(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010329
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】複合容器
(51)【国際特許分類】
B65D 3/22 20060101AFI20240117BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B65D3/22 Z
B65D77/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111609
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】伊従 晃章
(72)【発明者】
【氏名】和田 晴希
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB26
3E067BA07B
3E067BA07C
3E067BB01C
3E067BB15B
3E067BB16B
3E067CA07
3E067CA17
3E067FA04
3E067GA01
3E067GA06
3E067GA11
(57)【要約】
【課題】プラスチック製の内包装体の外側に紙製の外包装体が係合されてなり、電子レンジで加熱しても焦げたり焦げ臭がしたりしない複合容器を提供する。
【解決手段】上方に開口した紙製の外包装体1の周壁1aと、上方に開口したプラスチック製の内包装体2の周壁2aが互いに係合され、内包装体2の周壁2aとの係合部よりも下方の位置で外包装体1の周壁1aを周回方向に沿って帯状に切り取り可能な切取り予定線5、6が設けられ、この切り取り予定線5、6に沿って外包装体1の周壁1aを帯状に切り取ることで、外包装体1の周壁の下端部、すなわち脚部12を除去することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口した紙製の外包装体と、上方に開口したプラスチック製の内包装体とを備え、前記外包装体の周壁と前記内包装体の周壁とが互いに係合されている複合容器であって、
前記内包装体の周壁との係合部よりも下方の位置で前記外包装体の周壁を周回方向に沿って帯状に切り取り可能な切取り予定線が設けられた、複合容器。
【請求項2】
前記切り取り予定線は、少なくとも前記帯状の上端及び下端の位置で前記外包装体の周壁の周回方向に沿って設けられ、上側の切り取り予定線は、前記内包装体の底部よりも上方の位置に設けられた、請求項1に記載の複合容器。
【請求項3】
前記切り取り予定線が、周回方向に沿って前記外包装体の周壁に形成された半切れ部で構成される、請求項1に記載の複合容器。
【請求項4】
前記外包装体の周壁の下端部に高台状の脚部が設けられた、請求項1に記載の複合容器。
【請求項5】
前記外包装体が、逆円錐台形形状、又は逆角錐台形形状の紙カップである、請求項1に記載の複合容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合容器、特に上方に開口する紙製の外包装体と、上方に開口するプラスチック製の内包装体とからなる複合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような複合容器としては、例えば、下記特許文献1に記載されるものがある。この複合容器では、プラスチック製の内包装体の周壁の上部にその周壁の外面よりも外側に突出する凸条部が周回方向に沿って形成されると共に、紙製の外包装体の周壁の上部にその周壁の内面よりも窪んだ凹条部が周回方向に沿って形成されている。そして、凸条部が凹条部に嵌入することによって内包装体と外包装体が係合されている。なお、外包装体の周壁の下端部には、例えば搬送時や積み重ね時の容器の強度を確保するために高台状の脚部が設けられている。また、内包装体の底部と外包装体の底部の間には空間部(隙間)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される複合容器を電子レンジで加熱する場合、レンジテーブルに紙製の外包装体の脚部が当接し、この脚部に電子レンジのマイクロ波が集中して紙が焦げたり、焦げなくとも焦げた臭い(焦げ臭)がしたりするという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラスチック製の内包装体の外側に紙製の外包装体が係合されている場合に、電子レンジで加熱しても焦げたり焦げ臭がしたりしない複合容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る複合容器は、上方に開口した紙製の外包装体と、上方に開口したプラスチック製の内包装体とを備え、前記外包装体の周壁と前記内包装体の周壁とが互いに係合されている複合容器であって、前記内包装体の周壁との係合部よりも下方の位置で前記外包装体の周壁を周回方向に沿って帯状に切り取り可能な切取り予定線が設けられたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の複合容器によれば、切り取り予定線で紙製の外包装体の周壁を帯状に切り取れば外包装体の周壁の下端部、すなわち脚部を除去することができるので、電子レンジで加熱しても焦げたり焦げ臭がしたりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の複合容器の第1実施形態を示す一部断面正面図である。
【
図4】
図1の複合容器に設けられた切り取り予定線の構成を説明するための正面図である。
【
図5】
図4の切り取り予定線の詳細を示す断面図である。
【
図6】
図4の外包装体のつまみ部とその近傍の詳細を示す正面図である。
【
図7】本発明の複合容器の第2実施形態を示す一部断面正面図である。
【
図11】本発明の複合容器の第3実施形態を示す一部断面正面図である。
【
図14】本発明の複合容器の第4実施形態を示す一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の複合容器の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
図1は、複合容器の第1実施形態を示す説明図であり、
図1aは、容器全体を示す一部断面正面図、
図1bは、電子レンジで加熱する場合の容器の状態を示す正面図である。以下は、
図1aの状態について説明する。この複合容器は、紙製の外包装体1と、プラスチック製の内包装体2を備えて構成される。
図2は、
図1の外包装体1の断面図である。紙製の外包装体1は、上方に開口し且つ断面が円形の有底の紙製カップ部材であり、周壁(胴部)1aは、底部(底板)11から開口端側、すなわち上側に向けて外側広がりのテーパ状、つまり逆円錐台の錐体面形状とされている。これは、製造された外包装体1の在庫時や搬送時に外包装体1同士を互いに積み重ねておけるようにするためであり、これにより在庫時に場所を取らず、搬送時には安定性を向上したり搬送コストを低廉化したりすることができる。この外包装体1の周壁1aが容器の中心線、すなわち図の鉛直線となす角度θ1(
図2参照)は例えば3°~9°に設定されている。なお、外包装体1の断面形状は、円形の他、例えば、角部がR面取りされた方形などであってもよい。この場合も、外包装体1の周壁1aは、上方開口端に向けて外側広がりのテーパ状、すなわち逆角錐台の錐体面形状とする。
【0009】
この実施形態では、外包装体1の周壁1aの下端部に高台状の脚部12を設けて底部11が机の上面などに直接当接しないようにしている。この実施形態の脚部12は、周壁1aの下端部を内側上方に折り返して構成されており、その上端部に底部(底板部)11が連設されている。周壁1aは、例えば扇形の紙部材(ブランク)を丸めて端部同士を接合することで逆円錐台形状のカップ部(周壁1a)を形成し、その下端部を内側上方に折り返して脚部12が形成されている。そして、底板部を構成する円形の紙部材の外周部を下方に折り返し、この折り返し部分を脚部12の折り返し部分と外壁部(周壁1aの下端部)で挟んで底部11が固定されている。また、この実施形態の外包装体1の周壁1aにおける上方開口端の周縁部は、カップ部材の開口端部の強度を確保するために紙部材が外側に丸く折り込まれて(カールされて)リム部13が形成されている。紙部材を丸く折り込むことに代えて、リング状の別部材を開口端周縁部に接合することも可能である。
【0010】
扇形の紙部材が丸められて互いに接合されている端部のうち容器外側の端部には、脚部12よりも高い位置で紙部材の端面15よりも少し突出するつまみ部8が形成されている。例えば、この容器(の内容物)を電子レンジで加熱する場合には、このつまみ部8を手指でつまんで引っ張ることで、つまみ部8が形成されている部分の周壁1aを周回方向に沿って帯状に切り取ることができ、これにより、
図1bに示すように脚部12を除去できるように構成されている。具体的には、後述するプラスチック製の内包装体2との係合部(接合部)よりも下方の位置で周壁1aの周回方向に沿って設けられている半切れ部7(切り取り予定線5、6)で周壁1aを切断して周壁1aの一部を帯状に切り取る(除去する)ことができるのであるが、この切り取り構造の詳細については後段で説明する。
【0011】
図3は、
図1の内包装体2の断面図である。プラスチック製の内包装体2は、上方が開口し且つ断面が円形の有底のカップ部材であり、外包装体1と同じく、周壁2aは、底部2bから開口端側、すなわち上側に向けて外側広がりのテーパ状、つまり逆円錐台の錐体面形状とされている。この内包装体2は、外包装体1の内部にすっぽりと収まる大きさとされている。この内包装体2は、例えば、ポリエチレンテレフタレート製のフィルム部材をプレス成型することによって周壁2aや底部2bなどが一体に形成されている。この内包装体2の上方開口端の周縁部には、容器の外側に向けて広がるフランジ部14が周壁2aと一連に形成されている。
【0012】
この内包装体2の周壁2aが容器の中心線、すなわち図の鉛直線となす角度θ2は3°~9°であり、外包装体1の周壁1aが容器中心線となす角度θ1と同じ値に設定されている。また、内包装体2の上方開口端の外径Eは外包装体1の上方開口端の内径Iと同等かごく僅かに小さく設定されている。また、内包装体2のフランジ部14の下面から底部2bの下面までの高さ方向寸法は、外包装体1のリム部13の上面から底部11上面までの高さ方向寸法より小さく設定されている。これらにより、外包装体1の内部に内包装体2を収容し、
図1aに示すように、内包装体2のフランジ部14の下面が外包装体1のリム部13の上面に当接するようにして内包装体2の上方開口端が外包装体1の上方開口端まで嵌入されると、外包装体1の底部11と内包装体2の底部2bの間には空間部(空気層)9が形成される。空間部9は、空気の層であることから、内包装体2の内容物に対して断熱性を付与することができる。また、例えば、プラスチック製の内包装体2に高温の内容物を充填し、図示しない蓋部材で容器を密閉した場合に、内容物の冷却に伴う減圧によって内包装体2が変形したとしても、紙製の外包装体1は変形することがない。すなわち、そうした場合に外観を損ねることもない。
【0013】
外包装体1の紙部材にラミネートされる樹脂としては、ポリプロピレン(PP)(ホモ)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン(PE)(内容物の加温100℃以下)が適用可能であり、内包装体2を構成する樹脂としては、PP、A-PET(非晶質PET)、PBT、PE(内容物の加温100℃以下で且つ内容物に油分なし)が適用可能である。この実施形態では、後述する切り取り部分より上方の位置で外包装体1の周壁1aと内包装体2の周壁2aが接合されている。この接合手法には、接着剤による接着や溶着が適用可能であり、上記の材料に対する接着剤としては、ウレタン系接着剤、アクリル接着剤が適用可能である。また、溶着手法としては、ヒートシールや超音波溶着が適用可能である。使用される樹脂とそれに対して適用可能な接着剤、溶着手法を下記表1にまとめる。
【0014】
【0015】
図4は、
図1の複合容器に設けられた切り取り予定線の構成を説明するための正面図であり、
図5は、
図4の切り取り予定線の詳細を示す断面図、
図6は、
図4の外包装体のつまみ部とその近傍の詳細を示す正面図である。前述のように、この実施形態では、紙製の外包装体1の下部の位置で、周回方向に沿って連続的に周壁1a全周に亘って切り取り予定線5、6を設ける。この切り取り予定線5、6は、
図5に示す半切れ部7で構成される。半切れ部7とは、周壁1aを構成する紙の厚さの途中まで厚さ方向に形成された切れ目を意味し、この半切れ部7が紙の脆弱部となって、例えば紙を割く力が作用すると半切れ部7に沿って紙が切り取られる。これに対し、紙の厚さ全域に亘って形成された切れ目を全切れ部という。半切れ部7は、同じく紙の切り取りを容易化するミシン目に比べて目立ちにくく、特に表面の印刷絵柄などのデザイン性を損なうことがなく、また加工部の強度低下による成型時の胴部座屈などの影響も少ない。この実施形態では、紙で構成される外包装体1の周壁1aの外側(表)と内側(裏)のそれぞれにおいて、互いに異なる位置で半切れ部7を周壁1aの全周に亘って形成し、この半切れ部7が連続してできる線を切り取り予定線5、6として周壁1aの下部が帯状に切り取られるように構成している。
【0016】
この実施形態では、
図5から明らかなように、外包装体1の周壁1aの外側(表)と内側(裏)のそれぞれ二箇所に半切れ部7を全周に亘って形成して、それぞれを表切り取り予定線5と裏切り取り予定線6とした。この周壁1aの帯状の切り取りは、周壁1aの脚部12を除去するためのものであるから、それら切り取り予定線5、6は、外包装体1の周壁1aと内包装体2の周壁2aの接合部より下方であればよいが、この実施形態では、更に周壁1aを帯状に切り取った後で残りの外包装体1より内包装体2の下部が下方に突出されるようにしている(
図1bの状態)。そのため、2本の表切り取り予定線5のうちの上側の表切り取り予定線5と、2本の裏切り取り予定線6のうちの上側の裏切り取り予定線6は、何れも内包装体2の底部2bより上方の位置に形成した。2本の表切り取り予定線5の中心と2本の裏切り取り予定線6の中心は一致されている。2本の表切り取り予定線5の間隔Kは10mm、2本の裏切り取り予定線6の間隔Lは5mmとした。何れも、半切れ部7の深さNは外包装体1の周壁1aを構成する紙の厚さTの0.6倍、すなわちN=0.6Tとした。また、
図6に示すように、外包装体1の周壁1aを構成する紙部材の端面15からのつまみ部8の突出寸法Mは2mm、つまみ部8の上下方向幅Pは表切り取り予定線5の間隔Kと同じ10mmとした。また、このつまみ部8の上下端から表切り取り予定線5に沿って全切れ部を深さQ=2mmで形成し、つまみ部8をつまんで引っ張った際に表切り取り予定線5によって外包装体1の周壁1aが容易に切り取り始められるようにした。
【0017】
この実施形態では、つまみ部8を手指でつまんで引っ張ると、外包装体1の周壁1a全周に亘って形成された半切れ部7からなる表切り取り予定線5及び裏切り取り予定線6に沿って周壁1aが帯状に切り取られる。
図1aを合わせて参照すると、2本の表切り取り予定線5で外包装体1の周壁1aが帯状に切り取られると、それより上方の周壁1aに対して脚部12が切り離される。この実施形態では、外包装体1の周壁1aと内包装体2の周壁2aが互いに上部で接合されているので、切り離された脚部12を内包装体2の下部から除去することができ、これにより内包装体2の底部2bが下方に突出して露出される。したがって、この容器(の内容物)を電子レンジで加熱する場合には、このつまみ部8を手指でつまんで引っ張ることで、つまみ部8が形成されている部分の周壁1aを周回方向に沿って帯状に切り取ることができ、その後、外包装体1の脚部12を除去すると、
図1bに示すように内包装体2の底部2bを含む下部が下方に露出される。この状態で、容器をレンジテーブルに搭載して電子レンジで加熱しても、レンジテーブルには紙製の外包装体1は当接されず、プラスチック製の内包装体2の底部2bが当接されるので、紙が焦げたり焦げ臭がしたりすることがない。また、内容物の加熱後、容器を取り出す際、残りの紙製の外包装体1が断熱スリーブとして機能し、手で持っても熱さを低減することができる。
【0018】
このように、この実施形態の複合容器では、上方に開口した紙製の外包装体1の周壁1aと、上方に開口したプラスチック製の内包装体2の周壁2aが互いに接合(係合)され、内包装体2の周壁2aとの係合部よりも下方の位置で外包装体1の周壁1aを周回方向に沿って帯状に切り取り可能な切取り予定線5、6が設けられている。したがって、この切り取り予定線5、6に沿って外包装体1の周壁1aを帯状に切り取ることで、外包装体1の周壁の下端部、すなわち脚部12を除去することができる。これにより、電子レンジで内容物を加熱する際、レンジテーブルに紙製の外包装体1の脚部12が当接することがなく、紙が焦げたり焦げ臭がしたりすることがない。
【0019】
また、帯状の切り取り部の上端及び下端の位置で外包装体1の周壁1aの周回方向に沿って切り取り予定線5、6を設け、上側の切り取り予定線5、6が内包装体2の底部2bよりも上方の位置に設けられている。これにより、外包装体1の周壁1aの切り取り後、内包装体2の底部2bが外包装体1より下方に露出されるので、紙製の外包装体1はレンジテーブルに接触しない。
また、周回方向に沿って外包装体1の周壁1aに形成された半切れ部7で切り取り予定線5、6を構成することにより、切り取り予定線5、6が目立たず、また表面のデザイン性を損なうなどの諸問題が回避される。
【0020】
また、外包装体1の周壁1aの下端部に高台状の脚部12を設けることにより、容器の強度を確保することができる。
また、外包装体1を、逆円錐台形形状、或いは逆角錐台形形状の紙カップとすることで、外包装体1同士を互いに積み重ねておくことができ、製造された外包装体1を在庫する際に場所をとらず、また外包装体1を搬送する際の安定性を向上したり搬送コストを低廉化したりすることもできる。
次に、複合容器の第2実施形態について
図7~
図10を用いて説明する。
図7は、この実施形態の複合容器の全体説明図、
図8は、
図7の複合容器の内包装体2の正面図、
図9は、
図7の外包装体1の断面図、
図10は、
図7の内包装体2の断面図である。また、
図7aは、容器全体を示す一部断面正面図、
図7bは、電子レンジで加熱する場合の容器の状態を示す正面図であり、以下は、
図7aの状態について説明する。この実施形態の外包装体1は、第1実施形態の外包装体1と凡そ同様であり、また内包装体2も、第1実施形態の内包装体2と凡そ同等である。そこで、同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略し、第1実施形態との相違点について説明する。この実施形態では、外包装体1の周壁1aと内包装体2の周壁2aの接合(係合)構造が異なる。第1実施形態では、外包装体1の周壁1aと内包装体2の周壁2aを接着剤で接着したり、溶着させたりしたが、この実施形態では、係合部によって互いに係合させている。なお、この実施形態における外包装体1の周壁1aの切り取り構造は、第1実施形態の切り取り構造と同じである。したがって、その構成にも第1実施形態と同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0021】
この実施形態では、例えば
図9に明示するように、外包装体1の周壁1aの上部において、周壁1aを容器の内側に窪ませて凸条部3が形成されている。この凸条部3は、紙製の周壁1aを容器の内側に向けて突出するように断面円弧状の曲面に湾曲させて形成され、これが、
図7に示すように、同一高さで周壁1aの周回方向に沿って連続して形成されてなる凸条(外包装体1の外側から見れば凹条の)構造である。この凸条部3は、例えば、紙製の外包装体1の周壁1aを内側と外側から雌型と雄型で加圧成形して形成され、必要に応じて加熱を伴う。また、この実施形態では、例えば
図10に明示するように、内包装体2の周壁2aの上部において、周壁2aを窪ませて凹条部4が形成されている。この凹条部4は、プラスチック製の周壁2aを容器の内側に向けて突出するように断面円弧状の曲面に湾曲させて形成され、これが、外包装体1の凸条部3と同様に、同一高さで周壁2aの周回方向に沿って連続して形成されてなる凹条(内包装体2の内側から見れば凸条の)構造である。この凹条部4は、例えば、プラスチック製の内包装体2のプレス成型時に成形される。
【0022】
外包装体1の凸条部3の外径R1と内包装体2の凹条部4の内径R2は共に1.5mm~2.2mmとした。また、外包装体1の凸条部3の周壁1aからの突出寸法Hは0.7mm~1.0mmとした。外包装体1のリム部13の上面から凸条部3の外径中心までの高さ方向寸法Fは、リム部13の高さ方向寸法Gより5mm大きく設定され、これは、内包装体2のフランジ部14の下面から凹条部4の内径中心までの高さ方向寸法Jに一致する。このような寸法設定とすることで、外包装体1の底部11と内包装体2の底部2bの間に空間部9を設けながら、外包装体1の凸条部3を内包装体2の凹条部4内に比較的緊密に嵌入させることができ、これによって外包装体1と内包装体2を係合させることができ、複合容器が一体化される。また、この外包装体1と内包装体2の係合状態で外包装体1のリム部13の上面と内包装体2のフランジ部14の下面が当接され、両者が高さ方向に固定される。外包装体1の凸条部3の内包装体2の凹条部4内への嵌入の際、プラスチック製の内包装体2の弾性変形を伴う。外包装体1の内部に内包装体2を押し込む際、プラスチック製の内包装体2の凹条部4近傍の周壁2aが凸条部3によって滑りながら容器内側に押されることでしなやかに弾性変形する。そして、凸条部3が凹条部4の縁を通り過ぎた時点で凸条部3が凹条部4内に速やかに嵌入して変形が復元する。したがって、外包装体1と内包装体2の一体化、すなわち両者の係合に接着剤は必要とされない。また、その結果、内包装体2を外包装体1から引き抜くようにすれば、外包装体1の凸条部3が内包装体2の凹条部4から外れ、両者を分離することが可能となる。
【0023】
このように、この実施形態の複合容器では、第1実施形態の効果に加えて、外包装体1の周壁1aの内面よりも容器の内側に向けて突出する凸条部3が周壁1aの周回方向に沿って形成されると共に、内包装体2の周壁2aの外面よりも窪んだ凹条部4が周壁2aの周回方向に沿って形成され、凸条部3が凹条部4内に嵌入されて外包装体1と内包装体2が係合される。したがって、外包装体1と内包装体2の一体化に接着剤を必要とせず、その結果、凸条部3の凹条部4内への嵌入が外れるように外包装体1と内包装体2を操作することで、外包装体1と内包装体2を容易且つ確実に分離することが可能となる。
また、外包装体1の開口縁にリム部13が周回方向に沿って形成されると共に、内包装体2の開口縁にフランジ部14が周回方向に沿って形成され、凸条部3が凹条部4内に嵌入された状態でフランジ部14とリム部13とが当接される。したがって、内包装体2を外包装体1内に収容した状態で両者の離接方向への移動が規制され、内包装体2と外包装体1を固定することが可能となることから、外包装体1と内包装体2をより一層確実に一体化することができる。
【0024】
次に、複合容器の第3実施形態について
図11~
図13を用いて説明する。
図11は、この実施形態の複合容器の全体説明図、
図12は、
図11の複合容器の内包装体2の正面図、
図13は、
図11の内包装体2の断面図である。また、
図11aは、容器全体を示す一部断面正面図、
図11bは、電子レンジで加熱する場合の容器の状態を示す正面図であり、以下は、
図11aの状態について説明する。この実施形態の外包装体1は、第1実施形態の外包装体1と同じであり、また内包装体2も、第1実施形態の内包装体2と凡そ同等である。そこで、同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略し、第1実施形態との相違点について説明する。この実施形態では、内包装体2の周壁2aの構造が異なる。なお、この実施形態でも、第1実施形態と同様に、外包装体1の周壁1aと内包装体2の周壁2aを接着剤で接着したり、溶着させたりして接合している。また、この実施形態における外包装体1の周壁1aの切り取り構造は、第1実施形態の切り取り構造と同じである。したがって、その構成にも第1実施形態と同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0025】
この実施形態では、
図12に明示するように、内包装体2の周壁2aの高さ方向中間部を容器内側に窪ませてくびれ部16が形成されている。このくびれ部16を設けることにより、
図11に明示するように、外包装体1の周壁1aと内包装体2の周壁2aの間に空隙部17が形成される。この空隙部17は、前述した外包装体1の底部11と内包装体2の底部2bの間の空間部9と同様に、空気の層であることから、内包装体2の内容物に対して断熱性を付与して保温効果が得られると共に、電子レンジによる内容物の加熱後に外包装体1の周壁1aを手で持ったときの熱さも低減される。このくびれ部16の上端部とフランジ部14の下面の高さ寸法Cは13mm、くびれ部16の下端部と底部2bの下面の高さ寸法Bは12mmとした。また、くびれ部16の深さ、すなわち空隙部17における空気層の厚さDは0.5mm~1mmとした。
【0026】
このように、この実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、内包装体2の周壁2aの中間部にくびれ部16を形成することにより、外包装体1の周壁1aと内包装体2の周壁2aの間に空隙部17が形成され、この空隙部17により内容物の保温効果が得られると共に、加熱後に手で持ったときの熱さを低減することができる。
次に、複合容器の第4実施形態について
図14~
図16を用いて説明する。
図14は、この実施形態の複合容器の全体説明図、
図15は、
図14の複合容器の内包装体2の正面図、
図16は、
図14の内包装体2の断面図である。また、
図14aは、容器全体を示す一部断面正面図、
図14bは、電子レンジで加熱する場合の容器の状態を示す正面図であり、以下は、
図14aの状態について説明する。この実施形態の外包装体1は、第2実施形態の外包装体1と同じであり、また内包装体2も、第2及び第3実施形態の内包装体2と凡そ同等である。そこで、同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略し、第1実施形態との相違点について説明する。なお、この実施形態における外包装体1の周壁1aの切り取り構造は、第1実施形態の切り取り構造と同じである。したがって、その構成にも第1実施形態と同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0027】
この実施形態は、第2実施形態と第3実施形態の複合体であり、したがって、
図15に示すように、内包装体2には凹条部4とくびれ部16が併設されている。また、これらの構成の寸法も、
図16に示すように、第2実施形態と第3実施形態を組合せたものである。その結果、この実施形態では、
図14に示すように、凸条部3が凹条部4内に嵌入されて外包装体1と内包装体2が係合されることから、外包装体1と内包装体2の一体化に接着剤を必要とせず、凸条部3の凹条部4内への嵌入が外れるように外包装体1と内包装体2を操作することで、外包装体1と内包装体2を容易且つ確実に分離することが可能となる。また、くびれ部16によって外包装体1の周壁1aと内包装体2の周壁2aの間に空隙部17が形成され、この空隙部17により内容物の保温効果が得られると共に、加熱後に手で持ったときの熱さを低減することができる。
【0028】
以上、実施形態に係る複合容器について説明したが、本件発明は、上記実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施形態では、外包装体1と内包装体2の係合部を構成する凸条部3及び凹条部4を、それぞれ、外包装体1の周壁1aの上部及び内包装体2の周壁2aの上部に設けたが、これらの嵌合部(係合部)は、周壁のどの部分に形成しても差し支えない。ただし、外包装体1の周壁1aの切り取り部分よりも上部に形成する必要がある。
【符号の説明】
【0029】
1 外包装体
1a 周壁
2 内包装体
2a 周壁
3 凸条部
4 凹条部
5 表切り取り予定線
6 裏切り取り予定線
7 半切れ部
8 つまみ部
9 空間部
12 脚部
13 リム部
14 フランジ部
16 くびれ部
17 空隙部