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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103149
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】図面比較装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20240725BHJP
【FI】
G06F30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007331
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】市川 成
(72)【発明者】
【氏名】小林 功久
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146DL07
(57)【要約】
【課題】異なる図面における、記載内容の比較操作を容易に行う。
【解決手段】第一図面及び第二図面に含まれる図面要素それぞれの属性情報を抽出し(図3ステップS1、ステップS3)、第一図面に含まれる図面要素と第二図面に含まれる図面要素とで対応する図面要素について属性情報どうしを比較し、相違内容を推定する(ステップS4)。推定した相違内容が予め設定した種類の相違内容である図面要素は「相違なし」とみなし非通知要素を判定してこの図面要素については相違ありとして通知せず、相違内容が予め設定した種類の相違内容ではない図面要素のみ、この図面要素の相違内容を第二図面に重畳表示すること等により、相違のある図面要素を外部に通知する(ステップS5)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一図面に含まれる図面要素の属性情報と第二図面に含まれる図面要素の属性情報とを抽出する属性情報抽出部と、
前記第一図面の図面要素と前記第二図面の図面要素とで属性情報を比較し、対応する図面要素の属性情報どうしの相違点の有無を検出し、検出した前記相違点に基づき相違内容を推定する相違内容推定部と、
前記相違内容推定部で推定した相違内容が予め設定した種類の相違内容である図面要素を非通知要素と判定する判定部と、
前記相違内容推定部で相違内容が推定された図面要素のうち、前記判定部で前記非通知要素と判定された図面要素は通知せずに、前記非通知要素を除く図面要素を、相違点を有する図面要素として通知する相違要素通知部と、
を備えることを特徴とする図面比較装置。
【請求項2】
前記相違内容推定部は、前記第一図面と前記第二図面とで対応する図面要素の有無を検出し、
前記判定部は、前記相違内容推定部により、前記第一図面には含まれず前記第二図面には含まれる図面要素が検出されたとき、当該図面要素を前記非通知要素として判定しないことを特徴とする請求項1に記載の図面比較装置。
【請求項3】
前記相違要素通知部は、
前記相違内容推定部で推定した相違内容全てが前記予め設定した種類の相違内容であるときには、前記第一図面と前記第二図面とで前記図面要素に相違がないことを表す情報を通知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の図面比較装置。
【請求項4】
前記相違要素通知部は、前記通知する情報を、前記第一図面及び前記第二図面の少なくともいずれか一方に重畳表示することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の図面比較装置。
【請求項5】
前記予め設定した種類の相違内容は、図面要素のレイアウトの相違、図面要素による記載内容の相違、及び図面要素の表示構成の相違を含み、
前記判定部は、前記相違内容推定部で推定した相違内容が、前記図面要素のレイアウトの相違又は前記図面要素の表示構成の相違であるときには、当該相違内容に対応する図面要素を前記非通知要素と判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の図面比較装置。
【請求項6】
前記第一図面は変更前図面であり、前記第二図面は、前記変更前図面に対して変更を行った後の変更後図面であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の図面比較装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面比較装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の正式図面を利用して図面を検図する場合、記載内容が修正された場所だけを把握することができれば、確認する箇所を減らすことができる。変更点を把握するには、図面比較を行うことが考えられる。
変更点を把握するための図面比較を行う方法としては、例えば、ラスターイメージからなる2つの画像間の変更箇所を抽出するようにしたもの(例えば、特許文献1参照)、CAD図面の素子について、画面表示されない属性変更が行われたときでもこれを容易に認識できるようにしたもの(例えば、特許文献2参照)、さらに、自動作成された図面と入力部から入力された修正図面とを比較することにより修正部分を検出するようにしたもの(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第569157号公報
【特許文献2】特許第3809315号公報
【特許文献3】特開2013-242726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図面の変更には、表示される数値や文字等といった記載内容が変わる変更操作と、レイアウトの変更等といった記載内容が変わらない変更操作とがある。
従来の、2つの画像間の変更箇所を抽出する方法にあっては、画像データとして2つの画像間の相違を検出しているため、2つの画像間で一致しない箇所については相違があると判断されてしまう。そのため、2つの画像間で一致しない箇所が相違箇所として画面表示されることになり、例えば、記載内容が変わる変更のみを確認しようとした場合でも、記載内容が変わる変更操作と記載内容が変わらない変更操作とに関係なく相違がある場合には、相違箇所として画面表示されるため、相違箇所が多い場合には特に、記載内容が変わる変更のみを確認する際に手間がかかる。
【0005】
本発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、図面の変更前後での確認作業等といった図面内容の比較作業を容易に行うことの可能な図面比較装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、第一図面に含まれる図面要素の属性情報と第二図面に含まれる図面要素の属性情報とを抽出する属性情報抽出部と、第一図面の図面要素と第二図面の図面要素とで属性情報を比較し、対応する図面要素の属性情報どうしの相違点の有無を検出し、検出した相違点に基づき相違内容を推定する相違内容推定部と、相違内容推定部で推定した相違内容が予め設定した種類の相違内容である図面要素を非通知要素と判定する判定部と、相違内容推定部で相違内容が推定された図面要素のうち、判定部で非通知要素と判定された図面要素は通知せずに、非通知要素を除く図面要素を、相違点を有する図面要素として通知する相違要素通知部と、を備える図面比較装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、予め設定した種類の相違内容である図面要素については非通知要素とみなして、相違があっても通知しないようにしているため、相違有りとして通知される図面要素を削減することができる。そのため、図面の比較作業等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る図面比較装置の一例を示す構成図である。
図2】制御部の一例を示すブロック図である。
図3】制御部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の動作説明に供する図面の一例である。
図5図4に示す図面の属性情報の一例である。
図6】推測可能な操作内容の一例である。
図7】比較結果の一例である。
図8】属性情報抽出処理の所定手順の一例を示すフローチャートである。
図9】属性情報比較処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の動作説明に供する図面の一例である。
図11図10に示す図面の属性情報の一例である。
図12】比較結果の一例である。
図13】属性情報の比較結果の一例である。
図14】属性情報の比較結果の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても一つ以上の実施形態が実施できることは明らかである。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
本発明の一実施形態に係る図面比較装置は、第一図面に含まれる図面要素の属性情報と第二図面に含まれる図面要素の属性情報とを抽出する属性情報抽出部と、第一図面の図面要素と第二図面の図面要素とで属性情報を比較し、対応する図面要素の属性情報どうしの相違点の有無を検出し、検出した相違点に基づき相違内容を推定する相違内容推定部と、相違内容推定部で推定した相違内容が予め設定した種類の相違内容である図面要素を非通知要素と判定する判定部と、相違内容推定部で相違内容が推定された図面要素のうち、判定部で非通知要素と判定された図面要素は通知せずに、非通知要素を除く図面要素を、相違点を有する図面要素として通知する相違要素通知部と、を備える。
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(構成)
本発明の一実施形態に係る図面比較装置1は、図1に示すように、CPU等の制御部2と、表示装置3と、マウスやキーボード等の入力装置4と、記憶部として機能するメモリ5及びハードディスク6とを備える。
ハードディスク6には、OS(オペレーティングシステム)11、図面比較プログラム12、CAD(Computer Aided Design)システム13が格納され、さらに、CADシステム13や他の作図システムで作成した図面データ等が格納される。
【0011】
制御部2では、ハードディスク6に格納された図面比較プログラム12や、CADシステム13にしたがって、図面比較装置1に係る機能を実現し、各種図面データに対して図面変更及び図面比較等を行う。
制御部2は、図2に示すように、CAD処理部21と、変更前図面及び変更後図面に含まれる図面要素の各属性情報を抽出する属性抽出処理部22と、変更前図面に含まれる図面要素及び変更後図面に含まれる図面要素について属性情報の比較を行う比較処理部23と、比較結果を表示装置3に表示する比較結果表示処理部24と、を備える。
【0012】
CAD処理部21は、CADシステム13により新規図面の作成や既存の図面の変更等を行う。また、比較結果表示処理部24から通知される比較結果を、変更後図面に重畳表示する。
属性抽出処理部22は、CAD処理部21で作成又は変更した図面データのうち、変更前図面と、この変更前図面に対して変更を行った後の変更後図面とについてその図面データから、これら図面に含まれる図面要素の属性情報を抽出し、例えば、メモリ5等の所定の記憶領域に格納する。
【0013】
比較処理部23は、属性抽出処理部22で抽出した属性情報をもとに、変更前図面と変更後図面とについて、対応する図面要素毎に属性情報を比較する。ここで、対応する図面要素とは、図面要素を識別するために図面要素毎に付与された属性名が同一である図面要素のことをいう。
属性情報に変化があった図面要素については、属性情報の変化からどのような変更操作が行われたのかを推測する。変更操作としては、例えば、図面要素の追加又は削除、レイアウトの変更、数値等記載内容の変更、フォントサイズや線種の変更等といった図面要素の表示構成の変更等があげられる。
【0014】
比較結果表示処理部24では、推測した変更操作の操作内容が予め設定した内容の変更操作である場合には「変更なし」と判定し、予め設定した内容の変更操作でない場合には「変更あり」と判定する。例えば、推測した変更操作の操作内容が、数値等記載内容自体の変更、図面要素の追加及び削除であるときには「変更あり」と判定し、変更操作の操作内容がレイアウト変更等、記載内容自体には変更がない変更である場合には「変更なし」と判定する。また、比較結果表示処理部24は、「変更あり/変更なし」の判定結果及び、「変更あり」と判定された変更操作の操作内容を、CAD処理部21に通知し、CAD処理部21を介して変更内容を表示装置3に重畳表示させる。例えば、「変更あり」と判定された変更操作が行われた図面要素の表示形態を、他の図面要素とは異なる表示形態で表示させる。例えば、表示文字が変更された場合には、変更されたことを表す記号等を該当する図面要素の近傍に表示する、変更された表示文字を例えば赤色で表示する、或いは点滅表示させる等により強調表示する。また、「変更あり」と判定された図面要素の数(例えばx個)を、「変更箇所はx個である」旨を表示することにより通知する。
一方、変更操作は行われたがいずれの変更操作もその操作内容から「変更なし」と判定されたときには、例えば、表示装置3に「確認済み」等の文字列MAを重畳表示させる。
【0015】
次に、制御部2で実行される、既存図面の修正から、修正箇所の確認までの一連の処理手順を図3のフローチャートを伴って説明する。
制御部2では、まず、ハードディスク6に格納された変更前図面、例えばCADシステム13により作成された既存図面の図面データを読み出し、変更前図面に含まれる全図面要素の属性情報を抽出する(ステップS1)。
例えば、変更前図面が図4(a)に示すように、平面視で、長方形の部材の一端寄りに円形の貫通孔が形成されてなる部材の図面であって、長方形の寸法、貫通孔の位置及び直径が記載されているものとする。図4(a)の場合、長方形の寸法を表す寸法f1及び寸法f2、貫通孔の位置を表す寸法f3及び寸法f4、貫通孔の直径を表す寸法f5が図面要素となる。また、図示していないが、貫通孔が形成された長方形の部材全体を含む領域が図面要素となる。
【0016】
図面要素の属性情報としては、例えば図5(a)に示すように、各図面要素それぞれに対し、図面要素を識別するために付与された属性名(例えば「寸法1」)、図面要素の種類(例えば「LENGTH」)、寸法として記載されている値(例えば「50」)、寸法が記載されている位置(X座標、Y座標)等がある。また、図5(a)には記載していないが、貫通孔が形成された長方形の部材を含む領域を表す図面要素の位置座標(X座標、Y座標)等も含む。
図4(a)の変更前図面の場合、抽出される属性情報は、例えば、図5(a)に示すようになる。
このようにして、変更前図面について各図面要素の属性情報を抽出したならば、制御部2では、この属性情報をメモリ5等の記憶部に例えば変更前図面属性情報として格納する。
【0017】
続いて、制御部2では、利用者の指示にしたがってハードディスク6に格納されているCADシステム13を動作させ、利用者の操作にしたがって変更前図面に対して修正、追加、削除等の変更を行う(ステップS2)。変更を行った後の変更後図面の図面データは、例えば、ハードディスク6に格納する。
続いて、制御部2では、ハードディスク6に格納された変更後図面の図面データを対し、変更後図面に含まれる全図面要素の属性情報を抽出する(ステップS3)。この処理は、ステップS1での、変更前図面に対する属性情報の抽出時の処理と同様の手順で変更後図面に対して行う。
【0018】
例えば、ステップS2の変更前図面に対する変更処理で、図4(a)の変更前図面に対して、図4(b)に示すように、「寸法」を表す図面要素f3及びf4の記載位置を変更し、さらに、「寸法」を表す図面要素f5おいて、表示文字を、「φ10」の記載から「φ10 HOLE」と変更し、「テキスト」を表す図面要素f6として「※追加」との文字列を追加したものとする。
これによって、変更後図面の属性情報は、例えば図5(b)に示すようになる。図4(b)の変更後図面では、図面要素f6が追加されているため、図5(b)に示すように、変更後図面の属性情報は、図5(a)に示す変更前図面の属性情報に対し、図面要素f6に関する属性情報が新たに追加されることになる。また、図面要素f3とf4の表示位置が変更され、図面要素f5の文字内容が変更されていることから、図5(a)と図5(b)とでは図面要素f3~f5に対応する、属性名「寸法3」、「寸法4」、「寸法5」で識別される図面要素の属性情報が異なる。
【0019】
制御部2では、抽出した変更後図面の属性情報を、メモリ5等の記憶部に例えば変更後図面属性情報として格納する。
続いて制御部2では、変更前図面属性情報として記憶した変更前図面の属性情報と変更後図面属性情報として記憶した変更後図面の属性情報とを比較する(ステップS4)。
具体的には、変更前図面及び変更後図面の属性情報について、属性名が一致するものについて属性情報が一致するかを判定する。そして、属性情報が一致しないもの、つまり、属性情報が変更されたものについて、どのような変更操作が行われたかを判断する。例えば、図5(a)、(b)の場合、属性名「寸法3」、「寸法4」、「寸法5」は属性情報が異なっており、属性名「テキスト6」が新たに追加されている。
【0020】
属性名「寸法3」及び「寸法4」については、その表示位置を示す位置座標が異なっていることから、移動が行われたと推測することができる。また、属性名「寸法5」については、表示する値が異なっていることから、文字列の変更が行われたと推測することができる。また、属性名「テキスト6」については、変更前図面には存在せず、変更後図面にのみ存在することから、属性名「テキスト6」の属性情報で表される文字列の追加がなされたと推測することができる。
なお、例えば、変更前図面には存在し、変更後図面には存在しない図面要素の場合には、この図面要素は変更操作により削除されたと推測することができる。
【0021】
図6は、図面データから取得可能な属性情報として、「属性名、種類(図形、寸法(LENGTH)、テキスト(TEXT)、領域)、値、座標、線種、フォント情報」等を含む場合に推測可能な変更作業の操作内容を示したものである。
図6に示すように、図面要素の種類と、属性名とを比較することで、図形、寸法、テキストについて、図面要素の追加又は削除の操作がなされたことを推測することができる。
図面要素の種類と値とを比較することで、図形、寸法、テキストについて、図形のサイズ、寸法を表す数値、テキストの表示内容の変更操作がなされたことを推測することができる。
【0022】
図面要素の種類と座標情報とを比較することで、図形、寸法、テキストの表示位置の変更操作がなされたことを推測することができる。
図面要素の種類と線種情報とを比較することで、図形について線種の変更がなされたことを推測することができる。
図面要素の種類と線種とフォント情報とを比較することで、寸法について、線種やフォントの変更がなされたことを推測することができる。
図面要素の種類とフォント情報とを比較することで、テキストについて、フォントの変更がなされたことを推測することができる。
このようにして属性情報の比較が終了したならば、制御部2では、比較結果を表示装置3に表示する(ステップS5)。
【0023】
制御部2では、変更操作が「移動」であると推測された図面要素については「変更なし」とみなし、この図面要素を非通知要素であると判定する。また、変更操作が、文字列等の変更、図面要素の追加又は削除であると推測された図面要素については「変更あり」とみなし、この図面要素に対して、非通知要素との判定は行わない。
そして、変更操作が行われ且つ「変更あり」と判定される図面要素が、変更後図面に含まれる場合には、CADシステム13により変更後図面を表示させ、その際、非通知要素として判定されていない「変更あり」と判定された図面要素については、例えば変更されたことを表す記号を該当する図面要素の近傍に表示する等、他の図面要素とは異なる表示形態で表示する。また、「変更あり」と判定された図面要素の数を、修正箇所の数として表示する。一方、非通知要素であると判定された「変更なし」と判定された図面要素については、実際には変更操作が行われていたとしても変更操作が行われていない図面要素とみなして、他の図面要素と同様の表示形態で表示する。
【0024】
例えば、図4(a)が図4(b)に示すように変更されている場合には、図7に示すように、「変更あり」と判定された、図面要素f5とf6との近傍に、「変更あり」と判定された図面要素であることを表す変更記号CHを表示し、修正箇所として日付と「図面修正(2箇所)」との表示と変更記号CHとを表示する。なお、図面要素f3とf4は、表示位置の変更であり「変更なし」とみなされ、非通知要素と判定されることから、図面要素f3とf4には変更記号CHは表示されない。
【0025】
図8は、図3のステップS1、ステップS3における属性情報抽出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
制御部2では、初期処理として変数iをi=1とし(ステップS11)、続いて、変数iに対応する図面要素の属性情報を取得する(ステップS12)。
続いて、ステップS13に移行し、抽出した属性情報を図面要素のメモリ5等の記憶領域に、変数iと対応付けて格納する。
続いて、ステップS14に移行し、変数iをi=i+1に更新する。そして、変数iに対応する図面要素が存在する場合(ステップS15)には、ステップS12に戻ってその属性情報を抽出する。一方、変数iに対応する図面要素が存在しない場合には処理を終了する。
これによって、各図面要素の属性情報が抽出されて、メモリ5等の記憶領域に変更前図面属性情報又は変更後図面属性情報が格納される。
【0026】
図9は、図3のステップS4における属性情報比較処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
制御部2では、初期処理として変数mをm=1とし(ステップS21)、続いて、変数nをn=1とする(ステップS22)。
次いでステップS23に移行し、変更前図面の図面要素mと変更後図面の図面要素nとについて属性名を比較する。属性名が一致する場合には(ステップS24)、変更操作の操作内容を推測し(ステップS25)、推測結果をメモリ5等の記憶部に格納した後(ステップS26)、ステップS29に移行する。
【0027】
一方、ステップS24の処理で属性名が一致しない場合には、変数nをn=n+1に更新し(ステップS27)、変更後図面に、変数nに対応する図面要素が存在する場合には(ステップS28)ステップS23に戻って属性名の比較を行う。
変更後図面に、変数nに対応する図面要素が存在しない場合には、ステップS29に移行する。
ステップS29では、変数mをm=m+1に更新し、変更前図面に変数mに対応する図面要素が存在する場合には(ステップS30)、ステップS22に戻り、変更前図面に変数mに対応する図面要素が存在しない場合にはステップS31に移行する。ステップS31では、追加又は削除が行われた図面要素の有無を判定すると共に、判定結果をメモリ5等の記憶部に格納する。
【0028】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
前述のように、図4(a)に示す変更前図面において、図4(b)に示すように、寸法を表す図面要素f3、f4の表示位置を変更し、寸法を表す図面要素f5の表示内容を変更し、さらに「※追加」というテキストからなる図面要素f6を追加した場合には、図4(a)及び(b)から抽出される属性情報が図5(a)、(b)に示すようになる。そのため、比較結果として、図7に示すように、表示内容が変更された図面要素f5と追加された図面要素f6との近傍に、表示内容が変更された図面要素であることを表す変更記号CHが表示され、また、変更記号CHと共に「2016/02/22 図面修正(2箇所)との文字が表示される。
【0029】
ここで、実際には、図面要素f3とf4の表示位置が変更されているが、表示内容に変更はないため、「変更あり」とは判定されず変更記号CHは表示されない。
したがって、表示位置の変更等が行われた場合であっても、利用者は変更記号CHが表示された図面要素のみを確認することによって、表示内容が変更された図面要素を容易に認識することができる。また、表示内容が変更された図面要素の数も表示されるため、表示された図面要素の数と、変更記号CHとを照らし合わせることによって、表示内容が変更された図面要素を容易且つ的確に認識することができる。
【0030】
また、例えば、図10(a)に示すように、長方形の部材の平面図である変更前図面において、図10(b)に示すように、長方形の部材を含む領域を表す図面要素f11の表示位置を左にずらし、長方形の寸法を表す図面要素f12において、表示する数値のフォントサイズを変更したものとする。この場合、変更前図面(図10(a))及び変更後図面(図10(b))から抽出される属性情報は、図11(a)、図11(b)となる。変更前図面と変更後図面の属性情報を比較すると、領域を表す図面要素f11の表示位置と、寸法を表す図面要素f12においてフォントサイズが変更されている。図面要素f11における表示位置と、図面要素f12におけるフォントサイズとが変更されているものの、これら変更は、表示内容を変更するものではないため、共に「変更なし」とみなされこれら図面要素f11及びf12は非通知要素と判定される。
【0031】
変更前図面及び変更後図面は、「変更あり」と判定される図面要素、つまり表示内容が変更されたと判定される図面要素を含まないため、変更後図面には、図12に示すように、いずれの図面要素に対しても変更記号CHは表示されず、いずれの図面要素にも変更がないことを表す「確認済み」との文字列MAが表示される。
利用者は、変更後図面において、図面要素f11の表示位置や、f12におけるフォントサイズが異なってはいるものの、「確認済み」との文字列MAの表示がなされているため、表示内容の変更が行われた図面要素は含まれていないことを容易に認識することができる。
【0032】
このように、本発明の一実施形態に係る図面比較装置1によれば、変更前図面と変更後図面とにおいて、表示内容が変更された図面要素についてのみ、変更されたことを表す変更記号CHが表示される。
ここで、例えば、変更後図面について、変更前図面とどこが変更されたのかを把握するとき、或いは、変更前図面に対し、指定された変更が行われたかを確認するとき等には、レイアウトの変更はさほど問題ではなく、変更後図面において寸法等の数値や表示される文字列自体が変更されている場合等、表示内容に変更があった図面要素を漏れなく把握することが重要である。
特に、変更前図面に対し、図面要素の移動等レイアウト変更が複数箇所で行われた場合等には、変更前図面に対して、どの図面要素がレイアウト変更されたのか、どの図面要素が削除又は追加されたのか、表示内容の変更がなされた図面要素が存在するのか、を一目で把握することは困難であり、図面内に含まれる図面要素の数が増えるほど、困難となる。
【0033】
本発明の一実施形態に係る図面比較装置1では、レイアウト変更等が行われた図面要素については「変更なし」とみなし、表示内容の変更がなされた図面要素や、追加、或いは削除された図面要素についてのみ「変更あり」とみなして、図面要素の近傍に変更記号CHを表示している。
そのため、利用者は表示内容の変更がなされた図面要素や追加或いは削除された図面要素を容易に認識することができる。その結果、変更後図面の確認作業に要する所要時間を短縮することができ、確認作業を容易に行うことができる。
【0034】
また、修正のために差し戻した図面が、もれなく修正され且つ修正点以外は変更されていないことを確認する場合、また、設計変更時に変更前の既存図面と設計変更後の図面とを比較し、変更箇所を把握する場合、さらに、自動設計システムで作成した図面と、自動設計システムで作成した図面に対して人手により修正が加えられた図面とを比較することで、人手により加えられた修正箇所を把握する場合等においても適用することができ、いずれも確認作業に要する手間や時間を削減することができる。
【0035】
ちなみに、従来のように、変更があった全ての図面要素を表示するようにした場合、図6に示すように、従来の方法では、図面要素の追加や削除は把握することはできるものの、数値の変更や表示位置の移動、また、線種やフォントサイズ等については、変更点があることは判別できるものの、これらのうちのどの変更操作が行われたのかを判別することができない。そのため、図4(a)の変更前図面に対し、図4(b)の変更後図面に示す変更を行った場合、図13に示すように、レイアウト変更がされた寸法を表す図面要素f3、f4についても「変更あり」と判定されるため、四つの図面要素f3~f6が「変更あり」と判定される。そのため、四つの図面要素f3~f6についてどのような内容の変更が行われたのかを把握する必要がある。また、図10(a)の変更前図面に対し、図10(b)の変更後図面に示す変更を行った場合、図14に示すように、レイアウト変更が行われた領域を表す図面要素f11と、フォントサイズ変更がなされた図面要素f12についても変更ありと判定されるため、二つの図面要素f11、f12が「変更あり」と判定される。そのため、二つの図面要素f11、f12についてどのような内容の変更が行われたのかを把握する必要がある。つまり、表示内容に変更はなく、単にレイアウト変更を行っただけの図面要素についても、どのような内容の変更が行われたのかを把握する必要があり不要な手間が生じることになる。
【0036】
なお、上記実施形態においては、表示内容に変更のない図面要素については「変更なし」と判定して非通知要素とみなし、表示内容に変更のあった図面要素についてのみ、「変更あり」とみなして、変更記号CHを表示する場合について説明したがこれに限るものではない。
例えば、移動した図面要素についてのみ「変更あり」とみなして変更記号CHを表示するようにしてもよく、任意の変更操作が行われた図面要素に対してのみ、変更記号CHを表示するようにすることも可能である。また、例えば、変更があっても「変更なし」とみなす変更操作の操作内容を指定するための非通知操作内容設定部を設け、この非通知操作内容設定部によって設定された内容の変更操作が行われた図面要素については非通知要素とみなし、非通知要素と判定された図面要素を除く、何らかの変更操作が行われた図面要素についてのみ変更記号CHを表示するようにしてもよい。
【0037】
また、上記実施形態においては、図面比較装置1において、図面の変更操作を行う場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、図面比較装置1で作成した変更前図面に対し、図面比較装置1とは別のCAD装置等によって変更を加えた変更後図面の図面データを、図面比較装置1で読み込み、変更前図面の図面データと変更後図面の図面データとに対して、属性情報抽出処理と、属性情報比較処理と比較結果表示処理とを実行して、「変更なし」と判定された図面要素には変更記号CHを表示せずに、「変更あり」と判定された図面要素に変更記号CHを表示するようにしてもよい。要は、元となる図面が共通であり、元となる共通の図面を改版してなる版数の異なる図面どうしであれば比較することができる。
また、上記実施形態において、抽出した属性情報を、対応する図面の図面データと対応付けて記憶するようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態においては、表示内容に変更のあった図面要素の近傍に変更記号CHを表示することによって、表示内容に変更のあった図面要素であることを明示する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、他の図面要素と表示色を変える、点滅表示させる等、他の図面要素と異なる表示形態で表示するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、表示内容に変更のあった図面要素を、表示装置3に表示された変更後図面に重畳表示する場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、変更前図面に重畳表示してもよい。
なお、上記実施形態において、変更前図面が第一図面に対応し、変更後図面が第二図面に対応し、変更操作の操作内容が相違内容に対応している。また、図3のステップS1及びステップS3の処理が属性情報抽出部に対応し、ステップS4の処理が相違内容推定部に対応し、ステップS5の処理が判定部及び相違要素通知部に対応している。
【0039】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例又は実施形態も網羅すると解すべきである。
【符号の説明】
【0040】
1 図面比較装置
2 制御部
3 表示装置
4 入力装置
5 メモリ
6 ハードディスク
11 オペレーティングシステム
12 図面比較プログラム
13 CAD(Computer Aided Design)システム
図1
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