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特開2024-103274情報処理装置、照明装置、情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103274
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、照明装置、情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240725BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007524
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 諒
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 靖弘
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096BA02
5L096BA18
5L096CA02
5L096DA02
5L096GA08
5L096GA51
5L096HA08
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】教示データの準備を支援すること。
【解決手段】実施形態に係る情報処理装置は、検出部と、取得部と、推定部とを具備する。検出部は、画像から検知対象となる対象物を検出する。取得部は、画像の撮像範囲の光環境に関する環境情報を取得する。推定部は、検出部によって検出された対象物の検出結果と、取得部によって取得された環境情報との関係性に基づいて、画像を対象物の検出に用いる学習データとしての有用度を推定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像から検知対象となる対象物を検出する検出部と;
前記画像の撮像範囲の光環境に関する環境情報を取得する取得部と;
前記検出部によって検出された前記対象物の検出結果と、前記取得部によって取得された前記環境情報との関係性に基づいて、前記画像を対象物の検出に用いる学習データとしての有用度を推定する推定部と;
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、
前記画像の解析結果から得られる前記光環境に関する環境情報を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、
前記撮像範囲を予め撮影した基準画像の光環境と前記画像の光環境の差分を前記環境情報として取得し、
前記推定部は、
前記基準画像の光環境と前記画像の光環境の差分に基づいて、前記画像を対象物の検出に用いる学習データとしての有用度を推定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、
前記撮像範囲の光環境を計測するセンサの検出結果を前記環境情報として取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、
照明の調光状態を前記環境情報として取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一つに記載の情報処理装置と;
前記画像の前記撮像範囲を照らす照明部と;
を具備する、照明装置。
【請求項7】
画像から検知対象となる対象物を検出し、
前記画像の撮像範囲の光環境に関する環境情報を取得し、
検出した前記対象物の検出結果と、取得した前記環境情報との関係性に基づいて、前記画像を対象物の検出に用いる学習データとしての有用度を推定する、
情報処理システム。
【請求項8】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
画像から検知対象となる対象物を検出する検出工程と;
前記画像の撮像範囲の光環境に関する環境情報を取得する取得工程と;
前記検出工程によって検出された前記対象物の検出結果と、前記取得工程によって取得された前記環境情報との関係性に基づいて、前記画像を対象物の検出に用いる学習データとしての有用度を推定する推定工程と;
を含む情報処理方法。
【請求項9】
画像から検知対象となる対象物を検出する検出手順と;
前記画像の撮像範囲の光環境に関する環境情報を取得する取得手順と;
前記検出手順によって検出された前記対象物の検出結果と、前記取得手順によって取得された前記環境情報との関係性に基づいて、前記画像を対象物の検出に用いる学習データとしての有用度を推定する推定手順と;
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、照明装置、情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周囲を撮像可能なカメラを備えるいわゆるカメラ付き照明装置が知られている。かかる照明装置は、カメラで撮影した画像から検出対象の教示データを学習したAI(Artificial Intelligence)を用いて検出対象を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-169455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、教示データの準備を効率よく支援するうえで改善の余地があった。教示データとして準備する画像は、光環境によって検出対象の映り方が変化するため、同じ画角で検出対象を撮影した画像であっても、教示データとして利用可能な画像と、教示データとして利用できない画像とが混在し、これらを目視で確認する必要があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、教示データの準備を支援することができる情報処理装置、照明装置、情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、検出部と、取得部と、推定部とを具備する。検出部は、画像から検知対象となる対象物を検出する。取得部は、前記画像の撮像範囲の光環境に関する環境情報を取得する。推定部は、前記検出部によって検出された前記対象物の検出結果と、前記取得部によって取得された前記環境情報との関係性に基づいて、前記画像が対象物を検知に用いる学習データとしての有用度を推定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、教示データの準備を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、情報処理装置の設置例を示す図である。
図2図2は、情報処理装置が実行する処理の概要を示す図である。
図3図3は、情報処理システムのブロック図である。
図4図4は、情報処理装置のブロック図である。
図5図5は、画像情報記憶部の一例を示す図である。
図6図6は、情報処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、情報処理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図8図8は、環境情報取得システムが実行する処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、情報処理システムのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態に係る情報処理装置10は、画像から検知対象となる対象物を検出する検出部122と、画像の撮像範囲の光環境に関する環境情報を取得する取得部121と、検出部122によって検出された対象物の検出結果と、取得部121によって取得された環境情報との関係性に基づいて、画像を対象物の検出に用いる学習データとしての有用度を推定する推定部123とを具備する。
【0010】
また、以下に説明する実施形態に係る情報処理装置10において、取得部121は、画像の解析結果から得られる光環境に関する環境情報を取得する。
【0011】
また、以下に説明する実施形態に係る情報処理装置10において、取得部121は、撮像範囲を予め撮影した基準画像の光環境と画像の光環境の差分を環境情報として取得し、推定部123は、基準画像の光環境と画像の光環境の差分に基づいて、画像を対象物の検出に用いる学習データとしての有用度を推定する。
【0012】
また、以下に説明する実施形態に係る情報処理装置10において、取得部121は、撮像範囲の光環境を計測するセンサの検出結果を環境情報としてを取得する。
【0013】
また、以下に説明する実施形態に係る情報処理装置10において、取得部121は、照明の調光状態を環境情報として取得する。
【0014】
また、以下に説明する実施形態に係る照明装置50は、情報処理装置10と、画像の撮像範囲を照らす照明部51とを具備する。
【0015】
また、以下に説明する実施形態に係る情報処理システム1は、画像から検知対象となる対象物を検出し、画像の撮像範囲の光環境に関する環境情報を取得し、検出した対象物の検出結果と、取得した環境情報との関係性に基づいて、画像が対象物を検知に用いる学習データとしての有用度を推定する。
【0016】
また、以下に説明する実施形態に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する情報処理方法であって、画像から検知対象となる対象物を検出する検出工程と、画像の撮像範囲の光環境に関する環境情報を取得する取得工程と、検出工程によって検出された対象物の検出結果と、取得工程によって取得された環境情報との関係性に基づいて、画像が対象物を検知に用いる学習データとしての有用度を推定する推定工程と、を含む。
【0017】
また、以下に説明する実施形態に係る情報処理プログラムは、画像から検知対象となる対象物を検出する検出手順と、画像の撮像範囲の光環境に関する環境情報を取得する取得手順と、検出手順によって検出された対象物の検出結果と、取得部によって取得された環境情報との関係性に基づいて、画像が対象物を検知に用いる学習データとしての有用度を推定する推定手順と、をコンピュータに実行させる。
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づき説明する。なお、以下に示す各実施形態は、本発明が開示する技術を限定するものではない。また、各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
(実施形態)
まず、図1および図2を用いて、実施形態に係る情報処理装置の概要について説明する。図1は、情報処理装置の設置例を示す図である。図2は、情報処理装置が実行する処理の概要を示す図である。
【0020】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理装置10は、例えば、オフィス等のフロアfに設定される照明装置50の内部に設けられる。照明装置50は、照明部51およびカメラ52を有するカメラ付き照明装置である。照明部51は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や、蛍光灯などの所定の光源を有する。なお、照明部51は、非常灯や殺菌灯であってもよい。また、カメラ52は、所定の撮像素子を有し、例えば、フロアfの天井から床面を撮影する。
【0021】
情報処理装置10は、カメラ52によって撮影された画像から対象物である人物Tを検出する画像処理装置である。後述するように、情報処理装置10は、人物が写る教示データを用いて各種機械学習を行った人物検出AI(Artificial Intelligence)を用いてカメラ52で撮影した画像から人物Tを検出する。
【0022】
具体的には、情報処理装置10は、人物検出AIによって算出される人物Tに関する検出スコアと閾値とを比較し、検出スコアが閾値を上回る場合に、画像に写る対象物を人物Tとして検出する。
【0023】
ところで、このような人物検出AIの学習を行ううえで、膨大な教示データを予め準備する必要がある。教示データの準備に際し、同一の画角であっても、光環境によって異なる画像が得られため、光環境の違いによって、教示データとして有効な画像と、教示データとして不適な画像とが混在するおそれがある。
【0024】
このように、光環境を含む外的因子によって教示データとしての有用度が変化するものの、事前にどのような教示データが必要かの判断が難しく、従来では、実際の運用を通じて人物検出AIによって算出される検出スコアが低かった画像を目視で確認する必要があった。
【0025】
そこで、実施形態に係る情報処理装置10は、画像、環境情報、検出スコアを対応付けて記録し、記録した情報を基に各画像の学習データとしての有用度を推定することとした。
【0026】
具体的には、図2に示すように、まず、情報処理装置10は、人物検出AIを用いて、カメラ52によって撮影された画像の検出スコアを算出する(ステップS1)。情報処理装置10は、教示データと取得した画像に写る対象物とを人物検出AIによって比較することで検出スコアを算出する。ここで、検出スコアは、教示データと画像に写る対象物との類似度を示し、検出スコアが高いほど、教示データと画像に写る対象物が類似することを示す。
【0027】
つづいて、情報処理装置10は、画像が撮影された撮影範囲の光環境に関する環境情報を取得する(ステップS2)。環境情報は、撮影範囲の照度、色温度等に関する情報を含む。また、環境情報には、照明部51の調光状態や、外光の状態等を含む。なお、情報処理装置10は、画像を解析することで環境情報を取得するようにしてもよく、後述する環境情報取得システム700から環境情報を取得するようにしてもよい。
【0028】
つづいて、情報処理装置10は、画像情報記憶部に検出スコアおよび環境情報を対応付けて記憶する(ステップS3)。例えば、図2に示すように、画像情報記憶部は、「識別ID」、「画像データ」、「検出スコア」、「環境情報」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0029】
「識別ID」は、検出スコアの算出対象となった画像および検出領域を識別するための識別子であり、「画像データ」は、対応する識別IDによって識別される画像および検出領域の画像データである。
【0030】
「検出スコア」は、対応する識別IDによって識別される画像および検出領域における検出スコアであり、「環境情報」は、対応する識別IDによって識別される画像および検出領域における環境情報であり、環境情報は、照度、色温度等の定量的なパラメータを含む。
【0031】
つづいて、情報処理装置10は、画像情報記憶部に記憶したデータのうち、検出スコアと環境情報との関係性に基づいて、画像を対象物の検出に用いる学習データとしての有用度を推定する(ステップS4)。
【0032】
情報処理装置10は、所定のルールに沿って有用度を推定し、例えば、明るい画像について有用度が高くし、暗い画像について有用度が低くするなどといったルールに沿って各画像の学習データとしての有用度を推定する。
【0033】
また、情報処理装置10は、基準画像における環境情報との比較結果に応じて各画像の学習データとしての有用度を推定するようにしてもよい。ここでの基準画像とは、カメラ52の撮像範囲となる現場において予め撮影された画像であり、例えば、人物検出に適した光環境下で撮影された画像である。そして、情報処理装置10は、基準画像の光環境に対して画像の光環境が近いほど、当該画像の学習データの有用度が高いと推定する。
【0034】
このように、実施形態に係る情報処理装置10は、画像に対しする検出スコアと画像の撮影範囲に関する環境情報との関係性に応じて、画像の学習データとしての有用度を推定する。したがって、実施形態に係る情報処理装置10によれば、学習データとしての有用度を可視化することができるので、教示データの準備を支援することができる。
【0035】
次に、図3を用いて、実施形態に係る情報処理システムの構成例について説明する。図3は、情報処理システムのブロック図である。実施形態に係る情報処理システム1は、例えば、オフィスビル等に導入される。
【0036】
図3に示すように、情報処理システム1は、複数の照明装置50と、データ集積装置500とを有する。複数の照明装置50は、それぞれフロアf等に設置され、ネットワークNを通じてデータ集積装置500と接続される。
【0037】
データ集積装置500は、各照明装置50によって撮影された画像を集積して管理するサーバ装置である。データ集積装置500は、各照明装置50から送信される画像および当該画像の学習データとしての有用度等に関する情報を集積する。
【0038】
例えば、データ集積装置500は、学習データとしての有用度が閾値を超える画像を学習データとして提供する。これにより、情報処理システム1では、AIの学習時に利用可能な教示データを効率よく準備することができる。
【0039】
また、図3に破線で示すように、情報処理システム1は、管理者端末600や、環境情報取得システム700をさらに備えるようにしてもよい。管理者端末600は、例えば、オフィスビルを管理する管理者の端末装置である。管理者端末600は、例えば、データ集積装置500を介して、各照明装置50のカメラ52によって撮影された画像を取得することができる。これにより、管理者は、管理者端末600を通じて、各照明装置50のカメラ52で撮影された画像等を確認することができる。
【0040】
この際、例えば、照明装置50に内蔵される情報処理装置10は、画像から検出対象である人物Tを検出した場合に、画像において人物Tの検出領域にマークが付与された画像を管理者端末600に送る。これにより、管理者は、管理者端末600に表示された画像を通じて、各フロアfにおける人物Tの存在状況を容易に把握することができる。
【0041】
環境情報取得システム700は、各カメラ52の撮影範囲の照度、色温度等を計測するセンサによって構成され、センサの計測結果を環境情報として取得する。また、環境情報取得システム700は、照明装置50の情報処理装置10へ取得した環境情報をネットワークNを通じて提供する。
【0042】
次に、図4を用いて、実施形態に係る情報処理装置10の構成例について説明する。図4は、情報処理装置10のブロック図である。図4に示すように、情報処理装置10は、通信部110と、制御部120と、記憶部130とを有する。
【0043】
通信部110は、例えば、所定の通信回路またはNIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0044】
記憶部130は、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、HDD、光ディスク等の記憶装置である。図4に示す例において、記憶部130は、画像情報記憶部131、人物検出AI記憶部132を有する。
【0045】
画像情報記憶部131は、カメラ52によって撮影された画像に関する情報を記憶する記憶部である。図5は、画像情報記憶部131の一例を示す図である。図5に示すように、画像情報記憶部131は、「画像ID」、「画像データ」、「座標情報」、「検出スコア」、「環境情報」、「有用度」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0046】
「画像ID」は、各画像を識別するための識別子であり、「画像データ」は、対応する画像IDによって識別される画像のデータ(データ本体)である。「座標情報」は、検出スコアの算出対象となった画像内の座標(領域)を示し、「検出スコア」は、対応する座標情報が示す座標の検出スコアを示す。
【0047】
「環境情報」は、対応する座標情報が示す座標の環境情報を示し、「有用度」は、対応する座標情報が示す座標の画像に関する学習データとしての有用度を示す。
【0048】
図4の説明に戻り、人物検出AI記憶部132について説明する。人物検出AI記憶部132は、人物検出AIを記憶する。人物検出AIは、検出対象が写る画像を教示データとして学習したAIである。
【0049】
つづいて、制御部120について説明する。制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。
【0050】
制御部120は、取得部121と、検出部122と、推定部123と、出力部124とを有する。制御部120の各機能は、例えば、制御部120のCPUが制御部120のRAM、ROM、または記憶部130に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0051】
なお、取得部121、検出部122、推定部123および出力部124は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0052】
取得部121は、画像と、画像の撮像範囲の光環境に関する環境情報を取得する。取得部121は、カメラ52(図1参照)によって撮影された画像を取得する。また、取得部121は、取得した画像を解析することで、環境情報を取得する。
【0053】
例えば、取得部121は、各撮影範囲における各画素の照度、色温度等を環境情報として取得する。なお、取得部121は、照明部51等の現在の調光状態に関する情報を環境情報として取得するようにしてもよい。
【0054】
また、取得部121は、後述する基準画像の光環境の差分を環境情報として取得するようにしてもよい。また、取得部121は、図3に示した環境情報取得システム700からこれら環境情報を取得するようにしてもよい。
【0055】
検出部122は、画像から検出対象となる対象物を検出する。検出部122は、人物検出AI記憶部132に記憶された人物検出AIを用いて画像から検出対象物である人物を検出する。
【0056】
検出部122は、画像の各領域それぞれについて人物検出AIを用いて検出スコアを算出し、算出スコアが閾値を超える領域を人物が存在する領域として検出する。また、検出部122は、算出した各領域の検出スコアを取得部121が取得した環境情報とともに画像情報記憶部131に記憶する。
【0057】
なお、後述するように、検出部122は、検出スコアの算出に先立ち、前回の画像と今回の画像との差分を算出し、算出した差分が閾値を超える場合に、検出スコアを算出する。つまり、今回の画像と前回の画像とに差分がない場合には、検出スコアの算出を省略する。これにより、検出スコアの算出処理を省略する分だけ、省エネに寄与することができる。
【0058】
推定部123は、検出部122によって検出された対象物の検出結果と、取得部121によって取得された環境情報との関係性に基づいて、画像を対象物の検出に用いる学習データとしての有用度を推定する。
【0059】
推定部123は、画像情報記憶部131に記憶された各画像情報を比較することで、相対的な各画像の有用度を推定する。例えば、推定部123は、有用度に関するルールに基づいて各画像の学習データとしての有用度を推定する。
【0060】
例えば、推定部123は、画像同士を比較して明るい画像を相対的に有用であると推定する。また、推定部123は、基準画像と各画像を比較し、基準画像の環境情報に近いほど、相対的に有用であると推定する。
【0061】
また、推定部123は、検出スコアと環境情報との関連性を解析したうえで、当該関連性に応じて、各画像に対して有用度を推定するようにしてもよい。この場合、推定部123は、検出スコアと環境情報に含まれる各パラメータとを用いた統計処理によって、高い検出スコアが算出されやすい環境等を特定する。
【0062】
そのうえで、推定部123は、特定した環境に近いほど有用であると推定する。つまり、この場合、推定部123は、人物検出に適した環境下で撮影された画像であるほど、有用度が高いと推定する。
【0063】
出力部124は、通信部110を介して、画像に関する画像情報をデータ集積装置500に対して出力する。画像情報は、画像、座標情報、検出スコア、環境情報および有用度を含む。
【0064】
また、出力部124は、検出部122の検出結果に応じた出力データを、通信部110を介して、管理者端末600へ出力する。例えば、出力データは、検出スコアと、第1閾値、第2閾値との比較結果に応じて生成される。
【0065】
具体的には、検出スコアが第1閾値以上、第2閾値以下である場合、対象領域を青色の矩形で囲うとともに検出スコアが描画された出力データが生成される。また、検出スコアが第2閾値を超える場合、対象領域を赤色の矩形で囲うとともに検出スコアが描画された出力データが生成される。
【0066】
これにより、管理者端末600を閲覧する管理者は、矩形の色の違いによって、画像から対象物である人物を容易に認識することができる。
【0067】
次に、図6および図7を用いて、実施形態に係る情報処理装置10が実行する処理手順について説明する。図6および図7は、情報処理装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0068】
まず、図6を用いて、人物検出処理に関する処理手順について説明する。図6に示すように、まず、情報処理装置10は、カメラ52から画像を取得し(ステップS101)、取得した画像と前回の画像とに差分があるか否かを判定する(ステップS102)。情報処理装置10は、差分があると判定した場合(ステップS102:Yes)、人物検出AIを用いて検出スコアを算出する(ステップS103)。
【0069】
つづいて、情報処理装置10は、検出スコアが第1閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS104)。検出スコアが第1閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS104:Yes)、情報処理装置10は、検出スコアが第2閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS105)。
【0070】
情報処理装置10は、検出スコアが第2閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS105;Yes)、画像の対象領域に赤色で検出スコアと矩形を描画し(ステップS106)、処理を終了する。
【0071】
また、情報処理装置10は、ステップS105の判定において、検出スコアが第2閾値以下であると判定した場合(ステップS105;No)、画像の対象領域に青色で検出スコアと矩形を描画し(ステップS107)、処理を終了する。
【0072】
また、情報処理装置10は、ステップS102の判定において、差分なしと判定した場合(ステップS102;No)、あるいは、ステップS104の判定において、検出スコアが第1閾値以下と判定した場合(ステップS104;No)、以降の処理を省略して処理を終了する。
【0073】
次に、図7を用いて有用度の推定処理について説明する。図7に示すように、情報処理装置10は、カメラ52から画像を取得すると(ステップS111)、検出スコアを算出する(ステップS112)。
【0074】
つづいて、情報処理装置10は、環境情報を取得し(ステップS113)、検出スコアおよび環境情報を保存する(ステップS114)。その後、情報処理装置10は、各画像の検出スコアおよび環境情報の関係性に基づいて各画像の学習データとしての有用度を推定する(ステップS115)。つづいて、情報処理装置10は、データ集積装置500に対し、推定した有用度等を含む画像情報を出力し(ステップS116)、処理を終了する。
【0075】
次に、図8を用いて、環境情報取得システム700による処理手順について説明する。図8環境情報に関する処理について説明する。図7に示すように、まず、環境情報取得システム700は、画像を取得する(ステップS201)。
【0076】
つづいて、環境情報取得システム700は、画像から照度、色温度を含む環境情報を取得する(ステップS202)。つづいて、環境情報取得システム700は、情報処理装置10による環境情報の出力要求があったか否かを判定し(ステップS203)、出力要求があったと判定した場合(ステップS203;Yes)、情報処理装置10へ環境情報を出力し(ステップS204)、処理を終了する。
【0077】
また、環境情報取得システム700は、ステップS203の判定処理において、環境情報の出力要求がなかったと判定した場合(ステップS203;No)、処理を終了する。
【0078】
ところで、上述した実施形態では、上述した実施形態では、カメラ付き照明装置である照明装置50の内部に情報処理装置10が配置される場合について説明したが、情報処理装置10は、照明装置50の外部に配置されるようにしてもよい。例えば、この場合、1つの情報処理装置10に対して複数の照明装置50が有線あるいは無線で接続されるようにしてもよく、情報処理装置10は各照明装置50とネットワーク接続されたデータ集積装置500であってもよい。
【0079】
そこで、データ集積装置500が情報処理装置10の機能の一部を担う場合の処理について図9を用いて説明する。図9は、情報処理システム1のタイミングチャートである。なお、図9では、カメラ52、記憶装置、人物検出AI、環境情報取得システム700およびデータ集積装置500に関するそれぞれの処理タイミングについて説明する。ここでの記憶装置は、カメラ52に内蔵された記憶媒体、あるいは、カメラ52に別途接続された記憶媒体を示す。また、人物検出AIに関する処理は、検出部122による処理へ、環境情報取得システム700による処理は、取得部121による処理へとそれぞれ置き換えるようにしてもよい。
【0080】
図9に示すように、カメラ52で映像を取得すると(ステップS11)、カメラ52から記憶装置へ映像が送信される(ステップS12)。つづいて、記憶装置は、人物検出AIおよび環境情報取得システム700に対して映像を構成する各画像(静止画)を送信する(ステップS13)。
【0081】
人物検出AIは、記憶部130から受け取った今回の画像と前回の画像とを比較し双方の画像の差分を検知する(ステップS14)。人物検出AIは、差分を検知した場合、ステップS15以降の処理に進み、差分が検知されなかった場合、今回の画像に関する処理を終了する。
【0082】
つづいて、人物検出AIは、差分が検知された画像に対して検出スコアを算出し(ステップS15)、検出スコアが閾値以上であれば検出スコアをデータ集積装置500に対して出力する(ステップS16)。
【0083】
一方、環境情報取得システム700では、人物検出AIによるステップS14~ステップS16までの処理と並行して、環境情報の評価、および、評価結果に応じて現在の環境情報を更新し(ステップS17)、更新後の環境情報をデータ集積装置500へ出力する(ステップS18)。
【0084】
データ集積装置500では、ステップS13にて受け取った画像、ステップS16、ステップS18にて受け取った検出スコアおよび環境情報に対して同一の識別番号を付与する(ステップS19)。
【0085】
そして、データ集積装置500では、各画像の検出スコアおよび環境情報の関係性に基づいて、各画像の学習データとしての有用度を推定する(ステップS20)。
【0086】
上述した実施形態では、画像から検出対象である人物を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、検出対象は、人物以外の任意の対象であってもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、照明装置50がカメラ付き照明装置である場合について説明したが、照明装置はカメラ付き照明装置に限定されるものではなく、照明装置とカメラとは別々であってもよい。
【0088】
すなわち、この場合、照明部51および情報処理装置10を含む照明装置50に対して、監視カメラや防犯カメラ等の照明装置50とは独立したカメラが接続されるようにしてもよい。
【0089】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
50 照明装置
51 照明部
52 カメラ
120 制御部
121 取得部
122 検出部
123 推定部
124 出力部
131 画像情報記憶部
132 人物検出AI記憶部
500 データ集積装置
600 管理者端末
700 環境情報取得システム
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9