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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103275
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007525
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】喜多 昂大
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033BA11
2H033BA12
2H033BB02
2H033BB03
2H033BB04
2H033BB06
2H033BB12
2H033BB13
2H033BB15
2H033BB18
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB35
2H033BB37
2H033BE00
2H033BE03
(57)【要約】
【課題】定着ベルトと摺動シートとを回転軸線方向における両端部で確実に保持することができる定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】所定の回転方向(R2)に回転可能な無端状の定着ベルト31と、定着ベルト31の内側に設けられる当接部材34と、定着ベルト31と当接部材34との間に介在して定着ベルト31及び当接部材34に対して摺動可能な無端状の摺動シート35と、を備えた定着装置12は、定着装置本体(FL)に固定された一対の保持部材411,412(41)を備え、一対の保持部材411,412(41)は、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける両端部311,311をそれぞれ保持し、かつ、摺動シート35の回転軸線方向Wにおける両端部351,351をそれぞれ保持する。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転方向に回転可能な無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内側に設けられる当接部材と、前記定着ベルトと前記当接部材との間に介在して前記定着ベルト及び前記当接部材に対して摺動可能な無端状の摺動シートと、を備えた定着装置であって、
定着装置本体に固定された一対の保持部材を備え、
前記一対の保持部材は、前記定着ベルトの回転軸線方向における両端部をそれぞれ保持し、かつ、前記摺動シートの前記回転軸線方向における両端部をそれぞれ保持する、ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記定着ベルトの内周面と前記摺動シートの外周面とは、前記当接部材の部分では接触している一方、前記当接部材以外の部分では離間している、ことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記一対の保持部材は、前記定着ベルトの周方向に延びる保持部を有し、
前記保持部の前記回転軸線方向における内側の端面には、深さ方向が前記回転軸線方向に沿っていて前記周方向において全体に亘って延びる凹状のスリット部が設けられており、
前記保持部は、外周面で前記定着ベルトの前記両端部の内周面を保持し、前記スリット部内で前記摺動シートの前記両端部を保持する、ことを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項3に記載の定着装置であって、
前記スリット部は、前記摺動シートの内周面側の内側ガイド部及び前記摺動シートの外周面側の外側ガイド部により形成されており、前記外側ガイド部の前記回転方向における下流側の所定の端部領域の厚みが前記回転方向における下流側に向かうに従って次第に薄くなっている、ことを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項3に記載の定着装置であって、
前記スリット部は、前記摺動シートの内周面側の内側ガイド部及び前記摺動シートの外周面側の外側ガイド部により形成されており、前記回転方向における下流側の所定の端部領域において前記外側ガイド部の前記周方向における長さが前記内側ガイド部の前記周方向における長さよりも短い、ことを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記一対の保持部材は、前記定着ベルトの周方向に延びる保持部を有し、
前記保持部には、前記回転軸線方向における外側の第1段部と、前記第1段部よりも前記回転軸線方向における内側にあって前記定着ベルトの径方向において前記第1段部よりも低い第2段部と、で構成された段差部が設けられており、
前記保持部は、前記第1段部の外周面で前記定着ベルトの前記両端部の内周面を保持し、前記第2段部の外周面で前記摺動シートの前記両端部の内周面を保持する、ことを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記一対の保持部材は、前記定着ベルトの周方向に延びる保持部を有し、
前記保持部の前記摺動シートの前記両端部を保持する面には、前記周方向において全体に亘って延びる凹凸形状に形成された凹凸部が設けられている、ことを特徴とする定着装置。
【請求項8】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記一対の保持部材は、前記定着ベルトの周方向に延びる保持部を有し、
前記保持部の前記摺動シートの前記両端部を保持する面には、深さ方向が前記定着ベルトの径方向に沿っていて前記周方向において全体に亘って延びる溝部が設けられており、
前記摺動シートの前記両端部は、前記径方向における前記溝側に屈曲する屈曲部を有し、
前記屈曲部は、前記溝部に挿通されている、ことを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記一対の保持部材は、前記定着ベルトの周方向に延びる保持部を有し、前記保持部の前記回転軸線方向における外側に連接されて前記定着ベルトの径方向における外方に突出したフランジ部を有している、ことを特徴とする定着装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか1項に記載の定着装置を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、定着装置及び複写機、複合機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の定着装置として、所定の回転方向に回転可能な無端状の定着ベルトと、定着ベルトの内側に設けられる当接部材(押圧部材)と、定着ベルトと当接部材との間に介在して定着ベルト及び当接部材に対して摺動可能な無端状の摺動シート(摺動部材)と、を備えたものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
具体的には、特許文献1の段落[0057]には、無端状の摺動シート(摺動部材)は、無端状の定着ベルト及び当接部材(押圧パッド)に対して摺動可能に設けられる点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-69584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、定着ベルトと摺動シート(摺動部材)とを回転軸線方向における両端部で確実に保持する具体的な構成ついては何も示されていない。
【0006】
そこで、本開示は、定着ベルトと摺動シートとを回転軸線方向における両端部で確実に保持することができる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本開示に係る定着装置は、所定の回転方向に回転可能な無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内側に設けられる当接部材と、前記定着ベルトと前記当接部材との間に介在して前記定着ベルト及び前記当接部材に対して摺動可能な無端状の摺動シートと、を備えた定着装置であって、定着装置本体に固定された一対の保持部材を備え、前記一対の保持部材は、前記定着ベルトの回転軸線方向における両端部をそれぞれ保持し、かつ、前記摺動シートの前記回転軸線方向における両端部をそれぞれ保持する、ことを特徴とする。
【0008】
本開示に係る画像形成装置は、前記本開示に係る定着装置を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本開示によると、定着ベルトと摺動シートとを回転軸線方向における両端部で確実に保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
図2図1に示す画像形成装置における定着装置の要部を示す斜視図である。
図3図2に示すA-A線に沿った断面図である。
図4A】定着装置における一対の保持部材のうちの何れか一方の保持部材の一例を正面側から視た斜視図である。
図4B】定着装置における一対の保持部材のうちの何れか他方の保持部材の一例を背面側から視た斜視図である。
図5】定着ベルト、摺動シート、画像形成領域及び一対の保持部材の位置関係を模式的に示す平面図である。
図6A】第1実施形態に係る定着装置における一対の保持部材のうちの何れか一方の保持部材、定着ベルト及び摺動シートを模式的に示す断面図である。
図6B】第1実施形態に係る定着装置における一対の保持部材のうちの何れか他方の保持部材、定着ベルト、摺動シート、当接部材等を模式的に示す断面図である。
図7A】第1実施形態に係る保持部の一例(第1実施形態-1)を模式的に示す断面図である。
図7B】第1実施形態に係る保持部の他の例(第1実施形態-2)を模式的に示す断面図である。
図7C】第1実施形態に係る保持部のさらに他の例(第1実施形態-3)を模式的に示す断面図である。
図8A】第2実施形態に係る定着装置における一対の保持部材のうちの何れか一方の保持部材、定着ベルト及び摺動シートを模式的に示す断面図である。
図8B】第2実施形態に係る定着装置における一対の保持部材のうちの何れか他方の保持部材、定着ベルト、摺動シート、当接部材等を模式的に示す断面図である。
図9A】第3実施形態に係る保持部の一例(第3実施形態-1)を模式的に示す断面図である。
図9B】第3実施形態に係る保持部の他の例(第3実施形態-2)を模式的に示す断面図である。
図10A】第4実施形態に係る保持部の一例(第4実施形態-1)を模式的に示す断面図である。
図10B】第4実施形態に係る保持部の他の例(第4実施形態-2)を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
[画像形成装置]
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置100は、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びプリンター機能を有する複合機であり、画像読取装置102によって読み取られた原稿Gの画像を外部に送信する。また、画像形成装置100は、画像読取装置102にて読み取った原稿Gの画像又は外部から受信した画像をカラー若しくは単色で記録用紙等のシートPに画像を形成する。画像形成装置100は、モノクロ画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置100は、他の形態のカラー画像形成装置であってもよい。
【0014】
画像読取部130の上側には、画像読取部130に対して開閉自在に支持された原稿送り装置160(自動原稿搬送装置)が設けられている。画像読取装置102は、原稿送り装置160にて搬送された原稿Gを読み取る。原稿送り装置160は、原稿Gを載置する原稿載置トレイ161と、排出された原稿Gを積載する原稿排出トレイ162と、を備えている。原稿送り装置160は、原稿載置トレイ161に載置された1枚又は複数枚の原稿Gを画像読取部130における原稿読取部130b上に1枚ずつ順に搬送し、原稿排出トレイ162に排出する。また、画像読取部130には、原稿Gを載置する原稿載置台130aが設けられている。画像読取装置102は、原稿載置台130a上に載置された原稿Gを読み取る。画像形成装置100は、原稿送り装置160が開かれると、画像読取部130の上方の原稿載置台130aが開放され、原稿Gを手置きで置くことができるようになっている。画像読取部130は、走査光学系130cを原稿読取部130bの下方の読取位置に位置させた状態で原稿送り装置160にて搬送される原稿Gを読み取るか又は走査光学系130cを走査して原稿載置台130aに載置された原稿Gを読み取って画像データを生成する。
【0015】
画像形成装置本体101は、光走査装置1、現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、帯電器5、中間転写ベルト装置70、2次転写装置11、定着装置12、シート搬送路S、給紙カセット18、シート排出トレイ141を備えている。
【0016】
画像形成装置100では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、又は、単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。画像形成装置100の画像形成部50には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4及び帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ及びイエローに対
応付けられ、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0017】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置1は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去及び回収する。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。
【0018】
中間転写ベルト装置70は、中間転写ローラ6、無端状の中間転写ベルト71、中間転写駆動ローラ72、中間転写従動ローラ73及びクリーニング装置9を備えている。中間転写ローラ6は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4つずつ中間転写ベルト71の内側に設けられている。中間転写ローラ6は、感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を周回移動方向Cへ周回移動する中間転写ベルト71に転写する。
【0019】
中間転写ベルト71は、中間転写駆動ローラ72及び中間転写従動ローラ73に張架されている。画像形成装置100では、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト71の表面に順次転写して重ね合わせて、中間転写ベルト71の表面にカラーのトナー像を形成する。
【0020】
2次転写装置11は、2次転写ローラ11aと中間転写ベルト71との間に転写ニップ部TNを形成しており、シート搬送路Sを通じて搬送されてきたシートPを転写ニップ部TNに挟み込んで搬送する。シートPは、転写ニップ部TNを通過する際に、中間転写ベルト71の表面のトナー像が2次転写装置11にて転写されて定着装置12に搬送される。クリーニング装置9は、シートPに転写されずに中間転写ベルト71の表面に残った廃トナーを除去及び回収する。
【0021】
定着装置12は、シートPを挟んで回転する定着ベルト31及び加熱ローラ32を備えている。定着装置12は、定着ベルト31及び加熱ローラ32の間にトナー像が転写されたシートPを挟み込んで加熱及び加圧し、トナー像をシートPに定着させる。なお、図1においては図示を省略しているが、定着装置12は、定着ベルト31及び加熱ローラ32以外の構成部材を有している。定着装置12の詳細については、後述する。
【0022】
給紙カセット18は、画像形成に使用するシートPを蓄積しておくためのカセットであり、光走査装置1の下側に設けられている。シートPは、ピックアップローラ16によって給紙カセット18から引き出されて、シート搬送路Sに搬送される。シート搬送路Sに搬送されたシートPは、2次転写装置11や定着装置12を経由し、排出ローラ17に搬送され、排出部140におけるシート排出トレイ141に排出される。シート搬送路Sには、搬送ローラ13、レジストローラ14及び排出ローラ17が配置されている。搬送ローラ13は、シートPの搬送を促す。レジストローラ14は、シートPを一旦停止させて、シートPの先端を揃える。レジストローラ14は、一旦停止したシートPを中間転写ベルト71上のトナー像のタイミングに合わせて搬送する。
【0023】
なお、図1では、給紙カセット18が1つとされているがこれに限定されず、複数の給紙カセット18を設けた構成とし、それぞれに異なる種類のシートPを積載してもよい。
【0024】
また、画像形成装置100は、シートPの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートPを排出ローラ17からシート反転経路Srに逆方向に搬送する。画像形成装置100は、逆方向に搬送されたシートPの表裏を反転し、レジストローラ14に再度導く。また、画像形成装置100は、レジストローラ14に導かれたシートPを表面と同様
にして裏面に画像形成し、シート排出トレイ141に搬出する。
【0025】
[定着装置]
図2は、図1に示す画像形成装置100における定着装置12の要部を示す斜視図である。図3は、図2に示すA-A線に沿った断面図である。
【0026】
定着装置12は、定着ベルト31の内側に設けられた支持部材33、当接部材34(定着パッド)、摺動シート35、熱源36をさらに備えている。
【0027】
定着ベルト31は、無端状(環状)のフレキシブルなベルトである。定着ベルト31は、シートPの搬送方向H(図3参照)に直交する直交方向に沿った回転軸線α(図3参照)回りに回転可能とされている。
【0028】
定着ベルト31としては、所定の厚み(例えば30μm~100μm程度)のニッケル等の金属、又は、ポリイミド(PI)の基体上に所定厚み(例えば100μm~300μm程度)の弾性層(例えばシリコーンゴム層)を形成し、さらにその上に厚み(例えば20μm~30μm程度)の離型層(例えばフッ素樹脂層)を形成したもの、具体的には、シリコーンゴム上層にPFAのチューブを設けたものや、フッ素樹脂を塗布したものを例示できる。この例では、定着ベルト31は、厚み40μmのニッケルからなる基体にシリコーンゴムを設け、さらにシリコーンゴム上層にPFAのチューブを設けたものであり、全体の厚みが300μmのものとされている。定着ベルト31の内径は、この例では、30mmとされている。但し、これらの具体的な寸法に限定されるものではない。
【0029】
当接部材34は、例えば、樹脂により構成されており、定着ベルト31の回転軸線方向Wに延びる長板状に形成され、定着ベルト31との間には摺動シート35が設けられている。当接部材34としては、耐熱性を有する樹脂材料であることが好ましく、例えば、液晶ポリマー(LCP)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)といった耐熱性を有する耐熱性樹脂材料を用いることができる。
【0030】
支持部材33は、定着ベルト31の内周面31aに摺動シート35を押し当てながら当接部材34を支持する。支持部材33の回転軸線方向Wにおける両端部は定着フレーム(図示せず)に固定されている。
【0031】
熱源36は、加熱ローラ32を加熱するための部材であり、この例では、円筒状の加熱ローラ32の内側に設けられている。熱源36は、回転軸線方向Wに延びており、例えば、ハロゲンランプ等のランプヒータとすることができる。加熱ローラ32は、熱源36により、所定の定着温度(例えば160℃~250℃、この例では160℃)に加熱される。加熱ローラ32及び加熱ローラ32からの熱の影響を受け得る定着ベルト31や摺動シート35等は耐熱性を有している。
【0032】
加熱ローラ32は、定着ベルト31を挟んで当接部材34と対向する位置に配置される。加熱ローラ32は、定着ベルト31の回転軸線αに平行な回転軸線を中心に回転し、定着ベルト31と平行に延びている。加熱ローラ32は、当接部材34に向けて定着ベルト31を押圧することで、定着ベルト31との間に定着ニップ部FN(図3参照)を形成する。加熱ローラ32は、例えば、アルミニウム等の金属によって形成される円筒状の芯材の表面をゴム等の弾性材によって覆われたローラ部材で構成することができる。加熱ローラ32の外径は、それには限定されないが、この例では、30mmとされている。
【0033】
加熱ローラ32には、モータ等の駆動源(図示せず)からの駆動力が、ギア等の駆動伝達機構(図示せず)を介して伝達される。加熱ローラ32は、駆動源からの駆動力を受けて回転駆動される。定着ベルト31は、加熱ローラ32の回転駆動に伴い、加熱ローラ32の第1回転方向R1とは逆方向の第2回転方向R2に従動回転する。つまり、加熱ローラ32は、定着ベルト31の外周面31b(図3参照)と当接することにより定着ニップ部FNを形成し、定着ニップ部FN(図3参照)を介して定着ベルト31に駆動力を伝達することにより、定着ベルト31を従動回転させる。
【0034】
図3に示すように、摺動シート35は、無端状(環状)のフレキシブルなベルトである。摺動シート35は、内周面35aが当接部材34の当接面34aに対して摺動可能とされている。また、摺動シート35は、外周面35bが定着ベルト31の内周面31aに対して摺動可能とされている。この例では、摺動シート35は、定着ベルト31の第2回転方向R2への回転に伴って定着ベルト31と共に定着ベルト31と同じ方向(第2回転方向R2)に回転する。
【0035】
摺動シート35は、当接部材34との摩擦力が小さいことが好ましく、フッ素樹脂繊維を含む織物構造を有している。より具体的には、摺動シート35は、フッ素樹脂繊維を編み込んで織物状とされた構成を有している。
【0036】
なお、摺動シート35に用いることができるフッ素樹脂繊維としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)繊維を挙げることができる。また、PTFE以外のフッ素樹脂として、例えば、FEP(4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体)、PFA(4フッ化エチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(エチレン-4フッ化エチレン共重合体)等のフッ素樹脂繊維を用いることができる。摺動シート35の厚みとしては、それには限定されないが、例えば、0.1mm~0.5mm程度を挙げることができる。また、摺動シート35の内径は、定着ベルト31の内径よりも小さい。
【0037】
摺動シート35には、定着ベルト31及び当接部材34との摩擦力を低減するために潤滑剤が含侵されていてもよい。潤滑剤としては、耐熱性があり、潤滑性のある材料であることが好ましく、代表的には、摺動オイルを例示できる。摺動オイルとしては、例えば、シリコーンオイルや、フッ素グリースや、フッ素オイルを挙げることができる。
【0038】
図4A及び図4Bは、それぞれ、定着装置12における一対の保持部材411,412(41)のうちの何れか一方の保持部材411の一例及び何れか他方の保持部材412の一例を正面側及び背面側から視た斜視図である。図5は、定着ベルト31、摺動シート35、画像形成領域β及び一対の保持部材411,412(41)の位置関係を模式的に示す平面図である。
【0039】
図2及び図4Aから図5に示すように、定着装置12は、一対の保持部材411,412(41)と、一対の保持部材411,412(41)の外周面41a(図4A図4B参照)上に回転軸線α(図2参照)回りに回転可能に設けられる定着ベルト31と、を備えている。一対の保持部材411,412(41)は、定着装置本体(この例では本体フレームFL)(図5参照)に固定されている。
【0040】
この例では、一対の保持部材411,412(41)は、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける両端部311,311(図5参照)の内周面31aを保持している。一対の保持部材411,412(41)のうち、何れか一方の保持部材411は定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける一方側W1(前側、操作側)の端部311の内周面31aを保持し、何れか他方の保持部材412は定着ベルト31の内周面31aの回転軸線方向Wにおける他方側W2(後側)の端部311を保持している。
【0041】
何れか一方の保持部材411及び何れか他方の保持部材412は、それぞれ、保持部401,401を有している。保持部401,401は、外周面41aにおいて定着ベルト31の内周面31aを保持する。保持部401,401は、周方向Rの一部を切り欠いた円弧形状の円弧形状部とされている。保持部401,401の形状としては、180度以上の円弧形状、より好ましくは260度以上の円弧形状を例示でき、この例では、260度程度の円弧形状とされている。
【0042】
一対の保持部材411,412(41)の材料としては、耐熱性を有する樹脂材料であることが好ましく、例えば、液晶ポリマー(LCP)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)といった耐熱性を有する耐熱性樹脂材料を用いることができる。
【0043】
具体的には、回転軸線方向Wにおいて、何れか一方の保持部材411のフランジ部402と何れか他方の保持部材412のフランジ部402との間の間隔d1(この例では368mm)は、定着ベルト31の幅d2(この例では364mm)よりも大きい。定着ベルト31の幅d2は、摺動シート35の幅d3(この例では355mm)よりも大きい。摺動シート35の幅d3は、所定の最大搬送サイズ(この例ではA4横サイズ)シートPの幅d4(この例では297mm)よりも大きい。シートPの幅d4は、画像形成領域βの幅d5(この例では292mm)よりも大きい。フランジ部402,402と定着ベルト31との間には、所定の幅d5,d5(この例では2mm)が設けられている。なお、これらの具体的な寸法に限定されるものではない。
【0044】
(本実施の形態について)
図6Aは、第1実施形態に係る定着装置12における一対の保持部材411,412(41)のうちの何れか一方の保持部材411、定着ベルト31及び摺動シート35を模式的に示す断面図である。図6Bは、第1実施形態に係る定着装置12における一対の保持部材411,412(41)のうちの何れか他方の保持部材412、定着ベルト31、摺動シート35、当接部材34等を模式的に示す断面図である。
【0045】
図7A図7B及び図7Cは、それぞれ、第1実施形態に係る保持部401の一例(第1実施形態-1)、他の例(第1実施形態-2)及びさらに他の例(第1実施形態-3)を模式的に示す断面図である。
【0046】
図8Aは、第2実施形態に係る定着装置12における一対の保持部材411,412(41)のうちの何れか一方の保持部材411、定着ベルト31及び摺動シート35を模式的に示す断面図である。図8Bは、第2実施形態に係る定着装置12における一対の保持部材411,412(41)のうちの何れか他方の保持部材412、定着ベルト31、摺動シート35、当接部材34等を模式的に示す断面図である。
【0047】
なお、何れか一方の保持部材411及び何れか他方の保持部材412は実質的に同じ構成であるため、図6A図8Aにおいて、何れか他方の保持部材412は、図示を省略して何れか一方の保持部材411に代表させて示し、図6B図7Aから図7C図8Bにおいて、何れか一方の保持部材411は、図示を省略して何れか他方の保持部材412に代表させて示している。
【0048】
また、図9A及び図9Bは、それぞれ、第3実施形態に係る保持部401の一例(第3実施形態-1)及び他の例(第3実施形態-2)を模式的に示す断面図である。
【0049】
図10A及び図10Bは、それぞれ、第4実施形態に係る保持部401の一例(第4実施形態-1)及び他の例(第4実施形態-2)を模式的に示す断面図である。
【0050】
なお、何れか一方の保持部材411及び何れか他方の保持部材412は実質的に同じ構成であるため、図9Aから図10Bにおいて、何れか一方の保持部材411及び何れか他方の保持部材412は、1つの図で示している。
【0051】
定着装置12は、所定の回転方向(この例では第2回転方向R2)に回転可能な無端状の定着ベルト31と、定着ベルト31の内側に設けられる当接部材34と、定着ベルト31と当接部材34との間に介在して定着ベルト31及び当接部材34に対して摺動可能な無端状の摺動シート35と、を備えている。
【0052】
定着装置12は、定着装置本体(FL)(図3参照)に固定された一対の保持部材411,412(41)をさらに備えている。一対の保持部材411,412(41)は、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける両端部311,311(図5参照)をそれぞれ保持し、かつ、摺動シート35の回転軸線方向Wにおける両端部351,351(図5参照)をそれぞれ保持する。
【0053】
(第1実施形態)
本実施の形態によれば、一対の保持部材411,412(41)が定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける両端部311,311をそれぞれ保持することで、定着ベルト31を回転軸線方向Wにおける両端部311,311を確実に保持することができる。しかも、一対の保持部材411,412(41)が摺動シート35の回転軸線方向Wにおける両端部351,351をそれぞれ保持することで、摺動シート35を回転軸線方向Wにおける両端部351,351を確実に保持することができる。従って、一対の保持部材411,412(41)により定着ベルト31と摺動シート35とを回転軸線方向Wにおける両端部(311,311),(351,351)で確実に保持することができる。すなわち、摺動シート35を保持するための保持部材を別途用いることなく、定着ベルト31を保持するための一対の保持部材411,412(41)を用いて摺動シート35を保持することができる。
【0054】
ところで、定着ベルト31が回転駆動されるにあたり、定着ベルト31の内周面31aと摺動シート35の外周面35bとの接触する部分の面積が多くなる程、定着ベルト31及び摺動シート35の耐久性が悪化する。
【0055】
この点、本実施の形態において、定着ベルト31の内周面31aと摺動シート35の外周面35bとは、当接部材34(図6B参照)の部分では接触している一方、当接部材34以外の部分では離間している。
【0056】
こうすることで、定着ベルト31が回転駆動されるにあたり、定着ベルト31の内周面31aと摺動シート35の外周面35bとを当接部材34以外の部分で離間させることができ、それだけ、定着ベルト31及び摺動シート35の耐久性を向上させることができる。
【0057】
図6Aから図7Cに示すように、本実施の形態において、一対の保持部材411,412(41)は、定着ベルト31の周方向Rに延びる保持部401,401を有している。この例では、保持部401,401は、円弧状に形成されている。保持部401,401の回転軸線方向Wにおける内側の端面401a,401aには、深さ方向V1が回転軸線方向Wに沿っていて周方向Rにおいて全体に亘って延びる凹状のスリット部403,403が設けられている。保持部401,401は、外周面41aで定着ベルト31の両端部311,311の内周面31aを保持し、スリット部403,403内で摺動シート35の両端部351,351を保持する。
【0058】
こうすることで、定着ベルト31の両端部311,311の内周面31aを保持部401,401の外周面41aで安定的に保持することができる。また、摺動シート35の両端部351,351がスリット部403,403に挿通していることで、摺動シート35の両端部351,351をスリット部403,403内で安定的にかつ確実に保持することができる。また、摺動シート35の両端面35c,35cがスリット部403,403の底面403cに対向している。こうすることで、摺動シート35が回転軸線方向Wの一方側又は他方側に移動しても、摺動シート35の両端面35c,35cをスリット部403,403の底面403cに当接させることができる。これにより、摺動シート35の回転軸線方向Wへの移動を規制することができる。
【0059】
詳しくは、スリット部403,403は、内側ガイド部403a及び外側ガイド部403bにより構成されている。内側ガイド部403aは、摺動シート35の内周面35a側に位置し、外側ガイド部403bは、摺動シート35の外周面35b側に位置する。この例では、内側ガイド部403a及び外側ガイド部403bは、定着ベルト31の径方向Tに所定の間隔をおいて周方向Rに延びるように円弧状に形成されている。スリット部403,403は、定着ベルト31の両端部311,311の内周面31aを外側ガイド部403bの外周面41aで保持し、摺動シート35の両端部351,351をスリット部403,403における内側ガイド部403aと外側ガイド部403bとの間で保持する。
【0060】
具体的には、径方向Tにおいて、内側ガイド部403aの厚みe1(この例では2mm)及び外側ガイド部403bの厚みe2(この例では2mm)は、等しい。スリット部403の幅e3(この例では1mm)は、内側ガイド部403aの厚みe1及び外側ガイド部403bの厚みe2よりも小さい。回転軸線方向Wにおいて、フランジ部402の幅e4(この例では10mm)は、保持部401の長さe5(この例では16mm)よりも小さい。スリット部403の深さe6(この例では11mm)は、保持部401の長さe5の半分以上、より好ましくは2/3以上である。なお、これらの具体的な寸法に限定されるものではない。
【0061】
本実施の形態において、一対の保持部材411,412(41)は、保持部401,401の回転軸線方向Wにおける外側に連接されて定着ベルト31の径方向Tにおける外方に突出したフランジ部402,402を有している。この例では、保持部401,401は、フランジ部402,402に連接されて回転軸線方向Wにおける内側に突出している。
【0062】
このように、一対の保持部材411,412(41)がフランジ部402,402を有していることで、定着ベルト31が回転軸線方向Wの一方側W1又は他方側W2に移動しても、定着ベルト31の両端部311,311をフランジ部402,402の内壁402aに当接させることができる。これにより、定着ベルト31の回転軸線方向Wへの移動を規制することができる。
【0063】
図6A及び図6Bに示す第1実施形態に係る一対の保持部材411,412(41)において、スリット部403,403は、内側ガイド部403a及び外側ガイド部403bの回転方向(R2)における下流側の所定の端部領域γ(図6B参照)の厚みが等しくなっている。また、第1実施形態に係る一対の保持部材411,412(41)において、スリット部403,403は、外側ガイド部403b及び内側ガイド部403aの回転方向(R2)における下流側の所定の端部領域γの長さが等しい。
【0064】
ところで、保持部401,401にスリット部403,403が設けられる場合、定着ベルト31は、当接部材34よりも回転方向(R2)における上流側の近傍において、外側ガイド部403bの当接部材34側が当接部材34に近い程、外側ガイド部403bの当接部材34側の端部で外側ガイド部403bに対して急な角度で屈曲した状態(図6Bのδ1参照)で回転駆動されることになる。そうすると、定着ベルト31が損傷し易い。
【0065】
<第1実施形態-1>
この点、本実施の形態において、図7Aに示すように、スリット部403,403は、外側ガイド部403bの回転方向(R2)における下流側の所定の端部領域γの厚みが回転方向(R2)における下流側に向かうに従って次第に薄くなっている。
【0066】
こうすることで、定着ベルト31は、当接部材34よりも回転方向(R2)における上流側の近傍において、外側ガイド部403bの当接部材34側が当接部材34に近い程、外側ガイド部403bの厚みを薄くすることができ、従って、外側ガイド部403bの当接部材34側の端部での定着ベルト31の外側ガイド部403bに対する角度を緩和させることができる(図7Aのδ2参照)。これにより、定着ベルト31の損傷を抑制することができる。
【0067】
<第1実施形態-2>
また、本実施の形態において、図7Bに示すように、スリット部403,403は、回転方向(R2)における下流側の所定の端部領域γにおいて外側ガイド部403bの周方向Rにおける長さが内側ガイド部403aの周方向Rにおける長さよりも短い。
【0068】
こうすることで、定着ベルト31は、当接部材34よりも回転方向(R2)における上流側の近傍において、外側ガイド部403bの当接部材34側を当接部材34から周方向Rに離間させることができ、従って、外側ガイド部403bの当接部材34側の端部での定着ベルト31の外側ガイド部403bに対する角度を緩和させることができる。これにより、定着ベルト31の損傷を抑制することができる。
【0069】
<第1実施形態-3>
また、本実施の形態において、図7Cに示すように、スリット部403,403は、第1実施形態-1と第1実施形態-2とを組み合わせた構成とされている。
【0070】
こうすることで、第1実施形態-1及び第1実施形態-2と同様、外側ガイド部403bの当接部材34側の端部での定着ベルト31の外側ガイド部403bに対する角度を緩和させることができる。これにより、定着ベルト31の損傷を抑制することができる。
【0071】
(第2実施形態)
本実施の形態において、図8A及び図8Bに示すように、保持部401,401には、段差部404,404が設けられている。段差部404,404は、第1段部404aと、第2段部404bと、で構成されている。第1段部404aは、回転軸線方向Wにおける外側に位置する。第2段部404bは、第1段部404aよりも回転軸線方向Wにおける内側に位置し、径方向Tにおける高さh2が第1段部404aの高さh1よりも低い。この例では、第1段部404a及び第2段部404bは、周方向Rに延びるように円弧状に形成されている。保持部401,401は、第1段部404aの外周面41a1(41a)で定着ベルト31の両端部311,311の内周面31aを保持し、第2段部404bの外周面41a2で摺動シート35の両端部351,351の内周面35aを保持する。
【0072】
こうすることで、定着ベルト31の両端部311,311の内周面31aを第1段部404aの外周面41a1(41a)で安定的に保持することができると共に、摺動シート35の両端部351,351の内周面35aを第2段部404bの外周面41a2で安定的に保持することができる。
【0073】
また、摺動シート35の両端面35c,35cが段差部404,404の壁面404cに対向している。こうすることで、摺動シート35が回転軸線方向Wの一方側W1又は他方側W2に移動しても、摺動シート35の両端面35c,35cを段差部404,404の壁面404cに当接させることができる。これにより、摺動シート35の回転軸線方向Wへの移動を規制することができる。
【0074】
詳しくは、第1段部404aは、フランジ部402の回転軸線方向Wにおける内側に連接されている。第2段部404bは、第1段部404aの回転軸線方向Wにおける内側に連接されている。
【0075】
具体的には、回転軸線方向Wにおいて、第1段部404aの幅e7(この例では11mm)は、第2段部404bの幅e8(この例では5mm)よりも大きい。なお、これらの具体的な寸法に限定されるものではない。
【0076】
(第2実施形態-1)
本実施の形態において、図示を省略したが、図7Aに示す外側ガイド部403bの構成と同様に、段差部404,404は、第1段部404aの回転方向(R2)における下流側の所定の端部領域γの厚みが回転方向(R2)における下流側に向かうに従って次第に薄くなっていてもよい。
【0077】
こうすることで、定着ベルト31は、当接部材34よりも回転方向(R2)における上流側の近傍において、第1段部404aの当接部材34側が当接部材34に近い程、第1段部404aの厚みを薄くすることができ、従って、第1段部404aの当接部材34側の端部での定着ベルト31の第1段部404aに対する角度を緩和させることができる。これにより、定着ベルト31の損傷を抑制することができる。
【0078】
<第2実施形態-2>
また、本実施の形態において、図示を省略したが、図7Bに示す外側ガイド部403bの構成と同様に、段差部404,404は、回転方向(R2)における下流側の所定の端部領域γにおいて第1段部404aの周方向Rにおける長さが第2段部404bの周方向Rにおける長さよりも短くなっていてもよい。
【0079】
こうすることで、定着ベルト31は、当接部材34よりも回転方向(R2)における上流側の近傍において、第1段部404aの当接部材34側を当接部材34から離間させることができ、従って、第1段部404aの当接部材34側の端部での定着ベルト31の第1段部404aに対する角度を緩和させることができる。これにより、定着ベルト31の損傷を抑制することができる。
【0080】
<第2実施形態-3>
また、本実施の形態において、図示を省略したが、図7Cに示す外側ガイド部403bの構成と同様に、段差部404,404は、第2実施形態-1と第2実施形態-2とを組み合わせた構成とされていてもよい。
【0081】
こうすることで、第2実施形態-1及び第2実施形態-2と同様、第1段部404aの当接部材34側の端部での定着ベルト31の第1段部404aに対する角度を緩和させることができる。これにより、定着ベルト31の損傷を抑制することができる。
【0082】
(第3実施形態)
ところで、摺動シート35に潤滑剤が含侵されている場合、摺動シート35が回転する際に回転軸線方向Wにおける両端部351,351から潤滑剤が漏れ出し易い。
【0083】
この点、本実施の形態において、図9A及び図9Bに示すように、保持部401,401の摺動シート35の両端部351,351を保持する面には、周方向Rにおいて全体に亘って延びる凹凸形状に形成された凹凸部405,405が設けられている。
【0084】
こうすることで、摺動シート35が回転している間に回転軸線方向Wにおける両端部351,351からたとえ潤滑剤が漏れ出しても、漏れ出した潤滑剤を凹凸部405,405で保持することができる。
【0085】
(第3実施形態-1)
詳しくは、図9Aに示す第3実施形態に係る保持部401の一例(第3実施形態-1)では、図6Aから図7Cに示す第1実施形態に係る保持部401に凹凸部405,405が設けられている。すなわち、凹凸部405,405は、スリット部403を構成する内側ガイド部403a及び外側ガイド部403bのうちの少なくとも一方(この例では内側ガイド部403a)の内面403a1に形成されている。
【0086】
(第3実施形態-2)
また、図9Bに示す第3実施形態に係る保持部401の他の例(第3実施形態-2)では、図8A及び図8Bに示す第2実施形態に係る保持部401に凹凸部405,405が設けられている。すなわち、凹凸部405,405は、段差部404を構成する第2段部404bの外周面41a2に形成されている。
【0087】
具体的には、凹凸部405の高さh3としては、潤滑剤を保持できる程度の高さであり、それには限定されないが、例えば、0.5mm程度を例示できる。
【0088】
(第4実施形態)
本実施の形態において、図10A及び図10Bに示すように、保持部401,401の摺動シート35の両端部351,351を保持する面には、溝部406,406が設けられている。溝部406,406は、深さ方向V2が定着ベルト31の径方向Tに沿っていて周方向Rにおいて全体に亘って延びている。摺動シート35の両端部351,351は、径方向Tにおける溝部406,406側に屈曲する屈曲部352,352を有している。屈曲部352,325は、溝部406,406に挿通されている。
【0089】
このように、屈曲部352,352が溝部406,406に挿通されていることで、摺動シート35が回転軸線方向Wの一方側W1又は他方側W2に移動しても、屈曲部352,352を溝部406,406の側壁406a,406bに当接させることができる。これにより、摺動シート35の回転軸線方向Wへの移動を規制することができる。
【0090】
(第4実施形態-1)
詳しくは、図10Aに示す第4実施形態に係る保持部401の一例(第4実施形態-1)では、図6Aから図7Cに示す第1実施形態に係る保持部401に溝部406,406が設けられている。すなわち、溝部406,406は、スリット部403を構成する内側ガイド部403a及び外側ガイド部403bのうちの少なくとも一方(この例では内側ガイド部403a)の内面に形成されている。
【0091】
(第4実施形態-2)
また、図10Bに示す第4実施形態に係る保持部401の他の例(第4実施形態-2)では、図8A及び図8Bに示す第2実施形態に係る保持部401に溝部406,406が設けられている。すなわち、溝部406,406は、段差部404を構成する第2段部404bの外周面41a2に形成されている。
【0092】
本開示は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0093】
100 画像形成装置
12 定着装置
31 定着ベルト
311 端部
31a 内周面
31b 外周面
32 加熱ローラ
33 支持部材
34 当接部材
34a 当接面
35 摺動シート
351 両端部
352 屈曲部
35a 内周面
35b 外周面
35c 両端面
36 熱源
41 一対の保持部材
411 何れか一方の保持部材
412 何れか他方の保持部材
41a 外周面
41a1 外周面
41a2 外周面
401 保持部
401a 端面
402 フランジ部
402a 内壁
403 スリット部
403a 内側ガイド部
403a1 内面
403b 外側ガイド部
403c 底面
404 段差部
404a 第1段部
404b 第2段部
404c 壁面
405 凹凸部
406 溝部
406a 側壁
FL 本体フレーム(定着装置本体)
FN 定着ニップ部
H 搬送方向
P シート
R 周方向
R1 第1回転方向
R2 第2回転方向(回転方向)
T 径方向
V1,V2 深さ方向
W 回転軸線方向
W1 一方側
W2 他方側
d1 間隔
d2~d5 幅
e1,e2 厚み
e3,e4 幅
e5 長さ
e6 深さ
e7,e8 幅
h1~h3 高さ
α 回転軸線
β 画像形成領域
γ 端部領域
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B