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  • 特開-駆動力発生装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103109
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】駆動力発生装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
H02K41/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007269
(22)【出願日】2023-01-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 資料名 エネルギー変換電極を使った電磁波デバイスの提案 公開者 大内 和幸 公開された発明の内容 発明者「大内 和幸」が、発明した「駆動力発生装置」の発明について公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 資料名 平行平板電極間の波動共振特性 公開者 大内 和幸 公開された発明の内容 発明者「大内 和幸」が、発明した「駆動力発生装置」の発明の概要について公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】500541265
【氏名又は名称】大内 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】大内 和幸
【テーマコード(参考)】
5H641
【Fターム(参考)】
5H641BB05
5H641GG02
5H641GG03
5H641GG23
5H641HH02
5H641HH03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構成及び制御によって任意の大きさの駆動力を発生させることができる駆動力発生装置を提供すること。
【解決手段】可動側物体30と固定側物体31とを近接して配置し、可動側及び固定側の物体中には少なくとも2枚の電極11を間隔をあけて設置する。隣接する電極の間には変位電流を相互に逆特性となるように流すとともに、変位電流の周波数をλとしたとき隣接する電極の間隔をλ/2×n(nは奇数である)に設定する。可動側物体及び固定側物体の隣接する電極間には変位電流によって磁界が発生され、可動側物体と固定側物体との間には磁界による吸引力及び/又は反発力が発生され、吸引力及び/又は反発力によって可動側物体が固定側物体に対して直線移動される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に移動、昇降、振動、運搬、回転の挙動をさせ、対象物を吸着しあるいは浮上させて移動、昇降、振動、運搬、回転の挙動をさせる駆動力を発生する駆動力発生装置において、
可動側物体(30)と固定側物体(31)とが近接して配置され、上記可動側物体(30)及び固定側物体(31)中には各々少なくとも2枚の電極(11)が間隔をあけて対向配置されており、
上記少なくとも2枚のうちの隣接する電極(11)の間には変位電流が相互に逆特性となるように流されるとともに、上記少なくとも2枚の電極(11)に流される変位電流の周波数をλとしたとき上記隣接する電極(11)の間隔がλ/2×n(nは奇数である)に設定され、
上記可動側物体(30)及び固定側物体(31)の隣接する電極(11)間には変位電流によって磁界が発生され、上記可動側物体(30)と固定側物体(31)との間には磁界による吸引力及び/又は反発力が発生され、該吸引力及び/又は反発力によって上記固定側物体(31)に対して上記可動側物体(30)に直線的な動き又は回転をさせる駆動力を発生するようになっていることを特徴とする駆動力発生装置。
【請求項2】
上記可動側物体(30)及び固定側物体(31)は2枚以上の複数の電極(11)が相互に間隔をあけて対向配置され、上記可動側物体(30)と固定側物体(31)との間には磁界による吸引力及び/又は反発力が発生されるようになっている請求項1記載の駆動力発生装置。
【請求項3】
上記可動側物体(30)及び固定側物体(31)が直線的な形状をなしている請求項1又は2記載の駆動力発生装置。
【請求項4】
上記可動側物体(30)及び固定側物体(31)が同芯の異なる直径の環状をなし、上記可動側物体(30)が固定側物体(31)に対して回転されるようになっている請求項1又は2記載の駆動力発生装置。
【請求項5】
上記可動側物体(30)及び/又は固定側物体(31)が導波路であり、上記可動側物体(30)及び/又は固定側物体(31)内には空気、誘電体、圧電体、磁性体の群から選ばれる媒質が充満されているか又は上記可動側物体(30)及び/又は固定側物体(31)内が真空となっている請求項1又は2記載の駆動力発生装置。
【請求項6】
対象物に移動、昇降、振動、運搬、回転の挙動をさせ、対象物を吸着しあるいは浮上させて移動、昇降、振動、運搬、回転の挙動をさせる駆動力を発生する駆動力発生装置において、
固定側物体と可動側物体とが近接して配置され、上記固定側物体及び可動側物体の一方は1つの永久磁石が配置されるか又は2つ以上の永久磁石が間隔をあけて対向して配列され、上記固定側物体及び可動側物体の他方は少なくとも2枚の電極が間隔をあけて対向して配置されており、
上記少なくとも2枚のうちの隣接する電極の間には変位電流が相互に逆特性となるように流され、上記複数の電極に流される変位電流の周波数をλとしたとき上記隣接する電極の間隔がλ/2×n(nは奇数である)に設定され、
上記固定側物体又は可動側物体の隣接する電極間には変位電流によって磁界が発生され、上記固定側物体又は可動側物体の電極と上記可動側物体又は固定側物体の永久磁石の配列との間には磁界による吸引力及び/又は反発力が発生され、該吸引力及び/又は反発力によって上記固定側物体に対して上記可動側物体に直線的な動き又は回転をさせる駆動力を発生するようになっていることを特徴とする駆動力発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は駆動力発生装置に関し、特に簡単な構成及び制御によって任意の大きさの駆動力を発生させることができるようにした駆動力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、超電導磁気浮上式の鉄道車両において、車両が停止している状態で車両搭載の超電導コイルを励磁装置によって励磁した後、励磁装置の接続を切断し、励磁によって超電導コイルに永久電流を流通させ、超電導コイルが励磁されている状態で車両を軌道上で走行させる一方、超電導コイルの発生する磁界が減衰した場合には車両が停止している状態で励磁装置を再接続し、超電導コイルを消磁した後、再度励磁するという作業を行うようにしたシステムが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、無限軌道式磁気走行装置において、永久磁石によって無限軌道を構成し、鋼鉄製構造物等の磁性を有する壁面を垂直走行や天井走行するようにしたシステムが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-3677号公報
【特許文献2】特開2003-237649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本件発明者は弾性波や電磁波における波動の性質を研究していたところ、弾性波や電磁波の波動の性質として共振特性が存在し、図4に示されるように、共振周波数において対向する電極間の入力アドミッタンスが極大値を示し(一般社団法人電子情報通信学会2022春学会;令和4年3月18日発表)、対向する電極間に大電流を流すことが可能であり、任意の大きさの磁界を生じさせることができることを知見するに至った(一般社団法人電子情報通信学会マイクロ波研究会;令和4年11月16日発表)。なお、図4において、Yinは入力アドミッタンス、Y0 は特性アドミッタンス、ωは入力周波数、ω0 は固定周波数である。
【0006】
本発明はかかる知見に鑑み、簡単な構成及び制御によって任意の大きさの駆動力を発生させることができるようにした駆動力発生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明に係る駆動力発生装置は、対象物に移動、昇降、振動、運搬、回転の挙動をさせ、対象物を吸着しあるいは浮上させて移動、昇降、振動、運搬、回転の挙動をさせる駆動力を発生する駆動力発生装置において、可動側物体と固定側物体とが近接して配置され、上記可動側物体及び固定側物体中には各々少なくとも2枚の電極が間隔をあけて対向配置されており、上記少なくとも2枚のうちの隣接する電極の間には変位電流が相互に逆特性となるように流されるとともに、上記少なくとも2枚の電極に流される変位電流の周波数をλとしたとき上記隣接する電極の間隔がλ/2×n(nは奇数である)に設定され、上記可動側物体及び固定側物体の隣接する電極間には変位電流によって磁界が発生され、上記可動側物体と固定側物体との間には磁界による吸引力及び/又は反発力が発生され、該吸引力及び/又は反発力によって上記可動側物体を上記固定側物体に対して直線的な動き又は回転をさせる駆動力を発生するようになっていることを特徴とする。
【0008】
可動側物体及び固定側物体を上下方向や横方向に接近して配置し、可動側物体及び固定側物体中には各々少なくとも2枚の電極を間隔をあけて対向配置し、電極の間隔を通電する変位電流の周波数λのλ/2(3以上の奇数倍であってもよい)に設定し、変位電流を流すと、その共振周波数において入力アドミッタンスが極大値を示し、任意の大きさ、例えば大きな変位電流を流すことができ、隣接する電極の間には任意の大きさの磁力を発生させることができる。
【0009】
すると、固定側物体と可動側物体の間には磁界によって任意の大きさの吸引力及び/又は反発力が発生し、反発力を利用すれば可動側物体を固定側物体に対して横方向や上下方向に動かすことができ、吸引力を利用すれば可動側物体を固定側物体に対して前後方向に動かすことができる。
【0010】
可動側物体及び固定側物体は2枚以上の複数の電極を相互に間隔をあけて対向配置して構成し、可動側物体と固定側物体との間には磁界による吸引力及び/又は反発力が発生されるようになすことができる。
【0011】
可動側物体及び固定側物体を直線的な形状をなすように構成してもよく、又可動側物体及び固定側物体を同芯の異なる直径の環状に製作し、可動側物体を固定側物体に対して回転されるように構成することもできる。
【0012】
また、可動側物体及び固定側物体を導波路で構成し、可動側物体及び固定側物体内には空気、誘電体、圧電体、磁性体の群から選ばれる媒質を充満させるか又は可動側物体及び固定側物体内を真空とするように構成することができる。
【0013】
上記では固定側物体及び可動側物体を共に導波路としたが、一方を導波路、他方を極板の配列体や永久磁石の配列によって構成しても同様の作用効果が期待できる。
【0014】
即ち、本発明に係る駆動力発生装置は、対象物に移動、昇降、振動、運搬、回転の挙動をさせ、対象物を吸着しあるいは浮上させて移動、昇降、振動、運搬、回転の挙動をさせる駆動力を発生する駆動力発生装置において、固定側物体と可動側物体とが近接して配置され、上記固定側物体及び可動側物体の一方は1つの永久磁石が配置されるか又は2つ以上の永久磁石が間隔をあけて対向して配列され、上記固定側物体及び可動側物体の他方は少なくとも2枚の電極が間隔をあけて対向して配置されており、上記少なくとも2枚のうちの隣接する電極の間には変位電流が相互に逆特性となるように流され、上記複数の電極に流される変位電流の周波数をλとしたとき上記隣接する電極の間隔がλ/2×n(nは奇数である)に設定され、上記固定側物体又は可動側物体の隣接する電極間には変位電流によって磁界が発生され、上記固定側物体又は可動側物体の電極と上記可動側物体又は固定側物体の永久磁石の配列との間には磁界による吸引力及び/又は反発力が発生され、該吸引力及び/又は反発力によって上記固定側物体に対して上記可動側物体に直線的な動き又は回転をさせる駆動力を発生するようになっていることを特徴とする。
【0015】
また、可動側物体及び固定側物体の断面形状は矩形状や円形状(楕円形状を含む)とすることができる。例えば、物体の形状を断面円形状とする場合には円板状の電極を採用することができる。この場合、物体の中間部分は条件に応じて曲げることもできる。
【0016】
本発明は昇降機などの移動や昇降装置、振動機などの振動装置、運搬機器や鉄道車両などの運搬装置、モータやエンジンなどの回転装置の駆動源に適用でき、又対象物を吸着しあるいは浮上させて移動、昇降、振動、運搬、回転の挙動をさせる駆動源に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る駆動力発生装置の好ましい実施形態を示す概略図である。
図2】上記実施形態を説明するための図である。
図3】上記実施形態を説明するための他の図である。
図4】本発明を説明するための図である。
図5】上記実施形態の作用を模式的に示す図である。
図6】第2の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る駆動力発生装置の好ましい実施形態を示す。図1において、10は導波路、11は電極、20は吸引力、21は反発力である。
【0019】
図1に示されるように、導波路10中には空気、誘電体、圧電体、磁性体の群から選ばれる媒質を充満する一方、図2に示されるように、導波路10中に複数の電極11を間隔をあけて配列し、隣接する電極11に相互に逆特性となるように電流IB を流すと、フレミングに法則により導波路10に磁界Bが発生する。発生する磁界Bは図3に示されるように、電流IB に対して右ねじの方向である。
複数の電極11に流される電流の周波数をλとしたとき隣接する電極11の間隔はλ/2×n(nは奇数である)に設定さる。
【0020】
2つの導波路10を接近させたとき、図1に示されるように、2つの導波路10から生じる磁界Bの向きで吸引力20又は反発力21のクーロン力が生じる。上下又は左右に隣接した導波路10の電極11の位置をずらすことにより、物体の進行方向、逆方向への移動が可能になる。即ち、反発力21によって可動側導波路(可動側物体)30を右側に押し、吸引力20によって可動側導波路10を右側に吸いつけることができる。
【0021】
図5(a)に示されるように、電極11Aには紙面下側から上側に電流が流れ、電極11Bには紙面上側から下側に電流が流れると、電極11A、11B間には反発力21が生じ、可動側導波路30には固定側導波路(固定側物体)31に対して左向きの駆動力40が加わる。
【0022】
同様に、電極11Cに紙面上側から下側に電流が流れると、電極11B、11C間には吸引力20が生じ、可動側導波路30には固定側導波路31に対して左向きの駆動力40が加わる。さらに、電極11Dに紙面下側から上側に電流が流れると、電極11C、11D間に反発力21が発生し、可動側導波路30には固定側導波路31に対して左向きの駆動力40が加わる。
その結果、可動側導波路30は固定側導波路31に対して左向きに移動させることができる。
【0023】
また、上記とは逆の極性に電流が流れる、つまり電極11Aには紙面上側から下側に電流が流れ、電極11Bには紙面下側から上側に電流が流れると、電極11A、11B間には反発力21が生じ、可動側導波路30には固定側導波路31に対して左向きの駆動力40が加わる。
【0024】
同様に、電極11Cに紙面下側から上側に電流が流れると、電極11B、11C間には吸引力20が生じ、可動側導波路30には固定側導波路31に対して左向きの駆動力40が加わる。さらに、電極11Dに紙面上側から下側に電流が流れると、電極11C、11D間に反発力21が発生し、可動側導波路30には固定側導波路31に対して左向きの駆動力40が加わる。
その結果、可動側導波路30は固定側導波路31に対して左向きに移動される。
【0025】
そこで、可動側導波路30の動く距離Lと電流の極性の変化のタイミングを同期させ、可動側導波路30が距離Lだけ移動したときに電流の極性を反転させるように制御すると、可動側導波路30は固定側導波路31に対して定常的に左向きに移動させることができる。
従って、可動側導波路30及び固定側導波路31を直線的に構成することにより、物体を直線的に移動させることができる。
【0026】
また、図6は第2の実施形態を示し、本例は回転運動に適用した例である。図において図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0027】
物体の直線的移動を回転運動に変更するため、同芯の2つの異なる直径の円周上に電極11を配置する。外側を固定側導波路(固定側物体)31、内側を回転側導波路(可動側物体)30とし、電極11Aと電極11Bに紙面下側から上側に電流を流すと、電極11A、11B間には吸引力20が生じ、回転側導波路30には固定側導波路31に対して左向きの回転力40が加わる。
【0028】
同様に、電極11Dに紙面下側から上側に電流を流すと、電極11A、11D間に反発力21が発生し、回転側導波路30には固定側導波路31に対して左向きの回転力40が加わる。
【0029】
また、電極11Cに紙面下側から上側に電流を流すと、電極11C、11D間には吸引力20が生じ、回転側導波路30には固定側導波路31に対して左向きの駆動力40が加わる。さらに、電極11Fに紙面上側から下側に電流が流れると、電極11C、11F間に反発力21が発生し、回転側導波路30には固定側導波路31に対して左向きの駆動力40が加わる。
その結果、回転側導波路30は固定側導波路31に対して左向きに回転される。
【0030】
従って、大きな交流電流を流し、交流の周波数と回転を同期させると、物体の回転が持続する。
【0031】
なお、上記の例では可動側及び固定側、回転側及び固定側を共に導波路で構成したが、いずれか一方を永久磁石で構成しても同様の作用効果が期待できる。
【符号の説明】
【0032】
10 導波路
11 電極
20 吸引力
21 反発力
30 可動側導波路(可動側物体)
31 固定側導波路(固定側物体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6