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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103185
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】椅子式マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240725BHJP
   A47C 3/18 20060101ALI20240725BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240725BHJP
   A47C 7/00 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61H7/00 323H
A47C3/18 Z
A47C7/62 Z
A47C7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007380
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 毅
【テーマコード(参考)】
3B084
3B091
4C100
【Fターム(参考)】
3B084AA00
3B084BA00
3B084JC12
3B091EB02
4C100BB02
4C100CA03
4C100DA04
4C100DA05
4C100EA06
4C100EA09
(57)【要約】
【課題】容易な移動及び安定的な設置を実施できる椅子式マッサージ機を提供する。
【解決手段】椅子式マッサージ機100は、座部1と、下肢部4と、施療部3と、を備える。座部1には、使用者が着座する。下肢部4は、座部1を支持する。施療部3は、使用者を施療する。下肢部4は、キャスター411と、支持体42と、を有する。キャスター411は、設置面F上を転動可能である。支持体42は、所定動作の開始に応じてキャスター411の転動を規制する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座する座部と、
前記座部を支持する下肢部と、
使用者を施療する施療部と、
を備え、
前記下肢部は、
設置面上を転動可能なキャスターと、
所定動作の開始に応じて前記キャスターの転動を規制する支持体と、
を有する、椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記下肢部の前記支持体が、前記所定動作の開始に応じて前記設置面に接触して、前記キャスターの転動を規制する、請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項3】
前記支持体は、前記設置面と面接触可能な板状のストッパ部を有する、請求項1に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項4】
前記ストッパ部の下面には、高摩擦係数を有するクッション性の弾性材料が配置される、請求項3に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項5】
前記支持体は、上下方向に伸縮可能に形成される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項6】
前記支持体は、伸縮可能なアクチュエータを有する、請求項5に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項7】
前記支持体は、手動で上下に伸縮する、請求項5に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項8】
前記下肢部は、前記座部から下方に延びて前記座部を支持する3個以上の脚部を有し、
前記脚部の下端には、前記キャスターが配置される、請求項5に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項9】
前記下肢部は、前記支持体から斜め下方に延びて前記支持体回りの周方向に並ぶ3個以上の脚部を有し、
前記脚部の下端には、前記キャスターが配置される、請求項5に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項10】
前記下肢部は、前記座部又は前記支持体から延びて下面に前記キャスターが配置される脚部を有し、
前記脚部の伸縮により、前記キャスターが上下動可能に形成される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項11】
前記脚部は、前記座部から下方に延びて3個以上設けられ、前記座部を支持する、請求項10に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項12】
前記脚部は、前記支持体から斜め下方に延びて3個以上設けられ、前記支持体回りの周方向に並ぶ、請求項10に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項13】
入力操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記所定動作は、前記入力操作に基づいて開始される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【請求項14】
前記所定動作は、前記施療部の施療動作である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の椅子式マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子式マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャスター付きの椅子にマッサージ装置が搭載された椅子式マッサージ機が知られている。キャスター付きの椅子では、容易に水平方向の移動ができる。従って、マッサージ装置を使用する際、振動の伝達などにより椅子が移動し易い。
【0003】
一方、特許文献1は、椅子を安定させるため、キャスター付きの可動脚と、床面に対して移動不能な不動脚とを有する椅子を開示している。これにより、椅子が不動脚を中心にキャスターによって容易に回動することができ、椅子がテーブル等に接近した状態で使用者が容易に着座または起立を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001―8773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般のキャスター付きの椅子は、上述の如く、安定的に設置し難い。また、特許文献1の椅子では、安定的に椅子を設置できるが、移動の際に不動脚を摺動させるか持ち上げる必要がある。従って、椅子を移動させ難い。このように、移動及び安定的な設置を両立させることは難しかった。
【0006】
本発明は、上記の状況を鑑みて、容易な移動及び安定的な設置を実施できる椅子式マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一の態様による椅子式マッサージ機は、座部と、下肢部と、施療部と、を備える。前記座部には、使用者が着座する。前記下肢部は、前記座部を支持する。前記施療部は、使用者を施療する。前記下肢部は、キャスターと、支持体と、を有する。前記キャスターは、設置面上を転動可能である。前記支持体は、所定動作の開始に応じて前記キャスターの転動を規制する。
【0008】
本発明の更なる特徴や利点は、以下に示す実施形態によって一層明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、容易な移動及び安定的な設置を実施できる椅子式マッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る椅子式マッサージ機の構成例を示す斜視図
図2】マッサージ機の動作を制御する制御系を示すブロック図
図3A】第1実施形態において支持体が設置面から離間した状態の椅子式マッサージ機の側面図
図3B】第1実施形態において支持体が設置面に接した状態の椅子式マッサージ機の側面図
図4】第2実施形態に係る椅子式マッサージ機の構成例を示す斜視図
図5A】第2実施形態において支持体が設置面から離間した状態の椅子式マッサージ機の側面図
図5B】第2実施形態において支持体が設置面に接した状態の椅子式マッサージ機の側面図
図6A】第3実施形態において支持体が設置面から離間した状態の椅子式マッサージ機の側面図
図6B】第3実施形態において支持体が設置面に接した状態の椅子式マッサージ機の側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では、椅子式マッサージ機100を「マッサージ機100」と称することがある。
【0012】
また、以下の説明において、後述する背凭れ部2が起立した状態のマッサージ機100に着座した使用者から見て前側(正面側)を「前方」といい、後側(背面側)を「後方」という。なお、背凭れ部2、及び、背凭れ部2に凭れる使用者に関して、背凭れ部2が後方に傾倒した状態においても、背凭れ部2及び使用者の正面側を「前方」ということがあり、背凭れ部2及び使用者の背面側を「後方」ということがある。また、背凭れ部2が起立した状態のマッサージ機100に着座した使用者から見て上側(頭側)を「上方」といい、下側(脚側)を「下方」という。また、背凭れ部2が起立した状態のマッサージ機100に着座した使用者から見て右側を「右方」といい、左側を「左方」という。
【0013】
<1.第1実施形態>
図1を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。図1は、第1実施形態に係る椅子式マッサージ機100の構成例を示す概略的な斜視図である。なお、図1は、マッサージ機100の要部を図示しており、たとえば表面に配置される布製又は革製のカバー、緩衝材などの外装を省略している。
【0014】
<1-1.マッサージ機100>
第1実施形態に係るマッサージ機100は、4脚椅子型である。マッサージ機100は、座部1と、背凭れ部2と、施療部3と、下肢部4と、を備える。
【0015】
座部1には、使用者が着座する。座部1は、使用者の臀部及び太腿部を支持する。
【0016】
背凭れ部2は、座部1の後端部と接続され、使用者の頭、胴部(たとえば肩部、腰部、及び背中)などを支持する。背凭れ部2は、左右方向に延びる背凭れ回動軸J回りに座部1に対して回動可能である。背凭れ部2は、背凭れ回動軸J回りの回動により、起立状態から後方に回動して傾倒したり、傾倒状態から前方に回動したりすることが可能である。
【0017】
施療部3は、使用者を施療する。本実施形態の施療部3は、背凭れ部2に配置されたマッサージユニットであり、揉み玉(符号省略)を用いて使用者の背中及び首部などを施療可能である。施療部3は、背凭れ部2に沿って左右方向と垂直な方向に移動可能である。たとえば、施療部3は、背凭れ部2に設けられる左右一対のガイドレール(図示省略)によって上下方向に案内される。つまり、施療部3は、背凭れ部2の長手方向に昇降可能である。長手方向は、たとえば背凭れ部2に凭れ掛かる使用者の臀部(又は腰部)から頭部に向かう方向である。
【0018】
下肢部4は、座部1を支持する。下肢部4の構成は、後に説明する。
【0019】
また、この他、マッサージ機100は、左右一対の肘掛け部と、オットマンと、をさらに備えていてもよい。肘掛け部は、座部1の左右方向における両側に配置され、使用者の前腕部及び手を支持する。オットマンは、座部1の前端部に回動可能に支持される。オットマンは、使用者の少なくとも下腿部を収容する。
【0020】
このほか、上述の施療部3は、上述のマッサージユニット以外の施療装置を含んでいてもよい。該施療装置は、たとえば、エアバッグ、ローラー、バイブレータ、ヒータなどを含む。
【0021】
また、マッサージ機100は、背凭れ部2を有さない構成であってもよい。この場合、施療部3は、座部1に配置されてよい。たとえば、施療部3は、座部1の左右両側に配置されてもよいし、座部1の内部に配置されて使用者の臀部及び大腿部を下方から施療してもよい。
【0022】
<1-2,マッサージ機100の制御系>
次に、図2を参照して、マッサージ機100の制御系の構成例を説明する。図2は、マッサージ機100の動作を制御する制御系を示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように、マッサージ機100は、操作部5と、記憶部6と、制御部7と、アクチュエータ群8と、をさらに備える。
【0024】
操作部5は、使用者などの入力操作を受け付け、入力操作に基づく信号を制御部7に出力する。入力操作は、後述する下肢部4の駆動、施療パターンの選択、施療の強弱調整などを含む。操作部5は、有線又は無線にて制御部7と通信可能である。
【0025】
記憶部6は、電力供給が停止しても記憶した情報を保持する非一過性の記憶媒体である。記憶部6は、たとえば、制御部7がマッサージ機100の動作を制御するために必要なプログラム及びデータを記憶している。
【0026】
制御部7は、たとえば座部1の下側に配置され、操作部5から出力される信号などに基づいて、マッサージ機100の各部を制御する。たとえば、制御部7は、施療部3の駆動及び昇降、後述する支持体42、アクチュエータ群8などを制御する。
【0027】
アクチュエータ群8は、複数のアクチュエータを含む。たとえば、アクチュエータ群8は、背凭れ部2を回動させる背凭れ部用のアクチュエータを含む。さらに、アクチュエータ群8は、オットマンの回動用のアクチュエータ、後述する支持体42の伸縮用又は上下動用のアクチュエータ423などを含んでいてもよい。
【0028】
<1-3.下肢部4の構成>
次に、図1及び図3A図3Bを参照して、下肢部4の構成を説明する。図3Aは、第1実施形態において支持体42が設置面Fから離間した状態の椅子式マッサージ機100の側面図である。図3Bは、第1実施形態において支持体42が設置面Fに接した状態の椅子式マッサージ機100の側面図である。なお、図3A及び図3Bは、左方から見たマッサージ機100の要部を図示しており、たとえば表面に配置される布製又は革製のカバー、緩衝材などの外装を省略している。
【0029】
下肢部4は、複数の脚部41と、支持体42と、を有する。
【0030】
脚部41は、座部1から下方に延びて、座部1を支持する。脚部41は、本実施形態では4個であるが、3個以上の複数であればよい。図1に示すように、脚部41の上端は、座部1に接続される。なお、本実施形態では、脚部41の上端は、座部1の左右両側に接続される。但し、この例示に限定されず、少なくとも1個の脚部41は、座部1の下部から下方に延びてもよい。
【0031】
脚部41の下端には、キャスター411が配置される。つまり、下肢部4の各々の脚部41は、キャスター411を有する。キャスター411は、車輪であり、椅子式マッサージ機100の設置面F(たとえば床面)に接触して、該設置面F上を転動可能である。
【0032】
このような構成を採用することにより、椅子式マッサージ機100を、キャスター411付きの脚部41が直接に座部1を支持する一般的な多脚椅子型にできる。
【0033】
支持体42は、座部1よりも下方に配置され、設置面Fに接触可能である。下肢部4の支持体42は、所定動作の開始に応じて設置面Fに接触して、キャスター411の転動を規制する。この際、後述するように、支持体42と設置面Fとの摩擦抵抗によってキャスター411の転動が規制される。これにより、マッサージ機100を安定的に設置できる。
【0034】
なお、支持体42は、上述の所定動作の終了に応じて設置面Fから離間してもよいし、離間しなくてもよい。こうすれば、所定動作の開始後に、キャスター411付きの椅子式マッサージ機100を安定的に設置できる。また、所定動作の開始前には支持体42を設置面Fに接触させないことにより、キャスター411の転動により椅子式マッサージ機100を容易に移動させることができる。従って、マッサージ機100は、容易な移動及び安定的な設置を実施できる。また、椅子式マッサージ機100は、移動時において、支持体42の接触を回避することにより設置面Fが傷つくことを防止できる。
【0035】
また、上述の所定動作は、操作部5での入力操作に基づいて開始されてもよい。つまり、支持体42は、マッサージ機100の安定的な設置を指示する入力操作に応じて設置面Fに接してもよく、マッサージ機100を移動可能にする旨を指示する入力操作に応じて設置面Fから離間してもよい。こうすれば、操作部5が受け付けた入力操作に基づいて支持体42を設置面Fに接触させることができる。従って、使用者は、支持体42及び設置面F間を任意のタイミングで接触又は離間させることができる。
【0036】
また、上述の所定動作は、施療部3の施療動作であってもよい。つまり、施療部3の施療開始に応じて、支持体42が設置面Fに接触してもよい。こうすれば、施療の開始に応じて、支持体42を設置面Fに接触させて、マッサージ機100を安定的に固定できる。つまり、施療時におけるマッサージ機100の不安定な移動を防止できる。
【0037】
支持体42を設置面Fに接触させるトリガーとなる上述の所定動作には、上述の少なくともどちらかを採用できる。このほか、上述の所定動作は、座部1に対する使用者の着座であってもよい。つまり、使用者の着座に応じて、上述の所定動作が開始されてもよい。たとえば、使用者の着座に応じて、脚部41が撓むことで、支持体42が、座部1とともに下方に移動し、設置面Fに接する。着座に応じて支持体42が設置面Fに接触することで、マッサージ機100の不安定な移動を防止できる。従って、使用者は、安全に着座できる。
【0038】
但し、これらの例示は、以上の説明した動作以外が上述のトリガーとなる構成を排除しない。
【0039】
次に、支持体42は、支柱部421と、板状のストッパ部422と、を有する。支柱部421は、座部1から下方に延びて、座部1を支持する。なお、支柱部421の数は、3本であるが、この例示に限定されない。支柱部421は、単数であってもよいし、3以外の複数であってもよい。また、ストッパ部422は、支柱部421の下端に接続されて、設置面Fと面接触可能である。
【0040】
こうすれば、マッサージ機100を使用する際などで、板状のストッパ部422を設置面Fと面接触させることにより、より安定的にマッサージ機100を設置できる。また、両者の接触面積をより大きくできるので、キャスター411のみが設置面Fと接する場合と比べて、設置面Fに掛かる圧力を小さくできる。また、キャスター411及びストッパ部422から設置面Fに伝達される振動などを分散できる。従って、設置面Fの凹みなどの損傷を抑制できる。
【0041】
また、支持体42は、上下方向に伸縮可能に形成される。たとえば、支持体42は、伸縮可能なアクチュエータ423を有してもよく、或いは、流体作動式の電動ジャッキ機構を有してもよい。これらは、支柱部421とストッパ部422との間に配置されてもよいし、支柱部421の一部であってもよい。また、これらのような伸縮機構は、制御部7により制御される。こうすれば、アクチュエータ423のオン・オフにより、支持体42(特に支柱部421)を伸縮させることができる。従って、支持体42を設置面Fに対して接触又は離間させることができる。
【0042】
或いは、支持体42は、手動で上下に伸縮してもよい。たとえば、支持体42は、機械式のジャッキ機構を有してもよい。該ジャッキ機構は、たとえば、支柱部421とストッパ部422との間に配置されてもよいし、支柱部421の一部であってもよい。こうすれば、支持体42(特に支柱部421)を手動で伸縮できる。従って、手動で支持体42を設置面Fに対して接触又は離間させることができる。
【0043】
また、好ましくは、支持体42は、設置面Fに対する支持体42の接触状態又は離間状態を維持するためのロック機構424(図2参照)をさらに有する。ロック機構424の駆動は、たとえば制御部7により制御される。こうすれば、設置面Fに対して支持体42が接触又は離間した状態を安全且つ安定に維持できる。さらに好ましくは、ロック機構424は、施療時に駆動され、設置面Fに対する支持体42の接触状態を維持する。
【0044】
また、好ましくは、支持体42の下面には、弾性材料が配置される。さらに好ましくは、設置面Fとの摩擦係数が高い材料が採用される。たとえば、支持体42の設置面Fと接するストッパ部422の下面には、樹脂、ゴムなどの高摩擦係数(設置面Fよりも摩擦係数が高いことを意味する)を有する弾性材料が配置される。たとえば、該弾性材料の摩擦係数は、設置面Fに用いられる材料の摩擦係数よりも高い。こうすれば、設置面Fは、支持体42と当接しても傷つき難い。また、設置面Fに対して支持体42を移動し難くできる。また、マッサージ機100を使用する際に、支持体42から設置面Fに伝達される振動などを緩和できる。従って、設置面Fの凹みなどの損傷をより抑制できる。また、マッサージ機100は、施療時における設置面Fに対する振動の伝達、及び、騒音の発生を低減できる。但し、この例示は、支持体42の下面に弾性材料が配置されない構成を排除しない。
【0045】
なお、以上に説明した実施形態では、支持体42は、支柱部421及びストッパ部422の両方を有する。但し、この例示に限定されず、ストッパ部422は省略されてもよい。つまり、設置面Fに対して支柱部421の下端が直接に接触可能であってもよい。この場合、好ましくは、支柱部421の下端には、樹脂、ゴムなどの高摩擦係数を有する弾性材料が配置される。
【0046】
<2.第2実施形態>
次に、図4図5Bを参照して、第2実施形態を説明する。以下では、第1実施形態と異なる第2実施形態の構成を説明する。また、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0047】
図4は、第2実施形態に係る椅子式マッサージ機100aの構成例を示す斜視図である。図5Aは、第2実施形態において支持体42が設置面Fから離間した状態の椅子式マッサージ機100aの側面図である。図5Bは、第2実施形態において支持体42が設置面Fに接した状態の椅子式マッサージ機100aの側面図である。なお、図4図5Bは、第2実施形態に係るマッサージ機100aの要部を図示しており、たとえば表面に配置される布製又は革製のカバー、緩衝材などの外装を省略している。
【0048】
第2実施形態に係るマッサージ機100aは、オフィスチェアー型である。第2実施形態では図4に示すように、下肢部4は、第1実施形態の脚部41に代えて、少なくとも3以上の脚部41aを有する。これらの脚部41aは、支持体42(さらに詳細には支持体42の支柱部421の外周面)から斜め下方にそれぞれ延びて配置されて、支持体42(支持体42の支柱部421)回りの周方向に並ぶ。各々の脚部41aの下端には、キャスター411が配置される。このような構成を採用することにより、マッサージ機100aを、上方から見て支持体42から脚部41aが放射状に延びる椅子型にできる。
【0049】
マッサージ機100aでは、設置面Fに対して支持体42が接触又は離間する際、支持体42の下部(たとえば支柱部421及び脚部41aの接続部分よりも下方の部分)が伸縮又は上下動する(図5A及び図5B参照)。
【0050】
<3.第3実施形態>
次に、図6A図6Bを参照して、第3実施形態を説明する。なお、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、支持体42が伸縮する。一方、第3実施形態では、マッサージ機100bは、脚部41bの伸縮により、設置面Fに対して支持体42が接触又は離間するように構成される。以下では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる第3実施形態の構成を説明する。また、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0051】
図6Aは、第3実施形態において支持体42が設置面Fから離間した状態の椅子式マッサージ機100bの側面図である。図5Bは、第3実施形態において支持体42が設置面Fに接した状態の椅子式マッサージ機100bの側面図である。なお、図6A図6Bは、第3実施形態に係るマッサージ機100bの要部を図示しており、たとえば表面に配置される布製又は革製のカバー、緩衝材などの外装を省略している。
【0052】
第3実施形態に係るマッサージ機100bでは、図6A及び図6Bに示すように、マッサージ機100bは、第1実施形態(図1及び図3A図3B参照)と同様に4脚椅子型である。脚部41bは、座部1から下方に延びて、3個以上設けられる。或いは、マッサージ機100bは、第2実施形態(図4図5B参照)と同様にオフィスチェアー型であってもよい。つまり、各々の脚部41bは、支持体42から延びてもよい。また、脚部41bの下面には、キャスター411が配置される。各々の脚部41bは、伸縮可能である。これにより、キャスター411が上下動可能に形成される。
【0053】
このような構成であっても、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、マッサージ機100bは、容易な移動及び安定的な設置を実施できる。また、椅子式マッサージ機100bは、移動時において、支持体42の接触により設置面Fが傷つくことを防止できる。
【0054】
<4.備考>
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0055】
<5.総括>
以下では、これまでに説明してきた実施形態について総括的に述べる。
【0056】
たとえば、本明細書中に開示されている椅子式マッサージ機は、
使用者が着座する座部と、
前記座部を支持する下肢部と、
使用者を施療する施療部と、
を備え、
前記下肢部は、
設置面上を転動可能なキャスターと、
所定動作の開始に応じて前記設置面に接触して前記キャスターの転動を規制する支持体と、
を有する構成(第1の構成)とされる。
【0057】
上記第1の構成の椅子式マッサージ機は、
前記下肢部の前記支持体が、前記所定動作の開始に応じて前記設置面に接触して前記キャスターの転動を規制する構成(第2の構成)であってもよい。
【0058】
上記第1又は第2の構成の椅子式マッサージ機は、
前記支持体は、前記設置面と面接触可能な板状のストッパ部を有する構成(第3の構成)であってもよい。
【0059】
上記第3の構成の椅子式マッサージ機は、
前記ストッパ部の下面には、高摩擦係数を有するクッション性の弾性材料が配置される構成(第4の構成)であってもよい。
【0060】
上記第1~第4のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、
前記支持体は、上下方向に伸縮可能に形成される構成(第5の構成)であってもよい。
【0061】
上記第5の構成の椅子式マッサージ機は、
前記支持体は、伸縮可能なアクチュエータを有する構成(第6の構成)であってもよい。
【0062】
上記第5の構成の椅子式マッサージ機は、
前記支持体は、手動で上下に伸縮する構成(第7の構成)であってもよい。
【0063】
上記第5~第7のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、
前記下肢部は、前記座部から下方に延びて前記座部を支持する3個以上の脚部を有し、
前記脚部の下端には、前記キャスターが配置される構成(第8の構成)であってもよい。
【0064】
上記第5~第7のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、
前記下肢部は、前記支持体から斜め下方に延びて前記支持体回りの周方向に並ぶ3個以上の脚部を有し、
前記脚部の下端には、前記キャスターが配置される構成(第9の構成)であってもよい。
【0065】
上記第1~第4のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、
前記下肢部は、前記座部又は前記支持体から延びて下面に前記キャスターが配置される脚部を有し、
前記脚部の伸縮により、前記キャスターが上下動可能に形成される構成(第10の構成)であってもよい。
【0066】
上記第10の構成の椅子式マッサージ機は、
前記脚部は、前記座部から下方に延びて3個以上設けられ、前記座部を支持する構成(第11の構成)であってもよい。
【0067】
上記第10の構成の椅子式マッサージ機は、
前記脚部は、前記支持体から斜め下方に延びて3個以上設けられ、前記支持体回りの周方向に並ぶ構成(第12の構成)であってもよい。
【0068】
上記第1~第12のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、
入力操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記所定動作は、前記入力操作に基づいて開始される構成(第13の構成)であってもよい。
【0069】
上記第1~第13のいずれかの構成の椅子式マッサージ機は、
前記所定動作は、前記施療部の施療動作である構成(第14の構成)であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 座部
2 背凭れ部
3 施療部
4 下肢部
5 操作部
6 記憶部
7 制御部
8 アクチュエータ群
41,41a,41b 脚部
42 支持体
100,100a,100b (椅子式)マッサージ機
411 キャスター
421 支柱部
422 ストッパ部
423 アクチュエータ
424 ロック機構
F 設置面
J 回動軸
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B