(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103117
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】情報処理システム、及び、提案方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240725BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007281
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】森 幹太
(72)【発明者】
【氏名】森 恵一
(72)【発明者】
【氏名】脇 匡史
(72)【発明者】
【氏名】高沢 修
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 渉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】環境負荷の軽減等に関心があるユーザに対して、車両のバッテリの劣化抑制の提案を的確に行う。
【解決手段】情報処理システム1は、バッテリ60を備える車両のユーザPによる電気の使用に関する情報を取得する情報取得部2と、この取得された情報に基づいてユーザPの省エネ志向を判定する判定部3と、この判定の結果に基づく提案をユーザPに対して報知する報知部4と、を備える。判定部3にてユーザPが省エネ志向を有すると判定された場合に、報知部4は、バッテリ60の劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御(例えばバッテリ温調制御)の実行を提案する報知を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを備える車両のユーザによる電気の使用に関する情報を取得する情報取得部と、
取得された前記情報に基づいて前記ユーザの省エネ志向を判定する判定部と、
前記判定の結果に基づく提案を前記ユーザに対して報知する報知部と、
を備え、
前記判定部にて前記ユーザが省エネ志向を有すると判定された場合に、前記報知部は、前記バッテリの劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御の実行を提案する報知を行う、情報処理システム。
【請求項2】
前記バッテリ劣化抑制制御は、前記バッテリの温調制御を含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記情報は、家庭用電気機器用のバッテリの充放電履歴に関する情報、及び/又は、情報端末用のバッテリの充放電履歴に関する情報、を含む、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報は、家庭用電気機器の消費電力を抑制する省エネモードが選択されているか否かに関する情報、及び/又は、情報端末の消費電力を抑制する省エネモードが選択されているか否かに関する情報、を含み、
前記判定部は、前記省エネモードが選択されている場合に、前記ユーザが省エネ志向を有すると判定する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記情報は、家庭用電気機器及び/又は情報端末の消費電力に関する情報を含み、
前記判定部は、前記消費電力が所定値以下である場合に、前記ユーザが省エネ志向を有すると判定する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記報知部は情報端末の表示部であり、
前記判定部にて前記ユーザが省エネ志向を有すると判定された場合に、前記表示部は、前記バッテリ劣化抑制制御の実行を提案する表示を行う、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
バッテリを備える車両のユーザによる電気の使用に関する情報を取得すること、
取得された前記情報に基づいて前記ユーザの省エネ志向を判定すること、及び、
省エネ志向を有すると判定された前記ユーザに対して、前記バッテリの劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御の実行を提案すること、
を含む、提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを備える車両のユーザに対して、当該バッテリの劣化抑制制御の実行を提案することが可能な情報処理システム、及び、当該提案を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車(EV:Electric Vehicle)等の車両には、その駆動源としての電動モータと、この電動モータに電力を供給するバッテリ(蓄電池)とが搭載されている。この点、特許文献1には、車両に搭載されたバッテリの温調(温度調整)を行うことでバッテリの劣化を抑制する技術の一例が開示されている(例えば特許文献1の段落0167等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、当該車両については、バッテリの劣化抑制を目的としたバッテリの温調を行うか否かをユーザが選択できるように構成され得る。この点、仮にユーザが当該バッテリの温調を行わないほうを選択している場合には、バッテリの劣化が過度に進行しかねない。これは、バッテリの短寿命化、更には、バッテリを備える車両全体の短寿命化を招きかねず、環境負荷の軽減等に逆行するものである。
【0005】
そこで、本発明は、環境負荷の軽減等に関心があるユーザに対して、車両のバッテリの劣化抑制の提案を的確に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、情報処理システムが提供される。情報処理システムは、バッテリを備える車両のユーザによる電気の使用に関する情報を取得する情報取得部と、取得された前記情報に基づいてユーザの省エネ志向を判定する判定部と、前記判定の結果に基づく提案をユーザに対して報知する報知部と、を備える。判定部にてユーザが省エネ志向を有すると判定された場合に、報知部は、バッテリの劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御の実行を提案する報知を行う。
【0007】
本発明の別の側面によると、提案方法が提供される。提案方法は、バッテリを備える車両のユーザによる電気の使用に関する情報を取得すること、取得された前記情報に基づいてユーザの省エネ志向を判定すること、及び、省エネ志向を有すると判定されたユーザに対して、バッテリの劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御の実行を提案すること、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、環境負荷の軽減等につながり得る省エネを志向するユーザに対して、車両のバッテリの劣化抑制の提案を的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る情報処理システムのブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図3】同上実施形態における提案方法を示すフローチャートである。
【
図4】同上実施形態における携帯端末の表示部の表示例を示す図である。
【
図5】同上実施形態における携帯端末の表示部の表示例を示す図である。
【
図6】同上実施形態におけるバッテリ温調システムの概略構成を示す図である。
【
図7】同上実施形態におけるバッテリ温調システムの制御部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る情報処理システム1のブロック図である。
情報処理システム1は情報取得部2と判定部3と報知部4とを備える。情報取得部2は、バッテリ60(後述する
図6参照)を備える車両のユーザPによる電気(電力)の使用に関する情報(電気使用関連情報)を取得する。判定部3は、情報取得部2にて取得された情報(電気使用関連情報)に基づいてユーザPの省エネ志向を判定する。報知部4は、判定部3での判定結果に基づく提案を、ユーザPに対して報知する。本発明において、報知部4は、判定部3にてユーザPが省エネ志向を有すると判定された場合に、バッテリ60の劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御(例えばバッテリ温調制御)を実行する提案をユーザPに対して報知する。
【0012】
ここにおいて、車両のユーザPとしては、車両の単なる使用者のみならず、例えば車両の所有者が含まれ得る。「ユーザPが省エネ志向を有する」とは、例えば、ユーザPが省エネを重視する傾向が有ることを意味する。前述の「電気使用関連情報」には、ユーザPによる電気の使用傾向(電気の使い方)に関する情報が含まれ得る。以下では、バッテリ60を備える車両の一例として電気自動車(EV)を挙げて説明する。このバッテリ60は、当該車両に搭載された駆動源としての電動モータに電力を供給する。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態における情報処理システム1の概略構成を示す。
情報処理システム1は、ユーザPの宅内(ユーザ宅H内)に設けられた機器管理装置10と、サーバ20と、ユーザPによって操作される携帯端末30とを備える。機器管理装置10、サーバ20、及び携帯端末30は、1つ以上の通信ネットワークNを介して相互に接続されている。通信ネットワークNは、1つ以上の有線ネットワーク及び/又は1つ以上の無線ネットワークによって構成されている。携帯端末30は、例えばスマートフォンなどの携帯電話やタブレット型端末等の携帯型の情報端末(information device)であり得る。
【0014】
機器管理装置10は、ユーザPに関連付けられている(例えば、機器管理装置10がユーザPに関連付けられていることがサーバ20側及び携帯端末30側から認識できるようになっている)。携帯端末30についてもユーザPに関連付けられている(例えば、携帯端末30がユーザPに関連付けられていることが機器管理装置10側及びサーバ20側から認識できるようになっている)。尚、携帯端末30は、例えばユーザPの所有物であり得る。
【0015】
機器管理装置10は、ユーザ宅H内(家庭内)における電気やガス等のエネルギーの使用状況等を管理するシステム(HEMS:Home Energy Management System)を構成する。機器管理装置10は、ユーザ宅H内の1つ以上の管理対象機器6に、図示しない通信ネットワークを介して接続されている。機器管理装置10は、管理対象機器6ごとのエネルギーの使用状況をモニタ13で表示したり、管理対象機器6の作動を制御したりすることが可能なように構成されている。ここにおいて、携帯端末30には、HEMSアプリがインストールされている。ゆえに、ユーザPが携帯端末30のHEMSアプリを起動させることで、ユーザPは、管理対象機器6ごとのエネルギーの使用状況を携帯端末30の表示部33で確認したり、管理対象機器6の作動を携帯端末30から制御したりすることができる。
【0016】
本実施形態では、
図2にて5つの管理対象機器6が図示されているが、管理対象機器6の個数は5つに限らず、1つ以上の任意の個数であり得る。
管理対象機器6には、家庭用電気機器(いわゆる「家電」)が含まれ得る。家庭用電気機器の例としては、照明機器、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、掃除機、テレビ等を挙げることができる。また、管理対象機器6には、携帯端末30やパソコン等の情報端末に内蔵されたバッテリを充電するための充電器や、コードレス掃除機等の家庭用電気機器の駆動用バッテリを充電するための充電器も含まれ得る。更に、管理対象機器6には、携帯端末30やパソコン等の情報端末自体も含まれ得る。
【0017】
機器管理装置10のモニタ13や携帯端末30の表示部33にて確認可能な「管理対象機器6ごとのエネルギーの使用状況に関する情報(エネルギー使用状況情報)」としては、例えば、以下の情報が含まれ得る。
〔1〕管理対象機器6のON/OFF情報を含む、管理対象機器6の消費電力に関する情報(消費電力情報)
〔2〕管理対象機器6にて省エネモードが選択されているか否かに関する情報(省エネモード情報)
〔3〕管理対象機器6で用いられるバッテリの充放電履歴に関する情報(充放電履歴情報)
ここにおいて、管理対象機器6にて省エネモードが選択されている場合には、例えば管理対象機器6の待機時等に、通常運転モード(換言すれば、通常作動モード)に比べて消費電力を抑制することができ、ひいては、省エネを実現することができる。尚、ここでの省エネモードには、エコモード(登録商標)と称されるものが含まれ得る。
【0018】
機器管理装置10は、制御部11と送受信部12とモニタ13とを有する。制御部11は機器管理装置10における各種処理を実行する機能を有し、また、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等を備える。制御部11では、各管理対象機器6から送受信部12を介して受信した各種情報(前述のエネルギー使用状況情報を含む)を、RAMで一時記憶することができる。送受信部12は、制御部11に記憶された各種情報(前述のエネルギー使用状況情報を含む)を通信ネットワークNに送信することができる。
【0019】
サーバ20は、制御部21と送受信部22とを有する。制御部21はサーバ20における各種処理を実行する機能を有し、また、CPU、ROM、RAM、ハードディスク等を備える。制御部21では、通信ネットワークNから送受信部22を介して受信した各種情報(前述のエネルギー使用状況情報を含む)を、RAMで一時記憶することができる。また、制御部21では、当該各種情報(前述のエネルギー使用状況情報を含む)に基づいて、ユーザPが省エネ志向を有するか否かを判定する処理を実行する機能を有する。送受信部22は、制御部11に記憶された各種情報(前述のエネルギー使用状況情報と、前述の省エネ志向の判定結果に関する情報とを含む)を通信ネットワークNに送信することができる。
【0020】
携帯端末30は、制御部31と送受信部32と表示部33とを有する。制御部31は携帯端末30における各種処理を実行する機能を有し、また、図示しない処理部及び記憶部等を備える。制御部31では、通信ネットワークNから送受信部32を介して受信した各種情報(前述のエネルギー使用状況情報と、前述の省エネ志向の判定結果に関する情報とを含む)を記憶部で一時記憶することができる。この記憶部で一時記憶されている各種情報は、表示部33にて表示される(例えば、画面表示される)。ここで、表示部33は、タッチパネルとしても機能し得る。従って、携帯端末30にてHEMSアプリを起動させた状態で、ユーザPによって表示部33のタッチパネルを操作することで、管理対象機器6の作動を制御することができる。尚、ユーザPによる携帯端末30の操作状況については、通信ネットワークNを介して機器管理装置10の制御部11及びサーバ20の制御部21にて把握できるようになっている。
【0021】
ここにおいて、サーバ20(特に制御部21)によって前述の情報取得部2及び判定部3の機能が実現され得る。また、携帯端末30(特に表示部33)によって前述の報知部4の機能が実現され得る。前述のエネルギー使用状況情報は、前述の電気使用関連情報に対応し得るものであり、この電気使用関連情報は、前述の〔1〕~〔3〕に記載の、消費電力情報、省エネモード情報、及び、充放電履歴情報を含み得る。これらの情報についても、ユーザPに関連付けられている(例えば、これらの情報がユーザPに関連付けられていることが機器管理装置10側、サーバ20側、及び携帯端末30側から認識できるようになっている)。このユーザPとの関連付けに関する点は、前述の省エネ志向の判定結果に関する情報についても同様である。
【0022】
次に、バッテリ60を備える車両のユーザPに対して、当該車両のバッテリ60の劣化抑制の提案を行う方法について、前述の
図1及び
図2に加えて、
図3~
図5を用いて説明する。
図3は、本実施形態における提案方法を示すフローチャートである。
図4及び
図5は、それぞれ、携帯端末30の表示部33の表示例を示す。ここで、
図4及び
図5では、携帯端末30がスマートフォンである例を示している。
【0023】
図3に示す提案方法は、所定の周期で(例えば数か月おきに)又は所定のタイミングで(例えば携帯端末30の再起動時に)実施され得る。
【0024】
まず、ステップS1にて、携帯端末30にてHEMSアプリを起動させた状態で、ユーザPによって、ユーザ宅Hの電気料金(例えば月額)の確認をする操作が行われると、サーバ20の制御部21は、ユーザPが電気料金に興味があると判断して、ステップS2に進む。
【0025】
ステップS2では、サーバ20の制御部21(情報取得部2)によって、前述の電気使用関連情報(エネルギー使用状況情報)が取得される。
【0026】
次に、ステップS3では、サーバ20の制御部21(判定部3)にて、前述の電気使用関連情報(エネルギー使用状況情報)に基づいて、ユーザPが省エネ志向を有するか否か(換言すれば、ユーザPの省エネ志向が所定のレベル以上であるか否か)を判定する。
【0027】
ここで、ステップS2~S3における処理の具体例について説明する。
【0028】
〔具体例1〕
ステップS2にて管理対象機器6の消費電力情報が取得されると、ステップS3では、例えば、管理対象機器6の消費電力の測定値(例えば所定期間における平均値)を所定値と比較し、当該消費電力の測定値が所定値以下であれば、ユーザPが省エネ志向を有すると判定する。一方、当該消費電力の測定値が所定値を上回っていれば、ユーザPが省エネ志向を有さないと判定する。ここでの管理対象機器6には、前述した家庭用電気機器及び情報端末が含まれ得る。
【0029】
〔具体例2〕
ステップS2にて管理対象機器6の消費電力情報として管理対象機器6のON/OFF情報が取得されると、ステップS3では、例えば、ユーザPが管理対象機器6のON/OFF(電源の入切)をこまめに行うか否かを、管理対象機器6のON/OFFの頻度の測定値と所定の閾値とを比較することで判定し、当該頻度の測定値が所定の閾値未満であれば、ユーザPが省エネ志向を有すると判定する。一方、当該頻度の測定値が所定の閾値以上であれば、ユーザPが省エネ志向を有さないと判定する。ここでの管理対象機器6には、例えば、照明機器、エアコン、テレビ等が含まれ得る。
【0030】
〔具体例3〕
ステップS2にて管理対象機器6の省エネモード情報が取得されると、ステップS3では、例えば、管理対象機器6にて省エネモードが選択されているか否かを判定し、省エネモードが選択されていれば、ユーザPが省エネ志向を有すると判定する。一方、省エネモードが選択されていなければ、ユーザPが省エネ志向を有さないと判定する。ここでの管理対象機器6には、例えば、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、情報端末(携帯端末やパソコン等)が含まれ得る。
【0031】
〔具体例4〕
ステップS2にて、管理対象機器6用のバッテリの充放電履歴情報が取得されると、ステップS3では、例えば、ユーザPが管理対象機器6用のバッテリの充放電を過度に行っているか否かを、管理対象機器6用のバッテリの充放電の頻度の測定値と所定の閾値とを比較することで判定し、当該頻度の測定値が所定の閾値未満であれば、ユーザPが管理対象機器6用のバッテリの長寿命化に関心があると判断して、ユーザPが省エネ志向を有すると判定する。一方、当該頻度の測定値が所定の閾値以上であれば、ユーザPが省エネ志向を有さないと判定する。ここでの管理対象機器6には、例えば、コードレス掃除機や情報端末(携帯端末やパソコン等)及びこれらのための充電器が含まれ得る。
【0032】
〔具体例5〕
ステップS2にて、管理対象機器6用のバッテリの充放電履歴情報が取得されると、ステップS3では、例えば、ユーザPが管理対象機器6用のバッテリの充放電を所定の範囲内(例えばバッテリ残量が20%~80%である範囲内)で行っているか否かを判定し、当該範囲内で充放電を行っていれば、ユーザPが管理対象機器6用のバッテリの長寿命化に関心があると判断して、ユーザPが省エネ志向を有すると判定する。一方、当該範囲外で充放電を行っていれば、ユーザPが省エネ志向を有さないと判定する。ここでの管理対象機器6には、例えば、コードレス掃除機や情報端末(携帯端末やパソコン等)及びこれらのための充電器が含まれ得る。
【0033】
ステップS2~S3における処理では、前述の具体例1~5のいずれか1つを採用してもよいし、又は、前述の具体例1~5のうちのいくつかを組み合わせてもよい。例えば、ステップS2~S3における処理において、前述の具体例1~5のすべてを組み合わせて用いる場合には、当該5つの具体例のうち「ユーザPが省エネ志向を有する」と判定されたものが3つ以上であるときに全体として「ユーザPが省エネ志向を有する」と判定する一方、当該5つの具体例のうち「ユーザPが省エネ志向を有する」と判定されたものが2つ以下であるときに、全体として「ユーザPが省エネ志向を有さない」と判定してもよい(すなわち、多数決のようにして全体的な判定を行ってもよい)。また当該組み合わせが行われる際には、組み合わされる具体例ごとに重みづけを行ってもよい。
【0034】
ステップS3にてユーザPが省エネ志向を有すると判定されると、ステップS4に進み、携帯端末30の表示部33での表示(報知部4での報知)によって、ユーザPに対して、車両のバッテリ60の劣化抑制制御の実行を提案する。この提案の一例が
図4及び
図5に示されている。
【0035】
この提案では、まず
図4に示すように、「EVのバッテリも使い方や管理方法によって劣化が早まります。バッテリの寿命を延ばすために今よりも良いバッテリ温度管理を行いますか?」という記載がなされたメッセージM1と、「はい」という記載がなされたボタンPB1と、「いいえ」という記載がなされたボタンPB2とが表示部33に表示される。つまり、
図4は、車両のバッテリ60の劣化抑制制御の実行をユーザPに対して提案することの一例として、車両のバッテリ60の温調制御(温度調整制御)の実行をユーザPに対して提案することを示している。
【0036】
ユーザPによってボタンPB1(「はい」)が押下されると、
図5に示すように、「バッテリ温調を行うには『バッテリ温調設定』ボタンを押下してください。」という記載のメッセージM2が表示部33に表示される。つまり、ユーザPに対して、車両のバッテリ60の温調制御を実行するためのガイダンスが表示される。このガイダンスでは、車両内における『バッテリ温調設定』ボタンの位置を図示してもよい。
図5に示す、「OK」と記載されたボタンPB3が押下されると、前述のガイダンス表示が終了する。
【0037】
一方、ユーザPによってボタンPB2(「いいえ」)が押下されると、
図5に示すようなガイダンス表示が行われることなく、ユーザPへの提案が終了する。
【0038】
尚、ステップS3にてユーザPが省エネ志向を有しない(換言すれば、ユーザPの省エネ志向が所定のレベル未満である)と判定されると、
図4及び
図5に示すようなユーザPへの提案が行われることなく終了する。
【0039】
ここで、車両のバッテリ60の劣化抑制制御の一例である、車両のバッテリ60の温調制御について、
図6及び
図7を用いて説明する。
【0040】
図6は、バッテリ温調システム50の概略構成を示す。
図7は、バッテリ温調システム50の制御部55を示すブロック図である。
【0041】
バッテリ温調システム50は、車両のバッテリ60の温調を行うために当該車両に搭載されている。バッテリ温調システム50は、バッテリ60に熱媒体を循環させることでバッテリ60の温度を調整する。バッテリ温調システム50は、バッテリ60に熱媒体を循環させるための循環ポンプ51と、熱媒体の熱を放熱させるための熱交換器52とを備える。循環ポンプ51及び熱交換器52とバッテリ60とは熱媒体配管53にて環状に接続されている。ここでの熱媒体としては、例えば、水、HFO-1234yfのような冷媒、クーラント等の液体、空気等の気体が採用可能である。
【0042】
また、バッテリ温調システム50は、バッテリ60の温調制御を行うための制御部55と、バッテリ60の温度を測定する温度センサ56とを有している。そして、例えば、ユーザPによって車両内の前述の『バッテリ温調設定』ボタンが押下されると、制御部55は、バッテリ60の温度が所定の温度以下になるように循環ポンプ51の作動を制御することで、バッテリ60の劣化抑制制御を行う。これにより、バッテリ60の高温による劣化を抑制することができる。
【0043】
尚、バッテリ温調システム50の構成については、前述の態様に限らない。例えば、バッテリ温調システム50は、バッテリ60を冷却(空冷)するための冷却ファンを備え、制御部55が当該冷却ファンの作動を制御するように構成されていてもよい。また、バッテリ60の低温による劣化を抑制する必要がある場合には、バッテリ60を昇温するために電気ヒータ等の加温装置をバッテリ温調システム50に追加し、当該加温装置の作動を制御部55によって制御してもよい。
【0044】
本実施形態によれば、情報処理システム1は、バッテリ60を備える車両のユーザPによる電気の使用に関する情報(電気使用関連情報)を取得する情報取得部2と、この取得された情報(電気使用関連情報)に基づいてユーザPの省エネ志向を判定する判定部3と、この判定の結果に基づく提案をユーザPに対して報知する報知部4と、を備える。判定部3にてユーザPが省エネ志向を有すると判定された場合に、報知部4は、バッテリ60の劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御の実行を提案する報知を行う(
図3のステップS3~S4、
図4及び
図5参照)。これにより、環境負荷の軽減等につながり得る省エネを志向するユーザPに対して、バッテリ60の劣化抑制の提案を的確に行うことができる。
【0045】
また本実施形態によれば、バッテリ60の劣化抑制制御は、バッテリ60の温調制御を含む(
図3のステップS4、
図4及び
図5参照)。ゆえに、バッテリ60の高温による劣化を抑制することができ、ひいては、バッテリ60の長寿命化を実現することができる。
【0046】
また本実施形態によれば、情報取得部2で取得される電気使用関連情報は、管理対象機器6(家庭用電気機器及び/又は情報端末)で用いられるバッテリの充放電履歴に関する情報(充放電履歴情報)を含む(前述の具体例4,5参照)。従って、ユーザPによる管理対象機器6用のバッテリの使い方に基づいて、ユーザPの省エネ志向を容易に判定することができる。
【0047】
また本実施形態によれば、情報取得部2で取得される電気使用関連情報は、管理対象機器6(家庭用電気機器及び/又は情報端末)の消費電力を抑制する省エネモードが選択されているか否かに関する情報(省エネモード情報)を含む。判定部3は、管理対象機器6にて省エネモードが選択されている場合に、ユーザPが省エネ志向を有すると判定する(前述の具体例3参照)。これにより、ユーザPの省エネ志向を容易に判定することができる。
【0048】
また本実施形態によれば、情報取得部2で取得される電気使用関連情報は、管理対象機器6(家庭用電気機器及び/又は情報端末)の消費電力に関する情報(消費電力情報)を含む。判定部3は、当該消費電力が所定値以下である場合に、ユーザPが省エネ志向を有すると判定する(前述の具体例1参照)。これにより、ユーザPの省エネ志向を容易に判定することができる。
【0049】
また本実施形態では、報知部4は、情報端末の一例である携帯端末30の表示部33である。判定部3にてユーザPが省エネ志向を有すると判定された場合に、表示部33は、バッテリ劣化抑制制御の実行を提案する表示を行う(
図3のステップS3~S4、
図4及び
図5参照)。これにより、ユーザPによる携帯端末30の操作(例えば
図3のステップS1参照)をトリガーとして、適時に、ユーザPに対して、バッテリ60の劣化抑制の提案を行うことができる。
【0050】
また本実施形態によれば、提案方法は、バッテリ60を備える車両のユーザPによる電気の使用に関する情報(電気使用関連情報)を取得すること(ステップS2)、この取得された情報(電気使用関連情報)に基づいてユーザPの省エネ志向を判定すること(ステップS3)、及び、省エネ志向を有すると判定されたユーザPに対して、バッテリ60の劣化を抑制するバッテリ劣化抑制制御の実行を提案すること(ステップS4)を含む。これにより、環境負荷の軽減等につながり得る省エネを志向するユーザPに対して、バッテリ60の劣化抑制の提案を的確に行うことができる。尚、この提案方法における各処理は、コンピュータによって実行され得る。
【0051】
本実施形態では、報知部4によるユーザPへの報知手法の一例として携帯端末30の表示部33での表示(画面表示)を挙げて説明したが、当該報知手法は画面表示に限らない。例えば、携帯端末30のスピーカーからの出力される音声での報知であってもよい。
また、本実施形態における携帯端末30の役割をパソコンで実現することが可能であることは言うまでもない。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて変形及び変更が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0053】
1…情報処理システム、2…情報取得部、3…判定部、4…報知部、6…管理対象機器、10…機器管理装置、11…制御部、12…送受信部、13…モニタ、20…サーバ、21…制御部、22…送受信部、30…携帯端末、31…制御部、32…送受信部、33…表示部、50…バッテリ温調システム、51…循環ポンプ、52…熱交換器、53…熱媒体配管、55…制御部、56…温度センサ、60…バッテリ、H…ユーザ宅、M1,M2…メッセージ、N…通信ネットワーク、P…ユーザ、PB1~PB3…ボタン