(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001033
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】窓アセンブリ
(51)【国際特許分類】
C03C 3/087 20060101AFI20231226BHJP
C03C 3/095 20060101ALI20231226BHJP
C03C 27/12 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
C03C3/087
C03C3/095
C03C27/12 R
C03C27/12 D
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023149390
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2020504225の分割
【原出願日】2018-07-27
(31)【優先権主張番号】62/538,167
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】スリカンス バラナシ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ジェイムズ ホースリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス エックハート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両のフロントガラスまたは別の窓として使用でき、快適な外観を有するとともに軽量で、優れた日射制御特性を有し、高い耐衝撃性を有する窓アセンブリを提供する。
【解決手段】窓アセンブリは、第1のガラス板16と、第2のガラス板22と、両者の間に設けられたポリマー中間層28と、を備える。第1のガラス板は、化学的に強化され、400MPa以上の表面圧縮応力を示す。第2のガラス板は、68~74重量%のSiO
2、2~6重量%のMgO、1~10重量%のCaO、12~16重量%のNa
2O、0~1重量%のK
2O、0.8~2.0重量%のFe
2O
3(全鉄)、0~1.25重量%のTiO
2、および0~1.25重量%のCeO
2を含む。窓アセンブリは、55%以下の直接日射透過率および65%以下の全日射透過率を示す。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的に強化されており、400MPa以上の表面圧縮応力を示す第1のガラス板(1
6)と、
第1の主面(24)および第2の主面(26)を有する第2のガラス板(22)であっ
て、前記第2のガラス板(22)の前記第2の主面(26)および前記第1のガラス板(
16)の前記第1の主面(18)は対向し、前記第2のガラス板(22)は、68~74
重量%のSiO2、2~6重量%のMgO、1~10重量%のCaO、12~16重量%
のNa2O、0~1重量%のK2O、0.8~2.0重量%のFe2O3(全鉄)、0~
1.25重量%のTiO2、および0~1.25重量%のCeO2を含む、第2のガラス
板(22)と、
前記第1のガラス板(16)と前記第2のガラス板(22)との間に設けられたポリマ
ー中間層(28)とを備える、窓アセンブリ(10)であって、
空気質量1.5の55%以下の相対日射スペクトル分布に従って波長範囲300~250
0nmにわたり積分された直接日射透過率、および空気質量1.5の65%以下の相対日
射スペクトル分布に従って波長範囲300~2500nmにわたり積分された全日射透過
率を示す、窓アセンブリ(10)。
【請求項2】
前記第1のガラス板に面する側から測定して、70%以上の全可視光透過率(発光体A
、2度観測者)を示す、請求項1に記載の窓アセンブリ。
【請求項3】
前記窓アセンブリ(10)によって示される透過色(発光体D65、10度観測者)が
、緑-黄色である、請求項1または請求項2に記載の窓アセンブリ。
【請求項4】
前記窓アセンブリ(10)によって示される透過色(発光体D65、10度観測者)が
、-12~-5のa*値および0~6のab*値を有する、請求項1~3のいずれか一項
に記載の窓アセンブリ。
【請求項5】
前記第2のガラス板(22)が、0.8~1.9重量%のFe2O3(全鉄)を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項6】
前記第2のガラス板(22)が0.9~1.9重量%のFe2O3(全鉄)を含む、請
求項1~5のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項7】
前記第2のガラス板(22)が0.9~1.4重量%のFe2O3(全鉄)を含む、請
求項1~6のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項8】
前記第2のガラス板(22)の厚さが、前記第1のガラス板(16)の厚さより大きい
、請求項1~7のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項9】
前記第2のガラス板(22)の厚さが、前記第1のガラス板(16)の厚さより少なく
とも1.5倍大きい、請求項8に記載の窓アセンブリ。
【請求項10】
前記第2のガラス板(22)の厚さが、4mm以下であり、前記第1のガラス板(16
)の厚さが、2mm以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項11】
前記第2のガラス板(22)が、0.01~0.3重量%のTiO2を含む、請求項1
~10のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項12】
前記第2のガラス板(22)が、実質的にCo3O4を含まない、請求項1~11のい
ずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項13】
前記第2のガラス板(22)内のAl2O3の重量%が、前記第1のガラス板(16)
内のAl2O3の重量%未満である、請求項1~12のいずれか一項に記載の窓アセンブ
リ。
【請求項14】
前記第2のガラス板(22)が、0~2重量%のAl2O3を含む、請求項1~13の
いずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項15】
前記第1のガラス板(16)が、66~72重量%のSiO2、8~15重量%のMg
O、1~8重量%のCaO、12~16重量%のNa2O、0~1重量%のK2O、およ
び1.0~5.0重量%のAl2O3を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の窓
アセンブリ。
【請求項16】
前記第1のガラス板(16)が、4.0~5.0重量%のAl2O3を含む、請求項1
5に記載の窓アセンブリ。
【請求項17】
前記第1のガラス板(16)が、58~70重量%のSiO2、4~10重量%のMg
O、0~1重量%のCaO、12~18重量%のNa2O、0.1~5重量%のK2O、
および5~15重量%のAl2O3を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の窓ア
センブリ。
【請求項18】
前記第1のガラス板(16)が、450MPa以上の表面圧縮応力を示す、請求項1~
17のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項19】
前記第1のガラス板(16)が、600MPa以上の表面圧縮応力を示す、請求項18
に記載の窓アセンブリ。
【請求項20】
前記第1のガラス板(16)が、600~1,000MPaの表面圧縮応力を示す、請
求項18または請求項19に記載の窓アセンブリ。
【請求項21】
前記第1のガラス板(16)が、内側のガラス板であり、前記第2のガラス板(22)
が、外側のガラス板である、請求項1~20のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項22】
前記第1のガラス板(16)が、フロートガラスのシートであり、前記第2のガラス板
(22)が、フロートガラスのシートである、請求項1~21のいずれか一項に記載の窓
アセンブリ。
【請求項23】
前記窓アセンブリ(10)が、52%以下の直接日射透過率および62%以下の全日射
透過率を示す、請求項1~22のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項24】
前記窓アセンブリ(10)が、40~55%の直接日射透過率を示す、請求項1~23
のいずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項25】
前記窓アセンブリ(10)が、55~65%の全日射透過率を示す、請求項1~24の
いずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項26】
前記窓アセンブリ(10)が、5.0mm未満の厚さを有する、請求項1~25のいず
れか一項に記載の窓アセンブリ。
【請求項27】
前記窓アセンブリ(10)の厚さが、2.0~5.0mmである、請求項1~26のい
ずれか一項に記載の窓アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.119(e)の下、第62/538,167号を付与され
、2017年7月28日に出願された米国仮特許出願の利益を主張するものであり、その
全開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、窓アセンブリに関する。より詳細には、本発明は、車両で使用するための窓
アセンブリに関する。
【0003】
車両の窓は、車両の全体的なデザインの顕著な特徴である。他の重要な機能の中でも、
車両の窓は、暑い気候において発生する車両への太陽熱利得を制御し、車両の乗客を道路
の破片から保護するのに役立つ。外観と、例えば前記の窓の日射制御および耐衝撃性等の
機能特性との間に達成しなければならないバランスが、しばしば存在する。
【0004】
車両のフロントガラスまたは別の窓として使用でき、快適な外観を有するとともに軽量
で、優れた日射制御特性を有し、高い耐衝撃性を有する窓アセンブリを提供することが望
ましい。
【発明の概要】
【0005】
窓アセンブリの実施形態を以下に説明する。一実施形態において、窓アセンブリは、第
1のガラス板を備える。第1のガラス板は化学的に強化され、400MPa以上の表面圧
縮応力を示す。第1の主面および第2の主面を有する第2のガラス板が提供される。第2
のガラス板の第2の主面および第1のガラス板の第1の主面は対向している。第2のガラ
ス板は、68~74重量%のSiO2、2~6重量%のMgO、1~10重量%のCaO
、12~16重量%のNa2O、0~1重量%のK2O、0.8~2.0重量%のFe2
O3(全鉄)、0~1.25重量%のTiO2、および0~1.25重量%のCeO2を
含む。ポリマー中間層は、第1のガラス板と第2のガラス板との間に提供される。窓アセ
ンブリは、空気質量1.5の55%以下の相対日射スペクトル分布に従って波長範囲30
0~2500nmにわたり積分された直接日射透過率、および空気質量1.5の65%以
下の相対日射スペクトル分布に従って波長範囲300~2500nmにわたり積分された
全日射透過率を示す。
【0006】
好ましくは、第1のガラス板は、内側のガラス板である。
【0007】
好ましくは、第1のガラス板は、フロートガラスのシートである。
【0008】
好ましくは、第1のガラス板は、450MPa以上の表面圧縮応力を示す。
【0009】
好ましくは、第1のガラス板は、600MPa以上の表面圧縮応力を示す。
【0010】
好ましくは、第1のガラス板は、600~1,000MPaの表面圧縮応力を示す。
【0011】
好ましくは、第2のガラス板は、外側のガラス板である。
【0012】
好ましくは、第2のガラス板は、フロートガラスのシートである。
【0013】
好ましくは、第2のガラス板の厚さは、第1のガラス板の厚さより大きく、より好まし
くは、第2のガラス板の厚さは、第1のガラス板の厚さより少なくとも1.5倍大きい。
【0014】
好ましくは、第2のガラス板の厚さは、4mm以下であり、第1のガラス板の厚さは、
2mm以下である。
【0015】
好ましくは、第2のガラス板は、0.8~1.9重量%のFe2O3(全鉄)、より好
ましくは0.9~1.9重量%のFe2O3(全鉄)、さらにより好ましくは0.9~1
.4重量%のFe2O3(全鉄)を含む。
【0016】
好ましくは、第2のガラス板は、0.01~0.3重量%のTiO2を含む。
【0017】
好ましくは、第2のガラス板は、実質的にCo3O4を含まない。
【0018】
好ましくは、第1のガラス板は、Al2O3を含む。
【0019】
好ましくは、第2のガラス板は、Al2O3を含む。
【0020】
好ましくは、第2のガラス板は、0~2重量%のAl2O3を含む。
【0021】
好ましくは、第2のガラス板内のAl2O3の重量%は、第1のガラス板内のAl2O
3の重量%未満である。
【0022】
好ましくは、窓アセンブリは、第1のガラス板に面する側から測定して、70%以上の
全可視光透過率(発光体A、2度観測者)を示す。
【0023】
好ましくは、窓アセンブリによって示される透過色(発光体D65、10度観測者)は
、緑-黄色である。
【0024】
好ましくは、窓アセンブリによって示される透過色(発光体D65、10度観測者)は
、-12~-5のa*値および0~6のab*値を有する。
【0025】
好ましくは、窓アセンブリは、5.0mm未満の厚さを有する。より好ましくは、窓ア
センブリの厚さは、2.0~5.0mmである。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1のガラス板は、66~72重量%のSiO2、8~
15重量%のMgO、1~8重量%のCaO、12~16重量%のNa2O、0~1重量
%のK2O、および1.0~5.0重量%のAl2O3を含む。好ましくは、第1のガラ
ス板は、4.0~5.0重量%のAl2O3を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、第1のガラス板は、58~70重量%のSiO2、4~
10重量%のMgO、0~1重量%のCaO、12~18重量%のNa2O、0.1~5
重量%のK2O、および5~15重量%のAl2O3を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、窓アセンブリは、52%以下の直接日射透過率を示す。
好ましくは、窓アセンブリは、40~55%の直接日射透過率を示す。
【0029】
いくつかの実施形態において、窓アセンブリは、62%以下の全日射透過率を示す。好
ましくは、窓アセンブリは、55~65%の全日射透過率を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の上記および他の利点は、添付の図面に照らして考慮すると、以下の詳細な説明
から当業者に容易に明らかになるであろう。
【0031】
【
図1】本発明による窓アセンブリを示す車両の部分斜視図である。
【
図3】
図2の窓の線3-3に沿った部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、逆のことが明示的に指定されている場合を除いて、様々な代替の配向および
ステップシーケンスを想定することができることを理解されたい。添付の図面に示され、
以下の明細書に記載される具体的な物品、アセンブリ、および機能が、本発明の概念の単
なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、開示された実施形態に関
する具体的な寸法、方向、または他の物理的特徴は、特に断りのない限り、限定的である
とみなされるべきではない。また、そうではない場合もあるが、本明細書に記載の様々な
実施形態における同様の要素は、本出願の本項内において同様の参照番号で一般に参照さ
れ得る。
【0033】
窓アセンブリ10が、
図1~3に示されている。窓アセンブリ10は、
図1に示される
車両12に関連して説明される。本明細書に記載のアセンブリがオンハイウェイおよびオ
フハイウェイ車両に用途を有し得ることを、当業者は理解すべきである。さらに、本発明
は、工業、機関車、海軍、航空宇宙、および他の用途を有してもよいことを、当業者は理
解するであろう。
【0034】
好ましくは、窓アセンブリ10は、車両12のフロントウィンドウまたはフロントガラ
スになるように、車両12の車体開口部14に設置される。しかしながら、窓アセンブリ
10は、例えば、車両12の側部または後部開口部等の、車両12における別の車体開口
部で利用され得ることを理解されたい。これらの実施形態(図示せず)において、窓アセ
ンブリは、車両のバックライトまたはサイドライトである。他の実施形態(図示せず)に
おいて、窓アセンブリは、車両の別の車体開口部で利用され得る。例えば、窓アセンブリ
10は、車両12の屋根の開口部に設置され得る。この実施形態において、窓アセンブリ
10は、車両12のルーフライトである。
【0035】
窓アセンブリ10は、内側のガラス板16を備える。内側のガラス板16は、本明細書
において第1のガラス板と呼ばれることがある。内側のガラス板16は、フロートガラス
製造プロセスを使用して形成され、ガラスのシートとして提供されてもよい。
図3に最も
よく示されているように、内側のガラス板16は、第1の主面18および第2の主面20
を有する。好ましくは、第1の主面18および第2の主面20は、互いに平行な関係で提
供される。いくつかの実施形態において、第1の主面18は、外側のガラス板22の主面
26に面してもよい。これらの実施形態において、窓アセンブリ10が設置されたときに
、内側のガラス板16の第2の主面20が車両12の客室に面してもよい。
【0036】
好ましくは、内側のガラス板16は、透明ソーダ石灰シリカガラスである。そのような
一実施形態において、内側のガラス板16は低い鉄含有量を有し、これにより高い可視光
透過率が可能になる。例えば、内側のガラス板16は、0.15重量%以下のFe2O3
(全鉄)を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「全鉄」という語句は、ガラスに
含まれる酸化鉄(FeO+Fe2O3)の総重量を指す。より好ましくは、内側のガラス
板16は、0.1重量%以下のFe2O3(全鉄)、さらにより好ましくは0.02重量
%以下のFe2O3(全鉄)を含む。一実施形態において、内側のガラス板16は、0.
012重量%のFe2O3(全鉄)を含む。これらの実施形態において、内側のガラス板
16は、CIELABカラースケールシステム(発光体A、2度観測者)で91%以上の
全可視光透過率を示し得る。
【0037】
他の実施形態において、内側のガラス板16は、58~72重量%のSiO2、4~1
5重量%のMgO、0~8重量%のCaO、12~18重量%のNa2O、および0~5
重量%のK2Oを含む。これらの実施形態において、内側のガラス板16は、1.0重量
%以上のアルミナ(Al2O3)を含んでもよく、また0~0.3質量パーセントのSO
3も有してもよい。そのような一実施形態において、内側のガラス板16は、66~72
重量%のSiO2、8~15重量%のMgO、1~8重量%のCaO、12~16重量%
のNa2O、および0~1重量%のK2Oを含む。この実施形態において、内側のガラス
板16は、1.0重量%以上であるが5.0重量%未満のAl2O3を有する。好ましく
は、この実施形態において、内側のガラス板16は、4.0~5.0重量%のAl2O3
を有する。別の実施形態において、内側のガラス板16は、5.0重量%以上のAl2O
3を有してもよい。この実施形態において、内側のガラス板16は、5~15重量%のA
l2O3を有してもよい。この実施形態において、内側のガラス板16はまた、58~7
0重量%のSiO2、4~10重量%のMgO、0~1重量%のCaO、12~18重量
%のNa2O、および0.1~5重量%のK2Oを含んでもよい。この実施形態において
、内側のガラス板16の組成がホウ素を含まないことも好ましい場合がある。ある特定の
実施形態において、内側のガラス板16は、透明フロートガラスであってもよい。この実
施形態において、透明フロートガラスとは、BS EN572-1およびBS EN57
2-2(2012)において定義される組成を有するガラスを意味し得る。さらに他の実
施形態において、内側のガラス板16は、例えばホウケイ酸塩組成物等の別の組成物であ
ってもよい。
【0038】
外側のガラス板22の厚さと比較して、内側のガラス板16は比較的薄いことが好まし
い。一実施形態において、内側のガラス板16は、2ミリメートル(mm)以下の厚さを
有する。好ましくは、内側のガラス板16は、1mm以下の厚さを有する。一実施形態に
おいて、内側のガラス板16は、0.5~1.0mmの厚さを有する。より好ましくは、
内側のガラス板16は、0.5~0.8mmの厚さを有する。内側のガラス板16の厚さ
は、窓アセンブリ10の重量を減らすのに役立ち、これは車両の燃料経済性を改善するか
、または電気自動車である場合の車両の範囲を改善する。
【0039】
内側のガラス板16が薄く、窓アセンブリ10が依然として所望量の耐衝撃性を示すた
めに、内側のガラス板16は化学的に強化されることが好ましい。当該技術分野で知られ
ている化学強化プロセスは、内側のガラス板16との使用に適している。好ましくは、化
学強化プロセスはイオン交換の種類のものであり、溶融塩を使用して実行される。そのよ
うな一実施形態において、ガラス中のナトリウムイオンは、置換されるナトリウムイオン
のイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価カチオンで置換される。この実施形態
において、一価カチオンは、例えば、硝酸カリウムの溶融塩または硝酸カリウムおよび硝
酸ナトリウムの混合物によって提供されるカリウムイオンであってもよい。内側のガラス
板16として使用するのに適した化学強化ガラスは、日本板硝子株式会社によって製造お
よび販売されているglanova(商標)ガラスのシートである。しかしながら、他の
化学強化ガラスもまた、内側のガラス板16としての使用に適している。
【0040】
化学強化後、内側のガラス板16が高い表面圧縮応力を示すことが好ましい。一実施形
態において、内側のガラス板16は、400MPa以上の表面圧縮応力を示す。別の実施
形態において、内側のガラス板16は、450MPa以上の表面圧縮応力を示す。さらに
他の実施形態において、内側のガラス板16は、600MPa以上の表面圧縮応力を示す
。これらの実施形態において、内側のガラス板16は、600~1,000MPaの表面
圧縮応力を示し得る。好ましくは、内側のガラス板16は、600~800MPaの表面
圧縮応力を示す。より好ましくは、内側のガラス板16は、700~800MPaの表面
圧縮応力を示す。本明細書に記載の実施形態では、表面圧縮応力は、Strainopt
ics Laser GASP-CS(http://www.strainoptic
s.com/files/Laser%20GASP-CS%20Quick-Star
t%20(English).pdfまたはhttp://www.strainopt
ics.com/wp-content/uploads/2017/10/2017-
GASP-CS-Quick-Start.pdf)を使用して測定され得る。このよう
な機器は、Strainoptics,Inc.,108 W.Montgomery
Avenue,North Wales,PA 19454 USAから入手可能である
。化学強化ガラスおよび完全に熱強化されたケイ酸ソーダガラスに通常見られるような高
レベルの表面圧縮応力の場合、示差応力屈折計(DSR)を使用して表面圧縮応力を測定
できることが当技術分野で知られている。そのような機器は、Gaertner Sci
entific Corporation,3650 Jarvis Avenue,S
kokie,Illinois 60076 USAから入手可能である。
【0041】
ある特定の実施形態において、イオン浸透の深さは、化学強化後、200ミクロン以上
となり得る。他の実施形態において、化学強化後、内側のガラス板16はまた、15μm
以上の深さを有する圧縮応力層を含み得る。好ましくは、圧縮応力層は、15~40μm
の深さを有する。より好ましくは、圧縮応力層は、15~25μmの深さを有する。別の
実施形態において、内側のガラス板16は、化学強化後に550kgf/mm2以上のビ
ッカース硬度を示す。
【0042】
窓アセンブリ10は、外側のガラス板22も備える。外側のガラス板22は、本明細書
において第2のガラス板と呼ばれることがある。外側のガラス板22は、フロートガラス
製造プロセスを使用して形成され、フロートガラスのシートとして提供されてもよい。図
3に最もよく示されているように、外側のガラス板22は、第1の主面24および第2の
主面26を有する。第1の主面24および第2の主面26は、互いに平行な関係で提供さ
れる。外側のガラス板22の第2の主表面26および内側のガラス板16の第1の主表面
18は対向し、ある特定の実施形態において、互いに平行な関係にあってもよい。他の実
施形態(図示せず)において、窓アセンブリ10は、例えば、ヘッドアップディスプレイ
用途での使用等の用途に提供されてもよく、外側のガラス板22の第2の主面26および
内側のガラス板16の第1の主表面18は、互いに平行な関係で提供されない。これらの
実施形態において、外側のガラス板22の第2の主面26または内側のガラス板16の第
1の主面18は、一方の面18、26が他方に対して斜めに配置されるように配置され得
る。
【0043】
外側のガラス板22の組成および厚さは、窓アセンブリ10がある特定の太陽光、可視
光線透過率、および色特性を示すことができるように選択される。また、外側のガラス板
22の厚さは、内側のガラス板16の厚さよりも大きいことが好ましい。一般に、内側の
ガラス板16の厚さよりも大きい厚さを有する外側のガラス板22を提供することにより
、同じ厚さのガラス板を有する窓アセンブリと比較して、窓アセンブリ10の衝撃抵抗が
大きくなる。一実施形態において、外側のガラス板22は、内側のガラス板16の厚さよ
りも少なくとも1.5倍大きい厚さを有する。別の実施形態において、外側のガラス板2
2は、内側のガラス板16の厚さより少なくとも2.0倍大きい厚さを有する。これらの
実施形態において、外側のガラス板22は、4mm以下の厚さを有する。いくつかの実施
形態において、外側のガラス板22は、1.0~4.0mmの厚さを有する。他の実施形
態において、外側のガラス板22は、1.0~3.0mmの厚さを有する。さらに他の実
施形態において、外側のガラス板22は、1.2~2.5mmの厚さを有する。代替とし
て、いくつかの実施形態において、外側のガラス板22は、1.8~3.1mmの厚さを
有する。
【0044】
好ましくは、外側のガラス板22は、ソーダ石灰シリカガラスである。しかしながら、
外側のガラス板22は、例えば、ホウケイ酸塩またはアルミノケイ酸塩組成物等の別の組
成物であってもよい。外側のガラス板22が着色されていることもまた好ましい。そのよ
うな一実施形態において、外側のガラス板22は緑-黄色である。外側のガラス板22の
色は、窓アセンブリ10の実施形態によって異なることがある。
【0045】
所望の色を呈するソーダ石灰シリカガラスを提供するために、外側のガラス板22は、
68~74重量%のSiO2、2~6重量%のMgO、1~10重量%のCaO、12~
16重量%のNa2O、および0~1重量%のK2Oを含む。ある特定の実施形態におい
て、外側のガラス板内のCaOは、1~9重量%であり、また1~8重量%であってもよ
い。そのような一実施形態において、外側のガラス板22内のCaOは、6~8重量%で
あってもよい。外側のガラス板22は、0~2重量%のAl2O3を含んでもよい。外側
のガラス板の化学的耐久性を改善することが望まれる場合、外側のガラス板22は、1~
2重量%のAl2O3を含んでもよい。したがって、ある特定の実施形態において、外側
のガラス板22の組成は、内側のガラス板16の組成よりも少ないAl2O3を含む。
【0046】
さらに、外側のガラス板22内の全鉄の望ましい量は、外側のガラス板22のために選
択された厚さに応じて変動する。ガラスに鉄が存在する場合、鉄は2つの酸化状態、つま
り第一鉄(Fe2+)および第二鉄(Fe3+)の状態で存在する。一実施形態において
、全鉄は、Fe2O3として計算される20~30%の第一鉄を含み得る。化学的手法に
より第一鉄を測定することが可能である。代替として、第一鉄の含有量は、第一鉄に起因
するピーク吸収の領域にあることから1000nmでのガラスの吸収を測定することによ
り決定され得る。周知のランベルト-ベールの法則および適切な第一鉄の吸光係数を使用
して、第一鉄の含有量を決定することが可能である。ガラス中の第二鉄に対する第一鉄の
量を光学的に決定する方法は、C.R.Bamfordによる「Colour Cont
rol and Generation in Glass」、Elsevier(19
77)に記載されている。
【0047】
外側のガラス板22がより厚い場合、外側のガラス板22内のFe2O3の量は、外側
のガラス板22がより薄い場合よりも少ないことが好ましい。一実施形態において、外側
のガラス板22は、0.8~2.0重量%のFe2O3(全鉄)を含む。別の実施形態に
おいて、外側のガラス板22は、0.8~1.9重量%のFe2O3(全鉄)を含む。好
ましくは、外側のガラス板22は、0.9~1.9重量%のFe2O3(全鉄)を含む。
これらの実施形態のいくつかにおいて、外側のガラス板22は、0.9~1.8重量%の
Fe2O3(全鉄)を含む。他の実施形態において、外側のガラス板22は、0.9~1
.4重量%のFe2O3(全鉄)を含む。したがって、ある特定の実施形態において、外
側のガラス板22の組成は、内側のガラス板16の組成よりも高い鉄含有量を含む。
【0048】
ある特定の実施形態において、窓アセンブリ10がある特定の色特性を示すことが望ま
しい場合がある。これらの実施形態において、外側のガラス板22は、TiO2を含んで
もよい。外側のガラス板22がTiO2を含む場合、窓アセンブリ10は所望の色特性を
示し、紫外線が窓アセンブリ10を通って車両12の客室に入るのを阻止することができ
る。一実施形態において、外側のガラス板22は、0~1.25重量%のTiO2を含む
。別の実施形態において、外側のガラス板22は、0.01~1.25重量%のTiO2
を含む。いくつかの実施形態において、外側のガラス板22は、0~0.3重量%のTi
O2を含む。そのような一実施形態において、外側のガラス板22は、0.01~0.3
重量%のTiO2を含む。別の実施形態において、外側のガラス板22は、0.03~0
.3重量%のTiO2を含む。他の実施形態において、窓アセンブリ10によって示され
る所望の色および紫外線放射遮断特性は、外側のガラス板22の組成にCeO2を添加す
ることにより達成され得る。これらの実施形態において、CeO2は、TiO2の代替と
して、またはそれと組み合わせて使用され得る。一実施形態において、外側のガラス板2
2は、0~1.25重量%のCeO2を含む。別の実施形態において、外側のガラス板2
2は、0.01~0.5重量%のCeO2を含む。
【0049】
ある特定の実施形態において、外側のガラス板22内のCo3O4の存在は、可視光透
過率を低下させ、外側のガラス板22の色に影響を及ぼすため、望ましくない。したがっ
て、以下で説明する窓アセンブリ10の所望の可視光透過率および色特性のために、外側
のガラス板22の組成は実質的にCo3O4を含まないことが好ましい場合がある。これ
らの実施形態において、「実質的にCo3O4を含まない」という語句は、外側のガラス
板22が10パーツパーミリオン(ppm)以下のCo3O4を含むことを意味する。よ
り低い可視光透過が望ましい場合がある他の実施形態、例えば、バックライト、後部サイ
ドライト、またはルーフライトでは、外側のガラス板は、Co3O4、Se、ならびに外
側のガラス板に適切に低い可視光透過率および透過色を提供する着色剤として利用され得
る他の材料を含んでもよい。
【0050】
窓アセンブリ10はまた、内側のガラス板16と外側のガラス板22との間に設けられ
たポリマー中間層28を備える。ポリマー中間層28は、特定の厚さに限定されない。し
かしながら、ある特定の実施形態において、ポリマー中間層28は、0.3~1.8mm
、好ましくは0.5~1.6mmの厚さを有する。より好ましくは、ポリマー中間層28
は、0.6~0.9mmの厚さを有する。そのような一実施形態において、ポリマー中間
層28の厚さは、0.76mmである。
【0051】
ポリマー中間層28は、第1の主表面および第2の主表面を備えてもよい。ある特定の
実施形態において、中間層28は、内側のガラス板16および外側のガラス板22の形状
に実質的に一致する形状のポリマーシートとして提供される。
図3に示されるように、ポ
リマー中間層28の第1の主表面および第2の主表面は、互いに平行な関係で提供されて
もよい。他の実施形態、例えば、窓アセンブリ10がヘッドアップディスプレイ用途で利
用される場合等において、ポリマー中間層28の第1の主面および第2の主面は、互いに
平行な関係で提供されなくてもよい。これらの実施形態において、ポリマー中間層28の
第1の主表面または第2の主表面は、一方の表面が他方に対して斜めに配置されるように
配置されてもよい。別の実施形態において、ポリマー中間層28は、略三角形またはくさ
び形であってもよい。
【0052】
好ましくは、ポリマー中間層28は透明であり、可視光に対して実質的に透過性である
。任意選択で、ポリマー中間層28は、追加の日照制御機能を提供するために、色付され
、かつ/またはIR反射フィルムを含み得る。しかしながら、窓アセンブリ10の利点は
、色付けされることなく、またはIR反射フィルムを必要とすることなく、所望の太陽光
特性および可視光線透過率を示すことができることであり、これは先行技術の設計と比較
して窓アセンブリ10のコストを削減する。ポリマー中間層28は、例えばポリビニルブ
チラール(PVB)等の好適なポリマー、またはPVC、EVAおよびポリウレタン等の
別の好適な材料であるか、またはそれらを含む。
【0053】
ポリマー中間層は、改善された音低減特性を有してもよく、例えば、ポリマー中間層は
、音響変調PVBを含んでもよい。
【0054】
窓アセンブリ10を形成するために、内側のガラス板16および外側のガラス板22は
互いに積層されていてもよく、そうでなければポリマー中間層28を介して互いに接着さ
れていてもよい。当技術分野で知られている積層プロセスは、ポリマー中間層28を介し
て内側のガラス板16を外側のガラス板22に接着して、窓アセンブリ10を形成するの
に適している。一般的に、そのような積層プロセスは、内側のガラス板16と外側のガラ
ス板22との間にポリマー中間層28を挿入し、中間層および板を所定の温度および圧力
に供して積層窓アセンブリ10を形成することを含む。
【0055】
窓アセンブリ10が形成されると、窓アセンブリ10は5.0mm未満の厚さを有する
ことが好ましい。ある特定の実施形態において、窓アセンブリ10の厚さは、4.0mm
以下であってもよい。他の実施形態において、窓アセンブリ10の厚さは、3.0mm未
満であってもよい。これらの実施形態では、窓アセンブリは、少なくとも2.0mmの厚
さを有してもよい。
【0056】
窓アセンブリ10によって示される透過色は、有利な特徴である。窓アセンブリ10の
実施形態を説明する目的のために、窓アセンブリによって示される透過色は、アセンブリ
から入射する90度の角度で測定される窓アセンブリを透過する可視光を指し、発光体D
65、10度の観測者を使用したCIELABカラースケールシステムに関連して説明さ
れる。好ましくは、窓アセンブリ10は、緑色の透過色を示す。これらの実施形態におい
て、窓アセンブリ10は、CIELABカラースケールシステム(発光体D65、10度
観測者)に従って-12~-5のa*値を示す。いくつかの実施形態において、窓アセン
ブリ10は、CIELABカラースケールシステム(発光体D65、10度観測者)に従
って-12~-6、好ましくは-11~-6のa*値を示す。窓アセンブリ10はまた、
CIELABカラースケールシステム(発光体D65、10度観測者)による透過におい
て-2~6のb*値を示し得る。特定の実施形態において、窓アセンブリ10は、緑-黄
色の透過色を呈する。これらの実施形態において、窓アセンブリ10は、CIELABカ
ラースケールシステム(発光体D65、10度観測者)による透過において0~6、好ま
しくは2~6のb*値を示す。また、窓アセンブリによって示される明度(L*)は、発
光体D65、10度観測者を使用したCIELABカラースケールシステムに関連して説
明される。窓アセンブリ10は、CIELABカラースケールシステム(発光体D65、
10度観測者)において88以上のL*を示すことが好ましい。
【0057】
窓アセンブリ10はまた、他の有利な特性を示す。例えば、窓アセンブリ10は、低い
直接日射透過率を示し得る。本明細書で使用される場合、直接日射透過率(TDS)は、
空気質量1.5の相対日射スペクトル分布に従って、300~2500nmの波長範囲に
わたり積分された日射透過率を指す。直接日射透過率は、ISO13837:2008規
約A等の認識された標準に従って決定され得る。ある特定の実施形態において、窓アセン
ブリ10は、55%以下の直接日射透過率を示す。そのような一実施形態において、窓ア
センブリ10は、40~55%の直接日射透過率を示してもよい。いくつかの実施形態に
おいて、窓アセンブリ10は、52%以下の直接日射透過率を示す。好ましくは、窓アセ
ンブリ10は、50%以下の直接日射透過率を示す。ある特定の実施形態において、窓ア
センブリ10は、45%以下の直接日射透過率を示してもよい。これらの実施形態におい
て、窓アセンブリ10は、少なくとも40%の直接日射透過率を示してもよい。
【0058】
窓アセンブリ10は、低い全日射透過率を示し得る。本明細書で使用される場合、全日
射透過率(TTS)は、窓アセンブリを直接透過する太陽エネルギーと、アセンブリによ
って吸収される太陽エネルギーとを含み、その後対流され、内側に放熱され、空気質量1
.5の相対日射スペクトル分布に従って、300~2500nmの波長範囲にわたり積分
される。総日射透過率は、ISO13837:2008規約A等の認識された標準に従っ
て、時速14キロメートルの風速で決定され得る。ある特定の実施形態において、窓アセ
ンブリ10は、65%以下の全日射透過率を示す。そのような一実施形態において、窓ア
センブリ10は、55~65%の全日射透過率を示す。他の実施形態において、窓アセン
ブリ10は、62%以下の全日射透過率を示す。好ましくは、窓アセンブリ10は、60
%以下の全日射透過率を示す。これらの実施形態において、窓アセンブリ10は、少なく
とも55%の全日射透過率を示してもよい。
【0059】
窓アセンブリ10の実施形態はまた、有利な全可視光透過率を示し得る。例えば、窓ア
センブリ10が車両12の窓ガラスとして利用される場合、アセンブリ10によって示さ
れる全可視光透過率は、合理的な量の可視光透過率を車両12の客室に提供することによ
り、乗客の視覚的快適性を改善する。窓アセンブリ10を説明するために、全可視光透過
率は、発光体A、2度観測者を使用したCIELABカラースケールシステムに関連した
、内側のガラス板に面する側から測定されたアセンブリを通過する可視光の割合を指す。
上述の実施形態において、窓アセンブリ10は、CIELABカラースケールシステム(
発光体A、2度観測者)において70%以上の全可視光線透過率を有することが好ましい
。特定の実施形態において、窓アセンブリ10は、CIELABカラースケールシステム
(発光体A、2度観測者)において75%以上の全可視光透過率を有する。いくつかの実
施形態において、窓アセンブリ10は、CIELABカラースケールシステム(発光体A
、2度観測者)において70~80%の全可視光透過率を有する。しかしながら、車両に
おける窓アセンブリ10の用途または場所に応じて、窓アセンブリ10は、70%未満の
全可視光透過率を示してもよい。例えば、窓アセンブリ10がバックライト、後方サイド
ライト、またはルーフライトとして利用される場合、窓アセンブリ10は、CIELAB
カラースケールシステム(発光体A、2度観測者)において70%未満の全可視光透過率
を示してもよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、窓アセンブリ10は、CIEL
ABカラースケールシステム(発光体A、2度観測者)において50%未満の全可視光透
過率を示してもよい。好ましくは、窓アセンブリ10がバックライトまたは後方サイドラ
イトとして利用される場合、窓アセンブリ10は、CIELABカラースケールシステム
(発光体A、2度観測者)において30%以下の全可視光透過率を示してもよい。窓アセ
ンブリ10がルーフライトとして利用される場合、窓アセンブリ10は、CIELABカ
ラースケールシステム(発光体A、2度観測者)において20%以下、より好ましくは1
0%以下の全可視光線透過率を示してもよい。
【実施例0060】
以下の実施例は、窓アセンブリの実施形態をさらに例示および開示するためにのみ提示
される。以下で説明される窓アセンブリの例(実施例1~実施例3)は予測的なものであ
り、表にリストされている特性を示す。
【0061】
実施例1~実施例3の窓アセンブリは、それぞれ内側のガラス板を含む。実施例1では
、内側のガラス板は、上記のようなソーダ石灰シリカ組成および0.5mmの厚さを有す
る。実施例2および実施例3では、内側のガラス板は、上記のものと同様のソーダ石灰シ
リカ組成および0.7mmの厚さを有する。実施例1~実施例3では、内側のガラス板は
透明であり、フロートガラス製造プロセスまたは別のプロセスによって形成されてもよい
。それぞれの内側の板に使用されるガラスのシートは、例えば上記の溶融塩を使用して化
学的に強化される。
【0062】
実施例1~実施例3のそれぞれに、色付きの外側のガラス板も用意した。外側のガラス
板は、ソーダ石灰シリカ組成を有していた。実施例1では、組成物は、72重量%のSi
O2、3.9重量%のMgO、7.0重量%のCaO、14重量%のNa2O、0.5重
量%のK2O、7.5重量%のCaO、および1.1重量%のAl2O3を含んでいた。
実施例2および実施例3では、組成物は、72重量%のSiO2、3.9重量%のMgO
、7.5重量%のCaO、14重量%のNa2O、0.5重量%のK2O、7.5重量%
のCaO、および1.1重量%のAl2O3を含んでいた。実施例1では、外側のガラス
板も1.8重量%のFe2O3(全鉄)を含んでいた。実施例2では、外側のガラス板も
1.3重量%のFe2O3(全鉄)を含んでいた。実施例3では、外側のガラス板は1.
3重量%のFe2O3(全鉄)を含んでいた。実施例1~実施例3では、全鉄はFe2O
3として計算された28%の第一鉄であった。誤解を避けるために、外側の板の全鉄含有
量がFe2O3として計算される28%の第一鉄の第一鉄含量で1.3重量%のFe2O
3である実施例3では、Fe2O3として表される第一鉄の含有量は、(=1.3×28
/100)で0.364重量%である。
【0063】
実施例1の外側の板は1.3mmの厚さを有し、実施例2の外側の板は1.8mmの厚
さを有し、実施例3の外側の板は2.1mmの厚さを有する。好ましくは、外側のガラス
板は、フロートガラス製造プロセスによって形成され、それぞれがガラスのシートとして
提供される。
【0064】
外側のガラス板はそれぞれ、上記の透明ポリマー中間層を利用して、内側のガラス板に
積層される。実施例1~実施例3のそれぞれにおいて、中間層はPVB組成物であり、厚
さが0.76mmであり、可視光に対して実質的に透明であった。
【0065】
実施例1~実施例3の窓アセンブリの全可視光透過率(Tvis)、透過色(Ta*、
Tb*)、明度(L*)、直接日射エネルギー透過率(TDS)、および全日射透過率(
TTS)は、表に報告されている。各例について、全可視光透過率は、光学モデリングに
よって、発光体A、2度観測者を使用したCIELABカラースケールシステムに従って
計算された。表に報告されている透過色および明度は、光学モデリングによって、発光体
D65、10度観測者を使用したCIELABカラースケールシステムに従って計算され
た。直接日射透過率は、光学モデリングによって計算され、ISO13837:2008
規約Aに従って決定された。全日射透過率は、光学モデリングによって計算され、ISO
13837:2008規約Aに従って時速14キロメートルの風速で決定された。以下で
報告される全可視光線透過率、直接日射透過率、および全日射透過率は、パーセンテージ
で表される。
【表1】
【0066】
表に示されるように、実施例1~実施例3で示される窓アセンブリの実施形態は、CI
ELABカラースケールシステム(発光体D65、10度観測者)に従ってそれぞれ-1
2~-5のa*値および2~6のab*値を示すため、緑-黄色の透過色を示す。また、
実施例1~実施例3で示される窓アセンブリは、高い可視光線透過率を示す。例えば、実
施例1~実施例3の窓アセンブリは、それぞれ70%以上の透過の可視光透過率を示す(
発光体A、2度観測者)。実際、実施例1および実施例2の窓アセンブリは、それぞれ7
5%以上の可視光線透過率を示す(発光体A、2度観測者)。また、実施例1~実施例3
の窓アセンブリは、55%未満の直接日射透過率を示す。さらに、実施例1~実施例3の
窓アセンブリは、50%未満の直接日射透過率を示す。さらに、実施例1~実施例3の窓
アセンブリは、65%未満の全日射透過率を示す。さらに、実施例3の窓アセンブリは、
60%未満の全日射透過率を示した。
【0067】
したがって、本発明は、第1のガラス板を含む窓アセンブリを提供する。第1のガラス
板は化学的に強化され、400MPa以上の表面圧縮応力を示す。窓アセンブリの第2の
ガラス板は、第1の主面および第2の主面を有する。第2のガラス板の第2の主面と第1
のガラス板の第1の主面は対向している。第2のガラス板は、68~74重量%のSiO
2、2~6重量%のMgO、1~10重量%のCaO、12~16重量%のNa2O、0
~1重量%のK2O、0.8~2.0重量%のFe2O3(全鉄)、0~1.25重量%
のTiO2、および0~1.25重量%のCeO2を含む。ポリマー中間層は、第1のガ
ラス板と第2のガラス板の間に提供される。窓アセンブリは、55%以下の直接日射透過
率および65%以下の全日射透過率を示す。
【0068】
前述の詳細な説明から、真の範囲および趣旨から逸脱することなく、様々な修正、追加
、および他の代替実施形態が可能であることは明らかであろう。本明細書で論じられる実
施形態は、本発明の原理およびその実際の適用の最良の例示を提供するために選択および
説明され、それにより、当業者が、本発明を、企図される特定の用途に好適なように、様
々な実施形態で、また様々な修正を加えて使用できるようにする。理解されるであろうと
おり、そのような修正および変更はすべて、本発明の範囲内にある。