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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103113
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007276
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江東 真也
(72)【発明者】
【氏名】稲元 昭
(72)【発明者】
【氏名】関 誠治
(57)【要約】
【課題】小型化された姿勢検出器を用いて第1の構造物に対する第2の構造部の姿勢を検出する。
【解決手段】深礎掘削機1の作業装置11は、ポジショニングシリンダ21のストロークに応じた第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢を検出する姿勢検出器32を備えている。姿勢検出器32は、第2ブーム部材14とポジショニングシリンダ21とを連結する連結ピン21Eの外周側に位置して第2ブーム部材14に設けられたセンサ33と、ポジショニングシリンダ21に設けられ、ポジショニングシリンダ21のストロークに応じて第2ブーム部材14とポジショニングシリンダ21との相対角度が変化することによりセンサ33との間の距離が変化する被検出部材35とを有している。センサ33は、被検出部材35との間の距離を検出することにより第2ブーム部材14の姿勢を検出する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、前記車体に設けられた第1の構造物と、基端側が前記第1の構造物に回動可能に取付けられた第2の構造物と、一端が前記第1の構造物に回動可能に取付けられ、他端が前記第2の構造物に連結ピンを介して回動可能に取付けられて伸縮により前記第2の構造物を前記第1の構造物に対して回動させるシリンダと、前記シリンダのストロークに応じた前記第1の構造物に対する前記第2の構造物の姿勢を検出する姿勢検出器とを備えてなる作業機械において、
前記姿勢検出器は、
前記連結ピンの外周側に位置して前記第2の構造物と前記シリンダのうち一方に設けられたセンサと、
前記第2の構造物と前記シリンダのうち他方に設けられ、前記シリンダのストロークに応じて前記第2の構造物と前記シリンダとの相対角度が変化することにより前記センサとの間の距離が変化する被検出部材とを有し、
前記センサと前記被検出部材との間の距離を検出することにより前記第2の構造物の前記第1の構造物に対する姿勢を検出することを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記被検出部材は、前記連結ピンと同心状の円弧形状をなす被検出面を有する円弧状被検出部を有し、
前記姿勢検出器は、前記センサと前記円弧状被検出部の前記被検出面との間の距離を検出することにより前記第2の構造物の前記第1の構造物に対する姿勢を検出することを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記姿勢検出器による検出結果に基づいて前記シリンダの動作を制限するシリンダ動作制限装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
前記車体には、オペレータによって操作される操作スイッチが設けられ、
前記シリンダ動作制限装置による前記シリンダの動作を制限する機能は、前記操作スイッチの操作によって有効、無効に切換えられることを特徴とする請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記車体には、前記姿勢検出器により前記第2の構造物の姿勢が予め定められた所定の姿勢範囲から外れたことが検出されたことを、前記操作スイッチの操作に関わらずオペレータに報知する報知装置が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
自走可能な車体と、前記車体に設けられた作業装置とからなり、
前記作業装置は、基端が前記車体に回動可能に連結された第1ブーム部材と、前記第1ブーム部材の先端に回動可能に連結された第2ブーム部材と、一端が前記第1ブーム部材に回動可能に連結され、他端が前記第2ブーム部材に連結ピンを介して回動可能に連結されて伸縮により前記第2ブーム部材を前記第1ブーム部材の背面側に回動させるシリンダと、前記シリンダのストロークに応じた前記第1ブーム部材に対する前記第2ブーム部材の姿勢を検出する姿勢検出器とを備えてなる作業機械において、
前記姿勢検出器は、
前記連結ピンの外周側に位置して前記第2ブーム部材と前記シリンダのうち一方に設けられたセンサと、
前記第2ブーム部材と前記シリンダのうち他方に設けられ、前記シリンダのストロークに応じて前記第2ブーム部材と前記シリンダとの相対角度が変化することにより前記センサとの間の距離が変化する被検出部材とを有し、
前記センサと前記被検出部材との間の距離を検出することにより前記第2ブーム部材の前記第1ブーム部材に対する姿勢を検出することを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油圧シリンダによって駆動される複数の構造物を備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
自走可能な車体と、車体に設けられた作業装置とを備えた作業機械として、立坑の掘削作業を行う深礎掘削機が知られている。深礎掘削機の作業装置は、通常、基端側が車体に回動可能に取付けられたブームと、ブームの先端側に回動可能に取付けられたアームと、アームに対して昇降可能に設けられたクラムシェル式のバケットと、アームに設けられたバケット昇降・開閉装置とを含んで構成されている。車体とブームとの間にはブームを駆動するブームシリンダが設けられ、ブームとアームとの間にはアームを駆動するアームシリンダが設けられている。
【0003】
深礎掘削機は、アームの先端を立坑の上方に配置した状態で、バケット昇降・開閉装置によってバケットを立坑内に下ろし、バケットを開閉させて土砂を掘削した後、立坑の外部に土砂を排出することにより、立坑の掘削作業を行う。深礎掘削機に搭載された作業装置の姿勢、即ち、車体に対するブームの姿勢、ブームに対するアームの姿勢は、ブームシリンダおよびアームシリンダのストロークに応じて変化する。このため、ブームシリンダやアームシリンダを必要以上に伸長または縮小させた場合には、深礎掘削機の安定性が低下してしまうので、油圧シリンダのストローク等に基づいて作業装置の姿勢を検出する必要がある。
【0004】
これに対し、シリンダのピストンロッドの先端にセンサロッドの一端を取付けると共に、シリンダのチューブにセンサロッドの他端が挿入されるセンサチューブを取付け、センサチューブ内を移動するセンサロッドの他端の位置を検出部によって検出することにより、シリンダのストロークを検出するストローク検出装置が提案されている(特許文献1)。また、油圧ショベルの車体に対するブームの姿勢を検出するため、車体に対して回動するブームフートにカムを取付けると共に、車体のブームフート周辺にリミットスイッチを設け、ブームの回動角度に応じてリミットスイッチが閉成することにより、車体に対するブームの姿勢を検出するようにした姿勢検出装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-323890号公報
【特許文献2】特開平11-29957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1によるストローク検出装置は、シリンダのストロークに対応した長さのセンサロッドが必要となるため、ストロークが大きな長尺なシリンダには長尺なセンサロッドが必要となる。このような長尺なセンサロッドを設けることにより、装置全体が大型化するだけでなく、長尺なセンサロッドは重量も大きいため、センサロッドの一端とピストンロッドとの取付部の強度が低下する虞がある。さらに、既存の作業機械に搭載されたシリンダのピストンロッドに、溶接等の手段を用いてセンサロッドの一端を後付けする改造作業が困難であるという問題がある。
【0007】
一方、特許文献2による姿勢検出装置は、ブームフートにカムが設けられ、車体のブームフート周囲に取付座を介してリミットスイッチが取付けられている。このため、既存の作業機械のブームフートにカムを後付けし、車体のブームフート周囲にリミットスイッチの取付座を後付けする改造作業が困難であるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、小型化された姿勢検出器を用いて、例えば、作業機械の車体に対するブームの姿勢や、ブームに対するアームの姿勢などの、第1の構造物に対する第2の構造部の姿勢を検出できるようにした作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、自走可能な車体と、前記車体に設けられた第1の構造物と、基端側が前記第1の構造物に回動可能に取付けられた第2の構造物と、一端が前記第1の構造物に回動可能に取付けられ、他端が前記第2の構造物に連結ピンを介して回動可能に取付けられて伸縮により前記第2の構造物を前記第1の構造物に対して回動させるシリンダと、前記シリンダのストロークに応じた前記第1の構造物に対する前記第2の構造物の姿勢を検出する姿勢検出器とを備えてなる作業機械において、前記姿勢検出器は、前記連結ピンの外周側に位置して前記第2の構造物と前記シリンダのうち一方に設けられたセンサと、前記第2の構造物と前記シリンダのうち他方に設けられ、前記シリンダのストロークに応じて前記第2の構造物と前記シリンダとの相対角度が変化することにより前記センサとの間の距離が変化する被検出部材とを有し、前記センサと前記被検出部材との間の距離を検出することにより前記第2の構造物の前記第1の構造物に対する姿勢を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第2の構造物とシリンダのうち一方に設けられたセンサは、第2の構造物とシリンダのうち他方に設けられた被検出部材との間の距離の変化に基づいて、第1の構造物に対する第2の構造物の姿勢を検出することができる。この場合、センサは、第2の構造物とシリンダとの間を連結する連結ピンの外周側に配置されているので、シリンダの長さに関わらず姿勢検出器を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態が適用された深礎掘削機を示す左側面図である。
図2】深礎掘削機のキャブ内を示す斜視図である。
図3】深礎掘削機をメンテナンス姿勢とした状態で示す左側面図である。
図4】深礎掘削機を輸送姿勢とした状態で示す左側面図である。
図5】深礎掘削機の第1ブーム部材、第2ブーム部材、ポジショニングシリンダ、姿勢検出器等を示す斜視図である。
図6】センサと被検出部材とを、ポジショニングシリンダが連結されたシリンダブラケットの一部を省略した状態で示す斜視図である。
図7】ポジショニングシリンダ、被検出部材の取付具、センサ等を示す斜視図である。
図8】作業姿勢におけるセンサと被検出部材との位置関係を図6中の矢示VIII-VIII方向から見た左側面図である。
図9図8中のセンサ、被検出部材等を拡大して示す左側面図である。
図10】ポジショニングシリンダ、操作レバー装置、方向制御弁、電磁弁、センサ、操作スイッチ等を含む油圧回路図である。
図11】メンテナンス姿勢におけるセンサと被検出部材との位置関係を示す左側面図である。
図12】輸送姿勢におけるセンサと被検出部材との位置関係を示す左側面図である。
図13】第2の実施形態が適用された油圧ショベルを示す左側面図である。
図14】油圧ショベルのブーム、ブームシリンダ、姿勢検出器を示す斜視図である。
図15】油圧ショベルのアーム、アームシリンダ、姿勢検出器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る作業機械の実施形態について、図1ないし図15を参照しつつ詳細に説明する。なお、実施形態では、作業機械の走行方向を前後方向とし、走行方向と直交する方向を左右方向として説明する。
【0013】
図1ないし図12は本発明の第1の実施形態を示し、作業機械として立坑の掘削作業に用いられる深礎掘削機を例示している。深礎掘削機1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3に設けられた後述の作業装置11とにより構成されている。下部走行体2と上部旋回体3とは、深礎掘削機1の車体を構成している。
【0014】
上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回可能に取付けられた旋回フレーム4を有している。旋回フレーム4は、一般的な油圧ショベルに適用されるもので、左右方向の中間部には、左右方向で対面しつつ前後方向に延びる左右の縦板が設けられている。これら左右の縦板の前端側は、後述する第1ブーム部材13およびブームシリンダ20を支持する支持ブラケット4Aとなっている。旋回フレーム4の後端側には、作業装置11との重量バランスをとるためのカウンタウエイト5が取付けられている。カウンタウエイト5の前側には、原動機(図示せず)、後述の油圧ポンプ24(図10参照)等を収容する外装カバー6が設けられている。
【0015】
旋回フレーム4の前部左側には、運転室を画成するキャブ7が設けられている。図2に示すように、キャブ7内には運転席7Aが設けられている。運転席7Aの前側には、下部走行体2の走行動作を制御する左右の走行用レバー・ペダル装置7Bが配置され、運転席7Aの左右両側には、上部旋回体3の旋回動作、作業装置11の動作を制御する操作レバー装置7Cが配置されている。さらに、右側の操作レバー装置7Cの近傍には、操作スイッチ8と、報知装置としてのスピーカ9が配置されている。操作スイッチ8は、オペレータによって操作され、後述する電磁弁27によってポジショニングシリンダ21の動作を制限する機能を有効にするか無効にするかを切換える。スピーカ9は、後述するセンサ33が、第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れたことを検出しているときに警告音(アラーム)を発し、オペレータの注意を喚起する。
【0016】
作業装置11は、上部旋回体3(旋回フレーム4の支持ブラケット4A)に回動可能に取付けられたブーム12と、ブーム12の先端に回動可能に取付けられたアーム16と、アーム16の先端に昇降ロープ18および開閉ロープ19を介して支持されたクラムシェルバケット17とを含んで構成されている。ここで、本実施形態による深礎掘削機1のブーム12は、第1の構造物としての第1ブーム部材13と、第2の構造物としての第2ブーム部材14とによって構成されている。
【0017】
第1の構造物としての第1ブーム部材13は、上部旋回体3に取付けられている。第1ブーム部材13は、左右の側面13Aと、左右の側面13Aを挟んで上下方向で対面する背面13Bおよび腹面13Cとにより、断面四角形状をなす角筒体として形成されている。第1ブーム部材13の背面13Bは、作業装置11を図1に示す姿勢(作業姿勢)とした状態で上面(地面とは反対側を向く表面)となり、第1ブーム部材13の腹面13Cは、作業装置11を作業姿勢とした状態で下面(地面に面する表面)となる。
【0018】
第1ブーム部材13の基端は、旋回フレーム4の支持ブラケット4Aにピン13Dを介して回動可能に取付けられている。第1ブーム部材13の先端13Eには、第2ブーム部材14の基端14Dが回動可能に取付けられている。第1ブーム部材13の背面13Bには、シリンダブラケット13Fが突設され、シリンダブラケット13Fには、後述するポジショニングシリンダ21のボトム側が取付けられている。
【0019】
第2の構造物としての第2ブーム部材14は、第1ブーム部材13の先端13Eに回動可能に取付けられている。第2ブーム部材14は、左右の側面14Aと、左右の側面14Aを挟んで上下方向で対面する背面14Bおよび腹面14Cとにより、断面四角形状をなす角筒体として形成されている。第2ブーム部材14の背面14Bは、作業装置11を作業姿勢とした状態で上面(地面とは反対側を向く表面)となり、第2ブーム部材14の腹面14Cは、作業装置11を作業姿勢とした状態で下面(地面に面する表面)となる。
【0020】
第2ブーム部材14の基端14Dは、第1ブーム部材13の先端13Eにピン14Eを用いて回動可能に取付けられている。第2ブーム部材14の先端14Fには、アーム16が回動可能に取付けられている。第2ブーム部材14の腹面14Cのうち基端14D側には、シリンダブラケット14Gが突設されている。シリンダブラケット14Gは、後述するアームシリンダ31のボトム側が取付けられている。また、第2ブーム部材14の背面14B側には、シリンダブラケット15が設けられている。
【0021】
シリンダブラケット15は、第2ブーム部材14の背面14B側に設けられている。図5に示すように、シリンダブラケット15は、第2ブーム部材14の背面14Bに隣接して突設された左背面ブラケット15Aおよび右背面ブラケット15Bと、第2ブーム部材14の左側の側面14Aに突設された左側面ブラケット15Cと、第2ブーム部材14の右側の側面14Aに突設された右側面ブラケット15Dとを有している。左背面ブラケット15Aと左側面ブラケット15Cとの間、および右背面ブラケット15Bと右側面ブラケット15Dとの間には、ポジショニングシリンダ21のロッド21Cの先端が、それぞれ連結ピン21Eを介して取付けられている。
【0022】
アーム16は、第2ブーム部材14の先端14Fに回動可能に取付けられている。アーム16は、左右の側面16Aと、左右の側面16Aを挟んで上下方向で対面する背面16Bおよび腹面16Cとにより、断面四角形状をなす長尺な角筒体として形成されている。アーム16の背面16Bは、作業装置11を作業姿勢とした状態で上面となり、アーム16の腹面16Cは、作業装置11を作業姿勢とした状態で下面となる。
【0023】
アーム16の腹面16Cには、ブームブラケット16Dおよびシリンダブラケット16Eが、長さ方向に隣接して突設されている。ブームブラケット16Dには、第2ブーム部材14の先端14Fが、ピン16Fを用いて回動可能に連結されている。シリンダブラケット16Eには、アームシリンダ31のロッド側がピン結合されている。
【0024】
ここで、アーム16には、昇降ロープ18を用いてクラムシェルバケット17を上下方向に昇降させるバケット昇降装置(図示せず)、および開閉ロープ19を用いてクラムシェルバケット17を開閉させるバケット開閉装置(図示せず)が設けられている。そして、アーム16の先端16Gには、昇降ロープ18、および開閉ロープ19を下方に案内するガイドシーブ(図示せず)が設けられている。
【0025】
クラムシェルバケット17は、アーム16の先端16Gから繰り出される昇降ロープ18および開閉ロープ19に支持されている。クラムシェルバケット17は、バケット支持部17Aと、バケット支持部17Aの下側に開閉可能に設けられた一対のバケット17Bと、一対のバケット17Bが回動可能に連結された連結ブラケット17Cと、バケット支持部17Aと一対のバケット17Bとの間を連結する一対の開閉アーム17Dとを有している。バケット支持部17Aには、複数枚の上側シーブ17Eが設けられ、連結ブラケット17Cには、上側シーブ17Eと上下方向で対向する複数枚の下側シーブ17Fが設けられている。
【0026】
クラムシェルバケット17のバケット支持部17Aには、昇降ロープ18の一端が固定され、昇降ロープ18の他端はアーム16に固定されている。バケット昇降装置は、アーム16の先端16Gからクラムシェルバケット17へと延びる昇降ロープ18の長さを変化させることにより、クラムシェルバケット17を昇降させる。
【0027】
クラムシェルバケット17の上側シーブ17Eと下側シーブ17Fには、開閉ロープ19が巻回されている。開閉ロープ19の一端は、クラムシェルバケット17のバケット支持部17Aに固定され、開閉ロープ19の他端はアーム16に固定されている。バケット開閉装置は、アーム16の先端16Gからクラムシェルバケット17へと延びる開閉ロープ19の長さを変化させることにより、クラムシェルバケット17を開閉させる。
【0028】
ブームシリンダ20は、上部旋回体3とブーム12の第1ブーム部材13との間に設けられている。ブームシリンダ20は、第1ブーム部材13を挟んで左右両側に1本ずつ(左側のみ図示)配置され、上部旋回体3に対してブーム12を回動させる。具体的には、ブームシリンダ20のボトム側は、旋回フレーム4の支持ブラケット4Aに回動可能にピン結合されている。ブームシリンダ20のロッド側は、第1ブーム部材13の側面13Aに回動可能にピン結合されている。従って、第1ブーム部材13は、ブームシリンダ20を伸縮させることにより、旋回フレーム4(支持ブラケット4A)との連結部(ピン13D)を中心として上下方向に回動する。
【0029】
ポジショニングシリンダ21は、第1ブーム部材13と第2ブーム部材14との間に設けられている。図5に示すように、ポジショニングシリンダ21は、その長さ方向と直交する方向(左右方向)に隣接して2本配置されており、第1ブーム部材13に対しピン14Eを中心として第2ブーム部材14を回動させる。ポジショニングシリンダ21は、チューブ21Aと、チューブ21A内に摺動可能に設けられたピストン21B(図10参照)と、基端がピストン21Bに固定され先端がチューブ21Aから突出したロッド21Cとを有している。2本のポジショニングシリンダ21(チューブ21A)のボトム側は、第1ブーム部材13の背面13Bに突設されたシリンダブラケット13Fに、それぞれ連結ピン21Dを介して回動可能にピン結合されている。
【0030】
一方、2本のポジショニングシリンダ21のロッド21Cの先端は、第2ブーム部材14の背面14B側に設けられたシリンダブラケット15に、それぞれ連結ピン21Eを介して回動可能にピン結合されている。具体的には、左側のポジショニングシリンダ21のロッド21Cの先端は、シリンダブラケット15の左背面ブラケット15Aと左側面ブラケット15Cとに連結ピン21Eを介して回動可能に取付けられ、右側のポジショニングシリンダ21のロッド21Cの先端は、シリンダブラケット15の右背面ブラケット15Bと右側面ブラケット15Dとに連結ピン21Eを介して回動可能に取付けられている(図5参照)。
【0031】
従って、ポジショニングシリンダ21を大きく伸長させることにより、第2ブーム部材14が、第1ブーム部材13に対しピン14Eを中心として180°近い角度に開き、作業装置11は、図3に示すメンテナンス姿勢となる。一方、ポジショニングシリンダ21を図3の状態から縮小させることにより、図1および図4に示すように、第2ブーム部材14は、ピン14Eを中心として、第1ブーム部材13の背面13B側に回動する。
このように、深礎掘削機1の作業装置11においては、第1ブーム部材13は、ブームシリンダ20の伸縮によって、第1ブーム部材13の先端13Eの方が基端よりも高い(地面から離れた)位置にある状態から先端13Eの方が基端よりも低い(地面に近い)位置にある状態まで、上部旋回体3に対して第1ブーム部材13の基端を中心に回動(昇降)する。また、作業装置11における第2ブーム14は、ポジショニングシリンダ21の伸縮によって、第2ブーム部材14の先端14Fが第1ブーム部材13の基端および先端13Eよりも高い(地面から離れた)位置にある状態(例えば作業姿勢および輸送姿勢(後述)、図1および図4)から第1ブーム部材13の基端および先端13Eよりも低い(地面に近い)位置にある状態(例えばメンテナンス姿勢、図3)まで、第1ブーム部材13の先端13E(第2ブーム部材の基端14D)を中心に回動する。
【0032】
次に、ポジショニングシリンダ21の動作を制御する油圧回路について、図10を参照して説明する。
【0033】
方向制御弁22は、タンク23および油圧ポンプ24からなる油圧源とポジショニングシリンダ21との間を接続する主管路25に設けられている。方向制御弁22は、一対の油圧パイロット部22A,22Bを有し、パイロットポンプ26からのパイロット圧は、キャブ7内に設けられた操作レバー装置7Cに対する操作方向および操作量に応じて、油圧パイロット部22A,22Bに供給される。油圧パイロット部22Aにパイロット圧が供給されたときには、ポジショニングシリンダ21が縮小し、油圧パイロット部22Bにパイロット圧が供給されたときには、ポジショニングシリンダ21が伸長する。
【0034】
シリンダ動作制限装置としての電磁弁27は、方向制御弁22の油圧パイロット部22Aと操作レバー装置7Cとの間を接続するパイロット管路28、方向制御弁22の油圧パイロット部22Bと操作レバー装置7Cとの間を接続するパイロット管路29に、それぞれ設けられている。電磁弁27は、電磁パイロット部27Aを有する3ポート2位置の電磁弁により構成され、電磁パイロット部27Aは、キャブ7内に配置された操作スイッチ8の一方の接点に接続されている。操作スイッチ8は、例えばb接点スイッチからなり、オペレータが操作を行わないときには閉成し、オペレータが操作を行うことにより開成する。操作スイッチ8の他方の接点は、センサ33を介してバッテリ等の電源30に接続されると共に、スピーカ9に接続されている。
【0035】
電磁弁27は、センサ33および操作スイッチ8を介して電源30からの電力が電磁パイロット部27Aに供給されないときには、供給位置(a)を保持してパイロット管路28,29を連通させる。これにより、ポジショニングシリンダ21は、操作レバー装置7Cに対する操作に応じて伸縮動作を行う。一方、電磁弁27は、センサ33および操作スイッチ8を介して電源30からの電力が供給されたときには遮断位置(b)に切換り、パイロット管路28,29を遮断する。これにより、操作レバー装置7Cに対する操作に関わらず、ポジショニングシリンダ21の伸縮動作が制限(禁止)される。
【0036】
操作スイッチ8は、オペレータによって操作されることにより開成し、電磁弁27の電磁パイロット部27Aに対する電力の供給を遮断する。これにより、センサ33が閉成した状態においても電磁弁27は供給位置(a)となり、ポジショニングシリンダ21の伸縮動作を許す。即ち、電磁弁27によってポジショニングシリンダ21の動作を制限する機能は、操作スイッチ8の操作によって有効、無効に切換えられる。一方、スピーカ9は、センサ33が閉成している間は電源30から供給される電力により警報音を発生し続ける。なお、本実施形態では、パイロット管路28及び29の両方に電磁弁27を設けたが、パイロット管路28又は29のどちらか一方にのみ電磁弁27を設けることでポジショニングシリンダ21の伸長又は収縮動作の一方のみ制限(例えば禁止)することも可能である。
【0037】
アームシリンダ31は、第2ブーム部材14とアーム16との間に設けられ、第2ブーム部材14に対してアーム16を回動させる。アームシリンダ31のボトム側は、第2ブーム部材14の腹面14Cに突設されたシリンダブラケット14Gに、回動可能にピン結合されている。アームシリンダ31のロッド側は、アーム16の腹面16Cに突設されたシリンダブラケット16Eに、回動可能にピン結合されている。従って、アームシリンダ31を伸縮させることにより、アーム16は第2ブーム部材14に対しピン16Fを中心として回動する。これにより、アーム16の先端16Gの高さを作業現場に応じて適宜に変更することができる。
【0038】
作業装置11を、図3に示すメンテナンス姿勢としたときには、ポジショニングシリンダ21が最伸長すると共にアームシリンダ31が最縮小することにより、アーム16は、第2ブーム部材14との連結部(ピン16F)を中心として半回転する。この結果、アーム16の背面16Bは、地面と僅かな隙間をもって対面するようになり、アーム16全体を、上部旋回体3よりも低い位置に保持することができる。
【0039】
作業装置11を、図4に示す輸送姿勢としたときには、ポジショニングシリンダ21が最縮小すると共にアームシリンダ31が伸長することにより、第2ブーム部材14の先端14Fが、第1ブーム部材13の背面13Bに最接近する。これにより、第2ブーム部材14に連結されたアーム16の先端16Gを、上部旋回体3側に引き寄せることができる。従って、作業装置11を、アーム16の長さ寸法内に車体とクラムシェルバケット17を収納したコンパクトな輸送姿勢に移行させることができ、例えば深礎掘削機1を輸送車両101の荷台101Aに積載したときに、輸送時長さ(輸送時全長)を道路交通法等による長さ制限内に収めることができ、輸送作業の作業性を高めることができる構成となっている。
【0040】
次に、本実施形態に用いられる姿勢検出器32について、図5ないし図9を参照して説明する。
【0041】
姿勢検出器32は、作業装置11に設けられ、ポジショニングシリンダ21のストロークに応じた第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢を検出する。姿勢検出器32は、連結ピン21Eの外周側に位置して第2ブーム部材14のシリンダブラケット15に設けられたセンサ33と、ポジショニングシリンダ21に支持具34を介して取付けられた被検出部材35とを含んで構成され、シリンダブラケット15を構成する左背面ブラケット15Aと右背面ブラケット15Bとの間に配置されている。
【0042】
センサ33は、連結ピン21Eの外周側に位置してシリンダブラケット15の右背面ブラケット15Bに取付けられている。センサ33は、例えば接触式のリミットスイッチからなり、スイッチ本体33Aと、一端がスイッチ本体33Aに回動可能に取付けられたヘッド部33Bとを有している。図6および図7に示すように、シリンダブラケット15を構成する右背面ブラケット15Bには、連結ピン21Eに接近した位置に、溶接等の手段を用いて長方形のセンサ取付板15Eが突設されている。センサ33のスイッチ本体33Aは、センサ取付板15Eにボルト等を用いて固定され、センサ33のヘッド部33Bは、連結ピン21E側に延びている。
【0043】
支持具34は、2本のポジショニングシリンダ21のうち右側に配置されたポジショニングシリンダ21のロッド21Cに設けられている。具体的には、支持具34は、右背面ブラケット15Bと右側面ブラケット15Dとに連結ピン21Eを介して連結された、右側のポジショニングシリンダ21のロッド21Cに取付けられている。図7に示すように、支持具34は、半円弧形状を有しロッド21Cを径方向から挟んだ状態でロッド21Cにボルト締めされた一対のクランプ部34Aと、クランプ部34Aにアーム34Bを介して取付けられた平板状の当接板34Cとを有し、当接板34Cには2個の雌ねじ部34Dが設けられている。
【0044】
被検出部材35は、右側のポジショニングシリンダ21のロッド21Cに、支持具34を介して取付けられている。図6および図9に示すように、被検出部材35は、支持具34の当接板34Cに取付けられた基板36と、基板36に突設された被検出板37とを含んで構成されている。基板36は、全体として円弧形状をなす平板からなり、連結ピン21Eの外周面との間に間隔を形成する円弧状の内周縁36Aを有している。基板36にはボルト挿通孔(図示せず)が形成され、このボルト挿通孔に挿通された2本のボルト36Bが支持具34の雌ねじ部34Dに螺着される。これにより、被検出部材35は、左背面ブラケット15Aと右背面ブラケット15Bとの間で連結ピン21Eの外周側に配置されている(図5参照)。
【0045】
被検出板37は、基板36に溶接等の手段を用いて固定されている。被検出板37は、帯状の板体を用いて形成され、センサ33のヘッド部33Bが当接する。図9に示すように、被検出板37は、連結ピン21Eと同心状の円弧形状、即ち、連結ピン21Eの中心Oから半径Rの円弧形状を有し、表面がセンサ33のヘッド部33Bが当接する被検出面となった円弧状被検出部37Aと、円弧状被検出部37Aから連続し、連結ピン21Eに接近しつつ直線状に延在する延長被検出部37Bとを有している。延長被検出部37Bは、センサ33のヘッド部33Bを円弧状被検出部37Aに向けて滑らかに案内すると共に、被検出部材35全体を補強している。
【0046】
ここで、第2ブーム部材14は、ポジショニングシリンダ21(ロッド21C)の伸縮動作により、ピン14Eを中心として第1ブーム部材13に対して回動変位する。このとき、第2ブーム部材14とポジショニングシリンダ21との相対角度は、ポジショニングシリンダ21のストロークに応じて変化し、センサ33のヘッド部33Bと被検出板37との間の距離も変化する。例えば作業装置11が図4に示す輸送姿勢にあるときには、図12に示すように、センサ33のヘッド部33Bは、被検出板37から離脱する。作業装置11が図1に示す作業姿勢にあるときには、図8に示すように、センサ33のヘッド部33Bは、被検出板37の延長被検出部37Bに接触する。作業装置11が図3に示すメンテナンス姿勢にあるときには、図11に示すように、センサ33のヘッド部33Bは、被検出板37を構成する円弧状被検出部37Aの被検出面に接触する。
【0047】
深礎掘削機1は、作業装置11を作業姿勢に保持した状態で、立坑の掘削作業を行う。立坑の掘削作業を安定して行うためには、第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢が、予め定められた所定の姿勢範囲内に収まっている必要がある。この場合、第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢は、例えば上部旋回体3と第1ブーム部材13とを連結するピン13Dの中心と第1ブーム部材13と第2ブーム部材14とを連結するピン14Eの中心とを結ぶ直線Aと、前記ピン14Eの中心と第2ブーム部材14とアーム16とを連結するピン16Fの中心とを結ぶ直線Bとがなす角度θ(図1参照)に基づいて検出される。
【0048】
本実施形態では、ポジショニングシリンダ21のストロークに応じて第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢が変化し、前記直線Aと直線Bとがなす角度θが所定値(例えば180°)以上となったときには、姿勢検出器32は、第2ブーム部材14の姿勢が、予め定められた所定の姿勢範囲から外れていることを検出する。一方、前記直線Aと直線Bとがなす角度θが所定値未満であるときには、姿勢検出器32は、第2ブーム部材14の姿勢が、所定の姿勢範囲内に収まっていることを検出する。なお、角度θの所定値は、例えばクラムシェルバケット17のサイズ(重量)、作業内容等に応じて適宜に変更される。
【0049】
ここで、作業装置11が作業姿勢(図1の姿勢)あるいは輸送姿勢(図4の姿勢)にある場合には、ポジショニングシリンダ21のストローク(ロッド21Cの突出長さ)が比較的小さく、図8および図12に示すように、センサ33のヘッド部33Bは、被検出板37の円弧状被検出部37Aから離れている。この場合には、前記直線Aと直線Bとがなす角度θが所定値未満であり、姿勢検出器32は、第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢が、予め定められた所定の姿勢範囲内に収まっていることを検出する。
【0050】
この状態では、センサ33は開成した状態を保ち、電磁弁27の電磁パイロット部27Aに対する電源30からの電力の供給は遮断される。従って、方向制御弁22の油圧パイロット部22A,22Bに対し、操作レバー装置7Cに対する操作方向および操作量に応じたパイロット圧が供給される。これにより、ポジショニングシリンダ21は、操作レバー装置7Cの操作に応じて伸縮動作を行い、第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢は、ポジショニングシリンダ21のストロークに応じて変化する。
【0051】
そして、ポジショニングシリンダ21のロッド21Cが大きく伸長し、直線Aと直線Bとがなす角度θが所定値以上に達すると、センサ33のヘッド部33Bは、被検出板37の延長被検出部37Bに接触した状態から円弧状被検出部37Aの被検出面に接触する状態に切換わる。これにより、センサ33が閉成し、姿勢検出器32は、第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れていることを検出する。
【0052】
センサ33が閉成すると、電磁弁27の電磁パイロット部27Aに対して電源30からの電力が供給され、電磁弁27は遮断位置(b)に切換わる。これにより、パイロット管路28,29が遮断され、操作レバー装置7Cに対する操作に関わらず、ポジショニングシリンダ21の伸縮動作が制限(禁止)される。また、センサ33が閉成している間は、スピーカ9は、電源30から供給される電力により警報音を発生する。
【0053】
このように、姿勢検出器32により、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れたことが検出された場合には、操作レバー装置7Cに対する操作に関わらず、ポジショニングシリンダ21の伸縮動作が制限(禁止)される。従って、深礎掘削機1を用いて立坑の掘削作業等を行うときに、作業装置11が不安定な姿勢に移行するのを防止することができ、作業の安定性を高めることができる構成となっている。
【0054】
一方、作業装置11をメンテナンス姿勢(図4の姿勢)に移行させるときには、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れたことが検出された状態から、さらにポジショニングシリンダ21を伸長させる必要がある。しかし、被検出板37の円弧状被検出部37Aは、連結ピン21Eと同心状の円弧形状を有しているため、センサ33のヘッド部33Bは、被検出板37の円弧状被検出部37Aに接触した状態を継続し、センサ33は閉成した状態を保持する。
【0055】
この場合には、オペレータは、キャブ7内に配置された操作スイッチ8を操作し、操作スイッチ8を開成させる。これにより、電磁弁27の電磁パイロット部27Aに対する電源30からの電力の供給が遮断され、電磁弁27は供給位置(a)を保持する。従って、操作レバー装置7Cの操作に応じてポジショニングシリンダ21を伸長させることにより、作業装置11をメンテナンス姿勢に移行させることができる。ここで、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れている間、センサ33は、ヘッド部33Bが被検出板37の円弧状被検出部37A(被検出面)に接触した状態を継続することにより、閉成した状態を保持している。このため、操作スイッチ8が開成した場合でも、スピーカ9には電源30からの電力が供給され、スピーカ9は継続して警報音を発生する。これにより、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れた状態で、ポジショニングシリンダ21の操作が行われていることを、オペレータに注意喚起することができる構成となっている。
【0056】
本実施形態による深礎掘削機1は、上述の如き構成を有するもので、深礎掘削機1を用いて立抗を掘削するときには、オペレータはキャブ7に搭乗し、走行用レバー・ペダル装置7Bを操作して深礎掘削機1を作業場所まで走行させる。次に、オペレータは、操作レバー装置7Cを操作し、ブームシリンダ20、ポジショニングシリンダ21、アームシリンダ31を伸縮させる。これにより、作業装置11は、第1ブーム部材13の先端13E、第2ブーム部材14の先端14Fを上向きとした作業姿勢となる。
【0057】
この状態で、オペレータは操作レバー装置7Cを操作して上部旋回体3を旋回させ、クラムシェルバケット17を掘削すべき立抗の上方に移動させる。次に、オペレータは、例えばバケット開閉装置によってバケット17Bを開いた状態で、バケット昇降装置によって立抗内にクラムシェルバケット17を降下させ、穴底に着地させる。そして、自重によって地中に潜り込ませた後にバケット17Bを閉じることにより、土砂を掘削してバケット17B内に保持する。次に、バケット昇降装置によってクラムシェルバケット17を立抗の上方へと引上げた後、上部旋回体3を旋回させてダンプトラックの荷台(図示せず)上に移動させた後、バケット17Bを開いて土砂を放土する。
【0058】
このように、立坑の掘削作業を行う間は、作業装置11は、図1に示す作業姿勢を保持し、前記直線Aと直線Bとがなす角度θは所定値未満となる。このとき、図8に示すように、姿勢検出器32のセンサ33は、ヘッド部33Bが被検出部材35(被検出板37)の延長被検出部37Bに接触することにより開成した状態を保つ。これにより、姿勢検出器32は、第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢が、所定の姿勢範囲内に収まっていることを検出する。この状態では、電磁弁27の電磁パイロット部27Aに対する電源30からの電力の供給は遮断され、方向制御弁22の油圧パイロット部22A,22Bに対し、操作レバー装置7Cに対する操作方向および操作量に応じたパイロット圧が供給される。この結果、ポジショニングシリンダ21は、操作レバー装置7Cに対する操作に応じて伸縮動作を行うことができる。
【0059】
深礎掘削機1が立坑の掘削作業を行うときに、前記直線Aと直線Bとがなす角度θが所定値以上となった場合には、センサ33のヘッド部33Bが、被検出部材35(被検出板37)の延長被検出部37Bを超えて円弧状被検出部37Aの被検出面に接触し、センサ33は閉成する。これにより、姿勢検出器32は、第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢が、所定の姿勢範囲から外れたことを検出する。この状態では、電源30からの電力が、センサ33および操作スイッチ8を介して電磁弁27の電磁パイロット部27Aに供給され、電磁弁27が遮断位置(b)に切換わることにより、方向制御弁22の油圧パイロット部22A,22Bに対するパイロット圧の供給が遮断される。この結果、操作レバー装置7Cに対する操作に関わらず、ポジショニングシリンダ21の伸縮動作が禁止されるので、作業装置11が不安定な姿勢で作業を行うことを防止することができる。
【0060】
ここで、本実施形態による姿勢検出器32は、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れたときにセンサ33が閉成することにより、電源30からの電力を、電磁弁27の電磁パイロット部27Aに直接供給し、電磁弁27を遮断位置(b)に切換えることができる。従って、電磁弁27を切換えるためのコントローラ等が不要となり、姿勢検出器32の構成を簡素化することができ、誤動作も抑えることができる。なお、センサ33として、例えば接点溶着への対策が講じられたセーフティリミットスイッチを用いることにより、さらに誤動作を抑えることができる。
【0061】
また、姿勢検出器32は、第2ブーム部材14のシリンダブラケット15に取付けられたセンサ33と、ポジショニングシリンダ21のロッド21Cに取付けられた被検出部材35とにより構成されている。このため、例えば特許文献1のような長尺なセンサロッド等を用いる構成に比較して、姿勢検出器32の小型化、構成の簡素化を図ることができる。さらに、センサ33は、シリンダブラケット15(右背面ブラケット15B)に設けられたセンサ取付板15Eに取付けられ、被検出部材35は、支持具34を介してポジショニングシリンダ21のロッド21Cに取付けられるので、例えば既存の深礎掘削機の作業装置に姿勢検出器32を後付けする改造作業を容易に行うことができる。しかも、姿勢検出器32は、シリンダブラケット15を構成する左背面ブラケット15Aと右背面ブラケット15Bとの間に配置されている。このため、第1ブーム部材13の側面13Aおよび第2ブーム部材14の側面14Aに沿って配策された油圧ホース類が、第1ブーム部材13および第2ブーム部材14の動作によって撓んだとしても、これら油圧ホース類が姿勢検出器32に接触するのを防止でき、姿勢検出器32を保護することができる。
【0062】
次に、深礎掘削機1を他の作業現場に輸送する場合には、図4に示すように、作業装置11を作業姿勢から輸送姿勢に移行させた状態で、深礎掘削機1を輸送車両101の荷台101Aに積載する。即ち、バケット昇降装置によりアーム16の先端16G側にクラムシェルバケット17を引上げた状態で、ブームシリンダ20とポジショニングシリンダ21を縮小させると共にアームシリンダ31を伸長させる。これにより、作業装置11は、第1ブーム部材13の先端13Eを地面(荷台101A)近くまで下げ、第2ブーム部材14の先端14Fを上向とした状態で、アーム16を第2ブーム部材14よりも上側に配置した輸送姿勢に移行する。
【0063】
このように、作業装置11を作業姿勢から輸送姿勢に移行させる間は、前記直線Aと直線Bとがなす角度θは、作業装置11が作業姿勢にあるときの角度θよりも小さくなる。従って、図12に示すように、姿勢検出器32のセンサ33は、ヘッド部33Bが被検出部材35の被検出板37から離間することにより、開成した状態を保つ。これにより、姿勢検出器32は、第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢が、所定の姿勢範囲内に収まっていることを検出する。従って、電磁弁27の電磁パイロット部27Aに対する電源30からの電力の供給は遮断され、電磁弁27は供給位置(a)を保持する。
【0064】
ここで、作業装置11を輸送姿勢としたときには、第1ブーム部材13と第2ブーム部材14との連結部が地面に接触することがある。このため、例えばピン14Eの周囲にポテンショメータを取付けて第2ブーム部材14の回動角を検出する構成とした場合には、作業装置11を輸送姿勢としたときに、ポテンショメータが地面上の土砂等に接触して破損する虞がある。これに対し、本実施形態では、姿勢検出器32のセンサ33が、第2ブーム部材14の背面14Bに設けられたシリンダブラケット15に取付けられ、被検出部材35が、ポジショニングシリンダ21のロッド21Cに取付けられている。このように、本実施形態による姿勢検出器32は、作業装置11の姿勢に関わらず地面から離れた場所に配置されているため、作業装置11を輸送姿勢とした状態においても地面に接触するのを防止することができる。
【0065】
次に、作業装置11をメンテナンス姿勢に移行させる場合について説明する。作業装置11は、クラムシェルバケット17を支持する昇降ロープ18および開閉ロープ19等に対する点検、交換作業、昇降ロープ18および開閉ロープ19をガイドするガイドシーブ(図示せず)等に対する給脂作業を行うときに、図3に示すメンテナンス姿勢に移行する。
【0066】
作業装置11を作業姿勢からメンテナンス姿勢に移行させる場合には、ブームシリンダ20とアームシリンダ31を縮小させると共に、ポジショニングシリンダ21を伸長させる。これにより、アーム16は、第2ブーム部材14との連結部(ピン16F)を中心として回動し、背面16Bが下向きとなって地面に対向する。この状態で、ブームシリンダ20を縮小させることにより、作業装置11は、アーム16の背面16Bを地面に対面させた状態で、アーム16を第2ブーム部材14よりも下側に配置したメンテナンス姿勢となる。このように、作業装置11をメンテナンス姿勢に移行させることにより、昇降ロープ18および開閉ロープ19対する点検、交換作業、給脂作業といったメンテナンス作業を、脚立等を用いることなく地上作業によって行うことができ、その作業性を高めることができる。
【0067】
ここで、作業装置11をメンテナンス姿勢(図3の姿勢)に移行するときには、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れたことが検出された状態(前記直線Aと直線Bとがなす角度θが所定値以上となった状態)から、さらにポジショニングシリンダ21を伸長させる必要がある。このとき、被検出板37の円弧状被検出部37Aは、連結ピン21Eと同心状の円弧形状を有しているため、センサ33のヘッド部33Bは、被検出板37の円弧状被検出部37Aに接触した状態を継続し、センサ33は閉成した状態を保持する。
【0068】
このとき、オペレータは、キャブ7内に配置された操作スイッチ8を操作し、操作スイッチ8を開成させる。これにより、センサ33が閉成した状態であっても、電磁弁27の電磁パイロット部27Aに対する電源30からの電力の供給を遮断することができる。これにより、電磁弁27は供給位置(a)を保持するので、操作レバー装置7Cの操作によってポジショニングシリンダ21を伸長させることにより、作業装置11をメンテナンス姿勢へと移行させることができる。
【0069】
ここで、操作スイッチ8が開成した場合でも、スピーカ9には電源30からの電力が供給される。従って、スピーカ9は、センサ33が閉成している間(第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れている間)は、継続して警報音を発生する。これにより、操作レバー装置7Cを操作するオペレータに対し、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れた状態で、ポジショニングシリンダ21の操作が行われていることを注意喚起することができる。このように、被検出部材35を構成する被検出板37の円弧状被検出部37Aは、連結ピン21Eと同心状の円弧形状を有しているので、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れている間は、センサ33が閉成した状態を保つことができる。従って、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れている間は、スピーカ9からの警報音を発生し続けることができる。この結果、オペレータが操作スイッチ8を誤操作することにより、電磁弁27によるポジショニングシリンダ21の動作を制限する機能が意に反して無効化されてしまう事態を防止することができる。
【0070】
かくして、実施形態では、深礎掘削機1は、上部旋回体3に設けられた第1ブーム部材13と、基端側が第1ブーム部材13に回動可能に取付けられた第2ブーム部材14と、一端が第1ブーム部材13に回動可能に取付けられ、他端が第2ブーム部材14に連結ピン21Eを介して回動可能に取付けられて伸縮により第2ブーム部材14を第1ブーム部材13に対して回動させるポジショニングシリンダ21と、ポジショニングシリンダ21のストロークに応じた第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢を検出する姿勢検出器32とを備える。姿勢検出器32は、連結ピン21Eの外周側に位置して第2ブーム部材14に設けられたセンサ33と、ポジショニングシリンダ21に設けられ、ポジショニングシリンダ21のストロークに応じて第2ブーム部材14とポジショニングシリンダ21との相対角度が変化することによりセンサ33との間の距離が変化する被検出部材35とを有し、センサ33と被検出部材35との間の距離を検出することにより第2ブーム部材14の第1ブーム部材13に対する姿勢を検出する。
【0071】
この構成によれば、センサ33は、ポジショニングシリンダ21に設けられた被検出部材35との間の距離の変化に基づいて、第1ブーム部材13に対する第2ブーム部材14の姿勢を検出することができる。この場合、センサ33は、第2ブーム部材14とポジショニングシリンダ21との間を連結する連結ピン21Eの外周側に配置されている。このため、ポジショニングシリンダ21の長さに関わらず、姿勢検出器32を小型化することができる。
【0072】
実施形態では、被検出部材35は、連結ピン21Eと同心状の円弧形状をなす被検出面有する円弧状被検出部37Aを有し、姿勢検出器32は、センサ33と円弧状被検出部37Aの被検出面との間の距離を検出することにより第2ブーム部材14の第1ブーム部材13に対する姿勢を検出する。この構成によれば、センサ33は、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れた状態を継続していることを、円弧状被検出部37Aによって検出し続けることができる。
【0073】
実施形態では、姿勢検出器32による検出結果に基づいてポジショニングシリンダ21の動作を制限する電磁弁27を備えている。この構成によれば、ポジショニングシリンダ21の動作を制御する方向制御弁22に対し、電磁弁27がパイロット圧の供給、遮断を制御することにより、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲内にあるか否かに応じてポジショニングシリンダ21の動作を制限することができる。
【0074】
実施形態では、上部旋回体3には、オペレータによって操作される操作スイッチ8が設けられ、電磁弁27によるポジショニングシリンダ21の動作を制限する機能は、操作スイッチ8の操作によって有効、無効に切換えられる。この構成によれば、例えば深礎掘削機1の作業装置11をメンテナンス姿勢に移行させるときに、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れたとしても、操作スイッチ8によって電磁弁27の機能を無効にすることができる。これにより、ポジショニングシリンダ21を操作して作業装置11をメンテナンス姿勢に移行させることができる。
【0075】
実施形態では、上部旋回体3には、姿勢検出器32により第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れたことが検出されたことを、操作スイッチ8の操作に関わらずオペレータに報知するスピーカ9が設けられている。この構成によれば、例えば深礎掘削機1の作業装置11をメンテナンス姿勢に移行させるときに、操作スイッチ8によって電磁弁27の機能を無効にした場合でも、第2ブーム部材14の姿勢が所定の姿勢範囲から外れていることをスピーカ9からの警報音によってオペレータに報知し、注意喚起を行うことができる。
【0076】
次に、図13ないし図15は本発明の第2の実施形態を示し、油圧ショベルの作業装置に姿勢検出器を設けた場合を例示している。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
図中、作業機械としての油圧ショベル41は、自走可能な下部走行体42と、下部走行体42上に旋回可能に搭載された上部旋回体43と、上部旋回体43の前側に設けられた作業装置45とを含んで構成されている。下部走行体42と上部旋回体43とは、油圧ショベル41の車体を構成している。上部旋回体43は、キャブ43A、カウンタウエイト43B等を備え、上部旋回体43のベースとなる旋回フレーム44の前側には、作業装置45を回動可能に支持する支持ブラケット44Aが設けられている。作業装置45は、ブーム46、ブームシリンダ47、アーム48、アームシリンダ49、バケット50、バケットシリンダ51等により構成され、土砂の掘削作業等を行う。
【0078】
ブーム46は、基端側が旋回フレーム44の支持ブラケット44Aに回動可能に取付けられている。ブームシリンダ47は、一端(ボトム側の端部)が支持ブラケット44Aに回動可能に取付けられると共に、他端(ロッド側の端部)がブーム46の側面46Aに連結ピン47Aを介して回動可能に取付けられている。ブーム46は、ブームシリンダ47を伸縮させることにより、支持ブラケット44Aとの連結部を中心として上下方向に回動する。本実施形態では、支持ブラケット44Aが第1の構造物を構成し、ブーム46が第2の構造物を構成している。
【0079】
アーム48は、基端側がブーム46の先端に回動可能に取付けられている。アームシリンダ49は、一端(ボトム側の端部)がブーム46のシリンダブラケット46Bに回動可能に取付けられると共に、他端(ロッド側の端部)がアーム48のシリンダブラケット48Aに連結ピン49Aを介して回動可能に取付けられている。アーム48は、アームシリンダ49を伸縮させることにより、ブーム46との連結部を中心として上下方向に回動する。本実施形態では、ブーム46が他の第1の構造物を構成し、アーム48が他の第2の構造物を構成している。
【0080】
バケット50は、アーム48の先端に回動可能に取付けられている。バケット50は、バケットシリンダ51を伸縮させることにより、アーム48との連結部を中心として上下方向に回動する。
【0081】
第1の姿勢検出器52は、ブーム46とブームシリンダ47とを連結する連結ピン47Aの外周側に設けられ、旋回フレーム44の支持ブラケット44Aに対するブーム46の姿勢を検出する。第1の姿勢検出器52は、連結ピン47Aの外周側に位置してブーム46の側面46Aに取付けられたセンサ33と、ブームシリンダ47のロッド47Bに支持具34を介して取付けられた被検出部材53とを含んで構成されている。被検出部材53を構成する被検出板54は、円弧状被検出部54Aと延長被検出部54Bとを有し、円弧状被検出部54Aは、連結ピン47Aと同心状の円弧形状をなし、センサ33のヘッド部33Bが当接する被検出面を有している。
【0082】
ここで、油圧ショベル41は、バケット50に代えて他のアタッチメント(図示せず)を取付けることにより、土砂の掘削作業以外の種々の作業に適用することができる。このため、アーム48の先端にバケット50よりもサイズが大きなアタッチメントを取付けた場合には、アーム48をブーム46側に折畳んだ状態でブームシリンダ47を伸長させてブーム46の先端を持上げると、アタッチメントがキャブ43Aに干渉することがある。このため、第1の姿勢検出器52は、支持ブラケット44Aに対するブーム46の姿勢が、アタッチメントがキャブ43Aに干渉しない所定の姿勢範囲内に収まっているか否かを検出する。
【0083】
即ち、第1の姿勢検出器52は、センサ33のヘッド部33Bが、被検出板54の円弧状被検出部54A(被検出面)に接触していないときには、ブーム46の姿勢が所定の姿勢範囲内に収まっていることを検出し、操作レバー装置(図示せず)を用いたブームシリンダ47の操作を許可する。一方、第1の姿勢検出器52は、センサ33のヘッド部33Bが、被検出板54の円弧状被検出部54Aに接触したときには、ブーム46の姿勢が所定の姿勢範囲から外れたことを検出し、操作レバー装置(図示せず)を用いたブームシリンダ47の操作を禁止する。これにより、サイズの大きなアタッチメントがキャブ43Aに干渉するのを防止することができる。
【0084】
第2の姿勢検出器55は、アーム48とアームシリンダ49とを連結する連結ピン49Aの外周側に設けられ、ブーム46に対するアーム48の姿勢を検出する。第2の姿勢検出器55は、連結ピン49Aの外周側に位置してアーム48のシリンダブラケット48Aに取付けられたセンサ33と、アームシリンダ49のロッド49Bに支持具34を介して取付けられた被検出部材56とを含んで構成されている。被検出部材56を構成する被検出板57は、円弧状被検出部57Aと延長被検出部57Bとを有し、円弧状被検出部57Aは、連結ピン49Aと同心状の円弧形状をなし、センサ33のヘッド部33Bが当接する被検出面を有している。
【0085】
ここで、アーム48の先端にバケット50よりもサイズ(重量)が大きなアタッチメントを取付けた場合には、ブーム46とアーム48を前方に伸ばしたときに油圧ショベル41の重心が前方に偏ることがある。このため、第2の姿勢検出器55は、ブーム46に対するアーム48の姿勢が、油圧ショベル41の重心が前方に偏ることがない所定の姿勢範囲内に収まっているか否かを検出する。
【0086】
即ち、第2の姿勢検出器55は、センサ33のヘッド部33Bが、被検出板57の円弧状被検出部57A(被検出面)に接触しているときには、アーム48の姿勢が所定の姿勢範囲内に収まっていることを検出し、操作レバー装置(図示せず)を用いたアームシリンダ49の操作を許可する。一方、第2の姿勢検出器55は、センサ33のヘッド部33Bが、被検出板57の円弧状被検出部57Aから離脱したときには、アーム48の姿勢が所定の姿勢範囲から外れたことを検出し、操作レバー装置(図示せず)を用いたアームシリンダ49の操作を禁止する。これにより、油圧ショベル41の重心が前方に偏るのを防止することができる。
【0087】
なお、第1の実施形態では、姿勢検出器32を構成するセンサ33として、接触式のリミットスイッチを用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば近接スイッチ等の非接触式のスイッチを用いる構成としてもよい。
【0088】
また、第1の実施形態では、姿勢検出器32を構成するセンサ33を、第2ブーム部材14のシリンダブラケット15に取付け、被検出部材35をポジショニングシリンダ21のロッド21Cに取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばセンサ33をポジショニングシリンダ21のロッド21Cに取付け、被検出部材35を第2ブーム部材14のシリンダブラケット15に取付ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 深礎掘削機
2,42 下部走行体(車体)
3,43 上部旋回体(車体)
8 操作スイッチ
9 スピーカ(報知装置)
13 第1ブーム部材(第1の構造物)
14 第2ブーム部材(第2の構造物)
21 ポジショニングシリンダ(シリンダ)
21E,47A,49A 連結ピン
32 姿勢検出器
33 センサ
35,53,56 被検出部材
37A,54A,57A 円弧状被検出部
37B,54B,57B 延長被検出部
41 油圧ショベル
44A 支持ブラケット(第1の構造物)
46 ブーム(第2の構造物、他の第1の構造物)
47 ブームシリンダ(シリンダ)
48 アーム(他の第2の構造物)
52 第1の姿勢検出器(姿勢検出器)
55 第2の姿勢検出器(姿勢検出器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15