IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特開2024-103115光送信装置、光伝送システム及び光送信方法
<>
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図1
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図2
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図3
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図4
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図5
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図6
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図7
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図8
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図9
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図10
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図11
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図12
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図13
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図14
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図15
  • 特開-光送信装置、光伝送システム及び光送信方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103115
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】光送信装置、光伝送システム及び光送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/27 20130101AFI20240725BHJP
   H04B 10/516 20130101ALI20240725BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H04B10/27
H04B10/516
H04J14/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007278
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】北村 猛
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AD01
5K102AH02
5K102AH26
5K102AH27
5K102AL11
5K102MA01
5K102MB11
5K102MB13
5K102MD03
5K102NA01
5K102PB11
5K102PH01
5K102PH31
5K102PH47
5K102PH48
5K102RD28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】データの伝送に要求されるレイテンシに応じた処理をデータに施す光送信装置、光通信方法及び光伝送システムを提供する。
【解決手段】光伝送システムにおいて、光送信装置は、宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、宛先情報を含むユーザデータを第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力する経路制御部と、ユーザデータが第1のチャネルへ出力された場合、ユーザデータを第1のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式により第1のデータを第1の光信号に変換し、第1の光信号を送信する第1の光送信部と、ユーザデータが第2のチャネルへ出力された場合、ユーザデータを第2のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式とは異なる第2の変調方式により第2のデータを第2の光信号に変換し、第2の光信号を送信する第2の光送信部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、前記宛先情報を含むユーザデータを、第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力する経路制御手段と、
前記ユーザデータが前記第1のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第1のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式によって前記第1のデータを第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を送信する第1の光送信手段と、
前記ユーザデータが前記第2のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第2のデータとして扱い、前記第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理、及び、前記第1の変調方式とは異なる第2の変調方式によって前記第2のデータを第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を送信する第2の光送信手段と、
を備える光送信装置。
【請求項2】
前記第1の誤り訂正符号化処理において前記第1のデータに付加される訂正符号の長さは前記第2の誤り訂正符号化処理において前記第2のデータに付加される訂正符号の長さ未満であり、
前記第1の変調方式で変調された前記第1のデータの伝送速度は、前記第2の変調方式で変調された前記第2のデータの伝送速度未満である、
請求項1に記載された光送信装置。
【請求項3】
前記第1の光信号は第1の波長を持つ光信号であり、前記第2の光信号は前記第1の波長とは異なる第2の波長を持つ光信号である、請求項1又は2に記載された光送信装置。
【請求項4】
前記第1の光信号と前記第2の光信号とを波長多重する光合波手段を備える、請求項3に記載された光送信装置。
【請求項5】
前記第1の光送信手段は、
前記第1の誤り訂正符号化処理を行う第1のフレーマと、
前記第1の誤り訂正符号化処理を受けた前記第1のデータを用いて、前記第1の変調方式で変調された前記第1の光信号を出力する第1の変調手段と、備え、
前記第2の光送信手段は、
前記第2の誤り訂正符号化処理を行う第2のフレーマと、
前記第2の誤り訂正符号化処理を受けた前記第2のデータを用いて、前記第2の変調方式で変調された前記第2の光信号を出力する第2の変調手段と、を備える、
請求項1又は2に記載された光送信装置。
【請求項6】
前記第1のデータ及び前記第2のデータはいずれも光信号であり、
前記第1の光送信手段は、前記第1のデータを電気信号に変換して前記第1のフレーマへ出力する第1の光電気変換手段を備え、
前記第2の光送信手段は、前記第2のデータを電気信号に変換して前記第2のフレーマへ出力する第2の光電気変換手段を備える、
請求項5に記載された光送信装置。
【請求項7】
光送信装置と光受信装置とが通信可能に接続された光伝送システムであって、
前記光送信装置は、
宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、前記宛先情報を含むユーザデータを、第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力する経路制御手段と、
前記ユーザデータが前記第1のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第1のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式によって前記第1のデータを第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を送信する第1の光送信手段と、
前記ユーザデータが前記第2のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第2のデータとして扱い、前記第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理、及び、前記第1の変調方式とは異なる第2の変調方式によって前記第2のデータを第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を送信する第2の光送信手段と、
を備え、
前記光受信装置は、
前記第1の光信号から前記第1のデータを復調する第1の光受信手段と、
前記第2の光信号から前記第2のデータを復調する第2の光受信手段と、
を備える、
光伝送システム。
【請求項8】
前記第1の光受信手段は、
前記第1の光信号を第1の電気信号に変換する第1の復調手段と、
前記第1の電気信号の誤り訂正処理を行い、前記第1のデータを出力する第3のフレーマと、を備え、
前記第2の光受信手段は、
前記第2の光信号を第2の電気信号に変換する第2の復調手段と、
前記第2の電気信号の誤り訂正処理を行う、前記第2のデータを出力する第4のフレーマと、を備える、
請求項7に記載された光伝送システム。
【請求項9】
宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、前記宛先情報を含むユーザデータを、第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力し、
前記ユーザデータが前記第1のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第1のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式によって前記第1のデータを第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を送信し、
前記ユーザデータが前記第2のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第2のデータとして扱い、前記第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理、及び、前記第1の変調方式とは異なる第2の変調方式によって前記第2のデータを第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を送信する、
ことを特徴とする光送信方法。
【請求項10】
前記第1の誤り訂正符号化処理において前記第1のデータに付加される訂正符号の長さは前記第2の誤り訂正符号化処理において前記第2のデータに付加される訂正符号の長さ未満であり、
前記第1の変調方式で変調された前記第1のデータの伝送速度は、前記第2の変調方式で変調された前記第2のデータの伝送速度未満である、
請求項9に記載された光送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
長距離光ファイバ伝送システムにおいて、伝送路におけるデータの誤りを検出して訂正するために、前方誤り訂正(Forward Error Correction、FEC)処理を行う技術が知られている。FEC処理のための機能を備えた光送信機は、データの変調前に訂正符号を算出してデータに付加し、データと訂正符号とを併せて光信号として送信する。FEC処理のための機能を備えた光受信機は、受信信号からデータと訂正符号を分離し、訂正符号を用いてデータに誤りがないか確認する。伝送データに誤りがある場合には、光受信機は、訂正符号を用いてデータの誤りを訂正する。
【0003】
一般的に、長距離伝送システムでは誤り率が高くなるため、強力な誤り訂正能力を持つ長い訂正符号が用いられる。これにより、誤り率が高い場合でも誤り訂正を実行できる。しかし、長い訂正符号が用いられると、送信時の訂正符号の算出の際の演算量及び受信時の誤り訂正のための演算量が増加する。その結果、データ伝送の際の遅延(レイテンシ)が増加する。なお、本明細書の記載において「レイテンシ」は送信元におけるデータの伝送開始からそのデータが送信先の機器に到着するまでの時間を意味する。本明細書の「レイテンシ」は、一般には「片道レイテンシ」と呼ばれることもある。また、RTT(Round Trip Time)はデータの送受信時間の和にデータの送信先での処理時間を加えたものであり、本明細書における「レイテンシ」とは区別される。
【0004】
本発明に関連して、特許文献1には、遅延時間が異なる伝送路が併用されるシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2018-511252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リアルタイム性が要求されるオンラインゲームや金融取引などのサービスにおいて、サービスを提供するネットワーク機器とサービスを利用するユーザの機器(ユーザ機器)との接続では、データの伝送速度の高さよりもレイテンシが低いことが求められる。一方、一般的な光伝送システムでは、大容量のデータを短時間で長距離伝送するために、FEC処理において長い訂正符号をデータに付加して誤りに対する耐性を高めている。これは送信機及び受信機におけるFEC処理の演算量を増大させるため、低レイテンシが求められるデータであってもFEC処理により、データのレイテンシが増加するという課題があった。
【0007】
(発明の目的)
本発明は、データの伝送に要求されるレイテンシに応じた処理をデータに施すための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光送信装置は、
宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、前記宛先情報を含むユーザデータを、第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力する経路制御手段と、
前記ユーザデータが前記第1のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第1のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式によって前記第1のデータを第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を送信する第1の光送信手段と、
前記ユーザデータが前記第2のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第2のデータとして扱い、前記第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理、及び、前記第1の変調方式とは異なる第2の変調方式によって前記第2のデータを第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を送信する第2の光送信手段と、
を備える。
【0009】
本発明の光伝送システムは、
光送信装置と光受信装置とが通信可能に接続されており、
前記光送信装置は、
宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、前記宛先情報を含むユーザデータを、第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力する経路制御手段と、
前記ユーザデータが前記第1のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第1のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式によって前記第1のデータを第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を送信する第1の光送信手段と、
前記ユーザデータが前記第2のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第2のデータとして扱い、前記第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理、及び、前記第1の変調方式とは異なる第2の変調方式によって前記第2のデータを第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を送信する第2の光送信手段と、
を備え、
前記光受信装置は、
前記第1の光信号から前記第1のデータを復調する第1の光受信手段と、
前記第2の光信号から前記第2のデータを復調する第2の光受信手段と、
を備える。
【0010】
本発明の光送信方法は、
宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、前記宛先情報を含むユーザデータを、第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力し、
前記ユーザデータが前記第1のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第1のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式によって前記第1のデータを第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を送信し、
前記ユーザデータが前記第2のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第2のデータとして扱い、前記第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理、及び、前記第1の変調方式とは異なる第2の変調方式によって前記第2のデータを第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を送信する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、データの伝送に要求されるレイテンシに応じた処理をデータに施すことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態の光伝送システムの構成例を示すブロック図である。
図2】光送信装置の構成例を示すブロック図である。
図3】経路制御部が備える経路テーブルの例である。
図4】信号処理設定の例を示す図である。
図5】第1の光送信部の構成例を示すブロック図である。
図6】第2の光送信部の構成例を示すブロック図である。
図7】光受信装置の構成例を示すブロック図である。
図8】第1の光受信部の構成例を示すブロック図である。
図9】第2の光受信部の構成例を示すブロック図である。
図10】光送信装置の変形例を示すブロック図である。
図11】光送信部の変形例を示すブロック図である。
図12】光送信部の変形例を示すブロック図である。
図13】第2の実施形態の光伝送システムの構成例を示すブロック図である。
図14】光送信装置の構成例を示すブロック図である。
図15】光受信装置の構成例を示すブロック図である。
図16】光送信装置の変形例である光送信システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。図中に示された矢印は信号等の向きを例示するものであり、信号等の性質の限定を意図しない。また、実施形態及び図面では既出の要素には同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の光伝送システム1の構成例を示すブロック図である。光伝送システム1は、ユーザ機器701、光送信装置100、光受信装置500、ネットワーク機器711及び721を備える。ユーザ機器701は、使用するアプリケーションに応じて、ネットワーク機器711又はネットワーク機器721と通信する。図1はユーザ機器701からネットワーク機器711及び721の方向へのデータ伝送のための構成について記載する。ネットワーク機器711及び721からユーザ機器の方向へのデータ伝送のための構成の記載は省略されている。
【0015】
ユーザ機器701は、ユーザデータを光送信装置100へ送信する。ユーザデータは例えばIP(Internet Protocol)のパケットで伝送されるデータであるが、これには限定されない。ユーザデータは、ユーザデータの宛先となるネットワーク機器711又は721のアドレスを含む。ユーザデータは第1のデータ及び第2のデータの少なくとも一方を含む。第1のデータはユーザ機器701からネットワーク機器711へ伝送されるデータであり、第1のデータの宛先はネットワーク機器711である。第2のデータはユーザ機器701からネットワーク機器721へ伝送されるデータであり、第2のデータの宛先はネットワーク機器721である。光送信装置100は、第1のデータを第1の光信号に変換し、第2のデータを第2の光信号に変換する。第1の光信号及び第2の光信号は、光送信装置100から光受信装置500へ送信される。光送信装置100と光受信装置500との間は光ファイバ等の光伝送路で接続される。
【0016】
光受信装置500は、光伝送路によって光送信装置100と通信可能に接続された光受信機である。光受信装置500は、第1の光信号及び第2の光信号を光送信装置100から受信する。光受信装置500は、第1の光信号から復調した第1のデータをネットワーク機器711へ送信し、第2の光信号から復調した第2のデータをネットワーク機器721に送信する。このようにして、ユーザ機器701が送信した第1のデータはネットワーク機器711に到達し、第2のデータはネットワーク機器721に到達する。
【0017】
ネットワーク機器711及びネットワーク機器721は、それぞれ、ユーザデータの送信先である。ネットワーク機器711は例えばオンラインゲームのサービス又は金融取引サービスを提供するサーバである。ネットワーク機器711との通信では、ユーザからのリクエストを高速に伝送するために、ユーザ機器701からネットワーク機器711への経路にはレイテンシが低いこと(低レイテンシ)が求められる。ネットワーク機器721は、例えば、データベースである。このため、大量のデータを短時間で登録するために、ユーザ機器701からネットワーク機器721への経路には、低レイテンシよりも伝送速度の高さが求められる。すなわち、ネットワーク機器711へ伝送される第1のデータの経路には伝送速度の高さよりも低レイテンシが要求され、ネットワーク機器721へ伝送される第2のデータの経路には低レイテンシよりも伝送速度の高さが求められる。
【0018】
図2は、光送信装置100の構成例を示すブロック図である。光送信装置100は、経路制御部130、第1の光送信部110及び第2の光送信部120を備える。経路制御部130は、ユーザ機器701から受信したユーザデータの宛先毎に関連付けられたレイテンシに応じて、ユーザデータを第1の光送信部110又は第2の光送信部120へ出力する。具体的には、経路制御部130は、低レイテンシが要求されるデータである第1のデータを第1の光送信部110へ出力し、低レイテンシが要求されないデータである第2のデータを第2の光送信部120へ出力する。
【0019】
経路制御部130には、経路テーブルが格納される。経路テーブルは、第1のデータ及び第2のデータについて、それぞれの最終的な伝送先(すなわち、ネットワーク機器711又は721)を示す。経路制御部130は、経路テーブルを参照し、ネットワーク機器711へ伝送されるデータである第1のデータを、第1の光送信部110へ出力する。経路制御部130は、また、ネットワーク機器721へ送信されるデータである第2のデータを、第2の光送信部120へ出力する。
【0020】
なお、図1及び図2において、経路制御部130からネットワーク機器711へ第1のデータが伝送される経路を、第1のチャネルと呼ぶことができる。また、経路制御部130からネットワーク機器712へ第2のデータが伝送される経路を、第2のチャネルと呼ぶことができる。
【0021】
図3は、経路制御部130が備える経路テーブルの例である。経路テーブルは、ユーザデータの宛先情報とユーザデータの出力先との対応を示す。ユーザデータの宛先情報は、例えば、宛先となるネットワーク機器のアドレスである。図3では、ネットワーク機器711のアドレスが「NW711」であり、ネットワーク機器721のアドレスが「NW721」であることを示す。アドレスの形式は、光伝送システム1が処理可能なものであればよい。これらのアドレスは、ユーザデータに含まれる。経路制御部130に入力されたユーザデータの宛先がネットワーク機器711であれば、経路制御部130は、当該データを第1のデータとして第1の光送信部110へ出力する。また、経路制御部130に入力されたユーザデータの宛先がネットワーク機器721であれば、経路制御部130は、当該データを第2のデータとして第2の光送信部120へ出力する。なお、図3の経路テーブルは例であり、経路制御部130は他の手順によってユーザデータの出力先を選択してもよい。例えば、経路制御部130は、宛先がネットワーク機器711であるユーザデータのみを第1のデータとして第1の光送信部110へ出力し、それ以外の宛先のユーザデータを第2のデータとして第2の光送信部120へ出力してもよい。逆に、経路制御部130は、宛先がネットワーク機器721であるユーザデータのみを第2のデータとして第2の光送信部120へ出力し、それ以外の宛先のユーザデータを第1のデータとして第1の光送信部110へ出力してもよい。
【0022】
以上のように、経路制御部130は、ユーザ機器から入力されたユーザデータの宛先であるネットワーク機器711及び721のアドレスを第1の光送信部110及び第2の光送信部120のいずれで処理するかを示す経路テーブルを保持している。そして、経路制御部130は、宛先に応じてユーザデータを第1の光送信部110又は第2の光送信部120に振り分ける。なお、経路テーブルは経路制御部130に予め登録されておいてもよい。また、経路テーブルは、ネットワーク機器711又は721からの指示によって書き換えられてもよい。例えば、ネットワーク機器711又は721は経路制御部130にアクセスする機能を備えてもよい。さらに、ネットワーク機器711又は721は、それぞれが処理可能なユーザデータの宛先を自装置とするように、経路テーブルを設定する機能を備えてもよい。
【0023】
第1の光送信部110及び第2の光送信部120は、入力されたユーザデータにFECのための訂正符号を付加し、訂正符号が付加されたユーザデータを光信号に変換する。具体的には、第1の光送信部110は、第1のデータが低レイテンシで伝送されるように、比較的短い訂正符号を第1のデータに付加する。そして、第1の光送信部110は、比較的伝送速度が低い第1の変調方式を用いて、訂正符号が付加された第1のデータから、第1の光信号を生成する。また、第2の光送信部120は、第1の光送信部110よりも長い訂正符号を第2のデータに付加する。ここで、第1の光送信部110における誤り訂正符号化処理は、第1の誤り訂正符号化処理と呼ぶことができる。また、第2の光送信部120における誤り訂正符号化処理は、第2の誤り訂正符号化処理と呼ぶことができる。
【0024】
訂正符号が長くなるほど誤り訂正能力が向上するため、第2のデータの変調には、第1の変調方式以上の伝送速度を持つ第2の変調方式を採用することができる。従って、第2の光送信部120は、第1の光送信部よりも伝送速度が高い変調方式を用いて第2の光信号を生成する。
【0025】
いいかえれば、第1の誤り訂正符号化処理において第1のデータに付加される訂正符号の長さは、第2の誤り訂正符号化処理において第2のデータに付加される訂正符号の長さ未満である。また、第1の変調方式で変調された第1のデータの伝送速度は、第2の変調方式で変調された第2のデータの伝送速度未満である。
【0026】
図4は、第1の光送信部110及び第2の光送信部120における、信号処理設定の例を示す図である。図4の信号処理設定は、訂正符号の比率と変調方式との組み合わせを。図4における「訂正符号の比率」は、FEC処理後の第1のデータ及び第2のデータにおける訂正符号の占める割合である。すなわち、FEC処理前のデータをkビット、FEC処理において付加される訂正符号をmビットした場合、訂正符号の比率は100×m/(k+m)(%)として求められる。k、mは自然数である。第1の光送信部110は、第1のデータが低レイテンシで伝送されるように、訂正符号の比率を比較的小さい値(7%)とすることで、FEC処理のための演算量を小さくしている。そして、変調方式としては、誤りが生じにくいBPSKやQPSKを採用する。BPSKはBinary Phase Shift Keying、QPSKはQuadrature Phase Shift Keyingの略である。一方、第2の光送信部120は、訂正符号の比率を25%としてFEC処理を行う。訂正符号の比率を第1の光送信部110よりも高くすることで、より強力な誤り訂正能力が得られる。このため、第2の光送信部120では、変調方式として8QAMや16QAMといった、BPSKやQPSKよりも高速な変調方式を採用できる。第1の光送信部110及び第2の光送信部120は、図4に示された信号処理設定に従って動作するように設定される。
【0027】
図5は、第1の光送信部110の構成例を示すブロック図である。第1の光送信部110は、第1のフレーマ111と第1の変調部112とを備える。第1のフレーマ111は、FEC処理を行う。すなわち、第1のフレーマ111は、入力された第1のデータに、訂正符号を付加する。訂正符号の比率の例は図4で説明した。第1の変調部112は所定の波長を持つ光キャリアを生成するための光源、及び光変調器を備える。第1の変調部112は、光源から出力された光キャリアを訂正符号が付加された第1のデータを用いて変調し、変調された光キャリアを第1の光信号として出力する。光源は第1の変調部112の外部にあってもよい。
【0028】
図6は、第2の光送信部120の構成例を示すブロック図である。第2の光送信部120の構成は、第1の光送信部110に準ずる。すなわち、第2の光送信部120は、第2のフレーマ121と第2の変調部122とを備える。第2のフレーマ121は、入力された第2のデータに、図4に例示された比率の訂正符号を付加する。第2の変調部122は、第2の変調部122が備える光源から出力された光キャリアを、訂正符号が付加された第2のデータを用いて変調する。そして、第2の変調部122は、変調された光キャリアを第2の光信号として出力する。
【0029】
第1の変調部112及び第2の変調部122は、それぞれ、第1の変調手段及び第2の変調手段と呼ぶことができる。また、第1の光送信部に設定された変調方式は第1の変調方式と呼ぶことができ、第2の光送信部に設定された変調方式は第2の変調方式と呼ぶことができる。すなわち、第1の変調手段は、第1の変調方式によって変調された第1の光信号を出力する。第2の変調手段は、第2の変調方式によって変調された第2の光信号を出力する。
【0030】
図7は、第1の実施形態の光受信装置500の構成例を示すブロック図である。光受信装置500は、第1の光受信部510及び第2の光受信部520を備える。第1の光受信部510は、第1の光送信部110が送信した第1の光信号を受信する。そして、第1の光受信部510は、受信した第1の光信号から、第1のデータを復調する。復調された第1のデータは、ネットワーク機器711へ送信される。同様に、第2の光受信部520は、第2の光送信部120が送信した第2の光信号を受信する。そして、第2の光受信部520は、受信した第2の光信号から、第2のデータを復調する。復調された第2のデータは、ネットワーク機器721へ送信される。このように、光送信装置100が送信した第1及び第2の光信号は、光受信装置500において独立に復調される。そして、復調された第1及び第2のデータは、それぞれの宛先であるネットワーク機器711又は721へ送信される。
【0031】
すなわち、光受信装置500は、第1の光受信手段と第2の光受信手段とを備える。第1の光受信手段は、第1の光信号から第1のデータを復調する。第2の光受信手段は、第2の光信号から第2のデータを復調する。
【0032】
図8は、第1の光受信部510の構成例を示すブロック図である。第1の光受信部510は、第1の復調部511及び第3のフレーマ512を備える。第1の復調部511は、第1の光信号を第1の電気信号に変換する。第3のフレーマ512は、第1の復調部511から出力された電気信号に対して誤り訂正処理を行い、第1のデータを出力する。第3のフレーマ512における誤り訂正の仕様は、第1のフレーマ111で生成される訂正符号を処理可能なように、予め設定される。第2の光受信部520は、第1の光受信部510と同様の構成を備える。
【0033】
図9は、第2の光受信部520の構成例を示すブロック図である。第2の光受信部520の構成及び第2の光信号に対する機能は、第1の光受信部に準ずる。すなわち、第2の光受信部520は、第2の復調部521及び第4のフレーマ522を備える。第2の復調部521は、第2の光信号を第2の電気信号に変換する。第4のフレーマ522は、第2の復調部521から出力された電気信号に対して誤り訂正処理を行い、第2のデータを出力する。第1の光受信部510と同様に、第4のフレーマ522における誤り訂正の仕様は、第2のフレーマ121で生成される訂正符号を処理可能なように、予め設定される。第1の復調部511及び第2の復調部521は、それぞれ、第1の復調手段及び第2の復調手段の一形態である。
【0034】
図4に示したように、第1の光送信部110が送信する第1の光信号は、伝送速度は比較的低いものの、訂正符号の比率も比較的小さい。このため、第1の光受信部510はFEC処理の負荷が軽く、第1のデータを短時間で復調できる。また、第2の光送信部120が送信する第2の光信号は、第1の光信号と比較して訂正符号の比率が高いものの、伝送速度も高い。このため、第2の光受信部520では、大容量の第2のデータを低い誤り率で復調できる。
【0035】
以上説明したように、光送信装置100は、第1の光送信部110と第2の光送信部120とを備える。第1の光送信部110は、訂正符号を短くすることで低レイテンシ通信を実現する。第2の光送信部120は、高速な変調方式によって高い伝送速度を実現する。そして、ユーザ機器701からネットワーク機器711又は721へユーザデータを伝送する場合に、経路制御部130に経路テーブルを設定することにより、ユーザデータに要求されるレイテンシに応じた処理をユーザデータに施すことができる。
【0036】
このように、光送信装置100及び光伝送システム1は、ユーザ機器が送信したユーザデータを、それぞれの宛先の機器に向けて伝送できる。そして、必要とされるレイテンシ又は伝送速度に応じたFEC符号化及び変調方式を、ユーザの宛先に応じて選択できる。すなわち、光伝送システム1は、データの伝送に要求されるレイテンシに応じた処理をデータに施すことができる。
【0037】
(光送信装置100の最小構成)
光送信装置100において、第1の光送信部110及び第2の光送信部120は、いずれも、光送信手段の一形態である。また、経路制御部130は、経路制御手段の一形態である。また、光送信装置100において実行されるFEC処理は、誤り訂正符号化処理の一例である。
【0038】
従って、第1の実施形態の光送信装置100は、図2の参照符号を括弧内に用いて、以下のようにも記載できる。すなわち、最小構成の光送信装置(100)は、経路制御手段(130)、第1の光送信手段(110)及び第2の光送信手段(120)を備える。経路制御手段(130)は、宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、宛先情報を含むユーザデータを、第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力する。 ユーザデータが前記第1のチャネルへ出力された場合、第1の光送信手段(110)は、ユーザデータを第1のデータとして扱う。そして、第1の光送信手段(110)は、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式によって第1のデータを第1の光信号に変換し、第1の光信号を送信する。ユーザデータが前記第2のチャネルへ出力された場合、第2の光送信手段(120)は、ユーザデータを第1のデータとして扱う。そして、第2の光送信手段(120)は、第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理、及び、第1の変調方式とは異なる第2の変調方式によって第2のデータを第2の光信号に変換し、第2の光信号を送信する。
【0039】
このような最小構成の光送信装置(100)も、データの伝送に要求されるレイテンシに応じた処理をデータに施すことができる。その理由は、最小構成の光送信装置(100)は、宛先情報に基づいて、入力されたユーザデータを第1のデータ又は第2のデータとして扱い、それぞれに対して異なる誤り訂正符号化処理及び異なる変調方式による変調を施すからである。
【0040】
(第1の実施形態の第1の変形例)
図10は、光送信装置100の変形例である光送信システム300を示すブロック図である。光送信システム300は、光送信装置101と、経路制御装置131とを備える。光送信システム300は、光送信装置100が備える経路制御部130を、光送信装置100の外部に経路制御装置131として配置したものである。経路制御装置131の機能は経路制御部130と同様である。このため、本実施形態において、光送信装置100に代えて光送信システム300を用いても、同様の効果が得られる。また、ルータ等の既設の通信機器に図3に例示した経路テーブルを適用することで、既設の通信機器に経路制御装置131の機能を持たせてもよい。このように構成された光送信システム300も、光送信装置100と同様の効果を得ることができる。
【0041】
(第1の実施形態の第2の変形例)
図11は、第1の光送信部110の変形例である第1の光送信部110Aの構成例を示すブロック図である。第1の光送信部110Aは、第1の光送信部110に、第1の光電気変換部113を加えた構成を備える。例えば、図10の経路制御装置131が光送信装置101へ第1のデータを光信号として出力する場合に、第1の光送信部110Aを第1の光送信部110に代えて用いることができる。また、図12に示す第2の光送信部120Aも、第2の光送信部120に第2の光電気変換部123を加えた構成を備える。従って、例えば、図10の経路制御装置131が光送信装置101へ第2のデータを光信号として出力する場合に、第2の光送信部120Aを第2の光送信部120に代えて用いることができる。第1の光電気変換部113及び第2の光電気変換部123は、それぞれ、第1の光電気変換手段及び第2の光電気変換手段の一形態である。第1の光電気変換手段は、第1のデータを電気信号に変換して第1のフレーマ111へ出力する。第2の光電気変換手段は、第2のデータを電気信号に変換して第2のフレーマ121へ出力する。
【0042】
本実施形態では、光送信装置100と光受信装置500とが対向する光伝送システム1について説明した。しかし、本実施形態の構成は、光送受信装置が対向する、双方向の光伝送システムにも適用できる。この場合、第1の光送信部110、第2の光送信部120、第1の光受信部510及び第2の光受信部520を、いずれも光トランスポンダ(光送受信機)で置き換えてもよい。このような構成では、ユーザ機器701からネットワーク機器711へのレイテンシの低減により、ユーザ機器701とネットワーク機器711との間のRTT(Round Trip Time)の低減が可能となる。
【0043】
(第2の実施形態)
図13は、本発明の第2の実施形態の光伝送システム2の構成例を示すブロック図である。光伝送システム2は、第1の実施形態の光伝送システム1と比較して、光送信装置102及び光受信装置501を備える。光送信装置102は光送信装置100に代えて用いられ、光受信装置501は光受信装置500に代えて用いられる。光伝送システム2では光送信装置102と光受信装置501との間は波長多重光信号で伝送される。このため、光送信装置102において、第1の光信号の波長(第1の波長)と第2の光信号の波長(第2の波長)とは異なる。波長多重光信号を、以下ではWDM(Wavelength Division Multiplexing)信号と記載する。WDM信号は、第1の光信号と第2の光信号とが波長多重された光信号である。
【0044】
図14は、本実施形態の光送信装置102の構成例を示すブロック図である。光送信装置102は、図2に示した光送信装置100に、光合波部140を加えた構成を備える。光合波部140は、例えば、誘電体多層膜フィルタによって、第1の光信号と第2の光信号とを波長多重する。第1の光信号及び第2の光信号は、光送信装置102から光受信装置501へ、WDM信号として送信される。光合波部140は、波長が異なる光信号を波長多重するために用いられる光合波手段の一例である。
【0045】
図15は、光受信装置501の構成例を示すブロック図である。光受信装置501は、図7に示した光受信装置500に、光分波部540を加えた構成を備える。光分波部540は、例えば、誘電体多層膜フィルタによって、WDM信号を第1の光信号と第2の光信号に波長分離する。波長分離された第1の光信号は第1の光受信部510に入力され、第2の光信号は第2の光受信部520に入力される。第1の光受信部510は、第1のデータを復調する。復調された第1のデータは、ネットワーク機器711へ送信される。同様に、第2の光受信部520は、第2のデータを復調する。復調された第2のデータは、ネットワーク機器721へ送信される。このように、光送信装置102が送信した第1及び第2の光信号は、光受信装置501において、光受信装置500と同様の手順によって復調される。そして、復調された第1のデータは、その宛先であるネットワーク機器711へ送信される。また、復調された第2のデータは、その宛先であるネットワーク機器721に送信される。
【0046】
このような構成を備える、光送信装置102及び光伝送システム2も、第1の実施形態の光送信装置100及び光伝送システム1と同様に、データの伝送に要求されるレイテンシに応じた処理をデータに施すことができる。
【0047】
(第2の実施形態の変形例)
図16は、光送信装置102の変形例である光送信システム301を示すブロック図である。光送信システム301は、光送信装置101、経路制御装置131、及び光合波装置141を備える。光送信システム301は、光送信装置102が備える経路制御部130及び光合波部140を、それぞれ、経路制御装置131及び光合波装置141として光送信装置102の外部に配置したものである。経路制御装置131の機能は経路制御部130と同様であり、光合波装置141の機能は光合波部140と同様である。このため、第2の実施形態において、光送信装置102に代えて光送信システム301を用いても、光送信装置102及び光伝送システム2と同様の効果が得られる。
【0048】
なお、本発明の実施形態は以下の付記のようにも記載されうるが、これらには限定されない。
【0049】
(付記1)
宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、前記宛先情報を含むユーザデータを、第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力する経路制御手段と、
前記ユーザデータが前記第1のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第1のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式によって前記第1のデータを第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を送信する第1の光送信手段と、
前記ユーザデータが前記第2のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第2のデータとして扱い、前記第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理、及び、前記第1の変調方式とは異なる第2の変調方式によって前記第2のデータを第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を送信する第2の光送信手段と、
を備える光送信装置。
【0050】
(付記2)
前記第1の誤り訂正符号化処理において前記第1のデータに付加される訂正符号の長さは前記第2の誤り訂正符号化処理において前記第2のデータに付加される訂正符号の長さ未満であり、
前記第1の変調方式で変調された前記第1のデータの伝送速度は、前記第2の変調方式で変調された前記第2のデータの伝送速度未満である、
付記1に記載された光送信装置。
【0051】
(付記3)
前記第1の光信号は第1の波長を持つ光信号であり、前記第2の光信号は前記第1の波長とは異なる第2の波長を持つ光信号である、付記1又は2に記載された光送信装置。
【0052】
(付記4)
前記第1の光信号と前記第2の光信号とを波長多重する光合波手段を備える、付記3に記載された光送信装置。
【0053】
(付記5)
前記第1の光送信手段は、
前記第1の誤り訂正符号化処理を行う第1のフレーマと、
前記第1の誤り訂正符号化処理を受けた前記第1のデータを用いて、前記第1の変調方式で変調された前記第1の光信号を出力する第1の変調手段と、備え、
前記第2の光送信手段は、
前記第2の誤り訂正符号化処理を行う第2のフレーマと、
前記第2の誤り訂正符号化処理を受けた前記第2のデータを用いて、前記第2の変調方式で変調された前記第2の光信号を出力する第2の変調手段と、を備える、
付記1乃至4のいずれか1項に記載された光送信装置。
【0054】
(付記6)
前記第1のデータ及び前記第2のデータはいずれも光信号であり、
前記第1の光送信手段は、前記第1のデータを電気信号に変換して前記第1のフレーマへ出力する第1の光電気変換手段を備え、
前記第2の光送信手段は、前記第2のデータを電気信号に変換して前記第2のフレーマへ出力する第2の光電気変換手段を備える、
付記5に記載された光送信装置。
【0055】
(付記7)
光送信装置と光受信装置とが通信可能に接続された光伝送システムであって、
前記光送信装置は、
宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、前記宛先情報を含むユーザデータを、第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力する経路制御手段と、
前記ユーザデータが前記第1のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第1のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式によって前記第1のデータを第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を送信する第1の光送信手段と、
前記ユーザデータが前記第2のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第2のデータとして扱い、前記第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理、及び、前記第1の変調方式とは異なる第2の変調方式によって前記第2のデータを第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を送信する第2の光送信手段と、
を備え、
前記光受信装置は、
前記第1の光信号から前記第1のデータを復調する第1の光受信手段と、
前記第2の光信号から前記第2のデータを復調する第2の光受信手段と、
を備える、
光伝送システム。
【0056】
(付記8)
前記第1の光受信手段は、
前記第1の光信号を第1の電気信号に変換する第1の復調手段と、
前記第1の電気信号の誤り訂正処理を行い、前記第1のデータを出力する第3のフレーマと、を備え、
前記第2の光受信手段は、
前記第2の光信号を第2の電気信号に変換する第2の復調手段と、
前記第2の電気信号の誤り訂正処理を行う、前記第2のデータを出力する第4のフレーマと、を備える、
付記7に記載された光伝送システム。
【0057】
(付記9)
宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、前記宛先情報を含むユーザデータを、第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力し、
前記ユーザデータが前記第1のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第1のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式によって前記第1のデータを第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を送信し、
前記ユーザデータが前記第2のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第2のデータとして扱い、前記第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理、及び、前記第1の変調方式とは異なる第2の変調方式によって前記第2のデータを第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を送信する、
ことを特徴とする光送信方法。
【0058】
(付記10)
前記第1の誤り訂正符号化処理において前記第1のデータに付加される訂正符号の長さは前記第2の誤り訂正符号化処理において前記第2のデータに付加される訂正符号の長さ未満であり、
前記第1の変調方式で変調された前記第1のデータの伝送速度は、前記第2の変調方式で変調された前記第2のデータの伝送速度未満である、
付記9に記載された光送信方法。
【0059】
(付記11)
前記第1の光信号は第1の波長を持ち、前記第2の光信号は前記第1の波長とは異なる第2の波長を持つ、付記9又は10に記載された光送信方法。
【0060】
(付記12)
前記第1の光信号と前記第2の光信号とを波長多重する手順をさらに含む、付記11に記載された光送信方法。
【0061】
(付記13)
光送信装置のコンピュータに、
宛先情報に含まれる宛先毎に関連付けられたレイテンシに基づいて、前記宛先情報を含むユーザデータを、第1のチャネル又は第2のチャネルへ出力する手順、
前記ユーザデータが前記第1のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第1のデータとして扱い、第1の誤り訂正符号化処理及び第1の変調方式によって前記第1のデータを第1の光信号に変換し、前記第1の光信号を送信する手順、
前記ユーザデータが前記第2のチャネルへ出力された場合、前記ユーザデータを第2のデータとして扱い、前記第1の誤り訂正符号化処理とは異なる第2の誤り訂正符号化処理、及び、前記第1の変調方式とは異なる第2の変調方式によって前記第2のデータを第2の光信号に変換し、前記第2の光信号を送信する手順、
を実行させるための光送信装置のプログラム。
【0062】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、本発明は、光海底ケーブルシステムや陸上の光伝送システムに適用される。また、各実施形態における光送信装置の説明は、光伝送装置を含む光伝送システムの発明及び光伝送装置を用いた光送信方法の発明をも開示する。
【0063】
また、それぞれの実施形態に記載された構成は、必ずしも互いに排他的なものではない。本発明の作用及び効果は、上述の実施形態の全部又は一部を組み合わせた構成によって実現されてもよい。
【0064】
以上の各実施形態に記載された各光送信装置、経路制御部130及び経路制御装置131の機能及び手順は、それぞれの機器が備える中央処理装置(central processing unit、CPU)がプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムは、固定された、一時的でない記録媒体に記録される。記録媒体としては半導体メモリ又は固定磁気ディスク装置が用いられるが、これらには限定されない。
【符号の説明】
【0065】
1、2 光伝送システム
100、101、102 光送信装置
110、110A 第1の光送信部
111 第1のフレーマ
112 第1の変調部
113 第1の光電気変換部
120、120A 第2の光送信部
121 第2のフレーマ
122 第2の変調部
123 第2の光電気変換部
130 経路制御部
131 経路制御装置
140 光合波部
141 光合波装置
300、301 光送信システム
500、501 光受信装置
510 第1の光受信部
511 第1の復調部
512 第3のフレーマ
520 第2の光受信部
540 光分波部
701 ユーザ機器
711、721 ネットワーク機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16