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特開2024-103260建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103260
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/58 20060101AFI20240725BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
E06B9/58 A
E06B9/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007499
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】香西 統太
(72)【発明者】
【氏名】岩階 章
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042BA01
2E042CA01
2E042CA02
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】ガイドレール2の溝底部2aに、横ズレ防止位置の異なる第一、第二の横ズレ防止具6、7を設けるにあたり、現場での作業を簡略化する。
【解決手段】横ズレ防止高さが高い第二横ズレ防止具7を、横ズレ防止高さが低い第一横ズレ防止具6に積層状態で着脱自在に設けたものとし、現場において、ガイドレール2の施工公差に対応して第二横ズレ防止具7を取り付けたままとするか、取り外すかの選択をする。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の出入り口等の開口部の左右両側に設けられるガイドレールと、該ガイドレールに形成されるガイド溝に左右両端縁部が遊嵌状に内嵌する状態で案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテンとを備え、
前記ガイド溝の溝底部に、左右方向に横ズレしたシャッターカーテンの端縁部が当接してこれ以上の横ズレを防止するための横ズレ防止具が設けられてなる建物用シャッター装置において、
前記横ズレ防止具は、横ズレ防止位置が異なったものの複数が着脱自在となる状態で積層して配されていることを特徴とする建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造。
【請求項2】
横ズレ防止具は、ガイド溝の溝底部に上下方向に間隙を存して複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造。
【請求項3】
横ズレ防止具は、最も溝底部側の第一横ズレ防止具と、該第一横ズレ防止具に積層する第二横ズレ防止具とを少なくとも備えて構成され、
第一横ズレ防止具は、溝底部に対向する状態でガイド溝の溝開口側に向けて膨出形成されていて横ズレしたシャッターカーテンが当接する第一膨出部を備え、
第二横ズレ防止具は、第一横ズレ防止具に積層される状態で該第一横ズレ防止具に着脱自在に取り付けられ、上下両端部位に膨出していて横ズレしたシャッターカーテンが当接する第二膨出部が、第一膨出部よりも膨出高さが高くなるよう形成されていることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造。
【請求項4】
第二横ズレ防止具は、第一横ズレ防止具よりも上下方向に長く構成されることで第二膨出部が第一膨出部の上下端縁部を覆蓋していると共に、該第二膨出部の上下端縁が溝底部に当接支持されていることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造。
【請求項5】
第二横ズレ防止具は、上下の第二膨出部のあいだに形成される第一横ズレ防止部への取り付け部が、第二膨出部の頂部よりも低位となるよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造。
【請求項6】
シャッターカーテンが強風を受けて撓んだ場合のガイドレールからの抜け止めが、ガイド溝の溝開口部に設けた係合凸部に、シャッターカーテンに係合凸部よりも溝奥側に位置するよう設けた係合凹部が嵌入係止することで行われるものであり、
前記第二横ズレ防止具の着脱選択には、横ズレしたシャッターカーテンの係合凹部が、係合凸部を越えてガイド溝の溝開口側に偏倚しない条件を含むことを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルの出入り口等の開口部を開閉するため、開口部の左右に設けられるガイドレール、該ガイドレールに案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、該シャッターカーテンの巻装をする巻き取り体(巻き取りドラム、巻き取りホイール)を備えて構成される建物用のシャッター装置を建て付けることがあるが、このようなシャッター装置において、シャッターカーテンが左右方向に横ズレしてしまうことがあり、このような横ズレを放置しておくと、シャッターカーテンの巻き取り体に対する巻装姿勢が乱れたりして円滑なシャッターカーテンの開閉移動が阻害される等の問題がある。
そこでシャッター装置においては、ガイド溝の溝底部に横ズレ防止具を設け、シャッターカーテンが横ズレした場合に、該横ズレが必要以上に大きなものにならないよう配慮したものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-163800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでシャッター装置を現場にて建て付ける場合に、例えば左右のガイドレールを躯体側に取り付けたときの左右対向幅(間口幅)について検討したときに、該左右対向幅が、標準寸法(設計寸法)に対して予め許容される施工公差(一般に±数mm程度)の範囲内であれば、該施工を「良」として認めることになっている。一方、ガイドレールとシャッターカーテンの左右両端縁部とのあいだについても予め許容される範囲の隙間寸法が設定され、シャッターカーテンのガイドレールに対する建て付けが、この許容される隙間寸法の範囲内であれば良として認めることになっている。
このような施工を許容した場合に、左右ガイドレールが、幅狭となるマイナスの施工公差で取り付けられた場合と、幅広となるプラスの施工公差で取り付けられた場合とでは、施工公差を「±α」とした場合に最大「2α」の差が生じることになる。そしてこのような「2α」の施工公差が許容されるものに対して、例えば施工公差「+α」の建て付けに対応する横ズレ防止具をガイドレールに設けた場合、幅狭となる施工公差「-α」でガイドレールが建て付けられたものでは、横ズレ防止具とシャッターカーテンの左右両端縁部とのあいだの隙間が狭すぎる場合が発生して円滑なシャッターカーテンの開閉作動が損なわれるという問題がある。
そこでガイドレールに、プラス、マイナスの施工公差に対応した二種類(複数種類)の横ズレ防止具を予め用意し、建て付け現場でのガイドレールの施工状況に対応して横ズレ防止具を選択取り付けするように設定することが提唱されるが、建て付け現場において横ズレ防止具を選別取り付けすることは、現場での作業者が嫌うところであって作業性が劣るだけでなく、取り付け間違いが生じる等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、建物の出入り口等の開口部の左右両側に設けられるガイドレールと、該ガイドレールに形成されるガイド溝に左右両端縁部が遊嵌状に内嵌する状態で案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテンとを備え、前記ガイド溝の溝底部に、左右方向に横ズレしたシャッターカーテンの端縁部が当接してこれ以上の横ズレを防止するための横ズレ防止具が設けられてなる建物用シャッター装置において、前記横ズレ防止具は、横ズレ防止位置が異なったものの複数が着脱自在となる状態で積層して配されていることを特徴とする建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造である。
請求項2の発明は、横ズレ防止具は、ガイド溝の溝底部に上下方向に間隙を存して複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造である。
請求項3の発明は、横ズレ防止具は、最も溝底部側の第一横ズレ防止具と、該第一横ズレ防止具に積層する第二横ズレ防止具とを少なくとも備えて構成され、第一横ズレ防止具は、溝底部に対向する状態でガイド溝の溝開口側に向けて膨出形成されていて横ズレしたシャッターカーテンが当接する第一膨出部を備え、第二横ズレ防止具は、第一横ズレ防止具に積層される状態で該第一横ズレ防止具に着脱自在に取り付けられ、上下両端部位に膨出していて横ズレしたシャッターカーテンが当接する第二膨出部が、第一膨出部よりも膨出高さが高くなるよう形成されていることを特徴とする請求項2記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造である。
請求項4の発明は、第二横ズレ防止具は、第一横ズレ防止具よりも上下方向に長く構成されることで第二膨出部が第一膨出部の上下端縁部を覆蓋していると共に、該第二膨出部の上下端縁が溝底部に当接支持されていることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造である。
請求項5の発明は、第二横ズレ防止具は、上下の第二膨出部のあいだに形成される第一横ズレ防止部への取り付け部が、第二膨出部の頂部よりも低位となるよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造である。
請求項6の発明は、シャッターカーテンが強風を受けて撓んだ場合のガイドレールからの抜け止めが、ガイド溝の溝開口部に設けた係合凸部に、シャッターカーテンに係合凸部よりも溝奥側に位置するよう設けた係合凹部が嵌入係止することで行われるものであり、前記第二横ズレ防止具の着脱選択には、横ズレしたシャッターカーテンの係合凹部が、係合凸部を越えてガイド溝の溝開口側に偏倚しない条件を含むことを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、ガイドレールの溝底部に、横ズレ防止位置が異なった複数の横ズレ防止具を設けるにあたり、該複数の横ズレ防止具が積層する状態で着脱自在に設けられている結果、建て付け現場において、ガイドレールに取り付けられた複数の横ズレ防止具から、ガイドレールの施工に適応した横ズレ防止具を残すようにして必要のない横ズレ防止具を取り外す作業だけで良いことになって、現場作業の簡略化が図れ、作業性も向上する。
請求項2の発明とすることにより、横ズレ防止具が上下方向に間隙を存して複数設けられている結果、横ズレしたシャッターカーテンが横ズレ防止具に当接する場合であっても、全長に亘って横ズレ防止具を設けた場合のように摺動抵抗が大きくなってシャッターカーテンの円滑な開閉作動が損なわれることを回避できる。
請求項3の発明とすることにより、横ズレ防止具が、最も溝底部側であって膨出高さが低い第一横ズレ防止具と、該第一横ズレ防止具に積層していて膨出高さが高い第二横ズレ防止具とを少なくとも備え、そして膨出高さが高い第二横ズレ防止具が、膨出高さが低い第一横ズレ防止具に着脱自在に取り付けられている結果、横ズレ防止具として、ガイドレールの施工に対応して第二横ズレ防止具をそのまま残すか、取り外すかの選択だけで良いことになって、現場での作業性が向上する。
請求項4の発明とすることにより、第二横ズレ防止具が、第一横ズレ防止具よりも上下方向に長いものとなって第二膨出部が第一膨出部の上下端縁部を覆蓋していることで、第二横ズレ防止具が取り付けられた状態で、第一横ズレ防止具が邪魔になることがなく、しかも第二膨出部の上下端縁が溝底部に当接支持されていることから、第一横ズレ防止具が取り付けられた状態であっても、第二膨出部の横ズレ防止機能が損なわれることがなく、確実な横ズレ防止をすることになる。
請求項5の発明とすることにより、第二横ズレ防止具の第一横ズレ防止具への取り付けが、上下の第二膨出部のあいだであって、第二膨出部の頂部よりも低位となる状態でできることになって、第二膨出部による横ズレ防止機能が、第二横ズレ防止具の第一横ズレ防止具に対する取り付け部位によって支障を受けることがない。
請求項6の発明とすることにより、シャッターカーテンが強風を受けて撓んだ場合のガイドレールからの抜け止めを、ガイド溝の溝開口部に設けた係合凸部に、シャッターカーテンに係合凸部よりも溝奥側に位置するよう設けた係合凹部が嵌入係止することで行うものにおいて、前記第二横ズレ防止具の着脱選択には、横ズレしたシャッターカーテンの係合凹部が、係合凸部を越えてガイド溝の溝開口側に偏倚しない条件を含むように設定されている結果、横ズレ防止機能がシャッターカーテンの抜け止め機能を損なうことがない状態で設定されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】シャッター装置の正面図である。
図2】(A)(B)(C)はガイドレールの側面図、正面図、横断面図である。
図3】ガイドレールの要部の側面図である。
図4】ガイドレールの要部の縦断正面図である。
図5】(A)(B)(C)は図3のA-A、B-B、C-C断面図である。
図6】第二横ズレ防止具を取り外した状態のガイドレールの要部の側面図である。
図7】第二横ズレ防止具を取り外した状態のガイドレールの要部の縦断正面図である。
図8】(A)(B)(C)は図6のA-A、B-B、C-C断面図である。
図9】(A)(B)(C)は第一、第二横ズレ防止具が積層取り付けされた状態の正面図、側面図、平面図である。
図10】(A)(B)(C)は第一横ズレ防止具の正面図、側面図、平面図、(D)(E)(F)は第二横ズレ防止具の正面図、側面図、平面図である。
図11】(A)(B)(C)は第二横ズレ防止具が横ズレ防止をする状態のガイドレールが、標準寸法、プラスの施工公差、マイナスの施工公差で取り付けられた状態でシャッターカーテンが標準位置に位置する状態を示す要部平面図である。
図12】(A)(B)(C)は図11(A)(B)(C)の各施工状態においてシャッターカーテンが横ズレした状態を示す要部平面図である。
図13】(A)(B)(C)は第一横ズレ防止具が横ズレ防止をする状態のガイドレールが、標準寸法、プラスの施工公差、マイナスの施工公差で取り付けられた状態でシャッターカーテンが標準位置に位置する状態を示す要部平面図である。
図14】(A)(B)(C)は図13(A)(B)(C)の各施工状態においてシャッターカーテンが横ズレした状態を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はビル、住宅等の建物の出入り口等の開口部Eに建て付けられる建物用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、開口部Eの左右に建て付けられるガイドレール2、該ガイドレール2のガイド溝Xに左右両端縁部が遊嵌状に嵌入して上下案内(昇降案内)されるシャッターカーテン3、開口部Eの天井部に配され、シャッターカーテン3の巻装をする巻き取り体(巻き取りホイール、巻き取りドラム)4等の各種の部材装置を備えて構成されていること等は何れも従来通りである。尚、シャッター装置1としては、シャッターカーテン3の巻装を電動式の開閉機を用いて行う電動式のものであってもよいことは勿論である。
【0009】
前記ガイドレール2のガイド溝Xは、左右方向外側の溝底部2aと前後の溝側片部2bとによって凹溝状に形成され、ガイド溝Xの溝開口部Xa部位における溝側片部2bの前後方向内側面部には、シャッターカーテン3の内外側面に摺接して遮蔽材となるモヘア8を組み込むための組み込み部2cが凹溝状となって突出形成されるが、該組み込み部2cの溝奥側部位には、前後方向内方に向けて係合凸部2dが形成されたものとなっている。
【0010】
一方、シャッターカーテン3は、左右方向に長いスラット3aの複数枚を上下方向に一連状にインターロック結合することで構成されるものであるが、前記スラット3aのガイド溝Xに遊嵌状に嵌入する左右の先端縁部には、シャッターカーテン3に撓みがない状態で前記係合凸部2dよりも溝奥側に位置するよう係合凹部3bが形成されている。
そしてシャッターカーテン3が台風等の荒天候時に強風を受けて撓んだ場合に、溝開口部Xa側に移動した係合凹部3dに係合凸部2dが嵌入係止することになり、これによってシャッターカーテン3のガイドレール2からの抜け止めがなされるように構成されている。
【0011】
さらに前記ガイドレール2には、溝底部2aに第一、第二横ズレ防止具6、7が左右に積層組み込みされた一体化状態で上下方向に間隙を存して複数が設けられたものとなっている。
具体的に説明すると、第一横ズレ防止具6は、上下方向に長い長尺状に形成されたものであって、左右方向一方の端縁からは上下二か所に取り付け片6aが折曲形成され、該取り付け片6aを溝側片部2bにリベット6bを介して一体的に締結することで第一横ズレ防止具6はガイドレール2に取り付けられる。尚、リベット6bに変えてビスにより締結しても勿論よい。
そして該取り付けられた状態の第一横ズレ防止具6は、上下両端縁部6cが溝底部2aに当接したものが、上下方向中間部(中央部)に至るほど溝底部2aから弧状(山形状)に離間するよう膨出した第一膨出部6dとなっており、該第一膨出部6dは、頂部6daが溝底部2aに対して膨出高さYを存するよう設定されている(図5(C)、図8(C)参照)。そして該頂部6daには、後述するように第二横ズレ防止具7を締結するためのビス孔6eが形成されたものとなっている。
【0012】
これに対し第二横ズレ防止具7は、前記第一横ズレ防止具6よりも上下方向長く、後述するよう第一横ズレ防止具6に積層(重合)した場合に、上下両端縁7bbが第一横ズレ防止具6の上下両端縁部6cよりも上下方向外方に延出するものに設定されている。
具体的には第二横ズレ防止具7は、上下方向に長い平板状の本体部7aを存し、該本体部7aを第一横ズレ防止具6の膨出部6d(膨出部6dの頂部6da)に当てがう(当接する)状態で、ビス7cを介して第一横ズレ防止具6に着脱自在に締結することで、第一横ズレ防止具6に対して溝開口部Xa側に積層した状態で取り付けられる。
そして第二横ズレ防止具7の上下端縁部部位には、第一横ズレ防止具6の上下端縁部6c部位に離間(対向)する状態で溝開口部Xa側に弧状に膨出した第二膨出部7bが形成されるが、該第二膨出部7bは、頂部7baが本体部7aよりも高くなる状態で膨出し、上下両端縁7bbが第二横ズレ防止具7の上下両端縁となって溝底部2aに当接支持されたものとなっている。
そうして第一横ズレ防止具6に積層状に取り付けられた状態の第二横ズレ防止具7は、頂部7baが溝底部2aに対して膨出高さZを存するように設定されているが、該第二膨出部7b(第二膨出部7bの頂部7ba)の膨出高さZは、前記第一膨出部6dの膨出高さYよりも高い(Y<Z)ものとなるように設定されている(図5(C)参照)。
【0013】
そして第一、第二横ズレ防止具6、7は、ビス7cを介して一体的に積層組み付けされた状態のものを、第一横ズレ防止具6の取り付け片6aをリベット6bを介してガイドレール2に取り付けることで該ガイドレール2に組み込まれたものとなるが、このような組み込み作業は一般に工場で行われ、第一、第二横ズレ防止具6、7が組み込まれたガイドレール2を、シャッターカーテン3等の他の構成部品と共に出荷され、建て付け現場に搬送され、現場での建て付け施工が実行されることになる。
【0014】
次に、第一、第二横ズレ防止具6、7を積層状に組み付けた一体ものが取り付けられた状態のガイドレール2が現場において建て付けられた場合に、該ガイドレール2は、図11、13に示すように、標準寸法で建て付けられたもの(図11(A)、図13(A)参照)に対し、誤差「±α」を最大限の標準公差として施工上許容されるものとなって施工されたものとなっている(図11(B)(C)、図13(B)(C)参照)。
【0015】
これらの場合に、シャッターカーテン3が、標準寸法(設計寸法)、つまり左右ガイドレール2間の中央位置とシャッターカーテン3の左右中央位置とが一致した状態で取り付けられたものにおいて、ガイドレール2に第二横ズレ防止具7が取り付けられた場合に、図11(A)(B)に示すように、ガイドレール2が標準寸法で建て付けられた場合から標準公差「+α」の範囲のものでは、シャッターカーテン3の左右端縁部3aa、3abと横ズレ防止具7とのあいだの隙間が、シャッターカーテン3が通常の開閉作動をしたときに生じる横ズレが許容される範囲内であって、支障のない開閉作動が実行されるが、図11(C)に示すように標準公差「-α」のものでは隙間が狭すぎてシャッターカーテン3が許容される横ずれをした場合でもシャッターカーテン端縁部3aa、3abが横ズレ防止具7に当接することになって円滑なシャッターカーテン3の開閉作動が阻害されるという問題があり、このような場合には、第二横ズレ防止具7を取り外し、第一横ズレ防止具6が取り付けられただけのものとする(図13(C)参照)。
この場合に、第二横ズレ防止具7を取り外すか否かの判断は、シャッターカーテン3の左右端縁部3aa、3abと横ズレ防止具17とのあいだの隙間が、シャッターカーテン3の許容される最小の横ずれ寸法よりも小さいか否かで決定されるものであって、図11(A)に示されるときの隙間よりも小さくなった場合に、直ちに第二横ズレ防止具7を取り外すものではないことは勿論である。
【0016】
そして本実施の形態のものでは、前記図11(A)(B)に示すように第二横ズレ防止具7が取り付けられた状態で「良」とする場合において、シャッターカーテン3が左右方向一方側に最大限横ずれして端縁部3aaが該一方側の第二横ズレ防止具7に当接した状態(図12(A)(B)参照)では、他方側において、該ガイドレール2に形成される係合凸部2dに対し、シャッターカーテン3に形成される係合凹部3bは、ガイドレール2の溝奥側に位置した状態になっている。この結果、この横ズレ状態でシャッターカーテン3が強風を受けて撓んだ場合に、係合凸部2dに係合凹部3bが嵌合係止することになってシャッターカーテン3のガイドレール2からの抜け止め機能が発揮されることになる。
【0017】
これに対し、ガイドレール2が狭い標準公差「-α」で施工された場合、図13(C)に示すように第二横ズレ防止具7が取り外され、第一横ズレ防止具6が取り付けられた状態にすることになるが、理解を深めるため、図13(A)(B)においてガイドレール2が標準位置に取り付けられた場合、広い標準公差「+α」で取り付けられた場合を図示するが、この場合には、シャッターカーテン3の左右端縁部3aa、3abと第一横ズレ防止具6とのあいだの隙間が広すぎてシャッターカーテン3の許容される横ズレの範囲を超えたものとなって好ましいとは言えないものとなる。
さらに第一横ズレ防止具6が取り付けられただけのものとしたガイドレール2において、シャッターカーテン3が、左右方向一方側に横ずれして該側の端縁部3aaが第一横ズレ防止具6に当接した場合、図14(A)のガイドレール2が標準位置に取り付けられたものでは、係合凹部3bの左右方向外端縁部と係止突部2dとが左右方向略同一位置に位置したものとなっており、また図14(B)のガイドレール2が広い標準公差「+α」で取り付けられたものでは、係合凹部3bが係止突部2dに対して左右方向内方に位置したものとなっており、これら状態でシャッターカーテン3が強風を受けて撓んだ場合に、係合凹部3bが係合凸部2dに係止してシャッターカーテン3のガイドレール2からの抜け止め防止機能が発揮されないことになる。
これに対し、図14(C)に示すようにガイドレール2が狭い標準公差「-α」で施工されたものでは、係合凹部3bが係止突部2dに対して左右方向外方に位置したものとなっていて、シャッターカーテン3が強風を受けて撓んだ場合に、係合凹部3bに係止突部2dが嵌入係合してシャッターカーテン3のガイドレール2からの抜け止め機能が発揮されることになる。
【0018】
叙述の如く構成された本実施の形態において、ガイドレール2の溝底部2aに、横ズレ防止位置が異なった第一、第二横ズレ防止具6、7が設けられたものにするにあたり、該第一、第二横ズレ防止具6、7は、積層する状態でビス7cを介して着脱自在に設けられている結果、建て付け現場において、ガイドレール2の施工状態が、標準寸法から幅広となる標準公差「+α」の範囲のものでは第二横ズレ防止具7をそのまま残したものとするのに対し、幅狭となる標準公差「-α」に寄ったものでは、第二横ズレ防止具7を取り外して第一横ズレ防止具6だけのものとする選択をする作業だけで良いことになって、現場作業の簡略化が図れ、作業性も向上する。
因みに、第二横ズレ防止具7を取り外すか否かの選択は、本実施の形態においては、ガイドレール2の施工が、標準寸法から標準公差の範囲内でどの程度の誤差があるかによって決定されるものとして説明しているが、これには限定されず、例えばシャッターカーテン3の施工が、標準寸法に対して標準公差の範囲内においてどの程度の誤差があるかという点についても、前記選択をするための判断要因になる。
【0019】
しかもこの場合に、第一、第二横ズレ防止具6、7が上下方向に間隙を存して複数設けられている結果、横ズレしたシャッターカーテン3が第一、第二横ズレ防止具6、7の何れかに当接する場合であっても、全長に亘って横ズレ防止具を設けた場合のように摺動抵抗が大きくなってシャッターカーテン3の円滑な開閉作動が損なわれることを回避できるだけでなく、シャッターカーテン3の第一、または第二横ズレ防止具6または7に対する摺動位置が同じになって、施工管理も簡略化する。
【0020】
しかもこのものでは、横ズレ防止具として、最も溝底部側であって膨出高さが低い第一横ズレ防止具6と、該第一横ズレ防止具6に積層していて膨出高さが高い第二横ズレ防止具7とが備えられ、そして膨出高さが高い第二横ズレ防止具7が、膨出高さが低い第一横ズレ防止具6に対してビス7cを介して着脱自在に取り付けられている結果、横ズレ防止具としては、ガイドレール2の施工に対応して第二横ズレ防止具7を取り外す場合、溝開口部Xa側から差し込んだ工具を用いてビス7cの取り外し作業をするだけで簡単に第二横ズレ防止具7の取り外しができることになって、現場での作業性が向上する。
そしてこのように第二横ズレ防止具7を取り外した場合に溝開口Xa側から視認される第一横ズレ防止具6においては、ビス7c用のビス孔6eを通して溝底部2aが視認されることになり、第二横ズレ防止具7を直接溝底部2aに着脱自在にビス固定した場合のように、溝底部に設けたビス孔を通して躯体面が視認されてしまうことがない。
【0021】
そのうえ第二横ズレ防止具7としては、第一横ズレ防止具6よりも上下方向に長くなった第二膨出部7bが第一横ズレ防止具6の上下端縁部6cを覆蓋したものになっている結果、第二横ズレ防止具7が取り付けられた状態で第一横ズレ防止具6が邪魔になることがない。しかも第二膨出部7bの上下端縁部7bbが溝底部2aに当接支持されていることから、第一横ズレ防止具6が取り付けられたままの状態であっても、第二膨出部7bの横ズレ防止機能が損なわれることがなく、確実な横ズレ防止をすることになる。
さらに第二横ズレ防止具7の第一横ズレ防止具6に対する取り付けが、上下の第二膨出部7bのあいだであって、第二膨出部7bの頂部7baよりも低位となる状態でできる結果、第二膨出部7による横ズレ防止機能が、第二横ズレ防止具7の第一横ズレ防止具6に対する取り付け部位によって支障を受けることがない。
【0022】
またさらに、シャッターカーテン3が強風を受けて撓んだ場合に、該シャッターカーテン3がガイドレール2から抜け出ることを、ガイドレール2の溝開口部Xaに設けた係合凸部2dに、シャッターカーテン3に設けた係合凹部3bが嵌入係止することで行うことになるが、このものにおいて、前記第二横ズレ防止具7の着脱選択には、横ズレしたシャッターカーテン3の係合凹部3bが、係合凸部2dを越えてガイド溝Xの溝開口部Xa側に偏倚しない条件を含むように設定されている結果、横ズレ防止機能がシャッターカーテンの抜け止め機能を損うことがない状態で設定されることになって防災上の観点からも好適なものといえる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの横ズレ防止構造として利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 シャッター装置
2 ガイドレール
2a 溝底部
2b 溝側片部
2d係合凸部
3 シャッターカーテン
3b 係合凹部
6 第一横ズレ防止具
6c 上下両端縁部
6d 第一膨出部
6da 頂部
6e ビス孔
7 第二横ズレ防止具
7a 本体部
7b 第二膨出部
7ba 頂部
7bb 上下両端縁
7c ビス
8モヘア
X ガイド溝
Xa 溝開口部
図1
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