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特開2024-103314会計管理用のプログラム、情報処理装置、及び、方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103314
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】会計管理用のプログラム、情報処理装置、及び、方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20240725BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007582
(22)【出願日】2023-01-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】591008605
【氏名又は名称】株式会社日本デジタル研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 隆則
(72)【発明者】
【氏名】石山 博史
(72)【発明者】
【氏名】堀内 貴徳
(72)【発明者】
【氏名】青木 誠
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB64
5L055BB64
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な操作で消費税額を確認できる会計管理用のプログラム、情報処理装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置のプロセッサに命じることにより、以下のステップを実行する会計管理プログラムであって、ステップは、仕訳入力を行うためのインターフェースを提供するステップと、インターフェースにて、仕訳された複数の項目を一覧表示するステップと、ユーザの操作に応答して、仕訳された複数の項目のうちの一部を選択するステップと、ユーザの操作に応答して、選択された項目に基づいて、課税される個々の金額の消費税を算出し、さらに、当該算出された消費税の合計を算出することによる、税額を計算するステップと、計算するステップの後、税額の計算結果を画面に表示するステップと、を含む。選択された項目における税率が複数種類存在した場合には、税額の計算は、税率の種類毎に行うことが可能である。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会計管理プログラムであって、情報処理装置のプロセッサに命じることにより、以下のステップを実行することが可能なプログラム:
・仕訳入力を行うためのインターフェースを提供するステップと、
・前記インターフェースにて、仕訳された複数の項目を一覧表示するステップと、
・ユーザの操作に応答して、仕訳された複数の項目のうちの一部を選択するステップと、
・ユーザの操作に応答して、前記選択された項目に基づいて、課税される個々の金額の消費税を算出し、さらに、当該算出された消費税の合計を算出することによる、税額を計算するステップであって、前記選択された項目における税率が複数種類存在した場合には、前記税額の計算は、税率の種類ごとに行うことが可能である、ステップと、
・前記計算するステップの後、前記税額の計算結果を画面に表示するステップ。
【請求項2】
請求項1のプログラムであって、前記選択するステップが、
・ユーザが前記複数の項目の一部を指定する操作に応答して、当該指定された項目を選択することと、
・前記指定された項目が所定の伝票識別情報に関連付けられており、尚且つ、当該伝票識別情報に関連付けられた未指定の項目が存在する場合に、当該未指定の項目を自動的に選択することと、
を含む、プログラム。
【請求項3】
請求項1のプログラムであって、前記計算するステップが、仕入れ税額控除にかかる消費税を計算することが可能である、プログラム。
【請求項4】
請求項1のプログラムであって、前記選択するステップが、
・ユーザが指定した項目に対応するレシート識別情報を特定することと、
・前記特定されたレシート識別情報に関連する項目を選択することと、
を含む、プログラム。
【請求項5】
請求項1のプログラムであって、前記選択するステップが、
・ユーザが前記複数の項目の一部を指定する操作に応答して、当該指定された項目を選択することと、
・前記指定された項目が所定のレシート識別情報に関連付けられており、尚且つ、当該レシート識別情報に関連付けられた未指定の項目が存在する場合に、当該未指定の項目を自動的に選択することと、
を含む、プログラム。
【請求項6】
請求項1のプログラムであって、さらに以下のステップを実行することが可能なプログラム:
・ユーザの操作に応答して、ユーザが指定した項目の税額を変更するステップ。
【請求項7】
請求項1のプログラムであって、さらに以下のステップを実行することが可能なプログラム:
・ユーザの操作に応答して、前記税額の計算結果を含む仕訳集計結果を出力するステップ。
【請求項8】
請求項1のプログラムであって、
・電子化された請求書のデータを取得するステップと、
・前記データに含まれる税額を取得するステップと、
・前記計算された税額と、前記データに含まれる税額との差額を計算するステップと、
を実行することが可能なプログラムであり、
・前記差額が存在する場合には、前記税額の計算結果を画面に表示するステップは、当該差額が存在することを通知することを含む、
プログラム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のプログラムがインストールされた情報処理装置。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載のプログラムを用いて税額の計算を行う方法。
【請求項11】
プログラムの製造方法であって、請求項1~8のいずれか1項に記載のプログラムを用いて、税額の計算結果を画面に表示するためのプログラムを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、会計管理用のプログラム、情報処理装置、及び、方法等に関する。より具体的には、会計管理用のプログラム、当該プログラムがインストールされた情報処理装置、当該プログラムを用いた方法、及び、プログラムを製造する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
会計管理ソフトにおいて、消費税を取り扱う機能は重要である。消費税は、商品の販売、サービスの提供などの取引に対して課税される税である。以前は、どの商品・サービスであっても、一律で同じ税率が適用されていた。しかし、近年、消費税が10%に増税されたことに伴い、一部の商品が軽減税率適用の対象となり、複数の税率が混在する結果となった。これにより、会計処理が複雑化した。
【0003】
消費税については、物品又はサービスの提供者が徴収納付義務者として、国に納付を行う。例えば、ある製造業者A社が、原材料卸売業者B社から原材料を2000円で購入したとする。この場合、消費したのはA社だが、納税するのはB社となる。本出願の出願日時点での税率(軽減税率の対象外の場合)だと、200円の消費税が国に納付されることとなる。
【0004】
実際には、流通過程で何段階もの取引が行われる。したがって、税の二重取りを防止するため、仕入れ額控除を行ったうえで納税が行われる。例えば、上記の例では、ある製造業者A社が、原材料卸売業者B社から原材料を2000円で購入する取引が行われる。ここで、製造業者Aは、原材料から製品を作成し、これを、販売業者Cに5000円で販売したとする。
【0005】
上記の場合、2000円の取引と、5000円の取引がある。2000円の取引に対応する消費税は、原材料卸売業者B社が納税する。5000円の取引に対応する消費税は、製造業者A社が納税する。そして、それぞれに発生する消費税は、200円と500円である。しかし、実際にトータルで国に納付される金額は、700円ではない。製造業者A社は、仕入れに該当する取引で発生した消費税を控除したうえで納税を行う。この例では、500円から200円を引いて、300円を消費税として、製造業者A社は納税する。したがって、自社の売り上げに関する消費税だけでなく、自社が買い付けた製品サービスなどに関する消費税も計算する必要がある。
【0006】
消費税の計算においては、個々の項目ごとに消費税を算出して合計するやり方と、個々の項目の金額の合計をいったん出した後税率をかけて消費税を算出するやり方とがある。特許文献1では、両方の計算による差額を補正する補正額を対象商品ごとに行う手段を開示している。
【0007】
特許文献2においては、消費税の納税方式をシミュレーションするための装置を開示している。具体的には、簡易課税制度を選択したときの消費税の予想納付額、及び原則課税制度を選択したときの消費税の予想納付額を算出する消費税算出部を備える消費税納税方式別利益出力装置を開示しており、これにより、簡易課税制度を選択したときの利益と原則課税制度を選択したときの利益を比べながら消費税の納税方式をシミュレーションすることができる。
【0008】
特許文献3においては、証憑に記載された仕訳要素の入力作業の効率を向上させるとともに、仕訳要素の抽出の精度を確保することができ、より正確な自動仕訳を実現することのできる仕訳要素解析装置などを提供することを目的とした発明が開示されている。具体的には、仕訳要素抽出部により抽出された仕訳要素のうち金額に関する仕訳要素にかかる関係式を用いて検算を行う検算部と、検算部による検算結果から仕訳要素抽出部により抽出された仕訳要素の整合性を判定する整合性判定部等を備える装置が開示されている。
【0009】
特許文献4においては、請求書を受け取った事業者が、請求書に適切な消費税額が記載されているか否かを判別できるようにするための発明を開示している。具体的には、請求書に記載されている請求額を特定する請求額特定部と、請求額特定部が特定した請求額を、1.0に税率を加算した税加算値で除算した結果に剰余が生じるか否かに基づいて、税率に対応する消費税額が請求額に含まれているか否かを判定した結果を出力する出力部等を備える装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2022-034504号公報
【特許文献2】実用新案登録第3239625号公報
【特許文献3】特許第6635563号公報
【特許文献4】特許第6771121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、2019年10月1日に消費税10%への引き上げが行われた。これに伴い、低所得者へ配慮する観点から、一部の商品等については、税率を8%とする軽減税率制度が導入された。したがって、消費税率10%と8%の複数税率が存在することとなった。この影響を受けて、区分経理に対応した帳簿及び区分記載請求書等を保存する方式が導入され、これに従った請求書を区分記載請求書という。
【0012】
この区分記載請求書の制度のもとにおいては、明細金額ごとに税込金額を記載することが多かった。この場合には、それぞれの仕訳に対して消費税額を計算したとしても、税率ごとの総額にずれが発生することはなかった。
【0013】
しかし、適格請求書(インボイス)制度が2023年10月に導入されることになり、同一税率の端数計算は一回しか行うことができなくなった。したがって、それぞれの仕訳ごとに消費税を計算すると、端数を原因とするずれが生じる可能性がでてくることとなった。
【0014】
そこで、仕訳の入力の際には、仕訳ごとの消費税金額の合計が、適格請求書に記載の消費税額と一致するように、調整して入力する必要がある。その作業を行う際に、手元にある適格請求書に記載の金額と一致しているかどうかを確認するためには、別途電卓を使うなどの手間が必要であった。
【0015】
そこで、本開示は、簡易な操作で消費税額を確認できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本開示は、一側面において、以下の発明を包含する。
(発明1)
会計管理プログラムであって、情報処理装置のプロセッサに命じることにより、以下のステップを実行することが可能なプログラム:
・仕訳入力を行うためのインターフェースを提供するステップと、
・前記インターフェースにて、仕訳された複数の項目を一覧表示するステップと、
・ユーザの操作に応答して、仕訳された複数の項目のうちの一部を選択するステップと、
・ユーザの操作に応答して、前記選択された項目に基づいて、課税される個々の金額の消費税を算出し、さらに、当該算出された消費税の合計を算出することによる、税額を計算するステップであって、前記選択された項目における税率が複数種類存在した場合には、前記税額の計算は、税率の種類ごとに行うことが可能である、ステップと、
・前記計算するステップの後、前記税額の計算結果を画面に表示するステップ。
(発明2)
発明1のプログラムであって、前記選択するステップが、
・ユーザが前記複数の項目の一部を指定する操作に応答して、当該指定された項目を選択することと、
・前記指定された項目が所定の伝票識別情報に関連付けられており、尚且つ、当該伝票識別情報に関連付けられた未指定の項目が存在する場合に、当該未指定の項目を自動的に選択することと、
を含む、プログラム。
(発明3)
発明1又は2のプログラムであって、前記計算するステップが、仕入れ税額控除にかかる消費税を計算することが可能である、プログラム。
(発明4)
発明1~3いずれか1つに記載のプログラムであって、前記選択するステップが、
・ユーザが指定した項目に対応するレシート識別情報を特定することと、
・前記特定されたレシート識別情報に関連する項目を選択することと、
を含む、プログラム。
(発明5)
発明1~4いずれか1つに記載のプログラムであって、前記選択するステップが、
・ユーザが前記複数の項目の一部を指定する操作に応答して、当該指定された項目を選択することと、
・前記指定された項目が所定のレシート識別情報に関連付けられており、尚且つ、当該レシート識別情報に関連付けられた未指定の項目が存在する場合に、当該未指定の項目を自動的に選択することと、
を含む、プログラム。
(発明6)
発明1~5いずれか1つに記載のプログラムであって、さらに以下のステップを実行することが可能なプログラム:
・ユーザの操作に応答して、ユーザが指定した項目の税額を変更するステップ。
(発明7)
発明1~6いずれか1つに記載のプログラムであって、さらに以下のステップを実行することが可能なプログラム:
・ユーザの操作に応答して、前記税額の計算結果を含む仕訳集計結果を出力するステップ。
(発明8)
発明1~7いずれか1つに記載のプログラムであって、
・電子化された請求書のデータを取得するステップと、
・前記データに含まれる税額を取得するステップと、
・前記計算された税額と、前記データに含まれる税額との差額を計算するステップと、
を実行することが可能なプログラムであり、
・前記差額が存在する場合には、前記税額の計算結果を画面に表示するステップは、当該差額が存在することを通知することを含む、
プログラム。
(発明9)
発明1~8のいずれか1つに記載のプログラムがインストールされた情報処理装置。
(発明10)
発明1~8のいずれか1つに記載のプログラム又は発明9の情報処理装置を用いて税額の計算を行う方法。
(発明11)
プログラムの製造方法であって、発明1~8のいずれか1つに記載のプログラム又は発明9の情報処理装置を用いて、税額の計算結果を画面に表示するためのプログラムを製造する方法。
【発明の効果】
【0017】
一側面において、上記発明は、選択された項目に基づいて、税率の種類ごとに課税される個々の金額の消費税を算出し、さらに、当該算出された消費税の合計を算出することにより、税額を計算することができる。したがって、簡易な操作で、税率の種類ごとの消費税額を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態における情報処理装置の構成を示す。
図2】一実施形態における情報処理装置の構成を示す。
図3】一実施形態における情報処理装置を含むシステムの構成を示す。
図4】一実施形態におけるデータの構成を示す。
図5】一実施形態におけるデータの項目及び内容を示す(仕訳帳一覧)。
図6】一実施形態におけるデータの項目及び内容を示す(仕訳帳一覧)。
図7】一実施形態におけるデータの項目及び内容を示す(勘定科目一覧)。
図8】一実施形態におけるデータの項目及び内容を示す(課税区分一覧)。
図9】一実施形態におけるデータの項目及び内容を示す(税率区分一覧)。
図10】一実施形態におけるデータの項目及び内容を示す(eレシート一覧)。
図11】一実施形態における本開示の方法及びプログラムのステップを示す。
図12】一実施形態における本開示のユーザインターフェースを示す。
図13】一実施形態における本開示のユーザインターフェースを示す。
図14】一実施形態における本開示のユーザインターフェースを示す。
図15】一実施形態における本開示のユーザインターフェースを示す。
図16】請求書の一例を示す。
図17】一実施形態におけるデータの項目及び内容を示す(仕訳帳一覧)。
図18】一実施形態における本開示のユーザインターフェースを示す。
図19】一実施形態におけるデータの項目及び内容を示す(仕訳帳一覧)。
図20】一実施形態における本開示のユーザインターフェースを示す。
図21】一実施形態におけるデータの項目及び内容を示す(仕訳帳一覧)。
図22】一実施形態における本開示のユーザインターフェースを示す。
図23】一実施形態におけるデータの項目及び内容を示す(仕訳帳一覧)。
図24】一実施形態における本開示のユーザインターフェースを示す。
図25】一実施形態における本開示の方法及びプログラムのステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための具体的な実施形態について説明する。以下の説明は、発明の理解を促進するためのものである。即ち、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0020】
1.定義
本明細書において、用語「伝票識別情報」は、ある1つの取引を特定するための情報を意味する。1つの取引において複数の仕訳が含まれることがある。そのため、異なる仕訳同士が同じ取引であることを認識できるようにする必要がある。場合によっては、1つの請求書、又は、1つの領収書が、1つの取引と対応する可能性もあるが、複数の請求書、又は、複数の領収書が、1つの取引と対応する可能性もあるため、任意で伝票識別番号を活用して管理してもよい。また、伝票識別情報は、数値によって表現されてもよく、あるいは、数値、アルファベット、記号のうち1以上の組み合わせで表現されてもよい。
【0021】
本明細書において、用語「レシート識別情報」は、広義に解釈される。通常、レシートは、金銭を受け取ったしるしとしての領収書を意味する。しかし、本明細書において、「レシート識別情報」は、レシートを特定するための情報だけでなく、レシートに関連する伝票を特定するための情報も含まれる。レシートに関連する伝票の例としては、請求書、納品書、領収書、その他の受領書、金融機関の通帳、会計上の金銭授受の証明となる書類(クレジットカード等の明細書を含む)、電子マネー等のICカードによる取引情報などが挙げられる。また、レシート識別情報は、数値によって表現されてもよく、あるいは、数値、アルファベット、記号のうち1以上の組み合わせで表現されてもよい。
【0022】
本明細書において、用語「電子化された請求書」は、紙媒体の形式ではなく、電子ファイルの形式の請求書を意味する。電子ファイルの形式は特に限定されず、バイナリファイルであってもよく、テキストファイルであってもよい。テキストファイルの場合には、XMLファイル、JSONファイル、CSVファイル、TXTファイルなど任意のファイルであってもよい。「電子化された請求書」の例として、電子領収書、電子レシート、eレシート、金融機関の通帳情報、会計上の金銭授受の証明となる書類情報(クレジットカード等の明細書情報を含む)、電子マネー等のICカードによる取引情報、電子インボイス、デジタルインボイス、電子データ交換(EDI)のデータ等が挙げられる。
【0023】
また、用語「電子化された請求書」は、紙媒体の形式の請求書を撮影して画像ファイルなどに変換した後、OCR処理を行うことによって生成されたデータであってもよい。好ましくは、OCR処理を行った後で、どの部分が請求金額であり、どの部分が消費税金額であり、どの部分が合計金額なのかを判定できるモジュールを使って処理を行うことで、所望の形式のファイルを生成することができる。
【0024】
2.ハードウェア環境
一実施形態において、本開示は、会計管理プログラム、当該プログラムがインストールされた情報処理装置、並びに、当該プログラム及び当該装置のうちいずれか1以上を用いた方法に関する。
【0025】
上記プログラム、及び、上記方法のうちいずれか1以上を実行するために情報処理装置が必要となる。
【0026】
情報処理装置は、データを記憶したり、処理したりする機能を備える。限定されるものではないが、情報処理装置の例として、以下が含まれる:サーバ(例えば、クラウドサーバ、ウェブサーバ、データベースサーバ等)、パソコン、タブレット端末、スマートフォン。
【0027】
一実施形態において、情報処理装置(100)は、図1に示すように、以下の構成要素を少なくとも備える:プロセッサ(110)、メモリ(120)、非一時的記憶媒体(130)、及び、通信モジュール(140)。
【0028】
プログラムは、非一時的な記憶媒体(130、例えば、HDD、SSD等)に記憶され、適宜、メモリ(120、例えば、RAM等)にロードされ、プロセッサ(110、例えば、CPU等)によって実行される。必要に応じて、プログラムは、通信モジュール(140)を通してネットワークに接続して、情報の送信及び受信を行うことができる。
【0029】
好ましい実施形態において、情報処理装置(100)は、図2に示すように、さらに以下の構成要素を備えてもよく、あるいは、これらの装置と接続されてもよい:入力装置(150)及び出力装置(160)。
【0030】
入力装置(150)は、典型的には、ユーザの操作によって示される入力を受信するための装置であり、例えば、マウス、キーボード、タッチパッド等が挙げられる。出力装置(160)は、ユーザに対して処理結果等を提示するための装置であり、例えば、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ等)、プロジェクタなどが挙げられる。入力装置(150)と出力装置(160)は一体化されてもよく、例えば、タッチスクリーンなどが挙げられる。
【0031】
一実施形態において、本開示のプログラムは、1台の情報処理装置にインストールされてもよく、本開示の方法は、1台の情報処理装置によって実行されてもよい。別の実施形態においては、本開示の方法は、例えば、図3に示すように、少なくとも1台のサーバ(210)と、複数の端末(220)とを備えるシステム(200)を使用することによって実行されてもよい。図3のシステム(200)では、例えば、サーバ(210)がWEBサーバとして機能し、端末(220)がブラウザを備え、ユーザは当該端末(220)のブラウザを操作して、本開示の方法を実行してもよい。あるいは、図3のシステム(200)では、例えば、サーバ(210)がDBサーバとして機能し、端末(220)がクライアントプログラムを備え、ユーザは当該端末(220)のクライアントプログラムを操作して、本開示の方法を実行してもよい。
【0032】
したがって、別の一実施形態においては、本開示は、所与のプログラムがインストールされた少なくとも1台のサーバ(210)と、所与のプログラムがインストールされた複数の端末(220)とを備えるシステム(200)に関する。
【0033】
図3では、サーバ(210)と端末(220)がネットワークを通して接続されている。ネットワークの種類は、限定されず、例えば、WAN、LAN、インターネット等が挙げられる。また、図3では、サーバ(210)の数が1台であるが、しかし、システム(200)は、複数台のサーバ(210)を備えてもよい。負荷を分散させる目的から、システムは、同じ機能を有するサーバ(210)を複数台備えてもよい。あるいは、機能を分散させる目的から、システム(200)は、異なる機能を有するサーバ(210)を複数台備えてもよい。
【0034】
3.データ構成
上述した通り、一実施形態において、本開示は、プログラムに関する。プログラムは、種々のデータを参照しながら動作することができる。当該データは、例えば、情報処理装置(例えば、ローカル端末、又は、サーバ等)に記憶されてもよく、あるいは、クラウドサーバに記憶されてもよい。留意されたい点として、プログラムとデータは、同じ情報処理装置に記憶されることは必須ではない。典型的には、図1又は図2に示す情報処理装置の非一時的記憶媒体(130)に、プログラムとデータの両方が記憶されてもよい。しかし、データベースサーバを備えるシステムの場合には、例えば、データは、図3に示すサーバ(210)(例えば、当該サーバが備える非一時的記憶媒体)に記憶され、プログラムは、図3に示す端末(220)(例えば、当該端末が備える非一時的記憶媒体)に記憶されてもよい。あるいは、図3には示さないが、システムが、WEBサーバとデータベースサーバを別々に備える場合には、プログラムは、前者に記憶されてもよく、データは後者に記憶されてもよい。そして、各端末(220)は、ブラウザを経由してWEBサーバにアクセスして、所望の会計処理を行うことができる。
【0035】
記憶されるデータのうち、本開示のプログラムの動作にかかわるデータを図4に示す。言うまでもないことではあるが、図4に示すデータ以外のデータが存在してもよく、プログラムを適切に動作させるために、任意の種類のデータを追加することができる。
【0036】
仕訳帳一覧は、ユーザが端末などを通して行う仕訳入力の内容を記憶するためのデータである。図5図6図17図19図21及び図23に、仕訳帳一覧のデータの例を示す。図5図6の両者は、或いは図17図19の両者は、或いは図21図23の両者は、それぞれ同じ内容を表現しているが、形式を異にしている。仕訳入力する際に、消費税を別仕訳としてデータを持つ場合には、図5図17及び図21のような形式を採用することができる。したがって、特定の明細の金額とそれに対応する消費税の金額とが、別の行で表現される。一方で、仕訳情報のなかに消費税を含ませる場合には、図6図19及び図23のような形式を採用することができる。したがって、特定の明細の金額とそれに対応する消費税の金額とが、同一の行で表現される。一実施形態において、本開示のプログラムは、任意の仕訳入力の形式でデータの入出力ができるように構成されてもよく、例えば、消費税を別仕訳としてデータを持つ形式(図5図17及び図21参照)、又は、仕訳情報のなかに消費税を含ませる形式(図6図19及び図23参照)などへの切り替えができるように構成されてもよい。
【0037】
図5に示す例では、以下の項目が少なくとも記憶される:仕訳番号(図5では、「NO」と表現)、レシートNO、日付、伝票番号、借方科目、貸方科目、金額、課税区分、税率区分。レシートNOは、上述したレシート識別情報に該当する。日付は、領収書、請求書などに記載された日付に該当する。伝票番号は、上述した伝票識別情報に該当する。借方科目及び貸方科目は、複式簿記における勘定科目に該当する。金額は、領収書、請求書などに記載された明細金額に該当する。課税区分は、消費税の計算処理方法を識別するための区分である(例えば、課税、非課税など)。税率区分は、消費税の税率などを識別するための区分である(例えば、消費税10%、軽減税率8%等)。なお、図5の内容について一部補足すると、勘定科目の貸借対照表科目については、固定資産を除き消費税計算に関係ないため、勘定科目一覧情報の課税区分は0としている。しかしながら、消費税計算上、消費税科目の仕訳の集計ができないため、消費税科目を使用する仕訳については、消費税仕訳の基となる親仕訳の課税区分を登録することにしている。したがって、図5のNO2、4、6、8のレコードは、借方科目が仮受消費税にもかかわらず、親元の科目の課税区分を引き継いだ結果、課税区分が31となっている。
【0038】
図6に示す例は、図5とほぼ同じ項目を示しているが、消費税の項目が存在する点で異なっている。消費税は、左隣の金額(税抜金額)に対応する消費税を記憶している。
【0039】
勘定科目一覧のデータを図7に示す。図7に示す例では、以下の項目が少なくとも記憶される:コード、科目名、消費税、課税区分。コードは、勘定科目名を特定する識別情報に該当する。科目名は、勘定科目名に該当する。消費税は、該当する勘定科目における消費税に関する性質を表す。課税区分は上述の通りである。
【0040】
課税区分一覧のデータを図8に示す。図8に示す例では、以下の項目が少なくとも記憶される:コード、名称、区分。コードは、課税区分を特定するための識別情報に該当する。名称は、課税区分の名称に該当する。区分は、課税売上げか課税仕入れを判定するために使用しており、仕訳の課税区分が[課税区分一覧表]で売上か仕入かを判定するためのフラグに該当する。
【0041】
税率区分一覧のデータを図9に示す。図9に示す例では、以下の項目が少なくとも記憶される:コード、名称、税率。コードは、税率区分を特定するための識別情報に該当する。名称は、税率区分の名称に該当する。税率は、実際にかかる消費税などの税率に該当する。図9では、税率はパーセンテージ単位で表現されているが、例えば、8%に代えて、「0.08」、又は、「1.08」といった形式で表現されてもよい。
【0042】
eレシート一覧のデータを図10に示す。図10に示す例では、以下の項目が少なくとも記憶される:レシートNO、日付、画像データ、取引金額、消費税額、税率区分。レシートNO、日付については、上述の通りである。画像データは、例えば、領収書をカメラなどで撮影して画像化したファイルを特定するための情報である。変形例としては、XMLファイル、JSONファイル、CSVファイル、PDFファイルなどの電子ファイルを特定するための情報を記憶してもよい。取引金額、及び、消費税額については、図6に示した金額及び消費税に該当する。税率区分については税率区分一覧のデータのコードに該当する。
【0043】
留意されたい点として、図10のレシートNO1のレコードは、1行で20070の取引金額が記録されており、一方で、図5及び図6では、2つのレコードに分かれて、2つの10035円の取引金額で記録されている。この点については後述する。
【0044】
4.プログラムを用いた処理方法
一実施形態において、本開示は、会計管理プログラムに関する。プログラムは、図11に示すように、少なくとも以下のステップを実行する。
・仕訳入力を行うためのインターフェースを提供するステップ。
・インターフェースにて、仕訳された複数の項目を一覧表示するステップ。
・ユーザの操作に応答して、仕訳された複数の項目のうちの一部を選択するステップ。
・ユーザの操作に応答して、選択された項目に基づいて、課税される個々の金額の消費税を算出し、さらに、当該算出された消費税の合計を算出することによる、税額を計算するステップであって、選択された項目における税率が複数種類存在した場合には、税額の計算は、税率の種類ごとに行うことが可能である、ステップ。
・計算するステップの後、税額の計算結果を画面に表示するステップ。
【0045】
4-1.仕訳入力を行うためのインターフェースを提供するステップ
プログラムは、ユーザが仕訳入力を行うためのユーザインターフェースを提供することができる。ユーザインターフェースを提供するためのプログラム言語は特に限定されない。例えば、WEBサーバ上で動作するプログラムの場合には、HTMLなどの言語で記述されたユーザインターフェースを、端末に送信することができる。ユーザインターフェースは、例えば、図2の出力装置(160、例えば、ディスプレイ)等を通して、出力されてもよい。
【0046】
4-2.インターフェースにて、仕訳された複数の項目を一覧表示するステップ
図12図13図18図20図22及び図24は、インターフェースの一例である。当該インターフェースでは、ユーザ企業が支払う予定の取引内容にかかる仕訳入力を行うことができる。具体的には、借方・貸方等の勘定科目、金額、課税区分、税率区分の設定を行うことができる。項目を一行追加する場合には追加ボタンをクリックする。すでに入力済みの項目について訂正する場合には、特定の行を選択したうえで訂正ボタンをクリックする。すでに入力済みの項目について削除する場合には、特定の行を選択したうえで削除ボタンをクリックする。
【0047】
図12に示す表示方法は、図5に示すデータ構造に対応している。換言すれば、図12に示す表示方法の変形例として、図6に示すデータ構造に対応する表示方法も可能である(例えば、図13に示すユーザインターフェース)。図5に示すデータ構造と、図12に示すユーザインターフェースとを比べると、借方、貸方、課税区分、税率区分などの表示が異なっている。例えば、図5ではコードで表示されているが、図12では対応する名称で表示されている。この点については、例えば、図5に示すデータ構造のテーブルと、図7図8、及び、図9に示すデータ構造のテーブルを組み合わせたクエリを発行する(例えば、データベースにSQLでSelectする等)ことにより、図12に示すユーザインターフェースのコンテンツを取得し、一覧表示することができる。
【0048】
4-3.ユーザの操作に応答して、仕訳された複数の項目のうちの一部を選択するステップ
ユーザは、上記ユーザインターフェースにおいて、仕訳された複数の項目のうちの一部を選択する。選択の方法は特に限定されない。例えば、各行にチェックボックス、ラジオボタンなどを設けて、当該アイテムをクリックすることで、該当する行が選択状態になるようにユーザインターフェースが構成されてもよい。あるいは、各行の任意の場所をクリックすること(例えば、適宜Shiftキー、Ctrlキーなどと組み合わせて)で選択状態になるようにユーザインターフェースが構成されてもよい。あるいは、画面の任意の場所をクリックしたままドラッグすることで範囲選択を行い、当該範囲に入る行が選択状態になるようにユーザインターフェースが構成されてもよい。あるいは、ある行が選択状態になった後、Shiftキーと矢印キーとを組み合わせて操作することで、行が選択状態になるようにユーザインターフェースが構成されてもよい
【0049】
プログラムは、上述した操作に応答して、行が選択されたことがわかるように、色を反転させるなどの表示をおこなってもよい(例えば、図12の仕訳番号1~仕訳番号4、図13の仕訳番号1~仕訳番号2)。いずれにしても、プログラムは上述したユーザの操作に応答して、特定の行が選択されたことを一時的に記憶させることができる。
【0050】
4-4.ユーザの操作に応答して、選択された項目に基づいて、課税される個々の金額の消費税を算出し、さらに、当該算出された消費税の合計を算出することによる、税額を計算するステップ
限定されるものではないが、計算対象の税額は、例えば、消費税の金額である。好ましい実施形態においては、計算対象の税額は、課税売上げ、課税仕入れや仕入れ税額控除にかかる消費税である。つまり、ある会社が他社に対して発行する請求書に関連する消費税の計算についても、本実施形態にかかる方法は有用であるが、ある会社が他社から受領した請求書に関連する消費税の計算についてはさらに有用である。
【0051】
上述したように消費税を算出するにあたっては、少なくとも2通りの方法が存在する。
(算出方法1)個々の項目ごとに課税対象額に税率を乗じて消費税を先に計算し、全項目分の消費税を税率ごとに合計する。
(算出方法2)全項目分の課税対象額を税率ごとにわけて合計し、当該合計分に対して、それぞれ税率を乗じる。
【0052】
本ステップにおいては、まず算出方法1に従った方法が実行される。例えば、図12に示す画面にて、仕訳番号1~4が選択された状況に基づいて税額を計算する場合、仕入1の税抜金額が10035円であり、仕入2の税抜金額が10035円である。そして、仕入1及び仕入2のそれぞれの税抜金額に対して、税率8%を乗じる。この結果、消費税額は、仕入1及び仕入2ともに802円となる(なお、この場合小数点以下は切り捨てで計算)。そして、仕入1及び仕入2の消費税額を合計して、1604円が算出される。
【0053】
4-5.選択された項目における税率が複数種類存在した場合には、税額の計算は、税率の種類ごとに行うことが可能である、ステップ
ここで、税率が複数種類存在した場合には、税額の計算は、税率の種類ごとに行うことができる。例えば、税率10%の項目と、税率8%の項目が混在している場合には、税率ごとに分けて上記の計算が行われる。図12に示す画面にて、仕訳番号5~8が選択された状況に基づいて税額を計算する場合、仕入1の税抜金額が10035円であり、仕入2の税抜金額が10000円である。そして、仕入1の税抜金額に対して、税率8%を乗じ、仕入2の税抜金額に対して、税率10%を乗じる。この結果、消費税額は、仕入1が802円、仕入2が1000円となる。また、図15に示す画面にて、税率10%の消費税1000円、軽減税率8%の消費税802円と表示される(なお、この場合小数点以下は切り捨てで計算)。
【0054】
好ましい実施形態においては、税率の種類ごとに計算を行った後、さらに、これら複数の税率による消費税の合計額を算出してもよい。また、さらに好ましい実施形態においては、課税対象額(税抜金額)の合計、税込額の合計を算出してもよい。税込額の合計は、例えば、課税対象額(税抜金額)の合計に、上記算出された消費税の合計額を加算することによって計算されてもよい。
【0055】
4-6.計算するステップの後、税額の計算結果を画面に表示するステップ
上記の計算が実行された後は、その結果を含む内容を、画面に表示する。例えば、仕訳入力を行うためのインターフェース上に、当該内容を表示してもよい。
【0056】
好ましい実施形態においては、例えば、図14に示すように、別画面(例えば、ポップアップ画面)にて、計算結果を表示することができる。
【0057】
表示する内容の一例としては、少なくとも、税率ごとの、消費税額である。これは、インボイス制度の下では、請求書には税率ごとに消費税額が表示されるからである。最低限、消費税額が表示されていれば、例えば、手元に持っている請求書(例えば、紙媒体の請求書)との照合が可能である。図16に請求書の一例を示す。図16の請求書では、上述した算出方法2のやり方で計算されているため、消費税額が1605円となっている。繰り返し述べるが、インボイス制度の下では、端数計算は税率ごとに1回までしか認められないので、仕入1及び仕入2(図16の請求書では缶詰A及び缶詰B)それぞれで、端数計算して消費税計算を行った請求書を発行することはできない。一方で、仕訳入力を行うときには請求書単位ではなく、明細単位で入力しなければならないので、仕訳ごとに算出された消費税額を合計した結果と、請求書に記載された金額とでずれが生じる可能性がある。仕訳入力担当者はこのようなずれが生じていないかどうかを確認する必要がある。
【0058】
そこで、請求書の消費税額と、インターフェース上に表示された計算結果である消費税額とを比べることで、端数を原因とする消費税額のずれを認識することができる。また、上述したインターフェース上の操作は、電卓をたたく場合と比べるとはるかに簡単であり(電卓キーをたたく回数と、マウスなどの選択操作でクリックする回数と比べると、後者のほうが圧倒的に少ない)、電卓で数字キーを間違えるといったリスクもない。
【0059】
表示する内容のさらに好ましい例としては、図15に示すように、税率ごとの税抜金額、消費税額、税込金額、並びに、全ての税率の合計としての税抜金額、消費税額、税込金額である(図15は、図12において仕訳番号5~仕訳番号8まで選択された場合の合計の例である)。
【0060】
上記では、画面のポップアップによって計算結果を表示していたが別の方法でも可能である。例えば、図14のインターフェースにおいて、計算結果を表示するための別の領域を設けておき、ユーザが選択する操作に応答して、当該領域に計算結果を表示するようにしてもよい。Microsoft(登録商標)社の表計算ソフトEXCEL(登録商標)では、セルを複数選択すると、画面下部分に、データの個数、平均、合計を算出して表示する仕様となっている。これに類する形で、消費税の計算結果を表示するようにしてもよい。
【0061】
5.変形例
上述した幾つかの実施形態にかかる方法については、さらに変更することが可能であり、それによって同様の効果、或いは、さらに優れた効果を達成することができる。以下では、いくつかの変形例について説明する。
【0062】
5-1.ユーザが指定していない項目を自動的に選択する
上記の実施形態では、ユーザが指定した項目に対して消費税の計算が行われていた。しかし、好ましい実施形態においては、ユーザが指定した項目に基づいて、ユーザが指定していない項目を自動的に選択するように変更してもよい。
【0063】
例えば、上述した選択するステップにおいて、さらに以下を含むサブステップを実行する変更が可能である。
【0064】
(パターン1)
・ユーザが複数の項目の一部を指定する操作に応答して、当該指定された項目を選択すること、
・指定された項目が所定の伝票識別情報に関連付けられており、尚且つ、当該伝票識別情報に関連付けられた未指定の項目が存在する場合に、当該未指定の項目を自動的に選択すること。
【0065】
例えば、図12において仕訳された複数の項目のうちの一部として仕訳番号1と2しか選択されなかった場合に、仕訳番号1と2と同一の伝票番号1を持つ未選択の仕訳された複数の項目(仕訳番号3と4)をシステムが補正して自動的に選択する。
【0066】
(パターン2)
・ユーザが指定した項目に対応するレシート識別情報を特定すること、
・特定されたレシート識別情報に関連する項目を選択すること。
【0067】
例えば、図12において仕訳された複数の項目のうちの一部として仕訳番号1と2を選択した場合に、仕訳番号1と2のレシートNOは1であるため、図10のレシートNO1のレコードが選択される。そして、当該レコードが選択されることにより、例えば、仕訳番号1と2に関連する領収書の情報を表示することができる(例えば、図14、及び、図15に示す消費税確認の画面などで、領収書の写真を表示するなど)。
【0068】
(パターン3)
・ユーザが複数の項目の一部を指定する操作に応答して、当該指定された項目を選択すること、
・指定された項目が所定のレシート識別情報に関連付けられており、尚且つ、当該レシート識別情報に関連付けられた未指定の項目が存在する場合に、当該未指定の項目を自動的に選択すること。
【0069】
例えば、図12において仕訳された複数の項目のうちの一部として仕訳番号1と2しか選択されなかった場合に、仕訳番号1と2と同一のレシートNO1を持つ未選択の仕訳された複数の項目(仕訳番号3と4)をシステムが補正して自動的に選択する。
【0070】
上記の変形例は、選択する項目が多いときに有用である。例えば、図14に示す例では、選択する項目は4行であるが、請求書に記載された明細が10以上又はこれを超える場合には、操作として負担が大きくなる。そこで、ユーザが指定した項目について、グループ化できる可能性ができる他の項目がある場合には、プログラム側で自動的に選択することでユーザの負担を軽減できる。
【0071】
グループ化する基礎となる情報は、例えば、レシート識別情報、伝票識別情報等のうちいずれか1以上であってもよい。例えば、ユーザがある項目を1つ指定した場合、同じ請求書に属する他の項目であってユーザが指定していない項目(未指定の項目)を自動的に選択するようにしてもよい。
【0072】
これにより、明細が多い場合であっても、ユーザが1行又は数行選択する操作だけで済ませることができる。
【0073】
自動的に他の項目も選択したうえで消費税額を計算するか、それとも、ユーザが指定した項目のみで消費税額を計算するかの切り替えは、ユーザが選択できるようにしてもよい。例えば、図12に示すインターフェースにて、集計ボタンをクリックした際に、「同じレシート番号の項目も集計しますか?」又は「同じ伝票番号の項目も集計しますか?」といった確認メッセージを表示してもよい。ここで、ユーザが「いいえ」を選択した場合には、プログラムは、ユーザが指定した項目のみで消費税額を計算する。一方で、ユーザが「はい」を選択した場合には、自動的に他の項目も選択したうえで消費税額を計算する。
【0074】
5-2.ユーザの操作に応答して消費税額を修正する
上記方法及びプログラムでは、さらに以下のステップを含んでもよい。
・ユーザの操作に応答して、ユーザが指定した項目の税額を変更するステップ。
【0075】
上記の例では、図14及び図16に示されるように、端数計算を原因として消費税の額に1円分ずれが生じていた。ここで、ユーザは、例えば、図14のインターフェースにおいて、仕訳番号2又は仕訳番号4を指定して、消費税の額を1円増額するようにしてもよい。例えば、図14のインターフェースにおいて、仕訳番号2を指定した後、訂正ボタンをクリックし、別画面にて金額を802円から803円に修正してもよい。これにより、仕訳番号2と仕訳番号4との合計が1605円となり、請求書に記載の消費税額と一致するようになる。プログラムは、変更後の消費税額を、図5又は図6に示す、仕訳帳一覧のデータに反映させる。
【0076】
5-3.ユーザの操作に応答して、税額の計算結果を含む仕訳集計結果を出力する
上記方法及びプログラムでは、さらに以下のステップを含んでもよい。
・ユーザの操作に応答して、税額の計算結果を含む仕訳集計結果を出力するステップ。
【0077】
例えば、図12に示す操作において、表示や集計のボタンをクリックするというユーザの操作に応答して、プログラムは、別画面を表示してもよい。すでに入力済みの仕訳の一覧を表示する場合には、表示ボタンをクリックする。あるいは、画面表示するのに加えて、又は、これに代えて、帳票を印刷するようにしてもよい。入力済みの仕訳の一覧の出力の例を図5又は図6に示す。また、例えば、図15に示す選択した仕訳の税額の計算結果を画面に表示する場合には、集計ボタンをクリックする。
【0078】
5-4.電子化された請求書との連携
上記方法及びプログラムでは、さらに以下のステップを含んでもよい。
・電子化された請求書のデータを取得するステップ。
・データに含まれる税額を取得ステップ。
・計算された税額と、データに含まれる税額との差額を計算するステップ。
【0079】
そして、差額が存在する場合には、税額の計算結果を画面に表示するステップは、当該差額が存在することを通知することを含むことができる。
【0080】
例えば、上記の実施形態では、紙媒体の請求書と比べることを前提としていたが、紙媒体の請求書に代えて、電子化された請求書のデータを取得するようにしてもよい。用語「電子化された請求書」の意味は、上記「1.定義」の欄で示した通りである。
【0081】
プログラムは、電子化された請求書のデータを読み込んで、当該データに含まれる税額を取得することができる。例えば、図16に示す紙媒体の請求書をOCR経由で電子化した場合、8%消費税の欄の金額1605円を取得することができる。
【0082】
ここで、請求書に複数の税率が記載されている場合には、プログラムは、それぞれの消費税の金額(第1金額)を取得することができる。例えば、8%消費税の欄と、10%消費税の欄とが請求書に記載されている場合には、プログラムは、それぞれの金額を取得することができる。
【0083】
上記取得の後、又は、上記取得の前、又は、上記取得と並行して、プログラムは、上記に示した通り(例えば、「4-4.ユーザの操作に応答して、選択された項目に基づいて、課税される個々の金額の消費税を算出し、さらに、当該算出された消費税の合計を算出することによる、税額を計算するステップ」に示した通り)、個々の明細ごとの消費税額を算出し、さらにその合計(第2金額)を算出する。
【0084】
プログラムは、さらに、上記第1金額と第2金額とを比較し、その差額を計算することができる。差額が0円の場合には、端数計算を原因とするずれがないと、プログラムは判定することができる。一方で、差額が0円ではない場合には、端数計算を原因とするずれが存在すると、プログラムは判定することができる。この場合には、プログラムは、税額の計算結果を画面に表示するステップを通して、当該差額が存在することを通知することができる。例えば、図14に示すポップアップの消費税確認のウィンドウにおいて、「※請求書に記載の消費税額と差額が生じています」というメッセージを追加で表示してもよい。好ましくは、プログラムは、当該メッセージに加えて、請求書との差額を表示してもよい。
【0085】
また、差額が存在しない場合であっても、プログラムは、差額ゼロ円である旨を、図14に示すポップアップの消費税確認のウィンドウにおいて表示してもよい。
【0086】
これにより、端数計算を原因とする消費税のずれをユーザが見落とすリスクを、プログラムにより軽減することができる。
【0087】
5-5.税額の計算結果を画面に表示するためのプログラムを製造する方法
一実施形態において、本開示は、税額の計算結果を画面に表示するためのプログラムを製造する方法に関する。税額の計算結果を画面に表示するためのプログラムは、少なくとも以下の2種類のプログラムのいずれか1以上を含む。
【0088】
(プログラム1)消費税の計算結果を画面で出力するために表現されたもの
(プログラム2)上記プログラム1を生成するためのプログラム
【0089】
プログラム1の例としては、HTML言語で記述されたプログラムが挙げられる。さらに具体的な例として、例えば、図14に示すポップアップの消費税確認のウィンドウのコンテンツをHTML言語で記述したプログラムが挙げられる。
【0090】
プログラム2の例としては、図14に示すポップアップの消費税確認のウィンドウのコンテンツを表現したHTMLファイルを動的に作成するプログラムが挙げられる。例えば、図14の親画面において、JAVAScript(登録商標)などのコードが埋め込まれており、集計処理をクリックするというユーザの操作に応答して、HTMLファイルを動的に生成してもよい。別の例では、図14の親画面において、集計処理をクリックするというユーザの操作に応答して、一旦、サーバ側にSubmitされて、サーバサイドで、HTMLファイルを動的に生成し、端末側に送信してもよい。
【0091】
5-6.その他変形例
上記では外税方式での入力を例にして説明したが、本開示の内容は、内税方式の入力にも適用可能である。また、上記では、仕入れに伴う請求書を例にして説明したが、一方で、会計管理を行う会社が、他社に対して請求書を発行する場合に、当該請求書に関しての仕訳入力についても、本開示の内容は適用可能である。換言すれば、買掛金などに限定されず、売掛金などの請求書についても、本開示の内容は適用可能である。
【0092】
一実施形態において、上記方法及びプログラムは、一台の情報処理装置内で完結するように実行されてもよい。しかし、別の一実施形態において、上記方法及びプログラムは、
例えば、サーバ/クライアント型のシステムの環境下で実行されてもよい。この場合、一連のステップは、全てサーバサイドで実行されてもよく、或いは、全てクライアントサイドで実行されてもよく、或いは、一部のステップがサーバサイドで実行され、そして、残りのステップがクライアントサイドで実行されてもよい。
【0093】
したがって、一実施形態において、本開示は、上述したステップの一部だけを実行するように構成されたプログラム、当該プログラムがインストールされた情報処理装置(例えば、サーバ、又は、端末装置等)、並びに、当該プログラムを用いた方法も包含する。また、別の一実施形態において、本開示は、上述したステップを実行するプログラムの組み合わせにも関する。
【0094】
6.消費税の集計方法
以下では消費税の集計方法についての具体例を説明する。
【0095】
図12に示すユーザインターフェースと図13に示すユーザインターフェースでは、実質的に同じ内容が選択されているといえる。しかし、画面のレイアウト、データ構造などの違いに応じて、異なる処理方法により集計されてもよい。
【0096】
6-1.集計方法その1(全体像)
図12にユーザインターフェースを例にとって、集計方法の詳細な例を以下説明する。図25に集計方法のフローチャートを示す。最初に集計カウンタを0に設定する。そして、消費税の集計結果を記録するための消費税集計情報をクリアする。次にループ判定を行う。ここでの判定では、「範囲選択状態の開始位置の仕訳番号+集計カウンタ」の値が、範囲選択状態の終了位置の仕訳番号の値と同じ又はそれ以下であるかどうかの判定を行う。例えば、図12の画面を例にとると、仕訳番号1~仕訳番号4までが範囲選択状態となっていることから、範囲選択状態の終了位置の仕訳番号の値は、仕訳番号4の行に該当する。範囲選択状態の開始位置の仕訳番号は、仕訳番号1の行に該当する。したがって、集計カウンタが0からスタートして、集計カウンタが4になった時点で、「範囲選択状態の開始位置の仕訳番号+集計カウンタ」の値が5となるので、判定条件を満たさなくなり、ループは終了となる。
【0097】
ループ判定条件において、ループ続行となった場合、次に、「範囲選択状態の開始位置の仕訳番号+集計カウンタ」の値の位置の仕訳を取得する。ここでは、まず、図12の仕訳番号1の行の仕訳が取得される。その後、仕訳の税率区分が0でないかどうかの判定が行われる。具体的には、図12の画面上では、「10%」「軽減税率8%」などと表現されているが、当該表現は、図5のデータの税率区分10及び9に対応している。図9の税率区分一覧のデータでは表現されていないが、税率区分0は、税がかからないことを意味している。したがって、税率区分0以外の場合には、消費税の集計結果を記録するための消費税集計情報において、税率区分の調整を行う。具体的には、該当する税率区分の行が存在するかどうかを判定し、存在しない場合には、該当する税率区分の行を1行追加する。存在している場合には、特に何もしない。消費税集計情報は、データとして、税込金額、税抜金額、消費税額を少なくとも保持する。
【0098】
その後取得した仕訳について、課税区分が、課税区分一覧表における仕入に該当するかどうかの判定を行う。例えば、図12の仕訳番号1の行では、課税区分が仕入対課税となっている。そして、図8の課税区分一覧のデータを参照すると、仕入対課税売上の区分は仕入となっている(なお、図12に示すユーザインターフェース上では、スペース上の都合により、仕入対課税売上ではなく、一部略して、仕入対課税と表現されている)。したがって、YESの判定が行われ、仕入仕訳集計処理が行われる。ここでの処理の詳細は後述する。
【0099】
NOの判定が行われた後、次の判定では、課税区分が、課税区分一覧表における売上に該当するかどうかの判定を行う。例えば、図22の仕訳番号1の行では、課税区分が課税売上となっている。そして、図8の課税区分一覧のデータを参照すると、課税売上の区分は売上となっている。したがって、判定がYESの場合には、売上仕訳集計処理が行われる。ここでの処理の詳細は後述する。
【0100】
NOの判定が行われた後、或いは、売上仕訳集計処理が行われた後、或いは、仕入仕訳集計処理が行われた後、集計カウンタを+1だけカウントアップさせる。そして、再度ループ判定に戻る。
【0101】
以上の処理を経ることで、消費税集計情報において、税込金額、税抜金額、消費税額が集計される。
【0102】
6-2.集計方法その2(仕入仕訳集計処理、図12等)
ここでは、上述した集計方法の一部について詳述する。具体的には、仕入仕訳集計処理について、適宜図12等に示すユーザインターフェースを参照しながら詳述する。
【0103】
まず、仕訳の借方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、消費税科目かどうかを判定する。例えば、図12の仕訳番号1の項目では、借方科目が仕入1であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、消費税の項目が「-」表示となっている。これは、消費税科目に該当しないことを意味する。一方で、別の例において、図12の仕訳番号2の項目では、借方科目が仮払消費税であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、消費税の項目が「仮払」表示となっている。これは、消費税科目に該当することを意味する。
【0104】
したがって、図12の仕訳番号1の項目では、判定がNOとなり、そして、図12の仕訳番号2の項目では、判定がYESとなる。
【0105】
YESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を加算する(この場合だと、802円が加算される)。さらには、消費税集計情報の中の消費税額について、仕訳の金額を加算する(この場合だと、802円が加算される)。その後仕入仕訳集計処理が終了する。
【0106】
NOとなった場合には、次の判定が行われる。具体的には、仕訳の借方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税対象かどうかを判定する。例えば、図12の仕訳番号1の項目では、借方科目が仕入1であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が31となっている。これは、課税対象に該当することを意味する。一方で、別の例において、図12の仕訳番号2の項目では、借方科目が仮払消費税であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が0となっている。これは、課税対象に該当しないことを意味する。
【0107】
したがって、図12の仕訳番号1の項目では、判定がYESとなり、そして、図12の仕訳番号2の項目では、判定がNOとなる。
【0108】
YESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を加算する(この場合だと、10035円が加算される)。さらには、消費税集計情報の中の税抜金額について、仕訳の金額を加算する(この場合だと、10035円が加算される)。その後仕入仕訳集計処理が終了する。
【0109】
NOとなった場合には、次の判定が行われる。仕訳の貸方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、消費税科目かどうかを判定する。判定がYESとなるケースとして、図12図13などのユーザインターフェースでは例示していないが、例えば、別の例として、図17及び図18を参照されたい。図17は、図5とは少なくとも一部内容が異なる仕訳帳一覧のデータであり、当該データの内容が、図18に示すインターフェースにて表現されている。例えば、図18に示す画面の仕訳番号5の項目においては、貸方科目が仕入値引となっている。この仕入値引の科目について、図7に示す勘定科目一覧のデータでは、消費税の項目が「-」表示となっている。これは、消費税科目に該当しないことを意味する。一方で、図18に示す画面の仕訳番号6の項目においては、貸方科目が仮払消費税となっている。この仮払消費税の科目について、図7に示す勘定科目一覧のデータでは、消費税の項目が「仮払」表示となっている。これは、消費税科目に該当することを意味する。
【0110】
したがって、図18の仕訳番号5の項目では、判定がNOとなり、そして、図18の仕訳番号6の項目では、判定がYESとなる。
【0111】
YESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を減算する(この場合だと、80円が減算される)。さらには、消費税集計情報の中の消費税額について、仕訳の金額を減算する(この場合だと、80円が減算される)。その後仕入仕訳集計処理が終了する。
【0112】
NOとなった場合には、次の判定が行われる。具体的には、仕訳の貸方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税対象かどうかを判定する。例えば、図18に示す画面の仕訳番号5の項目においては、貸方科目が仕入値引となっており、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が41となっている。これは、課税対象に該当することを意味する。一方で、別の例において、図18の仕訳番号6の項目では、貸方科目が仮払消費税であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が0となっている。これは、課税対象に該当しないことを意味する。
【0113】
したがって、図18の仕訳番号5の項目では、判定がYESとなり、そして、図18の仕訳番号6の項目では、判定がNOとなる。
【0114】
NOとなった場合には、仕入仕訳集計処理が終了する。YESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を減算する(この場合だと、1000円が減算される)。さらには、消費税集計情報の中の税抜金額について、仕訳の金額を減算する(この場合だと、1000円が減算される)。その後仕入仕訳集計処理が終了する。
【0115】
以上の仕入仕訳集計処理が、図25に示すループ内で繰り返し実行されることで、税込金額、税抜金額、消費税額の合計を算出することができる。
【0116】
6-3.集計方法その3(仕入仕訳集計処理、図13等)
上記の集計方法その2では、図12等のユーザインターフェースを参照しながら集計方法を詳述した。ここでは、図13等のユーザインターフェースを参照しながら集計方法を詳述する。
【0117】
まず、仕訳の借方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税対象かどうかを判定する。例えば、図13の仕訳番号1の項目では、借方科目が仕入1であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が31となっている。これは、課税対象に該当することを意味する。
【0118】
したがって、図13の仕訳番号1の項目では、判定がYESとなる。そして、YESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を加算し、さらには、消費税の金額を加算する(この場合だと、10035円+802円=10837円が加算される)。さらには、消費税集計情報の中の税抜金額について、仕訳の金額を加算する(この場合だと、10035円が加算される)。さらには、消費税集計情報の中の消費税額について、消費税の金額を加算する(この場合だと、802円が加算される)。その後仕入仕訳集計処理が終了する。
【0119】
NOとなった場合には、次の判定が行われる。具体的には、仕訳の貸方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税対象かどうかを判定する。別の例として、図19及び図20を参照されたい。図19は、図6とは少なくとも一部内容が異なる仕訳帳一覧のデータであり、当該データの内容が、図20に示すインターフェースにて表現されている。例えば、図20の仕訳番号3の項目では、貸方科目が仕入値引であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が41となっている。これは、課税対象に該当することを意味する。一方で、図20の仕訳番号1の項目では、貸方科目が買掛金であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が0となっている。これは、課税対象に該当しないことを意味する。
【0120】
したがって、図20の仕訳番号3の項目では、判定がYESとなり、そして、図20の仕訳番号1の項目では、判定がNOとなる。判定がNOとなった場合、その後仕入仕訳集計処理が終了する。
【0121】
一方で、判定がYESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を減算し、さらに消費税の金額を減算する(この場合だと、1000円+80円=1080円が減算される)。さらには、消費税集計情報の中の税抜金額について、仕訳の金額を減算する(この場合だと、1000円が減算される)。さらには、消費税集計情報の中の消費税額について、消費税の金額を減算する(この場合だと、80円が減算される)。その後仕入仕訳集計処理が終了する。
【0122】
6-4.集計方法その4(売上仕訳集計処理、図21及び図22
次に、売上仕訳集計処理について、詳述する。具体的には、図12の仕入仕訳と同様、消費税を別仕訳としてデータをもつ売上仕訳に対する集計処理について詳述する。例として、図21及び図22を参照されたい。図21は、図5とは少なくとも一部内容が異なる仕訳帳一覧のデータであり、当該データの内容が、図22に示すインターフェースにて表現されている。
【0123】
まず、仕訳の借方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、消費税科目かどうかを判定する。消費税科目かどうかの判定は、上述した集計方法その2と同様である。例えば、図22の仕訳番号5の項目では、借方科目が売上値引であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、消費税の項目が「-」表示となっている。これは、消費税科目に該当しないことを意味する。一方で、別の例において、図22の仕訳番号6の項目では、借方科目が仮受消費税であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、消費税の項目が「仮受」表示となっている。これは、消費税科目に該当することを意味する。
【0124】
したがって、図22の仕訳番号5の項目では、判定がNOとなり、そして、図22の仕訳番号6の項目では、判定がYESとなる。
【0125】
YESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を減算する(この場合だと、80円が減算される)。さらには、消費税集計情報の中の消費税額について、仕訳の金額を減算する(この場合だと、80円が減算される)。その後売上仕訳集計処理が終了する。
【0126】
NOとなった場合には、次の判定が行われる。具体的には、仕訳の借方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税対象かどうかを判定する。課税対象かどうかの判定は、上述した集計方法その2と同様である。例えば、図22の仕訳番号5の項目では、借方科目が売上値引であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が21となっている。これは、課税対象に該当することを意味する。一方で、別の例において、図22の仕訳番号6の項目では、借方科目が仮受消費税であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が0となっている。これは、課税対象に該当しないことを意味する。
【0127】
したがって、図22の仕訳番号5の項目では、判定がYESとなり、そして、図22の仕訳番号6の項目では、判定がNOとなる。
【0128】
YESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を減算する(この場合だと、1000円が減算される)。さらには、消費税集計情報の中の税抜金額について、仕訳の金額を減算する(この場合だと、1000円が減算される)。その後売上仕訳集計処理が終了する。
【0129】
NOとなった場合には、次の判定が行われる。仕訳の貸方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、消費税科目かどうかを判定する。例えば、図22の仕訳番号1の項目では、貸方科目が売上1であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、消費税の項目が「-」表示となっている。これは、消費税科目に該当しないことを意味する。一方で、別の例において、図22の仕訳番号2の項目では、貸方科目が仮受消費税であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、消費税の項目が「仮受」表示となっている。これは、消費税科目に該当することを意味する。
【0130】
したがって、図22の仕訳番号1の項目では、判定がNOとなり、そして、図22の仕訳番号2の項目では、判定がYESとなる。
【0131】
YESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を加算する(この場合だと、802円が加算される)。さらには、消費税集計情報の中の消費税額について、仕訳の金額を加算する(この場合だと、802円が加算される)。その後売上仕訳集計処理が終了する。
【0132】
NOとなった場合には、次の判定が行われる。具体的には、仕訳の貸方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税対象かどうかを判定する。例えば、図22の仕訳番号1の項目では、貸方科目が売上1であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が11となっている。これは、課税対象に該当することを意味する。一方で、別の例において、図22の仕訳番号2の項目では、貸方科目が仮受消費税であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が0となっている。これは、課税対象に該当しないことを意味する。
【0133】
したがって、図22の仕訳番号1の項目では、判定がYESとなり、そして、図22の仕訳番号2の項目では、判定がNOとなる。
【0134】
YESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を加算する(この場合だと、10035円が加算される)。さらには、消費税集計情報の中の税抜金額について、仕訳の金額を加算する(この場合だと、10035円が加算される)。その後売上仕訳集計処理が終了する。
【0135】
以上の売上仕訳集計処理が、図25に示すループ内で繰り返し実行されることで、税込金額、税抜金額、消費税額の合計を算出することができる。
【0136】
6-5.集計方法その5(売上仕訳集計処理、図23及び図24
次に、売上仕訳集計処理について、詳述する。具体的には、図13の仕入仕訳と同様、1つの仕訳内に消費税データをもつ売上仕訳に対する集計処理について詳述する。例として、図23及び図24を参照されたい。図23は、図6とは少なくとも一部内容が異なる仕訳帳一覧のデータであり、当該データの内容が、図24に示すインターフェースにて表現されている。
【0137】
まず、仕訳の借方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税対象かどうかを判定する。例えば、図24の仕訳番号3の項目では、借方科目が売上値引であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が21となっている。これは、課税対象に該当することを意味する。一方で、図24の仕訳番号1の項目では、借方科目が売掛金であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が0となっている。これは、課税対象に該当しないことを意味する。
【0138】
したがって、図24の仕訳番号3の項目では、判定がYESとなり、そして、図24の仕訳番号1の項目では、判定がNOとなる。
【0139】
YESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を減算し、さらには、消費税の金額を減算する(この場合だと、1000円+80円=1080円が減算される)。さらには、消費税集計情報の中の税抜金額について、仕訳の金額を減算する(この場合だと、1000円が減算される)。さらには、消費税集計情報の中の消費税額について、消費税の金額を減算する(この場合だと、80円が減算される)。その後売上仕訳集計処理が終了する。
【0140】
NOとなった場合には、次の判定が行われる。具体的には、仕訳の貸方科目が、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税対象かどうかを判定する。例えば、図24の仕訳番号3の項目では、貸方科目が売掛金であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が0となっている。これは、課税対象に該当しないことを意味する。一方で、図24の仕訳番号1の項目では、貸方科目が売上1であり、図7に示す勘定科目一覧のデータにおいて、課税区分の項目が11となっている。これは、課税対象に該当することを意味する。
【0141】
したがって、図24の仕訳番号3の項目では、判定がNOとなり、そして、図24の仕訳番号1の項目では、判定がYESとなる。
【0142】
判定がNOとなった場合には、その後売上仕訳集計処理が終了する。
【0143】
判定がYESとなった場合には、消費税集計情報の中の税込金額について、仕訳の金額を加算し、さらには、消費税の金額を加算する(この場合だと、10035円+802円=10837円が加算される)。さらには、消費税集計情報の中の税抜金額について、仕訳の金額を加算する(この場合だと、10035円が加算される)。さらには、消費税集計情報の中の消費税額について、消費税の金額を加算する(この場合だと、802円が加算される)。その後売上仕訳集計処理が終了する。
【0144】
以上の売上仕訳集計処理が、図25に示すループ内で繰り返し実行されることで、税込金額、税抜金額、消費税額の合計を算出することができる。
【0145】
上述した集計方法は、数ある候補の中の一例にすぎず、同様の内容を実現するにあたっては、別の方法でも可能である点を留意されたい。例えば、集計方法その2では、4つの判定が行われているが、この判定順序は変えたとしても集計結果に影響を及ぼさない。したがって、集計方法に関する発明の範囲は、上記集計方法に限定されない。
【0146】
以上、発明の具体的な実施形態について説明してきた。上記実施形態は、具体例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態の1つに開示された技術的特徴は、他の実施形態に適用することができる。また、特記しない限り、特定の方法については、一部の工程を他の工程の順序と入れ替えることも可能であり、特定の2つの工程の間に更なる工程を追加してもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
図1
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【手続補正書】
【提出日】2023-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会計管理プログラムであって、情報処理装置のプロセッサに命じることにより、以下のステップを実行することが可能なプログラム:
・仕訳入力を行うためのインターフェースを提供するステップと、
・前記インターフェースにて、仕訳された複数の項目を一覧表示するステップと、
・ユーザの操作に応答して、仕訳された複数の項目のうちの一部を選択するステップと、
・ユーザの操作に応答して、前記選択された項目に基づいて、課税される個々の金額の消費税を算出し、さらに、当該算出された消費税の合計を算出することによる、税額を計算するステップであって、前記選択された項目における税率が複数種類存在した場合には、前記税額の計算は、税率の種類ごとに行うことが可能である、ステップと、
・前記計算するステップの後、前記税額の計算結果を画面に表示するステップ。
【請求項2】
請求項1のプログラムであって、前記選択するステップが、
・ユーザが前記複数の項目の一部を指定する操作に応答して、当該指定された項目を選択することと、
・前記指定された項目が所定の伝票識別情報に関連付けられており、尚且つ、当該伝票識別情報に関連付けられた未指定の項目が存在する場合に、当該未指定の項目を自動的に選択することと、
を含む、プログラム。
【請求項3】
請求項1のプログラムであって、前記計算するステップが、仕入れ税額控除にかかる消費税を計算することが可能である、プログラム。
【請求項4】
請求項1のプログラムであって、前記選択するステップが、
・ユーザが指定した項目に対応するレシート識別情報を特定することと、
・前記特定されたレシート識別情報に関連する項目を選択することと、
を含む、プログラム。
【請求項5】
請求項1のプログラムであって、前記選択するステップが、
・ユーザが前記複数の項目の一部を指定する操作に応答して、当該指定された項目を選択することと、
・前記指定された項目が所定のレシート識別情報に関連付けられており、尚且つ、当該レシート識別情報に関連付けられた未指定の項目が存在する場合に、当該未指定の項目を自動的に選択することと、
を含む、プログラム。
【請求項6】
請求項1のプログラムであって、さらに以下のステップを実行することが可能なプログラム:
・ユーザの操作に応答して、ユーザが指定した項目の税額を変更するステップ。
【請求項7】
請求項1のプログラムであって、さらに以下のステップを実行することが可能なプログラム:
・ユーザの操作に応答して、前記税額の計算結果を含む仕訳集計結果を出力するステップ。
【請求項8】
請求項1のプログラムであって、
・電子化された請求書のデータを取得するステップと、
・前記データに含まれる税額を取得するステップと、
・前記計算された税額と、前記データに含まれる税額との差額を計算するステップと、
を実行することが可能なプログラムであり、
・前記差額が存在する場合には、前記税額の計算結果を画面に表示するステップは、当該差額が存在することを通知することを含む、
プログラム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のプログラムがインストールされた情報処理装置。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載のプログラムを情報処理装置が実行して税額の計算を行う方法。
【請求項11】
プログラムの製造方法であって、前記製造方法は情報処理装置によって実行され、前記プログラムはHTML形式で記述され、前記製造方法は、
請求項1~8のいずれか1項に記載のプログラムを用いて、税額計算するステップと、
・前記税額の計算結果を画面に表示するためのHTMLファイルを作成するステップと、
を含む、方法