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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103254
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】リポ酸含有飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20240725BHJP
A23L 2/02 20060101ALI20240725BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240725BHJP
【ＦＩ】
A23L2/00 B
A23L2/02 B
A23L2/52 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023007490
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】312017444
【氏名又は名称】ポッカサッポロフード＆ビバレッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真帆
【テーマコード（参考）】
4B117
【Ｆターム（参考）】
4B117LC02
4B117LC03
4B117LC15
4B117LE10
4B117LG02
4B117LG05
4B117LK08
4B117LK27
4B117LL07
4B117LL09
4B117LP16
4B117LP17
4B117LP20
(57)【要約】
【課題】飲料の光劣化による呈味や香りの悪化を防止すること、及び、冷蔵して保管をした場合の呈味や香りの悪化も防止すること。
【解決手段】α-リポ酸を０．３～１０．０ｐｐｍと、果汁を含有した飲料。
【選択図】なし
【解決手段】α-リポ酸を０．３～１０．０ｐｐｍと、果汁を含有した飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α－リポ酸を０．３～１０．０ｐｐｍと、果汁を含有した飲料。
【請求項2】
前記果汁が、柑橘果汁である請求項１に記載の飲料。
【請求項3】
前記果汁が、香酸柑橘果汁（又はレモン果汁）である請求項１又は２に記載の飲料。
【請求項4】
前記請求項１又は２に記載の飲料を充填した透明容器入り飲料。
【請求項5】
果汁を含有する飲料に、α－リポ酸の濃度が０．３～１０．０ｐｐｍとなるように含有させる工程を有する請求項１又は２に記載の飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品、滋養強壮、又は体質改善等を目的とした飲料等は、通常遮光性の容器に充填されている。そのため、その容器がＰＥＴ等の樹脂やガラスから形成されていても、何らかの手段により着色等をしている。その結果、内容物には容器外面から紫外線等の光が届くことがない。よって、このような容器に充填された飲料は、光劣化による不都合を検討する必要はない。
特許文献１～３に記載されているように、上記のような飲料とは異なる果汁飲料等については、飲料の光劣化により発生する臭気をマスキングするために、各種のマスキング剤を飲料に含有させることが知られている。
しかしながら、光劣化による飲料の呈味や風味への悪影響は各種の呈味や風味にわたり、特許文献１～３に記載の各マスキング剤の組み合わせによっても解消できない場合がある。
さらに、特許文献４に記載のように、高濃度のα－リポ酸等溶液で食品を処理するための乾燥食品用酸化防止剤は知られている。
また、公知の酸化防止剤の中でも、ビタミンＣは果汁飲料の光劣化による臭気の発生をある程度抑えることはできるが、まだ不十分であった。
特許文献１～３に記載されているように、上記のような飲料とは異なる果汁飲料等については、飲料の光劣化により発生する臭気をマスキングするために、各種のマスキング剤を飲料に含有させることが知られている。
しかしながら、光劣化による飲料の呈味や風味への悪影響は各種の呈味や風味にわたり、特許文献１～３に記載の各マスキング剤の組み合わせによっても解消できない場合がある。
さらに、特許文献４に記載のように、高濃度のα－リポ酸等溶液で食品を処理するための乾燥食品用酸化防止剤は知られている。
また、公知の酸化防止剤の中でも、ビタミンＣは果汁飲料の光劣化による臭気の発生をある程度抑えることはできるが、まだ不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開２０１９－１７０３７５号公報
【特許文献2】特開２０１８－９９０９２号公報
【特許文献3】特開２０１７－１８９１１９号公報
【特許文献4】特開２００６－３３３７９１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の先行技術に記載の事項によれば、マスキング剤の添加により、光劣化による臭気の発生をある程度マスキングすることはできるとしても、例えば果汁飲料等の飲料の光劣化により発生する香りの悪化、特に果汁に関する香りの悪化を防止できず、樹脂様の臭気（樹脂臭）の発生も防止できなかった。この結果として果汁感が低下することになった。これは、特にＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）ボトル等の光を透過する透明容器に充填した飲料において発生しやすい。その結果として、容器入りの特に柑橘飲料の場合には、その柑橘特有の呈味や香りが低下する。そして、本発明は、このような飲料の光劣化による呈味や香りの悪化を防止することを課題とする。さらに、冷蔵して保管をした場合の呈味や香りの悪化も防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、下記の手段を採用することにより上記の課題を解決できることを見出した。
１．α－リポ酸を０．３～１０．０ｐｐｍと、果汁を含有した飲料。
２．前記果汁が、柑橘果汁である１に記載の飲料。
３．前記果汁が、香酸柑橘果汁（又はレモン果汁）である１又は２に記載の飲料。
４．前記１～３のいずれかに記載の飲料を充填した透明容器入り飲料。
５．果汁を含有する飲料に、α－リポ酸の濃度が０．３～１０．０ｐｐｍとなるように含有させる工程を有する１～４のいずれかに記載の飲料の製造方法。
１．α－リポ酸を０．３～１０．０ｐｐｍと、果汁を含有した飲料。
２．前記果汁が、柑橘果汁である１に記載の飲料。
３．前記果汁が、香酸柑橘果汁（又はレモン果汁）である１又は２に記載の飲料。
４．前記１～３のいずれかに記載の飲料を充填した透明容器入り飲料。
５．果汁を含有する飲料に、α－リポ酸の濃度が０．３～１０．０ｐｐｍとなるように含有させる工程を有する１～４のいずれかに記載の飲料の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、冷蔵保存後における果汁飲料中の果汁感（例えばレモン果汁飲料等中のレモンの風味等）を向上させることができる。また、透明容器に充填した果汁飲料の光劣化により発生する呈味や香りの悪化を防止でき、かつ果汁感を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
〔α－リポ酸〕
本発明におけるα－リポ酸としては、市販品等の公知のものを採用できる。
そして、α－リポ酸は（Ｒ）－α－リポ酸、（Ｓ）－α－リポ酸及びこれらの混合物、ラセミ体のα－リポ酸のいずれでもよい。
飲料中のα－リポ酸の濃度は、０．３ｐｐｍ以上であり、０．４ｐｐｍ以上が好ましい。また１０．０ｐｐｍ以下であり、５．０ｐｐｍ以下が好ましく、２．５ｐｐｍ以下がより好ましく、２．２ｐｐｍ以下が更に好ましく、１．８ｐｐｍ以下が最も好ましい。
本発明において、α－リポ酸を含有させない場合、及び、本発明中の範囲よりも少量含有させて同条件で保管した場合と比較して、α－リポ酸を含有させることによって、特に果汁を含有した飲料において、果汁感の向上を達成したり、又は、特に光を照射される環境下での保存によっても、果汁感の向上と樹脂臭の低下を両立できる効果を発揮させる。
本発明におけるα－リポ酸としては、市販品等の公知のものを採用できる。
そして、α－リポ酸は（Ｒ）－α－リポ酸、（Ｓ）－α－リポ酸及びこれらの混合物、ラセミ体のα－リポ酸のいずれでもよい。
飲料中のα－リポ酸の濃度は、０．３ｐｐｍ以上であり、０．４ｐｐｍ以上が好ましい。また１０．０ｐｐｍ以下であり、５．０ｐｐｍ以下が好ましく、２．５ｐｐｍ以下がより好ましく、２．２ｐｐｍ以下が更に好ましく、１．８ｐｐｍ以下が最も好ましい。
本発明において、α－リポ酸を含有させない場合、及び、本発明中の範囲よりも少量含有させて同条件で保管した場合と比較して、α－リポ酸を含有させることによって、特に果汁を含有した飲料において、果汁感の向上を達成したり、又は、特に光を照射される環境下での保存によっても、果汁感の向上と樹脂臭の低下を両立できる効果を発揮させる。
【0008】
〔飲料〕
本発明において、α－リポ酸が含有される対象の果汁を含有した飲料は、さらに各種の果物様香気成分（フルーツフレーバー）を添加剤として含有してもよく、しなくてもよい。
本発明の飲料が含有する果汁の濃度（果汁率）は、０．５％以上が好ましく、１．０％以上がより好ましく、２．０以上が更に好ましく、５．０％以上が最も好ましい。また、１００％でもよいが、８０．０％以下が好ましく、５０．０％以下がより好ましく、４０．０％以下が更に好ましく、３０．０％以下が最も好ましい。
特に、果汁がレモン果汁のときには、３．０％以上が好ましく、４．０％以上がより好ましく、５．０％以上が更に好ましい。また、１００％でもよいが、８０．０％以下が好ましく、５０．０％以下がより好ましく、４０．０％以下が更に好ましく、３５．０％以下が最も好ましい。
果汁の濃度が高くても、α－リポ酸が含有されることによるレモン感等の果汁感（風味）の向上効果が得られる。但し、飲料中に果汁以外の水分をある程度含有することが、α－リポ酸を含有した効果を発揮する上で好ましい。
本発明において、α－リポ酸が含有される対象の果汁を含有した飲料は、さらに各種の果物様香気成分（フルーツフレーバー）を添加剤として含有してもよく、しなくてもよい。
本発明の飲料が含有する果汁の濃度（果汁率）は、０．５％以上が好ましく、１．０％以上がより好ましく、２．０以上が更に好ましく、５．０％以上が最も好ましい。また、１００％でもよいが、８０．０％以下が好ましく、５０．０％以下がより好ましく、４０．０％以下が更に好ましく、３０．０％以下が最も好ましい。
特に、果汁がレモン果汁のときには、３．０％以上が好ましく、４．０％以上がより好ましく、５．０％以上が更に好ましい。また、１００％でもよいが、８０．０％以下が好ましく、５０．０％以下がより好ましく、４０．０％以下が更に好ましく、３５．０％以下が最も好ましい。
果汁の濃度が高くても、α－リポ酸が含有されることによるレモン感等の果汁感（風味）の向上効果が得られる。但し、飲料中に果汁以外の水分をある程度含有することが、α－リポ酸を含有した効果を発揮する上で好ましい。
【0009】
このような果汁を含有した飲料として、果汁（果実を搾った汁）、果実エキス（果実又は果汁から水やアルコールなどを用いて当該果実の有効成分を抽出した抽出物）及び果肉から選ばれた１種以上を含有させることもできる。
そして、果汁としては、例えば、濃縮果汁、還元果汁、ストレート果汁といった各種果汁、果実ピューレ（火を通した果実あるいは生の果実をすりつぶしたり裏ごししたりした半液体状のもの）、これらの希釈液、濃縮液、混合液などを用いることができる。
果汁、果実エキス及び果肉の由来となる果実は、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ、シークワーサー、スダチ、ダイダイ、カボス、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジやサワーオレンジ等のオレンジ、ハッサク、温州みかん等のミカン、伊予柑、ポンカン、甘夏等の柑橘類果実や香酸柑橘類が好ましい。
さらにバラ科果実である、梅、リンゴ、イチゴ、桃等、ぶどう、プラム、ざくろ、ブルーベリー、カシス、クランベリー、マキベリー、マンゴー、パイナップル、キウイ、梨等といった公知の果実も挙げることができる。
これらの果実から１種以上の果汁、果実エキス、及び果肉を飲料に含有することができる。
また、含有しても良いフルーツフレーバー（フルーツ様の香りを付与するフレーバー）としては、飲料に使用される公知のものであれば特に限定されない。
そして、果汁としては、例えば、濃縮果汁、還元果汁、ストレート果汁といった各種果汁、果実ピューレ（火を通した果実あるいは生の果実をすりつぶしたり裏ごししたりした半液体状のもの）、これらの希釈液、濃縮液、混合液などを用いることができる。
果汁、果実エキス及び果肉の由来となる果実は、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ、シークワーサー、スダチ、ダイダイ、カボス、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジやサワーオレンジ等のオレンジ、ハッサク、温州みかん等のミカン、伊予柑、ポンカン、甘夏等の柑橘類果実や香酸柑橘類が好ましい。
さらにバラ科果実である、梅、リンゴ、イチゴ、桃等、ぶどう、プラム、ざくろ、ブルーベリー、カシス、クランベリー、マキベリー、マンゴー、パイナップル、キウイ、梨等といった公知の果実も挙げることができる。
これらの果実から１種以上の果汁、果実エキス、及び果肉を飲料に含有することができる。
また、含有しても良いフルーツフレーバー（フルーツ様の香りを付与するフレーバー）としては、飲料に使用される公知のものであれば特に限定されない。
【0010】
本発明の飲料は、果汁を含有した飲料であることを前提とした上で、清涼飲料水の他、各種アルコール飲料、ノンアルコール飲料のいずれにも適用できる。ノンアルコール飲料の具体例としては、例えば各種果汁入り飲料、各種野菜汁入り飲料、乳酸菌飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク、茶飲料、ドレッシング等の調味料、各種炭酸飲料（例えば２０℃におけるガス圧（全圧）が０．５ｋｇ／ｃｍ２以上のもの）等が挙げられる。
【0011】
飲料の用途は、特に限定されないがいわゆる一般食品である。よって、医薬品、医療用組成物、滋養強壮、体質改善、健康飲料、美容のための飲料、いわゆる栄養ドリンクでなくてもよい。さらに、α－リポ酸自体が有する特性を利用した飲料形態の医薬を含まない。
【0012】
（その他）
本発明の飲料には、例えば、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で、α－リポ酸の他に、通常配合される天然甘味料、合成甘味料、酸化防止剤、香料、ｐＨ調整剤、酸味料、塩類、食物繊維、安定剤、加工でんぷんや増粘多糖類やゲル化剤など（以下、適宜「添加剤」という）の公知の成分を添加できるが、これらを含有しなくても良い。
但し、これらの成分を含有する場合、その成分の種類や濃度によっては、飲料の呈味や風香味が影響を受ける場合があり、この結果として、α－リポ酸を添加したことによる効果が低下する場合がある。なお、これらの成分を添加することにより所定の効果を発揮できる場合もある。
天然甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプン、ステビア、カンゾウ、ソーマチンなどを使用できる。
合成甘味料としては、スクラロース、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウムなどを用いることができる。
天然甘味料のみを使用しても良く、合成甘味料のみを使用しても良く、天然甘味料と合成甘味料の両方を使用しても良い。
酸化防止剤としては、例えば、ビタミンＣ、ビタミンＥ、ポリフェノールなどを用いることができる。
ｐＨ調整剤としては、塩酸、水酸化ナトリウム等を用いることができる。
酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、リンゴ酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、ＤＬ－酒石酸、Ｌ－酒石酸、ＤＬ－酒石酸ナトリウム、Ｌ－酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、リン酸などを用いることができる。
塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。
食物繊維としては、果汁に伴って含有される場合の他に、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。
安定剤としては、アルギン酸類等を用いることができる。
加工でんぷんや増粘多糖類やゲル化剤としては、ジェランガム、グアーガム、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、ローカストビーンガム、ペクチンなどを用いることができる。
本発明の飲料には、例えば、本発明の所望の効果が阻害されない範囲で、α－リポ酸の他に、通常配合される天然甘味料、合成甘味料、酸化防止剤、香料、ｐＨ調整剤、酸味料、塩類、食物繊維、安定剤、加工でんぷんや増粘多糖類やゲル化剤など（以下、適宜「添加剤」という）の公知の成分を添加できるが、これらを含有しなくても良い。
但し、これらの成分を含有する場合、その成分の種類や濃度によっては、飲料の呈味や風香味が影響を受ける場合があり、この結果として、α－リポ酸を添加したことによる効果が低下する場合がある。なお、これらの成分を添加することにより所定の効果を発揮できる場合もある。
天然甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプン、ステビア、カンゾウ、ソーマチンなどを使用できる。
合成甘味料としては、スクラロース、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウムなどを用いることができる。
天然甘味料のみを使用しても良く、合成甘味料のみを使用しても良く、天然甘味料と合成甘味料の両方を使用しても良い。
酸化防止剤としては、例えば、ビタミンＣ、ビタミンＥ、ポリフェノールなどを用いることができる。
ｐＨ調整剤としては、塩酸、水酸化ナトリウム等を用いることができる。
酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、リンゴ酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、ＤＬ－酒石酸、Ｌ－酒石酸、ＤＬ－酒石酸ナトリウム、Ｌ－酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、リン酸などを用いることができる。
塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどを用いることができる。
食物繊維としては、果汁に伴って含有される場合の他に、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などを用いることができる。
安定剤としては、アルギン酸類等を用いることができる。
加工でんぷんや増粘多糖類やゲル化剤としては、ジェランガム、グアーガム、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、ローカストビーンガム、ペクチンなどを用いることができる。
【0013】
但し、ＨＬＢが９以上の乳化剤やポリグリセリン脂肪酸エステル、四酸化四銀の膜でコーティングされた銀ナノ粒子、エンゾジノール又はピクノジオール、フラボノール配糖体、分岐α－シクロデキストリン及び／又は分岐β－シクロデキストリン及び／又は分岐γ－シクロデキストリン、食用油脂、ヒアルロン酸塩、プロテオグリカン、ガティガム、アルロース、医薬成分を含有しても良く、しなくても良い。
乳化剤とアルコールを同時に含有しても良く、しなくても良い。
さらに、当然であるが、有害金属や有害ミネラルを含有しない。
乳化剤とアルコールを同時に含有しても良く、しなくても良い。
さらに、当然であるが、有害金属や有害ミネラルを含有しない。
【0014】
〔飲料の調製方法〕
本発明の飲料は、製造後の飲料の後処理を含めて、果汁入りの各種飲料として公知の方法により得ることができる。果汁と、場合により、果汁以外の成分を任意の方法や順序で混合して飲料を得る。
製造中の飲料中に対して、α－リポ酸の濃度を０．３～１０．０ｐｐｍとなるように、α－リポ酸を添加する工程は、上記の公知の製造方法のうちのいずれかの段階に設けることができる。そしてどの段階にα－リポ酸を添加するかは、任意に決めることができる。
本発明の飲料は、製造後の飲料の後処理を含めて、果汁入りの各種飲料として公知の方法により得ることができる。果汁と、場合により、果汁以外の成分を任意の方法や順序で混合して飲料を得る。
製造中の飲料中に対して、α－リポ酸の濃度を０．３～１０．０ｐｐｍとなるように、α－リポ酸を添加する工程は、上記の公知の製造方法のうちのいずれかの段階に設けることができる。そしてどの段階にα－リポ酸を添加するかは、任意に決めることができる。
【0015】
（容器詰飲料）
本発明の飲料は、公知の方法により、各種容器に入れて提供することができる。
各種容器は密閉できるものであればよく、金属製（アルミニウム製又はスチール製など）のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器等の樹脂製容器、紙容器、パウチ容器などの公知の容器を適用できる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどの容量の容器にも適用できる。気体、水分及び光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を採用しても良い。
また、ガラスやＰＥＴ等の樹脂からなる透明容器を採用し、透明容器入り飲料としても良い。このような透明容器に本発明の飲料を充填すると、製造後、倉庫での保管、店頭展示及び購入後飲用までの間において、温度変化の他に、明所で光が当たる等の環境下に置かれることになる。このような環境下に置かれたとしても、本発明によれば、特に飲料に光が当たることによる光劣化を防止し、それによる臭気の悪化や呈味の悪化を防止できる。
なお、透明容器とは、飲料を含有した状態で、目視により飲料の色を明確に確認できる容器である。波長が７００ｎｍの光線の透過率が２０％以上の容器であっても良い。
この透明容器は、例えば医薬品、医療用組成物、滋養強壮、体質改善、健康飲料、美容のための飲料が充填される、意図して着色や遮光された容器とは異なる容器である。
本発明の飲料は、公知の方法により、各種容器に入れて提供することができる。
各種容器は密閉できるものであればよく、金属製（アルミニウム製又はスチール製など）のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器等の樹脂製容器、紙容器、パウチ容器などの公知の容器を適用できる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどの容量の容器にも適用できる。気体、水分及び光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を採用しても良い。
また、ガラスやＰＥＴ等の樹脂からなる透明容器を採用し、透明容器入り飲料としても良い。このような透明容器に本発明の飲料を充填すると、製造後、倉庫での保管、店頭展示及び購入後飲用までの間において、温度変化の他に、明所で光が当たる等の環境下に置かれることになる。このような環境下に置かれたとしても、本発明によれば、特に飲料に光が当たることによる光劣化を防止し、それによる臭気の悪化や呈味の悪化を防止できる。
なお、透明容器とは、飲料を含有した状態で、目視により飲料の色を明確に確認できる容器である。波長が７００ｎｍの光線の透過率が２０％以上の容器であっても良い。
この透明容器は、例えば医薬品、医療用組成物、滋養強壮、体質改善、健康飲料、美容のための飲料が充填される、意図して着色や遮光された容器とは異なる容器である。
【0016】
〔飲料の製造方法〕
本発明の飲料の製造方法としては、公知の装置を用いる方法で良く、準備工程を任意に経た各種材料を、タンク等の中で混合する１以上の工程と、必要により後処理工程とを含む。さらに、公知の容器に詰めるための装置により、容器詰飲料とする。
なお、混合工程及び後処理工程において行われる各処理は、ＲＴＤ飲料などを製造するために一般的に用いられている設備によって行うことができる。
本発明の飲料の製造方法としては、公知の装置を用いる方法で良く、準備工程を任意に経た各種材料を、タンク等の中で混合する１以上の工程と、必要により後処理工程とを含む。さらに、公知の容器に詰めるための装置により、容器詰飲料とする。
なお、混合工程及び後処理工程において行われる各処理は、ＲＴＤ飲料などを製造するために一般的に用いられている設備によって行うことができる。
【0017】
後処理工程としては、例えば、ろ過、殺菌、炭酸ガスの付加、容器への充填などの処理を必要に応じて選択的に行う。
なお、後処理工程のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにおいて充填するのが好ましい。そして、後処理工程での各処理の順序は特に限定されない。
なお、後処理工程のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにおいて充填するのが好ましい。そして、後処理工程での各処理の順序は特に限定されない。
【0018】
〔実施例〕
下記表１及び２に示す組成になるように飲料を調製した。これらの飲料を湯浴中で９３℃に加温して、２８０ｍＬの無色透明のＰＥＴ製容器に充填した。これを転倒させて３０秒経過後に冷水で冷却して、ＰＥＴ製容器入り飲料を得た。
下記表１及び２に示す組成になるように飲料を調製した。これらの飲料を湯浴中で９３℃に加温して、２８０ｍＬの無色透明のＰＥＴ製容器に充填した。これを転倒させて３０秒経過後に冷水で冷却して、ＰＥＴ製容器入り飲料を得た。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
（試験用サンプル）
・冷蔵品（下記表３）
上記の方法により得たＰＥＴ製容器入りの各飲料について、暗所にて、摂氏４℃で７日間保存して冷蔵品を得た。
・冷蔵品（下記表３）
上記の方法により得たＰＥＴ製容器入りの各飲料について、暗所にて、摂氏４℃で７日間保存して冷蔵品を得た。
【0022】
・光照射品（下記表４～６）
上記の方法により得たＰＥＴ製容器入りの各飲料について、市販のＬＥＤ照明装置により、２１０００Ｌｘ、摂氏２５℃で５日間保存し、続けて摂氏４℃で２日間保存して光照射品を得た。
上記の方法により得たＰＥＴ製容器入りの各飲料について、市販のＬＥＤ照明装置により、２１０００Ｌｘ、摂氏２５℃で５日間保存し、続けて摂氏４℃で２日間保存して光照射品を得た。
【0023】
各冷蔵品と各光照射品を得て、下記表の試料として、それぞれについてレモン感、柑橘の風味及び樹脂臭の程度を確認した。なお、冷蔵品の評価及び光照射品の評価においては、いずれも評価直前の温度を４℃にして評価した。
（評価）
試験１：リポ酸添加量別の冷蔵品の評価
下記表３において、α－リポ酸を含有しない試料１（対照）の冷蔵品に対して、α－リポ酸の濃度を変えて含有させた試料２、４及び５を上記のようにして冷蔵品とし、これらについてレモン感と樹脂臭を確認した。
評価方法
対照である試料に対して、飲料の呈味や臭気の測定に十分習熟した１０名が、下記の１～７の基準を基に試料を評価した。
１：非常に弱い
２：弱い
３：やや弱い
４：対照と変わらない
５：やや強い
６：強い
７：非常に強い
評価結果
含有させない試料１に対して、α－リポ酸を含有させた試料２、４及び５によればレモン感が向上した。また、特に試料５によれば樹脂臭が低下した。
（評価）
試験１：リポ酸添加量別の冷蔵品の評価
下記表３において、α－リポ酸を含有しない試料１（対照）の冷蔵品に対して、α－リポ酸の濃度を変えて含有させた試料２、４及び５を上記のようにして冷蔵品とし、これらについてレモン感と樹脂臭を確認した。
評価方法
対照である試料に対して、飲料の呈味や臭気の測定に十分習熟した１０名が、下記の１～７の基準を基に試料を評価した。
１：非常に弱い
２：弱い
３：やや弱い
４：対照と変わらない
５：やや強い
６：強い
７：非常に強い
評価結果
含有させない試料１に対して、α－リポ酸を含有させた試料２、４及び５によればレモン感が向上した。また、特に試料５によれば樹脂臭が低下した。
【0024】
【表3】
【0025】
試験２：リポ酸添加量別の光照射品の評価１
下記表４において、α－リポ酸を含有しない試料１（対照）の上記のようにしてなる光照射品に対して、α－リポ酸の濃度を変えて含有させた試料２～５を上記のようにして光照射品とし、これらについてレモン感と樹脂臭を確認した。
評価方法
上記試験１にて評価した方法と同じ方法及び基準で評価した。
評価結果
含有させない試料１に対して、α－リポ酸を含有させた試料２～５によれば、レモン感が向上し、かつ樹脂臭が低下した。さらに、上記試験１の結果（表３中の試料２に対する表４中の試料２の結果、同様に試料４及び５の結果）に対して、レモン感が向上した又は同程度であり、かつ、特に樹脂臭が低下した。
この試験２の温度条件は摂氏２５℃であって、冷蔵の温度ではない。かつ光を照射するので、この試験によれば、本来は上記表３に示す評価よりも悪い評価になることが予測される。しかしながら、この試験によれば上記表３に示す試験１の結果よりも良い評価であったので、光が照射される環境におけるα－リポ酸を含有することによる効果は、極めて高いことがわかる。
下記表４において、α－リポ酸を含有しない試料１（対照）の上記のようにしてなる光照射品に対して、α－リポ酸の濃度を変えて含有させた試料２～５を上記のようにして光照射品とし、これらについてレモン感と樹脂臭を確認した。
評価方法
上記試験１にて評価した方法と同じ方法及び基準で評価した。
評価結果
含有させない試料１に対して、α－リポ酸を含有させた試料２～５によれば、レモン感が向上し、かつ樹脂臭が低下した。さらに、上記試験１の結果（表３中の試料２に対する表４中の試料２の結果、同様に試料４及び５の結果）に対して、レモン感が向上した又は同程度であり、かつ、特に樹脂臭が低下した。
この試験２の温度条件は摂氏２５℃であって、冷蔵の温度ではない。かつ光を照射するので、この試験によれば、本来は上記表３に示す評価よりも悪い評価になることが予測される。しかしながら、この試験によれば上記表３に示す試験１の結果よりも良い評価であったので、光が照射される環境におけるα－リポ酸を含有することによる効果は、極めて高いことがわかる。
【0026】
【表4】
【0027】
試験３：リポ酸添加量別の光照射品の評価２
下記表５において、レモン果汁の果汁率（濃度）がより高い試料について確認した。α－リポ酸を含有しない試料６（対照）の上記のようにしてなる光照射品に対して、α－リポ酸の濃度を変えて含有させた試料７を上記のようにして光照射品とし、これらについてレモン感と樹脂臭を確認した。
評価方法
上記試験１にて評価した方法と同じ方法及び基準で評価した。
評価結果
α－リポ酸を含有させない試料６に対して、α－リポ酸を含有させた試料７によればレモン感が向上し、樹脂臭が低下した。上記試験２の結果と併せてみると、レモン果汁の果汁率によらず、α－リポ酸を含有させると、レモン感が向上し、樹脂臭が低下することがわかる。
下記表５において、レモン果汁の果汁率（濃度）がより高い試料について確認した。α－リポ酸を含有しない試料６（対照）の上記のようにしてなる光照射品に対して、α－リポ酸の濃度を変えて含有させた試料７を上記のようにして光照射品とし、これらについてレモン感と樹脂臭を確認した。
評価方法
上記試験１にて評価した方法と同じ方法及び基準で評価した。
評価結果
α－リポ酸を含有させない試料６に対して、α－リポ酸を含有させた試料７によればレモン感が向上し、樹脂臭が低下した。上記試験２の結果と併せてみると、レモン果汁の果汁率によらず、α－リポ酸を含有させると、レモン感が向上し、樹脂臭が低下することがわかる。
【0028】
【表5】
【0029】
試験４：果汁種類違い光照射品の評価
下記表６において、ゆず果汁を果汁率１％で含有するがα－リポ酸を含有しない試料８（対照）の上記のようにしてなる光照射品に対して、α－リポ酸を含有させた試料９を上記のようにして光照射品とし、これらについて柑橘の風味と樹脂臭の程度を確認した。
評価方法
上記試験１にて評価した方法と同じ方法及び基準で評価した。
評価結果
果汁種をレモンからゆずに変更しても、α－リポ酸を含有させ、さらに果汁率を１％に低下させても、柑橘の風味が向上し、樹脂臭が低下することがわかる。
下記表６において、ゆず果汁を果汁率１％で含有するがα－リポ酸を含有しない試料８（対照）の上記のようにしてなる光照射品に対して、α－リポ酸を含有させた試料９を上記のようにして光照射品とし、これらについて柑橘の風味と樹脂臭の程度を確認した。
評価方法
上記試験１にて評価した方法と同じ方法及び基準で評価した。
評価結果
果汁種をレモンからゆずに変更しても、α－リポ酸を含有させ、さらに果汁率を１％に低下させても、柑橘の風味が向上し、樹脂臭が低下することがわかる。
【0030】
【表6】