(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103257
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20240725BHJP
B60W 50/08 20200101ALI20240725BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007496
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】519373914
【氏名又は名称】株式会社J-QuAD DYNAMICS
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下村 一哉
(72)【発明者】
【氏名】水瀬 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】尾山 啓介
(72)【発明者】
【氏名】大林 幹生
(72)【発明者】
【氏名】服部 陽介
(72)【発明者】
【氏名】北浦 真司
(72)【発明者】
【氏名】江上 力貴
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA60
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC11
3D241CC17
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DC35Z
3D241DD11Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動駐車制御を実行可能な駐車支援装置の利便性を向上させる。
【解決手段】駐車支援装置は、自車両の周囲の物体及び表示に関する情報を取得する周囲情報センサと、自車両が駐車スポットに駐車されるように自車両を制御する自動駐車制御を実行可能な駐車支援ECUと、を備える。駐車支援ECUは、自車両の走行中に自動駐車制御の開始要求を検知した場合に、周囲情報センサの取得情報に基づいて駐車スポットの探索処理を実行する。駐車支援ECUは、駐車スポットを検出した場合、検出した駐車スポットに自車両を駐車するか否かの選択結果を受け付けるために周辺画像表示処理を実行する。検出した駐車スポットに自車両を駐車するという選択結果を受け付けた場合、駐車支援ECUは検出した駐車スポットに自車両が駐車されるように自車両の移動動作を制御する駐車処理を実行する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲の物体及び表示に関する情報を取得する周囲情報センサと、自車両が駐車スポットに駐車されるように自車両を制御する自動駐車制御を実行可能な制御装置と、を備え、
前記制御装置は、自車両の走行中に前記自動駐車制御の開始要求を検知した場合に、前記周囲情報センサの取得情報に基づいて駐車スポットを探索する探索処理を実行し、前記駐車スポットを検出した場合に、前記検出した駐車スポットに自車両を駐車するか否かの選択結果を受け付けるための受付処理を実行し、前記検出した駐車スポットに自車両を駐車するという選択結果を受け付けた場合に、前記検出した駐車スポットに自車両が駐車されるように自車両の移動動作を制御する駐車処理を実行する、駐車支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記制御装置は、前記検索処理の実行中に、自車両を予め設定した設定速度で自動走行させる、
駐車支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駐車支援装置であって、
前記制御装置は、前記検出した駐車スポットに自車両を駐車しないという選択結果を受け付けた場合に、前記探索処理を再開する、
駐車制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の駐車支援装置であって、
前記制御装置は、前記探索処理によって駐車スポットを検出した場合に、検出した駐車スポットの周辺領域内の所定位置に自車両が停車するように自車両を制御し、自車両が前記所定位置に停車した状態で、前記受付処理を実行する、
駐車支援装置。
【請求項5】
請求項2に記載の駐車支援装置であって、
前記制御装置は、前記探索処理の実行の開始から駐車スポットを検出することなく予め設定した時間が経過した場合、又は、前記探索処理の実行の開始から駐車スポットを検出することなく自車両が予め設定した移動距離を走行した場合に、前記探索処理を終了する、
駐車支援装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の駐車支援装置であって、
前記探索処理によって検出された駐車スポットに自車両を駐車するか否かの選択結果を入力するための入力装置を備え、
前記制御装置は、前記受付処理にて前記入力装置から入力された選択結果を受け付ける、
駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車支援装置は、自車両が駐車スポットに駐車されるように自車両の運転操作の少なくとも一部または全部を実行する自動駐車制御を実行可能に構成される。このような駐車支援装置に関連し、標準規格であるISO20900(Partially automated parking systems: PAPS)やISO16787(Assisted parking systems: APS)には、車両の駐車にかかわる車両制御について規定されている。
【0003】
特許文献1に記載の駐車支援装置は、自動駐車制御の実行時に走行境界線を設定し、自車両が走行境界線を超えない領域で移動するように自車両の駐車に係る操作を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
従来の駐車支援装置により自動駐車制御を開始する場合に、自車両の運転者は自車両を駐車スポットの周辺位置、例えば駐車スポットの隣接位置に停車させる。そして、自車両の運転者(又は乗員)は、自車両を停車させた状態で、自動駐車制御の開始要求を入力するための開始要求スイッチを操作する。駐車支援装置は、自動駐車制御の開始要求を検知し、且つ、自車両の停車位置が、駐車スポットへの自車両の移動動作を制御する駐車処理の実行を開始することが適切な位置(適正位置)である場合に自動駐車制御を開始する。
【0006】
しかしながら、例えば自動駐車制御に不慣れな運転者は、自車両を停車させることなく開始要求スイッチを押すことがあり、このような場合には自動駐車制御は開始されない。また、開始要求スイッチを押す際にわずかにアクセルペダルから足が外れただけでも、自動駐車制御が開始されない。このように、従来の駐車支援装置によれば、自動駐車制御を開始するにあたっての利便性が不十分であった。
【0007】
本開示は、上記した課題を解決し得る駐車支援装置を提供することを目的とする。すなわち本開示は、自動駐車制御を実行可能な駐車支援装置の利便性を向上させることを目的とする。
【0008】
本開示に係る駐車支援装置は、自車両の周囲の物体及び表示に関する情報を取得する周囲情報センサと、自車両が駐車スポットに駐車されるように自車両を制御する自動駐車制御を実行可能な制御装置と、を備える。
【0009】
本開示に係る駐車支援装置の制御装置は、自車両の走行中に自動駐車制御の開始要求を検知した場合に、周囲情報センサの取得情報に基づいて駐車スポットを探索する探索処理を実行し、駐車スポットを検出した場合に、検出した駐車スポットに自車両を駐車するか否かの選択結果を受け付けるための受付処理を実行し、検出した駐車スポットに自車両を駐車するという選択結果を受け付けた場合に、検出した駐車スポットに自車両が駐車されるように自車両の移動動作を制御する駐車処理を実行する。
【0010】
本開示に係る駐車支援装置によれば、自車両の走行中に制御装置が自動駐車制御の開始要求を検知した場合に、自動的に駐車スポットを探索する探索処理が実行される。そして、探索処理によって駐車スポットが検出され、且つ、検出された駐車スポットに自車両を駐車するという選択結果を制御装置が受け付けた場合には、その駐車スポットに自車両を駐車するための駐車処理が実行される。このように、自車両が停車していない場合に制御装置が自動駐車制御の開始要求を検知した場合であっても自動駐車制御を開始することができるので、駐車支援装置により自動駐車制御を実行するにあたっての利便性を向上することができる。
【0011】
本開示に係る駐車支援装置の一態様において、制御装置は、探索処理の実行中に、自車両を予め設定した設定速度で自動走行させる。
【0012】
これによれば、設定速度を所定の低速度に設定することにより、探索処理の実行時における自車両の安全性を高めることができる。上記設定速度は、例えば、5km/h以上10km/h以下の範囲内の車速に設定することができる。
【0013】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、制御装置は、検出した駐車スポットに自車両を駐車しないという選択結果を受け付けた場合に、探索処理を再開する。
【0014】
これによれば、例えば、自車両の乗員が探索処理によって検出された駐車スポットに自車両を駐車する意思を有さない場合に、探索処理を再開することにより、別の駐車スポットを探索することができる。
【0015】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、制御装置は、探索処理によって駐車スポットを検出した場合に、検出した駐車スポットの周辺領域内の所定位置に自車両が停車するように自車両を制御し、自車両が所定位置に停車した状態で、受付処理を実行する
。
【0016】
これによれば、探索処理によって検出された駐車スポットの周辺領域内の所定位置に自車両が停車することにより、自車両の乗員は、検出された駐車スポットの広さ等を自車両の停車位置にて目視確認することができる。このため、検出された駐車スポットに自車両を駐車すべきか否かを駐車スポットを目視しながら決定することができる。
【0017】
上記所定位置は、周囲情報センサによって駐車スポットを認識することができ、且つ、検出した駐車スポットに自車両が駐車されるように自車両の移動動作を制御する駐車処理の実行を開始するために適切な位置である適正位置であるのが良い。これによれば、自車両が、駐車処理を実行するための適正位置に自動的に誘導され、その位置で停車するので、自車両の運転者が自らの操作によって自車両を適正位置に移動する必要がない。これにより、自車両の運転者が自ら自車両を駐車スポットに駐車させるための適正位置を探索することによる運転負担を軽減することができる。
【0018】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、制御装置は、探索処理の実行の開始から駐車スポットを検出することなく予め設定した時間が経過した場合、又は、探索処理の実行の開始から駐車スポットを検出することなく自車両が予め設定した移動距離を走行した場合に、探索処理を終了する。
【0019】
これによれば、駐車スポットが存在しないにもかかわらずに探索処理を継続することによる時間の浪費を防ぐことができる。
【0020】
本開示に係る駐車支援装置の他の一態様において、駐車支援装置は、探索処理によって検出された駐車スポットに自車両を駐車するか否かの選択結果を入力するための入力装置を備え、制御装置は、受付処理にて入力装置から入力された選択結果を受け付ける。
【0021】
これによれば、探索処理によって駐車スポットが検出された場合に、自車両の乗員が入力装置を用いて検出された駐車スポットに自車両を駐車するか否かの選択結果を入力することにより、駐車支援装置の制御装置に選択結果が受け付けられる。このため制御装置は選択結果に応じた処理を実行することができる。
【0022】
上記入力装置は、検出された駐車スポットに自車両を駐車するか否かを選択することを示す情報を報知する報知機能と、検出された駐車スポットに自車両を駐車するか否かの選択結果を入力する入力機能とを備えているのが良い。このような入力装置として、自車両に搭載されたタッチパネル式のディスプレイ及びディスプレイに表示される画像を制御する表示ECUを有する表示装置を例示することができる。
【0023】
また、本開示に係る駐車支援装置の制御装置は、自車両の走行中に自動駐車制御の開始要求を検知した場合に、自車両を予め設定した速度で自動走行させながら、周囲情報センサが取得した情報に基づいて駐車スポットを探索する探索処理を実行し、探索処理によって駐車スポットを検出した場合に、自車両を停車させることなく、検出した駐車スポットに自車両が駐車されるように自車両の移動動作を制御する駐車処理を開始する、ように構成されていてもよい。
【0024】
これによれば、探索処理によって駐車スポットが検出された場合に、自車両が停車することなく制御装置による処理が探索処理から駐車処理にシームレスに移行する。このため駐車スポットに自車両を速やかに駐車することができる。
【0025】
また、本開示に係る駐車支援装置の制御装置は、自車両の走行中に自動駐車制御の開始要求を検知した場合に、自車両を予め設定した速度で自動走行させながら、周囲情報センサが取得した情報に基づいて駐車スポットを探索する探索処理を実行し、探索処理によって駐車スポットを検出した場合に、検出した駐車スポットの周辺領域内の位置であって、検出した駐車スポットに自車両が駐車されるように自車両の移動動作を制御する駐車処理の実行を開始するために適切な位置である適正位置に自車両を停車させる停車処理を実行する、ように構成されていてもよい。
【0026】
これによれば、自車両を駐車スポットに駐車させるための駐車処理の実行を開始するための適正位置に自車両が自動的に移動するとともに、適正位置で自車両が自動的に停車する。よって、自車両の操作者が自ら適正位置を探索する必要がない。これにより、自車両の運転者が自ら自車両を駐車スポットに駐車させるための適正位置を探索することによる運転負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る駐車支援装置のブロック図である。
【
図2】ソナーセンサの取り付け位置の一例を示す図である。
【
図3】カメラセンサの取り付け位置の一例を示す図である。
【
図4】制御開始要求スイッチの配設位置の一例を示す図である。
【
図5】第一実施形態に係る探索処理を実行中の自車両を示す図である。
【
図6】駐車支援ECUが駐車スポットを検出した状態を示す図である。
【
図7】検出された駐車スポットの周辺領域内の所定位置にて停車した自車両を示す図である。
【
図8】周辺画像表示処理の実行によってディスプレイに表示される周辺画像の一例を示す。
【
図9】探索処理が再開された後に、駐車支援ECUが新たな駐車スポットを検出した状態を示す図である。
【
図10】新たに検出された駐車スポットの周辺領域内の所定位置にて停車した自車両を示す図である。
【
図11】並列後退駐車モードである場合に演算される前進経路及び後退経路を示す図である。
【
図12】駐車処理によって自車両が停車位置から前進経路に沿って前進し、自車両の中心位置が切り返し地点に到達した状態を示す。
【
図13】駐車処理によって自車両が後退経路に沿って後退し、自車両の中心位置が目標駐車スポット内の目標駐車位置に到達した状態を示す。
【
図14】第一実施形態に係る駐車支援ECUのCPUが実行する自動駐車制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図15】第二実施形態に係る探索処理を実行中の自車両を示す図である。
【
図16】駐車支援ECUが駐車スポットを検出した状態を示す図である。
【
図17】並列後退駐車モードである場合に演算される前進経路及び後退経路を示す図である。
【
図18】駐車処理によって自車両が停車位置から前進経路に沿って前進し、自車両の中心位置が切り返し地点に到達した状態を示す。
【
図19】駐車処理によって自車両が後退経路に沿って後退し、自車両の中心位置が目標駐車スポット内の目標駐車位置に到達した状態を示す。
【
図20】第二実施形態に係る駐車支援ECUのCPUが実行する自動駐車制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第一実施形態)
図1に示すように、本開示の一実施形態に係る駐車支援装置1は、自動運転機能を備えた車両1000に搭載される。以下において、車両1000を自車両と称することもある。すなわち駐車支援装置1は自車両に搭載される。
【0029】
駐車支援装置1は、駐車支援ECU10、車載センサ20、制御開始要求スイッチ25、駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50、シフト切替装置60、表示装置70、ナビゲーション装置80を、備える。なお、ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。
【0030】
駐車支援ECU10は、CPU10a、ROM10b、RAM10c、及びインターフェース10dを含むマイクロコンピュータを主要構成として含む。駐車支援ECU10は、CPU10aがROM10bに格納されたインストラクション、プログラム又はルーチンを実行することにより、自動駐車制御を含む各種制御を実行することができるように構成される制御装置である。本実施形態において、自動駐車制御は、駐車支援ECU10が自動駐車制御の開始要求を検知した場合に、自車両の駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50の少なくとも1つの操作を駐車支援装置1が実行することにより自車両を駐車スポットに駐車させる制御である。従って、駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50の全ての操作を駐車支援装置1が実行する制御も自動駐車制御であり、ステアリング装置50のみの操作を駐車支援装置1が実行する制御も自動駐車制御である。また、自動駐車制御は、後述する探索処理及び駐車処理を含む制御である。
【0031】
駐車支援ECU10は、複数のECUにより構成されていてもよい。また、駐車支援ECU10は、CAN(Controller Area Network)を介して、他の複数のECUに接続されている。例えば、
図1に示すように、駐車支援ECU10は、駆動ECU31、制動ECU41、ステアリングECU51、SBW-ECU61、表示ECU71、ナビゲーションECU81に接続されており、接続関係にある各ECUとの間で必要な情報を授受することができる。
【0032】
車載センサ20は、自車両の周囲に存在する物体及び表示に関する情報を取得する周囲情報センサ20Aを含む。例えば、車載センサ20は、周囲情報センサ20Aとして、ソナーセンサ21及びカメラセンサ22を含む。
【0033】
ソナーセンサ21は、超音波を間欠的に自車両の周辺領域に放射し、立体物(物体)によって反射された超音波(反射波)を受信する。ソナーセンサ21は、超音波を送信してから反射波を受信するまでの時間に基づいて、自車両と物体との間の距離、自車両と物体との相対的な位置関係等を取得する。ソナーセンサ21は、取得した距離及び位置関係を表す情報を駐車支援ECU10に送信する。
【0034】
本実施形態では、複数のソナーセンサ21が自車両に設けられる。複数のソナーセンサ21は、自車両のほぼ全周囲に超音波を放射することができるように自車両に設けられる。例えば、複数のソナーセンサ21は、
図2に示すように、前方ソナーセンサ21a,21b、後方ソナーセンサ21c,21d、右方ソナーセンサ21e,21f、左方ソナーセンサ21g,21h、右前方ソナーセンサ21i、左前方ソナーセンサ21j、右後方ソナーセンサ21k、左後方ソナーセンサ21lを、備えていてもよい。前方ソナーセンサ21a及び21bは、それぞれ、自車両の前方端の右寄りの部分及び左寄りの部分から前方に超音波を放射する。後方ソナーセンサ21c及び21dは、それぞれ、自車両の後方端の右寄りの部分及び左寄りの部分から後方に超音波を放射する。右方ソナーセンサ21e及び21fは、それぞれ、自車両の右側端の前寄りの部分及び後寄りの部分から右方に超音波を放射する。左方ソナーセンサ21g及び21hは、それぞれ、自車両の左側端の前寄りの部分及び後寄りの部分から左方に超音波を放射する。右前方ソナーセンサ21iは、自車両の前方右端部から右斜め前方に超音波を放射する。左前方ソナーセンサ21jは、自車両の前方左端部から左斜め前方に超音波を放射する。右後方ソナーセンサ21kは、自車両の後方右端部から右斜め後方に超音波を放射する。左後方ソナーセンサ21lは、自車両の後方左端部から左斜め後方に超音波を放射する。
【0035】
カメラセンサ22は、カメラ装置及び画像解析装置を含む。カメラ装置は、例えば、CCD(charge coupled device)或いはCIS(CMOS image sensor)により構成される撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。カメラ装置は、所定のフレームレートで自車両の周辺領域をそれぞれ撮影して、画像データをそれぞれ取得する。カメラ装置は、各画像データを画像解析装置に送信する。画像解析装置は、取得した画像データを解析して、その画像から自車両の周囲に存在する物体及び表示に関する情報を取得する。例えば、画像解析装置は、駐車スポットの壁、フェンスなどの形状や色、路面に表示されている駐車枠線などを認識し、当該認識結果を表す情報を画像データとともに駐車支援ECU10に送信する。
【0036】
カメラセンサ22は、自車両の全周囲を撮影することができるように、複数のカメラ装置を有する。例えば、複数のカメラ装置は、
図3に示すように、前方カメラ装置22a、後方カメラ装置22b、右側方カメラ装置22c、左側方カメラ装置22dを備える。前方カメラ装置22aは、自車両の前方領域を撮影する。後方カメラ装置22bは、自車両の後方領域を撮影する。右側方カメラ装置22cは、自車両の右側方領域を撮影する。左側方カメラ装置22dは、自車両の左側方領域を撮影する。また、夜間でも自車両の周囲を撮影することができるように、複数のカメラ装置が赤外線カメラ装置を含んでいてもよい。
【0037】
なお、車載センサ20は、周囲情報センサ20Aとしてのレーダセンサを備えていてもよい。レーダセンサは、ミリ波帯の電波を利用して、自車両の周囲に存在する物体を検知することができるように構成される。この場合、レーダセンサは、自車両の前方に電波を放射する前方レーダセンサ、自車両の後方に電波を放射する後方レーダセンサ、自車両の右側方に電波を放射する右側方レーダセンサ、自車両の左側方に電波を放射する左側方レーダセンサ、を備えるとよい。
【0038】
車載センサ20は、さらに、車速センサ23を含む。車速センサ23は、自車両の走行速度を検出し、検出した走行速度を表す信号を駐車支援ECU10に出力する。車速センサ23は、自車両の車輪の回転速度を検出する車輪速センサであってもよい。
【0039】
なお、車載センサ20は、上記に説明したセンサ以外のセンサを含んでもよい。例えば、後述するシフトレバーセンサ62、ヨーレートセンサ、加速度センサ、ドライバモニタセンサ、操舵トルクセンサ、アクセルペダルストロークセンサ、ブレーキペダルストロークセンサ、等が車載センサ20に含まれていてもよい。
【0040】
制御開始要求スイッチ25は、自動駐車制御の開始を要求するための操作装置である。制御開始要求スイッチ25は、自車両の車室内にて運転者が操作しやすい位置に取り付けられる。制御開始要求スイッチ25は、例えば、押しボタン式の常開スイッチ装置を含む。駐車支援ECU10は制御開始要求スイッチ25に電気的に接続されており、制御開始要求スイッチ25のオン・オフ状態を検出する。
【0041】
駆動装置30は、駆動力を発生し、その駆動力を自車両の駆動輪に付与する。駆動装置30は、駆動ECU31、駆動アクチュエータ32、駆動源33、変速機34、及び、駆動力を駆動輪に伝達する図示しない駆動力伝達機構を含む。駆動ECU31は駆動アクチュエータ32の動作を制御することができるように駆動アクチュエータ32に電気的に接続される。駆動アクチュエータ32は、駆動源33の駆動力を調整することができるように構成される。例えば駆動源33が内燃機関である場合、駆動アクチュエータ32は、内燃機関に供給する燃料の量を調整することができるスロットルバルブ及びスロットルバルブの開度を調整するための開度調整機構である。
【0042】
駆動ECU31は、駆動アクチュエータ32の動作を制御することによって、駆動源33が発生する駆動力を制御する。駆動源33が発生する駆動力は、変速機34及び駆動力伝達機構を介して自車両の駆動輪に伝達される。従って、駆動ECU31は、駆動アクチュエータ32を制御することによって、自車両の駆動力を制御することができる。また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に、目標駆動力を表す情報を含む駆動制御信号を駆動ECU31に送信することにより、駆動力が目標駆動力に一致するように、駆動ECU31を介して駆動アクチュエータ32を制御することができる。また、駆動装置30は、自車両に設けられるアクセルペダルを運転者が操作することによっても、駆動力を発生することができる。
【0043】
なお、駆動源33が内燃機関である場合、駆動ECU31は内燃機関によって発生する駆動力を制御する。また、自車両がハイブリッド車両(HEV)である場合、駆動ECU31は、駆動源33としての内燃機関及び電動機の何れか一方又は両方によって発生する駆動力を制御する。また、自車両が電気車両(BEV)である場合、駆動ECU31は、駆動源33としての電動機によって発生する駆動力を制御する。
【0044】
制動装置40は、自車両の車輪に対し制動力を付与する。制動装置40は、制動ECU41、制動アクチュエータ42、及び制動機構43を含む。制動ECU41は、制動アクチュエータ42の動作を制御することができるように制動アクチュエータ42に電気的に接続される。制動アクチュエータ42は、公知の油圧回路を含み、図示しないリザーバー、オイルポンプ及び種々の弁装置等を含む。制動機構43は、ブレーキディスク、キャリパ、ピストン、ブレーキパッドを含み、制動アクチュエータ42から供給された油圧(即ち制動圧)によってブレーキパッドがブレーキディスクに押し付けられることにより摩擦制動力を発生する。制動機構43が発生する摩擦制動力によって自車両が制動する。
【0045】
制動アクチュエータ42は、制動ECU41からの指示に応じて制動機構43に供給する油圧(制動圧)を調整する。制動圧に応じて制動機構43が発生する摩擦制動力が変化する。従って、制動ECU41は、制動アクチュエータ42を制御することによって自車両の制動力を制御することができる。また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に、目標制動力を表す情報を含む制動制御信号を制動ECU41に送信することにより、制動力が目標制動力に一致するように、制動ECU41を介して制動アクチュエータ42を制御することができる。また、制動装置40は、自車両に設けられるブレーキペダルを運転者が操作することによっても自車両の車輪に対し制動力を付与することができる。
【0046】
ステアリング装置50は、自車両の操舵輪を操舵するための装置である。ステアリング装置50は、ステアリングECU51、ステアリングアクチュエータ52、及びステアリング機構53を含む。ステアリングECU51は、ステアリングアクチュエータ52の動作を制御することができるようにステアリングアクチュエータ52に電気的に接続される。ステアリング機構53は、ステアリングホイール、ステアリングシャフト、ステアリングギアボックス、タイロッド等を含む。ステアリング機構53は、ステアリングホイールの回転操作によって操舵輪を操舵することができるように構成される。ステアリングアクチュエータ52は例えば電動機であり、操舵輪を操舵するための動力をステアリング機構53に付与することができるように、ステアリング機構53に接続される。このステアリングアクチュエータ52は、運転者によるステアリングホイールの操作をアシストするような操舵アシスト力を発生するように構成することもできる。ステアリングECU51は、ステアリングアクチュエータ52の動作を制御することによって、ステアリング機構53の動作を制御する。従って、ステアリングECU51は、ステアリングアクチュエータ52を制御することによって、自車両の操舵輪の操舵角を制御することができる。また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に、目標操舵角を表す情報を含む操舵制御信号をステアリングECU51に送信することにより、操舵輪の操舵角が目標操舵角に一致するように、ステアリングECU51を介してステアリングアクチュエータ52を制御することができる。
【0047】
シフト切替装置60は、変速機34のシフト位置(変速段)の切り替えを行う。本例において、シフト位置は、駐車位置、ニュートラル位置、前進位置、及び、後退位置を、少なくとも含む。シフト位置が駐車位置であるとき、シフト切替装置60は、駆動輪に駆動力が伝達されず且つ車輪が回転不能となるように車輪を機械的にロックする。具体的には、シフト位置が駐車位置になると、変速機34の出力軸が回転しないように当該出力軸がロックされる。このような状態は、パーキングロック(Pロック)状態とも称呼される。シフト位置がニュートラル位置であるとき、シフト切替装置60は駆動力を駆動輪に伝達しない。但し、シフト位置がニュートラル位置であるとき、シフト切替装置60は車輪を機械的にロックしない。シフト位置が前進位置にあるとき、シフト切替装置60は車両を前進させる駆動力を駆動輪に伝達する。シフト位置が後進位置であるとき、車両を後退させる駆動力を駆動輪に伝達する。
【0048】
シフト切替装置60は、SBW-ECU61、シフトレバーセンサ62、SBWアクチュエータ63、及び、シフト切替機構64等を含む。なお、SBWは、シフトバイワイヤの略称である。SBW-ECU61は、シフトレバーセンサ62及びSBWアクチュエータ63に接続されている。シフトレバーセンサ62は、シフトレバーの操作に対応するシフト位置を検出する。なお、シフトレバーは、それぞれのシフト位置に対応する操作を行うことができるように設けられており、自車両の運転者により操作される。SBW-ECU61は、シフトレバーの操作に対応するシフト位置をシフトレバーセンサ62から受け取り、そのシフト位置に基いてSBWアクチュエータ63を制御する。SBWアクチュエータ63は、SBWーECU61からの指示に応じてシフト切替機構64を作動させて、変速機34のシフト位置を、複数のシフト位置(駐車位置、ニュートラル位置、前進位置及び後進位置)のうちの一つへと切り替える。また、駐車支援ECU10は、自動駐車制御の実行中に目標シフト位置を表す情報を含むシフト制御信号をSBW-ECU61に送信することにより、シフト位置が目標シフト位置に一致するように、SBW-ECU61を介してSBWアクチュエータ63を制御することができる。
【0049】
表示装置70は、表示ECU71及びタッチパネル式のディスプレイ72を含む。表示ECU71は、ディスプレイ72を制御することができるように、ディスプレイ72に接続される。ディスプレイ72として、自車両の運転席の正面に設けられたインストルメントパネルに取り付けられるディスプレイを例示することができる。また、駐車支援ECU10は、所定の表示制御信号を表示ECU71に送信することにより、ディスプレイ72に所定の画像情報が表示されるように、表示装置70を制御することができる。表示装置70は、ディスプレイ72を介して所定の情報を報知する報知機能を有する。また、表示装置70は、ディスプレイ72を介して所定の情報を入力する入力装置としての入力機能を有する。
【0050】
ナビゲーション装置80は、ナビゲーションECU81及びGPS受信機82を含む。GPS受信機82は、自車両の現位置の緯度及び経度を検出するためのGPS信号を受信する。また、ナビゲーション装置80は、地図情報を記憶した地図データベースを備えている。ナビゲーションECU81は、GPS受信機82が受信したGPS信号によって得られる自車両の緯度及び経度、並びに地図情報等に基いて各種の演算処理を行い、自車両の地図上での位置を特定する。特定された自車両の位置は、駐車支援ECU10に送信されて、自動駐車制御に利用される。
【0051】
上記構成を有する駐車支援装置1を備える自車両の運転者は、自動駐車制御を開始することを希望する場合に制御開始要求スイッチ25を押す。なお、従来の駐車支援装置1は、自車両の走行中に制御開始要求スイッチ25が押された場合には自動駐車制御を開始することができないように構成されている。これに対し、本実施形態に係る駐車支援装置1は、自車両が低速で走行しているときに制御開始要求スイッチ25が押された場合に自動駐車制御を開始することができるように構成される。例えば自車両の運転者は、複数車両を駐車することができる駐車場に自車両が進入し、自車両を駐車するべき駐車スポットを見つけるために自車両を低速で走行させているときに制御開始要求スイッチ25を押すことができる。制御開始要求スイッチ25は、例えば
図4に示すように、自車両の車室内に設けられるインストルメントパネルに埋設されたディスプレイ72の下方位置に設けられる。
【0052】
制御開始要求スイッチ25が押された場合、駐車支援ECU10は制御開始要求スイッチ25がオン状態であることを検知する。制御開始要求スイッチ25がオン状態であることを検知した場合、すなわち自動駐車制御の開始要求を検知した場合、駐車支援ECU10は自動駐車制御を開始する。自動駐車制御を開始した場合、駐車支援ECU10は、まず、自車両の現在の車速Vを車速センサ23から取得する。次いで、駐車支援ECU10は、自車両の現在の車速Vが予め設定された上限車速Vth未満であるか否かを判断する。上限車速Vthは、例えば10km/hに設定することができる。自車両の現在の車速Vが上限車速Vth未満である場合、駐車支援ECU10は、自車両が停車していないか、すなわち自車両の車速Vが0km/hではないか否かを判断する。自車両が停車していない場合、駐車支援ECU10は探索処理を実行する。
【0053】
探索処理では、駐車支援ECU10は、自車両の車速Vが予め設定された設定車速Vsであり、且つ操舵角θが0°となるように、自車両の駆動装置30、制動装置40、及びステアリング装置50を制御する。これにより、自車両は、設定車速Vsで自動走行する。設定車速Vsは、例えば5km/h以上10km/h以下の速度に設定することができる。
【0054】
図5は、探索処理を実行中の自車両を示す図である。
図5に示す例は、複数車両が駐車することができる駐車場内の通路を自車両が自動走行している状態を示す。
図5に示すように、自車両(車両1000)は、探索処理の実行中は、駐車場内の通路に沿って、設定車速Vsで直進走行する。この場合、例えば、駐車支援ECU10は、周囲情報センサ20Aが取得する情報に基づいて駐車場内に並列に駐車されている複数の車両の列(駐車車列)を検出し、検出した駐車車列に平行に自車両が自動走行するように、自車両を制御することができる。また、自車両の自動走行中は、駐車支援ECU10は、周囲情報センサ20Aが取得する情報に基づいて、自車両の周囲を常に監視している。そして、例えば駐車場内に存在する他車両と自車両との相対距離が所定の閾値未満である場合には、駐車支援ECU10は、上記の相対距離が閾値以上となるように、自車両の操舵輪の操舵角を補正するための補正信号をステアリングECU51に送信することができる。ステアリングECU51は、補正信号を受信した場合に、自車両の操舵輪の操舵角が補正されるようにステアリングアクチュエータ52を制御する。これにより、自車両と駐車中の他車両との相対距離が閾値以上に維持される。
【0055】
駐車支援ECU10は、探索処理の実行中、自車両を自動走行させながら、周囲情報センサ20Aが取得する情報に基づいて、駐車スポットを探索する。駐車スポットを探索するにあたり、駐車支援ECU10は、ソナーセンサ21及びカメラセンサ22から取得した情報に基づいて、自車両の周囲に存在する物体に関する情報を、物体情報として取得する。駐車支援ECU10は、物体情報を、二次元マップにプロットする。この二次元マップは、例えば、自車両の中心位置Gが原点であり、X軸が原点から自車両の前後方向に延び、Y軸が原点から自車両の幅方向に延びる平面マップである。ここで、自車両の中心位置Gは、自車両の前後方向に平行な軸線のうち自車両の幅方向における中心を通る軸線と、自車両の車幅方向に平行な軸線のうち自車両の前後方向の中心を通る軸線との交点である。なお、二次元マップに描かれた物体情報により特定される物体は、立体物として、駐車支援ECU10に認識される。
【0056】
さらに、駐車支援ECU10は、カメラセンサ22から取得した画像データに基づいて、自車両の周辺領域の表示情報を取得し、取得した表示情報から、自車両の周辺領域の路面に表示されている駐車枠線を検出する。駐車支援ECU10は、検出した駐車枠線を上述した二次元マップに描く。なお、二次元マップに描かれた駐車枠線は、非立体物として、駐車支援ECU10に認識される。
【0057】
駐車支援ECU10は、二次元マップに示された物体情報及び路面に表示された駐車枠線に関する情報に基づいて、自車両の周囲の「物体が存在しない領域」を検出する。駐車支援ECU10は、物体が存在しない領域が、自車両が駐車可能な大きさ及び形状を有する領域である場合、その領域を駐車スポットとして決定する。
【0058】
例えば、駐車支援ECU10は、探索処理の実行中、周囲情報センサ20Aが取得した情報から、2本の駐車枠線により区画された領域を検出する。また、駐車支援ECU10は、検出した領域内に立体物が検出されたか否かを、周囲情報センサ20Aが取得した情報に基づいて判断する。検出した領域内に立体物が検出されず、且つ、その領域の大きさ及び形状が、自車両が駐車可能な大きさ及び形状であると判断した場合、駐車支援ECU10は、当該領域を駐車スポットとして検出する。また、駐車支援ECU10は、探索処理の実行中、周囲情報センサ20Aが取得した情報に基づいて、2つの立体物(例えば他車両)に囲まれた空間領域を検出する。駐車支援ECU10は、検出した空間領域の大きさ及び形状を推定し、推定した空間領域の大きさ及び形状が、自車両が駐車可能な大きさ及び形状であるか否かを判断する。推定した空間領域の大きさ及び形状が、自車両を駐車可能な大きさ及び形状であると判断した場合、駐車支援ECU10は、当該空間領域を駐車スポットとして検出する。
【0059】
図5に示す例では、駐車支援ECU10は、自車両に設けられる前方カメラ装置22aにより撮影された画像から、2本の駐車枠線L1,L2により区画された領域A1を検出する。しかし、駐車支援ECU10は、前方カメラ装置22aにより撮影された画像から、領域A1内に立体物(他車両2001)を検出する。このため、領域A1は駐車スポットとして検出されない。駐車スポットが検出されない場合、自車両は自動走行を継続する。このため自車両は
図5の矢印方向に向かって前進移動を継続する。
【0060】
図6は、駐車支援ECU10が駐車スポットを検出した状態を示す図である。
図6に示す例では、駐車支援ECU10は、前方カメラ装置22aにより撮影された画像から、2本の駐車枠線L2,L3により区画された領域A2を検出する。また、駐車支援ECU10は、前方カメラ装置22aにより撮影された画像から、領域A2内に立体物(他車両等)を検出しない。そして、領域A2の大きさ及び形状が、自車両を駐車可能な大きさ及び形状と判断された場合、領域A2が駐車スポットとして検出される。
【0061】
駐車支援ECU10は、探索処理によって駐車スポットを検出した場合、検出した駐車スポットの周辺領域内の所定位置まで自動走行により自車両を移動させる。また、駐車支援ECU10は、自車両が上記所定位置に近づいたときに停車処理を実行する。駐車支援ECU10は、停車処理の実行により、上記所定位置にて自車両が停車するように、駆動装置30、制動装置40、及びステアリング装置50を制御する。
【0062】
図7は、検出された駐車スポットPSの周辺領域内の所定位置にて停車した自車両を示す図である。
図7に示す例では、検出された駐車スポットPSの間口(入口)に自車両の左側面が正対するように、駐車スポットPSの近傍位置に自車両が停車している。駐車スポットPSに対する自車両の停車位置は、自車両の乗員が駐車スポットPSを目視確認することができる位置であるとよい。また、駐車スポットPSに対する自車両の停車位置は、カメラセンサ22により駐車スポットPSの大きさ及び形状が認識できる位置であるとよい。特に、駐車スポットPSに対する自車両の停車位置は、検出した駐車スポットに自車両が駐車されるように自車両の移動動作を制御する駐車処理の実行を開始するために適切な位置である適正位置であるとよい。適正位置は、基本的には
図7に示すような、駐車スポットの間口(入口)に自車両の側面が正対し、且つ駐車スポットの間口と自車両との距離が所定距離(例えば1m)以内の位置である。適正位置がこのような位置であれば、自車両が無駄な移動をすることなく、且つ自車両が無駄な前進と後退の切り返しを繰り返すことなく、速やかに駐車スポットPSに駐車することができる。
【0063】
自車両が駐車スポットPSに対する所定位置にて停車した場合、駐車支援ECU10は、探索処理を一旦終了するとともに、周辺画像表示処理を実行する。周辺画像表示処理では、駐車支援ECU10は、カメラセンサ22から取得した画像データを用いて周辺画像を生成する。周辺画像は、自車両の周囲の領域の少なくとも一部の範囲に対応する画像であり、カメラ視点画像及び仮想視点画像を含む。
【0064】
カメラ視点画像は、複数のカメラ装置のそれぞれのレンズの配設位置を視点とする画像である。仮想視点画像は、自車両の周囲の任意の位置に設定された仮想視点から自車両及び自車両の周囲を見た画像である。仮想視点画像の生成方法は、周知である(例えば、特開2012-217000号公報、特開2016-192772号公報及び特開2018-107754号公報等を参照)。
【0065】
駐車支援ECU10は、生成した周辺画像のうちの所定の周辺画像がディスプレイ72に表示されるように、表示装置70を制御する。
図8は、周辺画像表示処理の実行によってディスプレイ72に表示される周辺画像の一例を示す。
図8に示すように、周辺画像G10は、第一視点画像G11と第二視点画像G12を含む。第一視点画像G11は、周辺画像G10の左側の領域に表示された画像であり、第二視点画像G12は、周辺画像G10の右側の領域に表示された画像である。
【0066】
第一視点画像G11は、自車両の停車位置のやや上方から駐車スポットPSを見た仮想視点画像である。また、第一視点画像G11には、駐車スポットPSの周辺の画像も表示される。例えば、
図8に示すように、第一視点画像G11には、駐車スポットPSの両側に駐車された他車両の一部が表示されている。また、第一視点画像G11には、自車両の停車位置に自車両の一部を表す画像Jが表示される。さらに、第一視点画像G11には、駐車スポットPSの所定領域に駐車される自車両が仮想的に示された画像Hが表示されていてもよい。
【0067】
第二視点画像G12は、自車両の直上から自車両及び駐車スポットPSを含む自車両の周辺領域を見た仮想視点画像である。第二視点画像G12には、
図8に示すように、自車両(車両1000)、駐車スポットPSの一部、及び駐車スポットPSに隣接する他車両、等が表示される。また、第二視点画像G12内の駐車スポットPSに、「P」と示された駐車位置表示シンボルC1が表示される。
【0068】
また、第二視点画像G12の下方の領域には、駐車処理開始アイコンC2が表示される。この駐車処理開始アイコンC2がタップされることにより、表示ECU71から駐車処理開始信号が送信される。また、第二視点画像G12の上部の領域に、探索続行アイコンC3が表示される。探索続行アイコンC3がタップされることにより、表示ECU71から探索続行信号が送信される。駐車支援ECU10は、これらの信号を受信する。すなわち、駐車支援ECU10が駐車処理開始信号又は探索続行信号を受信することができるように、周辺画像G10に駐車処理開始アイコンC2及び探索続行アイコンC3が表示される。駐車処理開始アイコンC2及び探索続行アイコンC3を含む周辺画像G10がディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御する周辺画像処理が、受付処理に相当する。
【0069】
ここで、例えば検出された駐車スポットPSの間口或いは幅が狭く、その駐車スポットPSに自車両を駐車した場合に自車両からの乗降が困難であると予測される場合には、自車両の乗員は、検出された駐車スポットPSに自車両を駐車する意思を有さない可能性がある。或いは、検出された駐車スポットPSから目的地までの距離が長い場合にも、自車両の乗員は、検出された駐車スポットPSに自車両を駐車する意思を有さない可能性がある。自車両の乗員が検出された駐車スポットPSに自車両を駐車する意思を有さない場合、自車両の乗員は探索続行アイコンC3をタップする。
【0070】
探索続行アイコンC3がタップされた場合は、検出した駐車スポットに自車両を駐車するか否かという選択に対して、検出した駐車スポットに自車両を駐車しないという選択結果を自車両の乗員が示したこととなる。斯かる選択結果は、探索続行信号として駐車支援ECU10に受け付けられる。
【0071】
駐車支援ECU10は、探索続行信号を入力した(受け付けた)場合、探索処理を再開する。探索処理が再開された場合、駐車支援ECU10は、自車両が駐車場の通路に沿って設定車速Vsで自動走行するように自車両を制御するとともに、周囲情報センサ20Aが取得する情報に基づいて駐車スポットを探索する。
【0072】
図9は、探索処理が再開された後に、駐車支援ECU10が新たな駐車スポットを検出した状態を示す図である。
図9に示す例では、駐車支援ECU10は、前方カメラ装置22aにより撮影された画像から、2本の駐車枠線L4,L5により区画された領域A3を検出する。また、駐車支援ECU10は、前方カメラ装置22aにより撮影された画像から、領域A3内に立体物(他車両等)を検出しない。そして、領域A3の大きさ及び形状が、自車両を駐車可能な大きさ及び形状と判断された場合、領域A3が駐車スポットとして検出される。
【0073】
駐車支援ECU10は、探索処理の再開によって駐車スポットを検出した場合、検出した駐車スポットの周辺領域内の所定位置まで自車両を走行させる。そして、駐車支援ECU10は、停車処理を実行することにより、上記所定位置にて自車両が停車するように、自車両を操作する。
【0074】
図10は、新たに検出された駐車スポットPSの周辺領域内の所定位置にて停車した自車両を示す図である。
図10に示す例では、
図7に示す例と同様に、検出された駐車スポットPSの間口(入口)に自車両の左側面が正対するように、駐車スポットPSの周辺の所定位置に自車両が停車している。
【0075】
自車両が駐車スポットPSに対する所定位置にて停車した場合、駐車支援ECU10は、探索処理を一旦終了するとともに、周辺画像表示処理を実行する。これにより、ディスプレイ72に、
図8に示す周辺画像G10が表示される。そして、自車両の乗員が検出された駐車スポットPSに自車両を駐車する意思を有する場合、自車両の乗員は、周辺画像G10内の駐車処理開始アイコンC2をタップする。
【0076】
駐車処理開始アイコンC2がタップされた場合は、検出した駐車スポットに自車両を駐車するか否かという選択に対して、検出した駐車スポットに自車両を駐車するという選択結果を自車両の乗員が示したこととなる。斯かる選択結果は、駐車処理開始信号として駐車支援ECU10に受け付けられる。
【0077】
駐車支援ECU10は、駐車処理開始信号を入力した(受け付けた)場合、駐車処理の実行を開始する。駐車処理の実行が開始された場合、駐車支援ECU10は、現在検出している駐車スポットPSを目標駐車スポットに設定する。次いで、駐車支援ECU10は、停車中の自車両の中心位置Gが目標駐車スポット内の所定の目標駐車位置Cまで移動し、その位置にて自車両が所定の向きで停止するまでの誘導経路を演算する。誘導経路は、予め設定される駐車モードに応じて演算される。例えば、自車両が後退して並列駐車する並列後退駐車モードである場合、駐車支援ECU10は、
図11に示すように、前進経路R1及び後退経路R2を演算する。前進経路R1は、自車両が停車位置から前進して切り返し地点P1まで自車両の中心位置Gが移動する経路である。後退経路は、自車両が後退して自車両の中心位置Gが切り返し地点P1から目標駐車スポット内の目標駐車位置Cまで移動する経路である。
【0078】
また、誘導経路は、自車両が物体に接触することなく停車位置から目標駐車スポット内の所定の駐車領域まで移動するように、二次元マップにプロットされる物体情報に基づいて演算される。例えば、誘導経路は、フェンスや隣接車両等の物体と自車両との間の距離が所定の距離だけ離間した状態を維持したまま、停車位置から目標駐車スポット内の所定の駐車領域まで移動することができる経路として演算される。
【0079】
駐車支援ECU10は、誘導経路を演算した後に、誘導経路に沿って自車両を移動させるために、自車両の移動方向(具体的には、変速機34の目標シフト位置)、操舵角パターン及び速度パターンを決定する。
【0080】
自車両の移動方向は、自車両が演算された誘導経路のうちの前進経路を走行するか後退経路を走行するかに応じて決定される。駐車支援ECU10は、自車両の移動方向を決定した場合、CANを介してSBW-ECU61に対して、決定した目標シフト位置を表す情報を含むシフト制御信号を送信する。SBW-ECU61は、駐車支援ECU10からシフト制御信号を受信した場合には、SBWアクチュエータ63を駆動して、変速機34のシフト位置がシフト制御信号により特定される目標シフト位置に変更されるように、シフト切替機構64を作動させる。
【0081】
操舵角パターンは、誘導経路上の自車両の中心位置Gと操舵角とを関連付けたデータであり、自車両の中心位置Gが誘導経路に沿って移動する際の目標操舵角の変化のパターンを表す。操舵角パターンは、演算された誘導経路の形状に応じて決定される。駐車支援ECU10は、操舵角パターンを決定した場合に、決定された操舵角パターンに応じて、CANを介してステアリングECU51に対して目標操舵角を表す情報を含む操舵制御信号を送信する。ステアリングECU51は、駐車支援ECU10から操舵制御信号を受信した場合には、自車両の操舵角が、誘導経路上の自車両の中心位置Gに対応する目標操舵角に一致するようにステアリングアクチュエータ52を駆動する。
【0082】
速度パターンは、誘導経路上の自車両の中心位置Gと走行速度とを関連付けたデータであり、自車両の中心位置Gが誘導経路に沿って移動する際の目標車速の変化のパターンを表す。速度パターンは、演算された誘導経路の形状、切り返し地点P1の位置、目標駐車位置Cの位置、等に応じて決定される。速度パターンは、自車両の中心位置Gが目標駐車位置Cに到達した時点で車速が所定の最終目標車速に一致するように、設定される。最終目標車速はゼロであってもよい。駐車支援ECU10は、速度パターンを決定した場合、自車両の速度が、誘導経路上の自車両の中心位置Gに対応する目標車速に一致するように、CANを介して、駆動ECU31に対しては目標駆動力を表す情報を含む駆動制御信号を、制動ECU41に対しては目標制動力を表す情報を含む制動制御信号を、それぞれ送信する。駆動ECU31は、駐車支援ECU10から駆動制御信号を受信した場合には、駆動源33の駆動力が目標駆動力に一致するように駆動アクチュエータ32を制御する。制動ECU41は、駐車支援ECU10から制動制御信号を受信した場合には、制動力が目標制動力に一致するように制動アクチュエータ42を制御する。
【0083】
このように、駐車支援ECU10は、駐車処理の実行中、各ECUに制御信号を送信することにより、自車両が誘導経路に沿って移動するように、駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50、及びシフト切替装置60を制御する。これにより、目標駐車スポットに自車両を駐車させるための自車両の移動操作が、駐車支援装置1によって支援される。
図12は、駐車処理によって自車両が停車位置から前進経路R1に沿って前進し、自車両の中心位置Gが切り返し地点P1に到達した状態を示す。また、
図13は、駐車処理によって自車両が後退経路R2に沿って後退し、自車両の中心位置Gが目標駐車スポット内の目標駐車位置Cに到達した状態を示す。
【0084】
自車両の中心位置Gが目標駐車スポット内の目標駐車位置Cに到達した場合、駐車支援ECU10は駐車処理を終了するとともに、終了処理を実行する。終了処理では、駐車支援ECU10は、自車両のシフト位置が駐車位置になるようにSBWアクチュエータ63を作動させる。これにより自車両がパーキングロックされる。また、終了処理では、駐車支援ECU10は、自車両の駐車が完了した旨がディスプレイ72に表示されるように、或いは自車両の駐車が完了した旨の音声ガイダンスが発話装置から発生されるように、表示装置70又は発話装置を制御する。駐車支援ECU10は、終了処理の実行後、自動駐車制御を終了する。
【0085】
自動駐車制御の実行中に所定の終了条件が成立した場合、駐車支援ECU10は自動駐車制御の実行を終了する。具体的には、自動駐車制御の実行中に、運転者が自車両のアクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイール、シフトレバーのいずれか一つ又は複数を操作し始めた場合に終了条件が成立する。
【0086】
終了条件が成立することなく自動駐車制御が終了した場合、運転者は、目標駐車スポット内の所定領域に駐車された自車両から降車する。以上により、自車両の駐車が完了する。
【0087】
図14は、上記した自動駐車制御を実行するために、駐車支援ECU10のCPU10a(以下、「CPU」と称呼する。)が実行する自動駐車制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される自動駐車制御ルーチンは、制御開始要求スイッチ25が押されることにより起動する。自動駐車制御ルーチンが起動すると、CPUは、ステップ(以下、ステップをSと略記する)100からこの自動駐車制御ルーチンの実行を開始し、S102に処理を進める。
【0088】
CPUは、S102にて自車両の現在の車速Vが上限車速Vth未満であるか否かを判断する。車速Vが上限車速Vth以上であると判断した場合(S102:No)、CPUはS132に処理を進める。S132では、CPUは、駐車不可信号を表示ECU71に送信する。これにより、ディスプレイ72には、車速が速いために駐車することができないことを表す画像が表示される。その後、CPUは、S134に処理を進めて自動駐車制御ルーチンの実行を終了する。従って、車速Vが上限車速Vth以上である場合には、制御開始要求スイッチ25が押されても実体的な自動駐車制御は開始されない。
【0089】
S102にて自車両の現在の車速Vが上限車速Vth未満であると判断した場合(S102:Yes)、CPUはS104に処理を進める。S104では、CPUは、自車両の現在の車速Vが0でないか否か、すなわち自車両が停車中ではないか否かを判断する。車速Vが0ではない場合(S104:Yes)、CPUはS106に処理を進める。一方、車速Vが0である場合(S104:No)、CPUはS122に処理を進める。S122では、CPUは、既に駐車スポットを検出しているか否かを判断する。既に駐車スポットを検出している場合(S122:Yes)、CPUはS112に処理を進める。一方、駐車スポットを検出していない場合(S122:No)、CPUはS106に処理を進める。なお、S122の判定結果がNoである場合、CPUは、自車両を駐車するスペースを検出することができないことを示す画像をディスプレイ72に表示させ、その後、自動駐車制御ルーチンの実行を終了してもよい。
【0090】
S106では、CPUは、探索処理の実行を開始する。この探索処理では、CPUは、自車両の操舵角θが0°であり、車速Vが設定車速Vsで自動走行するように、自車両の駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50を制御する。また、CPUは、周囲情報センサ20Aが取得する情報に基づいて駐車車列等を検出し、検出結果に基づいて自車両が走行するための走行路を設定することができた場合、設定した走行路に沿って自車両が自動走行するように、自車両を制御する。さらに、CPUは、周囲情報センサ20Aが入力する情報に基づいて、駐車スポットを探索する。これにより、探索処理の実行中は、CPUは、自車両を設定車速Vsで自動走行させながら駐車スポットを探索する。CPUは、探索処理の実行を開始した後に、S108に処理を進める。
【0091】
S108では、CPUは、駐車スポットを検出したか否かを判断する。駐車スポットを検出していない場合(S108:No)、CPUはS124に処理を進める。S124では、CPUは、探索終了条件が成立したか否かを判断する。探索終了条件は、例えば探索処理の実行を開始してからの経過時間が予め設定される閾値時間に達した場合に、成立する。また、探索終了条件は、例えば、探索処理の実行を開始してからの自車両の走行距離が予め設定される閾値距離に達した場合に、成立する。上記経過時間が閾値時間に達した場合に探索終了条件が成立する場合、CPUは、S106にて探索処理を開始した後にタイマにより経過時間を計測する。そして、S124にて経過時間が閾値時間に達したと判断した場合に探索終了条件が成立したと判断することができる。上記走行距離が閾値距離に達した場合に探索終了条件が成立する場合、CPUは、S106にて探索処理を開始してからの自車両の走行距離を、例えば車速センサ23が検出する車速Vに基づいて演算する。そして、S124にて走行距離が閾値距離に達した場合に探索終了条件が成立したと判断することができる。
【0092】
S124にて探索終了条件が成立していないと判断した場合(S124:No)、CPUは、S108に処理を戻し、再度、駐車スポットを検出したか否かを判断する。また、S124にて探索終了条件が成立したと判断した場合(S124:Yes)、CPUは、S126に処理を進める。S126では、CPUは、自車両が停車するように、駆動装置30及び制動装置40を制御する。これにより自車両が停車する。その後、S128に処理を進めて、探索終了信号を表示ECU71に送信する。これにより、ディスプレイ72には、駐車スポットの探索を終了することを表す画像が表示される。その後、CPUは、S134に処理を進めて自動駐車制御ルーチンの実行を終了する。このように、探索終了条件が成立した場合、自動駐車制御は終了する。
【0093】
また、S108にて、駐車スポットを検出したと判断した場合(S108:Yes)、CPUはS110に処理を進める。S110では、CPUは、探索処理を一旦終了するとともに、停車処理を実行する。停車処理の実行により、検出した駐車スポットの周辺の所定位置(例えば適正位置)にて停車するように、自車両の駆動装置30、制動装置40、及びステアリング装置50が制御される。停車処理の実行が完了した場合、CPUは、S112に処理を進める。
【0094】
S112では、CPUは、周辺画像表示処理を実行する。これにより、ディスプレイ72には、
図8に示すような周辺画像G10が表示される。この周辺画像G10内には、駐車スポットPSに自車両を駐車することを選択するか否かの選択結果を受け付けるための駐車処理開始アイコンC2及び探索続行アイコンC3が表示される。駐車処理開始アイコンC2がタップされた場合、駐車処理開始信号が駐車支援ECU10に入力される。探索続行アイコンC3がタップされた場合、探索続行信号が駐車支援ECU10に入力される。
【0095】
周辺画像表示処理を実行した後に、CPUは、S114に処理を進める。S114では、CPUは、駐車処理開始信号を受信したか否かを判断する。駐車処理開始信号を受信していない場合(S114:No)、CPUは、S130に処理を進める。S130では、CPUは、探索続行信号を受信したか否かを判断する。探索続行信号を受信した場合(S130:Yes)、CPUは、検出した駐車スポットに自車両を駐車しないという選択結果を受け付けたことになる。この場合、CPUはS106に処理を戻して探索処理を再開する。一方、探索続行信号を受信していない場合(S130:No)、CPUはS114に処理を戻し、S114以降の処理を繰り返す。
【0096】
S114にて、駐車処理開始信号を受信したと判断した場合(S114:Yes)、CPUは、検出した駐車スポットに自車両を駐車するという選択結果を受け付けたことになる。この場合、CPUはS116に処理を進める。S116では、CPUは、駐車処理の実行を開始する。これにより、検出されている駐車スポットが目標駐車スポットに設定されるとともに、目標駐車スポットに自車両を駐車させるための自車両の移動操作が駐車支援装置1により実行される。具体的には、CPUは、自車両が停車位置から目標駐車スポットの所定領域に駐車されるまでの誘導経路を演算する。そして、CPUは、自車両が停車位置から誘導経路を辿って移動するように、自車両の駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50、シフト切替装置60を制御する。
【0097】
続いて、CPUは、S118に処理を進める。S118では、CPUは、自車両の中心位置Gが目標駐車スポット内の目標駐車位置Cに到達したか否かを判断する。自車両の中心位置Gが目標駐車位置Cに到達していないと判断した場合(S118:No)、CPUは、S118の判断を繰り返す。自車両の中心位置Gが目標駐車位置Cに到達したと判断した場合(S118:Yes)、CPUはS120に処理を進める。S120では、CPUは、終了処理を実行する。この終了処理の実行により自車両の駐車が完了した旨の通知がなされる。その後、CPUは、S134に処理を進めてこの自動駐車制御ルーチンを終了する。
【0098】
以上のように、本実施形態に係る駐車支援装置1は、自車両の周囲の物体及び表示に関する情報を取得する周囲情報センサ20Aと、自車両が駐車スポットに駐車されるように自車両を制御する自動駐車制御を実行可能な駐車支援ECU10と、を備える。そして、駐車支援ECU10は、自車両が上限車速Vth未満の車速で走行中に自動駐車制御の開始要求を検知した場合に、周囲情報センサ20Aの取得情報に基づいて駐車スポットを探索する探索処理を実行する。探索処理によって駐車スポットを検出した場合に、駐車支援ECU10は、検出した駐車スポットに自車両を駐車するか否かの選択結果を受け付けるための受付処理としての周辺画像表示処理を実行する。そして、検出した駐車スポットに自車両を駐車するという選択結果を受け付けた場合に、駐車支援ECU10は、検出した駐車スポットに自車両が駐車されるように自車両の移動動作を制御する駐車処理を実行する。
【0099】
本実施形態に係る駐車支援装置1によれば、自車両の走行中に、すなわち自車両が停止していない場合に駐車支援ECU10が自動駐車制御の開始要求を検知した場合であっても自動駐車制御を開始することができる。このため自車両の運転者が自車両を駐車させるために自車両を所定位置に停車させる必要がない。よって、駐車支援装置1による自動駐車制御を実行するにあたっての利便性を向上することができる。
【0100】
また、駐車支援ECU10は、探索処理の実行中に、自車両を予め設定した設定車速Vsで自動走行させる。このため設定車速Vsを所定の低速度、例えば5km/h以上10km/h以下の速度に設定することにより、探索処理の実行時における自車両の安全性を高めることができる。
【0101】
また、駐車支援ECU10は、周辺画像表示処理の実行開始後に、検出した駐車スポットに自車両を駐車しないという選択結果を受け付けた場合に、すなわち探索続行信号を入力した場合に、探索処理を再開する。このため、自車両の乗員が検出された駐車スポットに自車両を駐車する意思を有さない場合に、別の駐車スポットを探索することができる。
【0102】
また、駐車支援ECU10は、探索処理によって駐車スポットを検出した場合に停車処理を実行して、検出した駐車スポットの周辺領域内の所定位置に自車両が停車するように自車両を制御する。このため自車両の乗員は、検出された駐車スポットの広さ等を自車両の停車位置にて目視確認することができる。また、上記所定位置が、検出した駐車スポットに自車両が駐車されるように自車両の移動動作を制御する駐車処理の実行を開始するための適正位置である場合、自車両の運転者が自ら適正位置を探索することによる運転負担を軽減することができる。
【0103】
また、駐車支援ECU10は、探索処理の実行の開始から駐車スポットを検出することなく予め設定した時間が経過した場合、又は、探索処理の実行の開始から駐車スポットを検出することなく自車両が予め設定した移動距離を走行した場合に、探索処理を終了する。このため、駐車スポットが存在しないにもかかわらずに探索処理を継続することによる時間の浪費を防ぐことができる。
【0104】
また、駐車支援装置1は、探索処理によって検出された駐車スポットに自車両を駐車するか否かの選択結果を入力するための表示装置70を備える。そして、駐車支援ECU10は、表示装置70を通じて入力された選択結果を、駐車処理開始信号又は探索続行信号として入力する(受け付ける)。よって、駐車支援ECU10は、選択結果に応じた処理を実行することができる。
【0105】
(第二実施形態)
上記第一実施形態では、自車両の乗員は、探索処理の実行によって駐車スポットが検出された場合、検出された駐車スポットの周辺の所定位置に自車両が停車する。そして、検出された駐車スポットに駐車することが選択された場合に駐車処理の実行によって自車両が当該駐車スポットに駐車され、検出された駐車スポットに駐車しないことが選択された場合には探索処理が再開される。これに対し、第二実施形態では、探索処理の実行によって駐車スポットが検出された場合、自車両が停車することなく検出された駐車スポットに駐車される例について説明する。
【0106】
本実施形態に係る駐車支援装置1Aは、駐車支援ECU10A、車載センサ20、制御開始要求スイッチ25、駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50、シフト切替装置60、表示装置70、ナビゲーション装置80を、備える。これらの構成は、上記第一実施形態にて説明した構成と基本的に同一である。従って、本実施形態に係る駐車支援装置1Aの各構成は、第一実施形態に係る駐車支援装置1の各構成についての説明及び
図1を援用することができる。
【0107】
駐車支援装置1Aを備える自車両の運転者は、自車両を駐車させることを希望する場合に制御開始要求スイッチ25を押す。例えば自車両の運転者は、複数車両を駐車することができる駐車場に自車両が進入し、自車両を駐車するべき駐車スポットを見つけるために自車両を低速で走行させているときに制御開始要求スイッチ25を押す。
【0108】
制御開始要求スイッチ25が押された場合、駐車支援ECU10Aは制御開始要求スイッチ25がオン状態であることを検知する。制御開始要求スイッチ25がオン状態であることを検知した場合、すなわち自動駐車制御の開始要求を検知した場合、駐車支援ECU10Aは自動駐車制御を開始する。自動駐車制御を開始した場合、駐車支援ECU10Aは、まず、自車両の現在の車速Vを車速センサ23から取得する。次いで、駐車支援ECU10Aは、自車両の現在の車速Vが予め設定された上限車速Vth未満であるか否かを判断する。自車両の現在の車速Vが上限車速Vth未満である場合、駐車支援ECU10Aは、自車両が停車していないか、すなわち自車両の車速Vが0km/hではないか否かを判断する。自車両が停車していない場合、駐車支援ECU10Aは探索処理を実行する。
【0109】
探索処理では、駐車支援ECU10Aは、自車両の車速Vが予め設定された設定車速Vsであり、且つ操舵角θが0°となるように、自車両を制御する。これにより、自車両は、設定車速Vsで自動進走行する。
【0110】
図15は、探索処理を実行中の自車両を示す図である。
図15に示す例は、複数車両が駐車することができる駐車場内の通路を自車両が自動走行している状態を示す。
図15に示すように、自車両(車両1000)は、探索処理の実行中は、駐車場内の通路に沿って、設定車速Vsで直進走行する。この場合、例えば、駐車支援ECU10Aは、周囲情報センサ20Aが取得する情報に基づいて駐車場内に並列に駐車されている複数の車両の列(駐車車列)を検出し、検出した駐車車列に平行に自車両が自動走行するように、自車両を制御することができる。また、自車両の自動走行中は、駐車支援ECU10Aは、周囲情報センサ20Aが取得する情報に基づいて、自車両の周囲を常に監視している。そして、例えば駐車場内に存在する他車両と自車両との相対距離が所定の閾値未満である場合には、駐車支援ECU10Aは、上記の相対距離が閾値以上となるように、自車両の操舵輪の操舵角を補正するための補正信号をステアリングECU51に送信することができる。ステアリングECU51は、補正信号を受信した場合に、自車両の操舵輪の操舵角が補正されるようにステアリングアクチュエータ52を制御する。これにより、自車両と駐車中の他車両との相対距離が閾値以上に維持される。
【0111】
駐車支援ECU10Aは、探索処理の実行中、自車両を自動走行させながら、周囲情報センサ20Aから入力した情報に基づいて、駐車スポットを探索する。探索方法については上記第一実施形態にて示した探索方法を採用することができる。
【0112】
図15に示す例では、駐車支援ECU10Aは、自車両に設けられる前方カメラ装置22aにより撮影された画像から、2本の駐車枠線L11,L12により区画された領域A11を検出する。しかし、駐車支援ECU10Aは、前方カメラ装置22aにより撮影された画像から、領域A11内に立体物(他車両2011)を検出する。このため、領域A11は駐車スポットとして検出されない。駐車スポットが検出されない場合、自車両は自動走行を継続する。このため自車両は
図15の矢印方向に向かって前進移動を継続する。
【0113】
図16は、駐車支援ECU10Aが駐車スポットを検出した状態を示す図である。
図16に示す例では、駐車支援ECU10Aは、前方カメラ装置22aにより撮影された画像から、2本の駐車枠線L12,L13により区画された領域A12を検出する。また、駐車支援ECU10Aは、前方カメラ装置22aにより撮影された画像から、領域A12内に立体物(他車両等)を検出しない。このため領域A12は駐車スポットとして検出される。
【0114】
駐車支援ECU10Aは、探索処理によって駐車スポットを検出した場合、探索処理を終了する。また、駐車支援ECU10Aは、探索処理の終了後に、駐車処理の実行を開始する。この場合において、駐車支援ECU10Aは、自車両を停車させることなくシームレスに探索処理から駐車処理に移行できるように、自車両を制御する。また、自車両を停車させることなく探索処理から駐車処理に移行できるように、探索処理の終了から駐車処理の開始まで自車両が助走する助走処理を実行してもよい。
【0115】
また、駐車支援ECU10Aは、探索処理によって駐車スポットを検出した場合、ディスプレイ72に、駐車スポットを検出したこと及び検出した駐車スポットに自車両を駐車させること、を表す画像が表示されるように、表示装置70を制御することができる。或いは、駐車支援ECU10Aは、駐車スポットを検出した旨、及び検出した駐車スポットに自車両を駐車させる旨を、音声ガイダンス等により自車両の乗員に報知してもよい。
【0116】
駐車支援ECU10Aは、探索処理によって駐車スポットを検出した場合、検出した駐車スポットを目標駐車スポットに設定する。そして、駐車支援ECU10Aは、自車両の中心位置Gが目標駐車スポット内の所定の目標駐車位置Cまで移動し、その位置にて自車両が所定の向きで停止するまでの誘導経路を演算する。誘導経路の始点は、探索処理によって駐車スポットを検出した時点における自車両の位置(検出位置)であってもよい。また、誘導経路の始点は、目標駐車スポットに自車両が駐車されるように自車両の移動動作を制御する駐車処理の実行を開始するために適切な位置である適正位置であってもよい。誘導経路の始点が適正位置である場合、検出位置から適正位置までの間の区間は、探索処理から駐車処理に自車両を停車させることなくスムーズに移行させるために自車両を助走させる助走処理を実行する区間(助走区間)である。この場合、駐車支援ECU10Aは、自車両が助走区間を走行中に、誘導経路を演算する。以下では、探索処理と駐車処理との間に助走処理を実行する場合について、説明する。
【0117】
図17は、駐車支援ECU10Aが演算した誘導経路を示す図である。
図17に示す例では、駐車スポットPS(目標駐車スポット)に対する適正位置P0を始点として誘導経路が演算される。従って、検出位置(
図17に示す自車両の中心位置G)から適正位置P0までの破線で示された区間R0は助走区間である。なお、
図17に示す適正位置P0は、自車両が適正位置に位置する場合における自車両の中心位置Gの位置を表す。
【0118】
図17に示す例によれば、駐車支援ECU10Aは前進経路R1及び後退経路R2を演算する。前進経路R1は、自車両が前進して自車両の中心位置Gが適正位置P0から切り返し地点P1まで移動する経路である。後退経路R2は、自車両が後退して自車両の中心位置Gが切り返し地点P1から目標駐車スポット内の目標駐車位置Cまで移動する経路である。また、誘導経路は、自車両が物体に接触することなく目標駐車スポット内の所定の駐車領域まで移動するように、演算される。例えば、誘導経路は、フェンスや隣接車両等の物体と自車両との間の距離が所定の距離だけ離間した状態を維持したまま、目標駐車スポット内の所定の駐車領域まで移動することができる経路として演算される。
【0119】
駐車支援ECU10Aは、誘導経路を演算した後に、誘導経路に沿って自車両を移動させるために、自車両の移動方向(具体的には、変速機34の目標シフト位置)、操舵角パターン及び速度パターンを決定する。これらの自車両の移動方向、操舵角パターン、速度パターンは、上記第一実施形態にて説明した移動方向、操舵角パターン、速度パターンと同一であるので、その説明は省略する。ただし、誘導経路の始点位置における自車両の車速は、その直前における自車両の車速に一致するように、速度パターンが決定される。例えば、
図17に示す例によれば、前進経路R1の始点位置(適正位置P0)における自車両の車速は、助走区間の終点における自車両の速度に一致するように決定される。これにより、探索処理から駐車処理に移行する際、或いは探索処理から助走処理を経て駐車処理に移行する際における自車両の速度変化を抑えることができる。
【0120】
駐車支援ECU10Aは、自車両の移動方向、操舵角パターン及び速度パターンを決定した後に、自車両の中心位置Gが適正位置P0に到達したか否かを判断する。そして、自車両の中心位置Gが適正位置P0に到達したと判断した場合に、助走処理を終了するとともに駐車処理の実行を開始する。駐車支援ECU10Aは、駐車処理の実行を開始した場合、決定された自車両の移動方向、操舵角パターン及び速度パターンに基づいて、自車両が誘導経路に沿って移動するように、駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50、及びシフト切替装置60を制御する。これにより、目標駐車スポットに自車両を駐車させるための自車両の移動操作が駐車支援装置1によって支援される。
図18は、駐車処理によって自車両が前進経路R1に沿って前進し、自車両の中心位置Gが切り返し地点P1に到達した状態を示す。また、
図19は、駐車処理によって自車両が後退経路R2に沿って後退し、自車両の中心位置Gが目標駐車スポット内の目標駐車位置Cに到達した状態を示す。
【0121】
自車両の中心位置Gが目標駐車スポット内の目標駐車位置Cに到達した場合、駐車支援ECU10Aは終了処理を実行する。終了処理では、駐車支援ECU10Aは、自車両のシフト位置が駐車位置になるようにSBWアクチュエータ63を作動させる。これにより自車両がパーキングロックされる。また、終了処理では、駐車支援ECU10Aは、自車両の駐車が完了した旨がディスプレイ72に表示されるように、或いは自車両の駐車が完了した旨の音声ガイダンスが発話装置から発生されるように、表示装置70又は発話装置を制御する。駐車支援ECU10Aは、終了処理の実行後、自動駐車制御を終了する。
【0122】
自動駐車制御の実行中に所定の終了条件が成立した場合、駐車支援ECU10Aは自動駐車制御の実行を終了する。具体的には、自動駐車制御の実行中に、運転者が自車両のアクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリングホイール、シフトレバーのいずれか一つ又は複数を操作し始めた場合に終了条件が成立する。
【0123】
終了条件が成立することなく自動駐車制御が終了した場合、運転者は、目標駐車スポット内の所定領域に駐車された自車両から降車する。
【0124】
図20は、第二実施形態に係る駐車支援ECU10AのCPU10a(以下、「CPU」と称呼する。)が実行する自動駐車制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される自動駐車制御ルーチンは、制御開始要求スイッチ25が押されることにより起動する。自動駐車制御ルーチンが起動すると、CPUは、ステップ(以下、ステップをSと略記する)200からこの自動駐車制御ルーチンの実行を開始し、S202に処理を進める。
【0125】
CPUは、S202にて自車両の現在の車速Vが上限車速Vth未満であるか否かを判断する。車速Vが上限車速Vth以上であると判断した場合(S202:No)、CPUはS232に処理を進める。S232では、CPUは、駐車不可信号を表示ECU71に送信する。これにより、ディスプレイ72には、車速が速いために駐車することができないことを表す画像が表示される。その後、CPUは、S234に処理を進めて自動駐車制御ルーチンの実行を終了する。一方、車速Vが上限車速Vth未満であると判断した場合(S202:Yes)、CPUはS204に処理を進める。
【0126】
S204では、CPUは、現在の車速Vが0でないか否か、すなわち自車両が停車中ではないか否かを判断する。車速Vが0ではない場合(S204:Yes)、CPUはS206に処理を進める。一方、車速Vが0である場合(S204:No)、CPUはS222に処理を進める。S222では、CPUは、既に駐車スポットを検出しているか否かを判断する。既に駐車スポットを検出している場合(S222:Yes)、CPUはS212に処理を進める。一方、駐車スポットを検出していない場合(S222:No)、CPUはS206に処理を進める。なお、S222の判定結果がNoである場合、CPUは、自車両を駐車するスペースを検出することができないことを示す画像をディスプレイ72に表示させ、その後、自動駐車制御ルーチンの実行を終了してもよい。
【0127】
S206では、CPUは、探索処理の実行を開始する。この探索処理では、CPUは、自車両の操舵角θが0°であり、車速Vが設定車速Vsで自動走行するように、自車両の駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50を制御する。また、CPUは、周囲情報センサ20Aが取得する情報に基づいて駐車車列等を検出し、検出結果に基づいて自車両が走行するための走行路を設定することができた場合、設定した走行路に沿って自車両が自動走行するように、自車両を制御する。さらに、CPUは、周囲情報センサ20Aが入力する情報に基づいて、駐車スポットを探索する。これにより、探索処理の実行中は、CPUは、自車両を設定車速Vsで自動走行させながら駐車スポットを探索する。CPUは、探索処理の実行を開始した後に、S208に処理を進める。
【0128】
S208では、CPUは、駐車スポットを検出したか否かを判断する。駐車スポットを検出していない場合(S208:No)、CPUはS224に処理を進める。S224では、CPUは、探索終了条件が成立したか否かを判断する。探索終了条件は、例えば探索処理の実行を開始してからの経過時間が予め設定される閾値時間に達した場合に、成立する。また、探索終了条件は、例えば、探索処理の実行を開始してからの自車両の走行距離が予め設定される閾値距離に達した場合に、成立する。
【0129】
S224にて探索終了条件が成立していないと判断した場合(S224:No)、CPUは、S208に処理を戻し、再度、駐車スポットを検出したか否かを判断する。また、S224にて探索終了条件が成立したと判断した場合(S224:Yes)、CPUは、S226に処理を進める。S226では、CPUは、自車両を停止させる。その後、S228に処理を進めて、探索終了信号を表示ECU71に送信する。これにより、ディスプレイ72には、駐車スポットの探索を終了することを表す画像が表示される。その後、CPUは、S234に処理を進めて自動駐車制御ルーチンの実行を終了する。
【0130】
また、S208にて、駐車スポットを検出したと判断した場合(S208:Yes)、CPUはS210に処理を進める。S210では、CPUは、助走処理の実行を開始する。これにより、自車両の中心位置Gが、駐車スポットを検出した時点における位置(検出位置)から適正位置P0に向かって所定の低速度で自動走行する。なお、助走処理の実行を開始した後に、CPUは、駐車スポットを検出したこと及び検出した駐車スポットに自車両を駐車させること、を表す画像がディスプレイ72に表示されるように、表示装置70を制御してもよい。
【0131】
次いで、CPUは、S212に処理を進める。S212では、CPUは、適正位置P0を始点とした誘導経路を演算する。例えば、CPUは、
図17に示す前進経路R1及び後退経路R2を演算する。
【0132】
続いてCPUは、S214に処理を進める。S214では、CPUは、自車両の中心位置Gが適正位置P0に到達したか否かを判断する。自車両の中心位置Gが適正位置P0に到達していないと判断した場合(S214:No)、CPUはS214の処理を繰り返す。自車両の中心位置Gが適正位置P0に到達したと判断した場合(S214:Yes)、CPUはS216に処理を進める。
【0133】
S216では、CPUは、助走処理を終了するとともに、駐車処理の実行を開始する。これにより、検出されている駐車スポットが目標駐車スポットに設定されるとともに、目標駐車スポットに自車両を駐車させるための自車両の移動操作が駐車支援装置1により支援される。具体的には、CPUは、自車両が誘導経路を辿って目標駐車スポット内の所定の駐車領域に移動するように、自車両の駆動装置30、制動装置40、ステアリング装置50、シフト切替装置60が制御される。ここで、駐車処理の実行開始時における自車両の車速は助走処理の終了時における自車両の車速に等しい。このため、自車両が走行しながら助走処理から駐車処理に処理が切り替わる。
【0134】
続いて、CPUは、S218に処理を進める。S218では、CPUは、自車両の中心位置Gが目標駐車スポット内の目標駐車位置Cに到達したか否かを判断する。自車両の中心位置Gが目標駐車位置Cに到達していないと判断した場合(S218:No)、CPUは、S218の判断を繰り返す。自車両の中心位置Gが目標駐車位置Cに到達したと判断した場合(S218:Yes)、CPUはS220に処理を進める。S220では、CPUは、終了処理を実行する。この終了処理の実行により自車両の駐車が完了した旨の通知がなされる。その後、CPUは、S234に処理を進めてこの自動駐車制御ルーチンを終了する。
【0135】
以上のように、本実施形態の駐車支援ECU10Aは、自車両の走行中に自動駐車制御の開始要求を検知した場合に、自車両を予め設定した設定車速Vsで自動走行させながら、周囲情報センサ20Aが取得した情報に基づいて駐車スポットを探索する探索処理を実行する。探索処理によって駐車スポットを検出した場合に、駐車支援ECU10Aは、助走処理を実行し、その後、検出した駐車スポットに自車両が駐車されるように自車両の移動動作を制御する駐車処理を開始する。このとき、探索処理から助走処理を経て駐車処理にシームレスに、すなわち自車両が停車することなく、処理が移行する。つまり、駐車スポットが検出された場合、自車両が停車することなく検出された駐車スポットに駐車される。このため、自動駐車制御の開始要求が検知されてから最短時間で自車両が自動的に駐車される。よって、自車両の乗員は、駐車後の行動を速やかに実行することができる。
【0136】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定解釈されるべきではない。例えば上記第一実施形態では、駐車支援ECU10は、駐車スポットを検出した場合に、
図8に示すような、駐車処理開始アイコンC2及び探索続行アイコンC3が表示された周辺画像G10がディスプレイ72に表示される例を示した。しかしながら、検出した駐車スポットに駐車するか否かについての選択結果を入力することができるような画像であれば、
図8に示す例以外の画像を採用することができる。例えば、駐車支援ECU10は、駐車スポットを検出した場合、「検出した駐車スポットに駐車しますか」という文字画像とともに、「はい」という文字画像が表示されるアイコン及び「いいえ」という文字画像が表示されるアイコンをディスプレイ72に表示してもよい。この場合、「はい」という文字画像が表示されるアイコンがタップされることにより、検出された駐車スポットに自車両を駐車するという選択結果が駐車支援ECU10に受け付けられる。また、「いいえ」という文字画像が表示されるアイコンがタップされることにより、検出された駐車スポットに自車両を駐車しないという選択結果が駐車支援ECU10に受け付けられる。
【0137】
また、第一及び第二実施形態において、探索処理の実行開始時に、駐車支援ECU10,10Aは、駐車スポットの探索を開始することを示す画像がディスプレイ72に表示されるように表示装置70を制御してもよい。また、探索処理の実行中に、駐車支援ECU10,10Aは、
図8に示すような周辺画像G10から駐車処理開始アイコンC2及び探索続行アイコンC3を含む文字画像が省略された画像が表示されるように表示装置70を制御してもよい。
【0138】
また、上記第二実施形態では、探索処理によって駐車スポットが検出された場合に助走処理を経て駐車処理を開始する例を説明したが、助走処理を省略してもよい。この場合、探索処理から駐車処理にシームレスに(自車両が停車することなく)処理が移行するように、誘導経路の操舵角パターン及び速度パターンが演算される。
【0139】
また、上記実施形態にて例示した駐車支援装置の各構成はあくまで一例であり、作用が同じである限り例示した構成以外の構成を採用することができる。例えば上記実施形態では、制動機構43として油圧を利用した摩擦制動機構を示したが、例えば電磁力を利用した摩擦制動機構でも良いし、電動機への回生を利用した回生制動機構でも良い。このように、本開示に係る技術は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【0140】
また、本開示の技術は、標準規格であるISO20900(Partially automated parking systems: PAPS)やISO16787(Assisted parking systems: APS)に準拠する技術への適用が可能な技術である。
【符号の説明】
【0141】
1,1A…駐車支援装置、10,10A…駐車支援ECU20…車載センサ、20A…周囲情報センサ、21…ソナーセンサ、22…カメラセンサ、23…車速センサ、25…制御開始要求スイッチ、30…駆動装置、31…駆動ECU、40…制動装置、41…制動ECU、50…ステアリング装置、51…ステアリングECU、60…シフト切替装置、61…SBW-ECU、70…表示装置、71…表示ECU、72…ディスプレイ、80…ナビゲーション装置、81…ナビゲーションECU、C2…駐車処理開始アイコン、C3…探索続行アイコン、G10…周辺画像、Vs…設定車速、Vth…上限車速