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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103123
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】電源装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240725BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240725BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
H02M3/28 E
H02M3/28 H
H02M7/48 M
H02M1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007292
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 考弘
(72)【発明者】
【氏名】宮地 準二
【テーマコード(参考)】
5H730
5H740
5H770
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AS04
5H730AS13
5H730BB43
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD51
5H730FF09
5H730FF18
5H730FG05
5H730FG25
5H740BA11
5H740BB05
5H740BB09
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740NN01
5H770AA05
5H770BA02
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA33
5H770DA41
5H770GA01
5H770GA07
5H770HA02X
5H770HA03Z
5H770HA09X
5H770JA17Y
5H770JA17Z
(57)【要約】
【課題】スイッチング電源のスイッチング制御に伴い発生するノイズの影響を抑制しつつ、スイッチング電源から駆動回路への給電を継続できる電源装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】PCU30は、電源IC70と、電源IC70によってスイッチング制御が行われることにより、インバータのスイッチSAの駆動回路62に電力を供給する絶縁電源100とを備えている。駆動回路62は、絶縁電源100から給電されて動作するとともに、スイッチSAの状態を監視する機能を有する。電源IC70は、外部充電中等の第1状態における絶縁電源100のスイッチング態様を、回転電機を駆動させるためのスイッチSAのスイッチング制御が行われる第2状態における絶縁電源100のスイッチング態様から変更する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電部(20)と、
前記蓄電部に接続されるインバータ(50)と、
前記インバータに接続される電機子巻線(42U~42W)を有する回転電機(40)と、
前記インバータが有するスイッチ(Su1~Sw4,SA)を駆動する駆動回路(62)と、
を備えるシステムに適用される電源装置において、
電源制御部(70)を有し、前記電源制御部のスイッチング制御により、前記駆動回路に電力を供給するスイッチング電源(100)を備え、
前記駆動回路は、前記スイッチング電源から給電されて動作するとともに、前記スイッチの状態を監視する機能を有し、
前記電源制御部は、外部電源(15)から前記インバータを介して前記蓄電部に充電されている状態又は前記スイッチのスイッチング制御が停止されている状態である第1状態における前記スイッチング電源のスイッチング態様を、前記回転電機を駆動させるための前記スイッチのスイッチング制御が行われる状態である第2状態における前記スイッチング電源のスイッチング態様から変更する変更処理を行う、電源装置。
【請求項2】
前記電源制御部は、
前記第2状態における前記スイッチング電源のスイッチング周波数を特定周波数範囲内の周波数に設定し、
前記変更処理として、前記第1状態における前記スイッチング電源のスイッチング周波数を前記特定周波数範囲外の周波数にずらす処理を行う、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記電源制御部は、前記変更処理として、前記スイッチング電源のスイッチング制御に伴い発生するノイズのレベルが前記特定周波数範囲において許容値(NLjde)以下となるように、前記第1状態における前記スイッチング電源のスイッチング周波数を前記特定周波数範囲の下限値(RL)未満の周波数にずらす処理を行う、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記電源制御部は、前記変更処理として、前記第1状態における前記スイッチング電源の出力電圧を、前記第2状態における前記スイッチング電源の出力電圧よりも低下させる処理を行う、請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
前記電源制御部は、前記変更処理として、前記第1状態における前記スイッチング電源のスイッチング速度を、前記第2状態における前記スイッチング電源のスイッチング速度よりも低下させる処理を行う、請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
前記電源制御部は、
前記電源装置の外部の制御装置(60)からの送信情報に基づいて、現在の状態が前記第1状態又は前記第2状態のいずれであるかを判定し、
現在の状態が前記第1状態であると判定した場合に前記変更処理を行う、請求項1~5のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記電源制御部は、
前記駆動回路の駆動情報に基づいて、現在の状態が前記第1状態又は前記第2状態のいずれであるかを判定し、
現在の状態が前記第1状態であると判定した場合に前記変更処理を行う、請求項1~5のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記第1状態は、前記外部電源から前記インバータを介して前記蓄電部に充電されている状態であり、
前記システムは、前記インバータから前記蓄電部に流れる充電電流を検出する電流センサ(22)を備え、
前記電源制御部は、
前記電流センサの検出値に基づいて、現在の状態が前記第1状態又は前記第2状態のいずれであるかを判定し、
現在の状態が前記第1状態であると判定した場合に前記変更処理を行う、請求項1~5のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項9】
前記スイッチング電源の入力電流を検出し、検出した入力電流を前記電源制御部に出力する入力電流検出部(120)を備え、
前記電源制御部は、
入力された前記入力電流検出部の検出値に基づいて、現在の状態が前記第1状態又は前記第2状態のいずれであるかを判定し、
現在の状態が前記第1状態であると判定した場合に前記変更処理を行う、請求項1~5のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項10】
蓄電部(20)と、
前記蓄電部に接続されるインバータ(50)と、
前記インバータに接続される電機子巻線(42U~42W)を有する回転電機(40)と、
前記インバータが有するスイッチ(Su1~Sw4)を駆動する駆動回路(62)と、
電源制御部(70)を有し、前記電源制御部のスイッチング制御により、前記駆動回路に電力を供給するスイッチング電源(100)と、
を備えるシステムに適用されるプログラムにおいて、
前記駆動回路は、前記スイッチング電源から給電されて動作するとともに、前記スイッチの状態を監視する機能を有し、
前記電源制御部に、
現在の状態が、外部電源(15)から前記インバータを介して前記蓄電部に充電されている状態又は前記スイッチのスイッチング制御が停止されている状態である第1状態と、前記回転電機を駆動させるための前記スイッチのスイッチング制御が行われる状態である第2状態とのいずれであるかを判定する処理と、
現在の状態が前記第1状態であると判定した場合における前記スイッチング電源のスイッチング態様を、前記第2状態であると判定した場合における前記スイッチング電源のスイッチング態様から変更する処理と、を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電部と、前記蓄電部に接続されたインバータと、前記インバータが有するスイッチを駆動する駆動回路と、を備えるシステムに適用される電源装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電源装置としては、特許文献1に記載されているように、外部電源から蓄電部に充電する外部充電制御中において、駆動回路に給電するスイッチング電源を間欠的に作動させるものが知られている。これにより、スイッチング電源のスイッチング制御に伴い発生するノイズの低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-118417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチング電源を間欠的に作動させる場合、スイッチング電源から駆動回路への給電が停止される期間が長くなる。給電停止期間においては、駆動回路を動作させることができず、インバータが有するスイッチの状態(例えば、過電流状態又は過熱状態)の監視を駆動回路により行うことができなくなり得る。
【0005】
本開示は、ノイズの影響を抑制しつつ、スイッチング電源から駆動回路への給電を継続できる電源装置及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、蓄電部と、
前記蓄電部に接続されたインバータと、
前記インバータに接続される電機子巻線を有する回転電機と、
前記インバータが有するスイッチを駆動する駆動回路と、
を備えるシステムに適用される電源装置において、
電源制御部を有し、前記電源制御部のスイッチング制御により、前記駆動回路に電力を供給するスイッチング電源を備え、
前記駆動回路は、前記スイッチング電源から給電されて動作するとともに、前記スイッチの状態を監視する機能を有し、
前記電源制御部は、外部電源から前記インバータを介して前記蓄電部に充電されている状態又は前記スイッチのスイッチング制御が停止されている状態である第1状態における前記スイッチング電源のスイッチング態様を、前記回転電機を駆動させるための前記スイッチのスイッチング制御が行われる状態である第2状態における前記スイッチング電源のスイッチング態様から変更する変更処理を行う。
【0007】
本開示の電源装置によれば、ノイズの影響を抑制しつつ、スイッチング電源から駆動回路への給電を継続できる。
【0008】
本開示の電源装置は、例えば以下のように具体化できる。
【0009】
前記電源制御部は、
前記第2状態における前記スイッチング電源のスイッチング周波数を特定周波数範囲内の周波数に設定し、
前記変更処理として、前記第1状態における前記スイッチング電源のスイッチング周波数を前記特定周波数範囲外の周波数にずらす処理を行う。
【0010】
ノイズの特定周波数範囲におけるレベルが第1状態において許容値以下になるよう要求されることがある。この要求は、例えば法規制上の要求である。
【0011】
そこで、電源制御部は、変更処理として、第1状態におけるスイッチング電源のスイッチング周波数を特定周波数範囲外の周波数にずらす処理を行う。これにより、ノイズのレベルを特定周波数範囲において許容値以下にしつつ、スイッチング電源から駆動回路への給電を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る車両及び外部充電装置の全体構成を示す図。
図2】車載システムの構成を示す図。
図3】PCUの構成を示す図。
図4】マイコンが実行するスイッチング周波数の変更指示処理のフローチャート。
図5】電源制御部が実行する制御スイッチのスイッチング制御処理のフローチャート。
図6】スイッチング周波数の低下による効果を模式的に示す図。
図7】第2実施形態に係るPCUの構成を示す図。
図8】マイコンが実行する目標電圧の変更処理のフローチャート。
図9】電源制御部が実行する制御スイッチのスイッチング制御処理のフローチャート。
図10】目標電圧の低下による効果を模式的に示す図。
図11】第3実施形態に係るPCUの構成を示す図。
図12】ゲート切替回路の一例を示す図。
図13】マイコンが実行するゲート抵抗値の変更処理のフローチャート。
図14】電源制御部が実行する制御スイッチのスイッチング制御処理のフローチャート。
図15】第4実施形態に係るPCUの構成を示す図。
図16】マイコンが実行するスイッチング周波数の変更指示処理のフローチャート。
図17】第5実施形態に係るPCUの構成を示す図。
図18】マイコンが実行するスイッチング周波数の変更指示処理のフローチャート。
図19】第6実施形態に係るPCUの構成を示す図。
図20】マイコンが実行するスイッチング周波数の変更指示処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分及び/又は関連付けられる部分には同一の参照符号、又は百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分及び/又は関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0014】
<第1実施形態>
以下、本開示に係る電源装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の電源装置は、電気自動車又はハイブリッド車等の電動車両に搭載されている。
【0015】
図1に示すように、車両10は、車載システムとして、車輪11、高圧蓄電池20(「蓄電部」に相当)、低圧蓄電池21、パワーコントロールユニット(以下、PCU)30、及び上位制御装置(以下、上位ECU)60を備えている。高圧蓄電池20は、充放電可能な2次電池であり、例えば百V以上となる端子電圧を有している。高圧蓄電池20は、例えば、リチウムイオン蓄電池又はニッケル水素蓄電池である。低圧蓄電池21は、高圧蓄電池20よりも低い出力電圧(具体的には定格電圧)を有する充放電可能な蓄電池であり、例えば鉛蓄電池である。低圧蓄電池21は、例えば、高圧蓄電池20の出力電圧の1/10以下の出力電圧を有している。
【0016】
高圧蓄電池20は、車両10の外部に配置された外部充電装置15(「外部電源」に相当)により外部充電が可能になっている。外部充電装置15は、例えば定置式の装置である。
【0017】
続いて、図2を用いて、PCU30と、外部充電関連の構成とについて説明する。
【0018】
PCU30は、回転電機40と、インバータ50とを備えている。回転電機40は、車両10の車輪11(駆動輪)に回転動力を付与し、車両10を走行させる。本実施形態の回転電機40は、同期機であり、具体的にはY結線された永久磁石同期機である。回転電機40は、駆動輪と動力伝達可能なロータ41と、ステータを構成するU,V、W相巻線42U,42V,42Wとを備えている。
【0019】
本実施形態では、インバータ50として、中性点クランプ型の3レベルインバータを例に説明する。ただし、インバータ50の構成は、中性点クランプ型のものに限らない。
【0020】
インバータ50は、U相第1~第4スイッチSu1~Su4、V相第1~第4スイッチSv1~Sv4、W相第1~第4スイッチSv1~Sv4、第1コンデンサ51、第2コンデンサ52、及び第1~第6クランプダイオードDc1~Dc6を備えている。本実施形態において、各スイッチSu1~Su4,Sv1~Sv4、Sw1~Sw4は、電圧制御形の半導体スイッチング素子であり、具体的にはIGBTである。各スイッチSu1~Su4,Sv1~Sv4、Sw1~Sw4には、フリーホイールダイオードDu1~Du4,Dv1~Dv4、Dw1~Dw4が逆並列に接続されている。
【0021】
第1コンデンサ51と第2コンデンサ52とは、直列接続されている。第1,第2コンデンサ51,52の直列接続体には、高圧蓄電池20が並列接続されている。第1コンデンサ51は、例えば、第2コンデンサ52の静電容量と同じ静電容量を有している。本実施形態において、第1コンデンサ51と第2コンデンサ52との接続点をインバータ中性点Oと称すこととする。
【0022】
U相第1~第4スイッチSu1~Su4は、低電位側端子であるエミッタと高電位側端子であるコレクタとが接続される形で直列接続されている。U相第1スイッチSu1のコレクタには、高圧蓄電池20の正極端子が接続され、U相第4スイッチSu4のエミッタには、高圧蓄電池20の負極端子が接続されている。U相第2スイッチSu2とU相第3スイッチSu3との接続点には、U相導電経路53Uを介して、U相巻線42Uの第1端が接続されている。U相導電経路53Uは、例えば、バスバー等の導電部材を含む。
【0023】
U相第1スイッチSu1とU相第2スイッチSu2との接続点には、第1クランプダイオードDc1のカソードが接続され、第1クランプダイオードDc1のアノードには、第2クランプダイオードDc2のカソードが接続されている。第2クランプダイオードDc2のアノードには、U相第3スイッチSu3とU相第4スイッチSu4との接続点が接続されている。
【0024】
V,W相の構成は、U相の構成と基本的には同じである。このため、V,W相の構成について、適宜省略して説明する。V相第2スイッチSv2とV相第3スイッチSv3との接続点には、V相導電経路53Vを介して、V相巻線42Vの第1端が接続されている。W相第2スイッチSw2とW相第3スイッチSw3との接続点には、W相導電経路53Wを介して、W相巻線42Wの第1端が接続されている。V相導電経路53V及びW相導電経路53Wは、例えば、バスバー等の導電部材を含む。各相巻線42U、42V,42Wの第2端は電機子巻線の中性点で接続されている。
【0025】
続いて、車載システムを構成する外部充電関連の構成について説明する。
【0026】
車載システムは、インバータ50と回転電機40の電機子巻線との間を電気的に接続又は遮断するための構成として、U相遮断スイッチ54U及びV相遮断スイッチ54Vを備えている。各遮断スイッチ54U,54Wは、オンされることにより双方向の電流の流通を許容し、オフされることにより双方向の電流の流通を遮断する。
【0027】
車載システムは、インバータ50を外部充電装置15に電気的に接続するための構成として、車両側コネクタ56、負極配線55A、正極配線55B、第1切替スイッチ57A及び第2切替スイッチ57Bを備えている。
【0028】
車両側コネクタ56は、外部充電装置15が有する外部コネクタ16と着脱可能に接続される。車両側コネクタ56と外部コネクタ16とが機械的に接続された状態において、車両側コネクタ56の正極端子と外部充電装置15の正極端子101とが電気的に接続され、また、車両側コネクタ56の負極端子と外部充電装置15の負極端子とが電気的に接続される。
【0029】
正極配線55Bは、U相導電経路53UのうちU相遮断スイッチ54Uよりもインバータ50側の部分と、車両側コネクタ56の正極端子とを接続している。正極配線55Bには、第2切替スイッチ57Bが設けられている。第2切替スイッチ57Bは、オンされることにより双方向の電流の流通を許容し、オフされることにより双方向の電流の流通を遮断する。
【0030】
負極配線55Aは、V相導電経路53VのうちV相遮断スイッチ54Vよりもインバータ50側の部分と、車両側コネクタ56の負極端子とを接続している。負極配線55Aには、第1切替スイッチ57Aが設けられている。第1切替スイッチ57Aは、オンされることにより双方向の電流の流通を許容し、オフされることにより双方向の電流の流通を遮断する。
【0031】
PCU30は、電流センサ22を備えている。電流センサ22は、各導電経路53U,53V,53Wに流れる電流を検出する。電流センサ22の検出値は、PCU30が備えるマイコン61に入力される。
【0032】
マイコン61は、PCU30が備える制御部であり、車両10を走行させるための回転電機40の駆動制御と、外部充電制御とを行う。
【0033】
回転電機40の駆動制御は、回転電機40の制御量(本実施形態では、トルク)を指令値(指令トルクTrq*)に制御するための制御であって、インバータ50が有する各スイッチSu1~Sw4のスイッチング制御である。高圧蓄電池20の出力電圧をVhとし、インバータ中性点Oの電位を0とする場合、各スイッチSu1~Sw4のスイッチング制御により、インバータ50は、互いに異なる3つの電位「Vh/2」,「0」,「-Vh/2」のいずれかを回転電機40の各相に出力する。詳しくは、U相を例にして説明すると、U相第1,第2スイッチSu1,Su2がオンされてかつU相第3,第4スイッチSu3,Su4がオフされることにより、回転電機40のU相に「Vh/2」が出力される。一方、U相第2,第3スイッチSu2,Su3がオンされてかつU相第1,第4スイッチSu1,Su4がオフされることにより、U相に「0」が出力される。他方、U相第3,第4スイッチSu3,Su4がオンされてかつU相第1,第2スイッチSu1,Su2がオフされることにより、U相に「-Vh/2」が出力される。なお、指令トルクTrq*は、上位ECU60からマイコン61に入力される。
【0034】
回転電機40の駆動制御中において、上位ECU60又はマイコン61により、U相遮断スイッチ54U及びV相遮断スイッチ54Vはオンされ、第1切替スイッチ57A及び第2切替スイッチ57Bはオフされる。
【0035】
外部充電制御は、車両10の停車中において、外部充電装置15からインバータ50を介して高圧蓄電池20に充電するための制御であって、インバータ50が有する各スイッチのスイッチング制御である。本実施形態において、外部充電制御は上位ECU60により実行される。上位ECU60は、外部充電制御において、自身により又はマイコン61に指示することにより、U相遮断スイッチ54U及びV相遮断スイッチ54Vをオフし、第1切替スイッチ57A及び第2切替スイッチ57Bをオンする。なお、外部充電制御におけるインバータ50のスイッチング制御については、特開2021-52450号公報の段落0067~0083等に記載された公知技術であるため、この公報を参照されたい。
【0036】
ちなみに、マイコン61、及び上位ECU60が有するマイコンは、CPUを備えている。マイコン61、及び上位ECU60が有するマイコンが提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、マイコン61、及び上位ECU60が有するマイコンがハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコン61、及び上位ECU60が有するマイコンは、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、後述する図4,5等に示す処理のプログラムが含まれる。マイコン61、及び上位ECU60が有するマイコンにインストールされたプログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されるプログラムは、例えばOTA(Over The Air)等、インターネット等の通信ネットワークを介してダウンロード及び更新が可能である。
【0037】
続いて、図3を用いて、インバータ50が有する各スイッチSu1~Sw4を駆動する駆動回路62と、低圧蓄電池21の出力電力を駆動回路62に供給する絶縁電源100とについて説明する。なお、インバータ50が有するスイッチSu1~Sw4は基本的には同じ構成である。このため、図3には、インバータ50が有するスイッチをSAにて示す。
【0038】
PCU30は、駆動回路62と、絶縁電源100とを備えている。駆動回路62は、集積回路で構成されており、例えば各スイッチSu1~Sw4に対応して個別に設けられている。駆動回路62には、スイッチSAの駆動指令信号がマイコン61から入力される。駆動指令信号は、オン指令信号又はオフ指令信号である。
【0039】
本実施形態の絶縁電源100は、フライバック式のスイッチング電源である。絶縁電源100は、「電源制御部」としての電源IC70と、トランス71と、制御スイッチ72と、第1,第2分圧抵抗体75A,75Bと、コンデンサ76とを備えている。本実施形態の制御スイッチ72は、NチャネルMOSFETである。
【0040】
トランス71が有する1次側コイル71Aの第1端には、低圧蓄電池21の正極端子が接続されている。1次側コイル71Aの第2端には、制御スイッチ72のドレインが接続され、制御スイッチ72のソースには、低圧領域のグランドが接続されている。
【0041】
電源IC70が有する電源端子LVCCには、低圧蓄電池21の正極端子が接続されている。低圧蓄電池21から電源端子LVCCを介して電源IC70に給電されることにより、電源IC70は動作可能となる。
【0042】
制御スイッチ72のゲートは、電源IC70が有する制御端子LGPに接続されている。電源IC70が有するグランド端子LGNDには、低圧領域のグランドが接続されている。電源IC70は、グランド端子LGNDの電位に対する制御端子LGPの電位であるゲート及びソース間電圧Vgsが、制御スイッチ72の閾値電圧以上となるように、電源端子LVCCからの入力電力を電源として、制御スイッチ72のゲートに充電電流を供給する。これにより、制御スイッチ72がオンされる。一方、電源IC70は、ゲート及びソース間電圧Vgsが閾値電圧未満となるように、制御スイッチ72のゲートからグランド端子LGNDへと放電電流を流す。これにより、制御スイッチ72がオフされる。
【0043】
電源IC70は、デューティ比に基づいて、制御スイッチ72のスイッチング制御を行う。デューティ比は、制御スイッチ72の1スイッチング周期Tswに対するオン期間Tonの比率(=Ton/Tsw)である。
【0044】
第1,第2分圧抵抗体75A,75Bの直列接続体の第1端には、低圧蓄電池21の正極端子が接続され、第1,第2分圧抵抗体75A,75Bの直列接続体の第2端には、低圧領域のグランドが接続されている。第1,第2分圧抵抗体75A,75Bの接続点には、電源IC70が有する検出端子UVLOが接続されている。
【0045】
なお、電源IC70は、検出端子UVLOの入力電圧が電圧閾値Vαを下回ったと判定した場合、制御スイッチ72をオフに維持する低電圧誤動作防止処理(Under Voltage Lock Out)を行う。一方、電源IC70は、入力電圧が、電圧閾値Vαよりも高くかつ低圧蓄電池21の出力電圧よりも低い解除閾値Vβを超えたと判定した場合、低電圧誤動作防止処理を停止し、制御スイッチ72のスイッチング制御を再開して絶縁電源100の動作を再開させる。
【0046】
絶縁電源100は、ダイオード73及びコンデンサ74を備えている。トランス71が有する2次側コイル71Bの第1端には、ダイオード73のアノードが接続されている。ダイオード73のカソードには、コンデンサ74の第1端と、駆動回路62が有する電源端子HVCCとが接続されている。2次側コイル71Bの第2端には、コンデンサ74の第2端に接続されている。絶縁電源100の出力側から電源端子HVCCを介して駆動回路62に給電されることにより、駆動回路62は動作可能となる。
【0047】
制御システムには、低圧領域と、低圧領域とは電気的に絶縁された高圧領域とが設けられている。低圧領域には、低圧蓄電池21、上位ECU60及びマイコン61が設けられている。高圧領域には、高圧蓄電池20、インバータ50、回転電機40が設けられている。絶縁電源100は、低圧領域と高圧領域とに跨って設けられている。詳しくは、電源IC70、制御スイッチ72及び1次側コイル71A等は低圧領域に設けられ、2次側コイル71B及び駆動回路62等は高圧領域に設けられている。
【0048】
インバータ50が有するスイッチSAのゲートは、駆動回路62が有する制御端子HGPに接続されている。駆動回路62が有するグランド端子HGNDには、スイッチSAのソースが接続されている。駆動回路62は、オン指令信号が入力されていると判定した場合、グランド端子HGNDの電位に対する制御端子HGPの電位であるゲート及びエミッタ間電圧Vgeが、スイッチSAの閾値電圧以上となるように、電源端子HVCCからの入力電力を電源として、スイッチSAのゲートに充電電流を供給する。これにより、スイッチSAがオンされる。一方、駆動回路62は、オフ指令信号が入力されていると判定した場合、ゲート及びエミッタ間電圧Vgeが閾値電圧未満となるように、スイッチSAのゲートからグランド端子HGNDへと放電電流を流す。これにより、スイッチSAがオフされる。
【0049】
駆動回路62は、過電流監視部62Aと、過熱監視部62Bとを備えている。過電流監視部62Aは、スイッチSAのコレクタ及びエミッタ間に流れる電流を検出するスイッチ電流センサの検出値を取得する。過電流監視部62Aは、取得したスイッチSAの電流が電流閾値を超えたと判定した場合、スイッチSAの過電流異常であると判定し、スイッチSAをオフにする。
【0050】
過熱監視部62Bは、スイッチSAの温度を検出するスイッチ温度センサの検出値を取得する。過熱監視部62Bは、取得したスイッチSAの温度が温度閾値を超えたと判定した場合、スイッチSAの過熱異常であると判定し、スイッチSAをオフにする。
【0051】
PCU30は、インバータ50の駆動状態等を電源IC70に通知するための構成として、設定変更部80を備えている。図3には、設定変更部80が第1,第2抵抗体81,82及び切替スイッチ83を備える例を示す。切替スイッチ83は、第1,第2抵抗体81,82のいずれかと、電源IC70の設定端子LRTとを接続する。第1抵抗体81の抵抗値と、第2抵抗体82の抵抗値とは異なっている。
【0052】
マイコン61には、外部充電制御が実行されている旨の情報や、インバータ50が有する各スイッチSu1~Sw4のスイッチング制御が停止されている旨の情報、車両10を走行させるための回転電機40の駆動制御が実行されている旨の情報が上位ECU60から入力される。マイコン61は、外部充電制御が実行されている旨の情報、又はスイッチング制御が停止されている旨の情報が入力されていると判定した場合、設定端子LRTと第1抵抗体81とが接続されるように切替スイッチ83を操作する。一方、マイコン61は、回転電機40の駆動制御が実行されている旨の情報が入力されていると判定した場合、設定端子LRTと第2抵抗体82とが接続されるように切替スイッチ83を操作する。設定端子LRTに接続される抵抗体が第1抵抗体81であるか第2抵抗体82であるかに応じて、設定端子LRTの入力電圧が異なる。電源IC70は、設定端子LRTの入力電圧に基づいて、現在の状態が、外部充電制御が実行されている状態又はインバータ50のスイッチング制御が停止されている状態(「第1状態」に相当)であるか、車両10を走行させるための回転電機40の駆動制御が実行されている状態(「第2状態」)であるかを判定することができる。
【0053】
ところで、外部充電制御が実行されている状態又はインバータ50のスイッチング制御が停止されている状態において、絶縁電源100が有する制御スイッチ72のスイッチング制御に伴い発生するノイズ(例えば、放射ノイズ,伝導ノイズ)のレベルを特定周波数範囲Rfjdeにおいて許容値NLjde以下にすることが要求される。この要求は、例えば法規制上の要求である。具体的には、例えば、この要求は、ノイズが車載電子機器に及ぼす影響を抑制する観点から定められる。この要求を実現するために、マイコン61は図4に示す処理を実行し、電源IC70は図5に示す処理を実行する。
【0054】
図4は、マイコン61により実行される処理のフローチャートである。
【0055】
ステップS10では、上位ECU60からの送信情報に基づいて、現在の状態が、外部充電制御が実行されている状態又はインバータ50のスイッチング制御が停止されている状態であるか、車両10を走行させるための回転電機40の駆動制御が実行されている状態であるかを判定する。
【0056】
ステップS10において、現在の状態が、回転電機40の駆動制御が実行されている状態であると判定した場合には、ステップS11に進み、制御スイッチ72のスイッチング周波数fsw(=1/Tsw)を第1周波数fH(例えば400kHz)に設定することを、設定変更部80を介して電源IC70に指示する。詳しくは、設定端子LRTと第1抵抗体81とが接続されるように切替スイッチ83を操作する。上記特定周波数範囲Rfjdeの下限値をRLとし、上限値をRHとする場合、第1周波数fHは、特定周波数範囲Rfjde内の周波数(RL≦fH≦RH)であり、具体的には例えば、特定周波数範囲Rfjdeの下限値RLよりも高く、かつ、上限値RHよりも低い周波数である。
【0057】
一方、ステップS10において、現在の状態が、外部充電制御が実行されている状態又はインバータ50のスイッチング制御が停止されている状態であると判定した場合には、ステップS12に進み、制御スイッチ72のスイッチング周波数fswを、特定周波数範囲Rfjdeの下限値RLよりも低い周波数(例えば40kHz)に設定することを、設定変更部80を介して電源IC70に指示する。詳しくは、設定端子LRTと第2抵抗体82とが接続されるように切替スイッチ83を操作する。例えば、第2周波数fLが40kHzであり、第1周波数fHが400kHzである場合、第2周波数fLは第1周波数fHの1/10の周波数となる。
【0058】
第2周波数fLは、例えば、第1周波数fHの1/12以上であってかつ1/6以下の周波数であり、望ましくは、第1周波数fHの1/11以上であってかつ1/7以下の周波数であり、より望ましくは、第1周波数fHの1/10.5以上であってかつ1/7.5以下の周波数、又は第1周波数fHの1/10.5以上であってかつ1/8以下の周波数である。
【0059】
なお、第2周波数fLを第1周波数fHよりも低周波側の周波数とする理由は、例えば、トランス71の特性(例えば、利得,位相,インピーダンスの周波数特性)が、特定周波数範囲Rfjdeの上限値RHよりも高い周波数域において、要求特性を満足しないためである。
【0060】
また、第2周波数fLを第1周波数fHよりも低周波側の周波数とする理由は、例えば、制御スイッチ72のスイッチング制御が、車載システムが備える電子機器に及ぼす影響を抑制するためである。詳しくは、電子機器として、ラジオ受信機及びスピーカが備えられている。ラジオ受信機は、AM受信機及びFM受信機を含む。AM受信機は、アナログのAM変調により搬送波が変調された被変調波を検波及び復調し、スピーカに音声信号として出力する機器である。FM受信機は、周波数変調された被変調波を検波及び復調し、スピーカに音声信号として出力する機器である。ここで、AM放送が取り得る周波数範囲は、上記特定周波数範囲Rfjdeよりも高周波側であり、例えば「510~1720kHz」である。なお、FM放送が取り得る周波数範囲は、AM放送が取り得る周波数範囲よりも更に高周波数側であり、例えば「76~108MHz」である。
【0061】
制御スイッチ72のスイッチング周波数fswを特定周波数範囲Rfjdeの上限値RHよりも高周波数側にずらしてしまうと、制御スイッチ72のスイッチング制御に伴い発生するノイズの周波数が、AM放送の周波数帯域に含まれ得る。この場合、スピーカから出力される可聴域の周波数(音)にノイズが混入され、ユーザに不快感を生じさせる。そこで、第2周波数fLが第1周波数fHよりも低周波側の周波数にずらされる。
【0062】
図5は、電源IC70により実行される処理のフローチャートである。
【0063】
ステップS20では、設定端子LRTの入力電圧に基づいて、制御スイッチ72のスイッチング周波数fswが、第1周波数fH又は第2周波数fLのいずれに指示されているか否かを判定する。
【0064】
ステップS20においてスイッチング周波数fswが第1周波数fHに指示されていると判定した場合には、ステップS21に進み、制御スイッチ72のスイッチング周波数fswが第1周波数fHとなるように制御スイッチ72のスイッチング制御を行う。
【0065】
一方、ステップS20においてスイッチング周波数fswが第2周波数fLに指示されていると判定した場合には、ステップS22に進み、制御スイッチ72のスイッチング周波数fswが第2周波数fLとなるように制御スイッチ72のスイッチング制御を行う。
【0066】
図6に示すように、スイッチング周波数fswが、特定周波数範囲Rfjdeの下限値RLよりも低い第2周波数fLにずらされることにより、絶縁電源100のスイッチング制御に伴い発生するノイズのレベルを特定周波数範囲Rfjdeにおいて許容値NLjde以下にできる。
【0067】
以上詳述した本実施形態によれば、絶縁電源100が有する制御スイッチ72のスイッチング周波数fswが、車両10の走行時において特定周波数範囲Rfjde内の周波数に設定され、外部充電時又はインバータ50の停止時において特定周波数範囲Rfjde外の周波数に設定される。これにより、外部充電時又はインバータ50の停止時において、ノイズのレベルを特定周波数範囲Rfjdeにおいて許容値NLjde以下にしつつ、絶縁電源100から各駆動回路62に給電できる。このため、外部充電時又はインバータ50の停止時において、過熱監視部62BによるスイッチSAの過熱異常の監視及び過電流監視部62AによるスイッチSAの過電流の監視を継続できる。
【0068】
なお、外部充電時における駆動回路62の消費電力は、車両10を走行させるための回転電機40の駆動制御時よりも小さい。これは、各駆動回路62において、例えば、外部充電時におけるインバータ50の規定期間あたりのスイッチング回数が回転電機40の駆動制御時よりも少ないためである。以上から、外部充電時において絶縁電源100のスイッチング周波数fswを低下させたとしても、絶縁電源100から駆動回路62に供給されるスイッチSAの駆動用電力が不足する事態の発生を抑制できる。
【0069】
<第1実施形態の変形例>
・制御スイッチ72のスイッチング周波数fswが、特定周波数範囲Rfjdeの上限値RHよりも高い周波数に設定されてもよい。
【0070】
・上位ECU60は、インバータ50が有する各スイッチSu1~Sw4のスイッチング制御が停止されている旨の情報をマイコン61に送信しなくてもよい。この場合、先の図4に示したステップS10において、上位ECU60からの送信情報に基づく状態判定対象から、インバータ50のスイッチング制御が停止されている状態を除外すればよい。
【0071】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、特定周波数範囲Rfjdeにおいてノイズのレベルを許容値NLjde以下にするために、制御スイッチ72のスイッチング周波数fswに代えて、絶縁電源100の出力電圧を低下させる。
【0072】
図7に示すように、絶縁電源100は、「電圧検出用コイル」としてのフィードバックコイル90を備えている。フィードバックコイル90は、絶縁電源100の出力電圧VCC(コンデンサ74の端子電圧)を検出し、検出した出力電圧VCCの情報を電源IC70に伝達する。電源IC70は、フィードバックコイル90からの入力情報に基づいて、出力電圧VCCを目標電圧Vtgtにフィードバック制御すべく、制御スイッチ72のスイッチング制御を行う。
【0073】
駆動回路62は、電源端子HVCCの入力電圧が電圧閾値Vγを下回ったと判定した場合、スイッチSAをオフに維持する低電圧誤動作防止処理(Under Voltage Lock Out)を行う。一方、駆動回路62は、入力電圧が解除閾値Vδを超えたと判定した場合、低電圧誤動作防止処理を停止し、スイッチSAのスイッチング制御を許可する。解除閾値Vδは、電圧閾値Vγよりも大きい値に設定されている。
【0074】
図8は、マイコン61により実行される処理のフローチャートである。
【0075】
ステップS10において、現在の状態が、回転電機40の駆動制御が実行されている状態であると判定した場合には、ステップS13に進み、目標電圧Vtgtを第1電圧VHに設定することを、設定変更部80を介して電源IC70に指示する。詳しくは、設定端子LRTと第1抵抗体81とが接続されるように切替スイッチ83を操作する。
【0076】
一方、ステップS10において、現在の状態が、外部充電制御が実行されている状態又はインバータ50のスイッチング制御が停止されている状態であると判定した場合には、ステップS14に進み、目標電圧Vtgtを、第1電圧VHよりも低い第2電圧VLに設定することを、設定変更部80を介して電源IC70に指示する。詳しくは、設定端子LRTと第2抵抗体82とが接続されるように切替スイッチ83を操作する。
【0077】
なお、第2電圧VLは、上記電圧閾値Vγ以上の値に設定されていればよい。これにより、ノイズのレベルを低下させることに伴い、駆動回路62において低電圧誤動作防止処理が実行されることを防止できる。
【0078】
図9は、電源IC70により実行される処理のフローチャートである。
【0079】
ステップS30では、設定端子LRTの入力電圧に基づいて、目標電圧Vtgtが第1電圧VH又は第2電圧VLのいずれに指示されているか否かを判定する。
【0080】
ステップS30において目標電圧Vtgtが第1電圧VHに指示されていると判定した場合には、ステップS31に進み、目標電圧Vtgtを第1電圧VHに設定する。そして、絶縁電源100の出力電圧VCCを第1電圧VHにフィードバック制御すべく、制御スイッチ72のスイッチング制御を行う。
【0081】
一方、ステップS30において目標電圧Vtgtが第2電圧VLに指示されていると判定した場合には、ステップS32に進み、目標電圧Vtgtを第2電圧VLに設定する。そして、絶縁電源100の出力電圧VCCを第2電圧VLにフィードバック制御すべく、制御スイッチ72のスイッチング制御を行う。この場合、ステップS31の処理よりも制御スイッチ72のデューティ比を小さくする。
【0082】
以上説明した本実施形態によれば、図10に示すように、絶縁電源100のスイッチング制御に伴い発生するノイズのレベルを特定周波数範囲Rfjdeにおいて許容値NLjde以下にできる。
【0083】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、特定周波数範囲Rfjdeにおいてノイズのレベルを許容値NLjde以下にするために、制御スイッチ72のスイッチング周波数fswに代えて、制御スイッチ72のスイッチング速度を低下させる。
【0084】
図11に示すように、絶縁電源100は、制御スイッチ72のスイッチング速度を変更するためのゲート切替回路110を備えている。ゲート切替回路110は、種々の回路構成を採用することができる。図12に、ゲート切替回路110の一例を示す。ゲート切替回路110は、第1ゲート抵抗体111A、第2ゲート抵抗体111B、第1充放電スイッチ112A及び第2充放電スイッチ112Bを備えている。第1ゲート抵抗体111A及び第1充放電スイッチ112Aの直列接続体は、電源IC70が有する制御端子LGPと制御スイッチ72のゲートとを接続している。第2ゲート抵抗体111B及び第2充放電スイッチ112Bの直列接続体も、電源IC70が有する制御端子LGPと制御スイッチ72のゲートとを接続している。
【0085】
第1ゲート抵抗体111Aの抵抗値RGAは、第2ゲート抵抗体111Bの抵抗値RGBよりも小さい。第1ゲート抵抗体111Aの抵抗値RGAは、例えば、「0.3×RGB≦RGA≦0.7×RGB」であり、具体的には「0.4×RGB≦RGA≦0.6×RGB」であり、より具体的には「0.45×RGB≦RGA≦0.55×RGB」である。
【0086】
図13は、マイコン61により実行される処理のフローチャートである。
【0087】
ステップS10において、現在の状態が、回転電機40の駆動制御が実行されている状態であると判定した場合には、ステップS15に進み、制御スイッチ72のゲートに接続するゲート抵抗体を第1ゲート抵抗体111Aに設定することを、設定変更部80を介して電源IC70に指示する。詳しくは、設定端子LRTと第1抵抗体81とが接続されるように切替スイッチ83を操作する。
【0088】
一方、ステップS10において、現在の状態が、外部充電制御が実行されている状態又はインバータ50のスイッチング制御が停止されている状態であると判定した場合には、ステップS16に進み、制御スイッチ72のゲートに接続するゲート抵抗体を第2ゲート抵抗体111Bに設定することを、設定変更部80を介して電源IC70に指示する。詳しくは、設定端子LRTと第2抵抗体82とが接続されるように切替スイッチ83を操作する。
【0089】
図14は、電源IC70により実行される処理のフローチャートである。
【0090】
ステップS40では、制御スイッチ72のゲートに接続するゲート抵抗体が、第2ゲート抵抗体111B又は第1ゲート抵抗体111Aのいずれに指示されているか否かを判定する。ステップS40において第1ゲート抵抗体111Aに指示されていると判定した場合には、ステップS41に進み、第1充放電スイッチ112Aをオンし、第2充放電スイッチ112Bをオフする。そして、制御スイッチ72のスイッチング制御を行う。
【0091】
一方、ステップS40において第2ゲート抵抗体111Bに指示されていると判定した場合には、ステップS42に進み、第2充放電スイッチ112Bをオンし、第1充放電スイッチ112Aをオフする。そして、制御スイッチ72のスイッチング制御を行う。この場合、ステップS41の処理を実行する場合よりも、制御スイッチ72のターンオン時のスイッチング速度及びターンオフ時のスイッチング速度を低下させることができる。その結果、ノイズに含まれる高調波成分のレベルが低下し、ノイズのレベルを特定周波数範囲Rfjdeにおいて許容値NLjde以下にできる。
【0092】
<第3実施形態の変形例>
・ゲート切替回路は、制御スイッチ72のターンオン時及びターンオフ時の双方ではなく、ターンオン時又はターンオフ時のいずれかのスイッチング速度を変更可能に構成された回路であってもよい。
【0093】
・制御スイッチ72のスイッチング速度を変更する回路は、ゲート抵抗体の抵抗値を変更する回路に限らず、制御スイッチ72のゲートの電源電圧を変更する回路、又は制御スイッチ72のゲート電荷の放電先のグランド電位を変更する回路であってもよい。
【0094】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、PCU30外部に設けられた上位ECU60の送信情報に代えて、PCU30内部の情報に基づいて、スイッチング周波数fswが変更される。このために、本実施形態では、図15に示すように、駆動回路62の駆動情報がマイコン61に入力されるようにPCU30が構成されている。
【0095】
図16は、マイコン61により実行される処理のフローチャートである。
【0096】
ステップS17では、駆動回路62の駆動情報に基づいて、回転電機40の駆動制御が所定期間実施されていないかを判定する。具体的には例えば、駆動情報がスイッチSAのゲート電圧である場合、スイッチSAのゲート電圧が所定期間にわたって0に維持されているかを判定する。なお、駆動情報は、ゲート電圧に限らず、例えば、駆動回路62に入力される駆動指令信号であってもよい。
【0097】
ステップS17において回転電機40の駆動制御が実施されたと所定期間内に判定した場合には、ステップS11に進む。一方、ステップS17において回転電機40の駆動制御が所定期間実施されていないと判定した場合には、ステップS12に進む。
【0098】
以上説明した本実施形態によれば、スイッチング周波数fswの変更を、上位ECU60の送信情報に依らず、PCU30のマイコン61が判定することができる。
【0099】
<第5実施形態>
以下、第5実施形態について、第4実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。図17に示すように、マイコン61は、電流センサ22の検出値に基づいて、外部充電制御によりインバータ50から高圧蓄電池20へと充電電流が流れたと判定した場合、スイッチング周波数fswを変更する。
【0100】
図18は、マイコン61により実行される処理のフローチャートである。
【0101】
ステップS18では、電流センサ22の検出値に基づいて、インバータ50から高圧蓄電池20へと充電電流が流れているか否かを判定する。例えば、電流センサ22により検出されたU,V相導電経路53U,53Vを流れる電流の流通方向がインバータ50側に向かう方向であって、かつ、電流センサ22により検出された電流が直流電流であると判定した場合、充電電流が流れていると判定すればよい。
【0102】
ステップS18において充電電流が流れていないと判定した場合には、ステップS11に進む。一方、ステップS18において充電電流が流れていると判定した場合には、ステップS12に進む。
【0103】
以上説明した本実施形態によれば、外部充電制御が行われる場合において、スイッチング周波数fswの変更を、上位ECU60の送信情報に依らず、PCU30のマイコン61が判定することができる。
【0104】
<第6実施形態>
以下、第6実施形態について、第4実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態の絶縁電源100は、図19に示すように、低圧蓄電池21から1次側コイル71Aへと流れる電流を検出する入力電流検出部120を備えている。入力電流検出部120は、例えばシャント抵抗体である。電源IC70は、入力電流検出部120の検出値に基づいて、スイッチング周波数fswの変更を自身で判定する。
【0105】
図20は、電源IC70により実行される処理のフローチャートである。
【0106】
ステップS50では、入力電流検出部120の検出電流Irが判定期間にわたって閾値Ithを下回ったか否かを判定する。判定期間は、例えば、「1/fL」よりも長い期間に設定されている。閾値Ithは、例えば0に近い値に設定されている。ステップS50の処理は、低圧蓄電池21から1次側コイル71Aへと給電されていないことを判定するための処理である。
【0107】
ステップS50において否定判定した場合には、ステップS51に進み、制御スイッチ72のスイッチング周波数fswを第1周波数fHに設定する。そして、制御スイッチ72のスイッチング周波数fswが第1周波数fHとなるように制御スイッチ72のスイッチング制御を行う。
【0108】
一方、ステップS50において肯定判定した場合には、ステップS52に進み、制御スイッチ72のスイッチング周波数fswを第2周波数fLに設定する。そして、制御スイッチ72のスイッチング周波数fswが第2周波数fLとなるように制御スイッチ72のスイッチング制御を行う。
【0109】
以上説明した本実施形態によれば、スイッチング周波数fswの変更を電源IC70が判定することができる。
【0110】
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0111】
・第4~第6実施形態において、スイッチング周波数fswに代えて、第2実施形態で説明したように出力電圧を変更したり、第3実施形態で説明したようにスイッチング速度を変更したりしてもよい。
【0112】
・スイッチング電源である絶縁電源は、フライバック式のものに限らず、フィードフォワード式等、他の形式のものであってもよい。
【0113】
・インバータが備えるスイッチは、IGBTに限らず、例えばNチャネルMOSFETであってもよい。
【0114】
・インバータは、3レベルインバータに限らず、4レベル以上のマルチレベルインバータであってもよいし、2レベルインバータであってもよい。また、インバータ及び回転電機は、3相のものに限らず、2相のもの、又は4相以上のものであってもよい。
【0115】
・回転電機としては、星形結線されたものに限らず、Δ結線されたものであってもよい。
【0116】
・インバータの電源及び外部充電対象となる蓄電部は、充放電可能な蓄電池に限らず、例えば、コンデンサ(例えば電気2重層コンデンサ)であってもよいし、蓄電池及びコンデンサの双方であってもよい。
【0117】
また、蓄電部は、例えば燃料電池であってもよい。この場合、例えば、停車中にインバータのスイッチング制御が停止されている状態において、インバータのスイッチの状態を監視する要求があるとき、本開示の電源装置が有効である。
【0118】
・電源装置が搭載される移動体は、車両に限らず、例えば、航空機又は船舶であってもよい。また、電源装置の搭載先は、移動体に限らず、定置式の装置であってもよい。
【0119】
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0120】
10…車両、20…高圧蓄電池、40…回転電機、50…インバータ、62…駆動回路、70…電源IC、100…絶縁電源。
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