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  • 特開-車両用灯具 図1
  • 特開-車両用灯具 図2
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  • 特開-車両用灯具 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103190
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/235 20180101AFI20240725BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240725BHJP
【FI】
F21S43/235
F21W103:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007388
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 優
(72)【発明者】
【氏名】中矢 喜昭
(72)【発明者】
【氏名】原 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】井手 直道
(57)【要約】
【課題】車両の周囲から注目を集める表示を得つつ光量を増大して、車両のデザインを検討する上での制約を減らすことが可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具は、車両の後部に設けられたランプに設けられ、後方へ光を射出する光源と、光源の後方に設けられた表示部と、を備える。表示部は、光源からの光を表示部の後方へ透過させ、車両の後方から視認される虚像を、表示部の前方に結像可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部に設けられたランプに設けられ、後方へ光を射出する光源と、
前記光源の後方に設けられた表示部と、
を備え、
前記表示部は、
前記光源からの光を前記表示部の後方へ透過させ、
前記車両の後方から視認される虚像を、前記表示部の前方に結像可能であること
を特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記光源が設けられる位置は、前記虚像が結像される位置と重なること
を特徴とする、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光源の上端は、前記虚像の上端と重なること
を特徴とする、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記車両の前後方向に沿った前記虚像の長さは、前記車両の前後方向に沿った前記光源の長さよりも大きいこと
を特徴とする、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光源の後端は、前記虚像の後端と重なること
を特徴とする、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記表示部は、
前記虚像の情報を記録したホログラムを有する透明な導光板と、
再生用光源と、
を備え、
前記ホログラムは、前記導光板に導入された前記再生用光源からの光を受けて、前記虚像を結像すること
を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記再生用光源からの光は、前記導光板の下方より導入されること
を特徴とする、請求項6に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、再生用光源からの再生光を光学的に透明な基体の内部に導入し、基体の内部に導入された再生光を、基体に設置されたホログラムに導入することで、車両の後方へ所望の虚像を結像させる、ホログラムを用いた表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平03-297003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術によれば、ホログラムによって車両の後方に虚像が飛び出し、車両の周囲から注目を集める表示を得ることができるが、ホログラムでは道路運送車両の保安基準などの法規を満たす所定の光量を出すことが困難である。そのため、ホログラムとは別に光源を用いる必要があり、車両のデザインを検討する上での制約が生じるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものである。その目的とするところは、車両の周囲から注目を集める表示を得つつ光量を増大して、車両のデザインを検討する上での制約を減らすことが可能な車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る車両用灯具は、車両の後部に設けられたランプに設けられ、後方へ光を射出する光源と、光源の後方に設けられた表示部と、を備える。表示部は、光源からの光を表示部の後方へ透過させ、車両の後方から視認される虚像を、表示部の前方に結像可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の周囲から注目を集める表示を得つつ光量を増大して、車両のデザインを検討する上での制約を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る車両用灯具の構成を示す断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る車両用灯具における光路を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る車両用灯具によって表示される虚像の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る車両用灯具によって表示される虚像の奥行長さを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複説明を省略する。
【0010】
[車両用灯具の構成]
車両用灯具の構成を、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両用灯具の構成を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る車両用灯具における光路を示す図である。
【0011】
特に、図1は、車両前後方向に平行であって、かつ、車両の水平方向に直交する平面における、車両用灯具1の断面を示している。なお、図1において左方向は車両の前進方向に対応し、右方向は、車両の後進方向に対応する。上方向、下方向は、車両の上方向、下方向にそれぞれ対応する。
【0012】
図1に示すように、車両用灯具1は、光源10と、表示部20と、を備える。その他、光源10は、アウターレンズ30を備えるものであってもよい。図1では、光源10、表示部20、アウターレンズ30の他、車両用灯具1のハウジング、固定用部材などが示されているが、説明を省略する。
【0013】
光源10は、車両の後部に設けられたランプに設けられ、後方へ光を射出する。例えば、光源10は、車両の制動時などに車両の後方に位置する他車両に対して警告を示すため、赤色などの警告色で点灯する。光源10は、車両のリアランプであってもよい。なお、光源10は、車両の前後方向に沿って長さL1(光源10の奥行長さ)を有しているものとする。
【0014】
表示部20は、光源10の後方に設けられる。表示部20は、車両の前後方向に略垂直な方向(図1の紙面に略垂直な方向)に延在し、光源10を覆っている。
【0015】
アウターレンズ30は、表示部20の後方に設けられる。アウターレンズ30は、車両の前後方向に略垂直な方向(図1の紙面に略垂直な方向)に延在し、表示部20を覆っている。アウターレンズ30は、光源10及び表示部20から出力された光(光線R1、光線RH)をアウターレンズ30の後方に向けて透過させるよう、透明である。
【0016】
光源10、表示部20、アウターレンズ30は、車両に近いものから、光源10、表示部20、アウターレンズ30の順で並んで配置されている。
【0017】
図2に示すように、表示部20は、光源10からの光(光線R1)を表示部20の後方に向けて透過させる。また、表示部20は、車両の後方から視認される虚像を結像可能に構成される。図2では、車両の後方から視認される虚像に対応する光は、光線RHとして示されている。
【0018】
なお、後述するように、表示部20は、車両の後方から視認される虚像を、表示部20の前方に結像可能に構成される。つまり、虚像の結像位置は、表示部20よりも車両側に位置する。虚像の結像位置は、光源10、又は、車両と重なっていてもよい。
【0019】
次に、表示部20の構成を説明する。表示部20は、導光板21と、再生用光源23とを備える。導光板21は、虚像の情報を記録したホログラムを有する。導光板21は透明であり、光源10からの光を表示部20の後方に向けて透過させる。例えば、再生用光源23は、赤色などの警告色で点灯するものであってもよい。
【0020】
導光板21には、再生用光源23からの光(光線R2)が導入される。導光板21は、導入された再生用光源23からの光をホログラムに導入する。導光板21が備えるホログラムは、再生用光源23からの光を受けて、虚像を結像する。例えば、導光板21が備えるホログラムは、フレネルレンズ又はマイクロレンズによって構成されるものであってもよい。
【0021】
再生用光源23からの光は、導光板21の下方より導入されるものであってもよい。表示部20の上部に重なるように光源10を配置する場合、表示部20の上部の近傍には、再生用光源23を配置するスペースが限られてしまう。また、表示部20の上部に再生用光源23を配置してしまうと、光源10からの光を再生用光源23が遮ってしまう恐れもある。そのような事態を防ぐため、光源10と干渉しない位置である導光板21の下方に、再生用光源23を設けるものであってもよい。
【0022】
[結像される虚像の態様]
次に、表示部20によって結像される虚像の態様を図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る車両用灯具によって表示される虚像の一例を示す図である。図4は、本実施形態に係る車両用灯具によって表示される虚像の奥行長さを示す図である。
【0023】
図3では、車両の後方の位置であって、車両の前後方向に平行な軸から少し傾斜した位置から、導光板21を覗き込んだ際の様子を模式的に示している。図3では、直方体状の奥行のある虚像AR1,AR2,AR3,AR4が示されている。その他、光源10の発光領域LGが示されている。表示部20によって結像される虚像の態様は、図3に示すものに限定されない。
【0024】
図3に示すように、光源10が設けられる位置は、虚像(虚像AR1,AR2,AR3,AR4)が結像される位置と重なるものであってもよい。特に、光源10の発光領域LGの位置は、虚像が結像される位置と重なるものであってもよい。
【0025】
これにより、虚像のみでは必要な光量を得ることができない場合であっても、光源10の光量が加算されることで、光量を増大させることができる。
【0026】
また、光源10の上端は、虚像(虚像AR1)の上端と重なるものであってもよい。特に、発光領域LGの上端は、虚像(虚像AR1)の上端と重なるものであってもよい。この場合、表示部20の上部に重なるように光源10が配置されることになり、表示部20の上部において、光量を増大させることができる。さらには、車両の後方から視認した場合に、虚像を目立たせることができる。その結果、車両の後方に位置する他車両に対する警告の効果を高めることができる。
【0027】
その他、図4に示すように、車両の前後方向に沿った、虚像AR1,AR2,AR3,AR4の長さ(奥行長さ)は、長さL2となっている。この長さL2は、車両の前後方向に沿った光源10の長さL1よりも大きいものであってもよい。光源10の奥行長さである長さL1よりも大きな奥行を有する虚像が表示されることにより、虚像の立体感を増大させることができる。さらには、虚像の意匠性を高めることもできる。
【0028】
また、図3及び図4に示すように、光源10又は発光領域LGの後端は、虚像(虚像AR1,AR2,AR3,AR4)の後端と重なるものであってもよい。これにより、車両の後方から視認した場合に、虚像を目立たせることができる。その結果、車両の後方に位置する他車両に対する警告の効果を高めることができる。
【0029】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る車両用灯具は、車両の後部に設けられたランプに設けられ、後方へ光を射出する光源と、光源の後方に設けられた表示部と、を備える。表示部は、光源からの光を表示部の後方へ透過させ、車両の後方から視認される虚像を、表示部の前方に結像可能である。
【0030】
これにより、車両の周囲から注目を集める表示を得つつ光量を増大して、車両のデザインを検討する上での制約を減らすことができる。虚像のみでは必要な光量を得ることができない場合であっても、光源の光量が加算されることで、光量を増大させることができる。さらには、虚像を用いて、車両の後方に位置する他車両に対する警告の効果を高めることができる。
【0031】
また、本実施形態に係る車両用灯具において、光源が設けられる位置は、虚像が結像される位置と重なるものであってもよい。これにより、虚像のみでは必要な光量を得ることができない場合であっても、光源の光量が加算されることで、光量を増大させることができる。
【0032】
さらに、本実施形態に係る車両用灯具において、光源の上端は、虚像の上端と重なるものであってもよい。この場合、表示部の上部に重なるように光源が配置されることになり、表示部の上部において、光量を増大させることができる。さらには、車両の後方から視認した場合に、虚像を目立たせることができる。その結果、車両の後方に位置する他車両に対する警告の効果を高めることができる。
【0033】
また、本実施形態に係る車両用灯具において、車両の前後方向に沿った虚像の長さは、車両の前後方向に沿った光源の長さよりも大きいものであってもよい。大きな奥行を有する虚像が表示されることにより、虚像の立体感を増大させることができる。さらには、虚像の意匠性を高めることもできる。
【0034】
さらに、本実施形態に係る車両用灯具において、光源の後端は、虚像の後端と重なるものであってもよい。これにより、車両の後方から視認した場合に、虚像を目立たせることができる。その結果、車両の後方に位置する他車両に対する警告の効果を高めることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る車両用灯具において、表示部は、虚像の情報を記録したホログラムを有する透明な導光板と、再生用光源と、を備えるものであってもよい。また、ホログラムは、導光板に導入された再生用光源からの光を受けて、虚像を結像するものであってもよい。
【0036】
これにより、虚像の立体感を増大させることができる。さらには、虚像の意匠性を高めることもできる。また、虚像を用いて、車両の後方に位置する他車両に対する警告の効果を高めることができる。
【0037】
さらに、本実施形態に係る車両用灯具において、再生用光源からの光は、導光板の下方より導入されるものであってもよい。これにより、光源からの光を再生用光源が遮ってしまうことが抑制される。
【0038】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述および図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0039】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0040】
1 車両用灯具
10 光源
20 表示部
21 導光板
23 再生用光源
30 アウターレンズ
LG 発光領域
AR1,AR2,AR3,AR4 虚像
図1
図2
図3
図4