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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103297
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】荷物及びその運搬方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20240725BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240725BHJP
【FI】
B65G61/00 520
B65G1/137 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007562
(22)【出願日】2023-01-20
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】513104479
【氏名又は名称】パイクリスタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 淳人
(72)【発明者】
【氏名】野沢 汎
(72)【発明者】
【氏名】岩見 崇広
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522BB01
3F522BB21
3F522FF02
3F522FF04
3F522FF14
3F522FF16
3F522FF19
3F522FF21
3F522FF30
3F522FF38
3F522GG03
3F522GG25
3F522HH02
3F522HH05
3F522HH30
3F522HH34
3F522HH37
3F522HH40
3F522JJ10
3F522LL61
3F522LL62
(57)【要約】
【課題】運搬者に対して物品の正常な運搬を促す効果を高めた荷物を提供する。
【解決手段】物品180と、物品180を入れた容器110と、物品180に及び/又は容器110の内面に固定されたセンサデバイス160であって、容器110内の環境情報を検知すると共に、検知された環境情報を時間及び位置情報の一方又は両方と関連付けて記録することが可能なセンサデバイス160と、容器110の外面112に固定され、環境情報がセンサデバイス160によって記録中であることを伝達するための表示部120とを備えた荷物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品と、
前記物品を入れた容器と、
前記物品に及び/又は前記容器の内面に固定されたセンサデバイスであって、前記容器内の環境情報を検知すると共に、検知された前記環境情報を時間及び位置情報の一方又は両方と関連付けて記録することが可能なセンサデバイスと、
前記容器の外面に固定され、前記環境情報が前記センサデバイスによって記録中であることを伝達するための表示部と、
を備えた荷物。
【請求項2】
前記表示部は、前記容器の外面に貼付されたステッカーであって、前記環境情報を記録中である旨の表示がなされたステッカーによって構成される請求項1に記載の荷物。
【請求項3】
前記環境情報が、温度、角度、加速度、湿度、臭い、色、重量、圧力、振動、モーション、光、音、ガス、磁気、変位、液体、電圧、電流、流量、及び歪から選択される一種又は二種以上である請求項1に記載の荷物。
【請求項4】
前記容器が上蓋を有する箱であって、前記表示部は前記上蓋の外面に固定されている請求項1に記載の荷物。
【請求項5】
前記表示部は、前記容器の外面に固定された電子デバイスであって、前記環境情報を記録中である旨の表示を出力可能なディスプレイを有する電子デバイスによって構成される請求項1に記載の荷物。
【請求項6】
前記センサデバイスは、前記センサデバイスに記録されている前記環境情報の少なくとも一部を外部に送信することが可能な無線通信機を備える請求項1に記載の荷物。
【請求項7】
前記表示部は、前記容器の外面に固定された電子デバイスであって、前記環境情報を記録中である旨の表示を出力可能なディスプレイを有する電子デバイスによって構成されており、前記電子デバイスは、前記無線通信機から送信される前記環境情報を受信することが可能な無線通信機を備え、受信した前記環境情報を前記ディスプレイに出力することが可能である請求項6に記載の荷物。
【請求項8】
前記センサデバイスは、前記センサデバイスで検知される前記環境情報が予め定めた条件を満たした時に警告表示を出す旨の指令を発することが可能な制御部と、前記指令を外部に送信可能な無線通信機を備える請求項1に記載の荷物。
【請求項9】
前記表示部は、前記容器の外面に固定された電子デバイスであって、前記環境情報を記録中である旨の表示を出力可能なディスプレイを有する電子デバイスによって構成されており、前記電子デバイスは、前記無線通信機から送信される前記指令を受信することが可能な無線通信機を備え、受信した前記指令に基づき警告表示を前記ディスプレイに出力することが可能である請求項8に記載の荷物。
【請求項10】
前記センサデバイスは、前記センサデバイスによる前記環境情報の記録が開始された時に記録が開始されたことを表示する旨の指令を発することが可能な制御部と、前記指令を外部に送信可能な無線通信機を備える請求項1に記載の荷物。
【請求項11】
前記表示部は、前記容器の外面に固定された電子デバイスであって、前記環境情報を記録中である旨の表示を出力可能なディスプレイを有する電子デバイスによって構成されており、前記電子デバイスは、前記無線通信機から送信される前記指令を受信することが可能な無線通信機を備え、受信した前記指令に基づき記録が開始された旨の表示を前記ディスプレイに出力することが可能である請求項10に記載の荷物。
【請求項12】
前記センサデバイスは、音発生装置と、前記センサデバイスで検知される前記環境情報が予め定めた条件を満たした時に前記音発生装置が警告音を鳴らすように前記音発生装置を制御することが可能な制御部とを備える請求項1に記載の荷物。
【請求項13】
前記センサデバイスは、前記センサデバイスで検知される前記環境情報が予め定めた条件を満たした時に警告音を鳴らす旨の指令を発することが可能な制御部と、前記指令を外部に送信することが可能な無線通信機を備える請求項1に記載の荷物。
【請求項14】
前記センサデバイスは、前記環境情報の記録を開始する旨の指令を外部から受信可能な無線通信機と、受信した前記指令に基づき前記環境情報の記録を開始するように前記センサデバイスを制御可能な制御部とを備える請求項1に記載の荷物。
【請求項15】
前記表示部は、前記容器の外面に固定された電子デバイスであって、前記環境情報を記録中である旨の表示を出力可能なディスプレイと、前記環境情報の記録を開始する旨の指令を入力するための入力装置と、前記環境情報の記録を開始する旨の指令を送信可能な無線通信機とを備える電子デバイスによって構成される請求項14に記載の荷物。
【請求項16】
請求項1~15の何れか一項に記載の荷物を出発地から目的地まで運搬することを含む荷物の運搬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサデバイスを備えた荷物及びその運搬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Eコマースが一般消費者にも身近になっており、より安心・安全な物流サービスが求められている。そのため、物品が適切に運搬されるように管理することは物流業界にとって益々重要になっている。例えば、荷物の温度や湿度が設定範囲に収まっているか、或いは、荷物が倒立状態(上下逆さま)又は傾いた状態となっていないか等、荷物の運搬状況を監視することが求められている。そこで、物品の運搬履歴を、センサを用いて管理又は監視するための様々な技術が提案されている。
【0003】
特許文献1(特開2015-202918号公報)には、物品IDを記録する識別媒体を付した状態で場所IDがそれぞれ付された複数の場所を経由して搬送される物品の温度を管理する物品温度管理装置が記載されている。具体的には、物品温度管理装置によれば、物品IDを記録しただけの識別媒体を物品に付して、管理対象物品IDに対応させて、物品IDごとの搬送履歴を場所IDと対応づけた搬送履歴情報を記憶する搬送履歴情報記憶部と、複数の場所の各々における場所温度の時間的な変化を各場所の場所IDと対応づけた場所温度履歴情報を記憶する場所温度履歴情報記憶部と、から取得した情報をもとに、管理対象物品の温度履歴情報を作成することができる。当該文献によれば、各場所には温度センサが設けられており、当該場所の温度を検出することができることが記載されている。このため、簡易な構成で物品の温度履歴情報を取得することができ、物品の温度状態を容易に把握することができるとされている。
【0004】
特許文献2(特開2019-70991号公報)には、保冷を必要とする商品の出荷、保冷車による配送および入荷までを管理センタが備えるコンピュータによって一括管理する物流管理システムが記載されている。当該文献には、商品収納容器を用意し、この商品収納容器に保冷車内の温度を測定する温度センサとは別の温度センサ設け、それぞれの温度センサからのデータを用いて商品管理を行うことで、きめ細やかな鮮度維持管理ができることも記載されている。
【0005】
特許文献3(特表2019-519054号公報)には、薬剤の保管および輸送に関し、特に、ユーザの薬品を管理する方法が記載されている。当該文献には、輸送および/または保管中に薬剤を無事に保つために適切な温度が容器内部に維持されるかどうかを監視することができる医薬品の容器が記載されている。当該容器は、保管室と、保管室を閉鎖するキャップとを有し、
・ 容器内部の温度を測定する温度センサと、
・ 容器内部の湿度を測定する湿度センサと、
・ キャップに関連して配置された加速度計センサと、
・ 通信手段と、
・ 磁力により相互に接着するよう配置された第1の接続部分および第2の接続部分と、
を有すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-202918号公報
【特許文献2】特開2019-70991号公報
【特許文献3】特表2019-519054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術によれば、センサを用いることで、物品の運搬履歴を管理又は監視することが可能である。しかしながら、物品の運搬履歴を管理又は監視することができても、従来技術では荷物を実際に運搬する作業を行う運搬者に対して物品の正常な運搬を促す効果は限定的であり、より安心・安全な物流サービスを提供する上では、改善の余地が残されている。
【0008】
このような事情に基づき、本発明は、運搬者に対して物品の正常な運搬を促す効果を高めた荷物を提供することを課題の一つとする。また、本発明はそのような荷物の運搬方法を提供することを別の課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、容器の外面に、容器内の環境情報がセンサデバイスによって記録中であることを伝達するための表示部を設けた荷物を用いると、運搬者に対して物品の正常な運搬を促す効果が有意に向上することを見出した。本発明は当該知見に基づいて創作されたものであり、以下に例示される。
【0010】
[態様1]
物品と、
前記物品を入れた容器と、
前記物品に及び/又は前記容器の内面に固定されたセンサデバイスであって、前記容器内の環境情報を検知すると共に、検知された前記環境情報を時間及び位置情報の一方又は両方と関連付けて記録することが可能なセンサデバイスと、
前記容器の外面に固定され、前記環境情報が前記センサデバイスによって記録中であることを伝達するための表示部と、
を備えた荷物。
[態様2]
前記表示部は、前記容器の外面に貼付されたステッカーであって、前記環境情報を記録中である旨の表示がなされたステッカーによって構成される態様1に記載の荷物。
[態様3]
前記環境情報が、温度、角度、加速度、湿度、臭い、色、重量、圧力、振動、モーション、光、音、ガス、磁気、変位、液体、電圧、電流、流量、及び歪から選択される一種又は二種以上である態様1又は2に記載の荷物。
[態様4]
前記容器が上蓋を有する箱であって、前記表示部は前記上蓋の外面に固定されている態様1~3の何れか一つに記載の荷物。
[態様5]
前記表示部は、前記容器の外面に固定された電子デバイスであって、前記環境情報を記録中である旨の表示を出力可能なディスプレイを有する電子デバイスによって構成される態様1~4の何れか一つに記載の荷物。
[態様6]
前記センサデバイスは、前記センサデバイスに記録されている前記環境情報の少なくとも一部を外部に送信することが可能な無線通信機を備える態様1~5の何れか一つに記載の荷物。
[態様7]
前記表示部は、前記容器の外面に固定された電子デバイスであって、前記環境情報を記録中である旨の表示を出力可能なディスプレイを有する電子デバイスによって構成されており、前記電子デバイスは、前記無線通信機から送信される前記環境情報を受信することが可能な無線通信機を備え、受信した前記環境情報を前記ディスプレイに出力することが可能である態様6に記載の荷物。
[態様8]
前記センサデバイスは、前記センサデバイスで検知される前記環境情報が予め定めた条件を満たした時に警告表示を出す旨の指令を発することが可能な制御部と、前記指令を外部に送信可能な無線通信機を備える態様1~7の何れか一つに記載の荷物。
[態様9]
前記表示部は、前記容器の外面に固定された電子デバイスであって、前記環境情報を記録中である旨の表示を出力可能なディスプレイを有する電子デバイスによって構成されており、前記電子デバイスは、前記無線通信機から送信される前記指令を受信することが可能な無線通信機を備え、受信した前記指令に基づき警告表示を前記ディスプレイに出力することが可能である態様8に記載の荷物。
[態様10]
前記センサデバイスは、前記センサデバイスによる前記環境情報の記録が開始された時に記録が開始されたことを表示する旨の指令を発することが可能な制御部と、前記指令を外部に送信可能な無線通信機を備える態様1~9の何れか一つに記載の荷物。
[態様11]
前記表示部は、前記容器の外面に固定された電子デバイスであって、前記環境情報を記録中である旨の表示を出力可能なディスプレイを有する電子デバイスによって構成されており、前記電子デバイスは、前記無線通信機から送信される前記指令を受信することが可能な無線通信機を備え、受信した前記指令に基づき記録が開始された旨の表示を前記ディスプレイに出力することが可能である態様10に記載の荷物。
[態様12]
前記センサデバイスは、音発生装置と、前記センサデバイスで検知される前記環境情報が予め定めた条件を満たした時に前記音発生装置が警告音を鳴らすように前記音発生装置を制御することが可能な制御部とを備える態様1~11の何れか一つに記載の荷物。
[態様13]
前記センサデバイスは、前記センサデバイスで検知される前記環境情報が予め定めた条件を満たした時に警告音を鳴らす旨の指令を発することが可能な制御部と、前記指令を外部に送信することが可能な無線通信機を備える態様1~12の何れか一つに記載の荷物。
[態様14]
前記センサデバイスは、前記環境情報の記録を開始する旨の指令を外部から受信可能な無線通信機と、受信した前記指令に基づき前記環境情報の記録を開始するように前記センサデバイスを制御可能な制御部とを備える態様1~13の何れか一つに記載の荷物。
[態様15]
前記表示部は、前記容器の外面に固定された電子デバイスであって、前記環境情報を記録中である旨の表示を出力可能なディスプレイと、前記環境情報の記録を開始する旨の指令を入力するための入力装置と、前記環境情報の記録を開始する旨の指令を送信可能な無線通信機とを備える電子デバイスによって構成される態様14に記載の荷物。
[態様16]
態様1~15の何れか一つに記載の荷物を出発地から目的地まで運搬することを含む荷物の運搬方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態に係る荷物は、容器の外面に、容器内の環境情報がセンサデバイスによって記録中であることを伝達するための表示部が設けられている。このため、荷物を運ぶ運搬者に対して、センサデバイスによって荷物の運搬状況が記録されていることを視覚的に訴えることができるので、運搬者に対して注意を喚起することができる。この結果、正常に運搬される荷物の割合を高めることが可能となる。よって、本発明は、より安心・安全な物流サービスを提供することを目標とする物流業者にとって極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る荷物を示す模式的な斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る荷物の構造を説明するための模式的な側面断面図である。
図3】センサデバイスを構成するハードウェアのブロック図の一例である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示部に表示される情報の例である。
図5】表示部の機能を有する電子デバイスを構成するハードウェアのブロック図の一例である。
図6-1】実施例における一個目の荷物に対するロギングデータである。
図6-2】実施例における二個目の荷物に対するロギングデータである。
図6-3】実施例における三個目の荷物に対するロギングデータである。
図6-4】実施例における四個目の荷物に対するロギングデータである。
図6-5】実施例における五個目の荷物に対するロギングデータである。
図6-6】実施例における六個目の荷物に対するロギングデータである。
図6-7】実施例における七個目の荷物に対するロギングデータである。
図7-1】比較例における一個目の荷物に対するロギングデータである。
図7-2】比較例における二個目の荷物に対するロギングデータである。
図7-3】比較例における三個目の荷物に対するロギングデータである。
図7-4】比較例における四個目の荷物に対するロギングデータである。
図7-5】比較例における五個目の荷物に対するロギングデータである。
図7-6】比較例における六個目の荷物に対するロギングデータである。
図7-7】比較例における七個目の荷物に対するロギングデータである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、本発明の一実施形態に係る荷物100を示す模式的な斜視図が示されている。図2には、本発明の一実施形態に係る荷物100の構造を説明するための模式的な側面断面図が示されている。荷物100は、物品180と、物品180を入れた容器110と、物品180に及び/又は容器110の内面111に固定されたセンサデバイス160であって、容器110内の環境情報を検知すると共に、検知された環境情報を時間及び位置情報の一方又は両方と関連付けて記録することが可能なセンサデバイス160と、容器110の外面112に固定され、環境情報がセンサデバイス160によって記録中であることを伝達するための表示部120とを備える。
【0014】
(1.物品)
容器110に入れる物品180の種類には特に制限はない。物品180としては、例えば、飲料、生鮮食品、衣類、電子機器、化学薬品、医薬品、家具、玩具、美術品、楽器、雑貨、ガスボンベ等が挙げられる。特に、破損しやすい等、取り扱いに注意が必要な物品が好適である。一つの容器110に入れる物品は一品でもよく、二品以上でもよい。
【0015】
(2.容器)
容器110は、運搬すべき物品180に応じて適宜選択すればよく、特段の制限はない。容器110の材質としては、例えば、段ボール、プラスチック、金属、木材、紙等が挙げられる。容器110の形状としては、特段の制限はないが、例えば、箱型とすることができる。典型的には、容器110として、段ボール箱、折り畳みコンテナ、木箱、鉄箱、フレコン等を使用することができる。一実施形態において、物品180の出し入れを容易にするための容器110は上蓋118を有することができる。上蓋118は、例えば、一般的な段ボール箱に用いられているような、本体と一体化しているフラップ型の上蓋(内フラップ及び外フラップ)でもよいし、かぶせ型と呼ばれる本体と分離された上蓋でもよい。
【0016】
(3.センサデバイス)
センサデバイス160は、物品180に固定されてもよいし、容器110の内面111に固定されてもよい。また、一つの容器内に二つ以上のセンサデバイス160が配置されてもよい。センサデバイス160を、物品180に及び/又は容器110の内面に固定することで、センサデバイス160によって運搬中の容器110の内部の環境情報を記録することができる。また、荷物は上下に積み重ねた状態で運搬されることが多いところ、センサデバイス160を、物品180に及び/又は容器110の内面に固定することで、センサデバイス160が他の荷物にぶつかって故障するのを防止可能である。更には、センサデバイス160が容器110内で運搬中に動いて物品180や容器110の内面にぶつかることで、故障したり正常なデータが得られなくなったりするのを防止可能である。
【0017】
センサデバイス160を物品180に固定する方法としては、限定的ではないが、例えば、センサデバイス160又はそれを包装した封筒、包装紙若しくは包装容器を、物品180又はそれを包装した封筒、包装紙若しくは包装容器に、両面テープ等の接着手段で貼り付ける方法等が挙げられる。センサデバイス160を容器110の内面111に固定する方法としては、限定的ではないが、例えば、センサデバイス160又はそれを包装した封筒、包装紙若しくは包装容器を、容器110の内面111に、両面テープ等の接着手段で貼り付ける方法が挙げられる。
【0018】
センサデバイス160によって記録する環境情報としては、限定的ではないが、例えば、温度、角度、加速度、湿度、臭い、色、重量、圧力、振動、モーション、光、音、ガス、磁気、変位(例:加速度と時間から算出)、液体、電圧、電流、流量、及び歪(例:有機半導体素子の歪みにより検知可能)から選択される一種又は二種以上とすることができる。センサデバイス160によって記録する環境情報は、運搬する物品180の種類に応じて、適宜決定すればよい。例えば、生鮮食品等の温度管理が重要な商品を運搬するときは、温度を記録対象に含めることが適切であり、ガラス製品等の破損しやすい商品を運搬するときは、角度、加速度、振動、及びモーションから選択される一種以上を記録対象に含めることが適切である。
【0019】
図3には、センサデバイス160を構成するハードウェアのブロック図の一例が示されている。センサデバイス160は、センサ素子161、時計162、GPS受信機163、記憶装置164、無線通信機165、バッテリ166及び制御部167を備える。センサデバイス160の具体例としては、所定の環境情報を検知可能なセンサ素子が接続されたデータロガーが挙げられる。この場合、容器内のスペースを圧迫しないように、カード型のデータロガーを使用することが好ましい。
【0020】
制御部167は、センサデバイス160の全体を制御し、入力された命令、指示及びデータや、記憶装置164に格納されたデータ等を基にプログラムに従って演算処理を実行する装置及び回路等を指す。制御部167の各種機能は、例えば中央処理装置(CPU)等の制御・演算装置にて実現可能である。
【0021】
バッテリ166は、センサデバイス160に電力を供給する電力源であり、例えば一次電池又は二次電池とすることができる。
【0022】
センサ素子161は所定の環境情報を検知することができる。センサデバイス160はセンサ素子161を一つ有してもよいし、二種類以上の環境情報を検知するためにセンサ素子161を複数有してもよい。制御部167は、センサ素子161で検知された環境情報を、必要に応じてアナログ信号からデジタル信号に変換し、時計162から得られる時間情報、及びGPS受信機163から得られる位置情報の一方又は両方と関連付けて、記憶装置164に記録可能である。
【0023】
記憶装置164は、上述した環境情報のような各種データの他、オペレーティングシステム(OS)、ネットワークアプリケーション及び制御部167が行う各種の制御・演算を実行するためのプログラム等を記憶する装置及び回路等を指す。記憶装置164の具体例として、主に半導体メモリが用いられる一次記憶装置、主にハードディスクドライブや半導体ディスクが用いられる二次記憶装置(補助記憶装置)、主にCD-ROMドライブ等リムーバブルメディアドライブが用いられるオフラインストレージ、テープライブラリ等、公知の記憶装置等を用いることができる。より具体的には、ハードディスクドライブ、SSD、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、ZIPドライブ、テープストレージ等、磁気記録媒体を用いる磁気記憶装置の他に、レジスタ、キャッシュメモリ、ROM、RAM、フラッシュメモリ(例えばUSBメモリ)、半導体ディスク(例えばRAMディスク、仮想ディスク)などの半導体メモリを利用する記憶回路または記憶装置や、CD、DVD等の光学記録媒体、MO等の光磁気ディスクを利用する光学記憶装置、PRAM(phase change RAM、相変化メモリ)と呼ばれる相変化記録技術を用いた記憶装置、ホログラフィックメモリ、3次元光メモリを用いた記憶装置、電荷の蓄積を分子レベルで行い情報を記憶する分子メモリを用いた記憶装置等を採用することができる。
【0024】
センサデバイス160は、センサデバイス160に記録されている環境情報の少なくとも一部を外部に送信することが可能な無線通信機165を備えてもよい。また、無線通信機165によって、環境情報以外の種々情報を外部と相互通信できるようにセンサデバイス160を構成することも可能である。無線通信機165は、電波(電磁波)を用いてデータを非接触で無線通信することを可能とする装置及び回路等を指し、例えば、アンテナ、モデム、WiFiルーター、無線ユニット等が挙げられ、通信方式に応じて適宜選定すればよい。通信方式として、RFID、LPWA(Lora、NB-IoT、SIGFOX等)、BLE、Wi-Fi、Thread、ZigBee(登録商標)、LTE、NFC等を例示できる。また、無線通信機165は、外部機器と直接通信可能に構成されていてもよいし、インターネット又は専用回線といったコンピュータネットワークを通じて外部機器と通信可能に構成されていてもよい。センサデバイス160からの環境情報の送信先としては、限定的ではないが、例えば、表示部120の機能を果たす後述する電子デバイスの他、運送者の携帯端末(スマートフォン、タブレット等)、運送会社の物流管理サーバ、倉庫に設置されたPC、運搬車両の運転席に設置された固定型の端末、RFIDリーダーライター(UHF帯、HF帯等)等が挙げられる。環境情報はリアルタイムに送信できるようにしてもよいし、外部からの要求に応じて送信できるようにしてもよい。
【0025】
無線通信機165は、環境情報の記録を開始する旨の指令を外部から受信できるように構成してもよい。この場合、制御部167は受信した前記指令に基づき環境情報の記録を開始するようにセンサデバイス160(より具体的にはセンサ素子161)を制御できるように構成することができる。環境情報の記録を開始する旨の指令は、限定的ではないが、例えば、表示部120の機能を果たす後述する電子デバイスの他、運送者の携帯端末(スマートフォン、タブレット等)、運送会社の物流管理サーバ、倉庫に設置されたPC、運搬車両の運転席に設置された固定型の端末、RFIDリーダーライター(UHF帯、HF帯等)等から受信することができるように、センサデバイス160を構成することができる。
【0026】
センサデバイス160の制御部167は、環境情報の記録が開始されると、センサデバイス160による環境情報の記録が開始されたことを表示する旨の指令を発することが可能となるように構成してもよい。そして、無線通信機165は、当該環境情報の記録が開始されたことを表示する旨の指令を外部に送信することが可能となるように構成してもよい。センサデバイス160からの当該指令の送信先としては、限定的ではないが、例えば、表示部120の機能を果たす後述する電子デバイスの他、運送者の携帯端末(スマートフォン、タブレット等)、運送会社の物流管理サーバ、倉庫に設置されたPC、運搬車両の運転席に設置された固定型の端末、RFIDリーダーライター(UHF帯、HF帯等)等が挙げられる。これらの機器が有するディスプレイに、センサデバイス160による環境情報の記録が開始された旨が表示されることで、当該指令を受信した機器のユーザは、荷物内の環境情報の記録が開始されたことを確認できるので、センサデバイス160による環境情報の記録が開始されていない状態で荷物100の運搬を開始してしまうリスクを軽減可能である。
【0027】
制御部167は、センサデバイス160で検知される環境情報が予め定めた条件(例:温度センサで検知される温度が所定の温度以上に到達した。)を満たした時に警告表示を出す旨の指令を発することが可能となるように構成してもよい。無線通信機165は、当該警告表示を出す旨の指令を外部に送信することが可能となるように構成してもよい。センサデバイス160からの当該指令の送信先としては、限定的ではないが、例えば、表示部120の機能を果たす後述する電子デバイスの他、運送者の携帯端末(スマートフォン、タブレット等)、運送会社の物流管理サーバ、倉庫に設置されたPC、運搬車両の運転席に設置された固定型の端末、RFIDリーダーライター(UHF帯、HF帯等)等が挙げられる。これらの機器が有するディスプレイに表示される警告表示により、当該指令を受信した機器のユーザは、荷物内の環境情報に異常が発生したことを察知することができる。
【0028】
センサデバイス160は、音発生装置169を備えてもよい。この場合、制御部167は、センサデバイス160で検知される環境情報が予め定めた条件(例:温度センサで検知される温度が所定の温度以上に到達した。)を満たした時に音発生装置169が警告音を鳴らすように音発生装置169を制御できるように構成することができる。音発生装置169としては、例えばブザーが挙げられる。音発生装置169が発する音により、運搬者は荷物内の環境情報に異常が発生したことを察知することができる。
【0029】
また、音発生装置169の有無に関わらず、制御部167は、センサデバイス160で検知される環境情報が予め定めた条件を満たした時に警告音を鳴らす旨の指令を発することが可能となるように構成してもよい。そして、無線通信機165は、当該警告音を鳴らす旨の指令を外部に送信することが可能となるように構成してもよい。センサデバイス160からの当該指令の送信先としては、限定的ではないが、例えば、表示部120の機能を果たす後述する電子デバイスの他、運送者の携帯端末(スマートフォン、タブレット等)、運送会社の物流管理サーバ、倉庫に設置されたPC、運搬車両の運転席に設置された固定型の端末、RFIDリーダーライター(UHF帯、HF帯等)等が挙げられる。これらの機器が有する音発生装置が発する音により、当該指令を受信した機器のユーザは、荷物内の環境情報に異常が発生したことを察知することができる。
【0030】
(4.表示部)
容器110の外面112には、環境情報がセンサデバイス160によって記録中であることを伝達するための表示部120が固定される。容器110の外面112にこのような表示部120を設けることで、センサデバイス160によって荷物の運搬状況が監視されていることを視覚的に訴えることができるので、運搬者に対して注意を喚起することができる。本発明者による実験結果によれば、環境情報がセンサデバイス160によって記録中であることを容器110の外面112に表示するだけでも、正常に運搬される荷物100の割合を有意に高めることが可能となる。
【0031】
表示部120に示される情報は、容器110の外面112に印刷、押印又は描画等によって直接表示してもよいし、容器110の外面112に当該情報を記載したステッカーを貼付することによって表示してもよいし、容器110の外面112にディスプレイ付きの電子デバイスを固定することによって表示してもよい。従って、一実施形態においては、表示部120は、容器110の外面112に貼付されたステッカーであって、環境情報を記録中である旨の表示がなされたステッカーによって構成される。また、別の一実施形態においては、表示部120は、容器110の外面112に固定された電子デバイスであって、環境情報を記録中である旨の表示を出力可能なディスプレイを有する電子デバイスによって構成される。
【0032】
図4には、表示部120に表示される情報の例が示されている。表示部120には、環境情報がセンサデバイス160によって記録中であることを伝達するための文字情報のみが表示されてもよいが、図形と組み合わせて表示することが好ましい。図4に示す表示部120には、センサによって荷物の衝撃・向き・温度を記録している旨の文字情報と、運搬者の注意を惹く図形(例えば、人目のマーク)との組み合わせが表示されている。運搬者の注意を惹くために、文字、図形、又は背景に赤色や黄色といった目立ちやすい色を使用したり、文字を大きく描いたりすることが好ましい。また、表示部120は、運搬者の注意を惹くために、容器110の上面、典型的には上蓋118の外面112に固定されていることが好ましい。
【0033】
表示部120が容器110の上面等の外面112に固定される場合、表示部120は、運搬者の注意を惹くために、表示部120が固定される容器110の一つの外面112(典型的には上面)の面積に対して、3%以上の面積を占めることが好ましく、6%以上の面積を占めることがより好ましく、9%以上の面積を占めることが更により好ましい。また、表示部120は、送り状もしくはその他のラベル貼り付けスペース確保の理由により、表示部120が固定される容器110の一つの外面112(典型的には上面)の面積に対して、25%以下の面積を占めることが好ましく、15%以下の面積を占めることがより好ましく、12%以下の面積を占めることが更により好ましい。従って、表示部120は、例えば、表示部120が固定される容器110の一つの外面112の面積に対して3~25%を占めることが好ましく、6~15%を占めることがより好ましく、9~12%を占めることが更により好ましい。
【0034】
図5には、表示部120が電子デバイスによって構成される場合の、表示部120を構成するハードウェアのブロック図の一例が示されている。一実施形態において、表示部120は、ディスプレイ121、無線通信機126、記憶装置123、バッテリ124及び制御部127を備える。また、表示部120は、入力装置122及び/又は音発生装置125を備えてもよい。表示部120が電子デバイスによって構成される場合、容器110の内のスペースを圧迫しないように、カード型又はシート型の電子デバイスを使用することが好ましい。電子デバイスとしては、表示部120としての機能を実現することができれば十分であり、簡素な機器構成を有するもので足りる。
【0035】
表示部120が電子デバイスによって構成される場合、容器110の外面112に表示部120を固定する方法としては、限定的ではないが、例えば、表示部120を構成する電子デバイスを、容器110の外面112に、両面テープ等の接着手段で貼り付ける方法が挙げられる。
【0036】
制御部127は、表示部120を構成する電子デバイスの全体を制御し、入力された命令、指示及びデータや、記憶装置123に格納されたデータ等を基にプログラムに従って演算処理を実行する装置及び回路等を指す。制御部127の各種機能は、例えば中央処理装置(CPU)等の制御・演算装置にて実現可能である。
【0037】
バッテリ124は、表示部120を構成する電子デバイスに電力を供給する電力源であり、例えば一次電池又は二次電池とすることができる。
【0038】
ディスプレイ121は、環境情報を記録中である旨の表示を所定の表示形式で出力可能であれば特段の制約はない。ディスプレイ121としては、限定的ではないが、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を利用可能である。表示部120は、軽量で薄い方が望ましいことから、シート状のディスプレイを好適に使用可能である。
【0039】
記憶装置123は、上述した環境情報のような各種データの他、オペレーティングシステム(OS)、ネットワークアプリケーション及び制御部127が行う各種の制御・演算を実行するためのプログラム等を記憶する装置及び回路等を指す。記憶装置123の具体例は、センサデバイス160の記憶装置164と同様である。
【0040】
一実施形態において、表示部120を構成する電子デバイスは、センサデバイス160の無線通信機165から送信される環境情報を無線通信機126にて受信できるように構成してもよい。この場合、制御部127は、受信した環境情報を所定の表示形式でディスプレイ121が出力するようにディスプレイ121を制御できるように構成することができる。無線通信機126については、センサデバイス160の無線通信機165で述べた通りであり、各種の通信方式が採用可能であるが、通信方式に応じて適宜選定すればよい。センサデバイス160と表示部120を構成する電子デバイスの間の好適な通信方式としては、RFIDが挙げられる。
【0041】
一実施形態において、表示部120を構成する電子デバイスは、センサデバイス160の無線通信機165から送信される警告表示を出す旨の指令を無線通信機126にて受信できるように構成してもよい。この場合、制御部127は、受信した前記指令に基づき警告表示を所定の表示形式でディスプレイ121が出力するようにディスプレイ121を制御できるように構成してもよい。
【0042】
一実施形態において、表示部120を構成する電子デバイスは、センサデバイス160の無線通信機165から送信される、環境情報の記録が開始されたことを表示する旨の指令を無線通信機126にて受信できるように構成してもよい。この場合、制御部127は、受信した前記指令に基づき記録が開始された旨の表示をディスプレイ121が出力するようにディスプレイ121を制御できるように構成してもよい。
【0043】
一実施形態において、表示部120を構成する電子デバイスは、センサデバイス160による環境情報の記録を開始する旨の指令を入力するための入力装置122を備えてもよい。入力装置122としては、限定的ではないが、例えば、キーボード、テンキー、マウス等のポインティングデバイス、タッチパネル、リーダー(OCR)、入力画面、マイク等の音声入力インターフェース等を採用可能である。この場合、制御部127は、環境情報の記録を開始する旨の指令を発することが可能となるように構成してもよい。そして、無線通信機126は、当該環境情報の記録を開始する旨の指令をセンサデバイス160に送信することが可能となるように構成してもよい。
【0044】
一実施形態において、表示部120を構成する電子デバイスは、センサデバイス160の無線通信機165から送信される警告音を鳴らす旨の指令を無線通信機126にて受信できるように構成してもよい。この場合、制御部127は、受信した前記指令に基づき音発生装置125が警告音を鳴らすように音発生装置125を制御できるように構成してもよい。
【0045】
<5.その他の表示部>
容器110の外面112には、環境情報がセンサデバイス160によって記録中であることを伝達するための表示部120に加えて、天地無用等の運搬上の注意事項を伝達するための表示部140を設けてもよい。一般的には、表示部140に示される情報は、容器110の外面112に印刷、押印又は描画等によって直接表示してもよいし、容器110の外面112に当該情報を記載したステッカーを貼付することによって表示してもよい。また、このような運搬上の注意事項を、環境情報がセンサデバイス160によって記録中であることを伝達するための表示部120に合わせて表示してもよい。
【実施例0046】
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらは本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
【0047】
<実施例>
天地無用表示を施した30cm角程度の段ボール箱を7個用意した。2kgの重さのサンプル配送品(配送伝票には配送品として「米」と記載)を各段ボール箱に入れ、センサにより荷物の向きをモニタリング中であることを表すステッカーを各段ボール箱の上蓋の外面に貼り付けた。ステッカーのサイズは、5.0cm×11.3cmの長方形とした。ステッカーは、黒色の枠内に黄色の背景色を有しており、「荷物の向きを記録しています」という記述及び人目のマークに加えて、「センサによる記録中」である旨を赤字で大きく表示した。
【0048】
次いで、荷物の姿勢(角度)を計測できるセンサ(3軸加速度センサ)が接続されたデータロガーを用意した。各段ボール箱の内フラップの内面に両面テープで貼り付けた封筒にこのデータロガーを収容して封をし、各段ボール箱の上蓋(内フラップ及び外フラップ)を閉じた。データロガーによる記録は荷物に貼り付けた時点で開始した。これら7個の段ボール箱を複数の物流会社を用いて、本社から2箇所の目的地(運搬距離はそれぞれ630km(B地点)、1,400km(A地点))に向けて運搬した。目的地に到着後、データロガーを回収し、荷物の姿勢(角度)と運搬時間が関連付けられたロギングデータをUHF帯RFIDリーダーにより取得した。実施例における7個の荷物のロギングデータを図6-1~図6-7に示す。取得データの解析にあたり、物流会社への荷渡しから目的地到着までの間、荷物の姿勢に大きな変化が無かった(荷物の底面が水平である場合を0°とし、5分以上連続的に60°を超えることがなかったことを意味する。)ものを正常な運搬と定義したところ、7個中6個の荷物について正常な運搬がなされたことが確認された。
【0049】
<比較例>
センサにより荷物の向きをモニタリング中であることを表すステッカーを各段ボール箱の上蓋の外面に貼り付けなかったこと以外は、実施例と同様の方法で、7個の段ボール箱を複数の物流会社を用いて、本社から2拠点の目的地(A地点、B地点)に向けて運搬した。目的地に到着後、データロガーを回収し、荷物の姿勢(角度)と運搬時間が関連付けられたロギングデータをUHF帯RFIDリーダーにより取得した。比較例における7個の荷物のロギングデータを図7-1~図7-7に示す。実施例と同じ基準で正常な運搬ができたか否かを調査したところ、7個中3個の荷物しか正常な運搬がなされなかったことが分かった。
【0050】
<考察>
以上の実証実験により、容器の外面に、容器内の環境情報がセンサデバイスによって記録中であることを伝達するための表示部を設けた荷物を用いることで、正常に運搬される荷物の割合を有意に高めることが可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0051】
100 :荷物
110 :容器
111 :内面
112 :外面
118 :上蓋
120 :表示部
121 :ディスプレイ
122 :入力装置
123 :記憶装置
124 :バッテリ
125 :音発生装置
126 :無線通信機
127 :制御部
140 :表示部
160 :センサデバイス
161 :センサ素子
162 :時計
163 :GPS受信機
164 :記憶装置
165 :無線通信機
166 :バッテリ
167 :制御部
169 :音発生装置
180 :物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図6-5】
図6-6】
図6-7】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図7-5】
図7-6】
図7-7】