(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103309
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】車両用通信装置
(51)【国際特許分類】
E05B 81/58 20140101AFI20240725BHJP
E05B 81/78 20140101ALI20240725BHJP
E05B 85/16 20140101ALI20240725BHJP
E05B 85/18 20140101ALI20240725BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240725BHJP
B60R 25/31 20130101ALI20240725BHJP
【FI】
E05B81/58
E05B81/78
E05B85/16 B
E05B85/18 B
E05B49/00 J
B60R25/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007577
(22)【出願日】2023-01-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】小泉 貴明
(72)【発明者】
【氏名】樅山 雅
(72)【発明者】
【氏名】林 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】稲生 翔太
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250FF23
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ47
2E250LL01
2E250PP12
2E250SS04
2E250SS09
2E250SS11
(57)【要約】
【課題】通信部の駆動時において、通信部からの電波に起因するセンサの誤検知または誤作動を抑制することが可能な車両用通信装置を提供する。
【解決手段】この車両用通信装置は、ユーザの身体またはユーザが所持する通信対象の接近または接触を検出するセンサと、車両側に配置され、センサとは独立して駆動されるとともに、通信対象が所定の検出範囲内にあることを検出する通信対象検出駆動を実施し、通信対象が所定の検出範囲内にあることが検出された後に通信対象と通信する通信部と、少なくとも通信部による通信の開始前からセンサによる検出を停止させる制御を行う制御部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体またはユーザが所持する通信対象の接近または接触を検出するセンサと、
車両側に配置され、前記センサとは独立して駆動されるとともに、前記通信対象が所定の検出範囲内にあることを検出する通信対象検出駆動を実施し、前記通信対象が前記所定の検出範囲内にあることが検出された後に前記通信対象と通信する通信部と、
少なくとも前記通信部による通信の開始前から前記センサによる前記検出を停止させる制御を行う制御部と、を備える、車両用通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信部による通信の開始前から前記センサによる前記検出を停止させるとともに、前記通信部による通信の終了後まで前記センサによる前記検出を停止させる制御をさらに行う、請求項1に記載の車両用通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記通信部による通信の開始における制御周期の所定倍数前に、前記センサによる前記検出を停止させる制御信号の出力を開始するとともに、前記通信部による通信の終了における前記制御周期の所定倍数後に、前記センサによる前記検出を停止させる制御信号の出力を終了するように構成されている、請求項2に記載の車両用通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信部による前記通信対象が前記所定の検出範囲内にあることを検出するとともに、前記通信部による前記検出の結果と前記センサの駆動の有無とに対して設定された優先順位に基づいて、前記センサによる前記検出を停止させる制御信号を出力するように構成されている、請求項1に記載の車両用通信装置。
【請求項5】
前記センサおよび前記通信部は、同一の前記制御部により制御されるように構成されている、請求項1に記載の車両用通信装置。
【請求項6】
前記センサは、車両用ドアハンドルの近傍に配置された近接センサを含み、
前記通信部は、近距離無線通信により通信するように構成されている、請求項1に記載の車両用通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用通信装置に関し、特に、センサと、通信部と、制御部とを備える車両用通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサと、通信部と、制御部とを備える車両用通信装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ロックセンサ、アンロックセンサおよびアンテナ駆動検知部を含む人検知IC(Integrated Circuit)と、アンテナ用コイル(通信部)と、制御部とを備える車両用ドアハンドル装置(車両用通信装置)が開示されている。ロックセンサは、人がロック領域に触れたことを検知する施錠用の静電容量式センサである。アンロックセンサは、人がアンロック領域に触れたことを検知する開錠用の静電容量式センサである。アンテナ駆動検知部は、アンテナ用コイルが駆動しているか否かを検知する部分である。アンテナ用コイルは、定期的に出力される問い合わせ信号を外部に送信するアンテナ機能を有している。制御部は、アンテナ駆動検知部がアンテナ用コイルの駆動を検知した場合に、ロックセンサおよびアンロックセンサの機能を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、制御部は、アンテナ駆動検知部によるアンテナ用コイルの駆動の検知結果を受けて、ロックセンサおよびアンロックセンサの機能を停止させる。そのため、上記特許文献1に明記されていないが、アンテナ用コイルの駆動開始のタイミングに対して、制御部によるロックセンサおよびアンロックセンサの機能停止のタイミングが遅延すると考えられる。これにより、アンテナ用コイル(通信部)から発生した電磁波に起因して、ロックセンサおよびアンロックセンサが誤検知または誤作動を引き起こす可能性がある。そのため、通信部の駆動時において、通信部からの電波に起因するセンサの誤検知または誤作動を抑制できることが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、通信部の駆動時において、通信部からの電波に起因するセンサの誤検知または誤作動を抑制することが可能な車両用通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における車両用通信装置は、ユーザの身体またはユーザが所持する通信対象の接近または接触を検出するセンサと、車両側に配置され、センサとは独立して駆動されるとともに、通信対象が所定の検出範囲内にあることを検出する通信対象検出駆動を実施し、通信対象が所定の検出範囲内にあることが検出された後に通信対象と通信する通信部と、少なくとも通信部による通信の開始前からセンサによる検出を停止させる制御を行う制御部と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面における車両用通信装置では、上記のように、少なくとも通信部による通信の開始前からセンサによる検出を停止させる制御を行う制御部を備える。これにより、通信部による通信が開始された時点において、制御部により、センサによる検出は停止されている。そのため、通信部による通信対象との通信期間と、センサによるユーザの身体またはユーザが所持する通信対象の接近または接触の検出期間とが重なることを抑制することができる。そのため、通信部からの電波に起因するセンサの誤検知または誤作動を抑制することができる。
【0009】
上記一の局面における車両用通信装置において、好ましくは、制御部は、通信部による通信の開始前からセンサによる検出を停止させるとともに、通信部による通信の終了後までセンサによる検出を停止させる制御をさらに行う。
【0010】
このように構成すれば、通信部による通信の開始から終了までの期間と、センサによる検出期間とが重なることを抑制することができる。そのため、通信部からの電波に起因するセンサの誤検知または誤作動をより抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、通信部による通信の開始における制御周期の所定倍数前に、センサによる検出を停止させる制御信号の出力を開始するとともに、通信部による通信の終了における制御周期の所定倍数後に、センサによる検出を停止させる制御信号の出力を終了するように構成されている。なお、「所定倍数」とは、たとえば、1倍未満の2分の1倍や、1倍などを含む広い概念である。
【0012】
このように構成すれば、制御部は、通信部の通信開始における制御周期の所定倍数前にセンサによる検出を停止させる制御信号の出力を確実に開始することができるとともに、通信部の通信終了における制御周期の所定倍数後にセンサによる検出を停止させる制御信号の出力を確実に終了することができる。そのため、通信部による通信の開始から終了までの期間と、センサによる検出期間とが重なることを確実に抑制することができるため、通信部からの電波に起因するセンサの誤検知または誤作動を確実に抑制することができる。
【0013】
上記一の局面における車両用通信装置において、好ましくは、制御部は、通信部による通信対象が検出範囲内にあることを検出するとともに、通信部による検出の結果とセンサの駆動の有無とに対して設定された優先順位に基づいて、センサによる検出を停止させる制御信号を出力するように構成されている。
【0014】
このように構成すれば、通信部による通信とセンサの駆動とが同時に発生する場合に、制御部は、設定された上記優先順位に基づいて、センサによる検出を停止させることができる。そのため、通信部による通信とセンサの駆動とが同時に発生する場合に、制御部は、センサの検出停止の制御信号を適切に出力することができる。
【0015】
上記一の局面における車両用通信装置において、好ましくは、センサおよび通信部は、同一の制御部により制御されるように構成されている。
【0016】
このように構成すれば、制御部、センサおよび通信部をモジュール化することができるので、制御部と、センサおよび通信部とを接続する配線などの数量の増大を抑制することができるため、車両用通信装置の部品点数の増加および構造の複雑化を抑制することができる。また、制御部がセンサおよび通信部の両方の制御を行うため、制御部による、通信部による通信の開始前からセンサによる検出を停止させる制御を容易に行うことができる。
【0017】
上記一の局面における車両用通信装置において、好ましくは、センサは、車両用ドアハンドルの近傍に配置された近接センサを含み、通信部は、近距離無線通信により通信するように構成されている。
【0018】
このように構成すれば、車両への乗り降りの際にユーザにより操作される車両用ドアハンドルの近傍に、近接センサと、近距離無線通信により通信する通信部とを配置することができる。そのため、デジタルキーシステムやスマートキーシステムなどにより車両のドアのロックおよびアンロックを行う場合において、ドアのロックおよびアンロックの操作性および確実性を向上させることができる。
【0019】
なお、上記一の局面における車両用通信装置において、以下のような構成も考えられる。
【0020】
(付記項1)
すなわち、上記通信部による通信の開始における制御周期の所定倍数前にセンサによる検出を停止させる制御信号の出力を開始するとともに、通信部による通信の終了における制御周期の所定倍数後にセンサによる検出を停止させる制御信号の出力を終了するように構成されている車両用通信装置において、制御部は、通信部による通信の開始における1制御周期前に、センサによる検出を停止させる制御信号の出力を開始するとともに、通信部による通信の終了における1制御周期後に、センサによる検出を停止させる制御信号の出力を終了するように構成されている。
【0021】
このように構成すれば、制御部は、制御周期を用いることにより、センサによる検出停止の制御信号の出力の開始および終了の制御を容易に行うことができる。
【0022】
(付記項2)
上記制御部は通信部による通信の終了後までセンサによる検出を停止させる制御をさらに行う車両用通信装置において、通信部は、種類の異なる複数の通信部を含み、制御部は、複数の通信部のうちの少なくとも1つの通信部による通信の開始前から通信部による通信の終了後まで、センサによる検出を停止させる制御を行うように構成されている。
【0023】
このように構成すれば、通信可能な距離が異なる複数の通信部を用いることにより、ユーザが所持する通信対象が通信可能な距離が異なる複数の通信部を含む場合に、通信対象の通信部に応じて適切に通信することができるため、ユーザの利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0024】
(付記項3)
上記一の局面による車両用通信装置において、制御部とセンサとが一体的に構成されている。
【0025】
このように構成すれば、制御部とセンサとを接続する配線などの数量の増大を抑制することができるため、車両用通信装置の部品点数の増加および構造の複雑化を抑制することができる。
【0026】
(付記項4)
上記一の局面による車両用通信装置において、センサは、静電容量センサである。
【0027】
このように構成すれば、ユーザの身体またはユーザが所持する通信対象の接近を簡易な構成により検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施形態による車両用通信装置が設けられた車両の模式図である。
【
図3】第1実施形態による車両用通信装置の電気的な構成を示したブロック図である。
【
図4】第1実施形態によるセンサの検出停止の制御処理を説明するための説明図である。
【
図5】第1実施形態による優先順位に基づく検出停止の制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図6】第2実施形態による通信部の電波検出停止の制御処理を説明するための説明図である。
【
図7】第2実施形態による優先順位に基づく検出停止の制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】第3実施形態によるセンサの検出停止の制御処理を説明するための説明図である。
【
図9】第1変形例によるセンサの検出停止の制御処理を説明するための説明図である。
【
図10】第2変形例によるセンサの検出停止の制御処理を説明するための説明図である。
【
図11】第3変形例によるセンサの検出停止の制御処理を説明するための説明図である。
【
図12】第4変形例によるセンサの検出停止の制御処理を説明するための説明図である。
【
図13】第5変形例によるセンサの検出停止の制御処理を説明するための説明図である。
【
図14】第6変形例による車両用通信装置の電気的な構成を示したブロック図である。
【
図15】第7変形例による車両用通信装置の電気的な構成を示したブロック図である。
【
図16】第8変形例による車両用通信装置の電気的な構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
[第1実施形態]
図1~
図5を参照して、第1実施形態による車両用通信装置100の構成について説明する。なお、
図1および
図2では、車両90の前進方向をX1方向とし、後進方向をX2方向とし、X1方向およびX2方向を合わせた方向をX方向とする。車両室内からX1方向を向いた場合の右方向をY1方向とし、車両室内からX1方向を向いた場合の左方向をY2方向とし、Y1方向およびY2方向を合わせた方向をY方向とする。また、上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向とし、下方向をZ2方向とする。なお、本明細書では、一例として、車両には、車両室内のY1方向側に運転席が設けられ、車両室内のY2方向側に助手席が設けられている。
【0031】
図1および
図2に示す車両用通信装置100は、いわゆるデジタルキーシステムを有する。デジタルキーシステムは、たとえば、近距離無線通信によってユーザが所持するスマートフォン80を認証することにより、車両90に搭載された機器の操作を実行可能にするものである。なお、スマートフォン80は、特許請求の範囲の「通信対象」の一例である。
【0032】
図3に示すように、車両用通信装置100は、スマートフォン80(
図1参照)から送信される所定の識別情報を持つ電波を第1通信部2により検出した場合に、制御部6は、スマートフォン80から取得した識別情報が記憶部(不図示)に記憶された特定の識別情報と合致しているか否かを判定する。なお、第1通信部2は、特許請求の範囲の「通信部」の一例である。検出した識別情報が特定の識別情報と合致している場合には、上位ECU70(Electronic Control Unit)は、車両90に搭載された機器の操作を実行可能な状態にする。
【0033】
具体的には、上位ECU70としてのボディECUは、制御部6から取得した識別情報合致の判定結果を取得するとともに、たとえば、車両90のユーザによる車両90のドアハンドル91(
図2参照)の操作をセンサ10が検知した場合にドアをアンロック(開錠)またはロック(施錠)する制御を行うように構成されている。ボディECUと車両用通信装置100とは、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)、LIN(Local Interconnect Network)、または、CAN(Controller Area Network)などにより互いに通信可能に構成されている。
【0034】
車両用通信装置100は、車両90のユーザが所持するスマートフォン80と近距離無線通信可能に構成されている。また、車両90のユーザが所持するスマートフォン80は、車両用通信装置100と近距離無線通信可能に構成されている。近距離無線通信については、後述する。
【0035】
(車両用通信装置の構成)
車両用通信装置100は、レギュレータ1と、第1通信部2と、第1通信部駆動回路3と、第2通信部駆動回路5と、第2通信部駆動回路5駆動回路と、センサ10と、第3通信部7と、制御部6と、を備える。
【0036】
レギュレータ1は、上位ECU70からの入力電圧や出力電流、負荷抵抗に応じて、出力電圧を一定にするIC(Integrated Circuit)である。上位ECU70から出力された電力は、レギュレータ1により出力電圧が一定にされた後、第1通信部駆動回路3、第2通信部駆動回路5および制御部6に供給される。上位ECU70とレギュレータ1とは、互いに電気的に接続されている。
【0037】
第1通信部2は、車両90のユーザが所持するスマートフォン80から送信される電波を検出する近距離無線通信(NFC通信)を行うように構成されている。具体的には、第1通信部2は、スマートフォン80から送信される電波を検出する近距離無線通信をスマートフォン80と行うように構成されたNFCアンテナを含んでいる。
図1に示すように、第1通信部2は、たとえば、運転席側におけるドアハンドル91(
図2参照)の近傍およびセンターピラー92(
図2参照)の内部のいずれか一方、並びに、運転席のイグニッションボタン(不図示)の近傍に設けられている。
【0038】
近距離無線通信は、たとえば、NFC(Near Field Communication)通信である。NFC通信では、約13.56MHz帯の周波数を利用して、近接したNFC通信対応機器との近距離無線通信が行われる。NFC通信の通信可能距離は、約10cm程度である。NFC通信では、一方のNFC通信対応機器を他方のNFC通信対応機器に軽く触れる(かざす)程度に近接させるだけで通信を行うことが可能である。車両90のユーザが所持するスマートフォン80と車両用通信装置100とは、NFC通信により互いに近距離無線通信が行われる。
【0039】
図3に示すように、第1通信部駆動回路3は、第1通信部2を駆動させることによる近距離無線通信(NFC通信)に対応する電波の受信および送信を行うNFCドライバである。第1通信部駆動回路3は、所定の周期に基づいて第1通信部2を駆動させるように構成されている。第1通信部駆動回路3は、第1通信部2を駆動させて、ユーザが所持するスマートフォン80から発信された電波を検出する。また、スマートフォン80から符号化して変調したスマートフォン80の識別情報が、電波として送信される。第1通信部駆動回路3は、第1通信部2において受信した符号化されたスマートフォン80からの識別情報を復号するように構成されている。
【0040】
第2通信部4は、ユーザにより設定された場合などに、車両90のユーザが所持するスマートフォン80から送信される電波を検出する近距離無線通信(UWB(Ultra Wide Band)通信)を行うように構成されている。具体的には、第2通信部4は、車両90のユーザが所持するスマートフォン80から送信される電波を検出する近距離無線通信をスマートフォン80と行うように構成されたUWBアンテナを含んでいる。
図1に示すように、第2通信部4は、たとえば、運転席側と助手席側とにおけるドアハンドル91(
図2参照)の近傍およびセンターピラー92(
図2参照)の内部のいずれか一方、車両室内、並びに、トランクルームドアの近傍に設けられている。なお、第1実施形態においては、第2通信部4は、車両90のユーザが所持するスマートフォン80から送信される電波を検出する近距離無線通信(UWB通信)を行わない。
【0041】
UWB通信では、3.1~10.6GHz帯の周波数を利用して、UWB通信対応機器との近距離無線通信が行われる。UWB通信の通信可能距離は、約10m程度である。UWB通信では、NFC通信と異なり、一方のUWB通信対応機器を他方のUWB通信対応機器に軽く触れる(かざす)ように近接させる必要はない。設定により、車両90のユーザが所持するスマートフォン80と車両用通信装置100とは、UWB通信により互いに近距離無線通信が行われうる。
【0042】
図3に示すように、第2通信部駆動回路5は、ユーザにより設定された場合などに、第2通信部4を駆動させることによる近距離無線通信(UWB通信)に対応する電波の受信を行うUWBドライバである。第2通信部駆動回路5は、所定の周期に基づいて第2通信部4を駆動させるように構成されている。第2通信部駆動回路5は、第2通信部4を駆動させて、ユーザが所持するスマートフォン80から発信された電波を検出する。また、スマートフォン80から符号化して変調したスマートフォン80の識別情報が、電波として送信される。第2通信部駆動回路5は、第2通信部4において受信した符号化されたスマートフォン80からの識別情報を復号するように構成されている。
【0043】
センサ10は、たとえば、ユーザの手または指がドアハンドル91に接近したことを検知して、制御部6に送信するように構成されている。センサ10は、たとえば、近接センサである。センサ10は、たとえば、第1静電容量センサ11と、第2静電容量センサ12と、静電センサIC13とを含む。センサ10は、ドアハンドル91の近傍に配置されている。ドアハンドル91の近傍とは、ドアハンドル91の内部を含む。
【0044】
第1静電容量センサ11は、ドアハンドル91へのユーザの手または指などの身体の近接を検知する開錠用の静電容量センサである。第1静電容量センサ11は、アンロックセンサ電極を含んでいる。第1静電容量センサ11は、ドアハンドル91へのユーザの手または指の近接を静電容量の変化に基づいて検出するように構成されている。第1静電容量センサ11は、静電センサIC13から供給された電圧によりアンロックセンサ電極とドアパネルとの間の静電容量の変化を検出するように構成されている。
【0045】
第2静電容量センサ12は、ドアハンドル91へのユーザの手または指などの身体の近接を検知する施錠用の静電容量センサである。第2静電容量センサ12は、ロックセンサ電極を含んでいる。第2静電容量センサ12は、ドアハンドル91へのユーザの手または指の近接を静電容量の変化に基づいて検出するように構成されている。第2静電容量センサ12は、静電センサIC13から供給された電圧によりロックセンサ電極とドアパネルとの間の静電容量の変化を検出するように構成されている。
【0046】
静電センサIC13は、第1静電容量センサ11における静電容量の変化と、第2静電容量センサ12における静電容量の変化とを取得するように構成されている。静電センサIC13は、第1静電容量センサ11および第2静電容量センサ12の各々を駆動させることにより、第1静電容量センサ11および第2静電容量センサ12の各々において電界を発生させるドライバである。静電センサIC13は、ユーザの身体が第1静電容量センサ11により発生させた電界に進入した際の静電容量の変化に基づいて、制御部6にユーザの身体が近接したことを示す信号を送信するように構成されている。また、静電センサIC13は、ユーザの身体が第2静電容量センサ12により発生させた電界に進入した際の静電容量の変化に基づいて、制御部6にユーザの身体が近接したことを示す信号を送信するように構成されている。静電センサIC13と制御部6とは、電気的に接続されている。
【0047】
第3通信部7は、車両90のユーザが所持する携帯機(不図示)から送信される電波を検出する近距離無線通信を行うように構成されている。具体的には、第3通信部7は、車両90のユーザが所持する携帯機から送信される電波を検出する近距離無線通信を携帯機と行うように構成されたLF(Low Frequency)アンテナを含んでいる。第3通信部7は、たとえば、運転席側および助手席側におけるドアハンドル91(
図2参照)の近傍に設けられている。
【0048】
なお、第3通信部7とユーザが所持する携帯機との通信は、たとえば、ユーザが所持するスマートフォン80が使用できない場合などに行われ、携帯機の識別情報が特定の識別情報と合致している場合に、車両90のユーザによる車両90のドアハンドル91の操作によりドアをアンロック(開錠)またはロック(施錠)することができる。第3通信部7とユーザが所持する携帯機とは、いわゆるスマートキーシステムである。上位ECU70により、ユーザが所持する携帯機の識別情報が照合される。
【0049】
制御部6は、MCU(Micro Controller Unit)により構成されている。制御部6は、プロセッサと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを有する記憶部(不図示)とを有している。記憶部には、ユーザが所持するスマートフォン80の識別情報(キーID(Identification))が記憶されている。
【0050】
制御部6は、センサ10による検出を制御するように構成されている。制御部6は、第1通信部2による通信の開始前からセンサ10による検出を停止させるとともに、第1通信部2による通信の終了後までセンサ10による検出を停止させる制御を行うように構成されている。制御部6は、第1通信部2による通信対象が検出範囲内にあることを検出した後に、第1通信部2による通信対象との通信を行うように構成されている。
【0051】
また、制御部6は、第1通信部2による通信対象が検出範囲内にあることを検出するとともに、第1通信部2による検出の結果とセンサ10の駆動の有無とに対して設定された優先順位に基づいて、センサ10による検出を停止させる制御信号を出力するように構成されている。
【0052】
(制御部によるセンサの検出停止の制御処理)
図4を参照して、第1実施形態における、制御部6によるセンサ10の検出停止の制御処理について説明する。
【0053】
一例として、通信対象としてのスマートフォン80を所持するユーザが、車両用通信装置100を備える車両90に近づいて、ロック(施錠)された運転席側のドアをアンロック(開錠)する場合における、制御部6による、第1通信部駆動回路3による第1通信部2の駆動の制御、第1静電容量センサ11の駆動、および、第1静電容量センサ11の停止信号の出力の制御を説明する。
【0054】
図4において、一例として、通信対象は、ユーザが所持するスマートフォン80である。また、一例として、第1機能は、第1通信部駆動回路3による第1通信部2の駆動である。また、一例として、第2機能は、第1静電容量センサ11の駆動である。また、一例として、第2機能停止信号は、制御部6が出力する、第1静電容量センサ11の駆動の停止信号である。
【0055】
制御部6は、第1通信部駆動回路3により、所定の周期に基づいて間欠的に第1通信部2を駆動する。第1通信部駆動回路3による第1通信部2の駆動時間は、たとえば、20ms(ミリ秒)である。なお、第1通信部駆動回路3による第1通信部2の駆動時間は、20msに限定されず、20msより長くても良いし、20msより短くても良い。
【0056】
また、制御部6は、所定の周期に基づいて間欠的に第1静電容量センサ11を駆動する。間欠的に駆動する第1静電容量センサ11の駆動時間は、特に限定されない。
【0057】
時間t1において、通信対象としてのスマートフォン80から、符号化して変調したスマートフォン80の識別情報が、近距離無線通信(NFC通信)に対応する電波として送信される。時間t2において、第1通信部駆動回路3は、第1通信部2を駆動させることによる近距離無線通信(NFC通信)に対応する電波の検出を行うことにより、スマートフォン80からの電波を検出する。すなわち、制御部6は、第1通信部駆動回路3を介してスマートフォン80が近距離無線通信(NFC通信)の検出範囲内にあるとの情報を取得する。
【0058】
時間t3において、制御部6は、スマートフォン80からの電波の検出に基づいて、第2機能停止信号としての第1静電容量センサ11の駆動の停止信号を出力する。
【0059】
時間t4以降、第2機能停止信号の出力が停止されるまで、第2機能停止信号の出力に基づいて、第1静電容量センサ11の駆動が停止される。
【0060】
時間t3と時間t4との間隔は、1制御周期pである。すなわち、制御部6は、第1通信部2による通信の開始における1制御周期p前に、第1静電容量センサ11による検出を停止させる制御信号の出力を開始する。
【0061】
また、時間t4において、制御部6は、第1通信部駆動回路3を介してスマートフォン80との通信を開始する。第1通信部駆動回路3は、第1通信部2において受信した符号化されたスマートフォン80からの識別情報を復号する。制御部6は、第1通信部駆動回路3により復号された識別情報を取得する。制御部6は、第1通信部駆動回路3から取得したスマートフォン80からの識別情報と、記憶部に記憶されたスマートフォン80の識別情報とが一致した場合、上位ECU70であるボディECUに識別情報一致の判定結果を送信する。
【0062】
時間t5において、制御部6は、第1通信部駆動回路3を介してスマートフォン80との通信を終了する。なお、時間t4から時間t5における第1通信部2とスマートフォン80との通信期間において、第1通信部2によるスマートフォン80からの電波の検出処理は行われない。
【0063】
時間t6において、制御部6は、スマートフォン80との通信の終了に基づいて、第2機能停止信号としての第1静電容量センサ11の駆動の停止信号の出力を終了する。時間t5と時間t6との間隔は、1制御周期pである。すなわち、制御部6は、第1通信部2による通信の終了から1制御周期p後に、第1静電容量センサ11による検出を停止させる制御信号の出力を終了する。
【0064】
時間t3から時間t6までの間において、制御部6は、第2機能停止信号としての第1静電容量センサ11の駆動の停止信号を出力する。そのため、時間t3から時間t6までの間における、第1静電容量センサ11の駆動d1、d2およびd3は停止される。
【0065】
時間t7以降において、制御部6は、第1静電容量センサ11を間欠的に駆動する。また、制御部6は、第1通信部駆動回路3により、第1通信部2を駆動させてスマートフォン80からの電波の検出を間欠的に行う。
【0066】
第1通信部2による通信とセンサ10の駆動とにおいて、センサ10の駆動よりも第1通信部2による通信の優先順位が高く設定されている。通信対象はユーザが所持するスマートフォン80であり、第1機能は第1通信部駆動回路3による第1通信部2の駆動であり、第2機能は第1静電容量センサ11の駆動である上記の例では、第1通信部2による通信と第1静電容量センサ11の駆動とにおいて、第1通信部2による通信の優先順位が高く設定されている。これにより、制御部6は、第1通信部2による通信の開始前から第1静電容量センサ11による検出を停止させるとともに、第1通信部2による通信の終了後まで第1静電容量センサ11による検出を停止させる。
【0067】
なお、通信対象としてのスマートフォン80を所持するユーザが、車両用通信装置100を備える車両90から降車して、アンロック(開錠)された運転席側のドアをロック(施錠)する場合についても同様であるため、説明は省略する。なお、この場合、第2機能は、第2静電容量センサ12の駆動である。
【0068】
(制御部による優先順位に基づく検出停止の制御処理)
図5を参照して、第1実施形態における、制御部6による優先順位に基づくセンサ10の検出停止の制御処理について説明する。
【0069】
図5においても、一例として、通信対象としてのスマートフォン80を所持するユーザが、車両用通信装置100を備える車両90に近づいて、ロック(施錠)された運転席側のドアをアンロック(開錠)する場合における、制御部6による、優先順位に基づく第1静電容量センサ11の検出停止の制御処理について説明する。なお、一例として、第1機能は、第1通信部駆動回路3による第1通信部2の駆動である。また、一例として、第2機能は、第1静電容量センサ11の駆動である。
【0070】
ステップS1において、制御部6は、第1機能の検出を開始する。すなわち、制御部6は、第1通信部駆動回路3により、第1通信部2を駆動させてスマートフォン80からの電波の検出を開始する。その後、処理はステップS2に進む。
【0071】
ステップS2において、制御部6は、第2機能を実行する。すなわち、制御部6は、間欠的に、第1静電容量センサ11による検出を開始する。その後、処理は、ステップS3に進む。なお、ステップS1とステップS2の順番は、入れ替えたり同時に実行させたりすることができる。
【0072】
ステップS3において、制御部6は、同時駆動するか否かを判定する。ここで、同時駆動とは、第1通信部2の駆動および第1静電容量センサ11の駆動とが、連続動作または間欠動作により並列に制御部6により実行されることを意味する。制御部6は、同時駆動すると判定した場合(ステップS3においてYes)、処理はステップS4に進み、制御部6は、同時駆動しないと判定した場合(ステップS3においてNo)、処理はステップS6に進む。
【0073】
ステップS4において、制御部6は、同時駆動が第1通信部2によるスマートフォン80との通信および第1静電容量センサ11の検出(第2機能)であるか否かを判定する。制御部6は、同時駆動が第1通信部2によるスマートフォン80との通信および第1静電容量センサ11の検出(第2機能)であると判定した場合(ステップS4においてYes)、処理はステップS5に進み、制御部6は、同時駆動が第1通信部2によるスマートフォン80との通信および第1静電容量センサ11の検出(第2機能)でないと判定した場合(ステップS4においてNo)、処理はステップS6に進む。ここで、「同時駆動が第1通信部2によるスマートフォン80との通信および第1静電容量センサ11の検出でない」とは、第1通信部2による電波の検出と第1静電容量センサ11による検出との同時駆動が発生することを意味する。
【0074】
ステップS5において、制御部6は、第1静電容量センサ11による検出(第2機能)を一時停止させる。すなわち、制御部6は、第1静電容量センサ11による検出を停止させる第2機能停止信号の出力を開始する。その後、処理は終了する。
【0075】
ステップS6において、制御部6は、第1静電容量センサ11による検出(第2機能)の停止処理を実行しない。すなわち、制御部6は、第1静電容量センサ11による検出を停止させる第2機能停止信号を出力しない。その後、処理は終了する。
【0076】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
第1実施形態では、上記のように、少なくとも第1通信部2による通信の開始前からセンサ10による検出を停止させる制御を行う制御部6を備える。これにより、第1通信部2による通信が開始された時点において、制御部6により、センサ10による検出は停止されている。そのため、第1通信部2によるスマートフォン80との通信期間と、センサ10による身体の接近の検出期間とが重なることを抑制することができる。そのため、第1通信部2からの電波に起因するセンサ10の誤検知または誤作動を抑制することができる。なお、センサ10の誤作動により生じる事象として、たとえば、ユーザが意図しないドアのロックまたはアンロックが行われることが挙げられる。また、センサ10の誤作動に起因して、ドアのロックまたはアンロックの判定処理が実行される。これにより、暗電流が増大するため、車両90に搭載されたバッテリの残量が低下することが挙げられる。
【0078】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部6は、第1通信部2による通信の開始前からセンサ10による検出を停止させるとともに、第1通信部2による通信の終了後までセンサ10による検出を停止させる制御をさらに行う。これにより、第1通信部2による通信の開始から終了までの期間と、センサ10による検出期間とが重なることを抑制することができる。そのため、第1通信部2からの電波に起因するセンサ10の誤検知または誤作動をより抑制することができる。
【0079】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部6は、通信部による通信の開始における1制御周期p前に、センサ10による検出を停止させる制御信号の出力を開始するとともに、通信部による通信の終了における1制御周期p後に、センサ10による検出を停止させる制御信号の出力を終了するように構成されている。これにより、制御部6は、通信部の通信開始における1制御周期p前にセンサ10による検出を停止させる制御信号の出力を確実に開始することができるとともに、通信部の通信終了における1制御周期p後にセンサ10による検出を停止させる制御信号の出力を確実に終了することができる。そのため、通信部による通信の開始から終了までの期間と、センサ10による検出期間とが重なることを確実に抑制することができるため、通信部からの電波に起因するセンサ10の誤検知または誤作動を確実に抑制することができる。また、制御部は、制御周期を用いることにより、センサによる検出停止の制御信号の出力の開始および終了の制御を容易に行うことができる。
【0080】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部6は、第1通信部2によるスマートフォン80が検出範囲内にあることを検出するとともに、第1通信部2による検出の結果とセンサ10の駆動の有無とに対して設定された優先順位に基づいて、センサ10による検出を停止させる制御信号を出力するように構成されている。これにより、第1通信部2による通信とセンサ10の駆動とが同時に発生する場合に、制御部6は、設定された上記優先順位に基づいて、センサ10による検出を停止させることができる。そのため、第1通信部2による通信とセンサ10の駆動とが同時に発生する場合に、制御部6は、センサ10の検出停止の制御信号を適切に出力することができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、センサ10および第1通信部2は、同一の制御部6により制御されるように構成されている。これにより、制御部6、センサ10および第1通信部2をモジュール化することができるので、制御部6と、センサ10および第1通信部2とを接続する配線などの数量の増大を抑制することができるため、車両用通信装置100の部品点数の増加および構造の複雑化を抑制することができる。また、制御部6がセンサ10および第1通信部2の両方の制御を行うため、制御部6による、第1通信部2による通信の開始前からセンサ10による検出を停止させる制御を容易に行うことができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、センサ10は、車両用ドアハンドル91の近傍に配置された近接センサを含み、第1通信部2は、近距離無線通信(NFC通信)により通信するように構成されている。これにより、車両90への乗り降りの際にユーザにより操作される車両用ドアハンドル91の近傍に、近接センサと、近距離無線通信(NFC通信)により通信する第1通信部2とを配置することができる。そのため、デジタルキーシステムやスマートキーシステムなどにより車両90のドアのロックおよびアンロックを行う場合において、ドアのロックおよびアンロックの操作性および確実性を向上させることができる。
【0083】
[第2実施形態]
図6および
図7を参照して、第2実施形態による車両用通信装置100について説明する。第1通信部2による通信とセンサ10の駆動とにおいて、第1通信部2による通信に対して優先順位が高く設定されている第1実施形態とは異なり、第2実施形態では、第1通信部2による通信と、センサ10の駆動と、第1通信部2の駆動による電波の検出において、第1通信部2による通信、センサ10の駆動、第1通信部2の駆動による電波の検出の順に優先順位が高いように設定され、センサ10の駆動と、第1通信部2の駆動による電波の検出とが同時駆動する場合に、制御部6は、少なくともセンサ10の駆動の間、第1通信部2の駆動による電波の検出を停止させる制御信号を出力するように構成されている。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
【0084】
(制御部による通信部の駆動による電波の検出の停止の制御処理)
図6を参照して、第2実施形態における、制御部6による通信部の駆動による電波の検出の停止の制御処理について説明する。
【0085】
第1実施形態と異なり、第2実施形態では、一例として、第1通信部2による通信と、センサ10の駆動と、第1通信部2の駆動による電波の検出において、第1通信部2による通信、センサ10の駆動、第1通信部2の駆動による電波の検出の順に優先順位が高いように設定されている。
【0086】
また、第1実施形態と異なり、
図6に示すように、制御部6は、第1通信部駆動回路3により、第1通信部2の駆動による電波の検出を制御するように構成されている。センサ10の駆動と第1通信部2の駆動による電波の検出とが同時駆動する場合に、制御部6は、少なくともセンサ10の駆動の間、第1通信部2の駆動による電波の検出を停止させる第1機能停止信号を出力するように構成されている。
【0087】
第2実施形態では、
図4に示す第1実施形態における、時間t1から時間t6までの間における、制御部6によるセンサ10の検出停止の制御処理は同じである。
【0088】
時間t7において、制御部6は、第1静電容量センサ11を間欠的に駆動する。ここで、第2実施形態においても、第1通信部2とスマートフォン80との通信期間は、第1通信部2によるスマートフォン80からの電波の検出は行われないが、時間t6において、第1通信部2とスマートフォン80との通信は終了している。そのため、時間t7では、第1通信部駆動回路3により、第1通信部2の駆動による電波の周期的な検出が実行される。したがって、時間t7では、センサ10の駆動と第1通信部2の駆動による電波の検出とが同時駆動しうる。
【0089】
しかしながら、第1通信部2の駆動による電波の検出の優先順位よりも第1静電容量センサ11の駆動の優先順位が高く設定されている。そのため、制御部6は、第1機能停止信号としての第1通信部2の駆動による電波の検出の停止信号を出力し、第1通信部2による電波の検出の駆動e1を停止する。
【0090】
(制御部による優先順位に基づく検出停止の制御処理)
図7を参照して、第2実施形態における、制御部6による優先順位に基づく通信部の駆動による電波の検出停止の制御処理について説明する。
【0091】
ステップS11~ステップS15は、
図4に示す第1実施形態におけるステップS1~ステップS5と同じであるため、説明を省略する。なお、ステップS13において、制御部6は、同時駆動しないと判定した場合(ステップS13においてNo)、処理はステップS17に進む。
【0092】
ステップS16において、制御部6は、第1通信部2の駆動による電波の検出を停止させる第1機能停止信号の出力を開始する。すなわち、制御部6は、第1通信部2の駆動による電波の検出を一時停止させる。その後、処理は終了する。
【0093】
ステップS17において、制御部6は、第1静電容量センサ11による検出を停止させる第2機能停止信号、および、第1通信部2による通信の検出を停止させる第1機能停止信号を出力しない。すなわち、制御部6は、第1静電容量センサ11による検出の停止処理および第1通信部2の駆動による電波の検出の停止処理を実行しない。その後、処理は終了する。
【0094】
第2実施形態のその他の構成および制御処理は、上記第1実施形態の構成および制御処理と同様である。
【0095】
(第2実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0096】
第2実施形態では、上記のように、制御部6は、センサ10による検出と第1通信部2の駆動による電波の検出との同時駆動が発生する場合に、少なくとも、センサ10による検出の開始からセンサ10による検出の終了まで、第1通信部2の駆動による電波の検出を停止させる制御をさらに行うように構成されている。すなわち、制御部6は、上記の場合に、第1機能停止信号としての第1通信部2の駆動による電波の検出の停止信号を出力し、第1通信部2の駆動e1を停止する。これにより、たとえば、第1通信部2の電波の検出における駆動時間が長くなるように設定が変更された場合に、センサ10による身体の接近の検出期間と、第1通信部2の駆動によるスマートフォン80からの電波の検出期間とが重なることを抑制することができる。そのため、第1通信部2からの電波に起因するセンサ10の誤検知または誤作動を抑制することができる。
【0097】
また、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態との効果と同様である。
【0098】
[第3実施形態]
図8を参照して、第3実施形態による車両用通信装置100について説明する。制御部6は第1通信部2による通信の開始前から第1通信部2による通信の終了後までセンサ10による検出を停止させる制御を行う第1実施形態とは異なり、第3実施形態では、少なくとも第1通信部2の駆動によるスマートフォン80からの電波の検出の間、制御部6は、センサ10による検出を停止させる制御信号をさらに出力するように構成されている。なお、第3実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
【0099】
(制御部による通信部の駆動による電波の検出の停止の制御処理)
図8を参照して、第3実施形態における、制御部6による通信部の駆動による電波の検出の停止の制御処理について説明する。
【0100】
第1実施形態と異なり、第3実施形態では、制御部6は、少なくとも第1通信部2の駆動によるスマートフォン80からの電波の検出の期間についても、センサ10による検出を停止させる第2機能停止信号をさらに出力するように構成されている。第2機能停止信号としてのセンサ10の駆動の停止信号の制御部6からの出力に基づいて、センサ10の駆動が停止される。なお、第3実施形態のその他の構成および制御処理は、上記第1実施形態の構成および制御処理と同様である。
【0101】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0102】
第3実施形態では、上記のように、制御部6は、少なくとも、第1通信部2の駆動によるスマートフォン80からの電波の検出の開始から終了まで、センサ10による検出を停止させる制御をさらに行うように構成されている。これにより、たとえば、第1通信部2の電波の検出における駆動時間が長くなるように設定が変更された場合に、センサ10による身体の接近の検出期間と、第1通信部2の駆動によるスマートフォン80からの電波の検出期間とが重なることを防止することができる。そのため、第1通信部2からの電波に起因するセンサ10の誤検知または誤作動をより抑制することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態との効果と同様である。
【0103】
[変形例]
今回開示された上記実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0104】
(制御部による制御の変形例)
たとえば、上記第1~第3実施形態では、第1通信部2によるスマートフォン80からの電波を検出したことに基づいて、第2機能停止信号としてのセンサ10の駆動の停止信号を出力する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図9に示す第1変形例のように、制御部6は、スマートフォン80からの電波の検出およびスマートフォン80との通信のための第1通信部2の駆動を周期的に実行するとともに、第1通信部2によるスマートフォン80からの電波の検出結果にかかわらず、第1通信部2による通信の開始における1制御周期p前にセンサ10による検出を停止させる第2信号停止信号の出力を開始するとともに、第1通信部2による通信の終了における1制御周期p後にセンサ10による検出を停止させる第2信号停止信号の出力を終了するように構成されていても良い。
【0105】
第1変形例によれば、第1通信部2によるスマートフォン80からの電波の検出結果にかかわらず、制御部6は、第1通信部2の通信開始における1制御周期p前にセンサ10による検出を停止させる制御信号の出力を確実に開始し、第1通信部2の通信終了における1制御周期p後にセンサ10による検出を停止させる制御信号の出力を確実に終了することができる。
【0106】
また、上記第1~第3実施形態および上記第1変形例では、制御部6は、第1通信部2による通信の開始における1制御周期p前にセンサ10による検出を停止させる第2信号停止信号の出力を開始するとともに、第1通信部2による通信の終了における1制御周期p後にセンサ10による検出を停止させる第2信号停止信号の出力を終了するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2変形例のように、第1通信部2による通信の開始における制御周期pの所定倍数前に、センサ10による検出を停止させる制御信号の出力を開始するとともに、第1通信部2による通信の終了における制御周期pの所定倍数後に、センサ10による検出を停止させる制御信号の出力を終了するように構成されていても良い。
【0107】
「所定倍数」とは、たとえば、1倍未満の2分の1倍などを含む概念である。
図10に示す第2変形例では、「所定倍数」は、2分の1倍である。なお、1制御周期の中でセンサ10による検出を停止させる制御信号を出力するタイミングは、設計により制御可能である。
【0108】
第2変形例によれば、所定倍数が、たとえば1倍未満の2分の1倍の場合に、制御部6による制御信号の出力の開始から第1通信部2による通信開始までの時間、および、第1通信部2による通信終了から制御部6による制御信号の出力の終了までの時間を短くすることができるため、第1通信部2による通信が行われていない期間にセンサ10による検出が停止されることを抑制することができる。
【0109】
また、上記第1~第3実施形態では、センサ10は制御部6により所定の周期に基づいて間欠的に駆動されるように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図11に示す第3変形例のように、センサ10は、制御部6により連続的に駆動されるように構成されていても良い。
【0110】
また、上記第1~第3実施形態では、第2通信部4は車両90のユーザが所持するスマートフォン80から送信される電波を検出する近距離無線通信(UWB通信)を行わない例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図12に示す第4変形例および
図13に示す第5変形例のように、第1通信部2と第2通信部4との両方が駆動されても良い。通信可能な距離が異なる複数の通信部を用いることにより、ユーザが所持する通信対象が通信可能な距離が異なる複数の通信部を含む場合に、通信対象の通信部に応じて適切に通信することができるため、ユーザの利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0111】
これらの場合、
図13に示す第4変形例のように、制御部6は、第1通信部2による通信の開始前から終了後までセンサ10による検出を停止させる制御を行い、第2通信部4による通信の開始前から終了後まではセンサ10による検出を停止させる制御を行わないように構成されていても良い。また、
図15に示す第5変形例のように、制御部6は、第1通信部2による通信の開始前から終了後までセンサ10による検出を停止させる制御を行うとともに、第2通信部4による通信の開始前から終了後までセンサ10による検出を停止させる制御を行うように構成されていても良い。なお、第1通信部2および第2通信部4は、特許請求の範囲の「通信部」の一例である。
【0112】
(車両用通信装置の構成の変形例)
たとえば、上記第1~第3実施形態では、車両用通信装置100は、第2通信部4、第2通信部駆動回路5および第2静電容量センサ12を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図14に示す第6変形例のように、車両用通信装置110は、第2通信部4、第2通信部駆動回路5および第2静電容量センサ12を備えていなくても良い。
【0113】
また、上記第1~第3実施形態では、車両用通信装置100は、制御部6、第1通信部駆動回路3および第2通信部駆動回路5を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、車両用通信装置において、制御部、第1通信部駆動回路および第2通信部駆動回路が一体的に構成されていても良い。また、本発明では、
図15に示す第7変形例のように、車両用通信装置120は、第2通信部4および第2通信部駆動回路5を備えずに、制御部および第1通信部駆動回路が一体的に構成された通信部駆動回路を含む制御部6aを備えていても良い。
【0114】
また、上記第1~第3実施形態では、車両用通信装置100は、制御部6およびセンサ10を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図16に示す第8変形例のように、車両用通信装置130において、制御部およびセンサが一体的に構成されたセンサ機能内蔵制御部6bを備えていても良い。
【0115】
また、上記第1~第3実施形態では、車両用通信装置100は、車両90のユーザが所持する携帯機から送信される電波を検出する近距離無線通信を携帯機と行うように構成されたLF(Low Frequency)アンテナを含む第3通信部7を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第9変形例のように、車両用通信装置(不図示)は、第3通信部を備えていなくても良い。
【0116】
(その他の変形例)
たとえば、上記第1~第3実施形態では、センサ10は、車両用ドアハンドル91の近傍に配置され、ユーザの手または指がドアハンドル91に接近したことを検知して、上位ECU70に送信するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。センサ10は、運転席側におけるドアハンドル91の近傍に配置され、ユーザの手または指がイグニッションボタンに近接したことを検知するように構成されていても良い。上位ECU70としてのボディECUは、制御部6から取得した識別情報合致の判定結果を取得するとともに、たとえば、車両90のユーザによるイグニッションオンの操作をセンサ10が検知した場合に、車両90のエンジンを起動し、車両90のユーザによるイグニッションオフの操作をセンサ10が検知した場合に、車両90のエンジンを停止する制御を行うように構成されていても良い。
【0117】
また、上記第1~第3実施形態では、通信対象はユーザが所持するスマートフォン80である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通信対象は、デジタルカードキーなどであっても良い。なお、デジタルカードキーとは、たとえば、カード型の車両用のキーであり、近距離無線通信を行うためのアンテナと、上記アンテナにより情報を受信および送信するための制御回路としてのドライバとを含むものである。
【0118】
また、上記第1~第3実施形態では、センサ10はユーザの手または指を含むユーザの身体を検出する例を示したが、本発明はこれに限られない。センサ10により検出される対象は、ユーザが所持するスマートフォン80やデジタルカードキーなどであっても良い。
【0119】
また、上記第1~第3実施形態では、センサ10は、近接センサであるとともに、第1静電容量センサ11および第2静電容量センサ12を含む例を示したが、本発明はこれに限定されない。センサ10は、第1静電容量センサ11および第2静電容量センサ12のいずれか一方だけでも良いし、第3静電容量センサをさらに含んでいても良い。また、センサ10は、たとえば赤外線センサなどの他の公知の近接センサであっても良い。また、センサ10は、近接センサでなく公知の接触型センサであっても良い。
【0120】
また、上記第1~第3実施形態では、第1通信部2は近距離無線通信(NFC通信)を行うように構成され、第2通信部4は近距離無線通信(UWB通信)を行うように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1通信部2は、近距離無線通信(UWB通信)を行うように構成され、第2通信部4は、近距離無線通信(NFC通信)を行うように構成されていても良い。また、第1通信部2および第2通信部4は、NFC通信以外の、たとえばBLE(Bluetooth Low Energy)通信を行うように構成されていても良い。
【符号の説明】
【0121】
2 第1通信部
4 第2通信部
6 制御部
10 センサ
11 第1静電容量センサ
12 第2静電容量センサ
80 スマートフォン
91 ドアハンドル
100、110、120、130 車両用通信装置
p 制御周期