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特開2024-103215計画作成装置、計画作成方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103215
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】計画作成装置、計画作成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240725BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007428
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】岡 航平
(72)【発明者】
【氏名】黒川 哲明
(72)【発明者】
【氏名】稲富 峰憲
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内においてオーダーの処理順序を定めるための計画を作成する際に、実用に耐えうる精度を維持しつつ、高速で最良解のグループ分けを行える仕組みを提供する。
【解決手段】複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内においてオーダーの処理順序を定める際に用いる評価項目情報を設定する評価項目情報設定部120と、複数のオーダーと、グループを区分するための指標となるカッティングポイントとを1ラインに並べて、評価項目情報に基づく評価値を算出し、当該評価値を用いて複数のオーダー及びカッティングポイントが並ぶ最良解の1ラインを算出する最良解算出部130と、最良解算出部130で算出された最良解の1ラインにおいて、カッティングポイントで区分された1つ以上のオーダーを1つのグループとして設定するグループ設定部140を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内において前記オーダーの処理順序を定めるための計画を作成する計画作成装置であって、
前記複数のオーダーを取得するオーダー取得部と、
前記複数のオーダーを前記複数のグループに分けるとともに当該グループ内において前記オーダーの処理順序を定める際に用いる評価項目情報を設定する評価項目情報設定部と、
前記複数のオーダーと、前記グループを区分するための指標となるカッティングポイントとを1ラインに並べて、前記評価項目情報に基づく評価値を算出し、前記評価値を用いて前記複数のオーダーおよび前記カッティングポイントが並ぶ最良解の前記1ラインを算出する最良解算出部と、
前記最良解算出部で算出された前記最良解の1ラインにおいて、前記カッティングポイントで区分された1つ以上の前記オーダーを1つの前記グループとして設定するグループ設定部と、
を有することを特徴とする計画作成装置。
【請求項2】
前記1ラインには、複数の前記カッティングポイントが並べられていることを特徴とする請求項1に記載の計画作成装置。
【請求項3】
前記グループ設定部は、前記複数のカッティングポイントが連続して並んでいる部分については、前記グループとして設定しないことを特徴とする請求項2に記載の計画作成装置。
【請求項4】
前記グループ設定部は、前記カッティングポイントに基づいて、前記複数のオーダーを任意のグループ数に分けることができることを特徴とする請求項1に記載の計画作成装置。
【請求項5】
前記最良解算出部は、前記1ラインを構成する前記複数のオーダーおよび前記カッティングポイントからなる複数の構成要素の中から第1の構成要素および第2の構成要素を抽出し、前記1ラインにおいて前記第1の構成要素を前記第2の構成要素の隣に挿入又は前記第1の構成要素と前記第2の構成要素を交換して近傍解の前記1ラインを算出し、当該近傍解の1ラインについて前記評価値を算出して、前記最良解の1ラインを算出することを特徴とする請求項1に記載の計画作成装置。
【請求項6】
前記最良解算出部は、前記近傍解の1ラインについての前記評価値を用いた焼きなまし法によって、前記最良解の1ラインを算出することを特徴とする請求項5に記載の計画作成装置。
【請求項7】
前記オーダーは、製品の生産処理の注文情報であり、
前記グループは、前記製品のロットである
ことを特徴とする請求項1に記載の計画作成装置。
【請求項8】
前記オーダーは、物を配送処理する地点の情報であり、
前記グループは、前記物を配送処理する1台の車両である
ことを特徴とする請求項1に記載の計画作成装置。
【請求項9】
複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内において前記オーダーの処理順序を定めるための計画を作成する計画作成装置による計画作成方法であって、
前記計画作成装置が、前記複数のオーダーを取得する取得ステップと、
前記計画作成装置が、前記複数のオーダーを前記複数のグループに分けるとともに当該グループ内において前記オーダーの処理順序を定める際に用いる評価項目情報を設定する第1の設定ステップと、
前記計画作成装置が、前記複数のオーダーと、前記グループを区分するための指標となるカッティングポイントとを1ラインに並べて、前記評価項目情報に基づく評価値を算出し、前記評価値を用いて前記複数のオーダーおよび前記カッティングポイントが並ぶ最良解の前記1ラインを算出する算出ステップと、
前記計画作成装置が、前記算出ステップで算出された前記最良解の1ラインにおいて、前記カッティングポイントで区分された1つ以上の前記オーダーを1つの前記グループとして設定する第2の設定ステップと、
を有することを特徴とする計画作成方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の計画作成装置の各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内においてオーダーの処理順序を定めるための計画を作成する計画作成装置及び計画作成方法、並びに、計画作成装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、複数のオーダーとして複数の製品の注文情報を、複数のグループである複数のロットに分けるための計画を作成することが行われている。例えば、特許文献1には、複数の製品をロットの単位で纏めて処理するための計画を作成する問題を集合分割問題とし、当該集合分割問題を列生成法を用いて解くことにより計画を作成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-107277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、集合分割問題を列生成法を用いて解くことによって計画を作成するため、高精度の解を得ることは可能であるが、計算に時間を要するために高速で解を得ることは困難であるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内においてオーダーの処理順序を定めるための計画を作成する際に、実用に耐えうる精度を維持しつつ、高速で最良解のグループ分けを行える仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の計画作成装置は、複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内において前記オーダーの処理順序を定めるための計画を作成する計画作成装置であって、前記複数のオーダーを取得するオーダー取得部と、前記複数のオーダーを前記複数のグループに分けるとともに当該グループ内において前記オーダーの処理順序を定める際に用いる評価項目情報を設定する評価項目情報設定部と、前記複数のオーダーと、前記グループを区分するための指標となるカッティングポイントとを1ラインに並べて、前記評価項目情報に基づく評価値を算出し、前記評価値を用いて前記複数のオーダーおよび前記カッティングポイントが並ぶ最良解の前記1ラインを算出する最良解算出部と、前記最良解算出部で算出された前記最良解の1ラインにおいて、前記カッティングポイントで区分された1つ以上の前記オーダーを1つの前記グループとして設定するグループ設定部と、を有する。
また、本発明は、上述した計画作成装置による計画作成方法、及び、上述した計画作成装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内においてオーダーの処理順序を定めるための計画を作成する際に、実用に耐えうる精度を維持しつつ、高速で最良解のグループ分けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る計画作成装置を含む計画作成システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る計画作成装置による計画作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3】本発明の第1の実施形態を示し、図1に示す記憶部に記載されたオーダー一覧情報の一例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態を示し、図1に示す記憶部に記載された評価項目情報の一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態を示し、図4に示すオーダー間異鋼種接続ペナルティの一例を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS103で生成される初期解の1ラインの一例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS104における近傍解の1ラインの生成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の第1の実施形態を示し、図7のステップS204における挿入処理を説明するための図である。
図9】本発明の第1の実施形態を示し、図7のステップS205における交換処理を説明するための図である。
図10】本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS105における評価値の算出処理で用いる数式の一例である(1)式を示す図である。
図11】本発明の第1の実施形態を示し、図10に示す(1)式において或る1つのロットの評価値の算出例を示す図である。
図12】本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS106における温度Tの更新処理で用いる数式の一例である(2)式を示す図である。
図13】本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS107における温度Tに従った解の更新処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
図14】本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS109において生成される最良解の1ラインの一例を示す図である。
図15】本発明の第2の実施形態を示し、図2のステップS101で取得された複数のオーダーの一例を示す図である。
図16】本発明の第2の実施形態を示し、図2のステップS103で生成される初期解の1ラインの一例と、図2のステップS109において生成される最良解の1ラインの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る計画作成装置100を含む計画作成システム10の概略構成の一例を示す図である。計画作成システム10は、図1に示すように、計画作成装置100、入力装置210、及び、表示装置220を備える。
【0012】
計画作成装置100は、複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内においてオーダーの処理順序を定めるための計画を作成する装置である。計画作成装置100は、図1に示すように、オーダー取得部110、評価項目情報設定部120、最良解算出部130、グループ設定部140、及び、記憶部150を有する。
【0013】
オーダー取得部110は、例えば入力装置210から入力された複数のオーダーを取得する。そして、オーダー取得部110は、取得した複数のオーダーに係るオーダー一覧情報を記憶部150に記憶する。
【0014】
評価項目情報設定部120は、例えば入力装置210から入力された情報に基づいて、複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内においてオーダーの処理順序を定める際に用いる評価項目情報を設定する。そして、評価項目情報設定部120は、設定した評価項目情報を記憶部150に記憶する。
【0015】
最良解算出部130は、まず、オーダー取得部110で取得された複数のオーダーと、グループを区分するための指標となるカッティングポイントとを1ラインに並べて、評価項目情報設定部120で設定された評価項目情報に基づく評価値を算出する。具体的に、本実施形態では、最良解算出部130は、1ラインを構成する複数のオーダー及びカッティングポイントからなる複数の構成要素の中から第1の構成要素及び第2の構成要素を抽出し、当該1ラインにおいて第1の構成要素を第2の構成要素の隣に挿入又は第1の構成要素と第2の構成要素を交換して近傍解の1ラインを算出し、当該近傍解の1ラインについて評価値を算出する。次いで、最良解算出部130は、算出した評価値を用いて複数のオーダー及びカッティングポイントが並ぶ最良解の1ラインを算出する。具体的に、本実施形態では、最良解算出部130は、近傍解の1ラインについての評価値を用いた焼きなまし法によって、最良解の1ラインを算出する。そして、最良解算出部130は、必要に応じて、算出した最良解の1ラインの情報を記憶部150に記憶する。最良解算出部130は、図1に示すように、初期解生成部131、近傍解生成部132、評価値算出部133、及び、最良解生成処理部134を有する。この最良解算出部130の内部構成部131~134の詳細な説明については、図2に示すフローチャートの説明で後述する。
【0016】
グループ設定部140は、最良解算出部130で算出された最良解の1ラインにおいて、カッティングポイントで区分された1つ以上のオーダーを1つのグループとして設定する。そして、グループ設定部140は、必要に応じて、設定したグループの情報を記憶部150に記憶する。
【0017】
記憶部150は、計画作成装置100の内部構成部110~140の処理に必要な各種の情報(データや画像を含む)や、計画作成装置100の内部構成部110~140としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶している。また、記憶部150は、計画作成装置100の内部構成部110~140での処理の結果得られた各種の情報(データや画像を含む)を記憶する。
【0018】
入力装置210は、例えばユーザからの操作入力に応じて、計画作成装置100に対して各種の情報(データや画像を含む)を入力する。
【0019】
表示装置220は、計画作成装置100の制御に基づいて、各種の情報(データや画像を含む)を表示する。例えば、表示装置220は、最良解算出部130で算出された最良解の1ラインの情報や、グループ設定部140で設定されたグループの情報を表示する。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る計画作成装置100による計画作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、第1の実施形態では、オーダーは、鉄鋼製品の生産処理の注文情報であり、グループは、鉄鋼製品のロット(生産ロット)であり、計画作成装置100は、鉄鋼製品の生産計画を作成する生産計画作成装置である場合を想定した例を説明する。ここで、第1の実施形態において、グループとして適用する鉄鋼製品のロット(生産ロット)は、オーダーをまとめたものであり、まとめられたオーダーを連続して生産処理する単位である。
【0021】
まず、ステップS101において、オーダー取得部110は、例えば入力装置210から入力された複数のオーダーを取得する。そして、オーダー取得部110は、上述したように、取得した複数のオーダーに係るオーダー一覧情報を記憶部150に記憶する。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施形態を示し、図1に示す記憶部150に記載されたオーダー一覧情報300の一例を示す図である。本実施形態において鉄鋼製品の生産処理の注文情報を適用した1つのオーダー301には、オーダーNo.情報310、鋼種情報320、幅max情報330、幅min情報340、希望納期情報350、及び、製造グレード情報360が定められている。ここで、本実施形態において、鋼種情報320は、注文を受けた鉄鋼製品の鉄の成分によって分類された鋼種の情報であり、A~Zまでの26種類があるものとする。幅max情報330は、注文を受けた鉄鋼製品の最大幅を示し、幅min情報340は、注文を受けた鉄鋼製品の最小幅を示している。製造グレード情報360は、注文を受けた鉄鋼製品を加工する際の精度を示す情報である。本実施形態においては、製造グレード情報360は、G1~G9までの9つのグレードがあり、数字が大きいほど加工精度が高いものとする。
【0023】
ここで、図2の説明に戻る。
ステップS101の処理が終了すると、ステップS102に進む。
ステップS102に進むと、評価項目情報設定部120は、例えば入力装置210から入力された情報に基づいて、複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内においてオーダーの処理順序を定める際に用いる評価項目情報を設定する。そして、評価項目情報設定部120は、上述したように、設定した評価項目情報を記憶部150に記憶する。
【0024】
図4は、本発明の第1の実施形態を示し、図1に示す記憶部150に記載された評価項目情報400の一例を示す図である。第1の実施形態では、評価項目情報400は、図4に示すように、オーダー間異鋼種接続ペナルティ410、オーダー間余材ペナルティ420、ロット内過剰グレードペナルティ430、ロット内納期差ペナルティ440、ロット内オーダー数制約違反ペナルティ450、及び、ロット数ペナルティ460の6つの評価項目が定められている。
【0025】
オーダー間異鋼種接続ペナルティ410は、1つのロット内のそれぞれのオーダー間の接続が異鋼種接続か否かに応じてペナルティを与える評価項目である。このオーダー間異鋼種接続ペナルティ410は、オーダー間の接続が異鋼種接続である場合には、当該接続の部分で成分の違う鉄が混ざり合って使えない部分が出るため、できるだけ使えない部分を減らしたいとの目的からペナルティを与えるものである。図5は、本発明の第1の実施形態を示し、図4に示すオーダー間異鋼種接続ペナルティ410の一例を示す図である。この図5に示すオーダー間異鋼種接続ペナルティ410では、例えば、鋼種情報320がBのオーダーとBのオーダーとの同種の接続の場合にはペナルティ値として10を与え、また、鋼種情報320がBのオーダーとCのオーダーとの異種の接続の場合にはペナルティ値として1500を与えることを示している。
【0026】
ここで、図4の説明に戻る。
オーダー間余材ペナルティ420は、1つのロット内のそれぞれのオーダー間の幅差が所定の幅差以上(本実施形態では、100mm以上)ある場合には、余材を挟まなければ連続生産処理が困難であるため、余材を1枚挟むごとにペナルティを与える評価項目である。具体的に、図4に示す例では、オーダー間余材ペナルティ420は、余材を1枚挟むごとにペナルティ値として100を与えることを示している。
【0027】
ロット内過剰グレードペナルティ430は、1つのロット内の最上位グレードのオーダーと最下位グレードのオーダーとのグレード差に応じてペナルティを与える評価項目である。このロット内過剰グレードペナルティ430は、連続的な鉄鋼製品の生産処理中に加工精度を急に変更することはできず、当該ロットの生産処理においては最上位グレードのオーダーに合わせる必要があるため、できるだけ無駄な加工精度の上昇を減らしたいとの目的からペナルティを与えるものである。具体的に、図4に示す例では、ロット内過剰グレードペナルティ430は、例えば、1つのロット内の最上位グレードのオーダーと最下位グレードのオーダーとのグレード差が3である場合には、係数である3を掛けてペナルティ値として9を与えることを示している。
【0028】
ロット内納期差ペナルティ440は、1つのロット内の最早納期のオーダーと最遅納期のオーダーとの納期差に応じてペナルティを与える評価項目である。このロット内納期差ペナルティ440は、納期の離れた鉄鋼製品を1つのロット内で一緒に生産すると、遅い納期の鉄鋼製品が在庫として保管されることになるため、できるだけ無駄な在庫を減らしたいとの目的からペナルティを与えるものである。具体的に、図4に示す例では、ロット内納期差ペナルティ440は、例えば、1つのロット内の最早納期のオーダーと最遅納期のオーダーとの納期差が7日である場合には、係数である5を掛けてペナルティ値として35を与えることを示している。
【0029】
ロット内オーダー数制約違反ペナルティ450は、1つのロット内のオーダー数がオーダー数制約を示す、ロット内最小オーダー数ODmin以上で且つロット内最大オーダー数ODmax以下を違反しているか否かに応じてペナルティを与える評価項目である。このロット内オーダー数制約違反ペナルティ450は、1つのロットにおいて鉄鋼製品を生産処理する上で、オーダー数の上下限が設定されている場合があり、この場合には設定されているオーダー数の上下限を厳守するとの目的からペナルティを与えるものである。具体的に、図4に示す例では、ロット内オーダー数制約違反ペナルティ450は、例えば、ロット内最小オーダー数ODminが4であって且つロット内最大オーダー数ODmaxが7である場合において、対象となるロット内のオーダー数が3である場合には、ペナルティ値として10000を与えることを示している。
【0030】
ロット数ペナルティ460は、ロットの数が1つ増加するごとにペナルティを与える評価項目である。このロット数ペナルティ460は、できるだけロット数を減らしたいとの目的からペナルティを与えるものである。
【0031】
ここで、図2の説明に戻る。
ステップS102の処理が終了すると、ステップS103に進む。
ステップS103に進むと、最良解算出部130の初期解生成部131は、ステップS101で取得された複数のオーダーと、グループを区分するための指標となるカッティングポイントとを1ラインに並べて、初期解の1ラインを生成する。
【0032】
図6は、本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS103で生成される初期解の1ライン600の一例を示す図である。具体的に、図6に示す初期解の1ライン600は、複数のオーダー1~10及び複数のカッティングポイントCP1~CP3の複数の構成要素601~613から構成されている。この図6に示す初期解の1ライン600では、左側に向かうほど処理順序が前であり、右側に向かうほど処理順序が後であるものとする。
【0033】
ここで、図2の説明に戻る。
ステップS103の処理が終了すると、ステップS104に進む。
ステップS104に進むと、最良解算出部130の近傍解生成部132は、ステップS101で取得された複数のオーダーと、グループを区分するための指標となるカッティングポイントとを1ラインに並べた近傍解の1ラインを生成する。このステップS104の詳細な処理手順について図7を用いて説明する。
【0034】
図7は、本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS104における近傍解の1ラインの生成処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0035】
図2のステップS104の処理が開始されると、まず、図7のステップS201において、近傍解生成部132は、複数のオーダーと(複数の)カッティングポイントとが1ラインに並べられて構成された複数の構成要素のうち、重複しない2つの構成要素を取得する。ここでは、重複しない2つの構成要素として、第1の構成要素x1及び第2の構成要素x2を取得するものとする。
【0036】
続いて、ステップS202において、近傍解生成部132は、0~1までの乱数R1を生成する。
【0037】
続いて、ステップS203において、近傍解生成部132は、ステップS202で生成した乱数R1が0.5未満であるか否かを判断する。
【0038】
ステップS203の判断の結果、ステップS202で生成した乱数R1が0.5未満である場合には(S203/YES)、ステップS204に進む。
ステップS204に進むと、近傍解生成部132は、複数のオーダーと(複数の)カッティングポイントとが1ラインに並べられて構成された複数の構成要素のうち、ステップS201で取得された第1の構成要素x1を第2の構成要素x2の前に挿入する。
【0039】
図8は、本発明の第1の実施形態を示し、図7のステップS204における挿入処理を説明するための図である。この図8に示す例では、図8(a)は、図7のステップS204における挿入処理対象の1ラインの一例として、図6に示す初期解の1ライン600を図示している。この図8(a)に示す初期解の1ライン600では、カッティングポイントCP1の構成要素611で区分された複数のオーダー1~10の構成要素601~610から、グループ1であるロット1が構成されている。また、図8(a)に示す初期解の1ライン600では、構成要素611~613からなる複数のカッティングポイントCP1~CP3が連続して並んでいる部分については、グループが設定されない。そして、図8(a)に示す初期解の1ライン600について、ステップS201で取得された第1の構成要素x1が構成要素608(オーダー8)であって第2の構成要素x2が構成要素612(カッティングポイントCP2)である場合、図8(b)に示す近傍解の1ライン710が生成される。具体的に、図8(b)に示す近傍解の1ライン710は、図8(a)に示す1ライン600に対して、第1の構成要素x1である構成要素608(オーダー8)が第2の構成要素x2である構成要素612(カッティングポイントCP2)の前に挿入された挿入近傍の場合を図示している。そして、この図8(b)に示す近傍解の1ライン710では、カッティングポイントCP1の構成要素611で区分された複数のオーダー1~7,9,10の構成要素601~607,608,609からグループ1であるロット1が構成され、また、カッティングポイントCP1及びCP2の構成要素611及び612で区分されたオーダー8の構成要素608からグループ2であるロット2が構成されている。また、図8(b)に示す近傍解の1ライン710では、構成要素612~613からなる複数のカッティングポイントCP2~CP3が連続して並んでいる部分については、グループが設定されない。
【0040】
なお、図7のステップS204における挿入処理では、第1の構成要素x1を第2の構成要素x2の前に挿入する態様を説明したが、本発明においてはこの態様に限定されるものではない。例えば、第1の構成要素x1を第2の構成要素x2の後に挿入する態様も、本発明に含めることができる。即ち、本発明においては、図7のステップS204における挿入処理は、第1の構成要素x1を第2の構成要素x2の隣に挿入する形態であればよい。
【0041】
ここで、図7の説明に戻る。
ステップS203の判断の結果、ステップS202で生成した乱数R1が0.5未満でない(0.5以上である)ある場合には(S203/NO)、ステップS205に進む。
ステップS205に進むと、近傍解生成部132は、複数のオーダーと(複数の)カッティングポイントとが1ラインに並べられて構成された複数の構成要素のうち、ステップS201で取得された第1の構成要素x1と第2の構成要素x2とを交換する。
【0042】
図9は、本発明の第1の実施形態を示し、図7のステップS205における交換処理を説明するための図である。この図9に示す例では、図9(a)は、図7のステップS205における交換処理対象の1ラインの一例として、図8(a)と同様に、図6に示す初期解の1ライン600を図示している。そして、図9(a)に示す初期解の1ライン600について、ステップS201で取得された第1の構成要素x1が構成要素611(カッティングポイントCP1)であって第2の構成要素x2が構成要素605(オーダー5)である場合、図9(b)に示す近傍解の1ライン720が生成される。具体的に、図9(b)に示す近傍解の1ライン720は、図9(a)に示す1ライン600に対して、第1の構成要素x1である構成要素611(カッティングポイントCP1)と第2の構成要素x2である構成要素605(オーダー5)とを交換した交換近傍の場合を図示している。そして、この図9(b)に示す近傍解の1ライン720では、カッティングポイントCP1の構成要素611で区分された複数のオーダー1~4の構成要素601~604からグループ1であるロット1が構成され、また、カッティングポイントCP1及びCP2の構成要素611及び612で区分された複数のオーダー6~10,5の構成要素606~610,605からグループ2であるロット2が構成されている。また、図9(b)に示す近傍解の1ライン720では、構成要素612~613からなる複数のカッティングポイントCP2~CP3が連続して並んでいる部分については、グループが設定されない。
【0043】
ここで、図7の説明に戻る。
図7のステップS204の処理が終了した場合、或いは、図7のステップS205の処理が終了した場合には、図7に示すフローチャートの処理が終了し、その結果、図2のステップS104の処理が終了する。
【0044】
ここで、図2の説明に戻る。
図2のステップS104の処理が終了すると、ステップS105に進む。
ステップS105に進むと、最良解算出部130の評価値算出部133は、ステップS104で生成された近傍解の1ラインについて評価値を算出する。
【0045】
図10は、本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS105における評価値の算出処理で用いる数式の一例である(1)式を示す図である。本実施形態では、図2のステップS105における評価値evalは、図10の(1)式を用いて算出される。また、図10に示す(1)式の各記号の定義は、(1)式の下方の点線枠内に記載している。図10に示す(1)式において、オーダー間異鋼種接続ペナルティ値1011は、或る1つのロットlについて、各オーダー間の接続が異鋼種接続か否かに応じた図5に示すオーダー間異鋼種接続ペナルティ410の値の合計値である。また、図10に示す(1)式において、オーダー間余材ペナルティ値1012は、或る1つのロットlについて、n番目のオーダーの後方幅とn+1番目のオーダーの前方幅の幅差が100mm以上である場合に挿入される余材の枚数に応じた図4に示すオーダー間余材ペナルティ420の値の合計値である。そして、図10に示す(1)式において、合算値1010は、或る1つのロットlについて、オーダー間異鋼種接続ペナルティ値1011とオーダー間余材ペナルティ値1012とを合算した値である。図10に示す(1)式において、ロット内過剰グレードペナルティ値1020は、或る1つのロットlについて、最上位グレードのオーダーと最下位グレードのオーダーとのグレード差に応じた図4に示すロット内過剰グレードペナルティ430に基づく値である。図10に示す(1)式において、ロット内納期差ペナルティ値1030は、或る1つのロットlについて、最早納期のオーダーと最遅納期のオーダーとの納期差に応じた図4に示すロット内納期差ペナルティ440に基づく値である。図10に示す(1)式において、ロット内オーダー数制約違反ペナルティ値1040は、或る1つのロットlについて、図4に示すロット内オーダー数制約違反ペナルティ450に基づく値である。図10に示す(1)式において、ロット数ペナルティ値1050は、或る1つのロットlについて、図4に示すロット数ペナルティ460に基づく値である。図10に示す(1)式において、或る1つのロットlの評価値1000は、当該或る1つの合算値1010、ロット内過剰グレードペナルティ値1020、ロット内納期差ペナルティ値1030、ロット内オーダー数制約違反ペナルティ値1040、及びロット数ペナルティ値1050の合計値である。そして、図10に示す(1)式では、ロット数Lに係る全てのロットの評価値1000を合算して、図2のステップS105における評価値evalを算出する。なお、評価値evalは、各ペナルティ値の合算であるため、値が小さい方が値が大きいものよりも良好である。
【0046】
図11は、本発明の第1の実施形態を示し、図10に示す(1)式において或る1つのロットlの評価値1000の算出例を示す図である。図11(a)には、或る1つのロットlが、図3に示すオーダーNo.情報310が「1」に相当するオーダー1(構成要素601)、図3に示すオーダーNo.情報310が「2」に相当するオーダー2(構成要素602)、及び、図3に示すオーダーNo.情報310が「3」に相当するオーダー3(構成要素603)の3つのオーダーで構成されている例を示している。ここで、図11(a)に示す例では、オーダー1(構成要素601)は、前方幅が幅minであって後方幅が幅maxとなっているが、本実施形態においては、前後を反転して配置することも可能である。また、オーダー2(構成要素602)及びオーダー3(構成要素603)も同様に、前後を反転して配置することも可能である。図11(b)には、図11(a)に示す或る1つのロットlにおける評価値1000の算出例を示している。図11(b)に示すオーダー間異鋼種接続ペナルティ値1011は、図5から、オーダー1(構成要素601)とオーダー2(構成要素602)の間が10となり、オーダー2(構成要素602)とオーダー3(構成要素603)の間が1500となるため、1510となる。図11(b)に示すオーダー間余材ペナルティ値1012は、オーダー1(構成要素601)の後方端とオーダー2(構成要素602)の前方端との幅差が49mmで100mm未満であるために0となり、また、オーダー2(構成要素602)の後方端とオーダー3(構成要素603)の前方端との幅差が108mmで100mm以上であるために100となる結果、100となる。図11(a)に示す例では、オーダー2(構成要素602)の後方端とオーダー3(構成要素603)の前方端との幅差が108mmで100mm以上となるため、図11(c)に示すようにオーダー2(構成要素602)とオーダー3(構成要素603)との間に余材1101を1枚挿入して幅差を低減した生産を行うことを想定した形態を採る。なお、オーダー間で幅差が200mm以上となる場合には、余材1101を2枚挿入する必要があることから、この場合にはオーダー間余材ペナルティ値1012が200となる。図11(b)に示すロット内過剰グレードペナルティ値1020は、図11(a)に示す或る1つのロットlについて、最上位グレードのオーダー2(構成要素602)と最下位グレードのオーダー1(構成要素601)とのグレード差が3であり、図4に示すロット内過剰グレードペナルティ430が1過剰グレード当たり3であるため、9となる。図11(b)に示すロット内納期差ペナルティ値1030は、図11(a)に示す或る1つのロットlについて、最早納期のオーダー2(構成要素602)と最遅納期のオーダー3(構成要素603)との納期差が7日であり、図4に示すロット内納期差ペナルティ440が納期差1日当たり5であるため、35となる。図11(b)に示すロット内オーダー数制約違反ペナルティ値1040は、図11(a)に示す或る1つのロットlにおけるオーダー数が3であるため、例えばロット内最小オーダー数ODminが4(且つロット内最大オーダー数ODmaxが7)である場合には、図4に示すロット内オーダー数制約違反ペナルティ450から、10000となる。図11(b)に示すロット数ペナルティ値1050は、図11(a)に示す或る1つのロットlについて、図4に示すロット数ペナルティ460から、4000となる。以上のことから、図11(a)に示す或る1つのロットlの評価値1000は、1510+100+9+35+10000+4000=15654となる。
【0047】
ここで、図2の説明に戻る。
図2のステップS105の処理が終了すると、ステップS106に進む。
ステップS106に進むと、最良解算出部130の最良解生成処理部134は、最良解の1ラインを算出する際に用いる焼きなまし法における温度Tの更新を行う。
【0048】
図12は、本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS106における温度Tの更新処理で用いる数式の一例である(2)式を示す図である。また、図12に示す(2)式の各記号の定義は、(2)式の下方の点線枠内に記載している。図12の点線枠内に記載しているように、最良解の1ラインを算出する際に用いる焼きなまし法における温度Tは、徐々に値が小さくなっていくように更新される。
【0049】
ここで、図2の説明に戻る。
図2のステップS106の処理が終了すると、ステップS107に進む。
ステップS107に進むと、最良解算出部130の最良解生成処理部134は、ステップS107で更新された温度Tに従って解の更新を行う。このステップS107の詳細な処理手順について図13を用いて説明する。
【0050】
図13は、本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS107における温度Tに従った解の更新処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。また、図13に示すフローチャートの各処理で登場する記号の定義は、フローチャートの下方の点線枠内に記載している。
【0051】
図2のステップS107の処理が開始されると、まず、図13のステップS301において、最良解生成処理部134は、解Siの近傍解Si 'の1ラインについての評価値Ei 'が解Siの1ラインについての評価値Ei未満であるか否かを判断する。なお、ここでの評価値Ei '及びEiは、評価値算出部133で算出される評価値evalに基づくものである。
【0052】
ステップS301の判断の結果、評価値Ei 'が評価値Ei未満でない(評価値Ei以上である)場合には(S301/NO)、ステップS302に進む。
ステップS302に進むと、最良解生成処理部134は、0~1までの乱数R2を生成する。
【0053】
続いて、ステップS303において、最良解生成処理部134は、図13の点線枠内に記載する解の更新確率が、乱数R2以上であるか否かを判断する。
【0054】
ステップS303の判断の結果、解の更新確率が乱数R2以上である場合には(S303/YES)、ステップS304に進む。また、ステップS301の判断の結果、評価値Ei 'が評価値Ei未満である場合にも(S301/YES)、ステップS304に進む。
ステップS304に進むと、最良解生成処理部134は、ステップS104~ステップS108までのi+1番目のループでの解Si+1として、解Siの近傍解Si 'を設定する。
【0055】
一方、ステップS303の判断の結果、解の更新確率が乱数R2以上でない(乱数R2未満である)場合には(S303/NO)、ステップS305に進む。
ステップS305に進むと、最良解生成処理部134は、ステップS104~ステップS108までのi+1番目のループでの解Si+1として、解Siを設定する。
【0056】
ステップS304の処理が終了した場合、或いは、ステップS305の処理が終了した場合には、図13に示すフローチャートの処理が終了し、その結果、図2のステップS107の処理が終了する。
【0057】
ここで、図2の説明に戻る。
図2のステップS107の処理が終了すると、ステップS108に進む。
ステップS108に進むと、最良解算出部130の最良解生成処理部134は、ステップS106で更新された温度Tが、予め定められている終了温度Tendよりも高いか否かを判断する。
【0058】
ステップS108の判断の結果、ステップS106で更新された温度Tが終了温度Tendよりも高い場合には(S108/YES)、ステップS104に戻り、ステップS104以降の処理を再度行う。
【0059】
一方、ステップS108の判断の結果、ステップS106で更新された温度Tが終了温度Tendよりも高くない場合には(S108/NO)、ステップS109に進む。
ステップS109に進むと、最良解算出部130の最良解生成処理部134は、ステップS107において現在設定されている解に基づいて、複数のオーダー及びカッティングポイントが並ぶ最良解の1ラインを算出して生成する。
【0060】
図14は、本発明の第1の実施形態を示し、図2のステップS109において生成される最良解の1ライン1400の一例を示す図である。この図14に示す例では、複数のオーダーとしてオーダー1~100までのオーダー数が100の場合を示している。また、図14に示す最良解の1ライン1400は、ロット内オーダー数制約違反ペナルティ450においてロット内最小オーダー数ODminを4に設定し且つロット内最大オーダー数ODmaxを7に設定した場合の例を示している。
【0061】
ここで、図2の説明に戻る。
図2のステップS109の処理が終了すると、ステップS110に進む。
ステップS110に進むと、グループ設定部140は、ステップS109で生成された最良解の1ラインにおいて、カッティングポイントで区分された1つ以上のオーダーを1つのグループとして設定する。ここで、図14を用いて、グループ設定部140によるグループの設定処理例について説明する。グループ設定部140は、図14に示す最良解の1ライン1400については、まず、カッティングポイントCP1で区分された複数のオーダー31~50をグループ1であるロット1として設定する。また、グループ設定部140は、図14に示す最良解の1ライン1400については、カッティングポイントCP1及びCP2で区分された複数のオーダー15~88をグループ2であるロット2として設定する。さらに、グループ設定部140は、図14に示す最良解の1ライン1400については、カッティングポイントCP2及びCP3で区分された複数のオーダー10~40をグループ3であるロット3として設定する。以降、グループ設定部140は、カッティングポイントごとに、当該カッティングポイントで区分されたオーダーを1つのグループである1つのロットとして設定する。
【0062】
ここで、図2の説明に戻る。
図2のステップS110の処理が終了すると、ステップS111に進む。
ステップS111に進むと、計画作成装置100は、例えば、ステップS109で生成された最良解の1ラインの情報やステップS110で設定されたグループの情報を、表示装置220に表示する。これにより、ユーザは、表示装置220に表示された情報を視認することで、最適なオーダーのグループであるロットを把握することができるとともに、ロットごとに最適なオーダーの処理順序を把握することができる。
【0063】
ステップS111の処理が終了すると、図2に示すフローチャートの処理が終了する。
【0064】
<評価結果>
本発明者は、[1]従来の手法である列挙法、[2]特許文献1に記載の従来の手法である列生成法、[3]カッティングポイントを用いてグループ化を行った、本発明の手法の3つの解法を用いて、オーダー数が30の場合とオーダー数が100の場合について評価を行った。
【0065】
≪オーダー数が30の場合≫
オーダー数が30の場合の評価結果を以下に記載する。
[1]列挙法(従来の手法)
計算時間:17300.00秒
[2]列生成法(従来の手法)
[1]列挙法との差:0.000%,計算時間:274.67秒
[3]本発明の手法
[1]列挙法との差:0.065%,計算時間:0.67秒
列挙法(従来の手法)は、厳密解が求まることが証明されているが、列挙法との差から、本発明の手法においても、実用に耐えうる精度を維持できることが分かった。
また、計算時間については、本発明の手法は、列挙法(従来の手法)及び列生成法(従来の手法)よりも高速で最良解のグループ分けを行えることが分かった。
【0066】
≪オーダー数が100の場合≫
オーダー数が100の場合の評価結果を以下に記載する。
[1]列挙法(従来の手法)
メモリ容量(32.0GB)を超え求解不可
[2]列生成法(従来の手法)
計算時間:617515.53秒(約18時間)
[3]本発明の手法
[2]列生成法との差:0.333%,計算時間:2.00秒
列生成法との差から、本発明の手法においても、実用に耐えうる精度を維持できることが分かった。
また、計算時間については、列生成法(従来の手法)が約18時間もかかることから実用的でないのに対して、本発明の手法は、わずか2.00秒であることから実用に適していることが分かった。
【0067】
以上説明したように、第1の実施形態に係る計画作成装置100では、オーダー取得部110は、複数のオーダーを取得し、評価項目情報設定部120は、複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内において前記オーダーの処理順序を定める際に用いる評価項目情報を設定する。また、最良解算出部130は、複数のオーダーと、グループを区分するための指標となるカッティングポイントとを1ラインに並べて、評価項目情報設定部120で設定された評価項目情報に基づく評価値を算出し、当該評価値を用いて複数のオーダー及びカッティングポイントが並ぶ最良解の1ラインを算出する。そして、グループ設定部140は、最良解算出部130で算出された最良解の1ラインにおいて、カッティングポイントで区分された1つ以上のオーダーを1つのグループとして設定する。
かかる構成によれば、複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内においてオーダーの処理順序を定めるための計画を作成する際に、実用に耐えうる精度を維持しつつ、高速で最良解のグループ分けを行うことができる。また、グループ設定部140は、カッティングポイントに基づいて、複数のオーダーを任意のグループ数に分けることができる。
【0068】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下に記載する第2の実施形態の説明では、上述した第1の実施形態と共通する事項については説明を省略し、上述した第1の実施形態と異なる事項について説明を行う。
【0069】
第2の実施形態に係る計画作成装置を含む計画作成システムの概略構成は、図1に示す第1の実施形態に係る計画作成装置100を含む計画作成システム10の概略構成と同様である。
【0070】
上述した第1の実施形態では、オーダーは、鉄鋼製品の生産処理の注文情報であり、グループは、鉄鋼製品のロット(生産ロット)であり、計画作成装置100は、鉄鋼製品の生産計画を作成する生産計画作成装置である場合を想定した形態であった。これに対して、第2の実施形態では、オーダーは、物を配送処理する地点の情報であり、グループは、物を配送処理する1台の車両であり、計画作成装置100は、物を流通させるための物流計画を作成する物流計画作成装置である場合を想定した形態である。
【0071】
また、第2の実施形態に係る計画作成装置100による計画作成方法の処理手順は、図2に示す第1の実施形態に係る計画作成装置100による計画作成方法の処理手順の一例を示すフローチャートと同様である。
【0072】
第2の実施形態では、図2のステップS101において、オーダー取得部110は、例えば入力装置210から入力された複数のオーダーを取得する。
【0073】
図15は、本発明の第2の実施形態を示し、図2のステップS101で取得された複数のオーダーの一例を示す図である。第2の実施形態では、図15に示すように、図2のステップS101では、本拠地1500にある物を配送処理する地点の情報である複数のオーダー1~13(構成要素1501~1513)を取得する。
【0074】
ここで、図2の説明に戻る。
図2のステップS101の処理が終了すると、ステップS102に進む。
第2の実施形態では、ステップS102に進むと、評価項目情報設定部120は、例えば入力装置210から入力された情報に基づいて、複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内において前記オーダーの処理順序を定める際に用いる評価項目情報を設定する。具体的に、第2の実施形態では、物を配送処理する地点の情報であるオーダー間の距離の大きさに応じたオーダー間距離ペナルティの情報を評価項目情報として設定する。この際、オーダー間の距離が大きいほど、評価項目であるオーダー間距離ペナルティの値は大きくなる。なお、第2の実施形態では、評価項目としてオーダー間距離ペナルティを設定する例を説明したが、他の評価項目を追加して設定することも可能である。
【0075】
第2の実施形態では、続いて、図2のステップS103において、最良解算出部130の初期解生成部131は、ステップS101で取得された複数のオーダーと、グループを区分するための指標となるカッティングポイントとを1ラインに並べて、初期解の1ラインを生成する。
【0076】
図16は、本発明の第2の実施形態を示し、図2のステップS103で生成される初期解の1ライン1600の一例と、図2のステップS109において生成される最良解の1ライン1610の一例を示す図である。この図16において、図15に示す構成要素と同様の構成要素については同じ符号を付している。
【0077】
第2の実施形態では、図2のステップS103において、例えば図16(a)に示す初期解の1ライン1600を生成する。具体的に、図16(a)に示す初期解の1ライン1600は、複数のオーダー1~13及び複数のカッティングポイントCP1~CP3の複数の構成要素1501~1516から構成されている。この図16(a)に示す初期解の1ライン1600では、左側に向かうほど処理順序が前であり、右側に向かうほど処理順序が後であるものとする。
【0078】
ここで、図2の説明に戻る。
第2の実施形態では、図2のステップS103の処理が終了すると、その後、ステップS104~ステップS109において、最良解算出部130は、複数のオーダー及びカッティングポイントが並ぶ最良解の1ラインを算出して生成する。第2の実施形態では、図2のステップS109において、例えば図16(b)に示す最良解の1ライン1610を生成する。
【0079】
第2の実施形態では、続いて、図2のステップS110において、グループ設定部140は、ステップS109で生成された最良解の1ラインにおいて、カッティングポイントで区分された1つ以上のオーダーを1つのグループとして設定する。ここで、図16(b)を用いて、グループ設定部140によるグループの設定処理例について説明する。グループ設定部140は、図16(b)に示す最良解の1ライン1610については、まず、カッティングポイントCP1(構成要素1514)で区分された複数のオーダー3~4(構成要素1503~1504)をグループ1である車両1として設定する。また、グループ設定部140は、図16(b)に示す最良解の1ライン1610については、カッティングポイントCP1(構成要素1514)及びCP2(構成要素1515)で区分された複数のオーダー1~7(構成要素1501~1507)をグループ2である車両2として設定する。さらに、グループ設定部140は、図16(b)に示す最良解の1ライン1610については、カッティングポイントCP2(構成要素1515)及びCP3(構成要素1516)で区分された複数のオーダー5~9(構成要素1505~1509)をグループ3である車両3として設定する。図15には、図16(b)に示す最良解の1ライン1610についてグループ化したグループ1(車両1)、グループ2(車両2)及びグループ3(車両3)を図示している。
【0080】
ここで、図2の説明に戻る。
第2の実施形態では、図2のステップS110の処理が終了すると、その後、計画作成装置100は、例えば、ステップS109で生成された最良解の1ラインの情報やステップS110で設定されたグループの情報を、表示装置220に表示する。これにより、ユーザは、表示装置220に表示された情報を視認することで、最適なオーダーのグループである1台の車両を把握することができるとともに、車両ごとに最適なオーダーの処理順序を把握することができる。
【0081】
第2の実施形態では、図2のステップS111の処理が終了すると、図2に示すフローチャートの処理が終了する。
【0082】
第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様に、複数のオーダーを複数のグループに分けるとともに当該グループ内においてオーダーの処理順序を定めるための計画を作成する際に、実用に耐えうる精度を維持しつつ、高速で最良解のグループ分けを行うことができる。また、グループ設定部140は、カッティングポイントに基づいて、複数のオーダーを任意のグループ数に分けることができる。
【0083】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本発明に含まれる。
【0084】
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0085】
10:計画作成システム、100:計画作成装置、110:オーダー取得部、120:評価項目情報設定部、130:最良解算出部、131:初期解生成部、132:近傍解生成部、133:評価値算出部、134:最良解生成処理部、140:グループ設定部、150:記憶部、210:入力装置、220:表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16