(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103229
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】紡機の繊維束集束装置
(51)【国際特許分類】
D01H 5/72 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
D01H5/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007446
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】河合 基宏
(72)【発明者】
【氏名】林 久秋
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056BC02
4L056BC46
4L056CA11
4L056CA16
4L056DA01
4L056FB08
(57)【要約】
【課題】糸の品質の低下を抑制しつつ、吸引孔及び吸引スリットの詰まりを抑制できる紡機の繊維束集束装置を提供する。
【解決手段】繊維束集束装置は、繊維束の移動方向Xにおいてドラフト装置の下流側に設けられた吸引パイプ13と、吸引パイプ13に取り付けられ、通気エプロンの移動を案内する案内部材16とを備えている。吸引パイプ13は、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対して傾斜するように延びる吸引孔35を有している。案内部材16は、吸引孔35と重なるように延びる吸引スリット64を有している。吸引孔35の上流側端点350を通るとともに吸引パイプ13の延在方向と直交する直線Lと孔縁部50との交点Qを境界として、繊維束の移動方向Xにおける交点Qよりも上流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差80の幅W80a,W80bは、交点Qよりも下流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差の幅よりも大きい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維束の移動方向においてドラフト装置の下流側に設けられた吸引パイプと、
前記吸引パイプに巻き掛けられる通気エプロンの巻き掛け位置に対応して前記吸引パイプに取り付けられ、前記通気エプロンの移動を案内する案内部材と、
を備え、
前記吸引パイプは、前記吸引パイプの延在方向と直交する方向に対して傾斜するように延びる吸引孔を有し、
前記案内部材は、前記吸引孔と重なるように延びる吸引スリットを有する紡機の繊維束集束装置であって、
前記吸引孔の上流側端点を通るとともに前記吸引パイプの延在方向と直交する直線と前記吸引孔の縁部である孔縁部との交点を境界として、
前記繊維束の移動方向における前記交点よりも上流側での前記孔縁部と前記吸引スリットの縁部であるスリット縁部との段差の幅は、前記交点よりも下流側での前記孔縁部と前記スリット縁部との段差の幅よりも大きいことを特徴とする紡機の繊維束集束装置。
【請求項2】
前記繊維束の移動方向における前記交点よりも下流側での前記孔縁部と前記スリット縁部との段差の幅はゼロである請求項1に記載の紡機の繊維束集束装置。
【請求項3】
前記孔縁部は、前記直線と交差する第1孔縁部と、前記第1孔縁部とは反対側に位置する第2孔縁部とを含み、
前記繊維束の移動方向における前記交点よりも上流側での前記第1孔縁部と前記スリット縁部の段差の幅は、前記繊維束の移動方向における前記交点よりも上流側での前記第2孔縁部と前記スリット縁部との段差の幅よりも小さい請求項1又は請求項2に記載の紡機の繊維束集束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡機の繊維束集束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紡機の繊維集束装置は、ドラフト装置によってドラフトされた繊維束を集束する。紡機の繊維束集束装置は、吸引パイプと、通気エプロンと、案内部材とを備えている。吸引パイプは、繊維束の移動方向においてドラフト装置の下流側に設けられている。吸引パイプは、吸引パイプの延在方向と直交する方向に対して傾斜するように延びる吸引孔を有している。通気エプロンは、吸引パイプに巻き掛けられている。通気エプロンは、繊維束を搬送する。案内部材は、吸引パイプに対する通気エプロンの巻き掛け位置に対応して吸引パイプに取り付けられている。案内部材は、通気エプロンの移動を案内する。案内部材は、吸引孔と重なるように延びる吸引スリットを有している。
【0003】
このような紡機の繊維集束装置では、吸引孔と吸引スリットとが重なる部分において、吸引パイプと案内部材との隙間に繊維が引っ掛かることがある。引っ掛かった繊維に対してさらに繊維が付着することによって、引っ掛かった繊維は雪だるま式に大きくなる。そして、大きくなった繊維が吸引孔及び吸引スリットを塞ぐと、吸引孔及び吸引スリットに詰まりが生じる。吸引孔及び吸引スリットの詰まりは、糸の品質の低下につながる。
【0004】
特許文献1では、吸引孔の孔幅と吸引スリットのスリット幅とを異ならせることによって、吸引孔の縁部である孔縁部と吸引スリットの縁部であるスリット縁部との段差を設けている。この場合、吸引パイプと案内部材との隙間は、段差の分だけ繊維束の通過径路から離れるため、隙間に繊維が引っ掛かりにくくなる。その結果、吸引孔及び吸引スリットの詰まりが抑制される。
【0005】
吸引孔及び吸引スリットにおける繊維束の移動方向の下流側の領域は、糸の品質に影響しやすいことが知られている。このため、吸引孔及び吸引スリットにおける繊維束の移動方向の下流側の領域に孔縁部とスリット縁部との段差が設けられていると、糸の品質が低下するおそれがある。したがって、吸引孔及び吸引スリットにおける繊維束の移動方向の下流側の領域では、吸引孔の孔幅と吸引スリットのスリット幅とを同じにすることによって、孔縁部とスリット縁部との段差が生じないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
孔縁部とスリット縁部との段差の幅が大きいほど、吸引孔及び吸引スリットの詰まりがより抑制されると考えられる。しかしながら、段差の幅が大きすぎると、吸引孔及び吸引スリットにおける下流側の領域では孔縁部とスリット縁部との段差が生じないようにしたとしても、糸の品質が低下することが判明した。
【0008】
なお、特許文献1には、繊維束の移動方向における吸引孔及び吸引スリットの中心よりも下流側まで段差を設けなくてもよいことが記載されている。しかしながら、段差を設ける範囲と糸の品質との関係については示唆されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するための紡機の繊維束集束装置は、繊維束の移動方向においてドラフト装置の下流側に設けられた吸引パイプと、前記吸引パイプに巻き掛けられる通気エプロンの巻き掛け位置に対応して前記吸引パイプに取り付けられ、前記通気エプロンの移動を案内する案内部材と、を備え、前記吸引パイプは、前記吸引パイプの延在方向と直交する方向に対して傾斜するように延びる吸引孔を有し、前記案内部材は、前記吸引孔と重なるように延びる吸引スリットを有する紡機の繊維束集束装置であって、前記吸引孔の上流側端点を通るとともに前記吸引パイプの延在方向と直交する直線と前記吸引孔の縁部である孔縁部との交点を境界として、前記繊維束の移動方向における前記交点よりも上流側での前記孔縁部と前記吸引スリットの縁部であるスリット縁部との段差の幅は、前記交点よりも下流側での前記孔縁部と前記スリット縁部との段差の幅よりも大きいことを要旨とする。
【0010】
繊維束の移動方向において交点よりも上流側では、繊維束は孔縁部及びスリット縁部から離れた位置を通過するのに対し、交点よりも下流側では、繊維束は孔縁部及びスリット縁部に沿って移動することによって集束される。このため、繊維束の移動方向における交点よりも下流側の領域は、交点よりも上流側の領域よりも、繊維束の集束、ひいては糸の品質に影響しやすい。また、吸引孔及び吸引スリットの詰まりは、繊維束の移動方向における交点よりも上流側の領域で生じやすいことが知られている。
【0011】
上記構成によれば、繊維束の移動方向における交点よりも上流側での孔縁部とスリット縁部との段差の幅は、交点よりも下流側での孔縁部とスリット縁部との段差の幅よりも大きい。このように、詰まりが生じやすく、かつ糸の品質に影響しにくい領域である交点よりも上流側では、下流側よりも段差の幅を大きくすることによって、詰まりを抑制できる。一方、糸の品質に影響しやすい領域である交点よりも下流側では、上流側よりも段差の幅を小さくすることによって、糸の品質の低下を抑制できる。よって、糸の品質の低下を抑制しつつ、吸引孔及び吸引スリットの詰まりを抑制できる。
【0012】
上記紡機の繊維束集束装置において、前記繊維束の移動方向における前記交点よりも下流側での前記孔縁部と前記スリット縁部との段差の幅はゼロであってもよい。
上記構成によれば、繊維束の移動方向において交点よりも下流側にも孔縁部とスリット縁部との段差が設けられている場合と比較して、糸の品質の低下をより抑制できる。
【0013】
上記紡機の繊維束集束装置において、前記孔縁部は、前記直線と交差する第1孔縁部と、前記第1孔縁部とは反対側に位置する第2孔縁部とを含み、前記繊維束の移動方向における前記交点よりも上流側での前記第1孔縁部と前記スリット縁部の段差の幅は、前記繊維束の移動方向における前記交点よりも上流側での前記第2孔縁部と前記スリット縁部との段差の幅よりも小さくてもよい。
【0014】
繊維束の移動方向における交点よりも上流側において、繊維束は第2孔縁部よりも第1孔縁部の近傍を通過する。このため、第1孔縁部とスリット縁部との段差は、第2孔縁部とスリット縁部との段差よりも糸の品質に影響を及ぼしやすい。したがって、第1孔縁部とスリット縁部との段差の幅を第2孔縁部とスリット縁部との段差の幅よりも小さくすることによって、糸の品質の低下をより抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、糸の品質の低下を抑制しつつ、吸引孔及び吸引スリットの詰まりを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】第1実施形態における吸引パイプ及び案内部材を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態における吸引パイプを示す部分正面図である。
【
図4】第1実施形態における案内部材を示す正面図である。
【
図5】第1実施形態における吸引パイプ及び案内部材を示す部分正面図である。
【
図6】第1実施形態における吸引パイプ及び案内部材を示す
図5の6-6線に沿う断面図である。
【
図7】第1実施形態における吸引パイプ及び案内部材を示す
図5の7-7線に沿う断面図である。
【
図8】第2実施形態における吸引パイプ及び案内部材を示す部分正面図である。
【
図9】第2実施形態における吸引パイプ及び案内部材を示す
図8の9-9線に沿う断面図である。
【
図10】第3実施形態における吸引パイプ及び案内部材を示す正面図である。
【
図11】変更例における吸引パイプ及び案内部材を示す部分正面図である。
【
図12】変更例における吸引パイプ及び案内部材を示す
図11のA-A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、紡機の繊維束集束装置を具体化した第1実施形態を
図1~
図7にしたがって説明する。なお、以下では、「紡機の繊維束集束装置」を単に「繊維束集束装置」という。
【0018】
図1に示すように、紡機100は、ドラフト装置110と、繊維束集束装置10とを備えている。ドラフト装置110は、繊維束Fをドラフトする。繊維束集束装置10は、繊維束Fの移動方向Xにおいてドラフト装置110の下流側に設けられている。繊維束集束装置10は、ドラフトされた繊維束Fを撚り掛けの前に予め集束する。
【0019】
ドラフト装置110は、最終送出ローラ対111を備えている。最終送出ローラ対111は、ドラフト装置110が有するローラ対のうち、繊維束Fの移動方向Xにおいて最下流に位置するローラ対である。最終送出ローラ対111は、フロントボトムローラ112及びフロントトップローラ113を有している。フロントトップローラ113は、支持部材114によって支持されている。
【0020】
<繊維束集束装置>
繊維束集束装置10は、回転軸11と、ニップローラ対12と、吸引パイプ13と、ガイド部14と、通気エプロン15と、案内部材16とを備えている。
【0021】
回転軸11は、フロントボトムローラ112に対して平行に延びるように配置されている。回転軸11には、図示しないギヤ部が設けられている。回転軸11のギヤ部には、中間ギヤ17が噛み合っている。中間ギヤ17は、フロントボトムローラ112に設けられたギヤ部112aと噛み合っている。フロントボトムローラ112の回転力が中間ギヤ17を介して回転軸11に伝達されることによって、回転軸11は回転する。
【0022】
ニップローラ対12は、ボトムニップローラ21及びトップニップローラ22を有している。ボトムニップローラ21は、回転軸11に設けられている。回転軸11が回転すると、ボトムニップローラ21は回転軸11と一体回転する。ボトムニップローラ21には、通気エプロン15が巻き掛けられている。トップニップローラ22は、支持部材114を介して図示しないウエイティングアームに支持されている。ボトムニップローラ21及びトップニップローラ22は、最終送出ローラ対111と略同等の速度で回転する。
【0023】
ドラフト装置110の最終送出ローラ対111から送り出された繊維束Fは、通気エプロン15とともにボトムニップローラ21とトップニップローラ22との間を通過する。トップニップローラ22は、通気エプロン15を介してボトムニップローラ21によって押圧される。これにより、繊維束F及び通気エプロン15は、ニップローラ対12によってニップされる。ニップローラ対12により通気エプロン15及び繊維束Fがニップされる位置をニップ位置Pという。
【0024】
<吸引パイプ>
吸引パイプ13は、筒状である。吸引パイプ13は、例えば、アルミニウムの押出成形によって形成されている。吸引パイプ13は、繊維束Fの移動方向Xにおいて最終送出ローラ対111よりも下流側かつニップ位置Pよりも上流側に配置されている。吸引パイプ13が延びる方向である吸引パイプ13の延在方向は、回転軸11の軸方向と一致している。吸引パイプ13は、図示しない吸引源に接続されている。
【0025】
図2に示すように、吸引パイプ13は、第1パイプ構成部31、第2パイプ構成部32、及び第3パイプ構成部33を有している。第1パイプ構成部31は、外側に膨らむように湾曲している。第2パイプ構成部32は、繊維束Fの移動方向Xにおける第1パイプ構成部31の上流側端部から連続している。第2パイプ構成部32は、内側に凹むように湾曲している。第3パイプ構成部33は、繊維束Fの移動方向Xにおける第1パイプ構成部31の下流側端部から連続している。第3パイプ構成部33は、内側に凹むように湾曲している。
【0026】
吸引パイプ13は、複数の吸引部34を有している。複数の吸引部34は、吸引パイプ13の延在方向において間隔を空けて配置されている。本実施形態では、各吸引部34は、一対の吸引孔35によって構成されている。各吸引孔35は、第1パイプ構成部31を貫通している。一対の吸引孔35は、吸引パイプ13の延在方向において間隔を空けて並んでいる。以下では、一対の吸引孔35を区別する必要がある場合には、一方の吸引孔35を第1吸引孔35aとし、他方の吸引孔35を第2吸引孔35bとする。
【0027】
図3に示すように、吸引孔35は、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対して傾斜するように延びている。詳しくは、第1吸引孔35aは、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対して紙面左側に傾斜するように延びている。第2吸引孔35bは、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対して紙面右側に傾斜するように延びている。一対の吸引孔35は、繊維束Fの移動方向Xの上流側から下流側に向かうにつれて互いに近づくように設けられている。
【0028】
吸引孔35の縁部である孔縁部50は、第1孔縁部51と、第2孔縁部52と、第3孔縁部53と、第4孔縁部54とを有している。
第1孔縁部51と第2孔縁部52は、平行に延びている。第1孔縁部51及び第2孔縁部52は、吸引孔35の延在方向に沿って直線状に延びている。第2孔縁部52は、第1孔縁部51の反対側に位置している。第1孔縁部51と第2孔縁部52との間隔を吸引孔35の孔幅W35とする。吸引孔35の孔幅W35は、吸引孔35の延在方向において一定である。
【0029】
一対の吸引孔35は、第1孔縁部51が外側に位置し、第2孔縁部52が内側に位置するように配置されている。このため、一対の第1孔縁部51同士の間隔は、一対の第2孔縁部52同士の間隔よりも広い。
【0030】
第3孔縁部53は、繊維束Fの移動方向Xにおける第1孔縁部51の上流側端部と第2孔縁部52の上流側端部とを接続している。第3孔縁部53は、円弧状に延びている。第4孔縁部54は、繊維束Fの移動方向Xにおける第1孔縁部51の下流側端部と第2孔縁部52の下流側端部とを接続している。第4孔縁部54は、直線状に延びている。
【0031】
第3孔縁部53において繊維束Fの移動方向Xの最上流に位置する点を吸引孔35の上流側端点350とする。吸引孔35の上流側端点350を通るとともに吸引パイプ13の延在方向に対して直交する方向に延びる直線を直線Lとする。直線Lは、第1孔縁部51と交差している。直線Lと第1孔縁部51との交点を交点Qとする。
【0032】
図1に示すように、通気エプロン15は、無端状の帯状ベルトである。通気エプロン15は、例えば、適度な通気性を有する織布によって形成されている。通気エプロン15は、吸引パイプ13、ガイド部14、及びボトムニップローラ21に巻き掛けられている。通気エプロン15は、吸引パイプ13における吸引部34が設けられた位置に対応して吸引パイプ13に巻き掛けられている。したがって、吸引パイプ13には、複数の通気エプロン15が巻き掛けられている。複数の通気エプロン15は、吸引パイプ13の延在方向において間隔を空けて並んでいる。通気エプロン15は、ボトムニップローラ21の回転に伴って回転することによって、繊維束Fを搬送する。
【0033】
<案内部材>
図2に示すように、案内部材16は、吸引パイプ13に対して複数取り付けられている。複数の案内部材16は、吸引パイプ13の延在方向において間隔を空けて並んでいる。なお、
図2では、吸引パイプ13に取り付けられた状態の案内部材16と、吸引パイプ13に取り付けられていない状態の案内部材16とを1つずつ図示している。
【0034】
案内部材16は、吸引パイプ13における吸引部34が設けられた位置に対応して吸引パイプ13に取り付けられている。上述したように、通気エプロン15も、吸引パイプ13における吸引部34が設けられた位置に対応して吸引パイプ13に巻き掛けられている。したがって、案内部材16は、吸引パイプ13に対する通気エプロン15の巻き掛け位置に対応して吸引パイプ13に取り付けられている。案内部材16は、吸引パイプ13と通気エプロン15との間に位置している。案内部材16は、通気エプロン15の移動を案内する。
【0035】
案内部材16は、案内部60と、第1屈曲部61と、第2屈曲部62とを有している。案内部材16は、例えば、金属の薄板を屈曲させることによって形成されている。
案内部60は、吸引パイプ13の第1パイプ構成部31の形状に倣うように湾曲している。案内部60は、第1面60aと第2面60bとを有している。第1面60aは、吸引パイプ13の外周面13aと対向している。案内部60の第1面60aと吸引パイプ13の外周面13aとの間には、隙間S(
図6及び
図7参照)が設けられている。第2面60bは、第1面60aとは反対側の面である。通気エプロン15は、案内部60の第2面60bに対して摺動する。
【0036】
第1屈曲部61は、繊維束Fの移動方向Xにおける案内部60の上流側端部から連続している。第1屈曲部61は、吸引パイプ13の第1パイプ構成部31と第2パイプ構成部32との接続部分の形状に倣うように屈曲されている。第2屈曲部62は、繊維束Fの移動方向Xにおける案内部60の下流側端部から連続している。第2屈曲部62は、吸引パイプ13の第1パイプ構成部31と第3パイプ構成部33との接続部分の形状に倣うように屈曲されている。
【0037】
案内部材16は、一対の吸引スリット64を有している。各吸引スリット64は、第1パイプ構成部31を貫通している。一対の吸引スリット64は、吸引パイプ13の延在方向において間隔を空けて並んでいる。一対の吸引スリット64を区別する必要がある場合には、一方の吸引スリット64を第1吸引スリット64aとし、他方の吸引スリット64を第2吸引スリット64bとする。
【0038】
図4及び
図5に示すように、吸引スリット64は、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対して傾斜するように延びている。詳しくは、第1吸引スリット64aは、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対して紙面左側に傾斜するように延びている。第2吸引スリット64bは、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対して紙面右側に傾斜するように延びている。一対の吸引スリット64は、繊維束Fの移動方向Xの上流側から下流側に向かうにつれて互いに近づくように設けられている。
【0039】
吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対する第1吸引スリット64aの傾斜角度は、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対する第1吸引孔35aの傾斜角度と同じである。吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対する第2吸引スリット64bの傾斜角度は、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対する第2吸引孔35bの傾斜角度と同じである。
【0040】
吸引スリット64の縁部であるスリット縁部70は、第1スリット縁部71と、第2スリット縁部72と、第3スリット縁部73と、第4スリット縁部74とを有している。
第1スリット縁部71及び第2スリット縁部72は、吸引スリット64の延在方向に延びている。第2スリット縁部72は、第1スリット縁部71の反対側に位置している。一対の吸引スリット64は、第1スリット縁部71が外側に位置し、第2スリット縁部72が内側に位置するように配置されている。
【0041】
第1スリット縁部71は、上流部71aと、下流部71bと、接続部71cとを有している。上流部71a、下流部71b、及び接続部71cはそれぞれ、直線状に延びている。上流部71aは、吸引スリット64の延在方向に沿って延びている。下流部71bは、繊維束Fの移動方向Xにおいて上流部71aよりも下流側に位置している。下流部71bは、上流部71aに対して平行に延びている。下流部71bは、吸引スリット64の延在方向に沿って延びている。接続部71cは、上流部71aの下流側端部と下流部71bの上流側端部とを接続している。接続部71cは、上流部71a及び下流部71bに対して傾斜するように延びている。
【0042】
第2スリット縁部72は、上流部72aと、下流部72bと、接続部72cとを有している。上流部72a、下流部72b、及び接続部72cはそれぞれ、直線状に延びている。上流部72aは、吸引スリット64の延在方向に沿って延びている。下流部72bは、繊維束Fの移動方向Xにおいて上流部72aよりも下流側に位置している。下流部72bは、上流部72aに対して平行に延びている。下流部72bは、吸引スリット64の延在方向に沿って延びている。接続部72cは、上流部72aの下流側端部と下流部72bの上流側端部とを接続している。接続部72cは、上流部72a及び下流部72bに対して傾斜するように延びている。
【0043】
第1スリット縁部71の上流部71aと第2スリット縁部72の上流部72aは対向している。第1スリット縁部71の上流部71aと第2スリット縁部72の上流部72aとは平行に延びている。第1スリット縁部71の上流部71aと第2スリット縁部72の上流部72aとの間隔を吸引スリット64の第1スリット幅W641とする。第1スリット幅W641は、吸引孔35の孔幅W35と異なっている。本実施形態では、第1スリット幅W641は、吸引孔35の孔幅W35よりも大きい。
【0044】
第1スリット縁部71の下流部71bと第2スリット縁部72の下流部72bは対向している。第1スリット縁部71の下流部71bと第2スリット縁部72の下流部72bとは平行に延びている。第1スリット縁部71の下流部71bと第2スリット縁部72の下流部72bとの間隔を吸引スリット64の第2スリット幅W642とする。第2スリット幅W642は、第1スリット幅W641よりも小さい。本実施形態では、第2スリット幅W642は、吸引孔35の孔幅W35と同じである。なお、「第2スリット幅W642は孔幅W35と同じである」には、第2スリット幅W642が吸引孔35及び吸引スリット64の製造公差の範囲内で孔幅W35と異なっている場合も含まれる。
【0045】
第1スリット縁部71の接続部71cと第2スリット縁部72の接続部72cは対向している。第1スリット縁部71の接続部71cと第2スリット縁部72の接続部72cとの間隔は、繊維束Fの移動方向Xの上流側から下流側に向かうにつれて徐々に狭くなっている。第1スリット縁部71の接続部71cと第2スリット縁部72の接続部72cとの間隔は、吸引孔35の孔幅W35よりも大きい。
【0046】
第3スリット縁部73は、繊維束Fの移動方向Xにおける第1スリット縁部71の上流側端部と第2スリット縁部72の上流側端部とを接続している。第3スリット縁部73は、円弧状に延びている。本実施形態では、第3スリット縁部73を構成する仮想円の半径は、第3孔縁部53を構成する仮想円の半径よりも大きい。第4スリット縁部74は、繊維束Fの移動方向Xにおける第1スリット縁部71の下流側端部と第2スリット縁部72の下流側端部とを接続している。第4スリット縁部74は、直線状に延びている。
【0047】
<吸引孔と吸引スリットとの関係>
図5に示すように、一対の吸引スリット64は、一対の吸引孔35に沿って延びている。詳しくは、第1吸引スリット64aは、第1吸引孔35aに沿って延びている。第2吸引スリット64bは、第2吸引孔35bに沿って延びている。吸引スリット64は、吸引孔35と重なっている。
【0048】
第1スリット縁部71の下流部71bと接続部71cとの接続部分は、交点Qと重なっている。第1スリット縁部71の上流部71a及び接続部71cと、第2スリット縁部72の上流部72a及び接続部72cと、第3スリット縁部73とは、繊維束Fの移動方向Xにおいて交点Qよりも上流側に位置している。第1スリット縁部71の下流部71bと、第2スリット縁部72の下流部72bと、第4スリット縁部74とは、繊維束Fの移動方向Xにおいて交点Qよりも下流側に位置している。
【0049】
繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、孔縁部50の形状とスリット縁部70の形状とは異なっている。上述したように、吸引スリット64の第1スリット幅W641は、吸引孔35の孔幅W35よりも大きい。このため、第1スリット縁部71の上流部71a及び接続部71cは、第1孔縁部51よりも外側に位置している。第2スリット縁部72の上流部72a及び接続部72cは、第2孔縁部52よりも外側に位置している。また、第3スリット縁部73を構成する仮想円の半径は、第3孔縁部53を構成する仮想円の半径よりも大きい。このため、第3スリット縁部73は、第3孔縁部53よりも外側に位置している。つまり、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、スリット縁部70は、孔縁部50よりも一回り外側に位置している。
【0050】
図5及び
図6に示すように、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、孔縁部50とスリット縁部70との段差80が形成されている。本実施形態の段差80は、吸引パイプ13の外周面13aのうち、吸引スリット64により露出した部分によって構成されている。これにより、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、隙間Sは、段差80の分だけ孔縁部50から離れている。
【0051】
第1孔縁部51と第1スリット縁部71の上流部71aとの段差80を第1段差部80aとする。第2孔縁部52と第2スリット縁部72の上流部72aとの段差80を第2段差部80bとする。吸引孔35及び吸引スリット64の延在方向と直交する方向における第1段差部80aの幅W80a及び第2段差部80bの幅W80bはそれぞれ、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差80の幅である。本実施形態では、第1段差部80aの幅W80aと第2段差部80bの幅W80bは同じである。
【0052】
一方、本実施形態では、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも下流側では、孔縁部50の形状とスリット縁部70の形状は同じである。上述したように、吸引スリット64の第2スリット幅W642は、吸引孔35の孔幅W35と同じである。
【0053】
図7に示すように、第1孔縁部51と第1スリット縁部71の下流部71bとは、隙間Sを介して、吸引パイプ13の第1パイプ構成部31と案内部材16の案内部60とが重なる方向に並んでいる。第2孔縁部52と第2スリット縁部72の下流部72bとは、隙間Sを介して、吸引パイプ13の第1パイプ構成部31と案内部材16の案内部60とが重なる方向に並んでいる。したがって、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも下流側では、孔縁部50とスリット縁部70との段差の幅はゼロである。すなわち、孔縁部50とスリット縁部70との段差は設けられていない。
【0054】
このように交点Qを境界として、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差80の幅W80a,W80bは、交点Qよりも下流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差の幅よりも大きくなっている。
【0055】
<繊維束集束装置の動作>
繊維束Fは、最終送出ローラ対111から送り出された後、通気エプロン15によって搬送される。本実施形態では、1つの通気エプロン15につき、2本の繊維束Fが搬送される。このとき、繊維束Fは、吸引パイプ13の吸引孔35、案内部材16の吸引スリット64、及び通気エプロン15を介して、吸引パイプ13に接続された吸引源から吸引力を受ける。これにより、繊維束Fは、通気エプロン15の表面に押圧される。また、繊維束Fは、吸引孔35及び吸引スリット64に沿うように集束される。
【0056】
詳しくは、繊維束Fは、吸引パイプ13の延在方向において吸引孔35の上流側端点350を通過するような位置に配置されている。繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、繊維束Fは直線Lに沿って移動する。つまり、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、繊維束Fは、第1孔縁部51及び第1スリット縁部71と第2孔縁部52及び第2スリット縁部72との間を通過する。より詳しくは、繊維束Fは、第2孔縁部52及び第2スリット縁部72よりも第1孔縁部51及び第1スリット縁部71の近傍を通過する。繊維束Fは、交点Qよりも下流側では、第1孔縁部51及び第1スリット縁部71に沿うように移動することによって集束される。したがって、第1孔縁部51及び第1スリット縁部71は、繊維束Fの集束をガイドするガイド縁部である。このように繊維束Fが集束されることによって、毛羽の発生や落綿が抑制される。
【0057】
そして、繊維束Fは、ニップローラ対12のニップ位置Pを通過した後、撚り掛けられる。本実施形態では、2本の繊維束Fは、撚り掛けられることによって1本の糸になる。
[第1実施形態の作用]
繊維束Fの移動方向Xにおいて交点Qよりも上流側では、繊維束Fは孔縁部50及びスリット縁部70から離れた位置を通過するのに対し、交点Qよりも下流側では、繊維束Fは孔縁部50及びスリット縁部70に沿って移動することによって集束される。このため、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも下流側の領域は、交点Qよりも上流側の領域よりも、繊維束Fの集束、ひいては糸の品質に影響しやすい。また、吸引孔35及び吸引スリット64の詰まりは、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側の領域で生じやすいことが知られている。
【0058】
本実施形態では、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差80の幅W80a,W80bは、交点Qよりも下流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差の幅よりも大きい。このように、詰まりが生じやすく、かつ糸の品質に影響しにくい領域である交点Qよりも上流側では、下流側よりも段差80の幅W80a,W80bを大きくすることによって、詰まりを抑制できる。詳しくは、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、吸引パイプ13と案内部材16との隙間Sは、交点Qよりも下流側よりも孔縁部50から離れているため、隙間Sに繊維が引っ掛かりにくくなる。一方、糸の品質に影響しやすい領域である交点Qよりも下流側では、上流側よりも段差の幅を小さくすることによって、糸の品質の低下を抑制できる。よって、糸の品質の低下を抑制しつつ、吸引孔35及び吸引スリット64の詰まりを抑制できる。
【0059】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)吸引パイプ13は、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対して傾斜するように延びる吸引孔35を有している。案内部材16は、吸引孔35と重なるように延びる吸引スリット64を有している。吸引孔35の上流側端点350を通るとともに吸引パイプ13の延在方向に対して直交する直線Lと吸引孔35の孔縁部50との交点Qを境界として、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差80の幅W80a,W80bは、交点Qよりも下流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差の幅よりも大きい。
【0060】
このように、吸引孔35及び吸引スリット64の詰まりが生じやすく、かつ糸の品質に影響しにくい領域である交点Qよりも上流側では、下流側よりも段差80の幅W80a,W80bを大きくすることによって、吸引孔35及び吸引スリット64の詰まりを抑制できる。一方、糸の品質に影響しやすい領域である交点Qよりも下流側では、上流側よりも段差の幅を小さくすることによって、糸の品質の低下を抑制できる。よって、糸の品質の低下を抑制しつつ、吸引孔35及び吸引スリット64の詰まりを抑制できる。
【0061】
(1-2)繊維束Fの移動方向Xにおいて交点Qよりも下流側では、吸引孔35の孔幅W35と吸引スリット64の第2スリット幅W642は同じである。このため、繊維束Fの移動方向Xにおいて交点Qよりも下流側では、孔縁部50とスリット縁部70との段差の幅はゼロである。すなわち、繊維束Fの移動方向Xにおいて交点Qよりも下流側では、孔縁部50とスリット縁部70との段差が設けられていない。これにより、繊維束Fの移動方向Xにおいて交点Qよりも下流側にも孔縁部50とスリット縁部70との段差が設けられている場合と比較して、糸の品質の低下をより抑制できる。
【0062】
[第2実施形態]
以下、紡機の繊維束集束装置を具体化した第2実施形態を
図8及び
図9にしたがって説明する。第2実施形態では、吸引孔35及び吸引スリット64の形状のみが第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0063】
図8に示すように、第2実施形態の吸引スリット64は、第1実施形態の吸引孔35の形状をしている。第1スリット縁部71と第2スリット縁部72は、平行に延びている。第1スリット縁部71及び第2スリット縁部72は、吸引スリット64の延在方向に沿って直線状に延びている。第2スリット縁部72は、第1スリット縁部71の反対側に位置している。第1スリット縁部71と第2スリット縁部72との間隔を吸引スリット64のスリット幅W64とする。吸引スリット64のスリット幅W64は、吸引スリット64の延在方向において一定である。第3スリット縁部73は、繊維束Fの移動方向Xにおける第1スリット縁部71の上流側端部と第2スリット縁部72の上流側端部とを接続している。第3スリット縁部73は、円弧状に延びている。
【0064】
第2実施形態の吸引孔35は、第1実施形態の吸引スリット64の形状をしている。
第1孔縁部51は、上流部51aと、下流部51bと、接続部51cとを有している。上流部51a、下流部51b、及び接続部51cはそれぞれ、直線状に延びている。上流部51aは、吸引孔35の延在方向に沿って延びている。下流部51bは、繊維束Fの移動方向Xにおいて上流部51aよりも下流側に位置している。下流部51bは、上流部51aに対して平行に延びている。下流部51bは、吸引孔35の延在方向に沿って延びている。接続部51cは、上流部51aの下流側端部と下流部51bの上流側端部とを接続している。接続部51cは、上流部51a及び下流部51bに対して傾斜するように延びている。
【0065】
第2孔縁部52は、上流部52aと、下流部52bと、接続部52cとを有している。上流部52a、下流部52b、及び接続部52cはそれぞれ、直線状に延びている。上流部52aは、吸引孔35の延在方向に沿って延びている。下流部52bは、繊維束Fの移動方向Xにおいて上流部52aよりも下流側に位置している。下流部52bは、上流部52aに対して平行に延びている。下流部52bは、吸引孔35の延在方向に沿って延びている。接続部52cは、上流部52aの下流側端部と下流部52bの上流側端部とを接続している。接続部52cは、上流部52a及び下流部52bに対して傾斜するように延びている。
【0066】
第1孔縁部51の上流部51aと第2孔縁部52の上流部52aは対向している。第1孔縁部51の上流部51aと第2孔縁部52の上流部52aとは平行に延びている。第1孔縁部51の上流部51aと第2孔縁部52の上流部52aとの間隔を吸引孔35の第1孔幅W351とする。第1孔幅W351は、吸引スリット64のスリット幅W64と異なっている。本実施形態では、第1孔幅W351は、吸引スリット64のスリット幅W64よりも大きい。
【0067】
第1孔縁部51の下流部51bと第2孔縁部52の下流部52bは対向している。第1孔縁部51の下流部51bと第2孔縁部52の下流部52bとは平行に延びている。第1孔縁部51の下流部51bと第2孔縁部52の下流部52bとの間隔を吸引孔35の第2孔幅W352とする。第2孔幅W352は、第1孔幅W351よりも小さい。本実施形態では、第2孔幅W352は、吸引スリット64のスリット幅W64と同じである。なお、「第2孔幅W352はスリット幅W64と同じである」には、第2孔幅W352が吸引孔35及び吸引スリット64の製造公差の範囲内でスリット幅W64と異なっている場合も含まれる。
【0068】
第1孔縁部51の接続部51cと第2孔縁部52の接続部52cは対向している。第1孔縁部51の接続部51cと第2孔縁部52の接続部52cとの間隔は、繊維束Fの移動方向Xの上流側から下流側に向かうにつれて徐々に狭くなっている。第1孔縁部51の接続部51cと第2孔縁部52の接続部52cとの間隔は、吸引スリット64のスリット幅W64よりも大きい。
【0069】
第3孔縁部53は、繊維束Fの移動方向Xにおける第1孔縁部51の上流側端部と第2孔縁部52の上流側端部とを接続している。第3孔縁部53は、円弧状に延びている。本実施形態では、第3孔縁部53を構成する仮想円の半径は、第3スリット縁部73を構成する仮想円の半径よりも大きい。
【0070】
第3孔縁部53において繊維束Fの移動方向Xの最上流に位置する点を吸引孔35の上流側端点350とする。吸引孔35の上流側端点350を通るとともに吸引パイプ13の延在方向に対して直交する方向に延びる直線を直線Lとする。直線Lは、第1孔縁部51と交差している。詳しくは、直線Lは、第1孔縁部51における下流部51bと接続部51cとの接続部分と交差している。直線Lと第1孔縁部51との交点を交点Qとする。
【0071】
<吸引孔と吸引スリットとの関係>
第1スリット縁部71は、交点Qと重なっている。第1スリット縁部71及び第2スリット縁部72はそれぞれ、繊維束Fの移動方向Xにおいて交点Qよりも上流側に位置する部分と、交点Qよりも下流側に位置する部分とを有している。第3スリット縁部73は、繊維束Fの移動方向Xにおいて交点Qよりも上流側に位置している。
【0072】
繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、孔縁部50の形状とスリット縁部70の形状とは異なっている。上述したように、吸引孔35の第1孔幅W351は、吸引スリット64のスリット幅W64よりも大きい。このため、第1孔縁部51の上流部51a及び接続部51cは、第1スリット縁部71よりも外側に位置している。第2孔縁部52の上流部52a及び接続部52cは、第2スリット縁部72よりも外側に位置している。また、第3孔縁部53を構成する仮想円の半径は、第3スリット縁部73を構成する仮想円の半径よりも大きい。このため、第3孔縁部53は、第3スリット縁部73よりも外側に位置している。つまり、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、孔縁部50は、スリット縁部70よりも一回り外側に位置している。
【0073】
図9に示すように、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、孔縁部50とスリット縁部70との段差80が形成されている。本実施形態の段差80は、案内部材16の第1面60aのうち、吸引孔35によって露出した部分によって構成されている。これにより、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、隙間Sは、段差80の分だけスリット縁部70から離れている。
【0074】
つまり、第1実施形態では、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側において吸引スリット64が吸引孔35よりも一回り大きいことによって段差80が形成されていた。これに対し、本実施形態では、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側において吸引孔35が吸引スリット64よりも一回り大きいことによって段差80が形成されている。
【0075】
第1孔縁部51の上流部51aと第1スリット縁部71との段差80を第1段差部80aとする。第2孔縁部52の上流部52aと第2スリット縁部72との段差80を第2段差部80bとする。吸引孔35及び吸引スリット64の延在方向と直交する方向における第1段差部80aの幅W80a及び第2段差部80bの幅W80bはそれぞれ、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差80の幅である。本実施形態では、第1段差部80aの幅W80aと第2段差部80bの幅W80bは同じである。
【0076】
第1実施形態と同様、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも下流側では、孔縁部50の形状とスリット縁部70の形状は同じである。上述したように、吸引孔35の第2孔幅W352は、吸引スリット64のスリット幅W64と同じである。このため、第1孔縁部51の下流部51bと第1スリット縁部71とは、隙間Sを介して、吸引パイプ13の第1パイプ構成部31と案内部材16の案内部60とが重なる方向に並んでいる。第2孔縁部52の下流部52bと第2スリット縁部72とは、隙間Sを介して、吸引パイプ13の第1パイプ構成部31と案内部材16の案内部60とが重なる方向に並んでいる。したがって、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも下流側では、孔縁部50とスリット縁部70との間の段差の幅はゼロである。すなわち、孔縁部50とスリット縁部70との段差は設けられていない。
【0077】
このように第2実施形態においても、交点Qを境界として、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差80の幅W80a,W80bは、交点Qよりも下流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差の幅よりも大きくなっている。
【0078】
第2実施形態では、第1実施形態の効果(1-1),(1-2)と同様の効果を得ることができる。
[第3実施形態]
以下、紡機の繊維束集束装置を具体化した第3実施形態を
図10にしたがって説明する。なお、第3実施形態では、吸引孔35及び吸引スリット64の数及び形状のみが第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0079】
図10に示すように、吸引パイプ13の吸引部34は、1つの吸引孔35によって構成されている。また、案内部材16は、1つの吸引スリット64を有している。本実施形態では、繊維束Fは、図示しないトラバース装置によって吸引パイプ13の延在方向に綾振り運動されながら下流側に搬送される。
【0080】
吸引孔35は、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対して傾斜するように延びている。本実施形態では、吸引孔35は、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対して紙面右側に傾斜するように延びている。
【0081】
第1孔縁部51は、上流部51aと、下流部51bと、接続部51cとを有している。上流部51a及び下流部51bは、直線状に延びている。下流部51bは、繊維束Fの移動方向Xにおいて上流部51aよりも下流側に位置している。吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対する上流部51aの傾斜角度は、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対する下流部51bの傾斜角度よりも大きい。接続部51cは、上流部51aの下流側端部と下流部51bの上流側端部とを滑らかに接続している。
【0082】
第2孔縁部52は、第1孔縁部51とは反対側に位置している。第2孔縁部52は、上流部52aと、下流部52bと、接続部52cとを有している。
第1孔縁部51の上流部52aは、直線状に延びる第1直線部521と第2直線部522とを有している。第1直線部521は、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に沿って延びている。第1直線部521は、吸引パイプ13の延在方向において第1孔縁部51の下流部51bよりも上流部51a側に位置している。第2直線部522は、繊維束Fの移動方向Xにおける第1直線部521の下流側端部から下流側に向けて延びている。第2直線部522は、第1孔縁部51の上流部51aに対して平行に延びている。
【0083】
第2孔縁部52の下流部52bは、直線状に延びている。下流部52bは、第1孔縁部51の下流部51bに対して平行に延びている。吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対する第2直線部522の傾斜角度は、繊維束Fの移動方向Xに対する第2孔縁部52の下流部52bの傾斜角度よりも大きい。第2孔縁部52の接続部52cは、第2直線部522の下流側端部と下流部52bの上流側端部とを滑らかに接続している。第2孔縁部52の接続部52cは、第1孔縁部51の接続部51cに対して平行に延びている。
【0084】
第1孔縁部51の上流部51aと第2孔縁部52の上流部52aとは対向している。第1孔縁部51の下流部51bと第2孔縁部52の下流部52bとは対向している。第1孔縁部51の接続部51cと第2孔縁部52の接続部52cとは対向している。繊維束Fの移動方向Xにおいて第1直線部521と第2直線部522との接続部分よりも上流側では、第1孔縁部51と第2孔縁部52との間隔である吸引孔35の孔幅は、下流側から上流側に向かうにつれて大きくなっている。繊維束Fの移動方向Xにおいて第1直線部521と第2直線部522との接続部分よりも下流側では、吸引孔35の孔幅は一定である。繊維束Fの移動方向Xにおいて第1直線部521と第2直線部522との接続部分よりも下流側での孔幅は、第1直線部521と第2直線部522との接続部分よりも上流側での孔幅よりも小さい。
【0085】
第3孔縁部53は、第1孔縁部51の上流側端部と第2孔縁部52の上流側端部とを接続している。第3孔縁部53は、吸引パイプ13の延在方向に沿って直線状に延びている。このため、綾振り運動によって繊維束Fの位置が吸引パイプ13の延在方向に変化しても、最終送出ローラ対111のニップ位置から吸引孔35に至る距離が一定に保たれる。
【0086】
第3実施形態では、第3孔縁部53における第1孔縁部51から最も離れた点を吸引孔35の上流側端点350とする。吸引孔35の上流側端点350を通るとともに吸引パイプ13の延在方向に対して直交する方向に延びる直線を直線Lとする。直線Lは、第1直線部521に沿って延びている。繊維束Fの綾振り運動の範囲は、直線Lを含むように設定されている。直線Lは、第1孔縁部51と交差している。直線Lと第1孔縁部51との交点を交点Qとする。
【0087】
第1スリット縁部71は、上流部71aと、下流部71bと、接続部71cとを有している。上流部71aは、直線状に延びている。上流部71aは、第1孔縁部51の上流部51aに対して平行に延びている。下流部71bは、繊維束Fの移動方向Xにおいて上流部71aよりも下流側に位置している。下流部71bは、第1孔縁部51の下流部51b及び接続部51cに対して平行に延びている。接続部71cは、上流部71aの下流側端部と下流部71bの上流側端部とを接続している。
【0088】
第2スリット縁部72は、上流部72aと、下流部72bと、接続部72cとを有している。上流部72aは、直線状に延びている。上流部72aは、第2孔縁部52の上流部52aの第1直線部521に対して平行に延びている。つまり、上流部72aは、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に沿って延びている。下流部72bは、繊維束Fの移動方向Xにおいて上流部72aよりも下流側に位置している。下流部72bは、第2孔縁部52の下流部52b及び接続部52cに対して平行に延びている。接続部72cは、上流部72aの下流側端部と下流部72bの上流側端部とを接続している。
【0089】
第1スリット縁部71の上流部71aと第2スリット縁部72の上流部72aとは対向している。第1スリット縁部71の下流部71bと第2スリット縁部72の下流部72bとは対向している。第1スリット縁部71の下流部71bと第2スリット縁部72の下流部72bとは平行に延びている。第1スリット縁部71の接続部71cと第2スリット縁部72の接続部72cとは対向している。
【0090】
繊維束Fの移動方向Xにおいて第1スリット縁部71の下流部71bと接続部71cとの接続部分よりも上流側では、第1スリット縁部71と第2スリット縁部72との間隔である吸引スリット64のスリット幅は、下流側から上流側に向かうにつれて大きくなっている。繊維束Fの移動方向Xにおける第1スリット縁部71の下流部71bと接続部71cとの接続部分よりも上流側での吸引スリット64のスリット幅は、吸引孔35の孔幅よりも大きい。
【0091】
繊維束Fの移動方向Xにおいて第1スリット縁部71の下流部71bと接続部71cとの接続部分よりも下流側では、吸引スリット64のスリット幅は一定である。繊維束Fの移動方向Xにおいて第1スリット縁部71の下流部71bと接続部71cとの接続部分よりも下流側でのスリット幅は、第1スリット縁部71の下流部71bと接続部71cとの接続部分よりも上流側でのスリット幅よりも小さい。本実施形態では、繊維束Fの移動方向Xにおける第1スリット縁部71の下流部71bと接続部71cとの接続部分よりも下流側での吸引スリット64のスリット幅は、繊維束Fの移動方向Xにおける第1直線部521と第2直線部522との接続部分よりも下流側での吸引孔35の孔幅と同じである。なお、「スリット幅は孔幅と同じである」には、スリット幅が吸引孔35及び吸引スリット64の製造公差の範囲内で孔幅と異なっている場合も含まれる。
【0092】
<吸引孔と吸引スリットとの関係>
第1スリット縁部71の下流部71bと接続部71cとの接続部分は、交点Qと重なっている。第1スリット縁部71の上流部71a及び接続部71cと、第2スリット縁部72の上流部72a及び接続部72cと、第3スリット縁部73とは、繊維束Fの移動方向Xにおいて交点Qよりも上流側に位置している。第1スリット縁部71の下流部71bと、第2スリット縁部72の下流部72bは、繊維束Fの移動方向Xにおいて交点Qよりも下流側に位置している。
【0093】
繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、孔縁部50の形状とスリット縁部70の形状とは異なっている。繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、吸引スリット64のスリット幅は、吸引孔35の孔幅よりも大きい。このため、第1スリット縁部71の上流部71a及び接続部71cは、第1孔縁部51よりも外側に位置している。第2スリット縁部72の上流部72a及び接続部72cは、第2孔縁部52よりも外側に位置している。また、第3スリット縁部73は、第3孔縁部53よりも外側に位置している。つまり、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、スリット縁部70は、孔縁部50よりも一回り外側に位置している。
【0094】
繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、孔縁部50とスリット縁部70との段差80が形成されている。本実施形態の段差80は、吸引パイプ13の外周面13aのうち、吸引スリット64によって露出した部分によって構成されている。これにより、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側では、隙間Sは、段差80の分だけ孔縁部50から離れている。
【0095】
第1孔縁部51の上流部51aと第1スリット縁部71の上流部71aとの段差80を第1段差部80aとする。第2孔縁部52の上流部52aの第1直線部521と第2スリット縁部72の上流部72aとの段差80を第2段差部80bとする。第1段差部80aの幅W80a及び第2段差部80bの幅W80bはそれぞれ、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差80の幅である。本実施形態では、第1段差部80aの幅W80aと第2段差部80bの幅W80bは同じである。
【0096】
第1実施形態と同様、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも下流側では、孔縁部50の形状とスリット縁部70の形状は同じである。繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも下流側では、吸引スリット64のスリット幅は、吸引孔35の孔幅と同じである。
【0097】
第1孔縁部51と第1スリット縁部71の下流部71bとは、隙間Sを介して、吸引パイプ13の第1パイプ構成部31と案内部材16の案内部60とが重なる方向に並んでいる。第2孔縁部52と第2スリット縁部72の下流部72bとは、隙間Sを介して、吸引パイプ13の第1パイプ構成部31と案内部材16の案内部60とが重なる方向に並んでいる。したがって、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも下流側では、孔縁部50とスリット縁部70との段差の幅はゼロである。すなわち、孔縁部50とスリット縁部70との段差は設けられていない。
【0098】
このように第2実施形態においても、交点Qを境界として、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差80の幅W80a,W80bは、交点Qよりも下流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差の幅よりも大きくなっている。
【0099】
第3実施形態では、第1実施形態の効果(1-1),(1-2)と同様の効果を得ることができる。
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0100】
○ 上記各実施形態では、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも下流側では、孔縁部50とスリット縁部70との段差の幅をゼロとすることにより段差を設けていなかったが、孔縁部50とスリット縁部70との段差を設けてもよい。ただし、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも下流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差の幅は、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側での孔縁部50とスリット縁部70との段差80の幅W80a,W80bよりも小さいものとする。
【0101】
○ 上記各実施形態では、第1段差部80aの幅W80aと第2段差部80bの幅W80bは同じであったが、第1段差部80aの幅W80aと第2段差部80bの幅W80bは同じでなくてもよい。
【0102】
図11及び
図12に示すように、第1段差部80aの幅W80aは、第2段差部80bの幅W80bよりも小さくてもよい。繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側において、繊維束Fは、第2孔縁部52及び第2スリット縁部72よりも、第1孔縁部51及び第1スリット縁部71の近傍を通過する。このため、第1段差部80aは、第2段差部80bよりも糸の品質に影響を及ぼしやすい。したがって、第1段差部80aの幅W80aを第2段差部80bの幅W80bよりも小さくすることによって、糸の品質の低下をより抑制できる。なお、
図11及び
図12は第1実施形態の変更例を示しているが、第2実施形態や第3実施形態で第1段差部80aの幅W80aを第2段差部80bの幅W80bよりも小さくしてもよい。
【0103】
○ 第3実施形態において、吸引孔35は、吸引パイプ13の延在方向と直交する方向に対して
図10の紙面左側に傾斜するように延びていてもよい。
○ 吸引孔35の形状を第3実施形態の吸引スリット64の形状にするとともに、吸引スリット64の形状を第3実施形態の吸引孔35の形状にしてもよい。つまり、第2実施形態のように、繊維束Fの移動方向Xにおける交点Qよりも上流側において吸引孔35を吸引スリット64よりも一回り大きくすることによって段差80を形成してもよい。この場合、段差80は、案内部材16の第1面60aのうち、吸引孔35から露出した部分によって構成される。
【符号の説明】
【0104】
10…繊維束集束装置、13…吸引パイプ、15…通気エプロン、16…案内部材、35…吸引孔、50…孔縁部、51…第1孔縁部、52…第2孔縁部、64…吸引スリット、70…スリット縁部、80…段差、100…紡機、110…ドラフト装置、350…上流側端点、F…繊維束、L…直線、Q…交点、X…繊維束の移動方向。