(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103188
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】スリーブと、それを備えるエアマッサージ装置
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61H7/00 322G
A61H7/00 322A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007384
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】守屋 翔平
(72)【発明者】
【氏名】築田 克美
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD02
4C100AD04
4C100BA02
4C100BB05
4C100BC12
4C100BC14
4C100CA15
4C100DA10
4C100EA06
4C100EA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】筒形状となったスリーブシートの内部で熱がこもり、湿度が高くなることを防止可能な改良されたエアマッサージ装置を提供する。
【解決手段】エアマッサージ装置用のスリーブ10R、10Lは、エアバッグと、エアバッグを支持するスリーブシート20と、圧縮エアをエアバッグに供給する給気チューブ52a~52cとを備える。スリーブ10R,10Lは、吐出口を有する。スリーブシート20は、ユーザの装着部位に巻き付けられて筒形状となり、この状態で、スリーブ20の吐出口から装着部位RL、LLに向かってエアが吐出される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮エアが供給又は排出されることに伴って膨張又は収縮するエアバッグと、前記エアバッグを支持するとともにユーザの装着部位に巻き付けられて筒形状となるスリーブシートと、前記圧縮エアを前記エアバッグに供給する給気チューブとを備えるスリーブであって、
前記スリーブシートが前記装着部位に装着された状態で前記装着部位に向かってエアを吐出する吐出口を備える、スリーブ。
【請求項2】
請求項1記載のスリーブにおいて、前記スリーブシートは、該スリーブシートが前記装着部位に装着されたときに内周側となる内側シートと、該スリーブシートが前記装着部位に装着されたときに外周側となる外側シートと、前記内側シートと前記外側シートとの間に形成されて前記エアバッグを収容した収容室と、を有し、
前記内側シートは、気孔を有する多孔質シートであり、
前記吐出口は、前記多孔質シートの前記気孔から形成される、スリーブ。
【請求項3】
請求項2記載のスリーブにおいて、前記エアを前記収容室に送気する送気チューブを備える、スリーブ。
【請求項4】
請求項3記載のスリーブにおいて、前記内側シートにおける前記気孔の密度分布は、前記送気チューブに近い部位よりも前記送気チューブから離間する部位の方が大きい、スリーブ。
【請求項5】
請求項3記載のスリーブにおいて、前記送気チューブは、前記収容室の互いに異なる位置に前記エアを分配する複数個の分配ポートを有する、スリーブ。
【請求項6】
請求項2記載のスリーブにおいて、前記エアバッグは排気弁を有し、前記排気弁は、前記エアバッグの内圧が予め決められた所定圧力を上回ったときに開いて前記エアバッグ内の前記圧縮エアを前記収容室に排気し、
前記収容室に排気された前記圧縮エアを、前記内側シートを介して前記装着部位に供給する、スリーブ。
【請求項7】
請求項6記載のスリーブにおいて、前記排気弁が逆止弁である、スリーブ。
【請求項8】
請求項2記載のスリーブにおいて、前記エアバッグは、前記圧縮エアを前記収容室に漏洩可能な漏洩部を有し、前記エアバッグから前記漏洩部を介して前記収容室に漏洩した前記圧縮エアを、前記内側シートを介して前記装着部位に供給する、スリーブ。
【請求項9】
請求項8記載のスリーブにおいて、前記エアバッグの少なくとも一部は、気孔を有する多孔質材からなり、前記漏洩部は、前記多孔質材の前記気孔から形成される、スリーブ。
【請求項10】
請求項8記載のスリーブにおいて、前記エアバッグに排気孔が形成され、前記漏洩部は、前記排気孔から形成される、スリーブ。
【請求項11】
請求項2~10のいずれか1項に記載のスリーブにおいて、前記外側シートの強度は、前記内側シートの強度よりも大きい、スリーブ。
【請求項12】
圧縮エアが供給又は排出されることに伴って膨張又は収縮するエアバッグと、前記エアバッグを支持するとともにユーザの装着部位に巻き付けられて筒形状となるスリーブシートと、前記圧縮エアを前記エアバッグに供給する給気チューブとを備えるスリーブと、
前記圧縮エアを供給する圧縮エア供給装置と、を備えるエアマッサージ装置であって、
前記スリーブは、前記スリーブシートが前記装着部位に装着された状態で前記装着部位に向かってエアを吐出する吐出口を備える、エアマッサージ装置。
【請求項13】
請求項12記載のエアマッサージ装置において、前記圧縮エアの供給及び供給停止を制御する制御部を備え、
前記スリーブシートは、該スリーブシートが前記装着部位に装着されたときに内周側となる内側シートと、該スリーブシートが前記装着部位に装着されたときに外周側となる外側シートと、前記内側シートと前記外側シートとの間に形成されて前記エアバッグを収容した収容室と、を有し、
前記内側シートは、気孔を有する多孔質シートであり、
前記吐出口は、前記多孔質シートの前記気孔から形成され、
前記スリーブは、前記エアを前記収容室に送気する送気チューブを備え、
前記制御部は、前記エアバッグから前記圧縮エアが排出される際、前記送気チューブを介して前記収容室に前記エアを供給する、エアマッサージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアマッサージ装置用のスリーブに関する。また、本発明は、スリーブを備えるエアマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアマッサージ装置は、例えば、ユーザの足に装着されるスリーブを備える。一般的に、スリーブは、スリーブシートと、スリーブシートに支持された複数個のエアバッグとを有する。特許文献1の
図1に示されるように、複数個のエアバッグの各々は、チューブを介して圧縮エア供給装置に接続される。
【0003】
エアバッグは、圧縮エア供給装置から圧縮エアが供給されたときに膨張し、エアバッグから圧縮エアが排出されたときに収縮する。以上の膨張及び収縮が繰り返されることに基づき、ユーザにマッサージが施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エアマッサージ装置を使用するとき、スリーブシートは、ユーザの足等に巻き付けられて筒形状となる。筒形状となったスリーブシートの内部では、熱がこもり易く蒸れ易い。このことに起因して、スリーブシートの内部の湿度が高くなることが想定される。このような高湿の状況下では、ユーザが不快感を覚える。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一実施形態によれば、圧縮エアが供給又は排出されることに伴って膨張又は収縮するエアバッグと、前記エアバッグを支持するとともにユーザの装着部位に巻き付けられて筒形状となるスリーブシートと、前記圧縮エアを前記エアバッグに供給する給気チューブとを備えるスリーブであって、前記スリーブシートが前記装着部位に装着された状態で前記装着部位に向かってエアを吐出する吐出口を備える、スリーブが提供される。
【0008】
ユーザの身体の一部位である装着部位に向かってエアが吐出されることで、装着部位における蒸れが抑制される。換言すれば、吐出されたエアにより、装着部位に巻き付けられて筒形状となったスリーブシートの内部において、湿度が高くなることが回避される。このため、蒸れに起因してユーザが不快感を覚えることを回避することができる。
【0009】
(2)上記項目(1)において、前記スリーブシートは、該スリーブシートが前記装着部位に装着されたときに内周側となる内側シートと、該スリーブシートが前記装着部位に装着されたときに外周側となる外側シートと、前記内側シートと前記外側シートとの間に形成されて前記エアバッグを収容した収容室と、を有してもよい。この場合、前記内側シートは、気孔を有する多孔質シートである。前記吐出口は、前記多孔質シートの前記気孔から形成される。
【0010】
内側シートが装着部位に接触するので、ユーザが違和感を覚えることが回避される。
【0011】
(3)上記項目(2)において、スリーブは、前記エアを前記収容室に送気する送気チューブを備えてもよい。
【0012】
送気チューブから収容室にエアを供給することによって、多孔質シートからなる内側シートの気孔(吐出口)からエアを吐出することができる。このため、エアを吐出口に導くことが容易である。
【0013】
(4)上記項目(3)において、前記内側シートにおける前記気孔の密度分布は、前記送気チューブに近い部位よりも前記送気チューブから離間する部位の方が大きくてもよい。
【0014】
内側シートにおいて、送気チューブから離間する部位では、送気チューブに近い部位よりも気孔の密度分布が大きいため、エアが内側シートから吐出され易い。従って、内側シートにおいて、送気チューブに近い部位で多量のエアが吐出されることが回避されるとともに、内側シートにおいて、送気チューブから離間する部位から十分な量のエアを吐出することができる。すなわち、エアが、内側シートにおいて送気チューブに近い部位に偏ることを抑制することが可能である。
【0015】
(5)上記項目(3)又は(4)において、前記送気チューブは、前記収容室の互いに異なる位置に前記エアを分配する複数個の分配ポートを有してもよい。
【0016】
分配ポートにより、スリーブシートの広範囲にわたってエアが分配される。従って、装着部位の全体に対してエアの供給量のバラツキを低減することができる。
【0017】
(6)上記項目(2)において、前記エアバッグは排気弁を有してもよい。前記排気弁は、前記エアバッグの内圧が予め決められた所定圧力を上回ったときに開いて前記エアバッグ内の前記圧縮エアを前記収容室に排気する。さらに、前記収容室に排気された前記圧縮エアを、前記内側シートを介して前記装着部位に供給する。
【0018】
この構成においては、内側シートから装着部位に吐出されるエアが、エアバッグから供給される。従って、スリーブシートの外部から収容室にエアを供給するための部材が不要である。このため、スリーブの構成が簡素となる。
【0019】
(7)上記項目(6)において、前記排気弁は逆止弁であってもよい。
【0020】
逆止弁の開閉には特段の制御を必要としない。従って、逆止弁と制御回路とを電気的に接続する信号線等を設ける必要がない。これにより、スリーブの構成の簡素化を図ることができる。
【0021】
(8)上記項目(2)において、前記エアバッグは、前記圧縮エアを前記収容室に漏洩可能な漏洩部を有してもよい。この場合、前記エアバッグから前記漏洩部を介して前記収容室に漏洩した前記圧縮エアを、前記内側シートを介して前記装着部位に供給する。
【0022】
この構成では、スリーブシートに送気チューブ及び排気弁等を接続する必要がない。このため、スリーブの構成が一層簡素となる。
【0023】
(9)上記項目(8)において、前記エアバッグの少なくとも一部は、気孔を有する多孔質材であってもよい。この場合、前記漏洩部は、前記多孔質材の前記気孔から形成される。
【0024】
エアバッグの少なくとも一部を多孔質材とした場合、エアバッグ内の圧縮エアが気孔を介して収容室に漏洩する。このように、エアバッグの少なくとも一部を多孔質材とすることに基づいて、漏洩部を容易に形成することができる。
【0025】
(10)上記項目(8)において、前記エアバッグに排気孔を形成してもよい。この場合、前記漏洩部は、前記排気孔から形成される。
【0026】
この構成においては、エアバッグを、多孔質材に比べて安価な素材で形成することができる。また、エアバッグに排気孔を容易に形成することができる。
【0027】
(11)上記項目(2)~(10)のいずれか1項において、前記外側シートの強度は、前記内側シートの強度よりも大きくてもよい。
【0028】
内側シートは、多孔質シートからなるために比較的脆弱である。この構成によれば、内側シートに比べて高強度の外側シートを用いるので、スリーブシートの強度が確保される。これにより、ユーザにマッサージが施される際に、エアバッグにおいて圧縮エアの供給による膨張と、圧縮エアの排出による収縮とが長時間にわたって繰り返される場合であっても、装着部位にスリーブが巻き付いた状態が維持される。従って、ユーザの身体の適切な箇所にエアバッグが保持される。換言すれば、エアバッグが装着部位からずれることが回避される。このため、装着部位に対して適切なマッサージを施すことが可能である。
【0029】
(12)本発明の別の一実施形態によれば、圧縮エアが供給又は排出されることに伴って膨張又は収縮するエアバッグと、前記エアバッグを支持するとともにユーザの装着部位に巻き付けられて筒形状となるスリーブシートと、前記圧縮エアを前記エアバッグに供給する給気チューブとを備えるスリーブと、前記圧縮エアを供給する圧縮エア供給装置と、を備えるエアマッサージ装置であって、前記スリーブは、前記スリーブシートが前記装着部位に装着された状態で前記装着部位に向かってエアを吐出する吐出口を備える、エアマッサージ装置が提供される。
【0030】
ユーザの身体の一部位である装着部位に向かってエアが吐出されることで、装着部位における蒸れが抑制される。換言すれば、吐出されたエアにより、装着部位に巻き付けられて筒形状となったスリーブシートの内部において、湿度が高くなることが回避される。このため、蒸れに起因してユーザが不快感を覚えることを回避することができる。
【0031】
(13)上記項目(12)において、前記圧縮エアの供給及び供給停止を制御する制御部を備え、前記スリーブシートは、該スリーブシートが前記装着部位に装着されたときに内周側となる内側シートと、該スリーブシートが前記装着部位に装着されたときに外周側となる外側シートと、前記内側シートと前記外側シートとの間に形成されて前記エアバッグを収容した収容室とを有し、前記内側シートは、気孔を有する多孔質シートであってもよい。この場合、前記吐出口は、前記多孔質シートの前記気孔から形成される。また、前記スリーブは、前記エアを前記収容室に送気する送気チューブを備え、前記制御部は、前記エアバッグから前記圧縮エアが排出される際、前記送気チューブを介して前記収容室に前記エアを供給する。
【0032】
この場合、エアバッグが収縮するタイミングで、収容室にエアが供給されるため、装着部位へのエアの供給を一層良好に行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明において、エアマッサージ装置用のスリーブは吐出口を備える。エアマッサージ装置を用いる場合、スリーブを構成するスリーブシートがユーザの装着部位に装着される。この状態で、吐出口から装着部位に向かってエアが吐出される。このエアにより、装着部位における蒸れが抑制される。
【0034】
すなわち、エアバッグにおいて圧縮エアの供給による膨張と、圧縮エアの排出による収縮とが長時間にわたって繰り返される場合であっても、装着部位にスリーブが巻き付いた状態が維持され、エアバッグが適切な場所に保持される。このため、装着部位に適切なマッサージを施すことが可能である。しかも、吐出されたエアにより、装着部位に巻き付けられて筒形状となったスリーブシートの内部において、湿度が高くなることが回避される。このため、蒸れに起因してユーザが不快感を覚えることを回避することができる。以上のような理由から、ユーザの快適さと、マッサージの適切な実施とを両立することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るスリーブを備えるエアマッサージ装置の要部概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のスリーブを構成する右足用スリーブを内面から見た概略展開図である。
【
図3】
図3は、右足用スリーブを右下腿(装着部位)に巻き付けた状態を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、右足用スリーブにおける軸線方向に対して直交する方向の断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の変形例に係るスリーブを構成する右足用スリーブを内面から見た概略展開図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係るスリーブを構成する右足用スリーブを内面から見た概略展開図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の第1変形例に係るスリーブを構成する右足用スリーブを内面から見た概略展開図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の第2変形例に係るスリーブを構成する右足用スリーブを内面から見た概略展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下においては、病院等において使用されるエアマッサージ装置を例示する。また、ユーザは患者であり、スリーブが装着される装着部位は患者の足である。ただし、エアマッサージ装置の使用場所は病院に限定されない。また、スリーブが装着される装着部位は、足以外であってもよい。他の装着部位の具体例としては、腕が挙げられる。なお、「近位端」は患者の体幹に近い端部を指し、「遠位端」は患者の体幹から遠い端部を指す。装着作業者は、看護師等の医療従事者であってもよい。
【0037】
図1は、第1実施形態に係るスリーブ10を備えるエアマッサージ装置200の要部概略斜視図である。エアマッサージ装置200は、2個のスリーブ10と、コントローラ150とを備える。2個のスリーブ10のうち1個は右足用スリーブ10Rであり、2個のスリーブ10のうち残る1個は左足用スリーブ10Lである。
図3に示すように、右足用スリーブ10Rは、患者の右下腿RLに巻き付けられて筒形状となる。同様に、左足用スリーブ10Lは、患者の左下腿LLに巻き付けられて筒形状となる。
【0038】
右足用スリーブ10Rの構成につき説明する。
図2は、展開状態の右足用スリーブ10Rを内面12aから見たときの概略平面図であり、
図3は、装着部位である右下腿RLに右足用スリーブ10Rを巻き付けた状態の概略斜視図である。内面12aは、右足用スリーブ10Rが患者の右下腿RLに巻き付けられたときに内周側となり、患者の右下腿RL(
図3参照)を向く面である。外面12bは、右足用スリーブ10Rが患者の右下腿RLに巻き付けられたときに外周側となる面である。
【0039】
図1~
図3に示すように、右足用スリーブ10Rは、スリーブシート20を有する。スリーブシート20は、内側シート22と、外側シート24とを有する。第1実施形態において、内側シート22は、多孔質シートからなる。すなわち、内側シート22は、多数の開気孔を有する。開気孔は、例えば、内側シート22の一端面から他端面にわたって延び、且つ三次元網目構造を介して互いに連なる。このような内側シート22の好適な素材としては、ポリアミド、ポリプロピレン、ウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等の多孔膜が挙げられる。内側シート22の素材は、気孔率が大きな不織布であってもよい。
【0040】
後述するように、内側シート22の気孔は、収容室46内のエアを吐出する吐出口である。内側シート22における気孔(吐出口)の密度分布は、送気チューブ60に近い部位と、送気チューブ60から離間する部位とで相違する。以下、内側シート22において、送気チューブ60に近い部位を近部位42と呼び、且つ内側シート22において、送気チューブ60から離間する部位を遠部位43と呼ぶ。
【0041】
具体的に、内側シート22における気孔の密度分布は、近部位42よりも遠部位43の方が大きい。換言すれば、
図2に示すように、近部位42における気孔の密度分布は粗であり、遠部位43における気孔の密度分布は密である。従って、収容室46内にエアが供給されたとき、近部位42におけるエア吐出量は、遠部位43におけるエア吐出量よりも少ない。
【0042】
多孔質シートからなる内側シート22は、比較的脆弱である。これに対し、外側シート24は、内側シート22よりも強度が大きなシートからなる。このような外側シート24で内側シート22を支持することにより、スリーブシート20としての強度が確保される。これにより、ユーザにマッサージが施される際に、後述する第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cにおいて、圧縮エアの供給による膨張と、圧縮エアの排出による収縮とが長時間にわたって繰り返される場合であっても、装着部位に右足用スリーブ10Rが巻き付いた状態が維持される。従って、右下腿RLに第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cが保持される。換言すれば、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cが、装着部位である右下腿RLからずれることが回避される。このため、右下腿RLに対して適切なマッサージを施すことが可能である。左足用スリーブ10Lについても同様である。なお、外側シート24の好適な素材としては、気孔率が小さな不織布が例示される。
【0043】
内側シート22の面積は、外側シート24の面積に略等しい。従って、スリーブシート20の内面12aは、内側シート22の内面である。スリーブシート20が患者の右下腿RLに巻き付けられたとき、内側シート22は患者の右下腿RLを向く。このとき、外側シート24の外面12bは外方を向く。
【0044】
スリーブシート20には、ノッチ26が形成されている。このノッチ26により、外側シート24に、右下腿RLの遠位端を向く第1タブ部28と、右下腿RLの近位端を向く第2タブ部30とが形成される。第1タブ部28及び第2タブ部30の内面には、第1係合部としての第1面ファスナ32、34がそれぞれ設けられる。第1タブ部28及び第2タブ部30は、スリーブシート20の巻き付け方向の一端部である。
【0045】
外側シート24の外面12bには、第2係合部としての第2面ファスナ36が設けられる。スリーブシート20が右下腿RLに巻き付けられたとき、第1面ファスナ32、34と第2面ファスナ36とが互いに係合される。これにより、右足用スリーブ10Rが筒形状を保つ。外側シート24の外面12bには、第1開口部40a、第2開口部40b及び第3開口部40cが形成されている。
【0046】
内側シート22の外周縁部は、外側シート24の外周縁部に対し、例えば、縫製又は溶着等によって接合されている。このことに基づき、
図4に示すように、内側シート22と外側シート24との間に収容室46が形成される。
図2に示すように、収容室46には、複数個のエアバッグが収容される。この態様では、右足用スリーブ10Rは、複数個のエアバッグとして、第1エアバッグ50a、第2エアバッグ50b及び第3エアバッグ50cを有する。第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cは、スリーブシート20における遠位端から近位端に沿って並んだ状態で、例えば、内側シート22に溶着されている。
【0047】
第1エアバッグ50a、第2エアバッグ50b及び第3エアバッグ50cには、
図1~
図3に示す第1給気チューブ52a、第2給気チューブ52b及び第3給気チューブ52cがそれぞれ接続される。開口部の個数は、チューブの個数に対応している。第1給気チューブ52aの一端部(近位端)は、第1エアバッグ50aに接続される。第1給気チューブ52aは、第1開口部40aを介して外側シート24から露出し、外側シート24の外方において、右下腿RLの近位端から遠位端に向かって延びる。
【0048】
第2給気チューブ52bの一端部(近位端)は、第2エアバッグ50bに接続される。第2給気チューブ52bは、第2開口部40bを介して外側シート24から露出し、外側シート24の外方において、右下腿RLの近位端から遠位端に向かって延びる。第3給気チューブ52cの一端部(近位端)は、第3エアバッグ50cに接続される。第3給気チューブ52cは、第3開口部40cを介して外側シート24から露出し、外側シート24の外方において、右下腿RLの近位端から遠位端に向かって延びる。
【0049】
右足用スリーブ10Rは、送気チューブ60をさらに備える。外側シート24の外面12bにおいて、第2エアバッグ50bの近傍にはスリット62が形成されている。送気チューブ60の下流先端部(近位端)は、このスリット62を介して、内側シート22と外側シート24との間に形成された収容室46に挿入されている。収容室46内において、送気チューブ60の下流先端部は、スリーブシート20の遠位端から近位端に向かって、第3エアバッグ50cの近傍まで延びる。送気チューブ60の残る部分は、外側シート24の外方において、右下腿RLの近位端から遠位端に向かって延びる。
【0050】
図1に示すように、第1給気チューブ52a~第3給気チューブ52cの遠位端と、送気チューブ60の上流先端(遠位端)とは、中継チューブ束70を介してコントローラ150に接続される。具体的に、第1給気チューブ52a~第3給気チューブ52c及び送気チューブ60の遠位端には、第1コネクタ72が設けられる。中継チューブ束70の近位端には第2コネクタ74が設けられ、且つ中継チューブ束70の遠位端には第3コネクタ76が設けられる。第3コネクタ76がコントローラ150に接続され、且つ第2コネクタ74が第1コネクタ72に接続される。なお、中継チューブ束70は、4本の中継チューブ78a~78dによって構成される。
【0051】
以上により、コントローラ150と、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cとが、中継チューブ束70のうち3本の中継チューブ78a~78cと、第1給気チューブ52a~第3給気チューブ52cとを介して接続される。また、コントローラ150と送気チューブ60とが、中継チューブ束70のうち残る1本の中継チューブ78dを介して接続される。中継チューブ束70、第1給気チューブ52a~第3給気チューブ52c及び送気チューブ60には、圧縮エアが流通する。
【0052】
コントローラ150の内部には、制御部152と、コンプレッサ154と、複数のバルブとが収容される。コントローラ150及びコンプレッサ154は、圧縮エア供給装置を構成する。制御部152は、演算部及び記憶部を備える。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ(処理回路)によって構成される。演算部は、記憶部に記憶されているプログラムを実行することによって、コンプレッサ制御部とバルブ制御部とを実現する。記憶部は、揮発性メモリと不揮発性メモリとを含む。
【0053】
複数のバルブは、第1給気チューブ52aへの圧縮エアの供給と大気開放とを切り替える第1バルブ156aと、第2給気チューブ52bへの圧縮エアの供給と大気開放とを切り替える第2バルブ156bと、第3給気チューブ52cへの圧縮エアの供給と大気開放とを切り替える第3バルブ156cとを有する。複数のバルブは、送気チューブ60への圧縮エアの供給と大気開放とを切り替える第4バルブ156dをさらに有する。
【0054】
コントローラ150は、電源スイッチ160を有する。電源スイッチ160がONにされることに伴い、内部電源又は商用電源によって制御部152が起動する。制御部152は、コンプレッサ154及び第1バルブ156a~第4バルブ156dを制御する。後述するように、この制御により、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cに圧縮エアが供給される。又は、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cから圧縮エアが排出される。
【0055】
なお、本態様では、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cに対して圧縮エアを給排するコントローラ150を、送気チューブ60に対して圧縮エアを供給する圧縮エア供給装置としている。これに代替し、コントローラ150と別に第2圧縮エア供給装置を設けてもよい。この場合、第2圧縮エア供給装置に対して送気チューブ60を接続する。
【0056】
また、送気チューブ60の下流先端部を内側シート22の内面12aに設けてもよい。この場合、送気チューブ60の下流先端部に複数個のエア出口を形成することが好ましい。この構成においては、エア出口から圧縮エア(エア)が吐出される。すなわち、送気チューブ60のエア出口が吐出口となる。従って、この場合、内側シート22を多孔質シートから形成する必要は特にない。
【0057】
左足用スリーブ10Lは、右足用スリーブ10Rと対称的に構成されていることを除き、右足用スリーブ10Rと同様に構成されている。このため、左足用スリーブ10Lにおいて、右足用スリーブ10Rの構成要素と同一の構成要素に対して同一の名称及び同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0058】
エアマッサージ装置200は、患者に対して以下のように使用される。
【0059】
はじめに、装着作業者は、エアマッサージ装置200を使用可能な状態とするため、右足用スリーブ10Rを患者の右下腿RLに装着し、且つ左足用スリーブ10Lを患者の左下腿LLに装着する。具体的に、装着作業者は、右足用スリーブ10Rの第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの上に右ふくらはぎを載せ、この状態で、スリーブシート20において、外面12bに第2面ファスナ36が設けられた部位を右すねに巻き付ける。その後、装着作業者は、スリーブシート20において、第1タブ部28及び第2タブ部30が設けられた部位を、上記のようにして右すねに既に巻き付けられた部位に重ねる。これにより、
図3に示すようにスリーブシート20が筒形状となり、患者の右下腿RLに装着される。
【0060】
このとき、第1タブ部28及び第2タブ部30の内面にそれぞれ形成された第1面ファスナ32、34が、第2面ファスナ36に係合する。この係合により、スリーブシート20が元の展開形状に戻ることが防止される。このため、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cにおいて、圧縮エアの供給による膨張と、圧縮エアの排出による収縮とが長時間にわたって繰り返される場合であっても、右下腿RLに右足用スリーブ10Rが巻き付いた状態が維持される。従って、右下腿RLに第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cが保持される。左足用スリーブ10Lも、上記と同様にして患者の左下腿LLに装着される。右下腿RL及び左下腿LLに対して内側シート22が接触するので、患者が違和感を覚えることが回避される。
【0061】
装着作業者は、次に、第1コネクタ72を第2コネクタ74に接続する(
図1参照)。これにより、コントローラ150と第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cとが、中継チューブ78a~78cと、第1給気チューブ52a~第3給気チューブ52cとを介して接続される。また、コントローラ150と送気チューブ60とが、中継チューブ78dを介して接続される。その結果、エアマッサージ装置200が使用可能な状態となる。
【0062】
その後、電源スイッチ160がONにされると、制御部152は、コンプレッサ154及び第1バルブ156a~第3バルブ156cを制御する。これにより、中継チューブ78a~78cと、第1給気チューブ52a~第3給気チューブ52cとを介して、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cに圧縮エアが供給される。その結果、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cが、例えば、順次膨張する。
【0063】
制御部152は、次に、第1バルブ156a~第3バルブ156cを制御する。これにより、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cから圧縮エアが排出される。その結果、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cが、例えば、順次収縮する。
【0064】
制御部152は、例えば、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの各々が収縮する際、コンプレッサ154及び第4バルブ156dを制御する。これにより、中継チューブ78dを介して送気チューブ60に圧縮エアがエアとして供給される。上記したように、送気チューブ60の下流先端部は、外側シート24に形成されたスリット62を介して、収容室46に挿入されている。このため、送気チューブ60に供給されたエアは、収容室46に排出されて該収容室46内で拡散する。
【0065】
図4に示すように、収容室46は、内側シート22を介して右下腿RLに面する。ここで、内側シート22は、上記したように気孔を有する多孔質シートからなる。従って、収容室46内で拡散したエアは、気孔を介して収容室46の外方に排出される。すなわち、送気チューブ60から収容室46に排出されたエアは、筒形状となった内側シート22の気孔を吐出口として、内側シート22の内部に吐出される。
【0066】
このようにしてエアが内側シート22の内部に吐出されることに伴い、該内側シート22の内部が換気される。従って、装着部位である右下腿RLにおいて、蒸れが抑制される。これにより、内側シート22の内部で湿度が高くなることが回避される。このため、蒸れに起因してユーザが不快感を覚えることを回避することができる。従って、ユーザの快適さと、マッサージの適切な実施とを両立することが可能である。
【0067】
ここで、内側シート22における気孔の密度分布は、送気チューブ60に近い近部位42で粗であり、送気チューブ60から遠い遠部位43で密である(
図2参照)。このため、近部位42において多量のエアが吐出されることが回避されるとともに、遠部位43において十分な量のエアを吐出することができる。これにより、エアが近部位42に偏って吐出されることが抑制される。
【0068】
また、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの各々が収縮するタイミングで、送気チューブ60を介して収容室46にエアを供給するので、右下腿RLにエアを一層良好に供給することができる。すなわち、内側シート22の内部換気が効果的に行われ得る。
【0069】
なお、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cが順次膨張及び収縮する1サイクルが終了した後、次の1サイクルが開始される前(第1エアバッグ50aが膨張する前)に、制御部152によってコンプレッサ154及び第4バルブ156dを制御してもよい。すなわち、この場合、1サイクルが終了して次の1サイクルが始まるまでの間、送気チューブ60から収容室46にエアが供給される。エアは、上記と同様に、内側シート22の気孔を吐出口として、右下腿RL及び左下腿LLに向かって吐出される。
【0070】
左足用スリーブ10Lに対しても、右足用スリーブ10Rと同様にして圧縮エア及びエアが給排される。これにより、左足用スリーブ10Lにおいても上記と同様の効果が得られる。
【0071】
右足用スリーブ10R及び左足用スリーブ10Lに対して圧縮エアの給排が繰り返されることにより、患者の右下腿RL及び左下腿LLに対して間欠的空気圧圧迫が順次施される。なお、右足用スリーブ10Rによる間欠的空気圧圧迫と、左足用スリーブ10Lによる間欠的空気圧圧迫とを同時に実施する必要は特にない。例えば、右足用スリーブ10Rによる間欠的空気圧圧迫と、左足用スリーブ10Lによる間欠的空気圧圧迫とを交互に実施してもよい。送気チューブ60を介した収容室46へのエア供給についても同様に、右足用スリーブ10R及び左足用スリーブ10Lにて同時に実施する必要はない。右足用スリーブ10R及び左足用スリーブ10Lの各々において、一定時間内に適度な換気が行われればよい。
【0072】
次に、
図5を参照し、第1実施形態の変形例に係るスリーブ11につき説明する。
図5は、スリーブ11を構成する右足用スリーブ11Rの展開図である。この右足用スリーブ11Rは、送気チューブ60の下流先端部に接続された分配管90を備える。送気チューブ60の下流先端部及び分配管90は、例えば、内側シート22における遠位端と、外側シート24における遠位端とが接合されていない非接合部91を介して、収容室46に挿入される。
【0073】
この場合、分配管90は、複数個の分配ポート92a~92cを有する。分配ポート92a~92cは、それぞれ、分配管90における第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cを向く部位から突出する管部として設けられている。なお、分配ポート92a~92cは管部に限定されない。分配ポート92a~92cは、分配管90に形成された開孔であってもよい。
【0074】
図5では右足用スリーブ11Rのみを示している。左足用スリーブ11Lは、右足用スリーブ11Rと対称的に構成されていることを除き、右足用スリーブ11Rと同様に構成されている。このため、左足用スリーブ11Lの詳細な図示及び詳細な説明を省略する。
【0075】
この変形例では、コントローラ150から送気チューブ60に供給されたエアが、分配管90によって分配される。その結果、エアは、分配ポート92a~92cの各々から収容室46に排出される。これにより、収容室46の広範囲にわたってエアを分散させることができる。従って、右下腿RLの全体又は左下腿LLの全体に対してエアの供給量のバラツキを低減することができる。
【0076】
さらに、上記した理由から、この変形例においても、右足用スリーブ10R及び左足用スリーブ10Lと同様に、内側シート22の気孔の密度分布を、近部位42において粗とし且つ遠部位43において密とすることが好ましい。
【0077】
スリーブ10、11においては、コントローラ150から送気チューブ60を介して収容室46にエアを供給している。これに対し、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cから収容室46にエアを供給することも可能である。以下、この態様を第2実施形態として説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態に係るスリーブ10、11における構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略することがある。
【0078】
また、第2実施形態に関する各図面においては、右足用スリーブを例示する。左足用スリーブは、上記と同様に、右足用スリーブと対称的に構成されていることを除き、右足用スリーブと同様に構成されている。このため、第2実施形態においても、左足用スリーブの詳細な図示及び詳細な説明を省略する。
【0079】
図6は、第2実施形態に係るスリーブ100を構成する右足用スリーブ100Rの展開図である。右足用スリーブ100Rは、中継チューブ78a~78cと、第1給気チューブ52a~第3給気チューブ52cと、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cとを備える。
【0080】
この場合、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの各々における内側シート22を向く面に、排気弁としての逆止弁110が設けられる。逆止弁110は、例えば、複数枚のフィルムを積層して構成される。このような構成の逆止弁110は公知であるので、逆止弁110の詳細な図示及び説明を省略する。
【0081】
スリーブ100においては、コントローラ150(
図1参照)から中継チューブ78a~78c及び第1給気チューブ52a~第3給気チューブ52cを介して、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cに圧縮エアがそれぞれ供給される。これに伴い、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの内圧が上昇する。
【0082】
第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの内圧が所定圧力を上回ったとき、逆止弁110が、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50c内の圧縮エアに押されて自動的に開状態となる。これにより、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50c内の圧縮エアが収容室46に排出される。圧縮エアは、収容室46内で拡散する。
【0083】
内側シート22は、上記したように気孔を有する多孔質シートからなる。従って、収容室46内で拡散したエアは、気孔を介して収容室46の外方に排出される。すなわち、逆止弁110を介して第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cから収容室46に排出されたエアは、筒形状となった内側シート22の気孔を吐出口として、内側シート22の内部に吐出される。これにより、内側シート22の内部での蒸れに起因してユーザが不快感を覚えることを回避することができる。
【0084】
第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50c内の圧縮エアがある程度排出され、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの内圧が低下すると、逆止弁110が自動的に閉止する。これにより、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50c内の圧縮エアの排出が停止する。これに伴い、内側シート22の気孔からのエアの吐出も停止する。
【0085】
このように、スリーブ100においては、内側シート22から右下腿RL及び左下腿LLに吐出されるエアが、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cから供給される。従って、スリーブシート20の外部から収容室46にエアを供給するための部材が不要である。このため、スリーブ100の構成が簡素となる。
【0086】
また、逆止弁110は、制御部152の制御を受けることなく、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの内圧の上昇及び下降に応じて自動的に開閉する。従って、逆止弁110と制御部152とを電気的に接続する信号線等を設ける必要がない。このため、スリーブ100の構成が一層簡素化する。ただし、第2実施形態には、制御部152の制御によって開閉する排気弁を用いる態様も含まれる。
【0087】
次に、
図7を参照し、第2実施形態の第1変形例に係るスリーブ101につき説明する。
図7は、スリーブ101を構成する右足用スリーブ101Rの展開図である。右足用スリーブ101Rは、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cを備える。
【0088】
この場合、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの各々における内側シート22を向く面に、漏洩部120が設けられる。具体的に、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cにおいて、内側シート22を向く面の一部は、気孔を有する多孔質材122からなる。この多孔質材122における気孔が、漏洩部120である。このように、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの少なくとも一部を多孔質材122で形成することに基づいて、漏洩部120を容易に形成することができる。第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの全体を多孔質材122で形成してもよい。
【0089】
スリーブ101においては、コントローラ150(
図1参照)から中継チューブ78a~78c及び第1給気チューブ52a~第3給気チューブ52cを介して、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cに圧縮エアがそれぞれ供給される。これに伴い、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cから多孔質材122の気孔(漏洩部120)を介して、圧縮エアが収容室46に漏洩する。ただし、圧縮エアの収容室46への漏洩量は、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cへの圧縮エアの供給量に比べて少ない。従って、気孔(漏洩部120)から収容室46に圧縮エアが漏洩しても、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cは膨張可能である。
【0090】
第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cから収容室46に漏洩した圧縮エア(エア)は、収容室46内で拡散する。その後、エアは、筒形状となった内側シート22の気孔を吐出口として、内側シート22の内部に吐出される。これにより、上記と同様に、内側シート22の内部での蒸れに起因してユーザが不快感を覚えることを回避することができる。
【0091】
次に、
図8を参照し、第2実施形態の第2変形例に係るスリーブ102につき説明する。
図8は、スリーブ102を構成する右足用スリーブ102Rの展開図である。右足用スリーブ102Rは、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cを備える。
【0092】
第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの各々には、漏洩部120が設けられる。第2変形例において、漏洩部120は複数個の排気孔124である。従って、第2変形例では、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの一部又は全体を多孔質材122で形成する必要は特にない。従って、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cを、多孔質材122に比べて安価な素材で形成することができる。
【0093】
排気孔124は、例えば、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cの各々における内側シート22を向く面に形成される。このような排気孔124を、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cに形成することは容易である。
【0094】
スリーブ102においては、コントローラ150(
図1参照)から中継チューブ78a~78c及び第1給気チューブ52a~第3給気チューブ52cを介して、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cに圧縮エアがそれぞれ供給される。これに伴い、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cから排気孔124(漏洩部120)を介して、圧縮エアが収容室46に漏洩する。ただし、第1変形例と同様に、圧縮エアの収容室46への漏洩量は、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cへの圧縮エアの供給量に比べて少ない。従って、排気孔124(漏洩部120)から収容室46に圧縮エアが漏洩しても、第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cは膨張可能である。
【0095】
第1エアバッグ50a~第3エアバッグ50cから収容室46に漏洩した圧縮エア(エア)は、収容室46内で拡散する。その後、エアは、筒形状となった内側シート22の気孔を吐出口として、内側シート22の内部に吐出される。これにより、上記と同様に、内側シート22の内部での蒸れに起因してユーザが不快感を覚えることを回避することができる。
【0096】
以上のように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0097】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0098】
10、11、100、101、102…スリーブ
10L、11L、100L、101L、102L…左足用スリーブ
10R、11R、100R、101R、102R…右足用スリーブ
20…スリーブシート
22…内側シート
24…外側シート
42…近部位
43…遠部位
46…収容室
50a~50c…エアバッグ
52a~52c…給気チューブ
60…送気チューブ
62…スリット
78a~78d…中継チューブ
90…分配管
92a~92c…分配ポート
110…逆止弁
120…漏洩部
122…多孔質材
124…排気孔
150…コントローラ
152…制御部
154…コンプレッサ
156a~156d…バルブ
200…エアマッサージ装置
LL…左下腿
RL…右下腿