(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103213
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
B65G1/04 555A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007424
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】辻 雄爾
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ13
3F022KK14
3F022KK15
3F022MM61
3F022PP06
3F022QQ13
(57)【要約】
【課題】センサによるチャタリング現象が生じても、荷物とフックの衝突を確実に防止しつつ、複数の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができる自動倉庫を提供する。
【解決手段】本発明の自動倉庫1は、ラック2と、移載装置12を有する入出庫台車4と、コントローラ50とを備え、移載装置12は、トップアーム38と、前後端フック46と、中間フック48と、中間フック用の荷物検出センサ58とを備え、奥側の格納位置に荷物を格納する際、又は、荷物が格納されている奥側の格納位置の手前側の格納位置に荷物を格納する際に、後端フック46で荷物を所定距離(D1)押し出した後にトップアーム38を後退させ、センサ58により荷物が検出された場合は、トップアーム38をさらに後退させてから中間フックを格納状態とし、トップアーム38を前進させて荷物を格納する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
奥行き方向に複数個の荷物を格納可能なラックと、このラックに沿って走行し荷物を上記ラックに移載する移載装置を有する入出庫台車と、上記移載装置を制御するコントローラと、を備える自動倉庫であって、
上記移載装置は、
上記ラックに対して前進後退するアームと、
上記アームの前端部に設けられた前端フックと、
上記アームの後端部に設けられた後端フックと、
上記アームの中間位置に少なくとも1つ設けられた中間フックと、
上記中間フックが設けられた位置に配置された中間位置荷物検出センサと、を備え、
上記コントローラは、奥側の格納位置に荷物を格納する際、又は、荷物が格納されている奥側の格納位置の手前側の格納位置に荷物を格納する際に、
上記後端フックで荷物を所定距離押し出した後に上記アームを後退させ、上記中間位置荷物検出センサにより荷物が検出されなかった場合は、上記中間フックを突出状態とし、上記アームを前進させて荷物を格納し、
上記後端フックで荷物を所定距離押し出した後に上記アームを後退させ、上記中間位置荷物検出センサにより荷物が検出された場合は、上記アームをさらに後退させてから上記中間フックを突出状態とし、上記アームを前進させて荷物を格納するように構成されている、ことを特徴とする自動倉庫。
【請求項2】
上記コントローラは、上記中間位置荷物検出センサにより荷物が検出された場合、上記アームを所定量後退させた後に、再度、上記中間位置荷物検出センサによる荷物の検出動作を実行させ、荷物が検出された場合はさらに上記アームを所定量後退させるよう構成されている、請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
上記コントローラは、上記中間位置荷物検出センサにより荷物が検出された場合、上記中間位置荷物検出センサによる荷物の検出動作を実行させながら上記アームを後退させ、上記中間位置荷物検出センサにより荷物が検出されなくなったときに上記アームの後退を停止させるよう構成されている、請求項1に記載の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫に係わり、特に、奥行き方向に複数個の荷物を格納可能なラックと、このラックに沿って走行し荷物をラックに移載する移載装置を備えた入出庫台車と、移載装置を制御するコントローラと、を備えた自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を移載するためのサイドアームおよびフックを備えたリアフック式移載装置が知られている。たとえば、特許文献1には、伸縮自在な左右一対のサイドアームの前後両端に開閉自在なフックが設けられ、後端側のフックを突出状態にしてアームを前進させることにより、ラックへ荷おろしをする移載装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表特許WO2012/029339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、自動倉庫において、移載装置からラックの奥行き方向に複数の荷物を格納(荷おろし)する際、サイドアームの伸縮量を所定量確保した上で、サイドアームの前後端に設けたフックと、それらの間に設けた中間フックとの間でフックの持ち替え動作を行う場合がある。
ところで、このようなフックの持ち替え動作時において、フックを突出位置としたときにフックが荷物と衝突しないように、フックに対応する位置の荷物の有無を検出するセンサが設けられる。しかしながら、このようなセンサが荷物の後端縁を検出したとき、チャタリングと呼ばれる誤検出状態が生じることが知られている。
そこで、このようなチャタリング現象が生じても、複数の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納する要望がなされている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、センサによるチャタリング現象が生じても、荷物とフックの衝突を確実に防止しつつ、複数の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができる自動倉庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、奥行き方向に複数個の荷物を格納可能なラックと、このラックに沿って走行し荷物をラックに移載する移載装置を有する入出庫台車と、移載装置を制御するコントローラと、を備える自動倉庫であって、移載装置は、ラックに対して前進後退するアームと、アームの前端部に設けられた前端フックと、アームの後端部に設けられた後端フックと、アームの中間位置に少なくとも1つ設けられた中間フックと、中間フックが設けられた位置に配置された中間位置荷物検出センサと、を備え、コントローラは、奥側の格納位置に荷物を格納する際、又は、荷物が格納されている奥側の格納位置の手前側の格納位置に荷物を格納する際に、後端フックで荷物を所定距離押し出した後にアームを後退させ、中間位置荷物検出センサにより荷物が検出されなかった場合は、中間フックを突出状態とし、アームを前進させて荷物を格納し、後端フックで荷物を所定距離押し出した後にアームを後退させ、中間位置荷物検出センサにより荷物が検出された場合は、アームをさらに後退させてから中間フックを突出状態とし、アームを前進させて荷物を格納するように構成されている、ことを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明によれば、中間位置荷物検出センサで荷物を検出した場合にアームをさらに戻すことで、荷物とフックの衝突を確実に防止することができる。さらに、中間位置荷物検出センサによる荷物の検出が、チャタリングのような誤検出を含む場合であっても、アームをさらに後退させるので、荷物とフックとの衝突を確実に防止することができる。したがって、センサによるチャタリング現象が生じても、荷物とフックの衝突を確実に防止しつつ、複数の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができる。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、コントローラは、中間位置荷物検出センサにより荷物が検出された場合、アームを所定量後退させた後に、再度、中間位置荷物検出センサによる荷物の検出動作を実行させ、荷物が検出された場合はさらにアームを所定量後退させるよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、荷物とフックが衝突しない位置まで確実にアームを後退させることができる。また、アームを後退させた後にセンサによる荷物の検出動作を実行するので(アームの後退時にはセンサによる荷物の検出は行わないので)、比較的早い速度でアームを後退させることができる。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、コントローラは、中間位置荷物検出センサにより荷物が検出された場合、中間位置荷物検出センサによる荷物の検出動作を実行させながらアームを後退させ、中間位置荷物検出センサにより荷物が検出されなくなったときにアームの後退を停止させるよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、アームの後退量を最小にすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センサによるチャタリング現象が生じても、荷物とフックの衝突を確実に防止しつつ、複数の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態による自動倉庫の概略構成を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態による自動倉庫の概略構成を示す平面図である。
【
図3】本実施形態による自動倉庫の入出庫台車およびその移載装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態による入出庫台車の移載装置およびその荷後端検出センサの配置を説明するための概略図である。
【
図5】本実施形態の入出庫台車が備える移載装置の制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態の移載装置による移載パターンを示す模式図であり、奥行き方向に2個の大荷物の載置位置が規定されたラックおよびシャトル通路を示す図である。
【
図7】2種類以上の荷幅の荷物が格納されると共に奥行き方向に2個の大荷物の載置位置が規定されたラックにおいて、手前側の載置位置に大荷物を移載するときの移載装置の動作パターンを示す模式図である。
【
図8】本実施形態の移載装置による移載パターンを示す模式図であり、奥行き方向に3個の小荷物の載置位置が規定されたラックおよびシャトル通路を示す図である。
【
図9】本実施形態の移載装置による移載パターンの概念を示す模式図であり、
図9(A)および
図9(B)は、移載装置による第1移載動作を説明するための図であり、
図9(C)は、移載装置による第2移載動作の後、光電センサと荷物の後端縁との間でチャタリングが生じている状態を説明するための図であり、
図9(D)は、チャタリングが生じた場合に実行される第3移載動作を説明するための図であり、
図9(E)は、チャタリングが生じた場合の第3移載動作に続いて実行される第4移載動作を説明するための図であり、
図9(F)は、移載装置による第5移載動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による自動倉庫を説明する。
【0013】
まず、
図1および
図2により、本発明の実施形態による自動倉庫の概略構成を説明する。
図1は、本発明の実施形態による自動倉庫の概略構成を示す正面図であり、
図2は、本発明の実施形態による自動倉庫の概略構成を示す平面図である。
図1および
図2に示すように、符号1は、本実施形態の自動倉庫(以下、「自動倉庫」という)を示す。本実施形態では、この自動倉庫1は、移載装置12を有する入出庫台車4を複数備えるシャトル式の自動倉庫である。
また、本実施形態の変形例として、自動倉庫1は、周知のスタッカクレーン式の自動倉庫であってもよい。その場合、後述する入出庫台車4の動作や入出庫台車4の移載装置12の移載動作等は、スタッカクレーンの動作やスタッカクレーン(図示せず)に設けられた移載装置の移載動作等に対応させて適用することができる。
【0014】
本実施形態の自動倉庫1は、ラック2と、複数の入出庫台車(以下、「台車」という)4とを備える。
ラック2は、左右方向(図に示すX方向)に並べられた一連の棚6を有する棚段8を上下方向(図に示すZ方向)に複数備えている。なお、複数の棚6のそれぞれは別体であってもよく、一体に形成されていてもよい。
【0015】
次に、
図2に示すように、複数の台車4は、それぞれ、一対のレールを有する走行路10に沿って左右方向に互いに独立して移動し、後述する移載装置12により、ラック2に対する荷物の受け渡し、すなわち、ラック2への荷おろし(移載)および台車4へのラック2からの荷つみを行う。複数の台車4は、複数の棚段8に1台ずつ配置されている。
図2に示すように、ラック2は、台車4の走行路10を挟んで対向する一対のラック2を有する。
【0016】
なお、本実施形態の自動倉庫1の変形例として、たとえば3段の棚段8毎にリフタ付きの入出庫台車を1台配置して、その1台の台車で3段の棚段8にそれぞれ荷物を格納することができるような自動倉庫1であってもよい。
【0017】
次に、
図1および
図2に示すように、自動倉庫1は、その両側に、ラック2に格納されるべき荷物を受け取り、かつ、ラック2から取り出された荷物を受け取るための第1および第2のステーション14、16を備える。本実施形態では、第1ステーション14は、最下段の棚段8に対応する上下方向の位置に配置されており、第2ステーション16は、最上段の棚段8に対応する上下方向の位置に配置されている。
【0018】
また、自動倉庫1は、荷物を昇降させる第1および第2の昇降装置18、20を備える。第1および第2の昇降装置18、20は、それぞれ、第1および第2のステーション14、16と台車4との間の荷物の受け渡しを仲介する。
【0019】
自動倉庫1は、これら台車4等の動作を制御するコントローラ22を備えている。台車4等は無線通信または有線通信によりコントローラ22から送信される制御信号に従って動作する。
【0020】
ここで、コントローラ22による自動倉庫1の基本的な荷物の入出庫動作を説明する。
まず、荷物の入庫作業として、第1ステーション14の入庫用コンベア24により搬送されてきた荷物は、第1昇降装置18により、入庫する棚段8に対応する高さ位置の入庫用載置領域26に載置される。この入庫用載置領域26に載置された荷物は、該当する棚段8の台車4に引き取られ、その棚段8のいずれかの棚6に移載(荷おろし)される。
次に、荷物の出庫作業として、棚段8のいずれかの棚6に載置されている荷物は、該当する棚段8の台車4に荷つみされ、その棚段8に対応する高さ位置の出庫用載置領域28まで搬送される。この出庫用載置領域28まで搬送された荷物は、第1昇降装置18を介して出庫用コンベア30まで移動され、さらに出庫用コンベア30に接続された搬送先まで搬送される。
【0021】
第2ステーション16も、第1ステーション14と同様であり、入庫用コンベア25、入庫用載置領域27、出庫用載置領域29および出庫用コンベア31を備え、上述した入出庫動作が行われる。また、第1ステーション14および第2ステーション16の一方を介した入庫作業および出庫作業は、他方を介した入庫作業および出庫作業とは独立して実行することができる。
【0022】
なお、変形例によるスタッカクレーン式の自動倉庫では、上述した複数の台車4や昇降装置18、20の代わりに、図示しない1台のスタッカクレーンが、コントローラ22から送信される制御信号に従って動作し、スタッカクレーンに設けられた移載装置が、ラック2の複数の格納位置へ荷物を移載する。
【0023】
次に、
図3および
図4により、本実施形態の自動倉庫の入出庫台車およびその移載装置の概略構成を説明する。
図3は、本実施形態による自動倉庫の入出庫台車およびその移載装置の概略構成を示す斜視図であり、
図4は、本実施形態の入出庫台車が備える移載装置の制御システムの概略構成を示すブロック図である。
まず、
図3に示すように、台車4は、移載装置12を備える。移載装置12は、一対のサイドアーム32を備え、これらのサイドアーム32が前後方向(
図1、
図2に示すY方向)に伸縮することにより、荷物の取り込み(荷つみ)および送り出し(荷おろし)を行う。
一対のサイドアーム32は、それぞれ、ベースアーム34と、このベースアーム34に連結されたミドルアーム36と、このミドルアーム36に連結されたトップアーム38とを有する。なお、一対のサイドアーム32の各アーム34、36、38の構成は、左右で互いに同じであるので、以下では、片方のアームについて説明する。
なお、以下では説明を省略するが、変形例によるスタッカクレーンには、本実施形態の移載装置12と同様の構成を有し、または、同様の動作が可能な移載装置が設けられる。
【0024】
ベースアーム34は、台車4に固定されている。ベースアーム34の中央部には、スプラインシャフト40が左右方向(
図1、2に示すX方向)に貫通して延びており、このスプラインシャフト40は、台車4に内蔵されたモータ(
図4に示すアーム出退モータ52)で回転駆動されるようになっている。
このスプラインシャフト40の前後には、それぞれ、4つずつ並べられたピニオンギア42が互いに噛み合うよう配置されると共に、これらのピニオンギア42にミドルアーム36のラックギア44が噛み合うように配置される。
また、図示を省略するが、ミドルアーム36の前後方向の両端部には、プーリがそれぞれ設けられ、ベルトが、これらのプーリにたすき掛けされると共にトップアーム38の前後方向の両端部に固定されている。
【0025】
本実施形態では、主にこれらの構成により、スプラインシャフト40を所定の方向に回転させると、従動する各ピニオンギア42が回転し、その回転を受けたラックギア44が前後方向のいずれか一方に移動し、これにより、ミドルアーム36がベースアーム34に対して伸縮する。さらに、ミドルアーム36が伸縮することにより、プーリにたすき掛けされたベルトの作用により、トップアーム38が、ミドルアーム36の倍量、伸縮するようになっている。このように、ミドルアーム36の伸縮に連動して、トップアーム38が伸縮するようになっている。
なお、本実施形態では、3枚板のアーム34、36、38でサイドアーム32を構成しているが、たとえばダブルリーチアームなど、4枚板のアームでサイドアーム(32)を構成するようにしてもよい。
【0026】
このようにベースアーム34、ミドルアーム36、トップアーム38を有するサイドアーム32は、上述した駆動機構(40、42、44など)により、台車4の走行路10の両側に配置されたラック2(棚6)に進出可能であり、かつ、その先端が、ラック2の奥行き方向において一番奥側に移載される荷物の後端位置まで進出するようになっている。たとえば、後述する
図6乃至
図8において、トップアーム38の先端は、ラック2の奥行き方向において、一番奥側に移載される荷物の後端位置まで進出可能である(特に、
図8(B)に示される荷物B1およびトップアーム38の位置を参照)。そして、このような後端位置にあるトップアーム38は、突出状態にある先端の端部フック46が荷物B1の後方端部に係合して、その荷物B1を台車4に取り込むこと(荷つみ)が可能となっている。
【0027】
次に、トップアーム38は、その前後端部にそれぞれ端部フック46を備える。これらの端部フック46は、トップアーム38内に収容される待避位置(
図3に示す位置)と、この待避位置から約90°回転して、一対のトップアーム38の間に突出する突出位置との間で回動可能に構成されている。これらの端部フック46は、突出位置(突出状態)において、荷物の前端または後端に係合して、荷物を取り込みまたは送り出しするようになっている。
【0028】
また、トップアーム38は、その前後方向の中間位置に中央フック48を備える。この中央フック48も、上述した端部フック46と同様に、トップアーム38内に収容される待避位置(
図3に示す位置)と、一対のトップアーム38の間に突出する突出位置との間で回動可能に構成され、その突出位置(突出状態)において、荷物の前端または後端に係合して、荷物を取り込みまたは送り出しするようになっている。
【0029】
中央フック48は、端部フック46と同様の形状に形成された2本の棒状部材48aを1つの板状部材48bで連結して、一体的なフックとして形成されている。
図3から明らかなように、このように形成された中央フック48の前後方向の厚さ(後述する、ラック2の奥行き方向の幅)は、端部フック46の前後方向の厚さ(ラック2の奥行き方向の幅)より十分大きい。
詳細には後述するが、中央フック48の前後方向厚さ(奥行き方向の幅)は、各ラック2の奥行き方向に3つの小荷物を格納する場合に、中央フック48のみで、ラック2の最も奥側の載置位置に小荷物を移載することができる大きさに設定されている。
【0030】
次に、台車4内には、一対のサイドアーム32全体の互いの間隔を狭めまたは拡げるように、ベースアーム34を左右方向に移動させるモータ(図示せず)が組み込まれている。すなわち、所定の荷幅の荷物を移載する場合には、まず、このモータにより、各トップアーム38間の間隔を、フック46、48のいずれかが荷物の前後端に係合可能となるような距離まで狭める。この場合、トップアーム38は、荷物との間に所定の小さいクリアランスを保つ位置まで近づけられるか、あるいは、荷物に過大な圧力がかからない程度にクランプする。
また、トップアーム38は、端部フック46および中央フック48を回動させるフック開閉モータ54(
図3参照)を備える。
【0031】
次に、
図4により、入出庫台車の移載装置に設けられた荷後端検出センサについて説明する。
図4は、本実施形態による入出庫台車の移載装置およびその荷後端検出センサの配置を説明するための概略図である。
図4に示すように、移載装置12において、サイドアーム32のトップアーム38には、各フック46、48を突出位置に動作させるときに、各フック46、48と荷物とが衝突しないように、荷物の有無を検出する複数の光電センサ(荷後端検出センサ)58が設けられている。なお、
図4では、ミドルアーム36の図示を省略している。
前端側および後端側の各端部フック46用の光電センサ58は、トップアーム38にそれぞれ1つ設けられ、
図4に示すように、サイドアーム32が延びる方向において、各端部フック46に隣接し、かつ、各端部フック46が荷物に係合する内方側に設けられている。
また、中央フック48用の光電センサ58は、トップアーム38に2つ設けられ、
図4に示すように、サイドアーム32が延びる方向において、中央フック48にそれぞれ隣接し、かつ、中央フック48が荷物に係合する両方の当接面側に設けられている。
これらの光電センサ58は、一方のトップアーム38に設けられ、他方のトップアーム38の側に向けてレーザを照射し、荷物からの反射光を検出することにより荷物の有無自体を検出する。このような荷物の検出は、上述したコントローラ50(
図4参照)またはコントローラ22(
図1参照)によって行われる。
【0032】
次に、
図5に示すように、移載装置12は、上述したアーム34、36、38やフック46、48の動作を制御するためのコントローラ50を有している。このコントローラ50は、上述したスプラインシャフト40を回転させてサイドアーム32を伸縮させるアーム出退モータ52を制御する。また、コントローラ50は、各端部フック46の開閉および中央フック48の開閉を行わせるフック開閉モータ54を制御する。また、サイドアーム32の互いの間隔を調整するためのアーム開閉モータ56を制御する。
【0033】
また、コントローラ50には、上述した、移載装置12上の荷物の有無を検出する複数の光電センサ58(
図4参照)が接続され、各光電センサ58から送信される荷物の検出信号が入力される。
また、本実施形態の自動倉庫1では、図示しないが、光電センサ58からの荷物の検出信号は、移載装置12に搭載されたコントローラ50から、台車4等を制御するためのコントローラ22にも無線通信または有線通信により送信される。
【0034】
次に、本実施形態の自動倉庫1の前提条件を説明する。
まず、本明細書において、荷物の「荷幅」とは、左右方向(X方向)の荷物の幅であって、台車4の走行方向の荷物の幅を意味し、荷物の「奥行き方向の幅」とは、前後方向(Y方向)の荷物の幅であって、ラック2の奥行き方向の荷物の幅を意味する。
そして、本実施形態の
図1乃至
図3に示す自動倉庫1においては、台車4の前後方向(Y方向)の幅、すなわち、一対のサイドアーム32間の荷載可能な領域の前後方向の幅と、片側のラック2(棚6)の前後方向(奥行き方向)の幅との比が、4:6の比で構成されている。
また、顧客によって、ラック2に1種類の荷幅(台車走行方向の幅)の荷物を格納するように自動倉庫1を利用する場合と、ラック2に2種類以上の荷幅の荷物を格納するように自動倉庫1を利用する場合があるが、以下で説明する本実施形態の自動倉庫1は、荷幅(台車4の走行方向の幅)が異なる2種類以上の荷物をラック2に格納可能なように設計されている。
【0035】
また、本実施形態の自動倉庫1は、荷物の奥行き方向の幅(以下、「奥行き幅」という)が比較的大きく、各ラック2の奥行き方向に最大2個の荷物を格納可能する場合と、荷物の幅奥行き幅が比較的小さく、各ラック2の奥行き方向に最大3個の荷物を格納可能な場合とを想定して設計されている。以下、前者の場合の荷物を「小荷物」と言い、後者の場合の荷物を「大荷物」と言う。本実施形態では、このような大荷物の幅と、小荷物の幅とは、3:2の比である。
そして、本実施形態では、台車4の前後方向の幅と、ラック2(棚6)の奥行き方向の幅と、大荷物の奥行き方向の幅と、小荷物の奥行き方向の幅とは、4:6:3:2の比となっている。
【0036】
なお、本実施形態の自動倉庫1では、大荷物の奥行き幅が、400mmを超え、かつ、600mm以下の数値の範囲のものが適用され、小荷物の奥行き幅が、200mm以上かつ400mm以下の数値の範囲のものが適用される。上述した比「4:6:3:2」は、大荷物の奥行き方向の幅が600mm、小荷物の奥行き方向の幅が400mmの場合である。
ここで、たとえば段ボール箱などの多種形状の荷物を格納する場合には、これらの数値範囲を利用して多種形状の各荷物を「大荷物」と「小荷物」とに判別し、以下に説明するようにラック2に移載するようにしている。
なお、以下では図示を省略するが、上述した大荷物より大きい極大荷物をラック2に1個格納することもできる。
【0037】
次に、
図6乃至
図8により、本実施形態の移載装置12による荷物のラック2への主な移載パターンを説明する。
図6は、本実施形態の移載装置による移載パターンを示す模式図であり、奥行き方向に2個の大荷物の載置位置が規定されたラックおよびシャトル通路を示す図であり、
図7は、2種類以上の荷幅の荷物が格納されると共に奥行き方向に2個の大荷物の載置位置が規定されたラックにおいて、手前側の載置位置に大荷物を移載するときの移載装置の動作パターンを示す模式図であり、
図8は、本実施形態の移載装置による移載パターンを示す模式図であり、奥行き方向に3個の小荷物の載置位置が規定されたラックおよびシャトル通路を示す図である。なお、
図6乃至
図8では、簡略化のために、片方のサイドアーム32のみを図示している。
以下で説明する移載パターンの動作は、上述したコントローラ50(
図5参照)により制御される。
【0038】
まず、
図6により、片側のラック2の奥行き方向に最大2個の荷物を移載可能な「大荷物」の場合の移載パターンの例を説明する。
図6(A)に示すように、台車4(図示を省略する)上に荷おろし前の大荷物A1が載せられている。この位置にある大荷物A1を、ラック2の手前側の載置位置に移載するパターンを
図6(B)および
図6(C)に示す。
【0039】
まず、
図6(B)は、上述した荷幅が2種類以上の荷物を自動倉庫1に格納する場合の例であり、中央フック48を用いて大荷物A1を移載する。この例の場合、荷幅が2種類以上であるので、たとえば奥側に格納されている大荷物A2の荷幅が、手前側に移載しようとする大荷物A1の荷幅より大きい場合に、サイドアーム32が奥側まで伸びて大荷物A2に当接/干渉しないようにしている。
一方、
図6(C)に示すように、荷幅が1種類の荷物を自動倉庫1に格納する場合には、サイドアーム32が奥側まで延びても奥側の大荷物A2に干渉しないので、走行路10側の端部フック46を用いて大荷物A1を移載する。
また、
図6(D)に示すように、ラック2の奥側の載置位置に大荷物A1を移載する場合には、荷幅が1種類でも、2種類以上であっても、中央フック48を用いて大荷物A1を移載する。
【0040】
なお、本実施形態の自動倉庫1では、荷物をラック2の奥側の載置位置に格納する場合、および、既に荷物が格納されている奥側の載置位置の手前側の載置位置に荷物を格納する場合、上述した
図6(B)や
図6(D)に示すような中央フック48を用いた移載パターンと異なる移載パターンとして、後述する
図7に示すように、フックの持ち替え動作を行うようにすることもできる。
【0041】
次に、
図7により、荷幅が2種類以上の荷物を自動倉庫1に格納する場合に、ラック2の手前側の載置位置に大荷物A1を移載するときのサイドアーム32の伸縮動作と、端部フック46および中央フック48の開閉動作を説明する。この
図7に示す移載パターンでは、端部フック46から中央フック48へとフックの持ち替え(荷物の持ち替え)が行われる。
まず、
図7(A)に示すように、走行路10側の端部フック46を突出位置とし、この端部フック46により、台車4上の大荷物A1を仮置き位置まで移動させる。この
図7(A)で示す状態では、中央フック48は、大荷物A1と干渉しないように待避位置にされている。以下、このような待避位置の場合は、フックの図示を省略する。なお、
図7(A)中、符号A0は、移載前の大荷物A1の台車4上の位置である。
【0042】
次に、
図7(B)に示すように、中央フック48が大荷物A1に係合可能な位置までサイドアーム32を戻し、待避位置であった中央フック48を突出位置にする。
次に、
図7(C)に示すように、サイドアーム32をラック2側に伸ばして、大荷物A1を、突出位置の中央フック48により、ラック2の手前側の載置位置に移載する。なお、符号A2は、奥側に既に格納された大荷物を示す。
【0043】
なお、荷幅が1種類の荷物を自動倉庫1の手前側に格納する場合には、図示を省略するが、まず、走行路10側の端部フック46を突出位置とする一方、中央フック48および奥側の端部フック46を待避位置とする。次に、サイドアーム32をラック2側に伸ばして、端部フック46により大荷物A1をラック2の手前側の格納位置に格納する。なお、この場合、荷幅が1種類であるので、サイドアーム32が奥側の大荷物A2の載置位置まで延び、奥側の大荷物A2に干渉しない。この例では、中央フック48へのフックの持ち替えは行われない。
【0044】
また、荷幅が1種類または2種類以上の荷物を自動倉庫1の奥側に格納する場合には、図示を省略するが、まず、走行路10側の端部フック46を突出位置、中央フック48を待避位置として、台車4上の初期位置A0にある大荷物A1を仮置き位置に移動させる。次に、中央フック48が大荷物A1に係合可能な位置までサイドアーム32を戻し、待避位置であった中央フック48を突出位置にする。次に、サイドアーム32をラック2側に伸ばして、大荷物A1を、突出位置の中央フック48により、ラック2の奥側の載置位置に移載する。この例では、端部フック46から中央フック48へとフックの持ち替えが行われる。
【0045】
次に、
図8により、ラック2の奥行き方向に最大3個の荷物を格納する「小荷物」の場合の移載パターンの例を説明する。
まず、
図8(A)に示すように、台車4(図示を省略する)上に荷おろし前の小荷物B1が載せられている。
【0046】
ここで、本実施形態では、
図8(A)に示すように、中央フック48は、各端部フック46から所定の間隔Sが形成されるよう設けられる。
また、この中央フック48は、上述したように、各端部フック46より大きい幅を有している。本実施形態では、
図8(B)に示すように、中央フック48の奥行き方向の幅Wが、「小荷物」を中央フック48のみでラック2の最も奥側の載置位置に移載可能な幅に設定されている。
また、端部フック46と中央フック48との間の所定の間隔Sを、小荷物の1個分の奥行き幅と同等な間隔にしており、これにより、突出位置の端部フック46と突出位置の中央フック48との間に、小荷物が収まるようにしている。
【0047】
ここで、本実施形態において、上述した「小荷物の1個分の奥行き幅」とは、上述した小荷物の奥行き幅の範囲のうち最大の400mmを意味する。なお、本実施形態では、所定の間隔Sは、各フック46、48と、小荷物との間で、+20mmのクリアランスが得られるよう、420mmの間隔に設定されている。なお、このようなクリアランス量は、自動倉庫1の仕様に応じて適宜設定される。
【0048】
本実施形態では、このような端部フック46および中央フック48の構成により、
図8(A)に示す位置にある小荷物B1を、ラック2の奥側の載置位置(
図8(B))、中間の載置位置(
図8(C))、および、手前側の載置位置(
図8(D))に、いずれも、中央フック48のみで、サイドアーム32の伸縮を止めることなく移載することができるようにしている。この
図8に示す例では、中央フック48へのフックの持ち替えは行われない。
【0049】
ここで、変形例として、中央フック48を、各端部フック46の幅と同程度の幅とし、かつ、2つの端部フック46と等距離となる中間位置に1つ設けてもよい。この場合、たとえば
図7に示すフックの持ち替えパターンのように、小荷物を端部フック46から中央フック48への持ち替えを行って、小荷物を移載するようにしてもよい。
また、変形例として、両端の端部フック46の間に、各端部フック46の幅と同程度の幅とした中間フック48を所定の距離をおいて2つ設けてもよい。この場合、たとえば
図7に示すフックの持ち替えパターンのように、小荷物を端部フック46からいずれか一方の中央フック48への持ち替えを行って、小荷物を移載するようにしてもよい。
【0050】
これらのような持ち替え動作を実行する場合には、たとえば奥側に格納されている小荷物B2、B3の荷幅が、手前側に移載しようとする小荷物B1の荷幅より大きい場合に、サイドアーム32が奥側まで伸びて小荷物B2、B3に当接/干渉しないようにすることができる。
一方、本実施形態では、後述する
図9に示すように、フックの持ち替え動作時において、例えば、中央フック48を突出状態にしようとしたとき、中央フック48用の光電センサ58がチャタリング現象を発生しており、中央フック48と荷物の後端縁とが接触する可能性がある場合に、サイドアーム32をさらに後退させて、中央フック48が荷物と接触しないようにしている。
【0051】
なお、上述した入庫用載置領域26、27(
図2参照)に載置された小荷物を台車4に荷つみする場合は、サイドアーム32の伸縮量を調整して、その小荷物が、台車4上の前後方向の所定の保持位置に荷つみされるようにしている。この所定の保持位置は、台車4上に保持された小荷物のラック2への移載時、中央フック48により、格納すべき側のラック2の方に向けてその小荷物を押すことができるような位置である。
【0052】
次に、
図9により、本実施形態による自動倉庫1のラック2に荷物を移載するときの入出庫台車およびその移載装置の動作を説明する。
図9は、本実施形態の移載装置による移載パターンの概念を示す模式図であり、上述したように持ち替え動作を実行する場合、すなわち、奥側の格納位置に荷物を格納する際、又は、荷物が格納されている奥側の格納位置の手前側の格納位置に荷物を格納する際の移載パターンを概念的に示すものである。
図9(A)および
図9(B)は、移載装置による第1移載動作を説明するための図であり、
図9(C)は、移載装置による第2移載動作の後、光電センサと荷物の後端縁との間でチャタリングが生じている状態を説明するための図であり、
図9(D)は、チャタリングが生じた場合に実行される第3移載動作を説明するための図であり、
図9(E)は、チャタリングが生じた場合の第3移載動作に続いて実行される第4移載動作を説明するための図であり、
図9(F)は、移載装置による第5移載動作を説明するための図である。なお、
図9では、説明の簡略化のために、ミドルアーム36の図示を省略している。
【0053】
まず、
図9(A)に示すように、移載装置12が、荷おろし先に到着すると、
図9(B)に示すように、第1移載動作として、トップアーム38を図示しないミドルアーム36と共にラック2の側に前進させる。
このとき、本実施形態では、上述した、たとえば
図7(A)に示すようなトップアーム38の前進量(そのトップアーム38の後端の位置を二点鎖線Paで示す)に対して、符号D1の分(D1は、約20mm~50mmであり、
図9(B)では、前進量D1の概念を示し、その大きさは図示のものとは限らない)、トップアーム38をさらに前進させる。このさらに前進させたトップアーム38の後端の位置を二点鎖線Pbで示す。
【0054】
ここで、荷物の持ち替え時の「トップアーム38の前進量」について、従来技術との違いを説明する。
まず、従来技術では、トップアーム38の前進量(
図7(A)参照)は、トップアーム38を
図7(B)の位置(中央フック48への持ち替え位置であり、
図7(B)に示す例では「原点位置」である)に戻したときに、その原点位置にある中央フック48と、押し出された荷物A1の後端縁との間に、フックと荷物が干渉しないような余裕値(隙間)が生じるように設定される(
図7(B)参照)。なお、「原点位置」とは、トップアーム38が原点(トップアーム38の伸び量=0である基準点)に位置しているときの中央フック48の位置である。
これに対し、本実施形態では、そのような従来のトップアーム38の前進量(
図7(A)参照)に対して、上述したように約20mm~50mmの前進量D1を加え、その分、トップアーム38を余分に伸ばすようにしている(
図9(B)参照)。
【0055】
このような前進量D1は、本実施形態では、後述する第3移載動作の後退動作許容量D2(
図9(D)参照)に相当し、第3移載動作を行わせる必要が生じたときに、トップアーム38の後退量D2を確保する余地を残すようにするためのものである。ここで、
図9(B)に示す例では、前進量Dは、荷物全体がラック2上に載る位置まで移動するよう設定されている。
【0056】
次に、
図9(C)に示すように、第2移載動作として、中央フック48への持ち替えを行わせるためにトップアーム38を後退させたとき、中央フック48用の光電センサ58による検出信号が、チャタリング現象(たとえばレーザ光の受光強度が上下動し、荷物A、Bの検出のONとOFFが細かく繰り返されるような現象)を起こしているとする。
【0057】
このようなチャタリング現象が生じた場合、本実施形態では、
図9(D)に示すように、第3移載動作として、トップアーム38をさらに所定量(D2より小さい値)後退させた後に、再度、光電センサ58による荷物の検出動作を実行させ、荷物A、Bの検出の有無を判断するようにしている。
そして、再度、荷物が検出された場合は、さらにトップアーム38を所定量(D2より小さい値)後退させ、最終的に、光電センサ58により荷物が検出されなくなるまで、トップアーム38の所定量の後退動作を繰り返すようにしている。この繰り返しは、当然、1回で済む場合もある。
【0058】
ここで、上述した
図6乃至
図8に示す実施形態およびそれらの変形例におけるトップアーム38の基本的な後退量(たとえば、
図7(B))は、持ち替え動作時に中央フック48を突出位置にしたときに、荷物A、Bと干渉せず、かつ、荷物と係合可能な理想値(たとえば、中央フック48を突出位置としたとき、荷物の後端縁と中央フック48の当接面とがほぼ同位置となるような理想値)を前提として設定される。
図9(D)には、このような前提での中央フック48の基準位置の例を二点鎖線Pcで示す。
【0059】
ここで、
図9(D)に示す後退許容量D2の値は、自動倉庫1の設計時などに予め設定された、中央フック48を後退させたとき、荷物との干渉の可能性がほぼ0%となると考えられるような値である。
図9(D)には、中央フック48の最大後退位置を二点鎖線Pdで示す。ここで、D2は、約20mm~50mmであり、
図9(D)では、後退量D2の概念を示し、その大きさは図示のものとは限らない。
【0060】
なお、上述した第3移載動作の変形例として、図示しないが、光電センサ58により荷物A、Bが検出された場合、光電センサ58による荷物の検出動作を実行させながらトップアーム38を後退させ、光電センサ58により荷物A、Bが検出されなくなったときにトップアーム38および図示しないミドルアーム36の後退を停止させるようにしてもよい。
【0061】
次に、
図9(E)に示すように、第4移載動作として、荷物A、Bとの干渉が回避できる相対位置となっている中央フック48を突出位置とし、次に、
図9(F)に示すように、第5移載動作として、トップアーム38を前進させて、中央フック48により、荷物A、Bを所定の格納位置に移載する。
【0062】
次に、本発明の実施形態による自動倉庫の作用効果を説明する。
まず、本実施形態および変形例による自動倉庫1は、奥行き方向に複数個の荷物を格納可能なラック2と、このラック2に沿って走行し荷物A、Bをラック2に移載する移載装置12を有する入出庫台車4と、移載装置12を制御するコントローラ50と、を備え、移載装置12は、ラック2に対して前進後退するアーム(特に、トップアーム38)と、トップアーム38の前端部に設けられた前端フック46と、トップアーム38の後端部に設けられた後端フック46と、アームの中間位置に少なくとも1つ設けられた中間フック48と、中間フック48が設けられた位置に配置された光電センサ(中間位置荷物検出センサ)58と、を備え、コントローラ50は、奥側の格納位置に荷物(たとえば、
図7のA2)を格納する際、又は、荷物が格納されている奥側の格納位置(たとえば、
図7のA2の位置)の手前側の格納位置に荷物(たとえば、
図7のA1)を格納する際に、第1移載動作として、後端フック46で荷物(A1)を所定距離(D1)押し出した後に、第2移載動作としてトップアーム38を後退させ、光電センサ58により荷物(A1)が検出されなかった場合は、中間フック48を突出状態とし、トップアーム38を前進させて荷物を格納し、第1移載動作として、後端フック46で荷物(A1)を所定距離(D1)押し出した後に、第2移載動作としてトップアーム38を後退させ、光電センサ58により荷物(A1)が検出された場合は、第3移載動作としてトップアーム38をさらに後退させてから、第4移載動作として中間フックを格納状態とし、第5移載動作としてトップアーム38を前進させて荷物を格納する。
このように構成された本実施形態によれば、光電センサ(中間位置荷物検出センサ)58で荷物(A1)を検出した場合に、トップアーム38をさらに戻すことで、荷物(A1)と中間フック48の衝突を確実に防止することができる。さらに、光電センサ58による荷物(A1)の検出が、チャタリングのような誤検出を含む場合であっても、トップアーム38をさらに後退させるので、荷物(A1)と中間フック48との衝突を確実に防止することができる。したがって、センサ58によるチャタリング現象が生じても、荷物とフックの衝突を確実に防止しつつ、複数の荷物をラックの奥行き方向に効率的に格納することができる。
【0063】
また、本実施形態では、コントローラ50は、光電センサ(中間位置荷物検出センサ)58により荷物(A1)が検出された場合、トップアーム38を所定量(D2より小さい値)後退させた後に、再度、同じ光電センサ58による荷物(A1)の検出動作を実行させ、荷物(A1)が検出された場合はさらにトップアーム38を所定量(D2より小さい値)後退させるよう構成されている。
このように構成された本実施形態によれば、荷物A、Bとフック46、48が衝突しない位置まで、確実にトップアーム38を後退させることができる。また、トップアーム38の後退時には光電センサ58による荷物の検出は行わないので、比較的早い速度でトップアーム38およびミドルアーム36を後退させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、コントローラ50は、光電センサ(中間位置荷物検出センサ)58により荷物(A1)が検出された場合、その光電センサ58による荷物(A1)の検出動作を実行させながらトップアーム38を後退させ、その光電センサ58により荷物(A1)が検出されなくなったときにトップアーム38の後退を停止させるよう構成されている。
このように構成された本実施形態によれば、トップアーム38(およびミドルアーム36)の後退量を最小にすることができる。
【符号の説明】
【0065】
A1、A2 大荷物
B1、B2 小荷物
D1 持ち替え動作時のトップアームの前進量
D2 持ち替え動作時のトップアームの最大後退量
Pa 持ち替え動作時のトップアームの基本前進位置
Pb 持ち替え動作時のトップアームの前進位置
Pc 持ち替え動作時の中央フックの基本後退位置
Pd 持ち替え動作時の中央フックの最大後退位置
L 光電センサのレーザ光
1 自動倉庫
2 ラック
4 入出庫台車
6 棚
8 棚段
10 走行路
12 移載装置
14、16 ステーション
22 コントローラ
32 サイドアーム
34 ベースアーム
36 ミドルアーム
38 トップアーム
46 端部フック
48 中央フック
50 コントローラ
58 光電センサ(荷後端検出センサ)