラムは、第一インクを吐出する第一ノズルが設けられた第一ノズル面と、第二インクを吐出する第二ノズルが設けられた第二ノズル面と、前記第一ノズルを覆って前記第一ノズル面に密着する第一キャップと、前記第二ノズルを覆って前記第二ノズル面に密着する第二キャップと、洗浄液が収容される洗浄液タンクと、前記洗浄液タンクに接続される接続流路と、前記接続流路と前記第一キャップとを互いに接続する第一分岐流路と、前記接続流路と前記第二キャップとを互いに接続する第二分岐流路と、前記第一キャップに接続される第一流路に設けられる第一ポンプと、前記第二キャップに接続される第二流路に設けられる第二ポンプとを備えたプリンタのコンピュータに、前記第一キャップが前記第一ノズル面に密着した状態で前記第一ポンプを第一供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第一分岐流路を介して前記第一キャップに前記洗浄液を供給する第一供給処理と、前記第二キャップが前記第二ノズル面に密着した状態で前記第二ポンプを第二供給期間の間駆動させることで、前記洗浄液タンクから前記接続流路および前記第二分岐流路を介して前記第二キャップに前記洗浄液を供給する第二供給処理とを実行させる制御プログラムであって、前記第一供給期間は、前記第二供給期間と重ならない第一特定供給期間を含むことを特徴とする。
【0027】
第三態様は第一態様と同様の利点に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図3】洗浄液タンク40と廃液タンク49との間の流路構成図である。
【
図4】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図7】各バルブの開閉およびポンプの駆動および停止の関係を示すタイミングチャートである。
【
図8】各バルブの開閉およびポンプの駆動および停止の関係を示すタイミングチャートである。
【
図9】第一ポンプの駆動および停止と第二ポンプの駆動および停止との関係を示すタイミングチャートである。
【
図10】第一ポンプの駆動および停止と第二ポンプの駆動および停止との関係を示すタイミングチャートである。
【
図11】第一ポンプの駆動および停止と第二ポンプの駆動および停止との関係を示すタイミングチャートである。
【
図12】第一ポンプの駆動および停止と第二ポンプの駆動および停止との関係を示すタイミングチャートである。
【
図13】第一ポンプの駆動および停止と第二ポンプの駆動および停止との関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係るプリンタ1を説明する。
図1の上方、下方、左下方、右上方、右下方、および左上方が、それぞれ、プリンタ1の上方、下方、前方、後方、右方、および左方である。本実施形態において図面中の機械的要素は、実際のスケールを示す。
【0030】
以下では、白色のインクを「白インク」という。黒、シアン、イエロー、およびマゼンタのインクを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「カラーインク」という。蛍光色、金色、銀色、メタリックカラー、透明、およびパステル調の色のインクを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、「特色インク」という。本実施形態で使用される白インクの粘度は、本実施形態で使用されるカラーインクの粘度よりも高く、且つ本実施形態で使用される特色インクの粘度よりも高い。白インクとカラーインクと特色インクとを総称する場合、またはいずれかを特定しない場合、単に「インク」という。
図1に示すプリンタ1はインクジェットプリンタであり、印刷媒体(図示略)にインクを吐出して印刷を行う。印刷媒体は、布帛、紙等であり、例えばTシャツである。
【0031】
図1および
図2を参照し、プリンタ1の機械的構成を説明する。
図1および
図2に示すように、プリンタ1は枠体2と支持軸14とプラテン12と一対のガイドレール21、22とキャリッジ6と複数のヘッド31、32、33、34、35、36とメンテナンス機構4とを備える。枠体2は前後方向に延びる複数のシャフト、左右方向に延びる複数のシャフト、上下方向に延びる複数のシャフトによって格子状に構成される。枠体2には開口13が形成される。開口13は枠体2の左右方向中央を前後方向に貫通する。
【0032】
支持軸14は開口13内において枠体2に固定され、前後方向に延びる。プラテン12は正面視で開口13内に位置する。プラテン12は板であり、前後方向および左右方向に延びる。プラテン12上には印刷媒体が載置される。プラテン12は支持軸14によって支持され、支持軸14に沿って前後方向に移動する。したがって、本実施形態では前後方向が副走査方向となる。
図1および
図2は、プラテン12が、プラテン12の移動範囲の前端に位置する状態を示す。
【0033】
一対のガイドレール21、22は枠体2の上端に固定される。ガイドレール21は枠体2の前端に配置され、枠体2の左端から右端まで左右方向に延びる。ガイドレール22は枠体2の前後方向の略中央に配置され、枠体2の左端から右端まで左右方向に延びる。
【0034】
キャリッジ6は板であり、一対のガイドレール21、22の間で前後方向および左右方向に延びる。キャリッジ6は一対のガイドレール21、22によって支持され、一対のガイドレール21、22に沿って左右方向に移動する。したがって、本実施形態では、左右方向が主走査方向となる。
図1および
図2は、キャリッジ6が、キャリッジ6の移動範囲の右端に位置する状態を示す。
【0035】
ヘッド31~36はキャリッジ6に装着される。ヘッド31は直方体状であり、
図3に示すノズル面311を含む。ノズル面311は、ヘッド31の下面に形成され、キャリッジ6から下方に露出する。ノズル面311は、プラテン12よりも上方に位置する。ノズル面311には
図3に示す複数のノズル312が設けられる。複数のノズル312はインクを吐出するための開口である。
【0036】
ヘッド32~36は、それぞれ、ヘッド31と同様の構成を有する。すなわち、ヘッド32~36は、それぞれ、
図3に示すノズル面321、331、341、351、361を含む。ノズル面321、331、341、351、361には、それぞれ、
図3に示す複数のノズル322、332、342、352、362が設けられる。
【0037】
図2に示すように、ヘッド31~33は、キャリッジ6の右部に位置し、後方から前方に向かってヘッド31、32、33の順に一列に並ぶ。ヘッド33~35は、ヘッド31~33の左方に位置し、後方から前方に向かってヘッド34、35、36の順に一列に並ぶ。
【0038】
ヘッド31、34には、それぞれ、白インクが収容されるタンクまたはカートリッジ(図示略)から白インクが供給される。ヘッド31、34は、それぞれ、供給される白インクを
図3に示す複数のノズル312、342から選択的に吐出する。このため、例えば複数のノズル312は白インクの一種類のみ吐出する。
【0039】
ヘッド32、35には、それぞれ、特色インクが収容されるタンクまたはカートリッジ(図示略)から特色インクが供給される。ヘッド32、35は、それぞれ、供給される特色インクを
図3に示す複数のノズル322、352から選択的に吐出する。このため、例えば複数のノズル322は、第一色の特色インクを吐出するためのノズル322、第一色とは異なる第二色の特色インクを吐出するためのノズル322等を含む。
【0040】
ヘッド33、36には、それぞれ、カラーインクが収容されるタンクまたはカートリッジ(図示略)からカラーインクが供給される。ヘッド33、36は、それぞれ、供給されるカラーインクを
図3に示す複数のノズル332、362から選択的に吐出する。このため、例えば複数のノズル332は、黒のカラーインクと吐出するためのノズル332、シアンのカラーインクを吐出するためのノズル332、イエローのカラーインクを吐出するためのノズル332、およびマゼンタのカラーインクを吐出するためのノズル332を含む。
【0041】
メンテナンス機構4は、ヘッド31~36をメンテナンスするための機構であり、枠体2の左部に位置する。メンテナンス機構4の詳細については後述する。
【0042】
プリンタ1による印刷動作の例を説明する。プリンタ1は、プラテン12を前後方向(副走査方向)に移動させる。プリンタ1は、プラテン12がノズル面321、331、341、351、361に対向した状態で、キャリッジ6を左右方向(主走査方向)に移動させながら、ヘッド31~36からインクを吐出する。
【0043】
例えば、プリンタ1は、下地として白インクをヘッド31、34から、プラテン12上の印刷媒体に吐出する。これにより、印刷媒体に白インクの下地が印刷される。プリンタ1は、ヘッド31~36から下地の上に、または印刷媒体に直接、インクを吐出する。これにより、下地の上に、または印刷媒体に直接、カラー画像が印刷される。
【0044】
図1~
図3を参照し、メンテナンス機構4を説明する。メンテナンス機構4は、
図1~
図3に示す複数のキャップ41~46と、
図1、
図2に示す複数のワイパ51~56と、
図1、
図2に示す複数のフラッシングボックス61~63と、
図3に示す洗浄液タンク40と、
図3に示す廃液タンク49とを備える。
【0045】
図1~
図3に示すように、キャップ41は、弾性体であり、上方に開口する直方体状を有する。キャップ41内には
図3に示すキャップ空間411が形成される。キャップ空間411は、キャップ41の側面および底面によって囲まれる空間である。複数のキャップ42~46は、それぞれ、キャップ41と同様の形状を有する。このため、複数のキャップ42~46には、それぞれ、キャップ空間421、431、441、451、461が形成される。
図1、
図2に示すように、複数のキャップ41~46は、支持板47によって下方から支持される。支持板47は前後方向および左右方向に延び、複数のキャップ41~46のそれぞれを独立してまたは同時に上下方向に移動させる。
【0046】
複数のキャップ41~46は、それぞれ、キャリッジ6の移動経路よりも下方、且つプラテン12の移動経路よりも左方に設けられる。複数のキャップ41~46のそれぞれの位置関係は、ヘッド31~36のそれぞれの位置関係と同じである。このため、キャリッジ6がキャリッジ6の移動範囲の左端に位置する場合、複数のキャップ41~46は、それぞれ、複数のヘッド31~36と上下方向に対向する。
【0047】
複数のキャップ41~46が、それぞれ、複数のヘッド31~36と上下方向に対向した状態で支持板47が上方に移動すると、例えばキャップ41が複数のノズル312を下方から覆ってノズル面311に密着する(
図3参照)。同様に、キャップ42~46が、それぞれ、複数のノズル322、332、342、352、362を下方から覆ってノズル面321、331、341、351、361に密着する。
【0048】
以下では、キャップ41~46がそれぞれ複数のノズル312、322、332、342、352、362を覆ってノズル面311、321、331、341、351、361に密着する状態を「キャップ状態」という(
図3参照)。キャップ41~46がそれぞれ複数のノズル312、322、332、342、352、362から離れた状態を「アンキャップ状態」という(
図1、
図2参照)。プリンタ1がキャップ41~46をキャップ状態にさせる動作を、「キャッピング動作」という。プリンタ1がキャップ41~46をアンキャップ状態にさせる動作を、「アンキャッピング動作」という。プリンタ1は、印刷動作が行われていない間、ヘッド31~36内のインクの乾燥を抑制するためにキャッピング動作を行う。
【0049】
複数のワイパ51~56は、それぞれ、複数のキャップ41~46の右方に位置し、且つ前後方向において、複数のキャップ41~46と同じ位置に位置する。複数のワイパ51~56は、キャリッジ6の移動経路よりも下方、且つプラテン12の移動経路よりも左方に設けられる。複数のワイパ51~56のそれぞれの位置関係は、複数のヘッド31~36のそれぞれの位置関係と同じである。
【0050】
複数のワイパ51~56は、それぞれ、退避位置(
図1、
図2参照)と突出位置(図示略)とに移動する。退避位置は、複数のワイパ51~56のそれぞれの上端が、それぞれ、ノズル面311、321、331、341、351、361よりも下方に位置する場合の複数のワイパ51~56の位置である。したがって、複数のワイパ51~56が、退避位置に位置する状態では、キャリッジ6が左右方向に移動しても、複数のワイパ51~56は、それぞれ、ノズル面311、321、331、341、351、361に接触しない。
【0051】
突出位置は、複数のワイパ51~56のそれぞれの上端が、それぞれ、ノズル面321、331、341、351、361よりも上方に位置する場合の複数のワイパ51~56の位置である。したがって、複数のワイパ51~56が、突出位置に位置する状態でキャリッジ6が左右方向に移動すると、複数のワイパ51~56は、それぞれ、ノズル面311、321、331、341、351、361に接触する。これにより、複数のワイパ51~56は、それぞれ、ノズル面311、321、331、341、351、361に付着したインク等を拭き取ることができる。以下では、プリンタ1が、ノズル面311、321、331、341、351、361に付着したインク等を、それぞれ、複数のワイパ51~56に拭き取らせる動作を、「ワイピング動作」という。
【0052】
複数のフラッシングボックス61~63は、それぞれ、複数のワイパ51~56の右方に位置する。複数のフラッシングボックス61~63は、キャリッジ6の移動経路よりも下方、且つプラテン12の移動経路よりも左方に設けられる。複数のフラッシングボックス61~63は、後方から前方に向かってフラッシングボックス61、62、63の順に一列に並ぶ。
【0053】
フラッシングボックス61は、前後方向において、ヘッド31の後端の位置からヘッド34の前端の位置まで延びる。フラッシングボックス62は、前後方向において、ヘッド32の後端の位置からヘッド35の前端の位置まで延びる。フラッシングボックス63は、前後方向において、ヘッド33の後端の位置からヘッド36の前端の位置まで延びる。
【0054】
フラッシングボックス61は、ヘッド31、34がフラッシングした場合にノズル312、342から吐出される白インクを受ける。フラッシングボックス62は、ヘッド32、35がフラッシングした場合にノズル322、352から吐出される特色インクを受ける。フラッシングボックス63は、ヘッド33、36がフラッシングした場合にノズル332、362から吐出されるカラーインクを受ける。以下では、プリンタ1が、フラッシングボックス61~63に向けて複数のヘッド31~36にそれぞれインクを吐出させる動作を、「フラッシング動作」という。
【0055】
図3に示すように、洗浄液タンク40は、ノズル面311、321、331、341、351、361またはキャップ41~46を洗浄するための洗浄液を収容する。洗浄液は、例えばノズル面311、321、331、341、351、361またはキャップ41~46に付着したインクを溶解することが望ましい。洗浄液の粘度は、インクの粘度よりも低い。洗浄液タンク40は、複数のキャップ41~46のそれぞれに接続される。したがって、洗浄液は、洗浄液タンク40から複数のキャップ41のそれぞれに供給される。
【0056】
廃液タンク49は、複数のキャップ41~46のそれぞれに接続される。廃液タンク49は、複数のキャップ41~46のそれぞれから廃液を受ける。本実施形態では、廃液は、洗浄液およびインクの一方または両方を含む液体である。
【0057】
図3を参照し、洗浄液タンク40と廃液タンク49との間の流路構成を説明する。本実施形態では、各流路は管によって構成される。洗浄液タンク40には点P10において流路101が接続される。流路101は点P10から点P11まで延びる。流路101には洗浄液バルブ401が設けられる。流路101は点P11において流路111と流路121とに分岐する。流路111は点P11から点P12まで延び、点P12において流路112と流路113とに分岐する。
【0058】
流路112は点P12から点P13まで延び、点P13においてキャップ41に接続される。流路112には第一上流バルブ412が設けられる。キャップ41には、点P14において流路114が接続される。流路114は点P14から点P17まで延びる。流路114には第一下流バルブ414と第一ポンプ214とが設けられる。第一下流バルブ414および第一ポンプ214は、点P14から点P17に向かって第一下流バルブ414、第一ポンプ214の順に並ぶ。第一ポンプ214は、流路114において点P14から点P17に向かって廃液を流す。
【0059】
流路113は点P12から点P15まで延び、点P15においてキャップ44に接続される。流路113には第一上流バルブ413が設けられる。キャップ44には、点P16において流路115が接続される。流路115は点P16から点P17まで延び、点P17において流路114と合流する。流路115には第一下流バルブ415と第一ポンプ215とが設けられる。第一下流バルブ415および第一ポンプ215は、点P16から点P17に向かって第一下流バルブ415、第一ポンプ215の順に並ぶ。第一ポンプ215は、流路115において点P16から点P17に向かって廃液を流す。
【0060】
点P17において、合流した流路114および流路115は、流路171に接続される。流路171は点P17から点P41まで延び、点P41において後述の流路174と合流する。点P41において、合流した流路171および流路174は、流路181に接続される。流路181は、点P41から点P42まで延び、点P42において廃液タンク49に接続される。
【0061】
流路121は点P11から点P21まで延び、点P21において流路131と流路141とに分岐する。流路131は点P21から点P22まで延び、点P22において流路132と流路133とに分岐する。流路132は点P22から点P23まで延び、点P23においてキャップ43に接続される。流路132には第二上流バルブ432が設けられる。キャップ43には、点P24において流路134が接続される。流路134は点P24から点P27まで延びる。流路134には第二下流バルブ434と第二ポンプ234とが設けられる。第二下流バルブ434および第二ポンプ234は、点P24から点P27に向かって第二下流バルブ434、第二ポンプ234の順に並ぶ。第二ポンプ234は、流路134において点P24から点P27に向かって廃液を流す。
【0062】
流路133は点P22から点P25まで延び、点P25においてキャップ46に接続される。流路133には第二上流バルブ433が設けられる。キャップ46には、点P26において流路135が接続される。流路135は点P26から点P27まで延びる。流路135には第二下流バルブ435と第二ポンプ235とが設けられる。第二下流バルブ435および第二ポンプ235は、点P26から点P27に向かって第二下流バルブ435、第二ポンプ235の順に並ぶ。第二ポンプ235は、流路135において点P26から点P27に向かって廃液を流す。
【0063】
流路135は点P27において流路134と合流する。点P27において、合流した流路134および流路135は、流路172に接続される。流路172は点P27から点P38まで延び、点P38において後述の流路165と合流する。
【0064】
流路141は点P21から点P32まで延び、点P32において流路162と流路163とに分岐する。流路162は点P32から点P33まで延び、点P33においてキャップ42に接続される。流路162には第三上流バルブ462が設けられる。キャップ42には、点P34において流路164が接続される。流路164は点P34から点P35まで延びる。流路164には第三下流バルブ464と第三ポンプ264とが設けられる。第三下流バルブ464および第三ポンプ264は、点P34から点P35に向かって第三下流バルブ464、第三ポンプ264の順に並ぶ。第三ポンプ264は、流路164において点P34から点P35に向かって廃液を流す。
【0065】
流路163は点P32から点P36まで延び、点P36においてキャップ45に接続される。流路163には第三上流バルブ463が設けられる。キャップ45には、点P37において流路165が接続される。流路165は点P37から点P38まで延びる。流路165には第三下流バルブ465と第三ポンプ265とが設けられる。第三下流バルブ465および第三ポンプ265は、点P37から点P38に向かって第三下流バルブ465、第三ポンプ265の順に並ぶ。第三ポンプ265は、流路165において点P37から点P38に向かって廃液を流す。
【0066】
点P38において、合流した流路165および流路172は、流路173に接続される。流路173は点P38から点P35まで延び、点P35において流路164と合流する。点P35において、合流した流路164および流路173は、流路174に接続される。流路174は点P35から点P41まで延び、点P41において流路171と合流する。
【0067】
流路111には点P51において流路191が接続される。点P51は点P11と点P12との間に位置する。流路191は点P51から延び、大気100に接続される。流路191には第一大気バルブ491が設けられる。流路131には点P52において流路192が接続される。点P52は点P21と点P22との間に位置する。流路192は点P52から延び、大気100に接続される。流路192には第二大気バルブ492が設けられる。流路141には点P53において流路193が接続される。点P53は点P21と点P32との間に位置する。流路193は点P53から延び、大気100に接続される。流路193には第三大気バルブ493が設けられる。
【0068】
上述した各バルブは、それぞれ、同じ機能を有する。すなわち、バルブが開いた場合、開いたバルブは流路を連通させる。この場合、液体は、開いたバルブを介して流路を流れることができる。例えば洗浄液バルブ401が開いた場合、洗浄液は、開いた洗浄液バルブ401を介して流路101を流れることができる。バルブが閉じた場合、閉じたバルブは流路を遮断する。この場合、液体は、閉じたバルブを介して流路を流れることができない。例えば洗浄液バルブ401が閉じた場合、洗浄液は、閉じた洗浄液バルブ401を介して流路101を流れることができない。
【0069】
本実施形態では、上述した各ポンプは、停止した状態で、各ポンプが設けられた流路を押しつぶす。このため、液体は、停止したポンプを介して流路を流れることができない。例えば第一ポンプ214が停止した状態では、廃液は、停止した第一ポンプ214を介して流路114を流れることができない。
【0070】
図4を参照し、プリンタ1の電気的構成を説明する。プリンタ1は制御基板80を備える。制御基板80にはCPU81、ROM82、RAM83、およびフラッシュメモリ84が設けられる。CPU81はプリンタ1の制御を司り、ROM82、RAM83、およびフラッシュメモリ84と電気的に接続する。ROM82は、CPU81がプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU81が必要な情報等を記憶する。RAM83は、制御プログラムで用いられる各種データ等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ84は、不揮発性であり、印刷を行うための印刷データ等を記憶する。
【0071】
CPU81には主走査モータ99、副走査モータ97、キャップモータ48、ワイパモータ76、77、ヘッドドライバ30、ポンプモータ201~206、ソレノイド471~486および操作部17が電気的に接続される。主走査モータ99、副走査モータ97、キャップモータ48、ワイパモータ76、77、ヘッドドライバ30、ポンプモータ201~206、およびソレノイド471~486は、それぞれ、CPU81による制御によって駆動する。
【0072】
主走査モータ99は、
図2に示すキャリッジ6を左右方向に移動させる。副走査モータ97は、
図2に示すプラテン12を前後方向に移動させる。キャップモータ48は、
図2に示す支持板47を上下方向に移動させる。ワイパモータ76は、
図2に示すワイパ51~53を突出位置と退避位置とに移動させる。ワイパモータ77は、ワイパ54~56を突出位置と退避位置とに移動させる。ヘッドドライバ30は、
図2に示すヘッド31~36にインクを吐出させる。
【0073】
ポンプモータ201は
図3に示す第一ポンプ214を駆動させる。同様に、ポンプモータ202~206は、それぞれ、
図3に示す第一ポンプ215、第二ポンプ234、235、および第三ポンプ264、265を駆動させる。
【0074】
ソレノイド471は
図3に示す洗浄液バルブ401を開閉する。同様に、ソレノイド472~486は、それぞれ、
図3に示す第一上流バルブ412、413、第一下流バルブ414、415、第二上流バルブ432、433、第二下流バルブ434、435、第三上流バルブ462、463、第三下流バルブ464、465、第一大気バルブ491、第二大気バルブ492、および第三大気バルブ493を開閉する。
【0075】
操作部17はタッチパネル等であり、ユーザによる操作に応じた情報をCPU81に出力する。ユーザは操作部17を操作することで、プリンタ1による印刷を開始するための印刷指示、メイン処理を実行するためのメンテナンス指示等をプリンタ1に入力できる。
【0076】
図3~
図8を参照し、メイン処理を説明する。例えば、
図4に示す操作部17を介してメンテナンス指示があった場合、プリンタ1による一定枚数の印刷媒体への印刷が行われた場合、または前回のメイン処理から一定時間が経過した場合、CPU81は、ROM82から制御プログラムを読み出して動作することで、メイン処理を実行する。
【0077】
メイン処理の開始時、洗浄液バルブ401、第一上流バルブ412、413、第一下流バルブ414、415、第二上流バルブ432、433、第二下流バルブ434、435、第三上流バルブ462、463、第三下流バルブ464、465、第一大気バルブ491、第二大気バルブ492、および第三大気バルブ493は、全部、閉じた状態とする。例えば開いた状態のバルブがあれば、CPU81は、メイン処理の開始時に開いた状態のバルブを閉じた状態に制御する。
【0078】
図7および
図8では、時点T11~T23は、経時的に、時点T11、T12、T13、T14、T15、T16、T17、T18、T19、T20、T21、T22、T23の順で並ぶ。
図7および
図8では、互いに隣り合う時点T11~T23のそれぞれの間を等間隔で示すが、実際には、等間隔でなくてもよい。
【0079】
図7では、第一ポンプ214、215を互いに区別することなく「第一ポンプ」とし、第一上流バルブ412、413を互いに区別することなく「第一上流バルブ」とし、第一下流バルブ414、415を互いに区別することなく「第一下流バルブ」とする。第二ポンプ234、235を互いに区別することなく「第二ポンプ」とし、第二上流バルブ432、433を互いに区別することなく「第二上流バルブ」とし、第二下流バルブ434、435を互いに区別することなく「第二下流バルブ」とする。
図8では、第三ポンプ264、265を互いに区別することなく「第三ポンプ」とし、第三上流バルブ462、463を互いに区別することなく「第三上流バルブ」とし、第三下流バルブ464、465を互いに区別することなく「第三下流バルブ」とする。
【0080】
図5に示すように、メイン処理が開始されると、CPU81はキャッピング動作を行う(S11)。S11の処理では、CPU81は
図4に示す主走査モータ99を制御し、
図3に示すキャップ41~46がそれぞれノズル面311、321、331、341、351、361と対向する位置まで、
図2に示すキャリッジ6を移動させる。CPU81は、
図4に示すキャップモータ48を制御し、
図1に示す支持板47を上昇させる。これにより、複数のキャップ41~46はキャップ状態となる(
図3参照)。CPU81はキャップ状態でS121以降の処理を行う。
【0081】
<インク吸引処理>
CPU81は
図7および
図8に示す時点T11において、インク吸引処理を行う。インク吸引処理では、
図3に示す複数のノズル312、322、332、342、352、362のそれぞれからインクが吸引されて、インクのパージが行われる。具体的には、CPU81はバルブ制御を行う(S121)。S121の処理では、CPU81は
図4に示すソレノイド474、475、478、479、482、483を制御し、
図3に示す第一下流バルブ414、415、第二下流バルブ434、435、第三下流バルブ464、465を開く。
図3に示す洗浄液バルブ401、第一上流バルブ412、413、第二上流バルブ432、433、第三上流バルブ462、463、第一大気バルブ491、第二大気バルブ492、および第三大気バルブ493は閉じた状態を維持する。
【0082】
S121の処理によるバルブ制御が行われた状態(
図7および
図8に示す時点T11参照)で、CPU81は
図4に示すポンプモータ201~206を制御し、
図3に示す第一ポンプ214、215、第二ポンプ234、235、および第三ポンプ264、265を駆動させる(S122)。
【0083】
例えばインク内の成分が沈降し、または蒸発すると、ヘッド31~36内のインクの粘度が高くなる。S122の処理では、
図3に示すように、例えば第一ポンプ214は、ヘッド31内から粘度が高い白インクを吸引する。これにより、粘度が高い白インクがヘッド31から複数のノズル312を介してキャップ空間411に吐出される(矢印A1参照)。よって、ヘッド31内の白インクが、粘度が高くなった白インクから、比較的粘度が低い白インクに入れ替えられる。同様に、ヘッド32~36内のインクが、それぞれ、キャップ空間421、431、441、451、461に吐出される。以下では、S122の処理によってヘッド31~36から吐出されたインクを「廃インク」という。
【0084】
S122の処理では、
図7および
図8に示すように、CPU81は、第一ポンプ214、215を第一吸引期間D11の間駆動させ、第二ポンプ234、235を第二吸引期間D12の間駆動させ、第三ポンプ264、265を第三吸引期間D13の間駆動させる。第一吸引期間D11が経過すると、CPU81は第一ポンプ214、215を停止させる。第二吸引期間D12が経過すると、CPU81は第二ポンプ234、235を停止させる。第三吸引期間D13が経過すると、CPU81は第三ポンプ264、265を停止させる。
【0085】
以下では、第一吸引期間D11および第二吸引期間D12が互いに重なり、第二吸引期間D12および第三吸引期間D13が互いに重なり、または第一吸引期間D11および第三吸引期間D13が互いに重なる期間を、「重複吸引期間DS」という。仮に、第一吸引期間D11、第二吸引期間D12、および第三吸引期間D13のそれぞれが、互いに完全にずれている場合、インク吸引処理にかかる時間は、第一吸引期間D11、第二吸引期間D12、および第三吸引期間D13のそれぞれの長さの合計時間以上となる。
【0086】
本実施形態では、第一吸引期間D11、第二吸引期間D12、および第三吸引期間D13は、重複吸引期間DSを含む。つまり、第一吸引期間D11、第二吸引期間D12、および第三吸引期間D13のそれぞれには、互いに重なる部分が存在する。なお、本実施形態において、第一期間が第二期間を「含む」とは、第一期間の全部が第二期間となる場合と、第一期間の一部が第二期間となる場合とのいずれかの場合を意味する。
【0087】
本実施形態では、第一吸引期間D11、第二吸引期間D12、および第三吸引期間D13は、それぞれ、時点T11から時点T12までの間であり、互いに一致する。このため、本実施形態では、第一吸引期間D11の全部、第二吸引期間D12の全部、および第三吸引期間D13の全部が重複吸引期間DSとなる。この場合、インク吸引処理にかかる時間は、重複吸引期間DSの長さとなり、第一吸引期間D11、第二吸引期間D12、および第三吸引期間D13のそれぞれの長さの合計時間よりも短くなる。
【0088】
<インク排出処理>
図5に示すように、CPU81は
図7および
図8に示す時点T13において、インク排出処理を行う。インク排出処理では、キャップ41~46のそれぞれから廃液タンク49に廃インクが排出される。具体的には、CPU81はバルブ制御を行う(S131)。S131の処理では、CPU81は
図4に示すソレノイド472、473、476、477、480、481、484、485、486を制御し、
図3に示す第一上流バルブ412、413、第二上流バルブ432、433、第三上流バルブ462、463、第一大気バルブ491、第二大気バルブ492、および第三大気バルブ493を開く。これにより、キャップ空間411、421、431、441、451、461が大気100に接続する。洗浄液バルブ401は閉じた状態を維持する。第一下流バルブ414、415、第二下流バルブ434、435、および第三下流バルブ464、465は開いた状態を維持する。
【0089】
S131の処理によるバルブ制御が行われた状態(
図7および
図8に示す時点T13参照)で、CPU81は
図4に示すポンプモータ201~206を制御し、
図3に示す第一ポンプ214、215、第二ポンプ234、235、第三ポンプ264、265を駆動させる(S132)。S132の処理では、
図3に示すように、例えば第一ポンプ214は、廃インクを、キャップ空間411から流路114、171、181を介して廃液タンク49に排出する(矢印A2、A3参照)。この場合、キャップ空間411には大気100が流路191、111、112を介して供給される(矢印A4、A5参照)。
【0090】
同様に、廃インクが、キャップ空間421、431、441、451、461から廃液タンク49に排出される。インク排出処理が行われることで、後述のS14の洗浄液供給処理によってキャップ空間411、421、431、441、451、461が洗浄液で満たされた場合に、廃インクがノズル312、322、332、342、352、362内に侵入することが抑制される。
【0091】
S132の処理では、
図7および
図8に示すように、CPU81は、第一ポンプ214、215を第一インク排出期間D21の間駆動させ、第二ポンプ234、235を第二インク排出期間D22の間駆動させ、第三ポンプ264、265を第三インク排出期間D23の間駆動させる。第一インク排出期間D21が経過すると、CPU81は第一ポンプ214、215を停止させる。第二インク排出期間D22が経過すると、CPU81は第二ポンプ234、235を停止させる。第三インク排出期間D23が経過すると、CPU81は第三ポンプ264、265を停止させる。
【0092】
以下では、第一インク排出期間D21および第二インク排出期間D22が互いに重なり、第二インク排出期間D22および第三インク排出期間D23が互いに重なり、または第一インク排出期間D21および第三インク排出期間D23が互いに重なる期間を、「重複インク排出期間DK」という。第一インク排出期間D21、第二インク排出期間D22、および第三インク排出期間D23は、重複インク排出期間DKを含む。つまり、第一インク排出期間D21、第二インク排出期間D22、および第三インク排出期間D23のそれぞれには、互いに重なる部分が存在する。
【0093】
本実施形態では、第一インク排出期間D21、第二インク排出期間D22、および第三インク排出期間D23は、それぞれ、時点T13から時点T14までの間であり、互いに一致する。このため、本実施形態では、第一インク排出期間D21の全部、第二インク排出期間D22の全部、および第三インク排出期間D23の全部が重複インク排出期間DKとなる。この場合、インク排出処理にかかる時間は、重複インク排出期間DKの長さとなり、第一インク排出期間D21、第二インク排出期間D22、および第三インク排出期間D23のそれぞれの長さの合計時間よりも短くなる。
【0094】
<洗浄液供給処理>
図5に示すように、CPU81は洗浄液供給処理を行う(S14)。
図6に示すように、洗浄液供給処理が開始されると、CPU81は駆動回数カウンタに所定回数をセットする(S141)。駆動回数カウンタは、RAM83に記憶され、駆動回数を計数する。駆動回数は、洗浄液供給処理の終了条件を示す。所定回数は、特定の回数に限定されないが、本実施形態では「3」である。
【0095】
CPU81は
図7および
図8に示す時点T15において、第一供給処理を行う。第一供給処理は駆動回数(本実施形態では3回)分、繰り返し行われる。2回目および3回目の第一供給処理は、それぞれ、
図7および
図8に示す時点T17、T19において行われる。第一供給処理では、洗浄液タンク40からキャップ41、44のそれぞれに洗浄液が供給される。
【0096】
具体的には、CPU81はバルブ制御を行う(S142)。S142の処理では、CPU81は
図4に示すソレノイド476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486を制御し、
図3に示す第二上流バルブ432、433、第二下流バルブ434、435、第三上流バルブ462、463、第三下流バルブ464、465、第一大気バルブ491、第二大気バルブ492、および第三大気バルブ493を閉じる。CPU81は
図4に示すソレノイド471を制御し、
図3に示す洗浄液バルブ401を開く。
図3に示す第一上流バルブ412、413、第一下流バルブ414、415は開いた状態を維持する。
【0097】
S142の処理によるバルブ制御が行われた状態(
図7および
図8に示す時点T15参照)で、CPU81は
図4に示すポンプモータ201、202を制御し、
図3に示す第一ポンプ214、215を駆動させる(S143)。S143の処理では、
図3に示すように、例えば第一ポンプ214は、洗浄液を、洗浄液タンク40から流路101、111、112を介してキャップ空間411に供給する(矢印A6、A5参照)。同様に、洗浄液が、キャップ空間441に供給される。これにより、キャップ41、44の底面および側面が洗浄液によって洗浄される。
【0098】
1回目、2回目、および3回目のいずれのS143の処理でキャップ空間411、441が洗浄液で満たされてもよい。本実施形態では、3回目(所定回数目)のS143の処理でキャップ空間411、441が洗浄液で満たされる程度の量の洗浄液が1回のS143の処理によってキャップ空間411、441に供給される。キャップ空間411、441が洗浄液で満たされると、洗浄液がノズル面311、341に接触する。洗浄液がノズル面311、341に接触することで、ノズル面311、341が洗浄液によって洗浄される。例えば所定回数目のS143の処理で洗浄液がノズル面311、341に接触していなくてもよい。つまり、洗浄液がノズル面311、341に接触することなく、洗浄液供給処理が終了されてもよい。この場合、洗浄液は少なくともキャップ41、44の側面および底面を洗浄できる。
【0099】
S143の処理では、
図7に示すように、CPU81は、第一ポンプ214、215を第一供給期間D31の間駆動させる。第一供給期間D31が経過すると、CPU81は第一ポンプ214、215を停止させる。本実施形態では、1回目、2回目、および3回目のS143の処理における第一供給期間D31は、それぞれ、時点T15から時点T16までの間と、時点T17から時点T18までの間と、時点T19から時点T20までの間である。
【0100】
図6に示すように、CPU81は
図7および
図8に示す時点T16において、第二供給処理および第三供給処理を行う。第二供給処理および第三供給処理は駆動回数(本実施形態では3回)分、繰り返し行われる。第二供給処理および第三供給処理は、それぞれ、駆動回数(本実施形態では3回)分、繰り返し行われる。2回目および3回目の第二供給処理および第三供給処理は、それぞれ、
図7および
図8に示す時点T18、T20において行われる。第二供給処理では、洗浄液タンク40からキャップ43、46のそれぞれに洗浄液が供給される。第三供給処理では、洗浄液タンク40からキャップ42、45のそれぞれに洗浄液が供給される。本実施形態では、第二供給処理および第三供給処理は、並行して行われる。
【0101】
具体的には、CPU81はバルブ制御を行う(S144)。S144の処理では、CPU81は
図4に示すソレノイド476、477、478、479、480、481、482、483を制御し、
図3に示す第二上流バルブ432、433、第二下流バルブ434、435、第三上流バルブ462、463、および第三下流バルブ464、465を開く。
図3に示す洗浄液バルブ401、第一上流バルブ412、413、および第一下流バルブ414、415は開いた状態を維持する。
図3に示す第一大気バルブ491、第二大気バルブ492、および第三大気バルブ493は閉じた状態を維持する。
【0102】
S144の処理によるバルブ制御が行われた状態(
図7および
図8に示す時点T16参照)で、CPU81は
図4に示すポンプモータ203、204、205、206を制御し、
図3に示す第二ポンプ234、235、および第三ポンプ264、265を駆動させる(S145)。S145の処理では、
図3に示すように、例えば第二ポンプ234は、洗浄液を、洗浄液タンク40から流路101、121、131、132を介してキャップ空間431に供給する(矢印A7、A8、A9参照)。例えば第三ポンプ264は、洗浄液を、洗浄液タンク40から流路101、121、141、162を介してキャップ空間421に供給する(矢印A7、A10参照)。同様に、洗浄液が、キャップ空間451、461に供給される。
【0103】
本実施形態では、S143の処理と同様に、3回(所定回数)目のS145の処理によって、キャップ空間421、431、451、461が洗浄液で満たされる。2回目までのS145の処理ではキャップ空間421、431、451、461が洗浄液で満たされないので、洗浄液がノズル面321、331、351、361に接触する時間が長くなることが抑制される。このため、カラーインクの混色による不具合および特色インクの混色による不具合が抑制される。
【0104】
S145の処理では、
図7および
図8に示すように、CPU81は、第二ポンプ234、235を第二供給期間D32の間駆動させ、第三ポンプ264、265を第三供給期間D33の間駆動させる。第二供給期間D32が経過すると、CPU81は第二ポンプ234、235を停止させる。第三供給期間D33が経過すると、CPU81は第三ポンプ264、265を停止させる。
【0105】
以下では、第三供給期間D33のうち第一供給期間D31および第二供給期間D32の少なくとも一方と重なる期間を「重複供給期間DD」という。仮に、第三供給期間D33が第二供給期間D32と完全にずれている場合、第二供給処理および第三供給処理にかかる時間は、第二供給期間D32および第三供給期間D33のそれぞれの長さの合計時間以上となる。本実施形態では、第三供給期間D33は重複供給期間DDを含む。つまり、第三供給期間D33には、第一供給期間D31および第二供給期間D32の少なくとも一方と重なる部分が存在する。
【0106】
本実施形態では、1回目、2回目、および3回目のS145の処理における第二供給期間D32は、それぞれ、時点T16から時点T17までの間と、時点T18から時点T19までの間と、時点T20から時点T21までの間である。1回目、2回目、および3回目のS145の処理における第三供給期間D33は、それぞれ、時点T16から時点T17までの間と、時点T18から時点T19までの間と、時点T20から時点T21までの間である。したがって、第二供給期間D32および第三供給期間D33は、互いに一致する。このため、本実施形態では、第三供給期間D33の全部が重複供給期間DDとなる。この場合、第二供給処理および第三供給処理にかかる時間は、重複供給期間DDの長さとなり、第二供給期間D32および第三供給期間D33のそれぞれの長さの合計時間よりも短くなる。
【0107】
以下では、第一供給期間D31のうち第二供給期間D32および第三供給期間D33と重ならない期間を「第一特定供給期間DA1」という。第二供給期間D32のうち第一供給期間D31および第三供給期間D33と重ならない期間を「第二特定供給期間DA2」という。第三供給期間D33のうち第一供給期間D31および第二供給期間D32と重ならない期間を「第三特定供給期間DA3」という。
【0108】
例えば第一供給期間D31のうち第二供給期間D32と重ならず、且つ第三供給期間D33と重ならない期間は、第一特定供給期間DA1に該当する。これに限らず、例えば第一供給期間D31のうち第二供給期間D32および第三供給期間D33の一方と重なり、他方と重ならない期間は、第一特定供給期間DA1に該当する。一方で、例えば第一供給期間D31のうち第二供給期間D32および第三供給期間D33と重なる期間は、第一特定供給期間DA1に該当しない。
【0109】
仮に、第一供給期間D31、第二供給期間D32、および第三供給期間D33のそれぞれが互いに完全に一致している場合、第一ポンプ214、215、第二ポンプ234、235、および第三ポンプ264、265の全部が同時に駆動開始し、同時に駆動終了する。第一ポンプ214、215、第二ポンプ234、235、および第三ポンプ264、265の全部が同時に駆動している最中、流路101での流路抵抗が大きくなる可能性がある。流路101での流路抵抗が大きくなると、洗浄液タンク40からキャップ41への洗浄液の供給量が減少する可能性がある。
【0110】
本実施形態では、第一供給期間D31は第一特定供給期間DA1を含む。第二供給期間D32は第二特定供給期間DA2を含む。第三供給期間D33は第三特定供給期間DA3を含む。つまり、第一供給期間D31には、第二供給期間D32および第三供給期間D33の重ならない部分が存在する。第二供給期間D32には、第一供給期間D31および第三供給期間D33と重ならない部分が存在する。第三供給期間D33には、第一供給期間D31および第二供給期間D32と重ならない部分が存在する。
【0111】
本実施形態では、N回目(Nは自然数)のS145の処理における第二供給期間D32および第三供給期間D33のそれぞれの開始点は、N回目のS143の処理における第一供給期間D31(
図7参照)の開始点よりの後であり、N回目のS143の処理における第一供給期間D31(
図7参照)の終了点と一致する。N+1回目のS143の処理における第一供給期間D31(
図7参照)の開始点は、N回目のS145の処理における第二供給期間D32および第三供給期間D33のそれぞれの開始点よりも後であり、N回目のS145の処理における第二供給期間D32および第三供給期間D33のそれぞれの終了点と一致する。
【0112】
厳密には、N回目のS145の処理における第二供給期間D32および第三供給期間D33のそれぞれの開始点は、N回目のS143の処理における第一供給期間D31(
図7参照)の終了点よりもわずかに後である。N+1回目のS143の処理における第一供給期間D31(
図7参照)の開始点は、N回目のS145の処理における第二供給期間D32および第三供給期間D33のそれぞれの終了点よりもわずかに後である。つまり、
図7に示す第一供給期間D31の全部は、第二供給期間D32および第三供給期間D33と重ならず、第二供給期間D32の全部および第三供給期間D33の全部は、
図7に示す第一供給期間D31と重ならない。このため、本実施形態では、第一供給期間D31の全部が第一特定供給期間DA1となり、第二供給期間D32の全部が第二特定供給期間DA2となり、第三供給期間D33の全部が第三特定供給期間DA3となる。この場合、第一ポンプ214、215、第二ポンプ234、235、および第三ポンプ264、265の全部が同時に駆動することがないので、流路101での流路抵抗が大きくなることが抑制される。これにより、洗浄液の供給量が減少する可能性が抑制されるので、洗浄不足が抑制される。
【0113】
S145の処理では、
図7に示すように、CPU81は、第一ポンプ214、215を第一停止期間D51の間停止させる。第一停止期間D51の間、キャップ空間411、441の負圧が低下し、大気圧に近づく。例えばキャップ空間411の負圧が低下することで、白インクがノズル312を介して吸引されることが抑制される。S143の処理では、
図7および
図8に示すように、CPU81は、第二ポンプ234、235を第二停止期間D52の間停止させ、第三ポンプ264、265を第三停止期間D53の間停止させる。第二停止期間D52の間、キャップ空間431、461の負圧が低下する。第三停止期間D53の間、キャップ空間421、451の負圧が低下する。
【0114】
以下では、第一供給処理の後、第二供給処理および第三供給処理において、第一ポンプ214、215を第一停止期間D51の間停止させる処理を「第一停止処理」という。第二供給処理の後、第一供給処理において、第二ポンプ234、235を第二停止期間D52の間停止させる処理を「第二停止処理」という。S145の処理において、第三供給処理の後、第一供給処理において、第三ポンプ264、265を第三停止期間D53の間停止させる処理を「第三停止処理」という。本実施形態では、N回目の第二供給処理および第三供給処理がN回目の第一停止処理となる。N+1回目の第一供給処理がN回目の第二停止処理および第三停止処理となる。
【0115】
CPU81は、後述のS147の処理で駆動回数が0回になるまで、第一供給処理と第一停止処理とを、第一供給処理、第一停止処理の順に交互に繰り返す。CPU81は、後述のS147の処理で駆動回数が0回になるまで、第二供給処理と第二停止処理とを、第二供給処理、第二停止処理の順に交互に繰り返す。CPU81は、後述のS147の処理で駆動回数が0回になるまで、第三供給処理と第三停止処理とを、第三供給処理、第三停止処理の順に交互に繰り返す。
【0116】
第一停止期間D51のうち、第二特定供給期間DA2(本実施形態では、第二供給期間D32)、および第三特定供給期間DA3(本実施形態では、第三供給期間D33)の少なくとも一方と重なる期間を「第一重複停止期間DB1」という。第二停止期間D52のうち第一特定供給期間DA1(本実施形態では、
図7に示す第一供給期間D31)と重なる期間を「第二重複停止期間DB2」という。第三停止期間D53のうち第一特定供給期間DA1と重なる期間を「第三重複停止期間DB3」という。
【0117】
仮に、第一停止期間D51が、第二特定供給期間DA2および第三特定供給期間DA3のそれぞれと完全にずれている場合、第一停止処理、第二供給処理、および第三供給処理にかかる時間は、第一停止期間D51と、第二特定供給期間DA2または第三特定供給期間DA3とのそれぞれの長さの合計時間以上となる。
【0118】
図7および
図8に示すように、N回目の第一停止処理における第一停止期間D51は、N回目の第一供給処理における第一重複停止期間DB1を含む。つまり、N回目の第一停止処理における第一停止期間D51には、第二特定供給期間DA2および第三特定供給期間DA3と重なる部分が存在する。本実施形態では、N回目の第一停止処理における第一停止期間D51は、N回目の第二供給処理における第二供給期間D32、およびN回目の第三供給処理における第三供給期間D33のぞれぞれと一致する。このため、N回目の第一停止処理における第一停止期間D51の全部が、N回目の第一停止処理における第一重複停止期間DB1となる。この場合、第一停止処理、第二供給処理、および第三供給処理にかかる時間は、第一重複停止期間DB1の長さとなり、第一停止期間D51と、第二特定供給期間DA2または第三特定供給期間DA3とのそれぞれの長さの合計時間よりも短くなる。
【0119】
N回目の第二停止処理における第二停止期間D52は、N+1回目の第一供給処理における第二重複停止期間DB2を含む。N回目の第三停止処理における第三停止期間D53は、N+1回目の第一供給処理における第三重複停止期間DB3を含む。本実施形態では、第二停止期間D52および第三停止期間D53は、それぞれ、N+1回目の第一供給処理における第一供給期間D31と一致する。このため、N回目の第二停止処理における第二停止期間D52の全部が、N+1回目の第一供給処理における第二重複停止期間DB2となり、N回目の第三停止処理における第三停止期間D53の全部が、N+1回目の第一供給処理における第三重複停止期間DB3となる。
【0120】
以下では、第二供給期間D32および第三供給期間D33のうち
図3に示す第一上流バルブ412、413、および第一下流バルブ414、415が開いた状態の期間を「開放期間DP」という。第二供給期間D32および第三供給期間D33は、それぞれ、開放期間DPを含む。本実施形態では、CPU81は、第一インク排出期間D21の開始点(時点T13)で第一上流バルブ412、413を開き、且つ第一吸引期間D11の開始点(時点T11)で第一下流バルブ414、415を開いた後、第一供給期間D31の開始点(時点T15)から第二供給期間D32および第三供給期間D33のそれぞれの終了点(時点T21)まで、第一上流バルブ412、413、および第一下流バルブ414、415が開いた状態を維持する。このため、第二供給期間D32の全部および第三供給期間D33の全部が開放期間DPとなる。
【0121】
CPU81は駆動回数カウンタの値から「1」を減算する(S146)。CPU81は駆動回数カウンタの値が「0」であるかを判断する(S147)。駆動回数カウンタの値が「0」でない場合(S147:NO)、CPU81は処理をS142の処理に戻す。この場合、CPU81は、駆動回数カウンタの値が「0」になるまでS142~S146の処理を繰り返す。駆動回数カウンタの値が「0」になった場合(S147:YES)、CPU81は処理を
図5に示すメイン処理に戻す。
【0122】
<廃液排出処理>
図5に示すように、CPU81は廃液排出処理を行う。廃液排出処理では、キャップ41~46のそれぞれから廃液タンク49に廃液が排出される。具体的には、CPU81は
図7および
図8に示す時点T22において、バルブ制御を行う(S151)。S151の処理では、CPU81は
図4に示すソレノイド471を制御し、
図3に示す洗浄液バルブ401を閉じる。CPU81は
図4に示すソレノイド484、485、486を制御し、
図3に示す第一大気バルブ491、第二大気バルブ492、および第三大気バルブ493を開く。第一上流バルブ412、413、第一下流バルブ414、415、第二上流バルブ432、433、第二下流バルブ434、435、第三上流バルブ462、463、および第三下流バルブ464、465は開いた状態を維持する。
【0123】
S151の処理によるバルブ制御が行われた状態(
図7および
図8に示す時点T22参照)で、CPU81は
図4に示すポンプモータ201~206を制御し、
図3に示す第一ポンプ214、215、第二ポンプ234、235、および第三ポンプ264、265を駆動させる(S152)。S152の処理では、
図3に示すように、例えば第一ポンプ214は、廃液を、キャップ空間411から流路114、171、181を介して廃液タンク49に排出する(矢印A2、A3参照)。この場合、キャップ空間411には大気100が流路191、111、112を介して供給される(矢印A4、A5参照)。
【0124】
例えば第二ポンプ234は、廃液を、キャップ空間431から流路134、172、173、174、181を介して廃液タンク49に排出する(矢印A11、A3参照)。この場合、キャップ空間431には大気100が流路192、132を介して供給される(矢印A12、A9参照)。同様に、廃液が、キャップ空間421、431、441、451、461から廃液タンク49に排出される。廃液排出処理が行われることで、後述のS21の処理によってアンキャッピング動作が行われた場合に、廃液がキャップ41~46から零れることが抑制される。
【0125】
S152の処理では、
図7および
図8に示すように、CPU81は、第一ポンプ214、215を第一廃液排出期間D41の間駆動させ、第二ポンプ234、235を第二廃液排出期間D42の間駆動させ、第三ポンプ264、265を第三廃液排出期間D43の間駆動させる。第一廃液排出期間D41が経過すると、CPU81は第一ポンプ214、215を停止させる。第二廃液排出期間D42が経過すると、CPU81は第二ポンプ234、235を停止させる。第三廃液排出期間D43が経過すると、CPU81は第三ポンプ264、265を停止させる。
【0126】
以下では、第一廃液排出期間D41および第二廃液排出期間D42が互いに重なり、第二廃液排出期間D42および第三廃液排出期間D43が互いに重なり、または第一廃液排出期間D41および第三廃液排出期間D43が互いに重なる期間を、「重複廃液排出期間DW」という。第一廃液排出期間D41、第二廃液排出期間D42、および第三廃液排出期間D43は、重複廃液排出期間DWを含む。つまり、第一廃液排出期間D41、第二廃液排出期間D42、および第三廃液排出期間D43のそれぞれには、互いに重なる部分が存在する。
【0127】
本実施形態では、第一廃液排出期間D41、第二廃液排出期間D42、および第三廃液排出期間D43は、それぞれ、時点T22から時点T23までの間であり、互いに一致する。このため、本実施形態では、第一廃液排出期間D41の全部、第二廃液排出期間D42の全部、および第三廃液排出期間D43の全部が重複廃液排出期間DWとなる。この場合、廃液排出処理にかかる時間は、重複廃液排出期間DWの長さとなり、第一廃液排出期間D41、第二廃液排出期間D42、および第三廃液排出期間D43のそれぞれの長さの合計時間よりも短くなる。
【0128】
本実施形態では、第一廃液排出期間D41、第二廃液排出期間D42、および第三廃液排出期間D43のそれぞれの開始点は、時点T15で一致する。さらに、第二供給期間D32および第三供給期間D33のそれぞれの開始点(時点T16)は、第一供給期間D31の開始点(時点T22)よりも後である。このため、第二供給期間D32および第三供給期間D33のそれぞれの開始点(時点T16)から第二廃液排出期間D42および第三廃液排出期間D43のそれぞれの開始点(時点T22)までの長さは、第一供給期間D31の開始点(時点T15)から第一廃液排出期間D41の開始点(時点T22)までの長さよりも短い。
【0129】
CPU81は、時点T23において、例えば全部のバルブを閉じる。CPU81は、時点T23において、全部のバルブの状態を維持してもよいし、一部のバルブを閉じてもよいし、一部または全部のバルブを開いてもよい。
【0130】
図5に示すように、CPU81はアンキャッピング動作を行う(S21)。S21の処理では、CPU81は、
図4に示すキャップモータ48を制御し、
図1に示す支持板47を下降させる。これにより、複数のキャップ41~46はアンキャップ状態となる(
図2参照)。
【0131】
CPU81は複数のヘッド31~33に対してワイピング動作を行う(S22)。S22の処理の開始時、複数のヘッド31~33は、それぞれ、複数のワイパ51~53よりも左方に位置する。S22の処理では、CPU81は
図4に示すワイパモータ76を制御し、
図2に示すワイパ51~53を突出位置に移動させる。この状態で、CPU81は
図4に示す主走査モータ99を制御し、
図2に示すキャリッジ6を、右方に移動させる。これにより、
図3に示すノズル面311、321、331がそれぞれ
図2に示すワイパ51~53の位置を左方から右方に通過する場合、
図2に示すワイパ51~53は、それぞれ、
図3に示すノズル面311、321、331から廃液を拭き取る。
【0132】
CPU81は複数のヘッド31~33によるフラッシング動作を行う(S23)。S23の処理の開始時、複数のヘッド31~33は、それぞれ、複数のフラッシングボックス61~63よりも左方に位置する。S23の処理では、CPU81は、S22の処理に引き続いて、
図4に示す主走査モータ99を制御し、
図2に示すキャリッジ6を、さらに右方に移動させる。
図3に示すノズル面311、321、331がそれぞれ
図2に示すフラッシングボックス61~63の上方を左方から右方に通過するタイミングで、CPU81は
図4に示すヘッドドライバ30を制御し、
図2に示す複数のヘッド31~33からインクを吐出する。
【0133】
CPU81は複数のヘッド34~36に対してワイピング動作を行う(S24)。S24の処理の開始時、複数のヘッド34~36は、それぞれ、複数のワイパ54~56よりも左方に位置する。S24の処理では、CPU81はS23の処理に引き続いて、
図4に示すワイパモータ77を制御し、
図2に示すワイパ54~56を突出位置に移動させる。この状態で、CPU81は
図4に示す主走査モータ99を制御し、
図2に示すキャリッジ6を、さらに右方に移動させる。これにより、
図3に示すノズル面341、351、361がそれぞれ
図2に示すワイパ54~55の位置を左方から右方に通過する場合、
図2に示すワイパ54~56は、それぞれ、
図3に示すノズル面341、351、361から廃液を拭き取る。
【0134】
CPU81は複数のヘッド34~36によるフラッシング動作を行う(S25)。S25の処理の開始時、複数のヘッド34~36は、それぞれ、複数のフラッシングボックス61~63よりも左方に位置する。S25の処理では、CPU81は、S24の処理に引き続いて、
図4に示す主走査モータ99を制御し、
図2に示すキャリッジ6を、さらに右方に移動させる。
図3に示すノズル面341、351、361がそれぞれ
図2に示すフラッシングボックス61~63の上方を左方から右方に通過するタイミングで、CPU81は
図4に示すヘッドドライバ30を制御し、
図2に示す複数のヘッド34~35からインクを吐出する。
【0135】
CPU81はS11の処理と同様にキャッピング動作を行う(S26)。これにより、複数のキャップ41~46はキャップ状態となる。CPU81はメイン処理を終了する。その後、例えば印刷指示があった場合には、CPU81は、アンキャッピング動作を行った後、印刷動作を制御する。
【0136】
上記実施形態の主な作用効果を説明する。以下では、主に、洗浄液タンク40と廃液タンク49とのキャップ41を介した流路と、洗浄液タンク40と廃液タンク49とのキャップ43を介した流路とに関する作用効果を、例として説明する。プリンタ1はキャップ42、44、45、または46を介した流路に関しても、同様の作用効果を奏する。
【0137】
仮に、第二ポンプ234が駆動された状態で第一ポンプ214が駆動されると、流路101での流路抵抗が大きくなる。流路101での流路抵抗が大きくなると、洗浄液タンク40からキャップ41への洗浄液の供給量が減少する可能性がある。上記実施形態では、第一供給期間D31が第一特定供給期間DA1を含む。この場合、第一供給処理では、第一特定供給期間DA1の間、第二ポンプ234が停止された状態で第一ポンプ214が駆動される。このため、第一特定供給期間DA1の間、第二ポンプ234が駆動された状態で第一ポンプ214が駆動される場合に比べて、洗浄液タンク40からキャップ41への洗浄液の供給量が増加する。よって、プリンタ1は、ノズル面311またはキャップ41の洗浄不足を抑制することに貢献する。
【0138】
さらに、洗浄液タンク40からキャップ41への洗浄液の供給量が減少した場合、例えば洗浄液の供給量が減少した分を補うために、第一ポンプ214の駆動時間を長くしたり、第一ポンプ214の吸引力を強くしたりすることが考えられる。この場合、第一供給処理にかかる時間が長くなったり、洗浄液を供給する場合に意図せずヘッド31から白インクが吸引されたりする可能性がある。このため、第一供給処理にかかる時間が長くなり、または第一供給処理によって消費される白インクの量が多くなる可能性がある。上記実施形態では、洗浄液タンク40からキャップ41への洗浄液の供給量の減少が抑制されるので、第一ポンプ214の駆動時間を長くしたり、第一ポンプ214の吸引力を強くしたりする必要がない。よって、プリンタ1は、第一供給処理にかかる時間が長くなり、または第一供給処理によって消費される白インクの量が多くなる可能性を抑制することに貢献する。
【0139】
第二供給期間D32の開始点(時点T16)は、第一供給期間D31の開始点(時点T15)よりも後である。この場合、第一特定供給期間DA1が、第一供給期間D31の開始点(時点T15)から始まる。このため、第一供給処理では、第二ポンプ234が停止された状態で第一ポンプ214の駆動が開始される。このため、第二ポンプ234が駆動された状態で、または第二ポンプ234の駆動開始と同時に第一ポンプ214の駆動が開始される場合に比べて、第一供給期間D31の開始点(時点T15)から第二供給期間D32の開始点(時点T16)までの間に、洗浄液タンク40からキャップ41への洗浄液の供給量が増加する。よって、プリンタ1は、ノズル面311の洗浄不足をさらに抑制することに貢献する。
【0140】
仮に、第一吸引期間D11および第二吸引期間D12が互いに完全にずれていると、インク吸引処理にかかる時間が長くなる可能性がある。上記実施形態では、第一吸引期間D11および第二吸引期間D12は、重複吸引期間DSを含む。このため、プリンタ1は、第一吸引期間D11および第二吸引期間D12が互いに完全にずれている場合に比べて、インク吸引処理にかかる時間を短くすることに貢献する。
【0141】
さらに、仮に洗浄液供給処理の後にインク吸引処理が行われる場合、インク吸引処理によってインクとともにキャップ空間411の洗浄液も吸引され、インク吸引処理後に、キャップ空間411が洗浄液で満たされていない状態となる可能性がある。上記実施形態では、洗浄液供給処理の前にインク吸引処理が行われる。よって、プリンタ1はインク吸引処理によってノズル面311の洗浄が不足することを抑制することに貢献する。
【0142】
仮に、第三供給期間D33が第一供給期間D31および第二供給期間D32と完全にずれていると、洗浄液供給処理にかかる時間が長くなる可能性がある。上記実施形態では、第三供給期間D33は重複供給期間DDを含む。このため、プリンタ1は、第三供給期間D33が第一供給期間D31および第二供給期間D32と完全にずれている場合に比べて、洗浄液供給処理にかかる時間を短くすることに貢献する。
【0143】
仮に、第一廃液排出期間D41および第二廃液排出期間D42が互いに完全にずれていると、廃液排出処理にかかる時間が長くなる可能性がある。上記実施形態では、第一廃液排出期間D41および第二廃液排出期間D42は、重複廃液排出期間DWを含む。このため、プリンタ1は、第一廃液排出期間D41および第二廃液排出期間D42が互いに完全にずれている場合に比べて、廃液排出処理にかかる時間を短くすることに貢献する。
【0144】
キャップ43内において、洗浄液供給処理によって洗浄液がノズル面331に接触する時間が長いと、一つの色のカラーインクを吐出するためのノズル332に他の色のカラーインクが入り込み、カラーインクの混色の不具合が生じる可能性が高くなる。一方で、キャップ41内において、洗浄液供給処理によって洗浄液がノズル面311に接触する時間が長くても、白インクを吐出するためのノズル312しかノズル面311に設けられていないので、白インクの混色の不具合が生じる可能性が低い。上記実施形態では、第二供給期間D32の開始点(時点T16)から第二廃液排出期間D42の開始点(時点T22)までの長さは、第一供給期間D31の開始点(時点T25)から第一廃液排出期間D41の開始点(時点T22)までの長さよりも短い。このため、キャップ43内において洗浄液がノズル面331に接触する時間が、キャップ41内において洗浄液がノズル面311に接触する時間よりも短くなる。よって、プリンタ1はカラーインクの混色による不具合を抑制することに貢献する。
【0145】
CPU81は、第一供給処理と第一停止処理とを交互に繰り返す。CPU81は、第二供給処理と第二停止処理とを交互に繰り返す。このため、第一供給処理によってキャップ41内に発生した負圧が、第一停止処理によって低下する。よって、プリンタ1は、第一供給処理において、ノズル312から白インクが吸引されることを抑制することに貢献する。第二供給処理によってキャップ43内に発生した負圧が、第二停止処理によって低下する。よって、プリンタ1は、第二供給処理において、ノズル322からカラーインクが吸引されることを抑制することに貢献する。
【0146】
仮に、所定回数の第一供給処理の終了後に所定回数の第二供給処理が行われると、最初の第一供給処理の開始から最後の第二供給処理の終了までにかかる時間が長くなる可能性がある。上記実施形態では、N回目の第一停止処理における第一停止期間D51は、N回目の第二供給処理における第一重複停止期間DB1を含み、N回目の第二停止処理における第二停止期間D52は、N+1回目の第一供給処理における第二重複停止期間DB2を含む。このため、プリンタ1は、最初の第一供給処理の開始から最後の第二供給処理の終了までにかかる時間を短くすることに貢献する。さらに、1回の第二供給処理によってキャップ空間431が洗浄液で満たされる場合に比べて、キャップ43内において洗浄液がノズル面331に接触する時間が長くなることが抑制される。よって、プリンタ1はカラーインクの混色による不具合を抑制することに貢献する。
【0147】
仮に、第二供給期間D32に第一上流バルブ412または第一下流バルブ414が開いた状態から閉じた状態に切り替えられると、第一上流バルブ412または第一下流バルブ414が開いた状態から閉じた状態に切り替えられることによる衝撃によってノズル312内の白インクがヘッド31内に後退する可能性がある。上記実施形態では、第二供給期間D32は開放期間DPを含む。このため、開放期間DPでは、第一上流バルブ412または第一下流バルブ414が開いた状態から閉じた状態に切り替えられることによる衝撃によってノズル312内の白インクがヘッド31内に後退することが抑制される。よって、プリンタ1はノズル312における白インクの不吐出を抑制することに貢献する。
【0148】
上記実施形態において、白インクが本発明の「第一インク」に相当する。ノズル312が本発明の「第一ノズル」に相当する。ノズル面311が本発明の「第一ノズル面」に相当する。カラーインクが本発明の「第二インク」に相当する。ノズル332が本発明の「第二ノズル」に相当する。ノズル面331が本発明の「第二ノズル面」に相当する。キャップ41が本発明の「第一キャップ」に相当する。キャップ43が本発明の「第二キャップ」に相当する。洗浄液タンク40が本発明の「洗浄液タンク」に相当する。流路101、121が本発明の「接続流路」に相当する。流路111、112が本発明の「第一分岐流路」に相当する。流路131、132が本発明の「第二分岐流路」に相当する。流路114が本発明の「第一流路」に相当する。第一ポンプ214が本発明の「第一ポンプ」に相当する。流路134が本発明の「第二流路」に相当する。第二ポンプ234が本発明の「第二ポンプ」に相当する。CPU81が本発明の「制御部」および「コンピュータ」に相当する。第一供給期間D31が本発明の「第一供給期間」に相当する。S143の処理が本発明の「第一供給処理」に相当する。第二供給期間D32が本発明の「第二供給期間」に相当する。S145の処理が本発明の「第二供給処理」に相当する。第一特定供給期間DA1が本発明の「第一特定供給期間」に相当する。
【0149】
時点T16が本発明の「第二供給開始点」に相当する。時点T15が本発明の「第一供給開始点」に相当する。第一上流バルブ412が本発明の「第一バルブ」に相当する。第二上流バルブ432が本発明の「第二バルブ」に相当する。第一吸引期間D11が本発明の「第一吸引期間」に相当する。S122の処理が本発明の「第一吸引処理」に相当する。第二吸引期間D12が本発明の「第二吸引期間」に相当する。S122の処理が本発明の「第二吸引処理」に相当する。重複吸引期間DSが本発明の「重複吸引期間」に相当する。
【0150】
特色インクが本発明の「第三インク」に相当する。ノズル322が本発明の「第三ノズル」に相当する。ノズル面321が本発明の「第三ノズル面」に相当する。キャップ42が本発明の「第三キャップ」に相当する。流路164が本発明の「第三流路」に相当する。第三ポンプ264が本発明の「第三ポンプ」に相当する。流路141、162が本発明の「第三分岐流路」に相当する。第三供給期間D33が本発明の「第三供給期間」に相当する。S145の処理が本発明の「第三供給処理」に相当する。重複供給期間DDが本発明の「重複供給期間」に相当する。流路114が本発明の「第一排液流路」に相当する。流路134が本発明の「第二排液流路」に相当する。第一廃液排出期間D41が本発明の「第一排出期間」に相当する。S152の処理が本発明の「第一排出処理」に相当する。
第二廃液排出期間D42が本発明の「第二排出期間」に相当する。S152の処理が本発明の「第二排出処理」に相当する。重複廃液排出期間DWが本発明の「重複排出期間」に相当する。
【0151】
時点T22が本発明の「第一排出開始点」および「第二排出開始点」のそれぞれに相当する。第一停止期間D51が本発明の「第一停止期間」に相当する。S145の処理が本発明の「第一停止処理」に相当する。第二停止期間D52が本発明の「第二停止期間」に相当する。S143の処理が本発明の「第二停止処理」に相当する。第二特定供給期間DA2が本発明の「第二特定供給期間」に相当する。第一重複停止期間DB1が本発明の「第一重複停止期間」に相当する。第二重複停止期間DB2が本発明の「第二重複停止期間」に相当する。時点T17が本発明の「第二供給終了点」に相当する。時点T16が本発明の「第一供給終了点」に相当する。開放期間DPが本発明の「開放期間」に相当する。
【0152】
本発明は、上記実施形態から種々変更されてもよい。例えば、洗浄液、白インク、カラーインク、および特色インクのそれぞれの粘度の大小関係は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、プリンタ1はシリアルヘッド方式で印刷動作を行う。これに対し、プリンタ1はラインヘッド方式で印刷動作を行ってもよい。
【0153】
プリンタ1は、ノズル面311、321、331、341、351、361のうち少なくとも2つを備えるとよい。このため、プリンタ1は、複数のヘッド31~36に加えて他のヘッドをさらに備えてもよい。プリンタ1は、複数のヘッド31~36の一部を省略してもよい。例えば、プリンタ1は、複数のヘッド34~36を省略してもよいし、複数のヘッド32、35を省略してもよい。プリンタ1は単一のヘッドを備えてもよい。この場合、ノズル面311、321、331、341、351、361の少なくとも2つ、例えばノズル面311とノズル面321とノズル面331とが単一のヘッドの下面に設けられてもよい。
【0154】
複数のヘッド31~36は、いずれも同色のインク(例えば白インク)を吐出してもよい。複数のヘッド31~36は、前処理剤、後処理剤、抜染剤等を吐出してもよい。ノズル312、322、332、342、352、362のそれぞれの個数は、1つでもよい。
【0155】
プリンタ1は、キャップ41~46のうち少なくとも2つを備えるとよい。例えば、プリンタ1は、複数のヘッド34~36を省略する場合、キャップ44~46を省略してもよい。プリンタ1は、洗浄液タンク40と廃液タンク49との間の流路を、キャップ41~46の個数に応じて適宜してもよい。例えば、プリンタ1は、キャップ44を省略する場合、流路113、115を省略するとよい。
【0156】
プリンタ1は上記実施形態と異なる方法でキャップ41~46をキャップ状態とアンキャップ状態とに切り替えてもよい。例えば、プリンタ1はヘッド31~36を昇降させて、キャップ41~46をキャップ状態とアンキャップ状態とに切り替えてもよい。
【0157】
洗浄液タンク40と廃液タンク49との間のキャップ41を介した流路における変形例を説明する。なお、洗浄液タンク40と廃液タンク49との間のキャップ42~46を介した流路についても、同様に変更されてもよい。
【0158】
例えば、流路181は、廃液タンク49に接続されなくてもよい。プリンタ1は流路114、171、181を省略してもよい。第一下流バルブ414および第一ポンプ214は、点P14から点P17に向かって第一ポンプ214、第一下流バルブ414の順に並んでもよい。第一ポンプ214は、流路112、流路111または流路171に設けられてもよい。例えば第一ポンプ214が流路112に設けられる場合、第一ポンプ214および第一上流バルブ412は、点P12から点P13に向かって第一ポンプ214、第一上流バルブ412の順に並んでもよいし、第一上流バルブ412、第一ポンプ214の順に並んでもよい。例えば第一ポンプ214が流路111または流路171に設けられる場合、プリンタ1は第一ポンプ215を省略してもよい。
【0159】
プリンタ1は第一上流バルブ412および第一下流バルブ414の一方または両方を省略してもよい。第一下流バルブ414は流路171に設けられてもよい。第一上流バルブ412は流路111に設けられてもよい。
【0160】
プリンタ1は流路191、192、193の一部を省略してもよい。例えば、プリンタ1が流路192、193を省略する場合、流路191は流路101において、洗浄液バルブ401と点P11との間に接続するのが好ましい。プリンタ1は流路191、192、193の全部を省略してもよい。この場合、例えば廃液排出処理において、CPU81は、S151の処理において、第一ポンプ214、215、第二ポンプ234、235、および第三ポンプ264、265を駆動する前に、アンキャッピング動作を行うとよい。これにより、アンキャップ状態となるので、例えばキャップ空間411に大気100が供給される状態となる。プリンタ1は流路191、192、193の全部を省略する場合、プリンタ1は洗浄液バルブ401を省略してもよい。
【0161】
洗浄液供給処理において、第一供給期間D31の全部、第二供給期間D32の全部、および第三供給期間D33の全部が互いに一致していなければよい。したがって、例えば第一供給期間D31と第二供給期間D32との関係は、上記実施形態から変更されてもよい。
図9~
図12は、それぞれ、時点T15から時点T16までの第一供給期間D31と第二供給期間D32との関係の変形例を示す。
図9~
図12において、第二上流バルブ432、433、および第二下流バルブ434、435のそれぞれの開閉のタイミングと第二ポンプ234、235の駆動および停止のタイミングの関係は上記実施形態と同じである。なお、第一供給期間D31と第三供給期間D33との関係も、第一供給期間D31と第二供給期間D32との関係と同様に変更されてもよい。
【0162】
図9に示すように、第二供給期間D32の開始点は、第一供給期間D31の開始点と時点T15で一致してもよい。第二供給期間D32の長さは、第一供給期間D31の長さよりも短くてもよい。例えば、第二供給期間D32の終了点は時点T51であり、第一供給期間D31の終了点(時点T16)よりも前となる。この場合、第一特定供給期間DA1は、時点T51から時点T16までの間となる。第二特定供給期間DA2は存在しない。
【0163】
図10に示すように、第二供給期間D32の開始点は時点T61であり、第一供給期間D31の開始点(時点T15)よりも前であってもよい。第二供給期間D32の終了点は時点T62であり、第一供給期間D31の終了点(時点T16)よりも前であってもよい。この場合、第一特定供給期間DA1は、時点T62から時点T16までの間となる。第二特定供給期間DA2は、時点T61から時点T15までの間となる。
【0164】
図11に示すように、第二供給期間D32の開始点は時点T71であり、第一供給期間D31の開始点(時点T15)よりも後であってもよい。第二供給期間D32の終了点は時点T72であり、第一供給期間D31の終了点(時点T16)よりも前であってもよい。この場合、第一特定供給期間DA1は、時点T15から時点T71までの間、および時点T72から時点16までの間となる。第二特定供給期間DA2は存在しない。
【0165】
図12に示すように、第二供給期間D32の開始点は時点T81であり、第一供給期間D31の開始点(時点T15)よりも後であってもよい。第二供給期間D32の終了点は時点T82であり、第一供給期間D31の終了点(時点T16)よりも後であってもよい。この場合、第一特定供給期間DA1は、時点T15から時点T81までの間となる。第二特定供給期間DA2は、時点T16から時点T82までの間となる。
【0166】
図13に示すように、第二供給期間D32の開始点は時点T91であり、第一供給期間D31の開始点(時点T15)よりも後であってもよい。第二供給期間D32の終了点は、第一供給期間D31の終了点と時点T16で一致してもよい。この場合、第一特定供給期間DA1は、時点T15から時点T91までの間となる。第二特定供給期間DA2は存在しない。
【0167】
第二供給期間D32と第三供給期間D33との関係は、上記実施形態から変更されてもよい。第二供給期間D32と第三供給期間D33は、互いに一致しなくてもよい。例えば、第三供給期間D33の一部が第二供給期間D32と重なり、重複供給期間DDとなってもよい。第三供給期間D33の全部が第二供給期間D32と重ならなくてもよい。この場合、CPU81は、洗浄液供給処理において、第一供給処理の終了後に引き続いて第二供給処理を行うのと同様に、第二供給処理の終了後に引き続いて第三供給処理を行ってもよい。
【0168】
上記実施形態では、例えばS143の処理において、CPU81は第一ポンプ214および第一ポンプ215を、それぞれ、第一供給期間D31の間、つまり同時に、同じ時間の間駆動させる。これに対し、CPU81は第一ポンプ214および第一ポンプ215を互いに異なるタイミングで駆動させてもよいし、異なる時間の間駆動させてもよい。第二ポンプ234、235、第三ポンプ264、265の制御についても、CPU81は同様に変更してもよい。例えば、CPU81は、洗浄液供給処理において、第一ポンプ214、第一ポンプ215、第二ポンプ234、第二ポンプ235、第三ポンプ264、および第三ポンプ265の6つのポンプをそれぞれの駆動期間が互いに重ならないように、順に駆動させてもよい。この場合、プリンタ1は、ノズル面311、321、331、341、351、361の全部について、洗浄不足を抑制することに貢献する。
【0169】
CPU81は洗浄液供給処理において、第一供給処理および第一停止処理を交互に所定回数(3回)繰り返す。これに対し、CPU81は洗浄液供給処理において、第一供給処理を1回だけ行ってもよい。この場合、1回の第一供給処理によって、キャップ空間411、441が洗浄液で満たされるとよい。同様に、CPU81は洗浄液供給処理において、第二供給処理および第三供給処理を1回だけ行ってもよい。
【0170】
上記実施形態では、CPU81は、N回目の第一供給処理の終了後にN回目の第二供給処理および第三供給処理を行い、第一供給処理および第二供給処理を繰り返し行う。これに対して、例えば繰り返し行われたN回の第一供給処理の終了後に、N回の第二供給処理および第三供給処理を繰り返し行ってもよい。
【0171】
第二供給期間D32の終了点は第一供給期間D31の終了点と一致していてもよいし、第一供給期間D31の終了点よりも前であってもよい。第二供給期間D32の一部が開放期間DPとなっていてもよいし、第二供給期間D32は開放期間DPを含まなくてもよい。この場合、例えば、CPU81は、S144の処理(時点T16)において、第一上流バルブ412、413の一方または両方を閉じてもよい。例えば、CPU81は、S144の処理(時点T16)において、第一下流バルブ414、415の一方または両方を閉じてもよい。例えば第一上流バルブ412および第一下流バルブ414が閉じられる場合、S145の処理で第二ポンプ234、235、または第三ポンプ264,265が駆動することによってキャップ空間411の圧力が変化することが抑制される。
【0172】
第二供給期間D32の一部が、第二特定供給期間DA2となってもよい。つまり、第二供給期間D32は、第一供給期間D31および第三供給期間D33の両方と重なる期間を含んでもよい。第二供給期間D32は第二特定供給期間DA2を含まなくてもよい。N回目の第一停止処理における第一停止期間D51は、N回目の第二供給処理における第一重複停止期間DB1を含まなくてもよい。N回目の第一停止処理における第一停止期間D51の一部が、N回目の第二供給処理における第一重複停止期間DB1となってもよい。N回目の第二停止処理における第二停止期間D52は、N+1回目の第一供給処理における第二重複停止期間DB2を含まなくてもよい。N回目の第二停止処理における第二停止期間D52の一部が、N+1回目の第一供給処理における第二重複停止期間DB2となってもよい。第三供給期間D33および第三停止期間D53は、それぞれ、第二供給期間D32および第二停止期間D52と同様に変更されてもよい。
【0173】
インク吸引処理において、第一吸引期間D11の一部、第二吸引期間D12の一部、および第三吸引期間D13の一部が、重複吸引期間DSとなってもよい。例えば第一吸引期間D11、第二吸引期間D12、および第三吸引期間D13のそれぞれの開始点は、互いにずれていてもよい。第一吸引期間D11、第二吸引期間D12、および第三吸引期間D13のそれぞれの終了点は、互いにずれていてもよい。例えば、第一吸引期間D11の一部が第二吸引期間D12と重なっていてもよい。例えば、第一吸引期間D11の全部が第二吸引期間D12の全部と重ならず、第二吸引期間D12の全部が第三吸引期間D13の全部が重ならず、且つ第三吸引期間D13の全部が第一吸引期間D11の全部と重ならなくてもよい。
【0174】
廃液排出処理において、第一廃液排出期間D41の一部、第二廃液排出期間D42の一部、および第三廃液排出期間D43の一部が、重複廃液排出期間DWとなってもよい。例えば第一廃液排出期間D41、第二廃液排出期間D42、および第三廃液排出期間D43のそれぞれの開始点は、互いにずれていてもよい。第一廃液排出期間D41、第二廃液排出期間D42、および第三廃液排出期間D43のそれぞれの終了点は、互いにずれていてもよい。例えば、第一廃液排出期間D41の一部が第二廃液排出期間D42と重なっていてもよい。例えば、第一廃液排出期間D41の全部が第二廃液排出期間D42の全部と重ならず、第二廃液排出期間D42の全部が第三廃液排出期間D43の全部が重ならず、且つ第三廃液排出期間D43の全部が第一廃液排出期間D41の全部と重ならなくてもよい。
【0175】
インク排出処理において、第一インク排出期間D21の一部、第二インク排出期間D22の一部、および第三インク排出期間D23の一部が、重複インク排出期間DKとなってもよい。例えば第一インク排出期間D21、第二インク排出期間D22、および第三インク排出期間D23のそれぞれの開始点は、互いにずれていてもよい。第一インク排出期間D21、第二インク排出期間D22、および第三インク排出期間D23のそれぞれの終了点は、互いにずれていてもよい。例えば、第一インク排出期間D21の一部が第二インク排出期間D22と重なっていてもよい。例えば、第一インク排出期間D21の全部が第二インク排出期間D22の全部と重ならず、第二インク排出期間D22の全部が第三インク排出期間D23の全部が重ならず、且つ第三インク排出期間D23の全部が第一インク排出期間D21の全部と重ならなくてもよい。
【0176】
第二供給期間D32の開始点(時点T16)から第二廃液排出期間D42の開始点(時点T22)までの長さは、第一供給期間D31の開始点(時点T15)から第一廃液排出期間D41の開始点(時点T22)までの長さと同じでもよいし、第一供給期間D31の開始点(時点T15)から第一廃液排出期間D41の開始点(時点T22)までの長さよりも長くてもよい。
【0177】
上記実施形態において、CPU81はメイン処理における各処理の処理順序を適宜変更し、または適宜省略してもよい。例えば、CPU81はインク排出処理を省略し、洗浄液供給処理と廃液排出処理の間にインク吸引処理を行ってもよい。CPU81はインク吸引処理およびインク排出処理を廃液排出処理(S41)とアンキャッピング動作(S21)との間に行ってもよい。CPU81は、アンキャッピング動作(S21)以降の処理を省略してもよい。例えば、CPU81は、S21の処理でアンキャッピング動作を行った後、印刷動作を制御してもよい。
【0178】
CPU81は、例えばS142の処理(時点T15)で、第二上流バルブ432、433、第二下流バルブ434、435、第三上流バルブ462、463、および第三下流バルブ464、465を閉じなくてもよい。この場合、CPU81はS144の処理を省略してもよい。
【0179】
CPU81の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。メイン処理は、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。ROM82、フラッシュメモリ84等の非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。制御プログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、ROM82またはフラッシュメモリ84に記憶されてもよい。この場合、制御プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【符号の説明】
【0180】
1 プリンタ
81 CPU
82 ROM
83 RAM
84 フラッシュメモリ
101、111、112、113、114、115、121、131、132、133、134、135、141、162、163、164、165、171、172、173、174、181、191、192、193 流路
214、215 第一ポンプ
234、235 第二ポンプ
264、265 第三ポンプ
311、321、331、341、351、361 ノズル面
312、322、332、342、352、362 ノズル
41、42、43、44、45、46 キャップ
412、413 第一上流バルブ
432、433 第二上流バルブ
462、463 第三上流バルブ