(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103171
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】ステータ製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/04 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
H02K15/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007359
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 史弥
(72)【発明者】
【氏名】矢辻 禎人
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP14
5H615QQ03
5H615QQ12
5H615SS04
5H615SS10
(57)【要約】
【課題】コイル脱落による精度ばらつきを抑えることができるステータ製造方法を提供する。
【解決手段】ステータ製造方法1は、中心軸に対して環状のステータコアに設けられたスロットにセグメントコイルを挿入し、セグメントコイルの端部を捻り加工することによってステータを製造するステータ製造方法において、セグメントコイルの端部に対して、環状治具を平面方向に位置を合わせる平面位置調整工程(S1)と、セグメントコイルの端部に向かって環状治具を軸方向に押し付け、環状治具にかかるトルク負荷から軸方向の高さをフィードバックし、軸方向の位置を合わせる高さ位置調整工程(S2)と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に対して環状のステータコアに設けられたスロットにセグメントコイルを挿入し、前記セグメントコイルの端部を捻り加工することによってステータを製造するステータ製造方法において、
前記セグメントコイルの端部に対して、環状治具を平面方向に位置を合わせる平面位置調整工程と、
前記セグメントコイルの端部に向かって前記環状治具を軸方向に押し付け、前記環状治具にかかるトルク負荷から前記軸方向の高さをフィードバックし、前記軸方向の位置を合わせる高さ位置調整工程と、
を含む、
ステータ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステータ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、環状治具を用いてステータのセグメントコイルを捻るステータの製造方法の技術が記載されている。この技術では、ステータコアのコイルエンドに突出するリード線部のうちステータの外部と接続するための動力線となる動力線部に隣接する接続線部を、捻り加工時に円環治具で保持させて動力線部側の周方向に捻ることによって捻り工程を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような環状治具を用いた製造方法では、リード線長が短い場合、捻り加工時に環状治具で把持することができず、環状治具からリード線が抜け落ちてしまい精度ばらつきが発生してしまう虞があり、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、コイル脱落による精度ばらつきを抑えることができるステータ製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るステータ製造方法は、地上側に配置され、車両の車載コイルに向けて非接触で電力を給電する地上コイルと、前記地上コイルの上面中央に設けられ、液体を上方に向けて噴出可能な噴出口と、前記噴出口と連通し、前記液体を送出する流路と、前記流路に前記液体を供給するポンプと、前記流路の途上に設けられ、前記流路を開閉するバルブと、前記地上コイルの上面における異物を検出するセンサと、前記センサが前記異物を検出した場合、前記バルブおよび前記ポンプを駆動して前記液体を前記噴出口から吐出させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コイル脱落による精度ばらつきを抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係るコイル捻り工法を用いたステータ製造時における模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態に係るステータ製造方法の概要を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、一実施の形態に係るステータ製造装置が備える駆動機構のサーボモータの電流波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係るステータ製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態により本開示が限定されるものでない。また、以下において、同一の部分には、同一の符号を付して説明する。
【0010】
〔ステータ製造方法の概要〕
図1は、コイル捻り工法を用いたステータ製造時における模式的な断面図である。
図1に示すステータ1は、ステータコア2およびセグメントコイル3を備える。
【0011】
ステータコア2は、略円筒状をなす電磁鋼板を積層して形成されてなる。ステータコア2は、内周側に突出し、ステータコア2の周方向に並んで形成されてなる複数のティース(図示せず)、および、その隣り合うティースの間に、セグメントコイル3によって形成されてなるセグメントを収納するスロット(図示せず)を有する。
【0012】
セグメントは、図示しない整列機によって円環状に配置されてなる。セグメントを円環状に配置し、ステータコア2に挿入する前の状態のものを、円環状アシーと称する。この円環状アシーは、ステータコア2のスロットに挿入され、セグメントコイル3の端部31(リード先端部)が後述するステータ製造装置4によって捻り加工された後に、溶接されてコイルを形成したものがセグメントコイル3となる。このセグメントコイル3を備えたステータコア2がステータ1である。
【0013】
次に、ステータ製造装置4について説明する。
ステータ製造装置4は、少なくとも、ステータコア2が載置されるワーク受け部5と、捻り環状治具6、駆動機構7、積厚センサ8および制御装置9を備える。
【0014】
捻り環状治具6は、互いに異なる径を有する複数の円環状の治具からなる。捻り環状治具6は、ステータコア2のスロットに挿入されるセグメントコイル3の挿入数に応じた数だけ円環状の治具が重なるように構成される。この複数の円環状の治具は、各々が互いに異なる方向に回転可能に設けられている。また、捻り環状治具6には、セグメントコイル3の端部(リード先端部)を保持するための保持部61が複数整列されて設けられている。
【0015】
駆動機構7は、捻り環状治具6を軸方向の高さ方向に昇降させ、かつ、捻り環状治具6を円周方向に回転駆動する。駆動機構7は、例えばサーボモータ71、電流計72および昇降機構(図示せず)等を用いて構成される。また、駆動機構7は、捻り環状治具6を軸方向に回転させた際に、電流計72が検出するサーボモータ71の上下軸におけるトルク電流値を制御装置9へ出力する。
【0016】
積厚センサ8は、ステータコア2が載置されるワーク受け部5からステータコア2の上面までのステータコア2の厚みH1に関する位置情報を検出し、この検出結果を制御装置9へ出力する。
【0017】
制御装置9は、ハードウェアを有するプロセッサを用いて実現される。そのハードディスクは、例えばメモリ、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)およびFPGA(Field-Programmable Gate Array)等である。制御装置9は、駆動機構7から入力されるトルク電流値および積厚センサ8から入力される上下軸のステータコア2の上下軸の位置に関する位置情報に基づいて、セグメントコイル3の端部31(リード先端部)に向かって捻り環状治具6を軸方向(高さ方向)に押し付け、捻り環状治具6にかかるトルク負荷から捻り環状治具6の軸方向の高さをフィードバックし、捻り環状治具6の軸方向の位置を合わせる高さ位置調整を行う。
【0018】
〔ステータ製造方法の概要〕
次に、ステータ製造装置4によるステータ製造方法の概要について説明する。
図2は、ステータ製造方法の概要を示すフローチャートである。なお、以下においは、説明を簡略化するため、中心軸に対して環状のステータコア2に設けられたスロットにセグメントコイル3を挿入し、このセグメントコイル3の端部31(リード先端部)を捻り加工することによってステータ1を製造するステータ製造方法について説明する。このステータ製造方法では、特徴部分である一部の工程について説明し、他の工程については、周知の工程を行うものとする。ここで、他の工程とは、例えばセグメントコイル3の挿入工程、ウェッジ挿入工程、捻り工程、溶接工程および絶縁処理工程等である。
【0019】
図2に示すように、まず、ステータ製造装置4は、セグメントコイル3の端部31に対して、捻り環状治具6を平面方向に位置を合わせる平面位置調整工程を行う(ステップS1)。
【0020】
続いて、ステータ製造装置4は、駆動機構7から入力されるトルク電流値および積厚センサ8から入力される上下軸のステータコア2の上下軸の位置に関する位置情報に基づいて、セグメントコイル3の端部31に向かって捻り環状治具6を軸方向(高さ方向)に押し付け、捻り環状治具6にかかるトルク負荷から捻り環状治具6の軸方向の高さをフィードバックし、捻り環状治具6の軸方向の位置を合わせる高さ位置調整工程を行う(ステップS2)。ステップS2の後、ステータ製造装置4は、本処理を終了する。
【0021】
図3は、駆動機構7のサーボモータ71の電流波形を示す図である。
図3において、横軸が時間を示し、右縦軸がサーボモータ71における上下軸のトルク電流値(%)を示し、左縦軸がステータコア2の上下軸の位置(mm)を示す。また、
図3において、曲線L1,L2がサーボモータ71における軸のトルク電流値を示し、曲線L11,L12がステータコア2の軸の位置を示す。さらに、領域R1は、捻り環状治具6とセグメントコイル3の端部31(リード先端部)の誘い込み時の負荷を示し、領域R2は、捻り環状治具6をセグメントコイル3に押し付けた際の負荷を示す。
【0022】
図3に示すように、ステータ製造装置4は、駆動機構7から入力されるトルク電流値および積厚センサ8から入力される上下軸のステータコア2の上下軸の位置に関する位置情報に基づいて、セグメントコイル3の端部31に向かって捻り環状治具6を軸方向(高さ方向)に押し付ける。そして、ステータ製造装置4は、捻り環状治具6にかかるトルク負荷から捻り環状治具6の軸方向の高さをフィードバックすることによって、捻り環状治具6の軸方向の位置を合わせる高さ位置調整工程を行う。これにより、ステータ製造装置4は、セグメントコイル3の挿入量を環状治具6の保持部61から脱落しない領域、かつ、底突きしない領域に設定することができる。
【0023】
以上説明した一実施の形態によれば、ステータ製造装置4が駆動機構7から入力されるトルク電流値および積厚センサ8から入力される上下軸のステータコア2の上下軸の位置に関する位置情報に基づいて、セグメントコイル3の端部31に向かって捻り環状治具6を軸方向(高さ方向)に押し付ける。そして、ステータ製造装置4は、捻り環状治具6にかかるトルク負荷から捻り環状治具6の軸方向の高さをフィードバックすることによって、捻り環状治具6の軸方向の位置を合わせる高さ位置調整工程を行うため、セグメントコイル3の挿入量を環状治具6の保持部61から脱落しない領域、かつ、底突きしない領域に設定することができる。
【0024】
また、一実施の形態によれば、ステータ製造装置4が捻り環状治具6にかかるトルク負荷から捻り環状治具6の軸方向の高さをフィードバックすることによって、捻り環状治具6の軸方向の位置を合わせる高さ位置調整工程を行うため、セグメントコイル3の端部31(リード先端部)を捻る際に捻り環状治具6よりセグメントコイル3の端部31(リード先端部)が抜け落ちること防止することができるので、ステータ1の良品を成型することができる。
【0025】
また、一実施の形態によれば、ステータ製造装置4が捻り環状治具6にかかるトルク負荷から捻り環状治具6の軸方向の高さをフィードバックすることによって、捻り環状治具6の軸方向の位置を合わせる高さ位置調整工程を行うため、セグメントコイル3の端部31(リード先端部)が捻り環状治具6の底突きを防止することができるので、セグメントコイル3の先端位置のばらつきを防止することができる。
【0026】
また、一実施の形態に係るステータ製造方法では、上記してきた「装置」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御装置は、制御手段または制御回路に読み替えることができる。
【0027】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。従って、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0028】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 ステータ;2 ステータコア;3 セグメントコイル;4 ステータ製造装置;5 ワーク受け部;6 捻り環状治具;7 駆動機構;8 積厚センサ;9 制御装置