(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103261
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】ドライバ状態検出装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007500
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100167461
【弁理士】
【氏名又は名称】上木 亮平
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 大輔
(72)【発明者】
【氏名】前原 亮
(72)【発明者】
【氏名】若園 隆
(72)【発明者】
【氏名】友末 和寛
(72)【発明者】
【氏名】星野 剛志
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】ドライバが脇見をしていないにもかかわらず、脇見をしていると判定してしまうことを抑制する。
【解決手段】ドライバ状態検出装置100は、車両のドライバの顔を撮影してドライバの顔画像を生成するドライバモニタカメラ1と、制御装置4と、を備える。制御装置4は、顔画像に基づいて、ドライバの顔向き又は視線方向を検出し、ドライバの顔向き又は視線方向が、ドライバの顔向き又は視線方向として許容される許容範囲の外側に所定時間以上維持されたときにドライバが脇見をしていると判定し、車両のステアリングホイールの操舵操作と相関関係にある操舵パラメータ及び車両の速度と相関関係にある車速パラメータに基づいて許容範囲を設定するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバの外観を撮影して前記ドライバの外観画像を生成するドライバモニタカメラと、
制御装置と、
を備えるドライバ状態検出装置であって、
前記制御装置は、
前記外観画像に基づいて、前記ドライバの顔向き又は視線方向を検出し、
前記ドライバの顔向き又は視線方向が、前記ドライバの顔向き又は視線方向として許容される許容範囲よりも外側の範囲に所定時間以上維持されたときに、前記ドライバが脇見をしていると判定し、
前記車両のステアリングホイールの操舵操作と相関関係にある操舵パラメータと、前記車両の速度とに基づいて、前記許容範囲を設定するように構成される、
ドライバ状態検出装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記操舵パラメータが前記車両の速度に応じて設定される拡張閾値未満であれば、前記許容範囲を第1許容範囲に設定し、
前記操舵パラメータが前記拡張閾値以上であれば、前記許容範囲を前記第1許容範囲よりも範囲が広い第2許容範囲に設定し、
前記前記車両の速度が高いときは、低いときと比べて前記拡張閾値を小さくするように構成される、
請求項1に記載のドライバ状態検出装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記許容範囲を前記第2許容範囲に設定するときは、前記操舵操作によって変更された前記車両の進行方向側の範囲を所定量だけ前記第1許容範囲よりも広くするように構成される、
請求項2に記載のドライバ状態検出装置。
【請求項4】
ドライバに通知を行うための出力機器をさらに備え、
前記制御装置は
前記ドライバが脇見をしていると判定したときは、前記出力機器を介して前記ドライバに対して脇見に関する通知を実施するように構成される、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のドライバ状態検出装置。
【請求項5】
前記操舵パラメータは、前記ステアリングホイールの操舵角又は前記車両の転舵輪の転舵角である、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のドライバ状態検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバ状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のドライバ状態検出装置として、ドライバの顔向き又は視線として許容される左右方向の範囲を、前方の道路形状がカーブである場合にカーブの方向に所定量だけ拡張し、ドライバの顔向き又は視線が前記範囲から外れた場合にドライバが脇見をしていると判定するように構成されたものが開示されている。
【0003】
特許文献2には、従来のドライバ状態検出装置として、ドライバの顔向き又は視線として許容される左右方向の範囲を、ウィンカ操作が行われた場合など、車線変更が行われる可能性が高いときに車線変更が行われる方向に所定量だけ拡張し、ドライバの顔向き又は視線が前記範囲から外れた場合にドライバが脇見をしていると判定するように構成されたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-87143号公報
【特許文献2】特開2019-87029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の従来のドライバ状態検出装置の場合、前方の道路形状の情報が取得できないときには、ドライバの顔向き又は視線として許容される左右方向の範囲の拡張を行うことができないので、操舵操作をして車両の進行方向を左右に変更する際に、ドライバがカーブの方向を目視しているにもかかわらず、脇見をしていると判定してしまうおそれがある。
【0006】
また特許文献2に記載の従来のドライバ状態検出装置の場合、ウィンカ操作といった、場合によっては実施されない操作をトリガーとしてドライバの顔向き又は視線として許容される左右方向の範囲の拡張を行っているので、そのようなトリガーとなる操作を実施せずに操舵操作が行われて車両の進行方向が変更されたときに、その進行方向(車線変更時の隣接車線の方向)を目視しているにもかかわらず、脇見をしていると判定してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、ドライバが脇見をしていないにもかかわらず脇見をしていると判定してしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様によるドライバ状態検出装置は、車両のドライバの外観を撮影して前記ドライバの外観画像を生成するドライバモニタカメラと、制御装置と、を備える。制御装置は、外観画像に基づいてドライバの顔向き又は視線方向を検出し、ドライバの顔向き又は視線方向が、ドライバの顔向き又は視線方向として許容される許容範囲よりも外側の範囲に所定時間以上維持されたときにドライバが脇見をしていると判定し、車両のステアリングホイールの操舵操作と相関関係にある操舵パラメータと、車両の速度とに基づいて、許容範囲を設定するように構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のこの態様によれば、カーブ区間を走行しているときに実行される必須の操作であるステアリングホイールの操舵操作と連動して許容範囲を拡張することができる。そのため、カーブ区間を走行しているときに確実に許容範囲を拡張して、ドライバが脇見をしていないにもかかわらず脇見をしていると判定してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態によるドライバ状態検出装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態による脇見判定処理の詳細について説明するフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態による許容範囲設定処理の内容について説明するフローチャートである。
【
図6】操舵角と車両速度とに基づいて許容範囲を第1許容範囲又は第2許容範囲に設定するためのマップを示す図である。
【
図7】ドライバは車両速度が高くなるほど遠方を目視する傾向があることについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態によるドライバ状態検出装置100の概略構成図である。
【0013】
ドライバ状態検出装置100は、車両に搭載されて当該車両のドライバの状態を検出するための装置であって、ドライバモニタカメラ1と、出力機器2と、センサ類3と、制御装置4と、を備える。
【0014】
ドライバモニタカメラ1は、所定のフレームレート(例えば、10[Hz]~40[Hz])でドライバの顔を含む外観を撮影し、ドライバの外観が写ったドライバ外観画像を生成する。ドライバモニタカメラ1は、ドライバ外観画像を生成する度に、生成したドライバ外観画像を制御装置4に送信する。ドライバモニタカメラ1は、例えば、ステアリングコラム上に取り付けられる。
【0015】
出力機器2は、ドライバの体感覚(例えば、視覚、聴覚及び触覚など)を通じてドライバに通知を行うための機器である。本実施形態では、出力機器2として、ドライバが視認できる位置に配置されるディスプレイ21(例えば、メーターディスプレイ、センターディスプレイ又はヘッドアップディスプレイなど)と、車内に音声を出力するスピーカ22と、を備える。ディスプレイ21は、制御装置4から出力された表示信号に応じた情報(例えば、文字情報や画像情報)を表示する。スピーカ22は、制御装置4から出力された音声信号に応じた音声を出力する。
【0016】
センサ類3は、後述するドライバの顔向き又は視線方向として許容される許容範囲の設定を行うために必要なデータを取得する。本実施形態では、センサ類3として、ステアリングホイールの回転角度(以下「操舵角」という。)を検出するための操舵角センサ31と、車両速度を検出するための車両速度センサ32と、を備える。
【0017】
制御装置4は、通信部41と、記憶部42と、処理部43と、を備えるECU(Electronic Control Unit)である。
【0018】
通信部41は、制御装置4を車内ネットワーク5に接続するためのインターフェース回路を備える。通信部41は、車内ネットワーク5を介してドライバモニタカメラ1やセンサ類3から受信したデータを処理部43に供給する。また通信部41は、処理部43から出力された表示信号及び音声信号を、車内ネットワーク5を介して出力機器2に送信する。
【0019】
記憶部42は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid Disk Drive)、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、処理部43での処理に用いられる各種のコンピュータプログラムやデータ等を記憶する。
【0020】
処理部43は、一又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有し、記憶部42に格納された各種のコンピュータプログラムを実行してドライバ状態検出装置100の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えばプロセッサである。処理部43が実施する処理の一例を挙げると、例えば処理部43は、ドライバの状態としてドライバが脇見をしているかを検出し、ドライバが脇見をしていると判断できるときには出力機器2を介してドライバに警告を行う。以下、この処理部43、ひいては制御装置4が実施する脇見判定処理の内容について、
図2等を参照して説明する。
【0021】
図2は、本実施形態による脇見判定処理の詳細について説明するフローチャートである。制御装置4は、本ルーチンを、例えばドライバモニタカメラ1からドライバ外観画像を受信するたびに実施する。
【0022】
ステップS1において、制御装置4は、ドライバモニタカメラ1から受信したドライバ外観画像に基づいて、ドライバの顔向き、ドライバの視線方向及びドライバモニタカメラ1からドライバの顔までの距離を検出する。
【0023】
これらの検出方法は特に限られるものではないが、制御装置4は、例えば、ドライバの外観画像を解析してドライバの目や鼻、口などの顔の特徴点の各部位を検出し、それらの位置を記憶部42に記憶された標準的な顔の3次元モデルと照合することによって、顔の特徴点の各部位の位置が最も適合する3次元モデルの顔向きを、ドライバの顔向きとして検出することができる。また制御装置4は、例えば、ドライバの外観画像を解析して動点となる瞳孔中心の位置(すなわちドライバの視点位置)と、基準点となるプルキニエ像(角膜反射像)の位置と、を検出し、プルキニエ像と瞳孔中心との位置関係(基準点に対する動点の位置)に基づいてドライバの視線方向を検出することができる。また制御装置4は、例えば、ドライバの外観画像を解析してドライバの顔のサイズを検出し、それを記憶部42に記憶された顔の標準サイズと比較することによって、ドライバモニタカメラ1からドライバの顔までの距離を検出することができる。ドライバの外観画像の解析は、例えば、ドライバ外観画像を入力側から出力側に向けて直列に接続された複数の畳み込み層を有する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)に入力することで行うことができる。
【0024】
ステップS2において、制御装置4は、ドライバの顔向き又は視線方向として許容される許容範囲の設定処理を実施する。以下、
図3及び
図4を参照して許容範囲について説明するとともに、
図5を参照して許容範囲の設定処理の詳細について説明する
【0025】
本実施形態による制御装置4は、
図3の(A)に示すように、ドライバの顔向きの方向に向かって延びる視線ベクトル、又はドライバの目の位置(視点位置)から視線方向に向かって延びる視線ベクトルが、車両進行方向の前方の所定位置に設定されて所定の高さと幅を有する許容範囲を通過していれば、ドライバは脇見をしていないと判定し、一方で
図3の(B)に示すように、視線ベクトルが許容範囲を通過していなければ、ドライバは脇見をしていると判定するように構成されている。
【0026】
ここで、
図4の(A)に示すように、カーブ区間(右左折区間も含む)を走行しているときは、直線区間を走行しているときと比較して、ドライバの視線方向がカーブの方向側に向けて移動する傾向にある。そのため、直線区間を走行しているときと、カーブ区間を走行しているときとで許容範囲を同一にしてしまうと、カーブ区間を走行しているときに視線ベクトルが許容範囲を通過せずにその外側の範囲を通過しやすくなって、前方の車両を目視しているにもかかわらず(脇見をしていないにもかかわらず)、脇見をしていると判定されるおそれがある。そのため、カーブ区間を走行しているときには、
図4の(B)に示すように、カーブの方向側(
図4の(B)では右側)に許容範囲を拡張することが望ましい。
【0027】
そこで本実施形態では、カーブ区間の特性(例えば曲率など)にあわせて実行される必須の操作であるステアリングホイールの操舵操作と相関関係にある操舵パラメータに基づいて、許容範囲を拡張できるようにしている。
【0028】
図5は、許容範囲設定処理の内容について説明するフローチャートである。
【0029】
ステップS21において、制御装置4は、ステアリングホイールの操舵操作と相関関係にある操舵パラメータの一つである操舵角と、車両速度と、を取得する。操舵角以外の操舵パラメータとしては、例えば、車両の左右の前輪(転舵輪)の角度(転舵角)を挙げることができる。なお車両速度についても、車両速度と相関関係にある他のパラメータに置き換えてもよい。
【0030】
ステップS22において、制御装置4は、予め実験等によって設定された
図6のマップを参照し、操舵角と車両速度とに基づいて、許容範囲を第1許容範囲又は第2許容範囲に設定する。第1許容範囲は、直線区間を走行しているときの許容範囲として予め実験等によって最適化された範囲とされる。第2許容範囲は、カーブ区間を走行しているときの許容範囲として予め実験等によって最適化された範囲とされ、例えば、第1許容範囲よりもカーブの方向側に所定量だけ許容範囲が拡張されたものとされる。
【0031】
なお、
図6のマップに示すように、許容範囲は、操舵角が、車両速度に応じて設定される拡張閾値未満であれば第1許容範囲に設定され、拡張閾値以上であれば第2許容範囲に設定される。拡張閾値は、基本的に車両速度が高くなるほど小さくなるように設定される。これは、
図7に示すように、ドライバは、基本的に車両速度が高くなるほど遠方を目視する傾向があり、したがって、車両速度が高くなるほど、カーブの曲率が小さくても(すなわち操舵角が小さくても)、視線ベクトルがカーブの方向側(すなわち操舵操作によって変更された車両の進行方向側)に向きやすくなるためである。
【0032】
なお、
図6のマップはあくまで一例であり、車種の操舵特性やハンドル形状(円型、D字型、U字型等)などに応じて適宜設定することができる。
【0033】
図2に戻り、ステップS3において、制御装置4は、ドライバの顔向きを検出することができたか否かを判定する。制御装置4は、ドライバの顔向きを検出することができた場合は、ステップS4の処理に進む。一方で制御装置4は、ドライバの顔向きを検出することができなかった場合は、ステップS15の処理に進む。
【0034】
ステップS4において、制御装置4は、ドライバの視線方向を検出することができたか否かを判定する。制御装置4は、ドライバの視線方向を検出することができた場合は、ステップS4の処理に進む。一方で制御装置4は、ドライバの視線方向を検出することができなかった場合は、ステップS7の処理に進む。
【0035】
ステップS5において、制御装置4は、ドライバモニタカメラ1からドライバの顔までの距離が所定距離以上になるとドライバの視線方向の検出精度が悪化する傾向にあることを考慮して、ドライバモニタカメラ1からドライバの顔までの距離が所定距離未満であれば、ステップS6の処理に進む。一方で制御装置4は、ドライバモニタカメラ1からドライバの顔までの距離が所定距離以上であればステップS7の処理に進む。
【0036】
ステップS6において、制御装置4は、ドライバの視線方向に基づいて視線ベクトルを設定する。本実施形態では制御装置4は、ドライバの目の位置(視点位置)から視線方向に向かって延びるベクトルを視線ベクトルに設定する。
【0037】
ステップS7において、制御装置4は、ドライバの顔向きに基づいて視線ベクトルを設定する。本実施形態では制御装置4は、ドライバの顔向きの方向に向かって延びるベクトルを、視線ベクトルに設定する。
【0038】
ステップS8において、制御装置4は、視線ベクトルが、ステップS2で設定された許容範囲を通過しているか否かを判定する。制御装置4は、視線ベクトルが許容範囲を通過していれば、ドライバは脇見をしていないと判定してステップS14の処理に進む。一方で制御装置4は、視線ベクトルが許容範囲を通過していなければ、ドライバは脇見をしていると判定してステップS9の処理に進む。
【0039】
ステップS9において、制御装置4は、脇見継続フラグFが1に設定されているか否かを判定する。脇見継続フラグFは、脇見を開始したときに1に設定されるフラグである。脇見継続フラグFの初期値は0に設定される。制御装置4は、脇見継続フラグFが1に設定されている場合(すなわち前回の処理から継続して脇見が行われている場合)は、ステップS11の処理に進む。一方で制御装置4は、脇見継続フラグFが0に設定されている場合(すなわち今回の処理で初めて脇見が検出された場合)は、ステップS10の処理に進む。
【0040】
ステップS10において、制御装置4は、脇見継続フラグFを1に設定する。
【0041】
ステップS11において、制御装置4は、脇見継続時間Tを所定時間ΔTだけ大きくする。本実施形態では、所定時間ΔTはドライバモニタカメラ1の1フレームに相当する時間である。
【0042】
ステップS12において、制御装置4は、脇見継続時間Tが脇見判定時間Tthr以上になったか否かを判定する。脇見判定時間Tthrは任意の値とすることができ、本実施形態では2秒としている。制御装置4は、脇見継続時間Tが脇見判定時間Tthr以上であれば、ステップS13の処理に進む。一方で制御装置4は、脇見継続時間Tが脇見判定時間Tthr未満であれば、今回の処理を終了する。
【0043】
ステップS13において、制御装置4は、出力機器2を介してドライバに対して脇見警報を実施する。脇見警報の方法や内容は特に限られるものではなく、例えば脇見をしていることを音声によるアナウンスを実施することによって警告してもよいし、警告音を発することによって警告してもよいし、ディスプレイに画像情報や文字情報を表示することによって警告してもよいし、これらの組み合わせによって警告してもよい。
【0044】
ステップS14において、制御装置4は、脇見継続フラグFを0に設定する。
【0045】
ステップS15において、制御装置4は、出力機器2を介してドライバに対して顔の認識ができていないことの警報を実施する。この警報の方法や内容も特に限られるものではなく、例えば脇見警報と同様の警報の方法で行うことができる。
【0046】
以上説明した本実施形態によるドライバ状態検出装置100は、車両のドライバの外観を撮影してドライバの外観画像を生成するドライバモニタカメラ1と、制御装置4と、を備える。制御装置4は、ドライバの外観画像に基づいて、ドライバの顔向き又は視線方向を検出し、ドライバの顔向き又は視線方向が、ドライバの顔向き又は視線方向として許容される許容範囲の外側に所定時間以上維持されたときにドライバが脇見をしていると判定し、車両のステアリングホイールの操舵角(ステアリングホイールの操舵操作と相関関係にある操舵パラメータ)と、車両の速度とに基づいて、許容範囲を設定するように構成される。
【0047】
このように本実施形態では、カーブ区間を走行しているときに、カーブ区間の特性(例えば曲率など)にあわせて実行される必須の操作であるステアリングホイールの操舵操作と連動して許容範囲を拡張することができる。そのため、カーブ区間を走行しているときに確実に許容範囲を拡張することができ、ドライバが脇見をしていないにもかかわらず脇見をしていると判定してしまうことを抑制することができる。
【0048】
また本実施形態では、制御装置4は、ステアリングホイールの操舵角が車両の速度に応じて設定される拡張閾値未満であれば許容範囲を第1許容範囲に設定し、ステアリングホイールの操舵角が拡張閾値以上であれば、許容範囲を第1許容範囲よりも範囲が広い第2許容範囲に設定し、車両の速度が高いときは、低いときと比べて拡張閾値を小さくするように構成される。
【0049】
前述したように、ドライバは、基本的に車両速度が高くなるほど遠方を目視する傾向があり、したがって、視線ベクトルは、車両速度が高くなるほど、カーブの曲率が小さくても(すなわち操舵角が小さくても)、カーブの方向側(すなわち操舵操作によって変更された車両の進行方向側)に向く傾向がある。したがって、車両の速度が高いときは、低いときと比べて拡張閾値を小さくすることで、車両の速度に応じて適切に許容範囲を拡張することができる。
【0050】
また本実施形態では、制御装置4は、許容範囲を第2許容範囲に設定するときは、操舵操作によって変更された車両の進行方向側の範囲を所定量だけ第1許容範囲よりも広くするように構成されるので、許容範囲を適切に拡張することができる。
【0051】
また本実施形態によるドライバ状態検出装置100は、ドライバに通知を行うための出力機器2をさらに備え、制御装置4はドライバが脇見をしていると判定したときは、出力機器2を介してドライバに対して脇見に関する通知を実施するように構成されるので、ドライバに継続して脇見を実施させないようにすることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0053】
例えば、上記の実施形態において、制御装置4において実行されるコンピュータプログラム(脇見判定処理)は、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な可搬性の記録媒体に記録された形で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 ドライバモニタカメラ
2 出力機器
4 制御装置
100 ドライバ状態検出装置