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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103234
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】蓄電デバイスおよび蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6551 20140101AFI20240725BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240725BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240725BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240725BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20240725BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240725BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240725BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20240725BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240725BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20240725BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240725BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20240725BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240725BHJP
   H01G 11/18 20130101ALI20240725BHJP
   H01M 50/14 20210101ALN20240725BHJP
【FI】
H01M10/6551
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/647
H01M10/6554
H01M10/04 Z
H01M50/103
H01M50/586
H01M50/593
H01M10/0525
H01M10/058
H01G11/12
H01G11/78
H01G11/18
H01M50/14
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007451
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】馬場 泰憲
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
5H029
5H031
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA11
5E078AB02
5E078HA05
5E078JA02
5E078JA07
5H011AA02
5H011CC06
5H011DD10
5H011DD21
5H011KK01
5H028AA07
5H028AA10
5H028CC01
5H028CC07
5H028CC08
5H028HH00
5H028HH05
5H029AJ00
5H029AK03
5H029AL07
5H029AM03
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ22
5H029DJ02
5H029DJ14
5H029HJ12
5H031AA02
5H031AA08
5H031AA09
5H031HH00
5H031HH08
5H031KK01
5H043AA04
5H043AA08
5H043AA09
5H043AA19
5H043BA01
5H043BA11
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA04
5H043GA22
5H043GA26
5H043JA15
5H043LA21
(57)【要約】
【課題】蓄電デバイスの温度調節(冷却または加熱)が効果的に行われ得る蓄電モジュールを提供する。
【解決手段】ここで開示される蓄電モジュール500は、複数の蓄電デバイス100と、温度調節部400とを備えている。蓄電デバイス100は、正極22および負極24を含む電極体20と、電解液と、電極体20及び該電解液を収容するケース10とを含む。ケース10は凹部12dが設けられた外側面を有する第1壁を備え、温度調節部400は上記第1壁の上記外側面と対向するように配置されており、電極体20の積層端面20aが上記第1壁の内側面と対向する向きに配置されている。
【選択図】図6D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電デバイスと、
温度調節部と
を備える蓄電モジュールであって、
前記蓄電デバイスは、
正極および負極を含む電極体と、
電解液と、
前記電極体及び前記電解液を収容するケースと
を含み、
前記ケースは凹部が設けられた外側面を有する第1壁を備え、
前記温度調節部は前記第1壁の前記外側面と対向するように配置されており、
前記電極体の積層端面が前記第1壁の内側面と対向する向きに配置されている、
蓄電モジュール。
【請求項2】
前記温度調節部の一部が前記凹部内に配置されている、請求項1に記載の蓄電モジュール。
【請求項3】
前記第1壁の前記外側面における前記凹部の開口面積を含む平面面積に対する前記凹部の個数が1個/cm以上である、請求項1または2に記載の蓄電モジュール。
【請求項4】
前記第1壁が前記ケースの底壁であり、
前記蓄電デバイスが満充電のとき、前記ケースと前記電極体の間に位置する前記電解液の液面の高さが、前記ケースの高さの1/5以上である、
請求項1または2に記載の蓄電モジュール。
【請求項5】
前記ケースの外面は、絶縁シートで覆われており、
前記凹部には、前記絶縁シートが配置されていない、
請求項1または2に記載の蓄電モジュール。
【請求項6】
前記第1壁が前記ケースの矩形状の底壁であり、
前記底壁は、複数の前記凹部が前記底壁の長辺方向に並ぶ列を有し、
前記底壁の短辺方向において、前記列が複数設けられ、
複数の前記凹部は離間して配置されている、
請求項1または2に記載の蓄電モジュール。
【請求項7】
前記第1壁の内側面には、前記凹部に対応した凸部が設けられており、
前記凸部が前記電極体に直接もしくは絶縁部材を介して接している、
請求項1または2に記載の蓄電モジュール。
【請求項8】
正極および負極を含む電極体と、
電解液と、
前記電極体及び前記電解液を収容するケースと
を備える蓄電デバイスであって、
前記ケースは凹部が設けられた外側面を有する第1壁を備え、
前記電極体の積層端面が前記第1壁の内側面と対向する向きに配置されている、
蓄電デバイス。
【請求項9】
前記第1壁の外側面における前記凹部の開口面積を含む平面面積に対する前記凹部の個数が1個/cm以上である、請求項8に記載の蓄電デバイス。
【請求項10】
前記第1壁が前記ケースの底壁であり、
前記蓄電デバイスが満充電のとき、前記ケースと前記電極体の間に位置する前記電解液の液面の高さが、前記ケースの高さの1/5以上である、請求項8または9に記載の蓄電デバイス。
【請求項11】
前記第1壁が前記ケースの矩形状の底壁であり、
前記底壁は、複数の前記凹部が前記底壁の長辺方向に並ぶ列を有し、
前記底壁の短辺方向において、前記列が複数設けられ、
複数の前記凹部は離間して配置されている、
請求項8または9に記載の蓄電デバイス。
【請求項12】
前記第1壁の内側面には、前記凹部に対応した凸部が設けられており、
前記凸部が前記電極体に直接もしくは絶縁部材を介して接している、
請求項8または9に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイスおよび蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-089812号公報には、二次電池と、冷却器と、当該二次電池と当該冷却器との間に配置される熱伝導部材とを備える電池モジュールが開示されている。当該二次電池のケースの当該冷却器との対向壁には、ケースの内側に向かって窪んだ凹溝が形成されている。上記熱伝導部材は当該凹溝内を含む上記対向壁と上記冷却器との間を満たしている。かかる構成によれば、ケースの変形の抑制と冷却性能の低下の抑制との双方を達成可能となる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-089812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の蓄電デバイス(例えば二次電池)を備える蓄電モジュール(例えば組電池)では、大電流の充放電が続いた場合や、何らかの異常(内部短絡等)が発生した場合等に、個々の蓄電デバイスが高温になることがある。また、蓄電デバイスが高容量になるほど、自然放熱や温度調節機構を用いた冷却効果が小さくなる。
【0005】
そこで、本開示は、蓄電デバイスの温度調節(冷却または加熱)が効果的に行われ得る蓄電モジュールを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示される蓄電モジュールは、複数の蓄電デバイスと、温度調節部とを備えている。上記蓄電デバイスは、正極および負極を含む電極体と、電解液と、該電極体及び該電解液を収容するケースとを含む。上記ケースは凹部が設けられた外側面を有する第1壁を備え、上記温度調節部は上記第1壁の上記外側面と対向するように配置されており、上記電極体の積層端面が上記第1壁の内側面と対向する向きに配置されている。
【0007】
かかる構成によれば、蓄電デバイスの第1壁の外側面に凹部が設けられていることにより、第1壁の外側面の表面積が増大し、該外側面と対向して配置された温度調節部との熱交換効率が向上する。これにより、効果的に蓄電デバイスの温度調整(冷却または加熱)を行うことができる。また、電極体の積層端面が第1壁の内側面に対向する向きに配置されていることで、電極体が温度調節部からの冷却または加熱の影響を受け易くなり、効果的に電極体の温度調節を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す分解斜視図である。
図2】一実施形態に係る蓄電デバイスの構成を模式的に示す縦断面図である。
図3】一実施形態に係る蓄電デバイスの構成を模式的に示す横断面図である。
図4図2のIV-IV線に沿う模式的な縦断面図である。
図5】一実施形態に係る電極体の構成を示す模式図である。
図6A】一実施形態に係る蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の配置パターンを模式的に示す平面図である。
図6B】一実施形態に係る蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の形状を模式的に示す平面図である。
図6C】一実施形態に係る蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の形状を模式的に示す断面図である。
図6D】一実施形態に係る蓄電デバイスのケースの底壁と温度調節部との配置を示す模式図である。
図7A】変形例1における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の配置パターンを模式的に示す平面図である。
図7B】変形例1における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の形状を模式的に示す平面図である。
図7C】変形例1における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の形状を模式的に示す断面図である。
図8A】変形例2における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の配置パターンを模式的に示す平面図である。
図8B】変形例2における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の形状を模式的に示す平面図である。
図8C】変形例2における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の形状を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、ここで開示される技術のいくつかの好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、ここで開示される技術を特徴付けない蓄電デバイスの一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において範囲を示す「A~B(ここでA、Bは任意の数値)」の表記は、「A以上B以下」を意味すると共に、「Aを超えてB未満」、「Aを超えてB以下」、および「A以上B未満」の意味を包含する。
【0010】
なお、本明細書において「蓄電デバイス」とは、充電と放電とを行うことができるデバイスをいう。蓄電デバイスには、一次電池、二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池)等の電池と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)とが包含される。
【0011】
図1は、一実施形態に係る蓄電モジュール500を模式的に示す分解斜視図である。図2は、蓄電デバイス100の構成を模式的に示す縦断面図である。図2の電極体20は説明のため一部破断した状態を示している。図3は、蓄電デバイス100の構成を模式的に示す横断面図である。図4は、図2のIV-IV線に沿う模式的な縦断面図である。図5は、電極体20の構成を示す模式図である。なお、以下の説明において、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表す。また、図面中の符号Xは、蓄電デバイス100の短辺方向(厚み方向)を示し、符号Yは、短辺方向と直交する蓄電デバイス100の長辺方向を示し、符号Zは、蓄電デバイス100の上下方向を示す。短辺方向Xは、蓄電デバイス100の配列方向でもある。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、蓄電デバイス100および蓄電モジュール500の設置形態を何ら限定するものではない。
【0012】
蓄電モジュール500は、ここでは、複数の蓄電デバイス100と、複数のスペーサ200と、拘束機構300と、温度調節部400とを備えている。蓄電モジュール500は、所定の方向に沿って配列された複数の蓄電デバイス100を備える。具体的には、隣接する蓄電デバイス100の厚み方向Xの面同士が対向するように配列されている。即ち、ここでは厚み方向Xに沿って複数の蓄電デバイス100が配列(積層)されている。また、図示は省略しているが、複数の蓄電デバイス100はバスバ等の導電部材によって電気的に接続され得る。バスバは各蓄電デバイスの正極端子部材または負極端子部材と電気的に接続される。このとき、バスバは複数の蓄電デバイスを直列、並列、又は多直列多並列に蓄電デバイス100を接続してもよい。
【0013】
蓄電モジュール500において、隣接する蓄電デバイス100の間にはスペーサ200が配置されている。スペーサ200は、隣接する蓄電デバイス100の対向面における拘束圧の均一化に寄与し得る。スペーサ200は、例えば樹脂材料で構成され得る。樹脂材料としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、シリコン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。なお、スペーサ200は必須の構成ではない。
【0014】
拘束機構300は、複数の蓄電デバイス100と複数のスペーサ200とに対して、配列方向Xから規定の拘束圧を印加するように構成されている。拘束機構300は、ここでは、一対のエンドプレート310と、一対のサイドプレート320と、複数のビス330とを含む。一対のエンドプレート310は、所定の配列方向Xに並んでいる。一対のエンドプレート310は、配列方向Xにおいて蓄電モジュール500の両端に配置されている。蓄電デバイス100は、一対のエンドプレート310の間に、配列方向Xに沿って配置されている。一対のエンドプレート310は、複数の蓄電デバイス100と複数のスペーサ200とを配列方向Xに挟み込んでいる。
【0015】
一対のサイドプレート320は、一対のエンドプレート310を架橋している。一対のサイドプレート320は、例えば、拘束荷重が概ね10~15kN程度となるように、複数のビス330によってエンドプレート310に固定されている。これにより、複数の蓄電デバイス100と複数のスペーサ200とに対して配列方向Xから拘束荷重が印加され、蓄電モジュール500が一体的に保持されている。ただし、拘束機構はこれに限定されるものではない。拘束機構300は、例えばサイドプレート320に代えて、複数の拘束バンドやバインドバー等を備えていてもよい。なお、拘束機構300は必須の構成ではない。
【0016】
図2に示すように、蓄電デバイス100は、ケース10と、電極体20と、電解液(図示は省略)とを備えている。ここでは、蓄電デバイス100は、正極端子30と、負極端子40と、正極集電部材50と、外部正極集電部材52と、負極集電部材60と、外部負極集電部材62と、ガスケット92と、内部絶縁部材94とを備え得る。蓄電デバイス100は、ここではリチウムイオン二次電池である。
【0017】
ケース10は、電極体20および電解液を収容する筐体である。ケース10は、第1壁を含む有底の箱型形状であり得る。第1壁は、蓄電モジュール500において、温度調節部400と対向する壁である。ケース10は、扁平かつ有底の直方体形状(角形)の外形を有することが好ましい。しかしながら、ケース10はこれに限定されず、円柱状、角柱状等であってよい。ケース10の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。ケース10は、金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等からなることがより好ましい。
【0018】
図2に示すように、ケース10は、開口12hを有する外装体12と、開口12hを封口する封口板(蓋体)14と、を備えている。ケース10は、外装体12と封口板14とを含むことが好ましい。外装体12および封口板14は、電極体20のサイズや、収容数(1つまたは複数。ここでは複数。)等に応じた大きさを有している。
【0019】
外装体12は、上面に開口12hを有する有底かつ角型の容器である。外装体12は、略矩形状の底壁12aと、底壁12aの長辺から延び相互に対向する一対の第1側壁12b(図3参照)と、底壁12aの短辺から延び相互に対向する一対の第2側壁12c(図2、3参照)と、を備えている。底壁12aは、開口12h(図2参照)と対向している。ここでは、第1側壁12bは、第2側壁12cよりも面積が大きい。本実施形態では、底壁12aが上述した第1壁である。そのため、本実施形態において、「底壁12a」を「第1壁」と読み替えて本技術は理解され得る。蓄電モジュール500において、底壁12aが温度調節部と対向するように蓄電デバイス100が配置される。ただし、第1壁は底壁12aに限定されず、第1側壁12b、第2側壁12c、または封口板14であってもよい。
【0020】
封口板14は、外装体12の開口12hを塞ぐように外装体12に取り付けられた板状部材である。封口板14は、外装体12の底壁12aと対向している。封口板14は、略矩形状である。ケース10は、外装体12の開口12hの周縁に封口板14が接合(例えば溶接接合)されることによって、一体化されている。これによって、ケース10は気密に封止(密閉)されている。
【0021】
図2に示すように、封口板14には、注液孔15と、ガス排出弁17と、端子引出孔18、19と、が設けられている。注液孔15は、外装体12に封口板14を組み付けた後、ケース10の内部に電解液を注液するための貫通孔である。注液孔15は、電解液の注液後に封止部材16によって封止されている。ガス排出弁17は、ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、ケース10内のガスを外部に排出するように構成された薄肉部である。端子引出孔18、19は、封口板14の長辺方向Yの両端部にそれぞれ形成されている。端子引出孔18、19は、封口板14を上下方向Z(封口板14の厚み方向)に貫通する貫通孔である。
【0022】
図2に示すように、底壁12aの外側面12a1には複数の凹部12dが設けられている。凹部12dは、底壁12aの外側面12a1から底壁12aの内側面12a2に向かって凹んでいる。本実施形態では、凹部12dは、底面12eを有している。これにより、底壁12aの外側面12a1の表面積が増大し、温度調節部400との熱交換効率が向上する。そのため、効果的に蓄電デバイス100の温度調整(冷却または加熱)を行うことができる。なお、凹部12dは1つであってもよい。凹部12dは、例えばプレス成型により設けられる。なお、各図の凹部12dは模式的に示したものであり、その形状、数、配置等は各図間で必ずしも対応するものではない。
【0023】
凹部12dの個数は、凹部12dが設けられた底壁12aの外側面12a1における凹部12dの開口面積を含む平面面積(即ち、底壁12aの外側面12a1の凹部12dが設けられていないときの面積)に対して、1個/cm以上であることが好ましく、1.5個/cm以上、2個/cm以上であり得る。これにより、底壁12aの外側面12a1の表面積が増大し、蓄電デバイス100をより効果的に冷却または加熱することができる。
【0024】
本実施形態では、底壁12aの内側面12a2には、凹部12dに対応した凸部12fが設けられている。凸部12fは底壁12aの内側面12a2から電極体20側に向かって突出している。凸部12fは、ここでは絶縁部材である樹脂シート29を介して電極体20と接触している。なお、凸部12fは、直接電極体20と接触してもよい。ここでは、凸部12fの先端面12gが電極体20に接している。凸部12fの先端面12gは、凹部12dの底面12eと対向している。凸部12fが電極体20と接していることで、温度調節部400による冷却または加熱が電極体20に伝わり易くなる。なお、凸部12fは必須の構成ではない。また、凸部12fは先端面12gを有さなくてもよい。
【0025】
図6Aは底壁12aの凹部12dの配置パターンを模式的に示す平面図であり、底壁12aの外側面12a1側から見た図である。図6Bは、凹部12dの形状を模式的に示す平面図であり、底壁12aの外側面12a1側から見た図である。図6Cは、凹部12dの形状を模式的に示す断面図である。図6Dは、底壁12aと温度調節部400との配置を示す模式図である。
【0026】
図6Aに示すように、本実施形態では、底壁12aは、複数の凹部12dが底壁12aの長辺方向Yに並ぶ列Aを有する。1列に並ぶ凹部12dの数は特に限定されず、例えば、2~50個、好ましくは10~40個であり得る。列Aにおいて、複数の凹部12dは離間して配置されることが好ましい。また、隣接する凹部12dの間隔は一定であることが好ましい。これにより、凹部12dが列Aにおいて均一に配置されるため、より均一に蓄電デバイス100の温度調節をすることができる。なお、凹部12d形成時に発生し得る不可避的なズレが生じ得るため、隣接する凹部12dの間隔は厳密に一定でなくてよく、例えば、列Aにおいて隣接する凹部12dの間隔の平均値に対して5%までのズレは許容され得る。
【0027】
図6Aに示すように、底壁12aは、短辺方向Xにおいて列Aを複数有している。ここでは、列Aが3列形成されているが、その数は特に限定されない。例えば、列Aは1列であってよく。2列以上の複数(例えば2~10列)であってよいが、列Aが複数であることが好ましい。これにより、底壁12aに多くの凹部12dが設けられ、底壁12aの外側面12a1の表面積が増大するため、より効果的に蓄電デバイス100を冷却または加熱することができる。なお、各列で凹部12dの数は異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0028】
隣接する列Aの間隔は一定であることが好ましい。これにより、凹部12dが短辺方向Xにおいてより均一に配置されるため、より均一に蓄電デバイス100を冷却または加熱することができる。なお、上述したように、凹部12d形成時に不可避的なズレが生じ得るため、例えば、列Aの間隔についても隣接する列Aの間隔の平均値に対して5%までのズレは許容され得る。
【0029】
凹部12dの形状は特に限定されるものではないが、図6A図6Dに示すように、本実施形態では、円錐台状の凹部12dが設けられている。凹部12dは、底壁12aの外側面12a1から凹部12dの底面12eに向かって徐々に狭くなっている。凹部12dは、底壁12aの外側面12a1と凹部12dの底面12eとの間に側面12iを有している。
【0030】
図6B図6Cに示すように、凹部12dの開口は、平面視において半径Rを有する円形である。半径Rは、特に限定されないが、例えば1mm以上、1.5mm以上、2mm以上、または2.5mm以上であり得る。また、半径Rは、例えば、5mm以下、4.5mm以下、4mm以下、または3.5mm以下であり得る。
【0031】
図6Cに示すように、凹部12dの高さH(深さ)は、特に限定されないが、例えば、1mm以上、1.5mm以上、または2mm以上であり得る。これにより、底壁12aの外側面12a1の表面積が増大し、蓄電デバイス100をより効果的に冷却または加熱することができる。また、凹部12dの高さHは、例えば、5mm以下、4mm以下、または3mm以下であり得る。蓄電デバイス100の底壁12aの内側面12a2に凹部12dに対応する凸部12fを有する場合、凹部12dの高さHが高すぎると、ケース10内部の電極体20の収容スペースが狭くなり、エネルギー密度が低くなり得る。なお、凸部12fの高さは、凹部12dの高さHと同じである。
【0032】
凹部12dの開口を基準にしたときの凹部12dの側面12iの角度θ(図6C参照)は、特に限定されないが、例えば、15°以上、30°以上、または45°以上であり得る。また、上記角度θは、例えば、90°以下、75°以下、または60°以下であり得る。凹部12dをプレス成型で設ける場合には、成型のし易さの観点から、角度θが90°以下であることが好ましい。
【0033】
平面視において、底壁12a(第1壁)の外側面12a1における凹部12dの開口面積を含む平面面積Sを100%としたとき、凹部12dの開口面積S1の合計割合は、例えば10%以上であって、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。これにより、底壁12aの外側面12a1の表面積が十分に増大し、より効果的に蓄電デバイス100を冷却または加熱することができる。なお、平面視において、底壁12aの外側面12a1における凹部12dの開口面積を含む平面面積Sを100%としたとき、凹部12dの開口面積S1の合計割合は、例えば、60%以下であって、50%以下、または40%以下であり得る。凹部12dの開口面積の割合が高すぎる場合には、ケース10の底壁12aの強度が損なわれ得る。
なお、本明細書において、凹部12dの底面12eおよび側面12iの合計面積を凹部12dの内部面積といい、凹部12dの開口面積は、当該内部面積を含まない開口の面積をいう(図6C参照)。
【0034】
底壁12a(第1壁)の外側面12a1における表面積(凹部12dの開口面積を含まず、凹部12dの内部面積を含む)に対する凹部12dの内部面積の合計割合は、例えば、20%以上であって、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。これにより、底壁12aの外側面12a1の表面積が十分に増大し、より効果的に蓄電デバイス100を冷却または加熱することができる。また、底壁12a(第1壁)の外側面12a1における表面積に対する凹部12dの内部面積の割合は、例えば、80%以下であって、好ましくは70%以下である。
【0035】
蓄電デバイス100の冷却または加熱の効率化は、特に、蓄電デバイス100のサイズが大きい場合に求められ、本技術は、このような場合にも高い効果を発揮する。そのため、底壁12aの外側面12a1における凹部12dの開口面積を含む平面面積Sは、例えば、50cm以上、100cm以上、120cm以上であり得る。
【0036】
図2~4に示すように、本実施形態では、ケース10の外面は絶縁シート96で覆われている。絶縁シート96は、蓄電モジュール500が浸水した場合等にケース10の絶縁を担保する。本実施形態では、第1側壁12bの外側面および第2側壁12cの外側面が絶縁シート96で覆われている。また、絶縁シート96は、底壁12aの外側面12a1にも配置されていてもよい。なお、凹部12dには絶縁シート96が配置されていないことが好ましい。凹部12dに絶縁シート96が配置されないことにより、蓄電デバイス100の冷却または加熱を効果的に行うことができ得る。絶縁シート96は樹脂で構成されており、例えば、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン等で構成され得る。
【0037】
正極端子30は、封口板14の長辺方向Yの一方の端部(図2の左端部)に取り付けられている。負極端子40は、封口板14の長辺方向Yの他方の端部(図2の右端部)に取り付けられている。正極端子30および負極端子40は、封口板14に取り付けられていることが好ましい。正極端子30および負極端子40は、端子引出孔18、19に挿通され、一部が封口板14の表面に露出している。正極端子30および負極端子40は、バスバ等の外部接続部材を介して、他の蓄電デバイスや外部機器と電気的に接続される。
【0038】
正極端子30は、図2に示すように、ケース10の内部で、正極集電部材50および後述する正極タブ群22g(すなわち、積層された複数の正極タブ22t)を介して、電極体20の正極22(図5参照)と電気的に接続されている。また、正極端子30は、ケース10の外部で、外部正極集電部材52と電気的に接続している。正極端子30は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。負極端子40は、ケース10の内部で、負極集電部材60および後述する負極タブ群24g(すなわち、積層された複数の負極タブ24t)を介して、電極体20の負極24(図5参照)と電気的に接続されている。また、負極端子40は、ケース10の外部で、外部負極集電部材62と電気的に接続している。負極端子40は、金属製であることが好ましく、例えば銅または銅合金からなることがより好ましい。正極端子30および負極端子40は、ガスケット92によって封口板14と絶縁されている。ガスケット92は、樹脂製であることが好ましい。
【0039】
正極集電部材50は、導電部材であり、ここでは封口板14に付設されている。正極集電部材50は、図2に示すように、樹脂製の内部絶縁部材94によって封口板14の内側面と絶縁されている。正極集電部材50は、電極体20の正極タブ群22gと正極端子30とを電気的に接続している。正極集電部材50は、封口板14の内側面に沿って長辺方向Yに延びる板状の第1領域を有する。正極集電部材50(詳しくは第1領域)の長辺方向Yの一方(図2の右側)の端部は、正極タブ群22gと電気的に接続されている。正極集電部材50(詳しくは第1領域)の長辺方向Yの他方(図2の左側)の端部は、正極端子30の下端部30cと電気的に接続されている。正極集電部材50は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましく、例えばアルミニウムやアルミニウム合金で構成されている。正極集電部材50は、正極タブ22t及び/又は正極端子30と同種の金属で構成されていてもよい。
【0040】
外部正極集電部材52は、導電部材であり、ケース10の外部で正極端子30と電気的に接続している。ここでは、外部正極集電部材52は、ガスケット92によって、封口板14の外側面と絶縁されている。外部正極集電部材52は、封口板14の外側面に沿って両辺方向Yに延びる板状部を有する。該板状部には、バスバ等の導電部材が接続され得る。外部正極集電部材52は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましく、例えばアルミニウムやアルミニウム合金で構成されている。外部正極集電部材52は、正極端子30と同種の金属で構成され得る。なお、外部正極集電部材52は必須の構成ではない。
【0041】
負極集電部材60は、導電部材であり、ここでは封口板14に付設されている。負極集電部材60は、樹脂製の内部絶縁部材94によって封口板14の内側面と絶縁されている。負極集電部材60は、電極体20の負極タブ群24gと負極端子40とを電気的に接続している。負極集電部材60は、図2に示すように、封口板14の内側面に沿って長辺方向Yに延びる板状の第1領域を有する。負極集電部材60(詳しくは第1領域)の長辺方向Yの一方(図2の左側)の端部は、負極タブ群24gと電気的に接続されている。負極集電部材60(詳しくは第1領域)の長辺方向Yの他方(図2の右側)の端部は、負極端子40の下端部40cと電気的に接続されている。負極集電部材60は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましく、例えば銅や銅合金で構成されている。負極集電部材60は、負極タブ24t及び/又は負極端子40と同種の金属で構成されていてもよい。
【0042】
外部負極集電部材62は、導電部材であり、ケース10の外部で負極端子40と電気的に接続している。ここでは、外部負極集電部材62は、ガスケット92によって、封口板14の外側面と絶縁されている。外部負極集電部材62は、封口板14の外側面に沿って両辺方向Yに延びる板状部を有する。該板状部には、バスバ等の導電部材が接続され得る。外部負極集電部材62は、導電性に優れた金属から構成されていることが好ましく、例えば銅や銅合金で構成されている。外部負極集電部材62は、負極端子40と同種の金属で構成され得る。なお、外部負極集電部材62は必須の構成ではない。
【0043】
図3図4に示すように、本実施形態の蓄電デバイス100では、ケース10内に複数個(具体的には2個)の電極体20が収容されている。ただし、1つのケース10内に配置される電極体20の数は特に限定されず、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。電極体20は、ここでは絶縁性を有する樹脂シート29(絶縁部材)に覆われた状態で、ケース10の内部に配置されている。これによって、電極体20が外装体12と直接接触することが防止されている。樹脂シート29は、例えば、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン等で構成され得る。また、樹脂シート29は、袋状または箱状となるよう構成されてもよい。
【0044】
図2、5に示すように、電極体20は、第1の積層端面20aを有する。積層端面は、正極の端部と、負極の端部とが配置される面である。積層端面は、セパレータで覆われていない(即ち正極22の端部および負極24の端部が露出している)ことが好ましい。本実施形態では、電極体20は捲回電極体である。捲回電極体において、積層端面は捲回軸に対して垂直な面である。
【0045】
なお、図5における符号LDは、帯状に製造される電極体20の長手方向を示している。長手方向LDのうち、捲回始端側はS、捲回終端側はEと示している。また、図5の符号WDは、長手方向LDと直交する方向であり、電極体20の捲回軸方向を示している。捲回軸方向WDは、ここでは蓄電デバイス100の上下方向Zと略平行である。
【0046】
電極体20は、図2、3に示すように、外形が扁平形状である。扁平形状の電極体20は、外表面が湾曲した一対の湾曲部20rと、一対の湾曲部20rを連結する外表面が平坦な平坦部20fと、を有している。電極体20は、図5に示すように、捲回軸方向WDに対して垂直な第1の積層端面20aと第2の積層端面20bを有している。第1の積層端面20aと第2の積層端面20bは対向している。第1の積層端面20aは、正極タブ22tおよび負極タブ24tが形成されていない側の積層端面である。第2の積層端面20bは、正極タブ22tおよび負極タブ24tが形成されている積層端面である。第1の積層端面20aは、電極体20は、第1の積層端面20aが底壁12aの内側面12a2と対向する向きに配置されている。換言すれば、電極体20は、捲回軸方向WDが封口板14および底壁12aと垂直な向きで、ケース10の内部に収容されている。このとき、第2の積層端面20bは、封口板14と対向している。図3に示すように、一対の湾曲部20rは、外装体12の一対の第2側壁12cと対向し、平坦部20fは、外装体12の第1側壁12bと対向している。積層端面(第1の積層端面20aまたは第2の積層端面20b、好ましくは第1の積層端面20a)が底壁12a(第1壁)と対向することにより、蓄電デバイス100の温度(特に電極体20の温度)を効果的に冷却または加熱することができる。これは、積層端面は正極22の端部または負極24の端部が配置されており、電極体20の内部まで温度が伝わり易いからである。
【0047】
なお、電極体20は、積層端面を有していれば、捲回電極体に限定されない。他の実施形態において、例えば、電極体20は、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の正極と、複数枚の方形状(典型的には矩形状)の負極とが、絶縁された状態で積み重ねられてなる積層型電極体であってもよい。積層型電極体の積層端面を第1壁の内側面に対向させるように配置することで、本技術の効果が発揮される。
【0048】
図5に示すように、電極体20は、帯状の第1セパレータ26と、帯状の負極24と、帯状の第2セパレータ27と、帯状の正極22とが積層され、捲回軸WLの周りに捲回されて構成されている。
【0049】
正極22は従来と同様でよく、特に制限はない。正極22は、図5に示すように、正極集電箔22cと、正極集電箔22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aを有する。正極集電箔22cは、帯状である。正極集電箔22cは、金属製であることが好ましく、金属箔からなることがより好ましい。正極集電箔22cは、ここではアルミニウム箔である。
【0050】
正極集電箔22cの捲回軸方向WD(長手方向LDと垂直な幅方向)の一方の端部には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、捲回軸方向WDの一方側に向かって突出している。複数の正極タブ22tは、第1セパレータ26および第2セパレータ27よりも捲回軸方向WDに突出している。正極タブ22tは、ここでは正極集電箔22cの一部であり、金属箔(アルミニウム箔)からなっている。複数の正極タブ22tは捲回軸方向WDの一方の端部で積層され、正極タブ群22gを構成している。正極タブ群22gは、第2の積層端面20bに設けられている。正極タブ群22gは、正極集電部材50を介して正極端子30と電気的に接続されている。
【0051】
正極活物質層22aは、図5に示すように、正極集電箔22cの長手方向LDに沿って、帯状に設けられている。正極活物質層22aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な正極活物質を含んでいる。正極活物質としては、例えばリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。正極活物質層22aは、正極活物質以外の任意成分、例えば、バインダ、導電材、等の各種添加成分を含んでいてもよい。
【0052】
負極24は従来と同様でよく、特に制限はない。負極24は、図5に示すように、負極集電箔24cと、負極集電箔24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aと、を有する。負極集電箔24cは、帯状である。負極集電箔24cは、金属製であることが好ましく、金属箔からなることがより好ましい。負極集電箔24cは、ここでは銅箔である。
【0053】
負極集電箔24cの捲回軸方向WD(長手方向LDと垂直な幅方向)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、捲回軸方向WDの一方側に向かって突出している。複数の負極タブ24tは、第1セパレータ26および第2セパレータ27よりも捲回軸方向WDに突出している。負極タブ24tは、ここでは負極集電箔24cの一部であり、金属箔(銅箔)からなっている。複数の負極タブ24tは捲回軸方向WDの一方の端部で積層され、負極タブ群24gを構成している。負極タブ群24gは、捲回軸方向WDにおいて正極タブ群22gが設けられた端部と同じ側の端部に設けられている。負極タブ群24gは、第2の積層端面20bに設けられている。負極タブ群24gは、負極集電部材60を介して負極端子40と電気的に接続されている。
【0054】
負極活物質層24aは、図5に示すように、負極集電箔24cの長手方向LDに沿って、帯状に設けられている。負極活物質層24aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な負極活物質を含んでいる。負極活物質としては、例えば黒鉛等の炭素材料が挙げられる。負極活物質層24aは、負極活物質以外の任意成分、例えば、バインダ、増粘剤、分散剤、等の各種添加成分を含んでいてもよい。
【0055】
第1セパレータ26は、正極22と負極24との間に配置されている。第1セパレータ26は、正極22と負極24とを絶縁する部材である。第2セパレータ27は電極体20の最外層に配置されている。また、捲回された電極体20の内部では第2セパレータ27は正極22と負極24との間に配置されている。第2セパレータ27は、電極体20内部で正極22と負極24とを絶縁する部材である。第1セパレータ26、第2セパレータ27としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる樹脂製の多孔性シートが好適である。
【0056】
電解液としては、一般的な蓄電デバイスで使用されるものを特に制限なく使用できる。一例として、非水系溶媒に支持塩を溶解させた非水電解液が挙げられる。リチウムイオン二次電池に使用される非水電解液では、非水系溶媒として、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系溶媒が使用され得る。また、支持塩としては、例えばLiPF等のフッ素含有リチウム塩が使用され得る。電解液は、必要に応じて添加剤を含有してもよい。
【0057】
電解液の量は特に限定されないが、蓄電デバイス100が満充電(即ち、state of charge(SOC)が100%)のとき、ケース10と電極体20との間に位置する電解液の液面の高さが、ケース10の高さの1/5以上であることが好ましく、2/5以上であることがより好ましい。なお、かかる電解液の液面の高さは、ケース10の第1壁(ここでは底壁12a)を鉛直方向(重力方向)に設置したときの液面の高さのことをいう。また、ケース10の高さは、ケース10の第1壁の内側面(ここでは、底壁12aの内側面12a2)からの高さ上下方向Zの高さのことをいう。ケース10と電極体20との間に位置する電解液の量が多いことで、蓄電デバイス100をより効果的に冷却または加熱することができる。
【0058】
温度調節部400は、蓄電デバイス100の第1壁の外側面と対向するように配置される。好ましくは、温度調節部400は、蓄電デバイス100の外側面と接触している。図6Dに示すように、本実施形態では、温度調節部400は、複数の蓄電デバイス100の底壁12aの外側面12a1と対向するように配置されている。温度調節部400は、複数の蓄電デバイス100を冷却及び/又は加熱できるものであればよい。本実施形態では、図1に示すように、温度調節部400は、薄肉部410と、厚肉部420と、凸部432と、凸部432が複数集合した凸部群430とを備える。図6Dに示すように、本実施形態では、厚肉部420の内部には、空洞部422が設けられている。空洞部422には、例えば、冷却媒または加熱媒の温度調節媒体が充填されている。薄肉部410および厚肉部420は、熱伝導材料で構成されていることが好ましく、例えば、アルミニウムで構成されている。
【0059】
図1に示すように、薄肉部410は、吸入口412と、排出口414とを備える。吸入口412は、温度調節媒体を温度調節部400の内部に供給する部分である。供給された温度調節媒体は、厚肉部420の空洞部422へと供給される。排出口414は、空洞部422の温度調節媒体を温度調節部400から排出する部分である。なお、排出口414から排出された温度調節媒体が、再度吸入口412へと導入されるようにし、温度調節媒体を循環させてもよい。この場合、排出口414から排出された温度調節媒体が吸入口412へと導入されるまでの間に、温度調節媒体を冷却または加熱するとよい。
【0060】
温度調節媒体は、液体であってもよく、気体であってもよい。温度調節媒体として使用される液体としては、例えば、水、冷却材等が挙げられる。温度調節媒体として使用される気体としては、例えば、空気が挙げられる。
【0061】
なお、温度調節部400は上述したような温度調節媒体を利用したものに限定されない。例えば、温度調節部400は電熱線を含んでいてもよい。
【0062】
温度調節部400の一部は、蓄電デバイス100の底壁12a(第1壁)の外側面12a1の凹部12dの内部に配置されていることが好ましい。これにより、より効果的に蓄電デバイス100を冷却または加熱することができる。本実施形態では、図1図6Dに示すように、厚肉部420の蓄電デバイス100の第1壁と対向する表面には、複数の凸部432が設けられている。図6Dに示すように、該凸部432は、厚肉部420の表面から蓄電デバイス100の底壁12aの外側面12a1に向かって突出している。温度調節部400の凸部432の少なくとも一部は、底壁12aの凹部12dの内部に配置されている。温度調節部400の凸部432は、凹部12dの形状と対応するように設けられている。
【0063】
図1に示すように、温度調節部400は、複数の凸部432が集合した凸部群430を複数有している。複数の凸部群430では、それぞれ対向する蓄電デバイス100の底壁12aの凹部12dの位置に対応するように凸部432が配置されている。凸部群430の数は、蓄電モジュール500が備える蓄電デバイス100の数と同数であり得る。しかしながら、蓄電デバイス100の底壁12aに必ずしも凸部群430が対向する必要はなく、蓄電モジュール500が備える蓄電デバイス100の数よりも凸部群430が少なくてもよい。
【0064】
空洞部422は、温度調節部400の凸部432の内部にも設けられていることが好ましい。これにより、凸部432の内部にも温度調節媒体が供給され、より効果的に蓄電デバイス100を冷却または加熱することができる。
【0065】
温度調節部400は、少なくとも1つの蓄電デバイス100の第1壁と接触する表面に熱伝導部材を備えていてもよい。熱伝導部材は、公知のものを使用することができ、例えば、シリコンゴム等で構成され得る。なお、熱伝導部材の形状は特に限定されず、例えば、シート状であり得る。温度調節部400が熱伝導部材を備えることで、温度調節部400と蓄電デバイス100の第1壁の外側面との間に生じ得る隙間を埋めることができるため、蓄電デバイス100の冷却または加熱をより効果的に行うことができる。
【0066】
蓄電モジュール500は各種用途に利用可能であるが、例えば、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)等が挙げられる。
【0067】
以上、本技術の好適な実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本技術は、他にも種々の形態にて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形例に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形例を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0068】
例えば、上記した実施形態では、ケース10の底壁12aの外側面12a1に設けられた凹部12dの形状は円錐台状であった。しかしながら、凹部12dの形状これに限定されない。図7Aは、変形例1における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の配置パターンを模式的に示す平面図である。図7Bは、変形例1における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の形状を模式的に示す平面図である。図7Cは、変形例1における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の形状を模式的に示す断面図である。図7A図7Cに示すように、変形例1では、ケースの底壁12aの外側面12a1に四角錐台状の凹部12d1が設けられている。凹部12d1は、底面12e1に向かって徐々に狭くなっている。凹部12d1は、底壁12aの外側面12a1と凹部12d1の底面12e1との間に側面12i1を有している。
【0069】
図7B図7Cに示すように、凹部12d1の開口は一辺が長さxの正方形である。長さxは、特に限定されないが、例えば2mm以上、3mm以上、4mm以上、または5mm以上であり得る。また、長さxは、例えば、8mm以下、7mm以下、または6mm以下であり得る。
【0070】
凹部12d1の高さH1(深さ)は、上述した実施形態の凸部12fの高さHと同様であってよい。凹部12d1の開口を基準にしたときの凹部12d1の側面12i1の角度θ1は、上述した実施形態の凸部12fのθと同様であってよい。
【0071】
図8Aは、変形例2における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の配置パターンを模式的に示す平面図である。図8Bは、変形例2における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の形状を模式的に示す平面図である。図8Cは、変形例2における蓄電デバイスのケースの底壁の凹部の形状を模式的に示す断面図である。図8A図8Cに示すように、変形例2では、ケースの底壁12aの外側面12a1に円弧状の凹部12d2が設けられている。凹部12d2は、曲面の底面12e2を有する。凹部12d2の開口は、平面視において半径R2を有する円形である。半径R2は、上述した実施形態の凹部12dの開口の半径Rと同様であってよい。凹部12d2の高さH2(深さ)は、上述した実施形態の凹部12dの高さHと同様であってよい。
【0072】
以上の通り、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:複数の蓄電デバイスと、温度調節部とを備える蓄電モジュールであって、上記蓄電デバイスは、正極および負極を含む電極体と、電解液と、上記電極体及び上記電解液を収容するケースとを含み、上記ケースは凹部が設けられた外側面を有する第1壁を備え、上記温度調節部は上記第1壁の上記外側面と対向するように配置されており、上記電極体の積層端面が上記第1壁の内側面と対向する向きに配置されている、蓄電モジュール。
項2:上記温度調節部の一部が上記凹部内に配置されている、項1に記載の蓄電モジュール。
項3:上記第1壁の上記外側面における上記凹部の開口面積を含む平面面積に対する上記凹部の個数が1個/cm以上である、項1または2に記載の蓄電モジュール。
項4:上記第1壁が上記ケースの底壁であり、上記蓄電デバイスが満充電のとき、上記ケースと上記電極体の間に位置する上記電解液の液面の高さが、上記ケースの高さの1/5以上である、項1~3のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
項5:上記ケースの外面は、絶縁シートで覆われており、上記凹部には、上記絶縁シートが配置されていない、項1~4のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
項6:上記第1壁が上記ケースの矩形状の底壁であり、上記底壁は、複数の上記凹部が上記底壁の長辺方向に並ぶ列を有し、上記底壁の短辺方向において、上記列が複数設けられ、複数の上記凹部は離間して配置されている、項1~5のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
項7:上記第1壁の内側面には、上記凹部に対応した凸部が設けられており、上記凸部が上記電極体に直接もしくは絶縁部材を介して接している、項1~6のいずれか一項に記載の蓄電モジュール。
項8:正極および負極を含む電極体と、電解液と、上記電極体及び上記電解液を収容するケースとを備える蓄電デバイスであって、上記ケースは凹部が設けられた外側面を有する第1壁を備え、上記電極体の積層端面が上記第1壁の内側面と対向する向きに配置されている、蓄電デバイス。
項9:上記第1壁の外側面における上記凹部の開口面積を含む平面面積に対する上記凹部の個数が1個/cm以上である、項8に記載の蓄電デバイス。
項10:上記第1壁が上記ケースの底壁であり、上記蓄電デバイスが満充電のとき、上記ケースと上記電極体の間に位置する上記電解液の液面の高さが、上記ケースの高さの1/5以上である、項8または9に記載の蓄電デバイス。
項11:上記第1壁が上記ケースの矩形状の底壁であり、上記底壁は、複数の上記凹部が上記底壁の長辺方向に並ぶ列を有し、上記底壁の短辺方向において、上記列が複数設けられ、複数の上記凹部は離間して配置されている、項8~10のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
項12:上記第1壁の内側面には、上記凹部に対応した凸部が設けられており、上記凸部が上記電極体に直接もしくは絶縁部材を介して接している、項8~11のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【符号の説明】
【0073】
10 ケース
12 外装体
12a 底壁
12d 凹部
20 電極体
30 正極端子
40 負極端子
100 蓄電デバイス
200 スペーサ
300 拘束機構
400 温度調節部
430 凸部群
432 凸部
500 蓄電モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C