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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103202
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】血管内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/005 20060101AFI20240725BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240725BHJP
   A61B 1/313 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
A61B1/005 513
G02B23/24 A
A61B1/313 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007406
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】502109050
【氏名又は名称】ファイバーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴▲崎▼啓晃
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅剛
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA00
2H040BA00
2H040CA04
2H040CA11
2H040DA03
2H040DA11
2H040DA13
2H040DA15
2H040DA16
2H040DA17
2H040FA01
2H040GA02
4C161AA22
4C161CC06
4C161DD04
4C161FF29
4C161LL02
(57)【要約】
【課題】可撓性と挿入性を備えた血管内視鏡を提供する。
【解決手段】管状の被覆と、前記被覆の先端部に配置され、周囲を撮影する撮像部と、前記被覆の内部に配置され、前記撮像部に向いた端部を有する柱状の第1補強材と、前記被覆の内部に配置されるとともに、前記端部と前記撮像部との間で延びる柱状の第2補強材と、を備え、前記第2補強材の剛性は前記第1補強材の剛性よりも低い、血管内視鏡設備システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の被覆と、
前記被覆の先端部に配置され、周囲を撮影する撮像部と、
前記被覆の内部に配置され、撮像部に向いた端部を有する柱状の第1補強材と、
前記被覆の内部に配置されるとともに、前記端部と前記撮像部との間で延びる柱状の第2補強材と、を備え、
前記第2補強材の剛性は前記第1補強材の剛性よりも低い、血管内視鏡。
【請求項2】
前記補強材はガラスファイバで形成される、請求項1に記載の血管内視鏡。
【請求項3】
前記第1補強材の外周及び前記第2補強材の外周を覆い、前記第1補強材及び前記第2補強材を接合する管状の接合部材をさらに備える、請求項1または2に記載の血管内視鏡。
【請求項4】
血管内視鏡の径方向において前記第1補強材と前記被覆との間に配置され、前記第1補強材と同じ方向に延びる光ファイバをさらに備える、請求項1または2に記載の血管内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血管内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、撮像部を備えた血管内視鏡が知られている(特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-153781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像部を血管内視鏡の端部に配置し、直接外部を撮影する手段として用いる場合、血管内視鏡に可撓性と挿入性を持たせる必要がある。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、可撓性と挿入性を備えた血管内視鏡を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は一態様として、管状の被覆と、前記被覆の先端部に配置され、周囲を撮影する撮像部と、前記被覆の内部に配置され、前記撮像部に向いた端部を有する柱状の第1補強材と、前記被覆の内部に配置されるとともに、前記端部と前記撮像部との間で延びる柱状の第2補強材と、を備え、前記第2補強材の剛性は前記第1補強材の剛性よりも低い、血管内視鏡設備システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、実用上必要な可撓性と挿入性を備えた血管内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態による血管内視鏡の外観を示す図である。
図2】血管内視鏡の先端部近傍の斜視図である。
図3】血管内視鏡の斜視図であり、被覆を透視して示す。
図4】血管内視鏡の側面図であり、被覆、接着剤及びライトガイドを透過または省略して示す。
図5】血管内視鏡の正面図である。
図6】血管内視鏡の側面図であり、被覆、接着剤及びライトガイドを省略して示す。
図7】血管内視鏡の斜視図であり、被覆、接着剤及びライトガイドを省略して示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態である血管内視鏡1について図面を参照して説明する。図1は、血管内視鏡1の外観を示す。
【0010】
血管内視鏡1は、図1から図7の各図に示すように、撮像部10、被覆20、第1補強材30、第2補強材40、接合チューブ50、ライトガイド60、ケーブル70、カメラコネクタ80、及び、ライトガイドコネクタ90を備える。
【0011】
血管内視鏡1は、外部の制御装置2と通信可能に接続されて制御を受けることができる。また、血管内視鏡1は、外部の光源3と接続可能である。
【0012】
血管内視鏡1は、血管に挿入される挿入部1Aを形成する。挿入部1Aは、中心軸Cに沿って延びる長尺状の部材である。また、血管内視鏡1は、挿入部1Aに接続されたケーブルを、カメラコネクタ80に接続されるケーブル70と、ライトガイドコネクタ90へ接続されたライトガイド60とに分岐する分岐部1Bを形成する。
【0013】
なお、以下の説明においては、分岐部1Bに対して挿入部1Aが配置される方向を前方または先端側などとし、挿入部1Aに対して分岐部1Bが配置される方向を後方または後端側などとする。
【0014】
撮像部10は、被覆20の先端部に取り付けられた保護ガラス11と、保護ガラス11を介して先端側から光を受光して撮像する撮像素子(不図示)とを備える。撮像素子の例としては、CCDイメージセンサ(charge-coupled device image sensor)やCMOSイメージセンサ(complementary metal-oxide semiconductor image sensor)が挙げられる。撮像部10の外周部は被覆20に覆われるが、撮像部10の保護ガラス11は被覆20の開口を介して外部に開放されており、外部から光を受光することができる。
【0015】
また、撮像部10の後部には、図4及び図7などに示すように、ケーブル70と接続される基板12が備わる。基板12は、ケーブル70の先端部と電気的に接続される。
【0016】
被覆20は、血管内視鏡1の外装を形成し、中心軸Cに沿って延びる管状の部材であり、挿入部1Aの全長に亘って設けられる。被覆20は、樹脂によって形成された可撓性を有する部材であり、血管内に挿入できる外径(例えば0.05ミリメートル程度)を有する。
【0017】
被覆20は、撮像部10、第1補強材30、第2補強材40、接合チューブ50、ライトガイド60、及びケーブル70を内部に収容しており、これらの部材を保護する機能を有する。先端部において、被覆20の内部では接着剤21が、各部材間において隙間なく充填されて硬化した状態となっている。そのため、撮像部10、第1補強材30、第2補強材40、接合チューブ50、ライトガイド60、及びケーブル70の各部材が、被覆20の内部で接着剤21によって固定されている。
【0018】
被覆20の先端部は、開口20Aを形成しており、開口20Aを介して、撮像部10の保護ガラス11は外部から光を受光することができる。また、開口20Aを介して、ライトガイド60の端部も外部に開放されている。
【0019】
第1補強材30は、被覆20の内部に収容された略円柱状の部材である。第1補強材30は、被覆20と同じ方向に延びており、換言すれば中心軸Cに沿って延びる。第1補強材30の先端側端部は、撮像部10から離れて位置するとともに撮像部10に向いており、さらに第2補強材40の後端部と接続される。本実施形態では、第1補強材30は柱状に形成されたガラスファイバによって形成されるが、他の材料によって形成されてもよい。また、第1補強材の形状は、円柱状に限らず、多角柱状など、他の形状であってもよい。
【0020】
第2補強材40は、被覆20の内部に収容された略円柱状の部材である。第2補強材40は、被覆20と同じ方向に延びており、換言すれば中心軸Cに沿って延びる。第2補強材40は、第1補強材30の先端部と撮像部10との間に配置される。詳細に述べると、第2補強材の後端部は、接合チューブ50によって第1補強材の先端部と接続され、第2補強材の先端部は、撮像部10の基板12の近傍に配置される。本実施形態では、第2補強材は円柱状に形成されたガラスファイバによって形成されるが、他の材料によって形成されてもよい。また、第2補強材の形状は、円柱状に限らず、多角柱状など、他の形状であってもよい。
【0021】
第2補強材40は、第1補強材30よりも低い剛性を有する。第1補強材30及び第2補強材40の剛性の違いは、材質の違いによって形成され得るし、断面形状の違いによっても形成され得る。例えば、第2補強材40の断面を第1補強材30の断面よりも小さくすることによって、両部材の断面二次モーメントを変え、両部材間における剛性の違いを発現させることができる。また、第2補強材40及び第1補強材30を構成するガラスファイバの材質を変えることによって、両部材間における剛性の違いを発現させることもできる。
【0022】
なお、第1補強材30及び第2補強材40は、いずれも円柱状でなくともよい。例えば、角柱状などの形状を、第1補強材30または第2補強材40は採り得る。
【0023】
接合チューブ50は、第1補強材30の先端部と第2補強材40の後端部とを覆うように形成された、中心軸Cに沿って延びる略円筒状の部材である。接合チューブ50は、第1補強材と第2補強材とを接続する。詳細に述べると、接合チューブ50は、第1補強材30及び第2補強材40それぞれの外周部を隙間なく覆うように巻き付けられ、さらに不図示の接着剤によって第1補強材及び第2補強材の外周部に接着されている。
【0024】
ライトガイド60は、光ファイバによって形成された略円柱状の、かつ長尺状の部材である。ライトガイド60は、中心軸Cに沿って、被覆20と同じ方向に延びるように設けられる。ライトガイド60は、自己の延びる方向にしたがって光を伝達する機能を有する。ライトガイド60は、ライトガイドコネクタ90から開口20Aまで延び、先端部60Aを形成する。なお、分岐部1Bとライトガイドコネクタ90との間において、ライトガイド60の外周部は樹脂製の被覆で保護されている。
【0025】
ライトガイド60は、図3及び図5に示すように、被覆20の内周面に沿って複数本が並ぶように配置され、第1補強材30、第2補強材40、接合チューブ50、及びケーブル70の各部材に対して、血管内視鏡1の径方向外方に設けられる。換言すれば、複数のライトガイド60は、第1補強材30、第2補強材40、接合チューブ50、及びケーブル70の各部材を包囲するように配置される。
【0026】
各ライトガイド60は、開口20Aにおいて先端部60Aを形成する。各先端部60Aは、図3及び図5に示すように、撮像部10の外周を囲むように配置される。ライトガイドコネクタ90から伝達された光は、先端部60Aまで伝達され、先端部60Aから前方に出射する。
【0027】
ケーブル70は、カメラコネクタ80と撮像部10とを接続するケーブルであり、カメラコネクタ80を介して接続された制御装置2と撮像部10とを電気的に接続する。詳細には、ケーブル70の先端部は基板12の表面に接続される。撮像部10がケーブル70を介して制御装置2と接続されているため、制御装置2による撮像部10の制御と、撮像された画像の制御装置2への送信とが可能である。なお、分岐部1Bとカメラコネクタ80との間において、ケーブル70の外周部は被覆で保護されている。
【0028】
カメラコネクタ80は、図1に示すように、制御装置2の接続端子(不図示)と取り外し可能に接続される。制御装置2と接続端子を介して接続することにより、カメラコネクタ80は、制御装置2とケーブル70との電気的な接続を可能とする。
【0029】
ライトガイドコネクタ90は、図1に示すように、光源3の接続端子(不図示)と取り外し可能に接続される。光源3と接続端子を介して接続することにより、ライトガイドコネクタ90は、光源3から受光してライトガイド60へ伝達することができる。
【0030】
(使用時)
使用時、血管内視鏡1の挿入部1Aは、先端側から血管内に挿入される。挿入部1Aが血管内に挿入された状態において、ライトガイド60の先端部から光が前方に出射し、撮像対象である部位に照射される。同時に、撮像部10は、撮像対象である部位の撮像を行う。撮像によって取得された画像は、ケーブル70及びカメラコネクタ80を介して制御装置2に送信される。
【0031】
上述の様に第2補強材40の剛性は第1補強材30の剛性よりも低く抑えられているため、血管内視鏡1の先端側は後端側に比べて高い可撓性を有する。先端側が高い可撓性を備えているため、血管内視鏡1は血管の曲がりに容易に対応し、血管内に挿入しやすい。
【0032】
また、第1補強材30の剛性が第2補強材40の剛性よりも高いため、血管内視鏡1の後端側は先端側に比べて高い剛性を有する。そのため、作業者の手から力が加わった際に撓んだり座屈したりすることなく、血管内視鏡1は、加わった力を軸方向に伝達することができる。そのため、作業者はスムーズに挿入部1Aを血管内に挿入できる。このように血管内視鏡1は、血管内への高い挿入性または高い操作性を備えており、換言すれば、血管内への挿入を容易とする機能を有する。
【0033】
<効果>
(態様1)上記実施形態において、血管内視鏡1は、管状の被覆20と、被覆20の先端部に配置され、周囲を撮影する撮像部10と、被覆20の内部に配置され、撮像部10に向いた端部を有する柱状の第1補強材30と、被覆20の内部に配置されるとともに、第1補強材30の端部と撮像部10との間で延びる柱状の第2補強材40と、を備える。第2補強材40の剛性は、第1補強材30の剛性よりも低い。
【0034】
上記構成によれば、第2補強材40の剛性が低いため、血管内視鏡1は血管の曲がりに追従して変形し、血管内に挿入しやすい。また、作業者の手元では第1補強材30の剛性に対応して血管内視鏡1の剛性が高い。作業者が血管内視鏡1を押し出す際に血管内視鏡1が撓んだり座屈したりしないため、作業者は血管内視鏡1を血管内へ挿入しやすい。このように、血管内視鏡1は、可撓性と、血管内への挿入を容易とする挿入性とを備える。
【0035】
また、柱状の第1補強材30及び第2補強材40を用いているため、血管内視鏡1の外径を増やすことなく、適切な剛性を生み出すことができる。例えば、被覆20にブレードなどの補剛材を入れた場合、被覆20の厚みが増し、結果として血管内視鏡1の外径が大きくなってしまう。一般的な内視鏡に比較して外径を小さくする必要がある血管内視鏡1において、第1補強材30及び第2補強材40を柱状とすることは、好適な構造であるといえる。
【0036】
(態様2)態様1において、第1補強材30及び第2補強材40はガラスファイバで形成される。
【0037】
上記構成によれば、簡易な構成によって、互いに剛性の異なる第1補強材30及び第2補強材40を形成することができる。第1補強材30及び第2補強材40を鋼材によって形成することも考えられるが、血管内視鏡1が血管内へ挿入するための強度と、血管の曲がりに追従するための可撓性とを備えるためには、第1補強材30及び第2補強材40をガラスファイバによって形成することが好適である。
【0038】
(態様3)態様1または2において、血管内視鏡1は、第1補強材30の外周及び第2補強材40の外周を覆い、第1補強材30及び第2補強材40を接合する管状の接合チューブ50(接合部材に相当)をさらに備える。
【0039】
上記構成によれば、第1補強材30と第2補強材40とを確実に接続することができる。また、簡易な構成の管状部材を用いて接続することにより、血管内視鏡1の外径を増加させる虞が無い。
【0040】
(態様4)態様1から3のいずれかにおいて、血管内視鏡1は、第1補強材30と同じ方向に延び、血管内視鏡1の径方向において第1補強材30と被覆20の間に配置されたライトガイド60(光ファイバに相当)を備える。
【0041】
ライトガイド60を被覆20と第1補強材30との間に配置することにより、血管内視鏡1の径を増加させずに光ファイバを配置し、撮像部10の撮影に必要な照明光を供給することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 血管内視鏡、1A 挿入部、1B 分岐部、2 制御装置、3 光源、10 撮像部、11 保護ガラス、12 基板、20 被覆、20A 開口、21 接着剤、30 第一補強材、40 第二補強材、50 接合チューブ、60 ライトガイド、60A 先端部、70 ケーブル、80 カメラコネクタ、90 LGコネクタ、C 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7