(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103273
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】陳列什器
(51)【国際特許分類】
A47F 5/11 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A47F5/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007523
(22)【出願日】2023-01-20
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593065235
【氏名又は名称】株式会社リンクス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 啓彰
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118GA08
3B118GA13
3B118GA29
(57)【要約】
【課題】訴求力を高めることができる陳列什器を提供する。
【解決手段】陳列什器10は、外箱80および外箱80に収納可能な本体部20を備える。外箱80は、外箱80内の底に位置する面である支持面81Sを有する裏板81と、陳列什器10の組立前において裏板81の前方で外箱80の蓋として機能し、陳列什器10の組立後において裏板81の後方に折り返される表板とを備える。本体部20は、支持面81Sに取り付けられた角筒部30であって、裏板81の前方に引き出されることによって六角形状の断面を有して上下方向に延びる筒である六角筒を構成する角筒部30と、引き出された角筒部30の内側の空間を上下に区切る棚板50とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱、および、前記外箱に収納可能な本体部を備える組立式の陳列什器であって、
前記外箱は、
当該外箱内の底に位置する面である支持面を有する裏板と、
前記陳列什器の組立前において前記裏板の前方で当該外箱の蓋として機能し、前記陳列什器の組立後において前記裏板の後方に折り返される表板と、を備え、
前記本体部は、
前記支持面に取り付けられた角筒部であって、前記裏板の前方に引き出されることによって六角形状の断面を有して上下方向に延びる筒である六角筒を構成する前記角筒部と、
引き出された前記角筒部の内側の空間を上下に区切る棚板と、を備える
陳列什器。
【請求項2】
前記角筒部は、前記六角筒の背面を除く5つの側面の位置に配置される正面板、右前板、右後板、左前板、および、左後板を備え、前記正面板の右に前記右前板が位置するとともに前記右前板の後方に前記右後板が位置し、前記正面板の左に前記左前板が位置するとともに前記左前板の後方に前記左後板が位置し、
前記角筒部はさらに、前記右後板の後端に繋がった右貼付板と、前記左後板の後端に繋がった左貼付板とを備え、前記右貼付板および前記左貼付板が前記支持面に貼り付けられており、
前記本体部はさらに、前記右貼付板および前記左貼付板と前記支持面とを覆うカバー部を備え、前記カバー部は、前記支持面における前記右後板の後端と前記左後板の後端との間の領域を覆う中央被覆部と、前記支持面における前記右後板の後端よりも右の領域を覆う右被覆部と、前記支持面における前記左後板の後端よりも左の領域を覆う左被覆部と、を有する
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項3】
前記角筒部は、前記六角筒の背面を除く5つの側面の位置に配置される正面板、右前板、右後板、左前板、および、左後板を備え、前記正面板の右に前記右前板が位置するとともに前記右前板の後方に前記右後板が位置し、前記正面板の左に前記左前板が位置するとともに前記左前板の後方に前記左後板が位置し、
前記角筒部はさらに、前記右後板の後端に繋がった右貼付板と、前記左後板の後端に繋がった左貼付板とを備え、前記右貼付板および前記左貼付板が、前記六角筒の外側で前記支持面に貼り付けられている
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項4】
前記角筒部は、前記六角筒の背面を除く5つの側面の位置に配置される正面板、右前板、右後板、左前板、および、左後板を備え、前記正面板の右に前記右前板が位置するとともに前記右前板の後方に前記右後板が位置し、前記正面板の左に前記左前板が位置するとともに前記左前板の後方に前記左後板が位置し、
前記本体部はさらに、前記支持面における前記右後板の後端と前記左後板の後端との間の領域を覆う中央被覆部を備え、
前記中央被覆部の下端と前記棚板の後端とが繋がっている
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項5】
前記本体部は、前記角筒部の内側において前記棚板の下方で当該棚板を支持する支持部を備える
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項6】
前記支持部は、折り畳み可能な角筒状を有する筒状部を備え、
前記筒状部は、前記支持面および前記角筒部の内側面の少なくとも一方に固定されている
請求項5に記載の陳列什器。
【請求項7】
前記角筒部は、前記六角筒の正面を含む面に開口した窓部を有し、
上下方向における前記棚板の位置は、前記窓部の下端の位置よりも下である
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項8】
前記角筒部は、前記六角筒の正面を含む面に開口した窓部を有し、
前記窓部は、透明な板状部材によって塞がれている
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項9】
前記棚板は、前記角筒部の断面形状に対応した六角形状の外形を有する
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項10】
前記支持面に沿って前記角筒部の上端に組み付けられる背面板をさらに備える
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項11】
左右方向において、前記支持面は前記六角筒の背面よりも大きい
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項12】
前記角筒部の下端を支持する台座部をさらに備える
請求項1に記載の陳列什器。
【請求項13】
前記本体部の少なくとも一部は、紙製である
請求項1に記載の陳列什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式の陳列什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品の陳列に用いられる棚や台である陳列什器として、様々な形状や構造の什器が提案されている。このうち、組立式の陳列什器には、組み立てが容易であることや、組み立ての過程で発生する廃棄物が少ないことが望まれる。特許文献1に記載の陳列什器は、折り畳み可能な四角柱状の陳列台と、組立前において畳まれた陳列台を収納する外箱とを備えている。そして、外箱内の底面に、陳列台の背面が接着されている。この陳列什器は、外箱を開いてその蓋部分を底面の裏側に折り返し、陳列台を引き起こすことによって組み立てられる。組立後においては、外箱が陳列台のバックボードとして機能するため、外箱が廃棄物となることが避けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の陳列什器は、組立後においては、単にバックボードの前に四角柱状の陳列台が配置された外観を有するにすぎない。それゆえ、消費者に対する訴求力の向上という観点では、なお改善の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための陳列什器の各態様を記載する。
[態様1]外箱、および、前記外箱に収納可能な本体部を備える組立式の陳列什器であって、前記外箱は、当該外箱内の底に位置する面である支持面を有する裏板と、前記陳列什器の組立前において前記裏板の前方で当該外箱の蓋として機能し、前記陳列什器の組立後において前記裏板の後方に折り返される表板と、を備え、前記本体部は、前記支持面に取り付けられた角筒部であって、前記裏板の前方に引き出されることによって六角形状の断面を有して上下方向に延びる筒である六角筒を構成する前記角筒部と、引き出された前記角筒部の内側の空間を上下に区切る棚板と、を備える陳列什器。
【0006】
上記構成によれば、陳列対象物が配置される部分である角筒部が四角筒である場合と比較して、陳列什器の周囲にて、角筒部のいずれかの面と正対し得る範囲が広がる。それゆえ、訴求力が高められる。また、角筒部が四角筒である場合と比較して、印刷の可能な領域を、角筒部の周面に広く確保しやすいため、これによっても、訴求力を高めることができる。
【0007】
また、表板を折り返して、角筒部を引き出し、棚板を配置するという簡単な手順で陳列什器を組み立てることができるため、容易にかつ短時間で陳列什器の組み立てが可能である。そして、組立後においては、外箱が角筒部のバックボードとして機能するため、外箱の廃棄が不要である。それゆえ、廃棄物の発生を抑えることができる。
【0008】
[態様2]前記角筒部は、前記六角筒の背面を除く5つの側面の位置に配置される正面板、右前板、右後板、左前板、および、左後板を備え、前記正面板の右に前記右前板が位置するとともに前記右前板の後方に前記右後板が位置し、前記正面板の左に前記左前板が位置するとともに前記左前板の後方に前記左後板が位置し、前記角筒部はさらに、前記右後板の後端に繋がった右貼付板と、前記左後板の後端に繋がった左貼付板とを備え、前記右貼付板および前記左貼付板が前記支持面に貼り付けられており、前記本体部はさらに、前記右貼付板および前記左貼付板と前記支持面とを覆うカバー部を備え、前記カバー部は、前記支持面における前記右後板の後端と前記左後板の後端との間の領域を覆う中央被覆部と、前記支持面における前記右後板の後端よりも右の領域を覆う右被覆部と、前記支持面における前記左後板の後端よりも左の領域を覆う左被覆部と、を有する[態様1]に記載の陳列什器。
【0009】
上記構成によれば、中央被覆部と右被覆部との間から右後板が突き出し、中央被覆部と左被覆部との間から左後板が突き出す。これによって、カバー部から角筒部が飛び出ているように見えることから、角筒部と裏板およびカバー部との一体感が高められる。したがって、陳列台がバックボードと別体として捉えられる場合と比べて、特徴的な構造により訴求力が高められる。
【0010】
また、各貼付板がカバー部で覆われることにより、各貼付板が支持面から剥がれにくくなり、外箱に対する本体部の固定が強固になる。また、バックボードとして機能する部分の強度が高められる。
【0011】
[態様3]前記角筒部は、前記六角筒の背面を除く5つの側面の位置に配置される正面板、右前板、右後板、左前板、および、左後板を備え、前記正面板の右に前記右前板が位置するとともに前記右前板の後方に前記右後板が位置し、前記正面板の左に前記左前板が位置するとともに前記左前板の後方に前記左後板が位置し、前記角筒部はさらに、前記右後板の後端に繋がった右貼付板と、前記左後板の後端に繋がった左貼付板とを備え、前記右貼付板および前記左貼付板が、前記六角筒の外側で前記支持面に貼り付けられている、[態様1]または[態様2]に記載の陳列什器。
上記構成によれば、各貼付板が六角筒の内側で支持面に貼り付けられる場合と比較して、各貼付板の貼り付けが容易である。
【0012】
[態様4]前記角筒部は、前記六角筒の背面を除く5つの側面の位置に配置される正面板、右前板、右後板、左前板、および、左後板を備え、前記正面板の右に前記右前板が位置するとともに前記右前板の後方に前記右後板が位置し、前記正面板の左に前記左前板が位置するとともに前記左前板の後方に前記左後板が位置し、前記本体部はさらに、前記支持面における前記右後板の後端と前記左後板の後端との間の領域を覆う中央被覆部を備え、前記中央被覆部の下端と前記棚板の後端とが繋がっている、[態様1]~[態様3]のいずれか1つに記載の陳列什器。
上記構成によれば、棚板を前方に倒すことで角筒部への棚板の配置が容易に可能である。また、棚板が他の部材と分離されていないため、陳列什器の組み立てが容易である。
【0013】
[態様5]前記本体部は、前記角筒部の内側において前記棚板の下方で当該棚板を支持する支持部を備える、[態様1]~[態様4]のいずれか1つに記載の陳列什器。
上記構成によれば、陳列対象物を棚板上に置いた場合でも、棚板の位置が安定する。
【0014】
[態様6]前記支持部は、折り畳み可能な角筒状を有する筒状部を備え、前記筒状部は、前記支持面および前記角筒部の内側面の少なくとも一方に固定されている、[態様5]に記載の陳列什器。
上記構成によれば、支持部が他の部材と分離されておらず、角筒部の引き起こしによって筒状部も引き起こされるため、陳列什器の組み立てが容易である。
【0015】
[態様7]前記角筒部は、前記六角筒の正面を含む面に開口した窓部を有し、上下方向における前記棚板の位置は、前記窓部の下端の位置よりも下である、[態様1]~[態様6]のいずれか1つに記載の陳列什器。
【0016】
上記構成によれば、棚板上に配置された陳列対象物の状態を、角筒部の外側から確認できる。また、窓部が額縁のように機能することで、窓部から見える陳列対象物が引き立てられる。
【0017】
[態様8]前記角筒部は、前記六角筒の正面を含む面に開口した窓部を有し、前記窓部は、透明な板状部材によって塞がれている、[態様1]~[態様7]のいずれか1つに記載の陳列什器。
【0018】
上記構成によれば、陳列対象物の状態を、角筒部の外側から確認できる。そして、窓板が設けられていることによって、陳列対象物の保護が可能であり、また、多数の陳列対象物を角筒部内に詰める場合であっても、陳列対象物が窓部から外側に出ることが避けられる。
【0019】
[態様9]前記棚板は、前記角筒部の断面形状に対応した六角形状の外形を有する、[態様1]~[態様8]のいずれか1つに記載の陳列什器。
上記構成によれば、棚板の外周の全体が角筒部の内側面を支持するため、六角筒の形状が安定しやすい。
【0020】
[態様10]前記支持面に沿って前記角筒部の上端に組み付けられる背面板をさらに備える、[態様1]~[態様9]のいずれか1つに記載の陳列什器。
上記構成によれば、バックボードが拡張されて、印刷の可能な領域をさらに広げることができるため、訴求力の向上が可能である。また、背面板の形状によって意匠性を高めることもできる。
【0021】
[態様11]左右方向において、前記支持面は前記六角筒の背面よりも大きい、[態様1]~[態様10]のいずれか1つに記載の陳列什器。
上記構成によれば、印刷の可能な領域を広く確保しやすい。また、角筒部がカバー部から飛び出すように見えやすく、背面板を備える場合には、背面板の位置も安定しやすい。
【0022】
[態様12]前記角筒部の下端を支持する台座部をさらに備える、[態様1]~[態様11]のいずれか1つに記載の陳列什器。
上記構成によれば、水平面に対する陳列什器の配置の安定性を高めることができる。また、陳列什器の見栄えも良くなる。
【0023】
[態様13]前記本体部の少なくとも一部は、紙製である、[態様1]~[態様12]のいずれか1つに記載の陳列什器。
上記構成によれば、環境負荷の軽減が可能であるとともに、陳列什器の重さや材料費の削減が可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、陳列什器において、訴求力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】一実施形態の陳列什器における角筒部の斜視構造を示す図。
【
図5】一実施形態の陳列什器の正面構造において一部の部材を省略して示す図。
【
図6】一実施形態の陳列什器の断面構造の一部を示す図。
【
図10】一実施形態における組立前の陳列什器の斜視構造を示す図。
【
図11】一実施形態における組立途中の陳列什器の斜視構造を示す図。
【
図12】変形例の陳列什器の斜視構造を分解して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面を参照して、陳列什器の一実施形態を説明する。以下の説明において、上下、前後、左右の各方向は、陳列什器から見た方向であって、組立後の陳列什器を水平面に静置した状態での方向に対応する。
【0027】
[陳列什器の全体構造]
図1および
図2は、組立後の陳列什器10の斜視構造を示す。陳列什器10は、商品等の陳列対象物が置かれる空間を区画する本体部20と、陳列什器10の組立前において本体部20を収納する外箱80とを備えている。
【0028】
図1に示すように、本体部20は、六角形状の断面を有する筒である六角筒を構成する角筒部30と、角筒部30の背後に位置するカバー部70とを備えている。角筒部30は上下方向に延び、角筒部30における上下の筒端は開口されている。また、角筒部30は、角筒部30の正面中央部から上部にかけた領域に開口した略矩形状の窓部40を有している。窓部40は、透明な板状部材である窓板41によって塞がれている。
【0029】
角筒部30の端部とカバー部70とは、外箱80の支持面81Sに貼り付けられている。支持面81Sは、組立前の外箱80内の底に位置する面である。カバー部70は、支持面81Sの左右方向の中央部を覆う中央被覆部71と、支持面81Sにおける上記中央部の右側領域を覆う右被覆部72と、支持面81Sにおける上記中央部の左側領域を覆う左被覆部73とを備えている。
【0030】
本体部20はさらに、角筒部30の内側に位置する棚板50および支持部60を備えている。棚板50は、水平方向に広がる板状を有し、上下方向において窓部40の下に位置して角筒部30の内側の空間を上下に区切っている。支持部60は、
図2に示すように棚板50の下方に位置し、角筒部30に沿って配置された4つの筒状部61,62,63,64を備えている。
【0031】
外箱80は、上記支持面81Sを有する裏板81と、裏板81の上端に繋がっている上表板82と、裏板81の下端に繋がっている下表板83と、裏板81の右端に繋がっている右表板84と、裏板81の左端に繋がっている左表板85とを備えている。
【0032】
陳列什器10の組立後においては、各表板82~85は、裏板81の後方に折り返されている。陳列什器10の組立前には、各表板82~85は、裏板81の前方で外箱80の側面および天面のフラップとして機能し、裏板81との間に本体部20を収納する。
【0033】
本体部20における窓板41以外の部分、および、外箱80は、紙製であることが好ましい。これらが紙製であることにより、環境負荷の軽減が可能であるとともに、陳列什器10の重さや材料費の削減が可能である。なお、窓板41は、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂製であることが好ましい。
【0034】
陳列什器10の使用に際しては、角筒部30の内側における棚板50上の空間に陳列対象物が配置される。複数の陳列対象物を配置する場合には、複数の陳列対象物は、棚板50上に隙間をあけて並べられてもよいし、棚板50上の空間を埋めるように角筒部30の内側に隙間なく詰められてもよい。窓部40が設けられていることにより、角筒部30の外側から窓部40を通じて陳列対象物を視認することができる。また、窓部40が額縁のように機能することで、窓部40から見える陳列対象物に注目が集まりやすくなる。さらに、窓部40が窓板41で塞がれていることから、陳列対象物の保護が可能であり、また、多数の陳列対象物を角筒部30内に詰める場合であっても、陳列対象物が窓部40から外側に出ることが避けられる。
【0035】
本実施形態の陳列什器10においては、陳列対象物の陳列台として機能する部分が、角筒部30を主とする六角柱状を有する。それゆえ、陳列台が四角柱状である場合と比べて、陳列什器10の周囲にて、角筒部30のいずれかの面と正対し得る範囲が広がる。それゆえ、陳列什器10の付近を通るより多くの消費者に対して訴求効果が発揮される。また、陳列台が四角柱状である場合と比べて、陳列対象物の紹介等を印刷可能な領域を、角筒部30の周面に広く確保しやすいため、これによっても、訴求力を高めることができる。
【0036】
[陳列什器の詳細構成]
陳列什器10の各部の構造について、詳細に説明する。まず、角筒部30の構造を説明する。
図3は、角筒部30の斜視構造を示す。
図3に示すように、角筒部30は、六角筒における背面以外の5つの側面を構成するように配置された正面板31、右前板32、右後板33、左前板34、および、左後板35を備えている。角筒部30単独では、六角筒の背面に相当する部分は開放されている。角筒部30がカバー部70と共に外箱80の支持面81Sに取り付けられることによって、上記背面に相当する部分が塞がれて六角筒が形成される。
【0037】
各板31~35は、上下方向に延び、六角筒の正面に相当する位置に正面板31が位置する。そして、正面板31の右端に右前板32が繋がっており、右前板32の後方にさらに右後板33が繋がっている。また、正面板31の左端に左前板34が繋がっており、左前板34の後方にさらに左後板35が繋がっている。なお、各板31~35のうち、隣り合う2つの板の間の折り曲げられる部分である境界部は、角筒部30の組み立てや収納の際にゆとりを持たせるための幅を有していてもよい。例えば、右前板32と右後板33との間の境界部、および、左前板34と左後板35との間の境界部は、畳まれた角筒部30に棚板50および支持部60を格納可能とするマチを付与するための幅を有している。
【0038】
右前板32、右後板33、左前板34、および、左後板35の幅は互いに一致しており、これらの幅よりも、正面板31の幅は大きい。正面板31の幅が最も大きいことにより、印刷の可能な領域を正面板31の表面にて広く確保しやすいため、陳列対象物への関心が高いと推測される陳列什器10の真正面の消費者に対しての訴求力をより高めることができる。
【0039】
窓部40が設けられている領域は、正面板31の左右方向の全体に延びさらに右前板32および左前板34の一部に食い込んでいる。窓部40が右前板32および左前板34まで広がっていることから、陳列什器10の真正面だけでなく、右前板32および左前板34に向かう方向からも角筒部30内の陳列対象物を視認することができる。
【0040】
各板31~35の上端には、当該上端に沿った帯状の折曲片36が板ごとに繋がっており、各板31~35の上端から裏面に向けて各折曲片36が折られている。そして、各折曲片36は各板31~35の裏面に接着されている。これにより、角筒部30の上端に、角筒部30の材料である紙の端面が露出することが抑えられるため、陳列什器10の意匠性が高められる。
【0041】
角筒部30はさらに、右後板33の後端に繋がっている右貼付板37と、左後板35の後端に繋がっている左貼付板38とを備えている。右貼付板37および左貼付板38の各々は、上下方向に延びる帯状を有しており、右貼付板37および左貼付板38の各々の裏面が外箱80に貼り付けられる。
【0042】
正面板31、右前板32、右後板33、左前板34、および、左後板35のうちの隣り合う2つの板の間の境界部の各々が山折りされていることに対し、右後板33と右貼付板37との間の境界部、および、左後板35と左貼付板38との間の境界部の各々は、谷折りされている。すなわち、右貼付板37および左貼付板38の各々は、角筒部30が構成する六角筒の外側に位置する。
【0043】
図4~
図6を参照して、角筒部30とカバー部70と外箱80との接合構造について説明する。
図4は、陳列什器10の正面構造を示し、
図5は、当該正面構造において、外箱80の裏板81、棚板50、および、カバー部70とともに、角筒部30の右貼付板37と左貼付板38の配置を示す。
【0044】
図4および
図5に示すように、右貼付板37および左貼付板38の裏面は、外箱80における裏板81の支持面81Sに貼り付けられている。そして、支持面81Sにおける右貼付板37と左貼付板38との間の領域、言い換えれば、右後板33の後端と左後板35の後端との間の領域のうち、棚板50よりも上の領域が、カバー部70の中央被覆部71に覆われている。
【0045】
また、支持面81Sにおける中央被覆部71よりも右の領域および右貼付板37の表面が、カバー部70の右被覆部72に覆われており、支持面81Sにおける中央被覆部71よりも左の領域および左貼付板38の表面が、カバー部70の左被覆部73に覆われている。言い換えれば、右被覆部72は、右後板33の後端よりも右の領域を覆い、左被覆部73は、左後板35の後端よりも左の領域を覆っている。
【0046】
すなわち、
図6に左貼付板38付近の左右方向に沿った断面構造を示すように、左貼付板38は、前後方向において裏板81と左被覆部73との間に挟まれており、同様に、右貼付板37は、前後方向において裏板81と右被覆部72との間に挟まれている。
【0047】
貼付板37,38が被覆部72,73で覆われることにより、貼付板37,38が支持面81Sから剥がれにくくなり、外箱80に対する本体部20の固定が強固になる。また、バックボードとして機能する部分の強度が高められる。
【0048】
上下方向における角筒部30の上端の位置は、裏板81およびカバー部70の上端よりも下である。右貼付板37の上方において中央被覆部71の右端には、右被覆部72に向けて突き出す右突出部74が延設され、左貼付板38の上方において中央被覆部71の左端には、左被覆部73に向けて突き出す左突出部75が延設されている。これにより、右貼付板37の上方で中央被覆部71と右被覆部72との間に隙間が形成されることが抑えられ、左貼付板38の上方で中央被覆部71と左被覆部73との間に隙間が形成されることが抑えられる。
【0049】
上記構成においては、中央被覆部71と右被覆部72との間から角筒部30の右後板33が右斜め前方に突き出し、中央被覆部71と左被覆部73との間から角筒部30の左後板35が左斜め前方に突き出す。そして、支持面81Sにおいてカバー部70に覆われていない棚板50よりも下の領域は、角筒部30によって隠れて見えない領域であることから、支持面81Sのなかで視認され得る領域の全体にカバー部70が位置する。
【0050】
それゆえ、カバー部70から角筒部30が飛び出ているように見え、角筒部30と、角筒部30のバックボードとして機能する裏板81およびカバー部70との一体感が高められる。したがって、陳列台がバックボードと別体として捉えられる場合と比べて、特徴的な構造により消費者の注目が集まりやすいため、訴求力が高められる。
【0051】
陳列什器10の真正面から見た平面視にて、左右方向における支持面81Sの大きさは、角筒部30が構成する六角筒の背面の左右方向の幅より大きく、さらに、角筒部30の左右方向の幅よりも大きい。したがって、上記平面視では、角筒部30の上および左右にカバー部70がはみ出して見える。それゆえ、カバー部70から角筒部30が飛び出ているように見えやすくなる。
【0052】
また、角筒部30およびカバー部70の表面に統一感のある印刷を施すことで、角筒部30とカバー部70との一体感がより高められるため、これによっても、訴求効果が高く得られる。
【0053】
次に、棚板50および支持部60の構造を説明する。
図7は、陳列什器10の平面構造を示し、
図8は、陳列什器10の底面構造を示す。
図7に示すように、棚板50は、角筒部30の断面に対応する六角形状の外形を有する。棚板50の外形と角筒部30の断面形状とが一致していることにより、棚板50の外周の全体が角筒部30の内側面を支持するため、六角筒の形状が安定しやすい。
【0054】
棚板50の後端は、カバー部70の中央被覆部71の下端と繋がっており、棚板50を中央被覆部71に向けて引き起こすことが可能である。棚板50の前端には、棚板50を引き起こすときに指を引っ掛けることのできる切り欠き51が設けられている。
【0055】
図8に示すように、支持部60は、右前筒状部61、右後筒状部62、左前筒状部63、および、左後筒状部64を備えている。各筒状部61~64は、上下方向に延びる筒状を有し、平行四辺形状の断面を有する。右前筒状部61は、角筒部30における正面板31の裏面右下部および右前板32の裏面下部に沿って配置される。右後筒状部62は、外箱80における裏板81の支持面81Sの右下部および角筒部30における右後板33の裏面下部に沿って配置される。左前筒状部63は、角筒部30における正面板31の裏面左下部および左前板34の裏面下部に沿って配置される。左後筒状部64は、外箱80における裏板81の支持面81Sの左下部および角筒部30における左後板35の裏面下部に沿って配置される。
【0056】
右前筒状部61と左前筒状部63とは、例えば、1枚の帯状の部材にて、中央よりも右側に右前筒状部61が形成され、中央よりも左側に左前筒状部63が形成されるように、部材の端部が折り返されて中央部に貼り付けられるように形成される。そして、中央部における端部が貼り付けられた面と反対側の面が、正面板31の裏面下部に貼り付けられることによって、右前筒状部61および左前筒状部63が角筒部30に固定される。
【0057】
同様に、右後筒状部62と左後筒状部64とは、例えば、1枚の帯状の部材にて、中央よりも右側に右後筒状部62が形成され、中央よりも左側に左後筒状部64が形成されるように、部材の端部が折り返されて中央部に貼り付けられるように形成される。そして、中央部における端部が貼り付けられた面と反対側の面が、支持面81Sの下部に貼り付けられることによって、右後筒状部62および左後筒状部64が裏板81に固定される。
【0058】
なお、各筒状部61~64は、角筒部30および支持面81Sの少なくとも一方に固定されていればよい。
【0059】
図9は、陳列什器10の側面構造とともに、棚板50および支持部60の配置を示している。
図9に示すように、上下方向における棚板50の位置は、窓部40の下端の位置よりも下である。そして、各筒状部61~64の上端は、棚板50の下面に接する。これにより、棚板50が、各筒状部61~64に支持されるため、棚板50の位置が安定する。例えば、重い陳列対象物を棚板50上に置いた場合でも、棚板50が沈むことが抑えられる。また、各筒状部61~64が配置されていることにより、角筒部30の下部の強度を高めることもできる。なお、上下方向において、各筒状部61~64の下端の位置は、角筒部30の下端の位置と一致する。
【0060】
[陳列什器の組立方法]
図10および
図11を参照して、陳列什器10の組立方法を説明する。
図10は、陳列什器10が組み立てられる前の状態であって、畳まれた本体部20を収納した外箱80を示す。
【0061】
図10に示すように、裏板81の前方に各表板82~85が位置して裏板81と各表板82~85とが対向するように、外箱80の蓋として機能する各表板82~85が閉じられており、これにより、箱形状が形成されている。
図10では、上表板82および下表板83が内フラップとして機能し、右表板84および左表板85が外フラップとして機能する形態を示しているが、箱形状が形成されれば表板の配置や構造は特に限定されない。
【0062】
陳列什器10の組み立てに際しては、まず、
図11に示すように、各表板82~85が上下左右に開かれる。これにより、外箱80が開けられる。開かれた各表板82~85は、図中に矢印で示すように、裏板81の後方に折り返される。外箱80にて側面として機能していた部分と天面として機能していた部分とが伸ばされて折り返されることにより、組立後の陳列什器10における外箱80の厚さの削減が可能である。各表板82~85には、折り返し後に表板同士が重ね合わされる部分に、面ファスナー等の固定用部材86が設けられ、固定用部材86同士の接続により、折り返された各表板82~85の位置が固定されてもよい。
【0063】
外箱80の内部においては、角筒部30の右前板32と右後板33との間の境界部、および、左前板34と左後板35との間の境界部の各々が山折りされ、かつ、正面板31と右前板32との間の境界部、および、正面板31と左前板34との間の境界部の各々が伸ばされることによって、角筒部30が扁平な筒状に畳まれている。
【0064】
このとき、棚板50は、中央被覆部71に向けて引き起こされることにより角筒部30の内部に収容されている。また、支持部60は、各筒状部61~64にて、右前板32と右後板33との間の境界部、および、左前板34と左後板35との間の境界部に近い角部とそれに対向する角部が折りたたまれ、他の角部が伸ばされることによって、角筒部30の内部で角筒部30に沿って畳まれている。
【0065】
なお、角筒部30が畳まれた状態において支持面81Sと平行に配置される面が、角筒部30が構成する角筒の側面として機能する面である。すなわち、支持面81Sと平行に配置される面が5つであれば、角筒部30は、支持面81Sから突出した六角筒であると言える。
【0066】
図中に矢印で示すように、角筒部30の正面板31を前方に引き出すことで、角筒部30が引き起こされるとともに、支持部60の各筒状部61~64も引き起こされる。そして、棚板50が前方に向けて倒されることにより、角筒部30の内部を横断するように棚板50が配置される。これにより、陳列什器10の組み立てが完了する。
【0067】
このように、各表板82~85を折り返して、正面板31を引き出し、棚板50を倒すという簡単な手順で陳列什器10を組み立てることができるため、容易にかつ短時間で陳列什器10の組み立てが可能である。また、棚板50や支持部60といった角筒部30の内部に配置される部材が、角筒部30やカバー部70や裏板81と繋がっており、本体部20のなかで他の部分と完全に分離されている部材は無い。それゆえ、部材の組付け位置を間違えることや部材の紛失も抑えられるため、より容易に陳列什器10の組み立てが可能である。
【0068】
さらに、組立後においては、外箱80が、陳列対象物が配置される角筒部30のバックボードとして機能することから、外箱80の廃棄が不要であるため、廃棄物の発生を抑えることができる。一方で、組立前には、本体部20が平坦に畳まれて外箱80に収納されているため、陳列什器10の輸送が容易であり、輸送に要するスペースが大きくなることも抑えられる。
【0069】
[変形例]
図12および
図13を参照して、陳列什器10の変形例の構成を説明する。
図12に示すように、陳列什器10は、本体部20および外箱80に加えて、背面板90および台座部92を備えていてもよい。
【0070】
背面板90は、板状の部材であって、下端に組付け溝91を有している。組付け溝91は、左右方向において、角筒部30の右後板33と左後板35との間のカバー部70に沿った長さと同程度の幅を有する。
図13に示すように、組付け溝91が、支持面81Sおよびカバー部70に沿って、右後板33および左後板35の上端に掛けられることにより、角筒部30の背後上方に背面板90が組み付けられる。
【0071】
上下方向および左右方向における支持面81Sの大きさが大きいほど、背面板90の位置が安定しやすく、また、背面板90を大きくすることもできる。
背面板90の組み付けによって、角筒部30のバックボードが延設されたような構造が形成され、印刷の可能な領域をさらに広げることができる。また、
図12および
図13では、背面板90が略矩形状である例を示しているが、背面板90の形状はこれに限らず、例えば陳列対象物を模した形状のように、任意の形状とすることができる。したがって、背面板90の形状により消費者の注意をひいて、訴求効果を高めることもできる。
【0072】
台座部92は、座板93と、取付部94とを備えている。座板93は、水平方向に広がる板状の部材であって、角筒部30の筒端の六角形よりも大きい外形を有する。例えば、座板93は、角筒部30の筒端の六角形と相似形状の略六角形状を有する。取付部94は、台座部92を角筒部30の下部に固定するための部材である。具体的には、取付部94は、座板93から上方向に延びるフラップ状を有し、角筒部30の筒端の六角形を囲む4か所に配置されている。
【0073】
図13に示すように、座板93上に角筒部30が配置され、4つの取付部94が、右前板32、右後板33、左前板34、左後板35の各々の表面下部に1つずつ貼り付けられる。これにより、4つの取付部94が、角筒部30の下部を囲んで角筒部30に固定される。その結果、角筒部30と台座部92とが固定され、角筒部30の下端が台座部92に支持される。
【0074】
台座部92が組み付けられることによって、角筒部30の位置が安定し、陳列什器10が動いたり倒れたりすることが抑えられる。また、陳列什器10の意匠性も高められる。
背面板90および台座部92の各々を外箱80の裏板81よりも小さい形状とすれば、陳列什器10の組立前には、背面板90、および、取付部94を座板93に沿って倒した状態の台座部92を、本体部20に重ねて外箱80内に収納することができる。したがって、背面板90および台座部92を備える場合でも、組立前の陳列什器10の管理や運搬が容易である。
【0075】
なお、台座部92を角筒部30の下部に固定可能であれば、取付部94の数や形状や配置は上記と異なっていてもよい。また、陳列什器10は、背面板90および台座部92の一方のみを備えていてもよい。また、台座部92を、角筒部30の上に載せることで、陳列対象物の陳列台として用いてもよい。この場合、棚板50上と台座部92上とに陳列対象物を配置することが可能であり、陳列什器10を二段の陳列棚とすることができる。
【0076】
以上、本実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)角筒部30が六角筒を構成するため、角筒部30が四角筒である場合と比較して、陳列什器10の周囲にて、角筒部30のいずれかの面と正対し得る範囲が広がる。それゆえ、訴求力が高められる。また、角筒部30が四角筒である場合と比較して、印刷の可能な領域を、角筒部30の周面に広く確保しやすいため、これによっても、訴求力を高めることができる。
【0077】
(2)各表板82~85を折り返して、角筒部30を引き出し、棚板50を倒すという簡単な手順で陳列什器10を組み立てることができるため、容易にかつ短時間で陳列什器10の組み立てが可能である。また、本体部20のなかで他の部分と完全に分離されている部材がないため、より容易に陳列什器10の組み立てが可能である。
【0078】
(3)陳列什器10の組み立てに際して各表板82~85が折り返されることにより、組立後においては、外箱80が角筒部30のバックボードとして機能する。したがって、外箱80の廃棄が不要であるため、廃棄物の発生を抑えることができる。
【0079】
(4)カバー部70が支持面81Sを覆うとともに、カバー部70の中央被覆部71と右被覆部72との間から角筒部30の右後板33が突き出し、中央被覆部71と左被覆部73との間から角筒部30の左後板35が突き出す。これによって、カバー部70から角筒部30が飛び出ているように見えることから、角筒部30と裏板81およびカバー部70との一体感が高められる。したがって、陳列台がバックボードと別体として捉えられる場合と比べて、訴求力が高められる。
【0080】
(5)右貼付板37および左貼付板38が、角筒部30が構成する六角筒の外側で支持面81Sに貼り付けられている。こうした構成によれば、貼付板37,38の貼り付け、および、カバー部70による被覆が容易である。
【0081】
(6)貼付板37,38が被覆部72,73で覆われることにより、貼付板37,38が支持面81Sから剥がれにくくなり、外箱80に対する本体部20の固定が強固になる。また、バックボードとして機能する部分の強度が高められる。
【0082】
(7)棚板50の後端が、カバー部70の中央被覆部71の下端と繋がっている。これにより、棚板50を前方に倒すことで角筒部30への棚板50の配置が容易に可能である。また、棚板50が他の部材と分離されていないため、陳列什器10の組み立てが容易である。
【0083】
(8)棚板50が、角筒部30の断面形状に対応する六角形状の外形を有する。これにより、棚板50の外周の全体が角筒部30の内側面を支持するため、六角筒の形状が安定しやすい。
【0084】
(9)角筒部30の内側に、棚板50を支持する支持部60が配置されているため、陳列対象物を棚板50上に置いた場合でも、棚板50の位置が安定する。
(10)支持部60は、折り畳み可能であって支持面81Sおよび角筒部30の内側面の少なくとも一方に固定された筒状部61~64を備えている。こうした構成によれば、支持部60が他の部材と分離されておらず、角筒部30の引き起こしによって各筒状部61~64も引き起こされるため、陳列什器10の組み立てが容易である。
【0085】
(11)左右方向において、支持面81Sの大きさが、角筒部30が構成する六角筒の背面よりも大きいため、角筒部30がカバー部70から飛び出すように見えやすく、また、印刷の可能な領域を広く確保しやすい。したがって、訴求力が高められる。また、背面板90を備える場合には、背面板90の位置も安定しやすい。
【0086】
(12)角筒部30が、六角筒の正面を含む面に開口した窓部40を有し、窓部40の下端の位置よりも下の位置に、棚板50が配置される。これにより、棚板50上に配置された陳列対象物の状態を、角筒部30の外側から確認できる。また、窓部40が額縁のように機能することで、窓部40から見える陳列対象物が引き立てられる。
【0087】
(13)窓部40が、透明な窓板41によって塞がれているため、陳列対象物の保護が可能であり、また、多数の陳列対象物を角筒部30内に詰める場合であっても、陳列対象物が窓部40から外側に出ることが避けられる。
【0088】
(14)陳列什器10が背面板90を備える場合には、バックボードが拡張されて、印刷の可能な領域をさらに広げることができるため、訴求力の向上が可能である。また、背面板90の形状によって意匠性を高めることもできる。
【0089】
(15)陳列什器10が台座部92を備える場合には、水平面に対する陳列什器10の配置の安定性を高めることができる。また、陳列什器10の見栄えも良くなる。
(16)本体部20の少なくとも一部が紙製であることにより、環境負荷の軽減が可能であるとともに、陳列什器10の重さや材料費の削減が可能である。
【0090】
[他の変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、以下の変形例は互いに組み合わせて実施してもよい。
【0091】
陳列什器10が、外箱80の裏板81の前方に引き出されることによって六角筒を構成する角筒部30を備えていれば、陳列什器10の他の構造は上記実施形態とは異なっていてもよい。
【0092】
例えば、窓部40の形状は、略矩形状とは異なっていてもよいし、窓部40は、六角筒の正面のみに開口していてもよい。また、窓板41は設けられていなくてもよい。窓板41が設けられていない場合には、窓部40から陳列対象物の出し入れが可能である。さらには、角筒部30は、窓部40を有していなくてもよい。
【0093】
また、棚板50は、中央被覆部71と繋がっていなくてもよく、例えば、角筒部30と繋がっていて後方に向けて倒されることにより角筒部30内を横断するように配置されてもよいし、棚板50は他の部材とは分離されていてもよい。また、棚板50の外形は、角筒部30の断面形状と一致しなくてもよい。
【0094】
また、支持部60における筒状部61~64の数は4つでなくてもよいし、筒状部61~64は角筒部30あるいは支持面81Sに固定されておらず、他の部材とは分離されていてもよい。さらに、例えば陳列対象物が軽い物品である場合等には、支持部60が設けられていなくてもよい。
【0095】
また、貼付板37,38は、六角筒の内側で支持面81Sに貼り付けられてもよい。すなわち、右貼付板37と右後板33との間の境界部、および、左貼付板38と左後板35との間の境界部の各々は、山折りされていてもよい。また、六角筒の外側において貼付板37,38が支持面81Sの端部まで延びていてもよい。この場合、被覆部72,73は設けられなくてよく、貼付板37,38が支持面81Sを覆う機能を有する。
【0096】
また、角筒部30は六角筒の背面を構成する板状部材を備え、当該板状部材が支持面81Sに貼り付けられていてもよい。すなわち、角筒部30は貼付板37,38を有さなくてもよい。
【0097】
また、外箱80の裏板81および支持面81Sは矩形状でなくてもよい。また、陳列什器10の組立前において裏板81の前方で外箱80の蓋として機能すれば、表板82~85の配置および形状は、上記実施形態とは異なっていてもよい。例えば、外箱80は、上表板82および下表板83を備えず、右表板84および左表板85のみを備えていてもよい。
【0098】
なお、中央被覆部71と右被覆部72との間から角筒部30の右後板33が突き出し、中央被覆部71と左被覆部73との間から角筒部30の左後板35が突き出す構造は、上記(4)の効果が得られることから、単独で訴求力の向上という課題を解決可能である。すなわち、当該構造が採用される場合には、角筒部30は、四角筒のように六角筒とは異なる角筒を構成してもよい。
【符号の説明】
【0099】
10…陳列什器
20…本体部
30…角筒部
31…正面板
32…右前板
33…右後板
34…左前板
35…左後板
37…右貼付板
38…左貼付板
40…窓部
41…窓板
50…棚板
60…支持部
61,62,63,64…筒状部
70…カバー部
71…中央被覆部
72…右被覆部
73…左被覆部
80…外箱
81…裏板
82,83,84,85…表板
90…背面板
92…台座部