IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カネカの特許一覧

<>
  • 特開-カテーテル 図1
  • 特開-カテーテル 図2
  • 特開-カテーテル 図3
  • 特開-カテーテル 図4
  • 特開-カテーテル 図5
  • 特開-カテーテル 図6
  • 特開-カテーテル 図7
  • 特開-カテーテル 図8
  • 特開-カテーテル 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103266
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61M25/00 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007507
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 太郎
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267BB02
4C267CC07
4C267GG04
4C267GG05
4C267GG06
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG09
4C267GG10
4C267GG22
4C267GG24
(57)【要約】
【課題】貫通孔を有さない湾曲した先端部材が高い強度でカテーテルに接続され、先端部材の湾曲方向をカテーテルに対して所望の方向に調整できるカテーテルを提供する。
【解決手段】外筒部材と、外筒部材の内腔に配置され長手軸方向Xに延在する第1面(41)と第2面とを有している弾性部材(40)と、外筒部材の内腔に配置され長手軸方向Xに延在する平坦面(51)を有している接続部材(50)と、長手軸方向Xに対して湾曲して延在し、延在方向Eに基端(30b)と先端(30t)とを有している中実の樹脂製先端部材(30)と、を有しており、接続部材(50)の遠位部の少なくとも一部は樹脂製先端部材(30)に固定されており、接続部材(50)の平坦面(51)の少なくとも一部は弾性部材(40)の第1面(41)又は第2面に固定されており、樹脂製先端部材(30)の基端部の少なくとも一部は外筒部材の遠位端に固定されているカテーテル。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸方向に遠位端と近位端とを有し、前記長手軸方向に延在する内腔を有している外筒部材と、
長手軸方向に遠位端と近位端とを有し、前記外筒部材の前記内腔に配置され前記長手軸方向に延在する第1面と第2面とを有している弾性部材と、
長手軸方向に遠位端と近位端とを有し、前記外筒部材の前記内腔に配置され前記長手軸方向に延在する平坦面を有している接続部材と、
前記外筒部材の前記長手軸方向に対して湾曲して延在し、延在方向に基端と先端とを有している中実の樹脂製先端部材と、を有しており、
前記接続部材の遠位部の少なくとも一部は前記樹脂製先端部材に固定されており、前記接続部材の前記平坦面の少なくとも一部は前記弾性部材の前記第1面又は前記第2面に固定されており、
前記樹脂製先端部材の基端部の少なくとも一部は前記外筒部材の前記遠位端に固定されているカテーテル。
【請求項2】
前記外筒部材の前記遠位端は、前記外筒部材の前記長手軸方向に垂直な面に対して斜めに形成されている請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記接続部材は金属で構成されており、前記接続部材はインサート成形により前記樹脂製先端部材に固定されている請求項1又は2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記弾性部材は金属で構成されており、前記接続部材の前記平坦面の少なくとも一部は溶接により前記弾性部材の前記第1面又は前記第2面に固定されている請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記樹脂製先端部材はゲート跡を有しており、前記ゲート跡は前記外筒部材の前記内腔に配置されている請求項1又は2に記載のカテーテル。
【請求項6】
長手軸方向に遠位端と近位端を有し、前記外筒部材の前記内腔に配置され前記長手軸方向に延在する内腔を有している内筒部材をさらに有しており、
前記弾性部材の近位部の少なくとも一部は前記内筒部材の遠位部の少なくとも一部に固定されている請求項1又は2に記載のカテーテル。
【請求項7】
長手軸方向に遠位端と近位端とを有し、前記外筒部材の内腔に配置されているワイヤを有しており、
前記ワイヤの近位側は前記内筒部材の前記内腔に配置されており、
前記ワイヤの前記遠位端は前記接続部材及び/又は前記弾性部材に固定されている請求項6に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに関し、詳細には先端部材が設けられたカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管や臓器の病変に対し開腹手術を伴わずに行う低侵襲な治療法として、カテーテルを四肢や鼠径部等の血管から挿入して病変部まで送達し処置や検査を行うカテーテル治療が広く行われている。このような治療に用いられるカテーテルには、血管内腔における挿通性を向上するなどの目的のために、カテーテルの先端に先端部材が設けられることがある。
【0003】
例えば、特許文献1及び2では、シャフトの先端側に配置されシャフトのガイドワイヤルーメンと連通する貫通孔を備える先端部材を有しているバルーンカテーテルであって、ガイドワイヤに対する先端部材の追従性や生体管腔に対する先端部材の通過性を向上させたバルーンカテーテルが開示されている。特許文献1では、先端部材とシャフトが接続される接続部をバルーンが有しており、接続部はシャフトの先端面と先端部材の基端面とを突き合わせて熱をかけて融着させることにより形成されている。また、特許文献2では、シャフトの先端側及び先端部材の基端側の少なくとも一方の外表面に空隙部を形成し、バルーンの先端側が上記空隙部を少なくとも部分的に覆うようにバルーンを配置してシャフトと先端部材が融着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-151382号公報
【特許文献2】特開2022-137612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような先端部材はシャフトの内腔と連通する構成であるなど貫通孔を有する筒状部材であり、ガイドワイヤ等の部材が挿通されている。他方、治療の目的によっては、貫通孔を有さない湾曲した先端部材をカテーテルの先端に設けることで治療の効率や安全性が向上することがある。しかし、このような形状の先端部材を安定した状態でカテーテルの先端から脱落しないように接続することは容易ではなかった。
【0006】
上記の事情に鑑み本発明は、貫通孔を有さない湾曲した先端部材が高い強度でカテーテルに接続され、先端部材の湾曲方向をカテーテルに対して所望の方向に調整できるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し得た本発明の実施形態に係るカテーテルは、以下の通りである。
[1]長手軸方向に遠位端と近位端とを有し、前記長手軸方向に延在する内腔を有している外筒部材と、長手軸方向に遠位端と近位端とを有し、前記外筒部材の前記内腔に配置され前記長手軸方向に延在する第1面と第2面とを有している弾性部材と、長手軸方向に遠位端と近位端とを有し、前記外筒部材の前記内腔に配置され前記長手軸方向に延在する平坦面を有している接続部材と、前記外筒部材の前記長手軸方向に対して湾曲して延在し、延在方向に基端と先端とを有している中実の樹脂製先端部材と、を有しており、前記接続部材の遠位部の少なくとも一部は前記樹脂製先端部材に固定されており、前記接続部材の前記平坦面の少なくとも一部は前記弾性部材の前記第1面又は前記第2面に固定されており、前記樹脂製先端部材の基端部の少なくとも一部は前記外筒部材の前記遠位端に固定されているカテーテル。
【0008】
本発明の実施形態に係るカテーテルは、以下の[2]~[7]のいずれかであることが好ましい。
[2]前記外筒部材の前記遠位端は、前記外筒部材の前記長手軸方向に垂直な面に対して斜めに形成されている[1]に記載のカテーテル。
[3]前記接続部材は金属で構成されており、前記接続部材はインサート成形により前記樹脂製先端部材に固定されている[1]又は[2]に記載のカテーテル。
[4]前記弾性部材は金属で構成されており、前記接続部材の前記平坦面の少なくとも一部は溶接により前記弾性部材の前記第1面又は前記第2面に固定されている[3]に記載のカテーテル。
[5]前記樹脂製先端部材はゲート跡を有しており、前記ゲート跡は前記外筒部材の前記内腔に配置されている[1]~[4]のいずれかに記載のカテーテル。
[6]長手軸方向に遠位端と近位端を有し、前記外筒部材の前記内腔に配置され前記長手軸方向に延在する内腔を有している内筒部材をさらに有しており、前記弾性部材の近位部の少なくとも一部は前記内筒部材の遠位部の少なくとも一部に固定されている[1]~[5]のいずれかに記載のカテーテル。
[7]長手軸方向に遠位端と近位端とを有し、前記外筒部材の内腔に配置されているワイヤを有しており、前記ワイヤの近位側は前記内筒部材の前記内腔に配置されており、前記ワイヤの前記遠位端は前記接続部材及び/又は前記弾性部材に固定されている[6]に記載のカテーテル。
【発明の効果】
【0009】
上記カテーテルによれば、貫通孔を有さない湾曲した先端部材をカテーテルの先端に接続する際の強度を向上しつつ、先端部材の湾曲方向をカテーテルに対して所望の方向に調整して接続することができる。これにより、先端部材がカテーテルから脱落する事故を防止して安全性を確保しつつ、治療効果や治療効率を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルの側面図である。
図2図1に示したカテーテルの遠位部の側面図である。
図3図2に示したカテーテルの遠位部の斜視図である(外筒部材を省略)。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る樹脂製先端部材の側面図である
図6図3のVI-VI断面図である。
図7図3のVII-VII断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るカテーテルの遠位部の長手軸方向の断面図である。
図9図2の変形例を表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態に基づき本発明を説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0012】
本発明の実施形態に係るカテーテルは、長手軸方向に遠位端と近位端とを有し、長手軸方向に延在する内腔を有している外筒部材と、長手軸方向に遠位端と近位端とを有し、外筒部材の内腔に配置され長手軸方向に延在する第1面と第2面とを有している弾性部材と、長手軸方向に遠位端と近位端とを有し、外筒部材の内腔に配置され長手軸方向に延在する平坦面を有している接続部材と、外筒部材の長手軸方向に対して湾曲して延在し、延在方向に基端と先端とを有している中実の樹脂製先端部材と、を有しており、接続部材の遠位部の少なくとも一部は前記樹脂製先端部材に固定されており、接続部材の平坦面の少なくとも一部は弾性部材の第1面又は第2面に固定されており、樹脂製先端部材の基端部の少なくとも一部は外筒部材の遠位端に固定されていることに特徴を有する。
【0013】
上記カテーテルによれば、接続部材が平坦面を有しており、当該平坦面の少なくとも一部が弾性部材の第1面又は第2面に固定され、接続部材の遠位部の少なくとも一部が湾曲して延在する中実の樹脂製先端部材に固定されているため、樹脂製先端部材をカテーテルの先端に接続する際の強度を向上しながら、樹脂製先端部材の湾曲方向をカテーテルに対して所望の方向に調整して接続することができる。これにより、樹脂製先端部材がカテーテルから脱落する事故を防止して安全性を確保するとともに、樹脂製先端部材の湾曲方向を所望の向きとすることができるため、目的に応じたカテーテルのデザインが容易になる。このようなカテーテルであれば、例えば心臓を対象とした治療において、小さい心臓や心臓の壁が薄いような場合であってもカテーテルの先端に湾曲した中実の樹脂製先端部材が備わっているため、カテーテルの先端による心穿孔の危険性を減少させることができる。
【0014】
以下、図1図9を参照しつつ、本発明の実施形態に係るカテーテルについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカテーテルの側面図であり、遠位部が湾曲した状態を点線で示している。図2は、図1に示したカテーテルの遠位部が湾曲していないときの側面図であり、外筒部材の内壁及び外筒部材の内腔に配されている部材を破線で示している。図3は、図2に示したカテーテルの遠位部の斜視図であり、外筒部材の内腔に配置された部材の構成を示すために外筒部材を省略している。図4は、図3のIV-IV断面図である。図5は、本発明の他の実施形態に係る樹脂製先端部材の側面図である。図6は、図3のVI-VI断面図である。図7は、図3のVII-VII断面図であり、樹脂製先端部材に接続部材が固定されている部分の断面図を表す。図8は、本発明の一実施形態に係るカテーテルの遠位部の長手軸方向の断面図である。図8において、内筒部材については側面図を示している。図9は、図2の変形例を表す側面図であり、外筒部材の遠位端が長手軸方向に垂直な面に対して斜めに形成されている態様を表す。
【0015】
本明細書において、外筒部材20の長手軸方向Xを単に長手軸方向Xと称することがある。外筒部材20以外の部材、カテーテル10や、例えば後段にて詳述する弾性部材40、接続部材50、ワイヤ60、内筒部材70、及びハンドル80はそれぞれ長手軸方向を有しており、それらの長手軸方向を長手軸方向Xとして説明することがあるが、各部材の長手軸方向は外筒部材20の長手軸方向Xと同じであっても異なっていてもよい。
【0016】
各部材の遠位側とは長手軸方向Xにおいて処置対象者側を指し、各部材の近位側とは遠位側と反対側、即ちカテーテル10の使用者の手元側を指す。なお、図1図3、及び図9においては図の左側が遠位側、図の右側が近位側であり、図8においては図の上側が遠位側、図の下側が近位側である。
【0017】
図1及び図2に示すように、カテーテル10は、長手軸方向Xに遠位端20dと近位端20pを有し、長手軸方向Xに延在する内腔20Lを有している外筒部材20と、外筒部材20の遠位端20d側に接続されている樹脂製先端部材30を有している。カテーテル10は、外筒部材20の遠位部の表面に電極21を有していてもよい。また、図示していないが、カテーテル10は、外筒部材20の遠位部に電極21以外の検査や治療のための部材を備えていてもよい。このような構成により、カテーテル10は、心電位を測定する電極カテーテルや組織を焼灼するアブレーションカテーテルとして用いられることができる。さらに、カテーテル10は、外筒部材20の近位側にハンドル80を備える構造を有していてもよい。図1ではハンドル80の遠位端に外筒部材20の近位端20pが位置する態様を示しているが、外筒部材20の近位端20pはハンドル80の遠位端よりも近位側に位置していてもよい。
【0018】
外筒部材20は、内腔20Lを1つ有しているシングルルーメン構造であってもよいし、複数の内腔を有していてもよい。複数の内腔を有する構造としては、多重管構造であるコアキシャル構造であってもよいし、異なる中心軸を有する複数の内腔を備えるマルチルーメン構造であってもよいが、コアキシャル構造であることが好ましい。外筒部材20がシングルルーメン構造であれば、外筒部材20に内腔同士を区分けする隔壁が存在しないため外筒部材20の柔軟性を高められ、カテーテル11の挿通性を向上させることができる。外筒部材20は、長手軸方向Xの位置によって構造が異なっていてもよく、構造の異なる筒状部材が長手軸方向Xに接続されることにより構成されていてもよい。例えば、外筒部材20は、長手軸方向Xのある位置ではシングルルーメン構造を有しており、長手軸方向Xの他の位置ではコアキシャル構造又はマルチルーメン構造を有していてもよい。
【0019】
外筒部材20を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン等のポリアミド系樹脂;PET等のポリエステル系樹脂;PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂;ポリエーテルポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリイミド系樹脂;PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂が挙げられる。中でも、外筒部材20を構成する材料は、ポリアミド系樹脂であることが好ましく、ポリアミドエラストマーであることがより好ましい。これにより、外筒部材20の外表面の滑り性がよく、また、外筒部材20が適度な剛性を有することができるため、血管内腔での挿通性が向上したカテーテル10とすることができる。外筒部材20は、単層構造であってもよく複層構造であってもよい。外筒部材20が複層構造である場合、例えば、外筒部材20が樹脂チューブを含み、樹脂チューブが中間層としてステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属編組からなる層を備えた構成であってもよい。
【0020】
外筒部材20の長手軸方向Xの長さは、目的とする治療に応じて適切な長さとすることができる。例えば、外筒部材20の長手軸方向Xの長さは、500mm以上1500mm以下とすることができる。
【0021】
長手軸方向Xに垂直な断面において、外筒部材20の外縁の形状及び内腔20Lの形状は円形又は楕円形であることが好ましい。ここで、円形とは、真円のみではなく真円から逸脱したものも含む。外筒部材20の外縁の形状が円形であるときの外径又は楕円形であるときの長径は、1mm以上が好ましく、1.1mm以上がより好ましく、1.2mm以上がさらに好ましい。外筒部材20の外径の下限が上記範囲であることにより、外筒部材20に適度な剛性を与えることができ、血管内腔での挿通性が向上したカテーテル10とすることができる。また、外筒部材20の外縁の形状が円形であるときの外径又は楕円形であるときの長径は、また、3mm以下が好ましく、2.8mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。外筒部材20の外径の上限が上記範囲であることにより、カテーテル10の外径が大きくなりすぎることを防ぎ、血管内腔での挿通性を向上するとともに低侵襲性を高めることができる。
【0022】
外筒部材20の厚みは、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、150μm以上がさらに好ましく、また、350μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、250μm以下がさらに好ましい。外筒部材20の厚みが上記範囲であることにより、外筒部材20の剛性を確保しつつ外筒部材20の内腔20Lの内腔を所定以上の大きさとすることができる。
【0023】
カテーテル10が電極21を有している場合、電極21は、リング状電極であってもよく平板電極であってもよい。中でも、電極21はリング状電極であることが好ましい。これにより、外筒部材20の周上における電極21の面積を大きくすることができ、電極21を標的組織に接触させやすくなる。
【0024】
電極21を構成する材料としては、例えば、銅、金、白金、アルミニウム、鉄、又はこれらの合金等の金属材料が挙げられる。中でも、電極21を構成する材料は、白金又はその合金であることが好ましい。これにより、電極21のX線に対する造影性を向上でき、カテーテル1の使用時にX線を用いることにより電極21の位置を確認しながら治療を行うことができる。
【0025】
カテーテル10が電極21を有している場合、電極21に接続された導線が外筒部材20の内腔20Lに配置され、カテーテル11の近位側まで延在して電源装置等の外部機器(図示せず)に電気的に接続されていることが好ましい。導線としては、例えば、導線、鉄線、ステンレス鋼線、ピアノ線、タングステン線、ニッケルチタン線等を用いることができる。
【0026】
図2図3、及び図8に示すように、カテーテル10は、長手軸方向Xに遠位端40dと近位端40pとを有し、外筒部材20の内腔20Lに配置され長手軸方向Xに延在する第1面41と第2面42とを有している弾性部材40を有している。弾性部材40が第1面41と第2面42を有していることにより、弾性部材40を第1面41側又は第2面42側へ湾曲させてカテーテル10を第1面41側又は第2面42側へ湾曲させる構成とすることができる。弾性部材40を第1面41側又は第2面42側へ湾曲させる方法としては、後述するように、弾性部材40の遠位側に固定されたワイヤ60を配置し、ワイヤ60を近位側へ牽引することで弾性部材40の遠位側を近位側へ移動させる方法等が挙げられる。
【0027】
弾性部材40は板バネであってもよく、弾性部材40を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、チタン、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン合金等の金属;芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリカーボネート樹脂、繊維強化樹脂等の合成樹脂;ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム;天然ゴム等が挙げられる。中でも、弾性部材40はステンレス鋼で構成されていることが好ましい。
【0028】
図2図4、及び図8に示すように、カテーテル10は、長手軸方向Xに遠位端50dと近位端50pとを有し、外筒部材20の内腔20Lに配置され長手軸方向Xに延在する平坦面51を有している接続部材50を有している。接続部材50は、金属及び/又は樹脂で構成されていることが好ましい。
【0029】
図2図4、及び図8に示すように、接続部材50の平坦面51の少なくとも一部は弾性部材40の第1面41又は第2面42に固定されている。固定は、溶接や接着等の公知の方法で行えばよい。これにより、接続部材50が弾性部材40の第1面41又は第2面42の面上で回転することが防止できるため、樹脂製先端部材30の湾曲が所期の方向となるように樹脂製先端部材30を接続部材に固定することにより、樹脂製先端部材30の湾曲方向を弾性部材40に対して所望の方向とすることができる。これにより、弾性部材40はカテーテル10の湾曲方向を規定することから、カテーテル10が湾曲する方向に対して樹脂製先端部材30の湾曲方向をどの方向にするかの位置決めを容易に行え、目的に応じてカテーテル10の湾曲方向と樹脂製先端部材30の湾曲方向をデザインすることが容易になる。
【0030】
図2図8、及び図9では、樹脂製先端部材30が弾性部材40の第1面41側に湾曲している態様を示しているが、樹脂製先端部材30の湾曲方向はこれらの例に限定されず目的に応じて任意に決定することができる。樹脂製先端部材30の湾曲方向は、弾性部材40の第2面側であってもよい。樹脂製先端部材30の湾曲方向が弾性部材40の第1面41側又は第2面42側である場合、樹脂製先端部材30はカテーテル10が湾曲できる方向に湾曲した状態でカテーテル10の先端に接続されることができる。或いは、樹脂製先端部材30の湾曲方向は、第1面41及び第2面42と平行な方向であってもよい。この場合は、樹脂製先端部材30はカテーテル10が湾曲しない方向に湾曲した状態でカテーテル10の先端に接続されることができる。
【0031】
後述するように接続部材50の少なくとも一部は樹脂製先端部材30に固定されているが、接続部材50の平坦面51は、接続部材50が樹脂製先端部材30に接続されている部分以外の部分、即ち、接続部材50が樹脂製先端部材30から露出している部分全体において弾性部材40の第1面41又は第2面42に固定されていることが好ましい。即ち、接続部材50が樹脂製先端部材30に接続されている部分以外の部分、即ち接続部材50が樹脂製先端部材30から露出している部分全体の長手軸方向Xの長さを100%としたとき、接続部材50の平坦面51は100%の長さにおいて弾性部材40の第1面41又は第2面42に固定されていることが好ましい。或いは、接続部材50の平坦面51が弾性部材40の第1面41又は第2面42に固定されている長さは、98%以下、95%以下、90%以下、80%以下、70%以下であってもよく、また、30%以上、40%以上、50%以上であってもよい。
【0032】
接続部材50の長手軸方向Xに垂直な断面における形状は、図3及び図4では円形の一部である例を示しているが、平坦面51を有している限り特に限定されない。接続部材50の長手軸方向Xに垂直な断面における形状は、例えば、三角形、四角形、多角形、半円形、円形の一部、扇型、凸字形、及びそれらの組み合わせ等であってもよい。なお、三角形、四角形、及び多角形は、角部の頂点が明確であって辺部が直線であるものの他に、角部が丸みを帯びている所謂角丸多角形や、辺部の少なくとも一部が曲線となっているものも含む。また、接続部材50の長手軸方向Xに垂直な断面における形状は、平坦面51を有している限り、上記形状の一部が凹凸や欠け等を有した不定形な形状であってもよい。
【0033】
接続部材50の長手軸方向Xに垂直な断面における形状は、長手軸方向Xの位置により異なっていてもよい。接続部材50は、平坦面51を長手軸方向Xにおける一部に有していてもよいし、長手軸方向Xの全体にわたって有していてもよい。例えば、接続部材50が樹脂製先端部材30に固定される部分には平坦面51を有しておらず、弾性部材40に固定される部分に平坦面51を有している構成であってもよい。この場合、接続部材50は、弾性部材40に固定される部分全体に平坦面51を有していることが好ましい。
【0034】
図1図3、及び図5図8に示すように、カテーテル10は、外筒部材20の長手軸方向Xに対して湾曲して延在し、延在方向Eに基端30bと先端30tとを有している中実の樹脂製先端部材30を有している。湾曲の形状は特に限定されず、樹脂製先端部材30の形状としては、円弧形状、各種円弧形状の組み合わせ、円弧形状が重なったコイル形状、波形状、及びこれらの形状と直線形状との組み合わせ等が挙げられる。樹脂製先端部材30は、自然状態において湾曲していることが好ましい。長手軸方向Xにおいて、樹脂製先端部材30の先端30tは、樹脂製先端部材30の遠位端よりも近位側に位置していてもよく、樹脂製先端部材30の遠位端よりも遠位側に位置していてもよい。また、樹脂製先端部材30の先端30tは、樹脂製先端部材30が近位側まで大きく湾曲することにより樹脂製先端部材30の基端30bよりも近位側に位置していてもよい。樹脂製先端部材30の基端30bは、外筒部材20の遠位端20d側に接続される側の端部と定義することができる。
【0035】
樹脂製先端部材30を構成する材料としては、例えば、ナイロン、ポリエーテルポリアミド共重合体、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系樹脂;ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等のポリウレタン系樹脂;ポリエステル、ポリエステルエラストマー等のポリエステル系樹脂;ポリオレフィンエラストマー等のポリオレフィン系樹脂;PTFE、PFA、ETFE、フッ素樹脂エラストマー等のフッ素系樹脂;シリコーン系樹脂等が挙げられる。樹脂製先端部材30は、これらの材料を金型成形することにより製造されていることが好ましい。
【0036】
樹脂製先端部材30は、外筒部材20よりも剛性が低くなるような材料から構成されていることが好ましい。カテーテル11の先端に備わる樹脂製先端部材30の剛性が低いことにより、治療対象部位の損傷を防止することが容易になる。
【0037】
樹脂製先端部材30の延在方向Eに垂直な断面において、樹脂製先端部材30の外縁の形状は円形又は楕円形であることが好ましい。ここで、円形とは、真円のみではなく真円から逸脱したものも含む。樹脂製先端部材30の外縁の形状が円形であるときの外径又は楕円形であるときの長径は、外筒部材20のそれらと同等であることが好ましい。これにより、樹脂製先端部材30と外筒部材20の接続部分に段差が生じにくく、カテーテル11の血管内腔での挿通性を向上するとともに低侵襲性を高めることができる。具体的には、例えば、0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、1mm以上がさらに好ましく、また、3mm以下が好ましく、2.8mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。
【0038】
樹脂製先端部材30の長手軸方向Xの長さL30xは、2mm以上が好ましく、2.5mm以上がより好ましく、3mm以上がさらに好ましく、また、20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。長手軸方向Xの長さが上記範囲の中実で湾曲した柔軟な樹脂製先端部材30をカテーテル11が備えていることにより、治療対象部位の損傷を防止することができる。
【0039】
長手軸方向Xに垂直な外筒部材20の径方向における樹脂製先端部材30の幅L30yは、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、2.5mm以上がさらに好ましい。樹脂製先端部材30が上記範囲の幅L30yを有するように湾曲していることにより、治療対象部位へ当接した際の衝撃が緩和され治療対象部位の損傷防止効果が向上できる。長手軸方向Xに垂直な外筒部材20の径方向における樹脂製先端部材30の幅L30yは、10mm以下が好ましく、9mm以下がより好ましく、8mm以下がさらに好ましい。樹脂製先端部材30が上記範囲の幅L30yを有するように湾曲していることにより、湾曲した樹脂製先端部材30を備えていてもカテーテル11の血管内腔での挿通性を確保できる。
【0040】
図6に示すように、樹脂製先端部材30は中実構造を有している。中実構造とは、図6に示すように、延在方向Eに垂直な断面において中身が詰まっている構造である。後述するように樹脂製先端部材30の基端30b側には接続部材50の少なくとも一部が固定され、図7に示すように、樹脂製先端部材30の基端30b側の延在方向Eに垂直な断面を見たとき樹脂製先端部材30の中に接続部材50が存在する部分があるが、このような部分においても樹脂製先端部材30には内腔は存在せず中実構造であると言える。樹脂製先端部材30は、中実構造を有していることにより、延在方向Eに貫通孔を有さない構成とすることができる。カテーテル10が先端にこのような樹脂製先端部材30を有していることにより、治療対象部位の損傷を防止して安全な処置を行うことが可能になる。
【0041】
図2図4、及び図8に示すように、接続部材50の遠位部の少なくとも一部は樹脂製先端部材30に固定されている。接続部材50の遠位部の少なくとも一部は、中実の樹脂製先端部材30に埋没するように固定されていることが好ましい。これにより、樹脂製先端部材30と接続部材50を強固に固定することができる。接続部材50が樹脂製先端部材30に固定されている部分の長手軸方向Xの長さは、接続部材50の長手軸方向Xの長さを100%としたとき、遠位端50dから5%の位置まで以上が好ましく、10%の位置まで以上がより好ましく、15%の位置まで以上がさらに好ましく、また、70%の位置まで以下が好ましく、60%の位置まで以下がより好ましく、50%の位置まで以下がさらに好ましい。接続部材50が樹脂製先端部材30に固定されている部分が上記範囲であれば、接続部材50と樹脂製先端部材30の固定強度を保ちながら、接続部材50の樹脂製先端部材30と固定されていない部分の平坦面51を弾性部材40に固定しやすくなる。
【0042】
接続部材50は金属で構成されており、接続部材50はインサート成形により樹脂製先端部材30に固定されていることが好ましい。これにより、樹脂製先端部材30に強固に固定された接続部材50を容易に製造することができる。接続部材50を構成する金属としては、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、チタン、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン合金等が挙げられる。中でも、接続部材50はステンレス鋼で構成されていることが好ましい。
【0043】
上記のように、樹脂製先端部材30と接続部材50とが固定され、接続部材50と弾性部材40とが固定されていることにより、湾曲した中実の樹脂製先端部材30を安定した状態で弾性部材40に接続することができ、樹脂製先端部材30がカテーテル10から脱落する事故を防止して安全性を確保しつつ、治療効果や治療効率を向上することが可能になる。
【0044】
図2及び図8に示すように、樹脂製先端部材30の基端部の少なくとも一部は外筒部材20の遠位端20dに固定されている。樹脂製先端部材30の基端30b側が外筒部材20の遠位端20dから内腔20Lに挿入され、樹脂製先端部材30の基端部の外壁の少なくとも一部と外筒部材20の内腔20Lの壁が接着や溶着等の公知の方法で固定されることが好ましい。中でも、樹脂製先端部材30と外筒部材20は接着剤による接着で固定されることが好ましく、接着剤としては、ポリウレタン系、エポキシ系、シアノ系、フッ素系、シリコーン系等の接着剤が挙げられる。樹脂製先端部材30は、基端30bから外筒部材20の内腔20Lに挿入された部分全体が外筒部材20の内腔20Lの壁に固定されていてもよいし、基端30bから外筒部材20の内腔20Lに挿入された部分の一部が外筒部材20の内腔20Lの壁に固定されていてもよい。
【0045】
弾性部材40は金属で構成されており、金属で構成された接続部材50の平坦面51の少なくとも一部が金属で構成された弾性部材40の第1面41又は第2面42に溶接により固定されていることが好ましい。これにより、接続部材50の平坦面51を弾性部材41に強固に固定することができ、接続部材50が弾性部材41から脱落することを防止できる。
【0046】
図8に示すように、カテーテル10は、長手軸方向Xに遠位端70dと近位端を有し、外筒部材20の内腔20Lに配置され長手軸方向Xに延在する内腔70Lを有している内筒部材70をさらに有しており、弾性部材40の近位部の少なくとも一部は内筒部材70の遠位部の少なくとも一部に固定されていることが好ましい。カテーテル10が内筒部材70を有していることにより、カテーテル10の湾曲の起点側の剛性を確保し、長手軸方向Xにおいて内筒部材70の遠位端70dから遠位側のカテーテル10の遠位部を湾曲させることができる。内筒部材70の近位端は外筒部材20の内腔20Lにおいて長手軸方向Xの途中に位置していてもよいし、或いは、内筒部材70は外筒部材20の近位端20pまで延在していてもよいし、また或いは、内筒部材70は外筒部材20の近位端20pを越えて近位側まで延在していてもよい。
【0047】
内筒部材70を構成する材料としては、外筒部材20と同様の合成樹脂や金属等を用いることができる。内筒部材70は、単層構造であってもよく複層構造であってもよい。内筒部材70は、一又は複数の線材がらせん状に巻回され形成されている中空コイル、チューブ、パイプ等であることが好ましい。中でも、内筒部材70はコイルであることが好ましい。これにより、内筒部材70によりカテーテル10の湾曲の起点側の剛性を確保しつつ、適度な柔軟性も付与できるため、屈曲した血管内であっても容易に挿通して病変部へ送達できるカテーテル10とすることができる。コイルは可撓性があることが好ましく、コイルの材料としては、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金等からなる金属ワイヤや、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂からなるワイヤが挙げられる。
【0048】
弾性部材40の近位部の少なくとも一部が内筒部材70の遠位部の少なくとも一部に固定される際、例えば、弾性部材40の近位端40pが内筒部材70の内腔70Lに配置されていてもよいし、或いは、弾性部材40の近位端40pが内筒部材70の外側に配置されていてもよい。また或いは、弾性部材40の近位端40pが内筒部材70の遠位端70dに当接又は固定されていてもよい。中でも、弾性部材40の近位端40pが内筒部材70の内腔70Lに配置され、内筒部材70が弾性部材40の近位端40pを受け入れた状態となっていることが好ましい。これにより、弾性部材40と内筒部材70を安定して接続することができる。
【0049】
図8に示すように、カテーテル10は、長手軸方向Xに遠位端60dと近位端とを有し、外筒部材20の内腔20Lに配置されているワイヤ60を有しており、ワイヤ60の近位端は内筒部材70の内腔70Lに配置されており、ワイヤ60の遠位端60dは接続部材50及び/又は弾性部材40に固定されていることが好ましい。カテーテル10が上記構成のワイヤ60を有していることにより、ワイヤ60を近位側から牽引することにより弾性部材40を湾曲させることができる。図1に示すように、カテーテル10は、ワイヤ60を牽引するための回転部材81をハンドル80に有していてもよい。ワイヤ60の近位側を回転部材81に固定して回転部材81を回転させることにより、ワイヤ60を牽引することが容易になる。
【0050】
ワイヤ60としては、ステンレス鋼等の金属線材や、フッ素樹脂等の合成樹脂から形成された線材を用いることができる。ワイヤ60は、1本の線材であってもよく複数の線材からなる構造を有していてもよい。カテーテル10は、複数のワイヤ60を有していてもよく、例えば、カテーテル10の遠位部を弾性部材40の第1面41側に湾曲させるための第1ワイヤと第2面42側に湾曲させるための第2ワイヤとを有していてもよい。
【0051】
ワイヤ60と接続部材50及び/又は弾性部材40とは、溶接や接着剤による接着等公知の方法で固定することができるが、中でも、溶接により固定されていることが好ましい。中でも、ワイヤ60は弾性部材40に溶接により固定されていることが好ましく、具体的には、ワイヤ60の遠位端60dを含む部分が弾性部材40の遠位端部に溶接により固定されている態様が好適である。
【0052】
図9に示すように、外筒部材20の遠位端20dは、外筒部材20の長手軸方向Xに垂直な面に対して斜めに形成されていることが好ましい。外筒部材20の遠位端20dが長手軸方向Xに垂直な面に対して斜めに形成されているとき、外筒部材20の遠位端20dは最も遠位側にある遠位端20d1と最も近位側にある遠位端20d2とを有している。遠位端20d1と遠位端20d2とを結ぶ直線と長手軸方向Xとがなす角度のうち小さい方、即ち図9に示す角度θは、10°以上が好ましく、15°以上がより好ましく、また、70°以下が好ましく、60°以下がより好ましく、45°以下がさらに好ましく、30°以下であってもよい。
【0053】
上述のように、樹脂製先端部材30と外筒部材20は接着剤により固定されることが好ましく、外筒部材20の内腔20Lの壁が樹脂製先端部材30の基端30b側の外壁の上に重なるように固定されることが好ましいが、外筒部材20の遠位端20dが長手軸方向Xに垂直な面に対して斜めに形成されていることにより、遠位端20dのうち最も遠位側にある遠位端20d1側では接着面積を大きくすることができ、樹脂製先端部材30と外筒部材20との接続強度を向上できる。他方、遠位端20dのうち最も近位側にある遠位端20d2側では樹脂製先端部材30と外筒部材20とが重なる面積を小さくできるため、接続部分の外径が大きくなることを防止できる。これにより、接続強度を向上しつつ接続部分の外径の増加を抑えながら樹脂製先端部材30と外筒部材20とを接続することがより容易になる。
【0054】
図2図3図5、及び図9に示すように、樹脂製先端部材30はゲート跡31を有しており、ゲート跡31は外筒部材20の内腔20Lに配置されていることが好ましい。樹脂製先端部材30は金型成形により製造されることが好ましいが、金型成形する際に用いられる金型には樹脂の注入口やエア抜き用の孔が設けられており、これら開口によるゲート跡31が樹脂製先端部材30に残ることがある。ゲート跡31は表面の平滑性に劣ることから、ゲート跡31が露出して体腔や臓器の内壁に触れると損傷を与える虞があるところ、ゲート跡31が外筒部材20の内腔20Lに配置されることによりゲート跡31が体腔や臓器の内壁に触れないようにすることが可能である。これにより、低侵襲な治療がより容易になる。
【0055】
図9に示すように、外筒部材20の遠位端20dが外筒部材20の長手軸方向Xに垂直な面に対して斜めに形成されていると、ゲート跡31を外筒部材20の内腔20Lに配置することがより容易になる。ゲート跡31が基端30bからより離れた位置に存在する場合であっても、外筒部材20の遠位端20dの斜めの度合いを大きくする、即ち角度θを小さくすることにより、ゲート跡31を外筒部材20の内腔20Lに配置することが容易になる。これにより、樹脂製先端部材30と外筒部材20との接続強度を向上しつつ接続部分の外径が大きくなるのを抑えた上で、ゲート跡31が露出しない構成として低侵襲性の向上したカテーテル10を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
10:カテーテル
20:外筒部材
20d:外筒部材の遠位端
20L:外筒部材の内腔
20p:外筒部材の近位端
21:電極
30:樹脂製先端部材
30b:樹脂製先端部材の基端
30t:樹脂製先端部材の先端
31:ゲート跡
40:弾性部材
40d:弾性部材の遠位端
40p:弾性部材の近位端
41:弾性部材の第1面
42:弾性部材の第2面
50:接続部材
50d:接続部材の遠位端
50p:接続部材の近位端
51:平坦面
60:ワイヤ
60d:ワイヤの遠位端
70:内筒部材
70d:内筒部材の遠位端
70L:内筒部材の内腔
80:ハンドル
81:回転部材
E:樹脂製先端部材の延在方向
L30x:樹脂製先端部材の長さ
L30y:樹脂製先端部材の幅
X:長手軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9