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特開2024-103177音色設定プログラム、音色設定装置および音色設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103177
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】音色設定プログラム、音色設定装置および音色設定方法
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/18 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
G10H1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007369
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】三森 誠
(72)【発明者】
【氏名】星加 敦史
(72)【発明者】
【氏名】臼井 彩佳
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478DB00
(57)【要約】
【課題】音色を構成するモジュールの設定をする際のユーザの操作性を向上できる音色設定プログラム、音色設定装置および音色設定方法を提供すること。
【解決手段】モジュールエリア10に音色を構成するモジュールが表示され、表示されるモジュールのうち、マウス2を介して選択表示Seで選択されたモジュールが設定を行うモジュールとして設定エリアPe1~Pe4に表示される。モジュールエリア10により、ユーザHは音色を構成するモジュールを一目で把握できる。更にユーザHは、モジュールエリア10のモジュールのうち、所望のモジュールをマウス2を介して選択表示Seで選択する操作のみで、設定エリアPe1~Pe4で設定するモジュールを指定できる。これらにより、モジュールを設定する際のユーザの操作性を向上できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、ユーザの操作を受け付ける入力部とを備えたコンピュータに、音色の設定を行う音色設定処理を実行させる音色設定プログラムであって、
前記表示部に、前記音色を構成するモジュールを表示するモジュール表示ステップと、
そのモジュール表示ステップで表示されたモジュールのうち、前記入力部を介して選択されたモジュールを設定対象のモジュールとして取得する取得ステップと、
前記表示部に、前記取得ステップで取得されたモジュールの設定を行う設定エリアを表示する設定エリア表示ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする音色設定プログラム。
【請求項2】
前記モジュール表示ステップは、モジュールを他のモジュールとの関連性に応じて配置して表示するものであり、
前記取得ステップは、前記入力部を介して選択された相互に関連性の高い複数のモジュールをまとめて取得するものであることを特徴とする請求項1記載の音色設定プログラム。
【請求項3】
前記音色は、複数の前記モジュールから構成されるパーシャルを、更に複数組み合わせて構成されるものであり、
前記モジュール表示ステップは、パーシャル毎にモジュールを配置して表示するものであり、
前記取得ステップは、前記入力部を介して選択された異なるパーシャルのそれぞれに含まれる同等のモジュールをまとめて取得するものであることを特徴とする請求項2記載の音色設定プログラム。
【請求項4】
前記モジュール表示ステップは、各パーシャルを上下方向に並べて配置して表示するものであることを特徴とする請求項3記載の音色設定プログラム。
【請求項5】
前記取得ステップは、前記入力部を介してモジュールとモジュールとの間の位置が指定された場合は、その指定された位置の近傍に配置されたモジュールをまとめて取得するものであることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の音色設定プログラム。
【請求項6】
表示される前記モジュールのうち、前記取得ステップで取得されたモジュールに、設定対象のモジュールとして選択されていることを表す選択表示を行う選択表示ステップを、更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の音色設定プログラム。
【請求項7】
前記選択表示は、表示される前記モジュールのうち、前記取得ステップで取得されたモジュールを所定の形状の領域で囲む表示であることを特徴とする請求項6記載の音色設定プログラム。
【請求項8】
前記入力部を介して位置が指定された場合に、その指定された位置の近傍に配置されたモジュールを取得する候補取得ステップと、
表示される前記モジュールのうち、前記候補取得ステップで取得されたモジュールに、設定対象のモジュールの候補であることを表す候補表示を行う候補表示ステップと、を更に前記コンピュータに実行させ、
前記取得ステップは、前記入力部を介して前記候補表示を確定する指示がされた場合に、前記候補取得ステップで取得されたモジュールを、設定対象のモジュールとして取得するものであることを特徴とする請求項6記載の音色設定プログラム。
【請求項9】
ユーザの操作を受け付ける入力手段と、
音色を構成するモジュールを表示するモジュール表示手段と、
そのモジュール表示手段で表示されたモジュールのうち、前記入力手段を介して選択されたモジュールを設定対象のモジュールとして取得する取得手段と、
その取得手段で取得されたモジュールの設定を行う設定エリアを表示する設定エリア表示手段とを備えていることを特徴とする音色設定装置。
【請求項10】
ユーザの操作を受け付ける入力手段を備えた音色設定装置で実行される音色設定方法であって、
音色を構成するモジュールを表示するモジュール表示ステップと、
そのモジュール表示ステップで表示されたモジュールのうち、入力手段を介して選択されたモジュールを設定対象のモジュールとして取得する取得ステップと、
その取得ステップで取得されたモジュールの設定を行う設定エリアを表示する設定エリア表示ステップとを備えていることを特徴とする音色設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音色設定プログラム、音色設定装置および音色設定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鍵盤を模した仮想鍵盤Aとノブを模した仮想ノブ操作子Bとを表示するプログラムが開示されている。該プログラムにおいて、仮想鍵盤Aの鍵がタッチされると該当する楽音を出力し、仮想ノブ操作子Bが操作されると楽音を構成する楽音制御パラメータ(モジュール)が変更される。仮想ノブ操作子Bのそれぞれに対し、操作によって変更される楽音制御パラメータを予め割り当て可能に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-257517号公報(例えば、段落0024,0025、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、楽音において設定可能な楽音制御パラメータが数多く存在する一方で、表示される仮想ノブ操作子Bの数には限りがある。従って、仮想ノブ操作子Bに設定可能な楽音制御パラメータを一度に全て割り当てられないので、ユーザは設定可能な楽音制御パラメータを把握できず、楽音に関する設定を十分に行うことができない。また、複数の楽音制御パラメータを横断して設定する場合に、仮想ノブ操作子Bに対象の設定する楽音制御パラメータを都度割り当てる必要がある。これらにより、楽音制御パラメータを設定する際のユーザの操作性が悪化するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、音色を構成するモジュールの設定をする際のユーザの操作性を向上できる音色設定プログラム、音色設定装置および音色設定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の音色設定プログラムは、表示部と、ユーザの操作を受け付ける入力部とを備えたコンピュータに、音色の設定を行う音色設定処理を実行させるプログラムであり、前記表示部に、前記音色を構成するモジュールを表示するモジュール表示ステップと、そのモジュール表示ステップで表示されたモジュールのうち、前記入力部を介して選択されたモジュールを設定対象のモジュールとして取得する取得ステップと、前記表示部に、前記取得ステップで取得されたモジュールの設定を行う設定エリアを表示する設定エリア表示ステップと、を前記コンピュータに実行させるものである。
【0007】
本発明の音色設定装置は、ユーザの操作を受け付ける入力手段と、音色を構成するモジュールを表示するモジュール表示手段と、そのモジュール表示手段で表示されたモジュールのうち、前記入力手段を介して選択されたモジュールを設定対象のモジュールとして取得する取得手段と、その取得手段で取得されたモジュールの設定を行う設定エリアを表示する設定エリア表示手段とを備えている。
【0008】
また本発明の音色設定方法は、ユーザの操作を受け付ける入力手段を備えた音色設定装置で実行される方法であり、音色を構成するモジュールを表示するモジュール表示ステップと、そのモジュール表示ステップで表示されたモジュールのうち、入力手段を介して選択されたモジュールを設定対象のモジュールとして取得する取得ステップと、その取得ステップで取得されたモジュールの設定を行う設定エリアを表示する設定エリア表示ステップとを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は、PCの外観図であり、(b)は、音色設定画面を表す図である。
図2】(a)は、第1パーシャルエリアの第1低周波、第2低周波、フィルタ及びフィルタエンベロープが選択表示で選択されている場合を表す図であり、(b)は、第1パーシャルエリアのフィルタ、フィルタエンベロープ、アンプエンベロープ及びイコライザが選択表示で選択されている場合を表す図である。
図3】(a)は、各パーシャルのピッチエンベロープが選択表示で選択されている場合の音色設定画面を表す図であり、(b)は、候補表示を表す図であり、(c)は、各パーシャルのアンプエンベロープが候補表示で選択されている場合を表す図である。
図4】PCの機能ブロック図である。
図5】PCの電気的構成を示すブロック図である。
図6】メイン処理のフローチャートである。
図7】(a)は、音色変更処理のフローチャートであり、(b)は、表示更新処理のフローチャートである。
図8】(a)は、横方向処理のフローチャートであり、(b)は、縦方向処理のフローチャートである。
図9】(a)は、変形例における音色を4つのパーシャルで構成する場合のモジュールエリアを表す図であり、(b)は、別の変形例における音色を1つのパーシャルで構成する場合のモジュールエリアを表す図であり、(c)は、(b)のモジュールエリアにおける候補表示を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態のPC1の概要を説明する。図1(a)は、PC1の外観図である。PC1は、ユーザHの演奏操作等に応じて楽音を出力する際に使用される、音色を設定するための情報処理装置(コンピュータ)である。PC1には、ユーザHからの指示を入力するマウス2及びキーボード3と、音を出力するスピーカ4と、各種の設定画面等が表示される表示装置5とが設けられる。
【0011】
表示装置5には、音色を設定するための画面である音色設定画面5aが表示される。音色設定画面5aでは、マウス2及びキーボード3からのユーザHの指示に応じて、オシレータや周波数フィルタ等の音色を構成する要素である、モジュールの設定が行われる。各モジュールの設定を行うことにより、音色が詳細に設定される。図1(b)~図3を参照して、音色設定画面5aを説明する。
【0012】
図1(b)は、音色設定画面5aを表す図である。なお、図1(b)において音色設定画面5aにおける横方向の座標をX座標とし、縦方向の座標をY座標とする。以下の図でも同様とする。
【0013】
音色設定画面5aには、音色名表示6と、上ボタン7と、下ボタン8と、保存ボタン9と、モジュールエリア10と、設定エリアPe1~Pe4とが設けられる。音色名表示6は、音色設定画面5aで設定する対象の音色(以下「設定対象の音色」という)の名称、例えば「グランドピアノ」、「エレキギター」等が表示される表示エリアである。上ボタン7及び下ボタン8は、設定対象の音色を切り替える操作子である。マウス2を介して上ボタン7または下ボタン8が選択された場合に、設定対象の音色が切り替わり、その切り替わった後の音色の名称が音色名表示6に反映される。
【0014】
保存ボタン9は、音色設定画面5aで設定された音色の設定状態を、当該音色の設定に反映させる操作子である。音色設定画面5aでは、後述の設定エリアPe1~Pe4で音色の設定が変更可能に構成され、マウス2を介して保存ボタン9が選択された場合に、その時点で設定エリアPe1~Pe4で設定された設定状態が、当該音色の設定として反映される。
【0015】
モジュールエリア10は、設定対象の音色において、設定が可能なモジュールが表示される領域である。本実施形態において、音色は、複数のモジュールの組み合わせで構成される。より具体的に、複数のモジュールを組み合わせたモジュールを1つの「パーシャル」とし、これらのパーシャルを3つ組み合わせることで、音色が構成される。
【0016】
3つのパーシャル(即ち第1パーシャル、第2パーシャル、第3パーシャル)に含まれる複数のモジュールをそれぞれ設定することで、音色の音量の変化や残響の長さ等を詳細に設定することができる。具体的に、本実施形態においてパーシャルが有するモジュールは、ピッチエンベロープ、オシレータ、第1低周波、第2低周波、フィルタ、フィルタエンベロープ、アンプエンベロープ及びイコライザである。
【0017】
ピッチエンベロープは、オシレータに作用するエンベロープ(ピッチエンベロープ)の設定を行うモジュールである。ピッチエンベロープからのエンベロープがオシレータに入力され、そのエンベロープにより、オシレータで出力される基本波形の音高に対して時間的な変化が与えられる。オシレータは、基本波形の設定を行うモジュールである。オシレータから出力された基本波形が、フィルタに入力される。
【0018】
第1低周波は、ピッチエンベロープに作用する低周波の設定を行うモジュールである。第1低周波からの低周波がピッチエンベロープに入力される。また第2低周波は、フィルタ及びフィルタエンベロープに作用する低周波の設定を行うモジュールであり、第2低周波からの低周波がフィルタ及びフィルタエンベロープに入力される。
【0019】
フィルタは、オシレータからの基本波形に適用される周波数フィルタ(ハイパスフィルタ、バンドパス等)の設定を行うモジュールである。フィルタエンベロープは、フィルタが設定を行う周波数フィルタのエンベロープを設定するモジュールである。
【0020】
アンプエンベロープは、フィルタ及びフィルタエンベロープから出力される波形の音量の時間的な変化を設定するモジュールである。アンプエンベロープから出力された波形がイコライザに出力される。そのイコライザは、アンプエンベロープから出力された波形の周波数特性を設定するモジュールである。
【0021】
また、本実施形態のPC1に記憶される全ての音色は、同一のパーシャル及びモジュールの組み合わせで構成される。例えば、グランドピアノの場合のパーシャル及びモジュールの組み合わせと、エレキギターのパーシャル及びモジュールの組み合わせとが、同一とされる。
【0022】
モジュールエリア10には、上記の第1パーシャルに対応する第1パーシャルエリア11(図中「PART.1」)と、第2パーシャルに対応する第2パーシャルエリア12(図中「PART.2」)と、第3パーシャルに対応する第3パーシャルエリア13(図中「PART.3」)とがそれぞれ表示される。図1(b)に示す通り、これらパーシャルエリア11~13は、上下方向に並べて表示される。また、上下方向における各パーシャルエリア11~13間には隙間が設けられ、当該隙間はどのパーシャルエリア11~13にとっても外側とされる。
【0023】
第1パーシャルエリア11には、第1パーシャルのピッチエンベロープ、オシレータ、第1低周波、第2低周波、フィルタ、フィルタエンベロープ、アンプエンベロープ及びイコライザに対応する、ピッチエンベロープ11a、オシレータ11b、第1低周波11c、第2低周波11d、フィルタ11e、フィルタエンベロープ11f、アンプエンベロープ11g及びイコライザ11hがそれぞれ表示される。
【0024】
ピッチエンベロープ11aは、第1パーシャルエリア11の左端に配置され、オシレータ11bは、ピッチエンベロープ11aより下側かつ右側に配置される。第1低周波11cは、ピッチエンベロープ11aより右側であって、かつ、左右方向においてオシレータ11bより右側に配置される。即ち第1低周波11cは、左右方向において、第1低周波11cより下方に位置するオシレータ11bと重ならない位置に配置される。また第2低周波11dは、第1低周波11cより右側に配置される。
【0025】
フィルタ11eは、オシレータ11bの右側であって、かつ、左右方向において第2低周波11dより右側に配置される。即ちフィルタ11eは、左右方向において第2低周波11dと重ならない位置に配置される。また、フィルタエンベロープ11fはそのフィルタ11eより右側に配置される。
【0026】
アンプエンベロープ11gは、フィルタエンベロープ11fより右側に配置され、イコライザ11hは、そのアンプエンベロープ11gの右側に配置される。
【0027】
以上のように、第1パーシャルエリア11には、モジュール間の入出力の関係に応じて各モジュールが配置される。即ち第1パーシャルエリア11において相互に関連性の高いモジュール同士が近傍に配置される。これにより、ユーザHは、第1パーシャルエリア11に該当するパーシャルにおいて設定できるモジュールと、モジュール同士の関連性とを一目で把握することができる。また、第1パーシャルエリア11において、モジュールが左右方向において重ならないように配置される。これによりユーザHは、第1パーシャルエリア11における1のモジュールと他のモジュールとを明確に区別することができる。
【0028】
第2パーシャルエリア12及び第3パーシャルエリア13においても、上記の第1パーシャルエリア11と同等のモジュールが配置される。より具体的に、第2パーシャルエリア12には、ピッチエンベロープ12a~イコライザ12hが表示され、左右方向の配置は、第1パーシャルエリア11のピッチエンベロープ11a~イコライザ11hと同様の配置とされる。
【0029】
一方で、第2パーシャルエリア12の上下方向のモジュールの配置は、第1パーシャルエリア11とは逆とされる。具体的に、オシレータ12b、フィルタ12e、フィルタエンベロープ12f、アンプエンベロープ11g及びイコライザ12hが第2パーシャルエリア12の上段に配置され、ピッチエンベロープ12a、第1低周波12c及び第2低周波12dが第2パーシャルエリア12の下段に配置される。
【0030】
これにより、第1パーシャルエリア11の下段に配置されるモジュール(例えばオシレータ11b)と第2パーシャルエリア12の下段に配置される同等のモジュール(例えばオシレータ12b)とが上下方向において隣接して配置される。これにより、パーシャルは異なるが、上下方向において隣接するモジュールが、相互に関連性の高い同等の機能を有するモジュール同士であることをユーザHに認識させることができる。
【0031】
更に第3パーシャルエリア13におけるピッチエンベロープ13a~イコライザ13hは、第1パーシャルエリア11のピッチエンベロープ11a~イコライザ11hとそれぞれ同様に配置される。よって、第2パーシャルエリア12の下段に配置されるモジュール(例えばピッチエンベロープ12a)と、第3パーシャルエリア13の上段に配置される同等のモジュール(例えばピッチエンベロープ13a)とが上下方向において隣接して配置される。これによっても、パーシャルは異なるが、上下方向において隣接するモジュールが、相互に関連性の高い同等の機能を有するモジュール同士であることをユーザHに認識させることができる。
【0032】
このようにモジュールエリア10に表示されたモジュールのうち、ユーザHからマウス2を介して選択されたモジュールに、設定対象のモジュールであることを表す選択表示Seが表示される。選択表示Seは、矩形状の線(図中では太線で表示)で囲まれた領域で構成され、その領域内に配置されるモジュールが設定対象のモジュールとして選択される。選択表示Seは、マウス2がクリックされた際のマウスカーソルMcの位置に応じて領域が形成される。マウスカーソルMcは、ユーザHのマウス2の移動操作に応じて音色設定画面5a上を移動する矢印状の表示パーツである。
【0033】
図1(b)のように、ピッチエンベロープ11a、オシレータ11b、第1低周波11c及び第2低周波11dを設定対象のモジュールとして選択表示Seで選択する(囲む)場合は、ユーザHは、第1パーシャルエリア11内のオシレータ11bの右端よりも左側の位置をマウスカーソルMcで指定し、マウス2をクリックする。図1(b)では、ピッチエンベロープ11aと第1低周波11cとの中間の位置がマウスカーソルMcで指定され、マウス2でクリックされた場合を表している。
【0034】
図1(b)では、第1パーシャルエリア11のピッチエンベロープ11a、オシレータ11b、第1低周波11c及び第2低周波11dが選択表示Seで選択されているので、ピッチエンベロープ11a、オシレータ11b、第1低周波11c及び第2低周波11dのそれぞれの設定を行うための設定パーツ(以下「第1低周波11cの設定パーツ」等という)が、モジュールエリア10の下側に配置される設定エリアPe1~Pe4に表示される。
【0035】
設定エリアPe1~Pe4は、それぞれ選択表示Seの領域内に含まれるモジュールの設定パーツが表示される領域である。設定エリアPe1が、モジュールエリア10の下の左側に配置され、設定エリアPe2が設定エリアPe1の下に配置される。また、設定エリアPe3が設定エリアPe1の右に配置され、設定エリアPe4が設定エリアPe3の下に配置される。
【0036】
上記した通り、モジュールエリア10には、相互に関連性の高いモジュールが近傍に配置されるので、選択表示Seに関連性の高いモジュール同士を含むことができる。これによって、相互に関連性の高いモジュールの設定パーツが設定エリアPe1~Pe4に表示されるので、ユーザHは相互に関連性の高いモジュールの設定を見比べながら、モジュールの詳細な設定を行うことができる。
【0037】
また、設定エリアPe1~Pe4に表示されるモジュールの設定パーツの配置(割り当て)は、選択表示Seに含まれるモジュールの重要度とモジュール同士の関連性の高さとに応じて設定される。
【0038】
例えば、図1(b)では、ピッチエンベロープ11a、オシレータ11b、第1低周波11c及び第2低周波11dが選択表示Seで選択されているが、このうちの音色の基本波形を設定するオシレータ11bが、音色の基礎となるため設定を変更する機会が多く、重要度が最も高いモジュールとされる。そこで、オシレータ11bの設定パーツが、設定エリアPe1~Pe4のうちで最もユーザHの目につきやすい設定エリアPe1に配置されることで、ユーザHはオシレータ11bに該当する基本波形の設定を容易に行うことができる。
【0039】
また、図1(b)では、第1低周波11cと第2低周波11dとが選択表示Seで選択されている。第1低周波11cと第2低周波11dとは、共に低周波を設定するモジュールであるので、これらは関連性が高いモジュールとされる。そこで、設定エリアPe3に第1低周波11cの設定パーツを表示し、設定エリアPe4に第2低周波11dの設定パーツを表示することで、低周波の設定同士を上下に配置することができる。これにより、第1低周波11cの設定と、第2低周波11dの設定とを上下で見比べながら、それぞれの低周波の設定を行うことができる。
【0040】
このように、設定エリアPe1~Pe4に表示されるモジュールの設定パーツの配置を、選択表示Seで選択されるモジュールの重要度とモジュール同士の関連性の高さとに応じて設定することで、設定エリアPe1~Pe4に表示されるモジュールの設定パーツの配置をユーザHのモジュールの設定の傾向に応じたものとすることができる。これにより、設定エリアPe1~Pe3でのモジュールの設定に関するユーザHの操作性を向上させることができる。
【0041】
次に図2を参照して、第1パーシャルエリア11における選択表示Seのその他の配置を説明する。図2(a)は、第1パーシャルエリア11の第1低周波11c、第2低周波11d、フィルタ11e及びフィルタエンベロープ11fが選択表示Seで選択されている場合を表す図であり、図2(b)は、第1パーシャルエリア11のフィルタ11e、フィルタエンベロープ11f、アンプエンベロープ11g及びイコライザ11hが選択表示Seで選択されている場合を表す図である。
【0042】
図2(a)に示す通り、第1パーシャルエリア11の第1低周波11c、第2低周波11d、フィルタ11e及びフィルタエンベロープ11fが選択表示Seで選択されている場合は、設定エリアPe1~Pe4に、それぞれ第1低周波11cの設定パーツ、第2低周波11dの設定パーツ、フィルタ11eの設定パーツ及びフィルタエンベロープ11fの設定パーツが表示される。
【0043】
フィルタ11eとフィルタエンベロープ11fの設定パーツが、それぞれ設定エリアPe3と設定エリアPe4との上下に表示される。これにより、周波数フィルタに関する関連性の高いフィルタ11eの設定とフィルタエンベロープ11fの設定を上下で見比べながら、それぞれの設定を詳細に行うことができる。
【0044】
このように、第1低周波11c、第2低周波11d、フィルタ11e及びフィルタエンベロープ11fを選択表示Seで選択する場合、ユーザHは、第1パーシャルエリア11内のオシレータ11bの右端よりも右側、かつ、第2低周波11dの右端よりも左側の位置をマウスカーソルMcで指定し、マウス2をクリックする。
【0045】
図2(b)に示す通り、第1パーシャルエリア11のフィルタ11e、フィルタエンベロープ11f、アンプエンベロープ11g及びイコライザ11hが選択表示Seで選択されている場合は、設定エリアPe1~Pe4に、それぞれフィルタ11eの設定パーツ、フィルタエンベロープ11fの設定パーツ、アンプエンベロープ11gの設定パーツ及びイコライザ11hの設定パーツが表示される。また、このようにフィルタ11e、フィルタエンベロープ11f、アンプエンベロープ11g及びイコライザ11hを選択表示Seで選択する場合、ユーザHは、第1パーシャルエリア11内の第2低周波11dの右端よりも右側の位置をマウスカーソルMcで指定し、マウス2をクリックする。
【0046】
なお、図1(b)及び図2では、第1パーシャルエリア11内のモジュールを選択表示Seで選択する場合を説明したが、第2パーシャルエリア12,第3パーシャルエリア13内のモジュールを選択表示Seで選択する場合も同様なので、詳細な説明は省略する。
【0047】
次に図3(a)を参照して、パーシャルを跨いだモジュールの選択を説明する。図3(a)は、各パーシャルのピッチエンベロープ11a,12a,13aが選択表示Seで選択されている場合の音色設定画面を表す図である。
【0048】
本実施形態では、パーシャルエリア11~13のそれぞれにおける同等のモジュールが、選択表示Seで選択できるように構成される。図3(a)に示す通り、第1パーシャルエリア11のピッチエンベロープ11aと、第2パーシャルエリア12のピッチエンベロープ12aと、第3パーシャルエリア13のピッチエンベロープ13aとが選択表示Seで選択される。
【0049】
このようにピッチエンベロープ11a,12a,13aを選択表示Seで選択する場合、ユーザHは、第1パーシャルエリア11、第2パーシャルエリア12及び第3パーシャルエリア13の外側であって、左右方向がピッチエンベロープ11a,12a,13aの範囲内の位置を、マウス2で指定してクリックする。具体的に、図3(a)においてユーザHは、第1パーシャルエリア11と第2パーシャルエリア12との隙間であって、左右方向がピッチエンベロープ11a,12a,13aの範囲内の位置を、マウス2で指定してクリックする。これによって、ピッチエンベロープ11a,12a,13aのそれぞれの設定パーツが、設定エリアPe1~Pe3にまとめて表示される。
【0050】
なお、図3(a)では、パーシャルを跨いでピッチエンベロープ11a,12a,13aを選択表示Seで選択する場合を説明したが、オシレータ11b,12b,13b等、その他のモジュールをパーシャルを跨いで選択表示Seで選択する場合も同様なので、詳細な説明は省略する。
【0051】
このように、パーシャルを跨いだ同等のモジュールを選択表示Seでまとめて選択することにより、ユーザHは、設定エリアPe1~Pe3に設定パーツとして表示される各パーシャルにおける同等のモジュールの設定を見比べることができる。これにより、相互に関連性の高い各パーシャルにおいて同等のモジュールの設定を、効率良く行うことができる。また上記した通り、モジュールエリア10において各パーシャルの同等のモジュールが上下方向に並んでいるので、ユーザHはパーシャルを跨いだ同等のモジュールの選択表示Seによる選択を、容易に行うことができる。
【0052】
更にパーシャルエリア11~13において上段に配置されるモジュールと、下段に配置されるモジュールとがそれぞれ左右方向において重ならないように配置されるので、選択表示Seによるパーシャルを跨いだ同等のモジュールの選択の際に、当該モジュールの近くの異なるモジュールが選択表示Seに含まれることがない。これにより、ユーザHは、パーシャルを跨いだ同等のモジュールの選択表示Seによる選択をスムーズに行うことができる。
【0053】
以上の通り、モジュールエリア10に音色を構成するモジュールが表示され、モジュールエリア10に表示されるモジュールのうち、マウス2を介して選択表示Seで選択されたモジュールが設定を行うモジュールとして設定エリアPe1~Pe4に表示される。モジュールエリア10により、ユーザHは音色を構成するモジュールを一目で把握できる。
【0054】
更にユーザHは、モジュールエリア10のモジュールのうち、所望のモジュールをマウス2を介して選択表示Seで選択する操作のみで、設定エリアPe1~Pe4で設定するモジュールを指定できる。これらにより、ユーザHは音色を構成するモジュールを容易に把握できると共に、設定を行うモジュールを容易に指定できるので、モジュールを設定する際のユーザの操作性を向上できる。
【0055】
なお、選択表示Seで選択するモジュールは、図1(b)~図3(a)に例示したものに限られない。例えば、配置されたモジュールの関連性を考慮する等して、選択表示Seで選択するモジュールを任意に設定しても良い。更に選択表示Seを形成する際に指定されるマウスカーソルMcの位置の範囲(例えば、図1(b)の選択表示Seならば、第1パーシャルエリア11内のオシレータ11bの右端よりも左側の位置)は、上記に限られず、位置の範囲を任意に設定しても良い。
【0056】
このように、選択表示Seにより設定エリアPe1~Pe4で表示されるモジュールが選択されるが、設定エリアPe1~Pe4に表示されるモジュールを変更する場合など、ユーザHは、事前に選択表示Seで選択可能なモジュールを確認したい場合がある。そこで本実施形態では、選択表示Seで選択可能なモジュールの候補を表す候補表示Scが表示できるように構成される。図3(b),(c)を参照して、候補表示Scを説明する。
【0057】
図3(b)は、候補表示Scを説明する図であり、図3(c)は、各パーシャルのアンプエンベロープ11g,12g,13gが候補表示Scで選択されている場合を表す図である。図3(b)に示す通り、上記した選択表示Seと別に候補表示Scが表示される。
【0058】
候補表示Scは、モジュールエリア10に表示されるモジュールのうち、マウスカーソルMcの位置の近傍において選択表示Seで選択可能なモジュールの候補、即ち設定エリアPe1~Pe4に表示する設定対象のモジュールの候補であることを表す表示である。候補表示Scは、矩形状の線(図中では二点鎖線で表示)で囲まれた領域で構成され、マウスカーソルMcで指定された位置の近傍において、選択表示Seで選択可能なモジュールが候補表示Scで選択される。
【0059】
具体的に、マウスカーソルMcが第1パーシャルエリア11内のオシレータ11bの右端よりも左側の位置の場合、ピッチエンベロープ11a、オシレータ11b、第1低周波11c及び第2低周波11dが候補表示Scで選択される。マウスカーソルMcが第1パーシャルエリア11内のオシレータ11bの右端よりも右側、かつ、第2低周波11dの右端よりも左側の位置の場合、第1低周波11c、第2低周波11d、フィルタ11e及びフィルタエンベロープ11fが候補表示Scで選択される。
【0060】
また、マウスカーソルMcが第1パーシャルエリア11内の第2低周波11dの右端よりも右側の位置の場合、フィルタ11e、フィルタエンベロープ11f、アンプエンベロープ11g及びイコライザ11hが候補表示Scで選択される。
【0061】
このようにモジュールが候補表示Scに選択された状態で、マウス2がクリックされた場合に、候補表示Scが消去され、代わりに候補表示Scで選択されていたモジュールが選択表示Seに選択される。更に選択表示Seで選択されたモジュールの設定パーツが設定エリアPe1~Pe4に表示される。
【0062】
なお、図3(b)では第1パーシャルエリア11内のモジュールが候補表示Scで選択される場合を説明したが、第2パーシャルエリア12,第3パーシャルエリア13内のモジュールが候補表示Scで選択される場合も同様なので、詳細な説明は省略する。
【0063】
また、図3(a)で上記した選択表示Seと同様に、候補表示Scもパーシャルを跨いでモジュールを選択可能に構成される。図3(c)に示すように、第1パーシャルエリア11、第2パーシャルエリア12及び第3パーシャルエリア13の外側であって、左右方向がアンプエンベロープ11g,12g,13gの範囲内の位置にマウスカーソルMcを配置する。具体的に、図3(c)において、第2パーシャルエリア12と第3パーシャルエリア13との隙間であって、左右方向がアンプエンベロープ11g,12g,13gの範囲内の位置にマウスカーソルMcを配置する。これによって、アンプエンベロープ11g,12g,13gが候補表示Scで選択される。
【0064】
なお、図3(c)では、パーシャルを跨いでアンプエンベロープ11g,12g,13gを候補表示Scで選択する場合を説明したが、オシレータ11b,12b,13b等のその他のモジュールをパーシャルを跨いで候補表示Scで選択する場合も同様なので、詳細な説明は省略する。
【0065】
ユーザHは、マウス2を介してマウスカーソルMcを移動させながら、そのマウスカーソルMcの位置の近傍に表示される候補表示Scを視認することにより、マウス2をクリックした場合に選択表示Seで選択されるモジュールがどれかを事前に確認できる。これにより、ユーザHは、設定エリアPe1~Pe4で設定を行うモジュールの選択を直感的に且つスムーズに行うことができる。
【0066】
なお、候補表示Scで選択するモジュールも、上記に例示したものに限られず、例えば、配置されたモジュールの関連性を考慮する等して、候補表示Scで選択するモジュールを任意に設定しても良い。更に候補表示Scを形成する際に指定されるマウスカーソルMcの位置の範囲(例えば、図3(b)の候補表示Scならば、第2低周波11dの右端よりも右側の位置)も上記に限られず、位置の範囲を任意に設定しても良い。
【0067】
次に図4を参照して、PC1の機能を説明する。図4は、PC1の機能ブロック図である。図4に示すように、PC1には、入力手段200と、モジュール表示手段201と、取得手段202と、設定エリア表示手段203とを有する。入力手段200は、ユーザHの操作を受け付ける手段であり、上記したマウス2で実現される。モジュール表示手段201は、音色を構成するモジュールを表示する手段であり、図5で後述のCPU20で実現される。
【0068】
取得手段202は、モジュール表示手段201で表示されたモジュールのうち、入力手段200を介して選択されたモジュールを設定対象のモジュールとして取得する手段であり、CPU20で実現される。設定エリア表示手段203は、取得手段202で取得されたモジュールの設定を行う設定パーツを設定エリアPe1~Pe4を表示する手段であり、CPU20で実現される。
【0069】
PC1においては、音色を構成するモジュールが表示され、表示されたモジュールのうち、入力手段200を介して選択されたモジュールが設定を行うモジュールとして、対応する設定パーツを設定エリアPe1~Pe4に表示される。これにより、ユーザHは音色を構成するモジュールを一目で把握できる。
【0070】
更にユーザHは、表示されるモジュールのうち、所望のモジュールを入力手段200で選択する操作のみで、設定エリアPe1~Pe4で設定するモジュールを指定できる。これらにより、ユーザHは音色を構成するモジュールを容易に把握できると共に、設定を行うモジュールを容易に指定できるので、モジュールを設定する際のユーザHの操作性を向上できる。
【0071】
次に、図5を参照して、PC1の電気的構成を説明する。図5は、PC1の電気的構成を示すブロック図である。PC1は、CPU20と、ハードディスク・ドライブ(HDD)21と、RAM22とを有し、これらはバスライン23を介して入出力ポート24にそれぞれ接続されている。入出力ポート24には更に、上記したマウス2と、キーボード3と、スピーカ4と、表示装置5とが接続される。
【0072】
CPU20は、バスライン23により接続された各部を制御する演算装置である。HDD21は、CPU20により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、音色設定プログラム21aと、音源データ21bとが記憶される。CPU20において音色設定プログラム21aが実行されると、図6のメイン処理が実行される。
【0073】
音源データ21bには、音色に関する情報が記憶される。具体的に、音源データ21bには、音色毎に、音色を構成するパーシャル及びモジュールの構成と、各モジュールの設定値と、モジュールエリア10に表示される表示パーツや設定エリアPe1~Pe4で表示される設定パーツとが記憶される。なお、音源データ21bに、モジュールエリア10の表示パーツや設定エリアPe1~Pe4の設定パーツが記憶されるものに限られず、HDD21における音源データ21bと異なる領域に、これらの表示パーツや設定パーツが記憶されても良い。
【0074】
RAM22は、CPU20が音色設定プログラム21aの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、設定対象の音色が記憶される音色メモリ22aと、選択表示Seで選択されたモジュールが記憶されるモジュールメモリ22bと、設定対象の音色の各モジュールの設定値が記憶される設定値メモリ22cとが設けられる。
【0075】
次に図6~8を参照して、PC1のCPU20で実行されるメイン処理を説明する。図6は、メイン処理のフローチャートである。メイン処理は、PC1において音色設定プログラム21aの実行指示が行われた場合に、実行される処理である。
【0076】
メイン処理はまず、音色メモリ22aに、初期値としてグランドピアノを保存し、モジュールメモリ22bに、初期値として第1パーシャルのピッチエンベロープ、オシレータ、第1低周波、第2低周波を保存する(S1)。S1の後、S2の音色変更処理を実行する。ここで図7(a)を参照して、音色変更処理を説明する。
【0077】
図7(a)は、音色変更処理のフローチャートである。音色変更処理はまず、音源データ21bから音色メモリ22aに記憶される音色に該当するパーシャル及びモジュールの表示パーツを取得し、モジュールエリア10に表示する(S20)。S20の処理の後、音源データ21bからモジュールメモリ22bに記憶されるモジュールに該当する設定パーツを取得し、それぞれ設定エリアPe1~Pe4に表示する(S21)。S21の処理の後、音源データ21bから音色メモリ22aに記憶される音色に該当する各モジュールの設定値を取得して、設定値メモリ22cに保存する(S22)。
【0078】
S22の処理の後、設定値メモリ22cに記憶されるモジュールの設定値のうち、モジュールメモリ22bに記憶されるモジュールに該当する設定値を、対応する設定エリアPe1~Pe4に反映し(S23)、音色変更処理を終了する。かかる音色変更処理により、初期値とされた、又、変更された音色またはモジュールに対応した、モジュールエリア10及び設定エリアPe1~Pe4が音色設定画面5aに表示される。
【0079】
図6に戻る。S2の音色変更処理の後、マウス2により上ボタン7又は下ボタン8が選択されることにより、音色が変更されたかを確認する(S3)。S3の処理において、音色が変更されたことを確認した場合は(S3:Yes)、変更後の音色を音色メモリ22aに保存し(S4)、上記したS2の音色変更処理を実行する。
【0080】
S3の処理において、音色が変更されたことを確認していない場合は(S3:No)、S4,S2の処理をスキップする。S3,S2の処理の後、S5の表示更新処理を実行する。ここで図7(b)を参照して、表示更新処理を説明する。
【0081】
図7(b)は、表示更新処理のフローチャートである。表示更新処理はまず、マウスカーソルMcの位置が、第1パーシャルエリア11、第2パーシャルエリア12又は第3パーシャルエリア13の領域内かを確認する(S30)。
【0082】
S30の処理において、マウスカーソルMcの位置が、第1パーシャルエリア11、第2パーシャルエリア12又は第3パーシャルエリア13の領域内の場合は(S30:Yes)、S31の横方向処理を実行し、領域外の場合は(S30:No)、S32の縦方向処理を実行する。ここで図8を参照して、S31の横方向処理およびS32の縦方向処理を説明する。
【0083】
図8(a)は、横方向処理のフローチャートである。横方向処理では、まず、マウスカーソルのX座標がオシレータ11b,12b,13bの右端よりも左側かを確認する(S40)。S40の処理において、マウスカーソルMcのX座標がオシレータ11b,12b,13bの右端よりも左側の場合は(S40:Yes)、マウスカーソルMcが位置する第1パーシャルエリア11、第2パーシャルエリア12又は第3パーシャルエリア13の、ピッチエンベロープ11a,12a,13a、オシレータ11b,12b,13b、第1低周波11c,12c,13c及び第2低周波11d,12d,13dを候補表示Scで選択する(囲む)(S41)。
【0084】
一方で、S40の処理において、マウスカーソルMcのX座標がオシレータ11b,12b,13bの右端よりも右側の場合は(S40:No)、マウスカーソルMcのX座標が第2低周波11d,12d,13dの右端よりも左側かを確認する(S42)。S42の処理において、マウスカーソルMcのX座標が第2低周波11d,12d,13dの右端よりも左側の場合は(S42:Yes)、マウスカーソルMcが位置する第1パーシャルエリア11、第2パーシャルエリア12又は第3パーシャルエリア13の、第1低周波11c,12c,13c、第2低周波11d,12d,13d、フィルタ11e,12e,13e及びフィルタエンベロープ11f,12f,13fを候補表示Scで選択する(S43)。
【0085】
一方でS42の処理において、マウスカーソルMcのX座標が第2低周波11d,12d,13dの右端よりも右側の場合は(S42:No)、マウスカーソルMcが位置する第1パーシャルエリア11、第2パーシャルエリア12又は第3パーシャルエリア13の、フィルタ11e,12e,13e、フィルタエンベロープ11f,12f,13f、アンプエンベロープ11g,12g,13g及びイコライザ11h,12h,13hを候補表示Scで選択する(S44)。S41,S43,S44の処理の後、横方向処理を終了する。かかる横方向処理により、図3(b)で上記した同一のパーシャル内でのモジュールの候補表示Scが表示される。
【0086】
次に縦方向処理を説明する。図8(b)は、縦方向処理のフローチャートである。縦方向処理はまずマウスカーソルMcにおける、最も近いモジュールを対象モジュールに設定し(S50)、各パーシャルにおいて対象モジュールと同等のモジュールを候補表示Scで選択する(S51)。
【0087】
即ちマウスカーソルMcの位置は、上記の図7(b)のS30の処理によりパーシャルエリア11,12,13の外側に位置するとされているので、そのマウスカーソルMcの位置に最も近いモジュールが対象モジュールして取得され(S50)、各パーシャルにおいて対象モジュールと同等のモジュールが候補表示Scで選択される(S51)。かかる縦方向処理により、図3(c)で上記したパーシャルを跨いだモジュールの候補表示Scが表示される。
【0088】
S51の処理の後、縦方向処理を終了する。
【0089】
図7(b)に戻る。S31,S32の処理の後、候補表示Sc内でマウス2がクリックされたかを確認する(S33)。S33の処理において、マウス2がクリックされた場合は(S33:Yes)、候補表示Scに選択されたモジュールをモジュールメモリ22bに保存する(S34)。一方でS33の処理において、マウス2がクリックされていない場合は(S33:No)、S34の処理をスキップする。
【0090】
S33,S34の処理の後、S34の処理等によってモジュールメモリ22bが変更されたかを確認する(S35)。S35の処理において、モジュールメモリ22bが変更されたことを確認した場合は(S35:Yes)、モジュールエリア10におけるモジュールメモリ22bに記憶されるモジュールに該当するモジュールを、選択表示Seで選択する(囲む)(S36)。この際、表示されていた候補表示Scを消去する。
【0091】
S35の処理の後、設定値メモリ22cに記憶されるモジュールの設定値のうち、モジュールメモリ22bに記憶されるモジュールに該当する設定値を、対応する設定エリアPe1~Pe4に反映する(S37)。S33~S37の処理により、マウス2をクリックすることによって、候補表示Scが選択表示Seに変更され、その選択表示Seで選択されたモジュールの設定値が対応する設定エリアPe1~Pe4に反映される。
【0092】
S35の処理において、モジュールメモリ22bが変更されたことを確認していない場合は(S35:No)、S36,S37の処理をスキップする。S35,S37の処理の後、表示更新処理を終了する。
【0093】
図6に戻る。S5の表示更新処理の後、設定エリアPe1~Pe4で設定が変更されたかを確認する(S6)。S6の処理において、設定エリアPe1~Pe4で設定が変更されたことを確認した場合は(S6:Yes)、変更された設定の設定値を設定値メモリ22cに保存する(S7)。一方でS6の処理において、設定エリアPe1~Pe4で設定が変更されたことを確認していない場合は(S6:No)、S7の処理をスキップする。
【0094】
S6,S7の処理の後、マウス2により保存ボタン9が選択されたかを確認する(S8)。S8の処理において、保存ボタン9が選択されたことを確認した場合は(S8:Yes)、設定値メモリ22cに記憶される設定値を音源データ21bに保存する(S9)。具体的に、音源データ21bにおける音色メモリ22aに記憶される音色に該当する音色の設定値が、設定値メモリ22cに記憶される設定値に上書きされる。S8の処理において、保存ボタン9が選択されたことを確認していない場合は(S8:No)、S9の処理をスキップする。S8,S9の処理の後、S3以下の処理を繰り返す。
【0095】
以上、上記実施形態に基づき説明したが、種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0096】
上記実施形態では、PC1に記憶される音色は、全て3つのパーシャルで構成したが、これに限られない。音色を3つ以上のパーシャルで構成しても良いし、3つ以下のパーシャルで構成しても良い。例えば、グランドピアノを3つのパーシャルとする一方で、ドラムを4つのパーシャルとしても良い。
【0097】
音色を4つのパーシャルで構成する場合は、図9(a)に示すモジュールエリア100のように、第1パーシャルエリア11~第3パーシャルエリア13に加え、第4パーシャルエリア14を表示すれば良い。一方で、図2(a)のようにモジュールエリアに3つの第1パーシャルエリア11~第3パーシャルエリア13を表示させ、4つのパーシャルのうち、第1パーシャルエリア11~第3パーシャルエリア13で表示されるパーシャルをユーザHが指定できるようにしても良い。
【0098】
また、図9(b),(c)のモジュールエリア110に示すように、音色を1つのパーシャルで構成しても良い。言い換えると、音色をパーシャルを有さないように構成しても良い。この場合、モジュールエリア110では、上記実施形態と同様に、マウス2でクリックした位置に応じて選択表示Seを行い、マウスカーソルMcの位置に応じて候補表示Scを行えば良い。この際、図8(a),(b)で上記した横方向処理および縦方向処理の代わりに、モジュールエリア110におけるモジュールの配置に応じた横方向処理および縦方向処理を行えば良い。
【0099】
更に上記実施形態では、第1パーシャル~第3パーシャルの全てを同一のモジュールで構成したが、これに限られず、パーシャル毎に異なったモジュールの構成としても良い。例えば、第1パーシャルは、ピッチエンベロープ、オシレータ、第1低周波、第2低周波、フィルタ、フィルタエンベロープ、アンプエンベロープ及びイコライザで構成する一方、第2パーシャルは、フィルタ及びフィルタエンベロープを省略して、ピッチエンベロープ、オシレータ、アンプエンベロープ及びイコライザで構成しても良い。
【0100】
また、ピッチエンベロープ、オシレータ、第1低周波、第2低周波、フィルタ、フィルタエンベロープ、アンプエンベロープ及びイコライザ以外の他のモジュールを、パーシャルに追加しても良い。
【0101】
これらの場合も、図8(a),(b)で上記した横方向処理および縦方向処理の代わりに、各パーシャルに配置されるモジュールに応じた横方向処理および縦方向処理を行えば良い。
【0102】
上記実施形態では、パーシャルエリア11~13に表示されるモジュールを、モジュール間の入出力の関係に応じて、即ちモジュール同士の相互の関連性の高さに応じて配置した。しかし、これに限られず、モジュールをモジュール同士の相互の関連性に依らず、任意に配置しても良い。この場合、例えば、パーシャルエリア11~13において、ユーザHからマウス2を介して指定された位置に各モジュールを配置すれば良い。
【0103】
上記実施形態では、選択表示Se及び候補表示Scを矩形状の線で囲まれた領域としたが、選択表示Se及び候補表示Scの表示の形態はこれに限られない。例えば、選択表示Seまたは候補表示Scの形状を、円形、楕円形、多角形、不定形等の他の形状としても良い。更に、選択表示Seを矩形とし、候補表示Scを楕円形とする等、選択表示Seと候補表示Scとの形状を異ならせても良い。これにより、ユーザHは両者をより確実に区別することができる。
【0104】
また、選択表示Se及び候補表示Scは、該当する領域を線で囲むものに限られない。例えば、選択表示Se及び候補表示Scの線を省略して、該当する領域を所定の色で塗りつぶしても良い。この場合、塗りつぶす色の透過率を、例えば50%にする等、塗りつぶす形態の選択表示Se及び候補表示Scと、選択表示Se及び候補表示Scで選択される対象のモジュールとの両方をユーザHが視認できるようにするのが好ましい。更に、選択表示Seで塗りつぶす色を黄色とし、候補表示Scで塗りつぶす色を青色にする等、選択表示Seと候補表示Scとで塗りつぶす色を異ならせても良い。これによっても、ユーザHは両者をより確実に区別することができる。
【0105】
上記実施形態では、選択表示Se及び候補表示Scで選択されるモジュールを、モジュール同士の関連性の高さに応じて予め設定されるものとしたが、これに限られない。例えば、モジュールの重要度とモジュール同士の関連性の高さと無関係に、選択表示Se又は候補表示Scに選択されるモジュールを任意に設定しても良い。例えば、図1(b)において、第1パーシャルエリア11のピッチエンベロープ11a及びオシレータ11bと、第2パーシャルエリア12のオシレータ12bとを選択表示Se又は候補表示Scで選択されるモジュールとしても良い。
【0106】
また、選択表示Se又は候補表示Scをモジュールエリア10内に複数形成できるようにし、複数の選択表示Seで選択されたモジュールを、それぞれ設定エリアPe1~Pe4に表示しても良い。或いは、選択表示Seの領域をマウス2により自由に設定できるようにしても良い。その際、選択表示Seで選択できるモジュールの数は4つ以上でも4つ以下でも良い。選択表示Seでモジュールを4つ以上選択した場合は、更に選択された4つ以上のモジュールのうち、設定エリアPe1~Pe4で設定するモジュールをユーザHが指定できるようにしても良い。また、マウス2によって、モジュールエリア10内の任意のモジュールの表示パーツを設定エリアPe1~Pe4のいずれかへドラッグすることで、設定エリアPe1~Pe4で設定するモジュールを指定できるようにしても良い。
【0107】
このように、選択表示Se又は候補表示Scで選択されるモジュールを任意とすることで、設定エリアPe1~Pe4で同時に設定できるモジュールの組み合わせを自由とすることができるので、例えば、ユーザHが設定を所望する、モジュール同士の関連性が低いモジュールの設定を、設定エリアPe1~Pe4で同時に行うことができる。
【0108】
上記実施形態では、パーシャルエリア11~13において上段に配置されるモジュールと、下段に配置されるモジュールとをそれぞれ左右方向において重ならないように配置したが、これに限られず、左右方向において重なるように配置しても良い。
【0109】
例えば、図1(b)の第1パーシャルエリア11において、ピッチエンベロープ11aの真下にオシレータ11bを配置し、第2パーシャルエリア12において、ピッチエンベロープ12aの真上にオシレータ12bを配置しても良い。これにより、ピッチエンベロープ11a、オシレータ11b、ピッチエンベロープ12a及びオシレータ11bが縦方向に整列される。更にこれらのモジュールを選択表示Seで縦方向に選択することで、設定エリアPe1~Pe4に、ピッチエンベロープ11a及びオシレータ11bと、ピッチエンベロープ12a及びオシレータ12bとの、パーシャルを跨いだ2種類のモジュールの設定が表示されるので、これらの設定を効率良く行うことができる。
【0110】
上記実施形態では、モジュールの設定を行う設定エリアを設定エリアPe1~Pe4の4つとしたが、これに限られず、4つ以下でも良いし、4つ以上でも良い。この際、設定エリアの数が、選択表示Seで選択されたモジュールの数より少ない場合は、選択表示Seで選択されたモジュールのうち、設定エリアで設定するモジュールをユーザHが指定できるようにしても良い。
【0111】
上記実施形態では、表示装置5に音色を設定するための音色設定画面5aを表示したが、音色設定画面5a内、または、音色設定画面5aと同時に表示される別の画面(音色設定画面5a上に重ねて表示される画面を含む)等に、鍵盤を模した仮想鍵盤等の演奏用の表示パーツを表示しても良い。当該演奏用の表示パーツを操作することにより、設定中または設定済みの音色を試聴することができる。
【0112】
上記実施形態では、音色設定プログラム21aを実行するコンピュータとして、PC1を例示したが、これに限られず、スマートフォン、タブレット端末等の情報処理装置や電子楽器で音色設定プログラム21aを実行しても良い。この場合、マウス2やキーボード3の代わりにタッチパネルを表示装置5上に重ねて設ければ良い。この場合、表示装置5及びタッチパネル上に表示されたモジュールエリア10へのタップ操作により、そのタップされた位置に該当する候補表示Scを行い、再度タップ操作によって候補表示Scを消去して、選択表示Seを表示すれば良い。
【0113】
或いは、シンセサイザ等の電子楽器で音色設定プログラム21aを実行しても良い。この場合、電子楽器で実行される音色設定プログラム21aによって音色の設定を行い、設定された音色を電子楽器の演奏で用いれば良い。例えば、電子楽器の演奏中に音色設定プログラム21aで音色の設定を行うことで、演奏に合致した音色をリアルタイムに用意できるので、電子楽器から表現豊かな楽音を出力できる。
【0114】
また、音色設定プログラム21aをROM等に記憶し、音色設定プログラム21aのみを実行する専用装置(音色設定装置)に、本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0115】
1 PC(コンピュータ)
21a 音色設定プログラム
2 マウス(入力部、入力手段)
5 表示装置(表示部)
10,100,110 モジュールエリア
Pe1~Pe4 設定エリア
Se 選択表示
Sc 候補表示
S20 モジュール表示ステップ、モジュール表示手段
S33,S34 取得ステップ、取得手段
S21 設定エリア表示ステップ、設定エリア表示手段
S36 選択表示ステップ
S30,S40,S42,S50 候補取得ステップ
S41,S43,S44,S51 候補表示ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9