(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010332
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/88 20110101AFI20240117BHJP
【FI】
H01R12/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111616
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】苗村 嶺
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB08
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB12
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB23
5E223DB25
5E223EC12
5E223EC22
5E223EC32
5E223EC47
5E223EC63
5E223EC75
5E223EC78
(57)【要約】
【課題】コネクタが接続される基板における回路パターンの配置の制約を緩和して基板上で回路パターンが配置される領域の面積を縮小することができる、コネクタを提供する。
【解決手段】複数のコンタクト12は、基板100に対して固定されて接続されるとともに、複数の導体にそれぞれ接続される。本体ハウジング11は、複数のコンタクト12を保持し、フレキシブル導電部材101の端部101aが挿入される。カバーハウジング13は、本体ハウジング11に対して回転して開閉自在で、フレキシブル導電部材101の端部101aを本体ハウジング11とともに挟む。係止金具14は、本体ハウジング11の内側に挿入されて本体ハウジング11の内側で保持され、カバーハウジング13の回転軸33と係止する。回転軸33は、本体ハウジング11と係止金具14とで回転自在に保持される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導体を有するフレキシブル導電部材と基板とを接続するコネクタであって、
前記基板に対して固定されて接続されるとともに、複数の前記導体にそれぞれ接続される複数のコンタクトと、
複数の前記コンタクトを保持するとともに、前記フレキシブル導電部材の端部が挿入されるように構成された本体ハウジングと、
前記本体ハウジングに対して回転して開閉自在に取り付けられ、前記本体ハウジングに挿入された前記フレキシブル導電部材の端部を前記本体ハウジングとともに挟むように構成されたカバーハウジングと、
前記本体ハウジングの内側に挿入されて当該本体ハウジングの内側で保持されるとともに、当該本体ハウジングに保持された状態で前記カバーハウジングに設けられた回転軸と係止する係止金具と、
を備え、
前記カバーハウジングの前記回転軸は、前記本体ハウジングと前記係止金具とで回転自在に保持されることを特徴とする、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記本体ハウジングには、前記カバーハウジングの前記回転軸が挿入される凹部が設けられ、
前記係止金具には、当該係止金具が前記本体ハウジングに挿入されて保持された状態で前記本体ハウジングの前記凹部と対向して当該凹部に挿入された前記回転軸と係止する係止部が設けられ、
前記回転軸は、前記本体ハウジングの前記凹部と前記係止金具の前記係止部との間で回転自在に保持されることを特徴とする、コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記係止金具には、平行に延びる一対のアーム部が設けられ、
前記係止金具が前記本体ハウジングに挿入される際に、一対の前記アーム部のそれぞれが前記本体ハウジングに対して圧入されることを特徴とする、コネクタ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
複数の前記コンタクトのそれぞれには、前記本体ハウジングから突出して延びるように設けられるとともに前記基板に対して固定されて接続される基板接続部が設けられ、
複数の前記コンタクトの前記基板接続部は、前記本体ハウジングにおいて複数の前記コンタクトが並んで配置される方向である幅方向に対して垂直な方向であって且つ前記本体ハウジングの高さ方向に対しても垂直な方向である前後方向に沿って、前記本体ハウジングから突出して延びるように設けられ、
前記幅方向に並ぶ複数の前記コンタクトの前記基板接続部は、前記前後方向における逆方向に向かって交互に前記本体ハウジングから突出して延びるように設けられることを特徴とする、コネクタ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記カバーハウジングには、前記本体ハウジングにおいて複数の前記コンタクトが並んで配置される方向である幅方向における両端側において、前記幅方向における中央側の部分よりも厚みが大きくなるように構成された厚肉部が設けられ、
前記本体ハウジングには、前記カバーハウジングが前記本体ハウジングに対して開いた状態で前記厚肉部が嵌る凹み溝が設けられていることを特徴とする、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の導体を有するフレキシブル導電部材と基板とを接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の導体を有するフレキシブル導電部材と基板とを接続するコネクタとして、特許文献1又は特許文献2に開示されたコネクタが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたコネクタにおいては、FPC70として設けられたフレキシブル導電部材が、インシュレータ20として設けられた本体ハウジングに対して挿入される。そして、特許文献1のコネクタにおいては、本体ハウジングに対して回転して開閉自在に取り付けられてフレキシブル導電部材を本体ハウジングとともに挟むアクチュエータ50として設けられたカバーハウジングが設けられている。更に、特許文献1のコネクタにおいては、カバーハウジングの回転軸(大径回転軸53)を本体ハウジングとともに回転自在に支持するとともに、基板の表面の実装面に対して接続される固定金具60が設けられている。固定金具60には、本体ハウジングの外側に突出するテール部61が設けられており、テール部61において基板の表面の実装面に対して接続される。
【0004】
特許文献2に開示されたコネクタにおいては、フレキシブルケーブル3として設けられたフレキシブル導電部材が、筐体10として設けられた本体ハウジングに対して挿入される。そして、特許文献2のコネクタにおいては、本体ハウジングに対して回転して開閉自在に取り付けられてフレキシブル導電部材を本体ハウジングとともに挟むアクチュエータ30として設けられたカバーハウジングが設けられている。更に、特許文献2のコネクタにおいては、本体ハウジングに取り付けられ、カバーハウジングの回転軸(回転軸32)を回転自在に支持するとともに、基板(PCB2)に対して接続される取付釘40が設けられている。取付釘40は、本体ハウジングの外側に突出するように設けられており、本体ハウジングから突出した部分において基板に対して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5362765号明細書
【特許文献2】特許第5736077号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたコネクタは、カバーハウジングの回転軸を本体ハウジングとともに回転自在に支持する固定金具60が、本体ハウジングの外側に突出したテール部61において基板に対して接続されるように構成されている。このため、基板の表面の実装面には、固定金具60を接続するための領域が必要となる。これにより、基板の表面の実装面における回路パターンの配置の制約が大きくなり、基板上における回路パターンが配置される領域の面積が大きくなってしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されたコネクタは、本体ハウジングに取り付けられるとともにカバーハウジングの回転軸を回転自在に支持する取付釘40が、本体ハウジングの外側に突出した部分において基板に対して接続されるように構成されている。このため、基板の表面の実装面には、取付釘40を接続するための領域が必要となる。これにより、基板の表面の実装面における回路パターンの配置の制約が大きくなり、基板上における回路パターンが配置される領域の面積が大きくなってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、コネクタが接続される基板における回路パターンの配置の制約を緩和して基板上で回路パターンが配置される領域の面積を縮小することができる、コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係るコネクタは、複数の導体を有するフレキシブル導電部材と基板とを接続するコネクタに関する。そして、本発明のある局面に係るコネクタは、前記基板に対して固定されて接続されるとともに、複数の前記導体にそれぞれ接続される複数のコンタクトと、複数の前記コンタクトを保持するとともに、前記フレキシブル導電部材の端部が挿入されるように構成された本体ハウジングと、前記本体ハウジングに対して回転して開閉自在に取り付けられ、前記本体ハウジングに挿入された前記フレキシブル導電部材の端部を前記本体ハウジングとともに挟むように構成されたカバーハウジングと、前記本体ハウジングの内側に挿入されて当該本体ハウジングの内側で保持されるとともに、当該本体ハウジングに保持された状態で前記カバーハウジングに設けられた回転軸と係止する係止金具と、を備え、前記カバーハウジングの前記回転軸は、前記本体ハウジングと前記係止金具とで回転自在に保持される。
【0010】
この構成によると、本体ハウジングに保持された複数のコンタクトが基板に対して固定されて接続されることで、コネクタが、基板に対して接続されて実装される。そして、本体ハウジングに保持された状態でカバーハウジングの回転軸と係止してカバーハウジングの回転軸を本体ハウジングとともに回転自在に保持する係止金具が、本体ハウジングの内側に挿入されて本体ハウジングの内側で保持されるように構成される。よって、カバーハウジングの回転軸を回転自在に係止する係止金具が、本体ハウジングの内側に挿入されて本体ハウジングの内側で保持され、基板に対して接続されない状態で本体ハウジングに保持される。このため、基板の表面の実装面においては、係止金具を接続するための領域が不要となる。これにより、基板の表面の実装面における回路パターンの配置の制約が緩和され、基板上における回路パターンが配置される領域の面積を縮小することができる。
【0011】
したがって、上記の構成によると、コネクタが接続される基板における回路パターンの配置の制約を緩和して基板上で回路パターンが配置される領域の面積を縮小することができる、コネクタを提供することができる。
【0012】
(2)前記本体ハウジングには、前記カバーハウジングの前記回転軸が挿入される凹部が設けられ、前記係止金具には、当該係止金具が前記本体ハウジングに挿入されて保持された状態で前記本体ハウジングの前記凹部と対向して当該凹部に挿入された前記回転軸と係止する係止部が設けられ、前記回転軸は、前記本体ハウジングの前記凹部と前記係止金具の前記係止部との間で回転自在に保持されてもよい。
【0013】
この構成によると、カバーハウジングの回転軸が本体ハウジングの凹部に挿入され、本体ハウジングに挿入された係止金具の係止部が凹部と対向して配置されることで、カバーハウジングの回転軸が回転自在に保持される。よって、本体ハウジングと本体ハウジングに挿入した係止金具とでカバーハウジングを回転自在に保持する構成を、本体ハウジングに凹部を設けて係止金具に凹部と対向する係止部を設けた簡素な構造で実現することができる。
【0014】
(3)前記係止金具には、平行に延びる一対のアーム部が設けられ、前記係止金具が前記本体ハウジングに挿入される際に、一対の前記アーム部のそれぞれが前記本体ハウジングに対して圧入されてもよい。
【0015】
この構成によると、係止金具に設けられた一対のアーム部が本体ハウジングに圧入されるため、本体ハウジングに挿入した係止金具を本体ハウジングに対して強固に保持することができる。
【0016】
(4)複数の前記コンタクトのそれぞれには、前記本体ハウジングから突出して延びるように設けられるとともに前記基板に対して固定されて接続される基板接続部が設けられ、複数の前記コンタクトの前記基板接続部は、前記本体ハウジングにおいて複数の前記コンタクトが並んで配置される方向である幅方向に対して垂直な方向であって且つ前記本体ハウジングの高さ方向に対しても垂直な方向である前後方向に沿って、前記本体ハウジングから突出して延びるように設けられ、前記幅方向に並ぶ複数の前記コンタクトの前記基板接続部は、前記前後方向における逆方向に向かって交互に前記本体ハウジングから突出して延びるように設けられてもよい。
【0017】
この構成によると、コネクタにおいて幅方向に並んで配置される複数のコンタクトの基板接続部が、コネクタの前後方向における逆方向に向かって交互に本体ハウジングから突出して設けられる。このため、コネクタは、前後方向の両側で交互に本体ハウジングから突出したコンタクトの基板接続部で基板に対して固定されて接続される。これにより、コネクタを前後方向の両側で基板に対してより強固に安定した状態で固定することができる。
【0018】
(5)前記カバーハウジングには、前記本体ハウジングにおいて複数の前記コンタクトが並んで配置される方向である幅方向における両端側において、前記幅方向における中央側の部分よりも厚みが大きくなるように構成された厚肉部が設けられ、前記本体ハウジングには、前記カバーハウジングが前記本体ハウジングに対して開いた状態で前記厚肉部が嵌る凹み溝が設けられていてもよい。
【0019】
この構成によると、カバーハウジングには、幅方向の両端側に厚肉部が設けられるため、カバーハウジングの剛性を向上させることができる。そして、本体ハウジングに凹み溝が設けられ、カバーハウジングが開いた状態ではカバーハウジングの厚肉部が本体ハウジングの凹み溝に嵌り込む。このため、カバーハウジングが開いた状態においては、カバーハウジングは、その厚肉部が本体ハウジングの凹み溝に嵌り込み、本体ハウジングに対して安定した状態で強固に支持される。これにより、カバーハウジングが開いた状態でカバーハウジングに外力が作用することがあっても、カバーハウジングは、本体ハウジングに安定して強固に支持されており、破損してしまうことが抑制される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、コネクタが接続される基板における回路パターンの配置の制約を緩和して基板上で回路パターンが配置される領域の面積を縮小することができる、コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタが基板に接続された状態を示す斜視図であって、コネクタにフレキシブル導電部材が接続された状態を示す図である。
【
図2】コネクタが基板に接続された状態を示す斜視図であって、コネクタにフレキシブル導電部材が接続される動作の途中の状態を示す図である。
【
図3】コネクタが基板に接続された状態を示す斜視図であって、基板においてコネクタが実装される実装面側から見た状態を示す図である。
【
図4】コネクタの斜視図であって、コネクタのカバーハウジングが開いた状態を示す図である。
【
図5】コネクタの斜視図であって、コネクタのカバーハウジングが閉じた状態を示す図である。
【
図6】
図6(A)は、コネクタの平面図であり、
図6(B)は、コネクタの底面図である。
【
図7】断面を含む状態で示すコネクタの斜視図であって、フレキシブル導電部材が接続される動作の途中の状態のコネクタを示す図である。
【
図8】断面を含む状態で示すコネクタの斜視図であって、フレキシブル導電部材が接続された状態のコネクタを示す図である。
【
図9】コネクタの断面図であって、コネクタのカバーハウジングが開いた状態での断面図である。
【
図10】コネクタの断面図であって、コネクタのカバーハウジングが閉じた状態での断面図である。
【
図11】コネクタの一部を拡大して示す斜視図であって、コネクタのカバーハウジングが開いた状態を示す図である。
【
図12】コネクタの一部を拡大して示す斜視図であって、コネクタのカバーハウジングが閉じた状態を示す図である。
【
図13】コネクタにおけるカバーハウジングの斜視図である。
【
図14】コネクタの断面図であってコネクタの一部を拡大して示す図である。
【
図15】コネクタにおける係止金具の斜視図である。
【
図16】コネクタとフレキシブル導電部材との接続動作について説明するための図であって、
図16(A)は、フレキシブル導電部材がコネクタに挿入される前の状態を示す断面図であり、
図16(B)は、フレキシブル導電部材がコネクタに挿入された状態を示す断面図であり、
図16(C)は、コネクタとフレキシブル導電部材とが接続された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、複数の導体を有するフレキブル導電部材と基板とを接続するコネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0023】
[コネクタの概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係るコネクタ1が基板100に接続された状態を示す斜視図であって、コネクタ1にフレキシブル導電部材101が接続された状態を示す図である。
図2は、コネクタ1が基板100に接続された状態を示す斜視図であって、コネクタ1にフレキシブル導電部材101が接続される動作の途中の状態を示す図である。
図3は、コネクタ1が基板100に接続された状態を示す斜視図であって、基板100においてコネクタ1が実装される実装面100a側から見た状態を示す図である。
図4は、コネクタ1の斜視図であって、コネクタ1のカバーハウジング13が開いた状態を示す図である。
図5は、コネクタ1の斜視図であって、コネクタ1のカバーハウジング13が閉じた状態を示す図である。
【0024】
図1乃至
図5を参照して、コネクタ1は、本体ハウジング11と、複数のコンタクト12と、カバーハウジング13と、一対の係止金具14と、を備えて構成されている。本体ハウジング11は、絶縁性を有する合成樹脂材料で形成され、複数のコンタクト12と一対の係止金具14とを保持している。複数のコンタクト12は、導電性を有する金属材料で形成され、本体ハウジング11にそれぞれ保持される。カバーハウジング13は、絶縁性を有する合成樹脂材料で形成され、本体ハウジング11に対して回転して開閉自在に取り付けられる。カバーハウジング13は、フレキシブル導電部材101の端部101aを本体ハウジング11とともに挟むように構成される。一対の係止金具14は、金属材料で形成され、本体ハウジング11の内側に挿入されて本体ハウジング11の内側で保持される。一対の係止金具14は、本体ハウジング11とともにカバーハウジング13を回転自在に保持するように構成される。
【0025】
コネクタ1は、複数のコンタクト12においてはんだ付けによって基板100に対して固定されて機械的及び電気的に接続されることで、基板100に対して実装されるように構成されている。また、コネクタ1は、基板100に対して実装された状態で、フレキシブル導電部材101が接続されるように構成されている。コネクタ1とフレキシブル導電部材101との接続の際には、フレキシブル導電部材101の端部101aが本体ハウジング11に挿入され、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じられる。そして、フレキシブル導電部材101の端部101aが本体ハウジング11とカバーハウジング13とで挟まれた状態となることで、コネクタ1とフレキシブル導電部材101との接続が完了する。
【0026】
コネクタ1が実装される基板100については、
図1乃至
図3において、一部のみを切り欠き状態で模式的に図示しており、コネクタ1が実装された部分及びその近傍の部分のみを図示している。基板100は、回路パターンが表面の実装面100aに設けられた基板として構成されている。
図3は、基板100においてコネクタ1が実装されて接続される表面である実装面100a側から見た基板100及びコネクタ1を示している。尚、
図3では、基板100における回路パターンの図示は省略されている。また、
図1及び
図2は、基板100における実装面100aとは反対側の面である反実装面100b側から見た基板100及びコネクタ1を示している。コネクタ1が基板100に実装される際には、コネクタ1における複数のコンタクト12のそれぞれが、基板100に対してはんだ付けで固定されることで接続される。また、基板100には、基板100を実装面100a側から反実装面100b側へと貫通する貫通孔100cが設けられている。コネクタ1は、基板100に設けられた貫通孔100cの内側に配置された状態で、基板100に対して実装される。即ち、コネクタ1は、基板100の貫通孔100cの内側に配置された状態で、複数のコンタクト12が基板100の実装面100aにはんだ付けで接続され、基板100に対して実装される。
【0027】
コネクタ1に接続されるフレキシブル導電部材101は、
図1乃至
図3において、一部のみを切り欠き状態で模式的に図示しており、コネクタ1に接続される部分及びその近傍の部分のみを図示している。フレキシブル導電部材101は、本実施形態では、絶縁被覆された複数の導体を有するフレキシブルフラットケーブルとして構成されている。フレキシブル導電部材101における複数の導体(図示省略)は、それぞれ細長く延びる形状に形成され、フレキシブル導電部材101において等間隔で配列されて互いに平行に延びるように設けられている。また、フレキシブル導電部材101には、その端部101aにおいて、複数の導体の端部が露出した導体露出部分(図示省略)が設けられている。導体露出部分は、フレキシブル導電部材101の端部101aにおいて、平坦に広がる表裏面のうちの一方の面において複数の導体の端部を露出させる部分として設けられている。フレキシブル導電部材101がコネクタ1と接続される際には、フレキシブル導電部材101の端部101aにおける導体露出部分にて外部に露出した複数の導体が、コネクタ1の複数のコンタクト12に対してそれぞれ接触して電気的に接続される。
【0028】
以下、コネクタ1のさらに詳細な構成について説明する。尚、以下の説明では、
図1乃至
図5及び後述の図面において両端矢印X1、両端矢印X2、及び両端矢印X3で示すように、コネクタ1及びコネクタ1の本体ハウジング11における高さ方向X1、幅方向X2、及び前後方向X3を定義する。
【0029】
コネクタ1及び本体ハウジング11の高さ方向X1は、コネクタ1が基板100に実装された状態で基板100の厚み方向と平行になる方向として規定される。即ち、高さ方向X1は、コネクタ1が基板100に実装された状態で、基板100における平坦な実装面100a及び反実装面100bに垂直な方向と平行になる方向として規定される。コネクタ1及び本体ハウジング11の幅方向X2は、高さ方向X1に垂直な方向であって、コネクタ1の本体ハウジング11において複数のコンタクト12が並んで配置される方向として規定される。コネクタ1及び本体ハウジング11の前後方向X3は、幅方向X2に垂直な方向であって且つ高さ方向X1に対しても垂直な方向として規定される。前後方向X3は、コネクタ1が基板100に実装された状態で、基板100における平坦な実装面100a及び反実装面100bと平行な方向となる。基板100に実装されたコネクタ1に接続されたフレキシブル導電部材101は、前後方向X3に沿ってコネクタ1から引き出された状態となる。
【0030】
[コンタクト]
図6(A)は、コネクタ1の平面図であり、
図6(B)は、コネクタ1の底面図である。尚、
図6(A)は、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じた状態でのコネクタ1の平面図である。また、
図6では、コネクタ1が基板100に実装されておらず、コネクタ1にフレキシブル導電部材101が接続されていない状態で、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じた状態を模式的に示している。
図7は、断面を含む状態で示すコネクタ1の斜視図であって、フレキシブル導電部材101が接続される動作の途中の状態のコネクタ1を示す図である。
図8は、断面を含む状態で示すコネクタ1の斜視図であって、フレキシブル導電部材101が接続された状態のコネクタ1を示す図である。尚、
図7及び
図8は、幅方向X2に対して垂直な断面を示している。また、
図7及び
図8では、コネクタ1が基板100に対して実装されていない状態でコネクタ1とフレキシブル導電部材101とが接続される状態を模式的に示している。
【0031】
図1乃至
図8を参照して、複数のコンタクト12は、基板100に対して固定されて接続されるとともに、フレキシブル導電部材101の複数の導体にそれぞれ接続されるように構成されている。そして、複数のコンタクト12のそれぞれは、例えば、平坦な金属板が打ち抜き加工されることで形成された板状に設けられており、高さ方向X1及び前後方向X3に沿って平坦に延びた状態で、本体ハウジング11に保持されている。即ち、板状の各コンタクト12は、幅方向X2に垂直な面に沿って平坦に延びた状態で、本体ハウジング11に保持されている。そして、複数のコンタクト12は、幅方向X2に垂直な方向に沿って互いに平行に延びた状態で、且つ、幅方向X2に沿って並んだ状態で、本体ハウジング11に保持されている。
【0032】
図4乃至
図8を参照して、複数のコンタクト12のそれぞれには、本体部21と、基板接続部22と、バネ接点部23と、カバー保持部24とが設けられている。本体部21と基板接続部22とバネ接点部23とカバー保持部24とは、一体に設けられている。コンタクト12の本体部21は、略矩形の板状の部分として形成されており、本体ハウジング11に対して圧入されて保持される部分として設けられている。
【0033】
コンタクト12の基板接続部22は、コンタクト12において、基板100に対して固定されて接続される部分として設けられている。基板接続部22は、本体部21から前後方向X3の一方に向かって片持ち状に延びるように形成されている。また、本体部21から前後方向X3の一方に延びる基板接続部22は、コンタクト12が本体ハウジング11に保持された状態で、本体ハウジング11から本体ハウジング11の外側へ突出して延びるように設けられている。そして、複数のコンタクト12の基板接続部22は、前後方向X3に沿って、本体ハウジング11から本体ハウジング11の外側へ突出して延びるように設けられている。
【0034】
また、幅方向X2に並ぶ複数のコンタクト12の基板接続部22は、前後方向X3における逆方向に向かって交互に本体ハウジング11から突出して延びるように設けられている。即ち、幅方向X2に隣り合って並ぶコンタクト12の基板接続部22は、互いに前後方向X3における逆方向に向かって本体ハウジング11から突出して延びるように設けられている。また、本体ハウジング11から突出した基板接続部22は、高さ方向X1における一方の端部の縁部22aにて基板100の実装面100aに対してはんだ付けによって固定されて接続されるように構成されている。
【0035】
コンタクト12のバネ接点部23は、コネクタ1にフレキシブル導電部材101が接続する際にフレキシブル導電部材101の導体に対して接触して電気的に接続される部分として設けられている。バネ接点部23は、本体部21から高さ方向X1の一方に向かって突出した柱状部21aから前後方向X3の一方に向かって片持ち状に延びるように形成されている。柱状部21aから前後方向X3に沿って延びるバネ接点部23の先端側には、フレキシブル導電部材101の導体と接触する突起状の接点23aが設けられている(
図7及び
図8を参照)。コネクタ1にフレキシブル導電部材101が接続される際には、フレキシブル導電部材101の端部101aが本体ハウジング11に挿入される。そして、フレキシブル導電部材101の端部101aの導体露出部分において露出した導体が、バネ接点部23の接点23aと接触し、フレキシブル導電部材101の導体とコンタクト12とが電気的に接続される。
【0036】
コンタクト12のカバー保持部24は、本体ハウジング11に対して取り付けられるカバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じた状態においてカバーハウジング13を保持するための部分として設けられている。カバー保持部24は、本体部21から高さ方向X1に突出した柱状部21aから前後方向X3の一方に向かって片持ち状に延びるように形成されている。カバー保持部24は、柱状部21aからバネ接点部23と略平行に前後方向X3に沿って延びるように設けられており、高さ方向X1においてバネ接点部23と並んで設けられている。尚、カバー保持部24は、バネ接点部23に対して、高さ方向X1における本体部21と反対側で、前後方向X3に沿って延びるように設けられている。
【0037】
図7及び
図8を参照して、カバー保持部24には、柱状部21aから前後方向X3に沿って延びる先端側において、本体ハウジング11に対して閉じた状態のカバーハウジング13を保持するための保持用切欠き部24aが形成されている。後述するカバーハウジング13には、複数のコンタクト12に対応して複数の被保持用リブ34が設けられている。カバー保持部24の保持用切欠き部24aは、後述のカバーハウジング13の被保持用リブ34に対して係止するための切欠き部分として設けられている。
【0038】
[本体ハウジング]
図9及び
図10は、コネクタ1の断面図である。
図9は、コネクタ1のカバーハウジング13が開いた状態での断面図であり、
図10は、コネクタ1のカバーハウジング13が閉じた状態での断面図である。尚、
図9及び
図10は、
図6(A)のA-A線矢視位置に対応した位置でのコネクタ1の断面図である。また、
図11及び
図12は、コネクタ1の一部を拡大して示す斜視図である。
図11は、コネクタ1のカバーハウジング13が開いた状態を示す図であり、
図12は、コネクタ1のカバーハウジング13が閉じた状態を示す図である。尚、
図11及び
図12は、
図4及び
図5の斜視図とは前後方向X3において異なる方向から見た状態での斜視図である。
【0039】
図1乃至
図12を参照して、本体ハウジング11は、幅方向X2に長く延びる筐体状の基本外形を有する部材として設けられ、複数のコンタクト12を保持するとともに、フレキシブル導電部材101の端部101aが挿入されるように構成されている。そして、本体ハウジング11には、コンタクト保持溝25、開口領域26、係止金具挿入溝27、凹部28、凹み溝29、等が設けられている。
【0040】
図6(B)、
図7、及び
図8を参照して、本体ハウジング11に設けられたコンタクト保持溝25は、複数設けられており、複数のコンタクト保持溝25は、本体ハウジング11において幅方向X2に並んで設けられている。コンタクト保持溝25は、板状のコンタクト12が圧入されて保持されるスリット状の溝として設けられている。コンタクト保持溝25は、高さ方向X1における一方側において本体ハウジング11の外部に開放された開口が設けられており、この開口からコンタクト12がコンタクト保持溝25に挿入されて圧入される。尚、コンタクト保持溝25に挿入されたコンタクト12は、その本体部21がコンタクト保持溝25に対して圧入されることで、本体ハウジング11に保持される。
【0041】
図7及び
図8を参照して、開口領域26は、本体ハウジング11において、フレキシブル導電部材101の端部101aが挿入されて配置される領域として設けられている。開口領域26は、本体ハウジング11において、高さ方向X1におけるコンタクト12が挿入される側と反対側で外部に対して開口した領域として設けられている。更に、開口領域26は、前後方向X3における一方側に向かって本体ハウジング11の外部に対して開口した領域として設けられている。コネクタ1にフレキシブル導電部材101が接続される際には、フレキシブル導電部材101の端部101aが、開口領域26において本体ハウジング11へ挿入される。開口領域26は、本体ハウジング11における複数のコンタクト保持溝25と連通している。更に、開口領域26では、本体ハウジング11に保持されたコンタクト12におけるカバー保持部24とバネ接点部23の接点23aとが露出している。フレキシブル導電部材101の端部101aが開口領域26に挿入されると、その端部101aは、開口領域26の内側で、カバー保持部24とバネ接点部23の接点23aとの間に配置される。そして、フレキシブル導電部材101の端部101aで露出したフレキシブル導電部材101の導体が、コンタクト12のバネ接点部23の接点23aと接触して電気的に接続される。
【0042】
図4、
図5、
図6(A)、
図9、及び
図10を参照して、係止金具挿入溝27は、一対で設けられており、一対の係止金具14がそれぞれ挿入されて保持される溝として設けられている。係止金具挿入溝27は、本体ハウジング11における幅方向X2の両側にそれぞれ設けられている。係止金具挿入溝27は、後述する板状の係止金具14が挿入されて保持されるスリット状の溝として設けられている。係止金具挿入溝27は、前後方向X3における一方側において本体ハウジング11の外部に開放された開口が設けられており、この開口から係止金具14が係止金具挿入溝27に挿入される。また、本体ハウジング11においては、係止金具挿入溝27に連通するとともに前後方向X3に沿って延びる一対の圧入孔30が設けられている。係止金具挿入溝27に係止金具14が挿入される際には、後述の係止金具14における一対のアーム部38が、係止金具挿入溝27に連通した一対の圧入孔30に対してそれぞれ圧入される。係止金具14が係止金具挿入溝27に挿入されて係止金具14の一対のアーム部38が一対の圧入孔30に圧入されることで、係止金具14は、本体ハウジング11に圧入された状態で本体ハウジング11に保持される。
【0043】
図4、
図8乃至
図10を参照して、凹部28は、一対で設けられており、後述するカバーハウジング13の回転軸33がそれぞれ挿入される凹み領域として設けられている。本体ハウジング11における幅方向X2の両端部には、高さ方向X1に延びる側壁31がそれぞれ設けられており、凹部28は、側壁31において幅方向X2の内側に開口するように凹み形成された領域として設けられている。
【0044】
図5、
図6(A)、
図7、
図8、
図11、及び
図12を参照して、凹み溝29は、一対で設けられており、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して開いた状態で後述するカバーハウジング13の厚肉部35がそれぞれ嵌る溝として設けられている。凹み溝29は、本体ハウジング11の幅方向X2の両端部の側壁31に対して幅方向X2の内側に隣接して配置されている。凹み溝29は、本体ハウジング11の幅方向X2の両側において、側壁31に隣接した位置で、高さ方向X1に沿って凹むとともに、前後方向X3に沿って延びる溝として設けられている。また、
図7乃至
図12を参照して、本体ハウジング11においては、凹み溝29に対して幅方向X2において隣接して設けられて凹み溝29に連通するとともに幅方向X2に凹む係止溝29aが設けられている。カバーハウジング13が開いた状態で凹み溝29にカバーハウジング13の厚肉部35が嵌る際には、後述の厚肉部35に設けられた突起35aが凹み溝29から幅方向X2に凹んだ係止溝29aに対して係止するように構成されている。
【0045】
[カバーハウジング]
図13は、コネクタ1におけるカバーハウジング13の斜視図である。
図14は、コネクタ1の断面図であって、コネクタ1の一部を拡大して示す図である。尚、
図14は、
図11のB-B線矢視位置に対応した位置でのコネクタ1の断面図である。
図1、
図2、
図4乃至
図14を参照して、カバーハウジング13は、本体ハウジング11に対して回転して開閉自在に取り付けられ、本体ハウジング11に挿入されたフレキシブル導電部材101の端部101aを本体ハウジング11とともに挟むように構成されている。
【0046】
図2、
図4、
図7、
図9、
図11、及び
図14では、本体ハウジング11に対して回転自在に取り付けられたカバーハウジング13が本体ハウジング11に対して開いた状態が図示されている。カバーハウジング13が開いた状態では、カバーハウジング13は、本体ハウジング11に対して高さ方向X1の一方に向かって斜めに傾いた状態で突出している。この状態では、本体ハウジング11の開口領域26が外部に開放され、開口領域26にフレキシブル導電部材101の端部101aが挿入されて配置可能な状態となっている。尚、
図4、
図9、
図11は、開口領域26にフレキシブル導電部材101の端部101aが配置されていない状態を示している。一方、
図2、
図7は、開口領域26にフレキシブル導電部材101の端部101aが挿入されて配置された状態を示している。
【0047】
図1、
図5、
図6、
図8、
図10、及び
図12では、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じた状態が図示されている。カバーハウジング13が閉じた状態では、カバーハウジング13は、前後方向X3に沿って延びた状態で本体ハウジング11の開口領域26を塞ぐように配置されている。この状態では、本体ハウジング11の開口領域26に挿入されたフレキシブル導電部材101の端部101aを本体ハウジング11とカバーハウジング13とで挟むことが可能な状態となっている。尚、
図1、
図8、
図12は、開口領域26にフレキシブル導電部材101の端部101aが挿入され、フレキシブル導電部材101の端部101aが本体ハウジング11とカバーハウジング13とで挟まれた状態を示している。一方、
図5、
図6、
図10は、開口領域26にフレキシブル導電部材101が挿入されていない状態で本体ハウジング11に対してカバーハウジング13が閉じた状態を示している。
【0048】
また、
図1、
図2、
図4乃至
図14を参照して、カバーハウジング13は、幅方向X2に長く延びる細長い板状の基本外形を有する部材として設けられ、本体部32、回転軸33、被保持用リブ34、厚肉部35、等が設けられている。
【0049】
図4乃至
図14を参照して、本体部32は、幅方向X2に沿って細長く延びるカバーハウジング13の基本形状を構成する板状の部分として設けられている。そして、本体部32は、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じた状態でフレキシブル導電部材101の端部101aを本体ハウジング11に向かって押圧する部分として設けられている。また、本体部32には、幅方向X2に沿って細長く薄い板状に延びる薄肉部分32aが設けられている(
図6(A)、
図7、
図8、
図13を参照)。薄肉部分32aは、本体部32において、幅方向X2に垂直な方向であってカバーハウジング13が閉じた状態のときに前後方向X3に沿う方向における一方側の厚みが薄く形成された部分として設けられている。尚、
図13では、前後方向X3の両端矢印について、カバーハウジング13が閉じた状態である場合を想定して図示している。薄肉部分32aは、カバーハウジング13が開いた状態において本体ハウジング11の高さ方向X1における一方側の端部との干渉を避ける逃がし領域を形成してカバーハウジング13の回転可能角度を大きくするために設けられている。
【0050】
図4、
図8乃至
図10、
図12、及び
図13を参照して、回転軸33は、カバーハウジング13を本体ハウジング11に対して回転自在に保持させるための軸部分として設けられ、一対で設けられている。回転軸33は、カバーハウジング13における幅方向X2の両端部にそれぞれ設けられている。カバーハウジング13における幅方向X2の両端部にそれぞれ設けられた回転軸33は、いずれも、幅方向X2に沿って突出する略円柱状の軸部分として設けられている。回転軸33は、本体ハウジング11における凹部28に対して遊嵌状態で嵌り込むようにして挿入される(
図4、
図8乃至
図10を参照)。尚、回転軸33は、本体ハウジング11に後述の係止金具14が挿入されていない状態において、本体ハウジング11の凹部28に挿入される。回転軸33が凹部28に挿入された後に、係止金具14が本体ハウジング11の係止金具挿入溝27に挿入される。
【0051】
図7、
図8、及び
図13を参照して、被保持用リブ34は、カバーハウジング13において複数設けられており、複数の被保持用リブ34は、カバーハウジング13において幅方向X2に並んで設けられている。複数の被保持用リブ34は、複数のコンタクト12に対応して設けられており、コンタクト12のカバー保持部24に対して保持されるとともに、カバーハウジング13が閉じた状態でカバー把持部24に対して係止する部分として設けられている。
【0052】
各被保持用リブ34は、平面カム状に扁平した断面形状を有しており、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して開いた状態では、カバー保持部24の保持用切欠き部24aに対して遊嵌状態で嵌め込まれる(
図7を参照)。一方、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じた状態では、平面カム状に扁平した各被保持用リブ34が、各カバー保持部24の保持用切欠き部24aに対して係止する(
図8を参照)。このため、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じた状態では、カバーハウジング13は、本体ハウジング11に保持された複数のコンタクト12に保持される。これにより、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じた状態では、その状態が維持される。
【0053】
図5乃至
図8、
図11乃至
図14を参照して、厚肉部35は、一対で設けられており、カバーハウジング13の幅方向X2における両端側にそれぞれ設けられている。そして、厚肉部35は、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して開いた状態で本体ハウジング11の凹み溝29に対して嵌る部分として設けられている(
図7、
図11、
図14を参照)。また、カバーハウジング13の幅方向X2における両端側に設けられた厚肉部35は、幅方向X2における中央側の部分よりも厚みが大きくなるように構成されている。更に、厚肉部35は、カバーハウジング13の両端側において、幅方向X2に垂直な方向であってカバーハウジング13が閉じた状態のときに前後方向X3に沿う方向における一方側で厚みが大きくなるように形成された部分として設けられている。このため、厚肉部35は、幅方向X2の中央側で幅方向X2に沿って延びる本体部32の薄肉部分32aよりも厚みが大きくなるように形成されている。
【0054】
また、
図8乃至
図14を参照して、厚肉部35には、カバーハウジング13における幅方向X2の外側に向かって短く突出する突起35aが設けられている。カバーハウジング13が開いた状態で凹み溝29に厚肉部35が嵌る際には、厚肉部35において幅方向X2に短く突出した突起35aが、凹み溝29から幅方向X2に凹んだ係止溝29aに対して係止するように構成されている。カバーハウジング13が開いて厚肉部35が本体ハウジング11の凹み溝29に嵌り込んだ状態では、突起35aが係止溝29aに係止するため、開いた状態のカバーハウジング13が本体ハウジング11に対して容易に回転してしまうことが抑制される。
【0055】
[係止金具]
図15は、コネクタ1における係止金具14の斜視図である。
図1、
図2、
図4、
図5、
図6(A)、
図9、
図10、
図15を参照して、係止金具14は、本体ハウジング11の内側に挿入されて本体ハウジング11の内側で保持されるとともに、本体ハウジング11に保持された状態でカバーハウジング13に設けられた回転軸33と係止するように構成されている。係止金具14は、コネクタ1において一対で備えられており、例えば、平坦な金属板が打ち抜き加工されることで形成された板状に設けられている。尚、一対の係止金具14は、本体ハウジング11において幅方向X2の両側に設けられた一対の係止金具挿入溝27にそれぞれ挿入されて保持される。このため、一対の係止金具14は、本体ハウジング11における幅方向X2の両側でそれぞれ保持されている。
【0056】
また、係止金具14は、本体ハウジング11における高さ方向X1及び幅方向X2の内側に設けられた係止金具挿入溝27に対して、前後方向X3に沿って挿入され、前後方向X3における内側に押し込まれる状態で挿入される。このため、係止金具14は、本体ハウジング11に対して、高さ方向X1、幅方向X2、及び前後方向X3における内側に挿入される。そして、係止金具挿入溝27に挿入されることで本体ハウジング11の内側に挿入された係止金具14は、本体ハウジング11の高さ方向X1、幅方向X2、及び前後方向X3における内側で本体ハウジング11に保持される。係止金具14は、本体ハウジング11の内側に挿入されて本体ハウジング11の内側で保持されるため、高さ方向X1、幅方向X2、及び前後方向X3のいずれにおいても本体ハウジング11の外側へ突出せず、基板100に対して接続されることがない状態で本体ハウジング11に保持される。
【0057】
図9、
図10、及び
図15を参照して、係止金具14には、本体部36と、係止部37と、一対のアーム部38とが設けられている。本体部36と係止部37と一対のアーム部38とは、一体に設けられている。係止金具14の本体部36は、略矩形の板状の部分として形成されており、本体ハウジング11の係止金具挿入溝27に対して挿入されて保持される部分として設けられている。
【0058】
係止部37は、係止金具14において、係止金具14が本体ハウジング11に挿入されて保持された状態で本体ハウジング11の凹部28と対向する部分として設けられている。更に、係止部37は、係止金具14において、係止金具14が本体ハウジング11に挿入されて保持された状態で、凹部28に挿入されたカバーハウジング13の回転軸33と係止する部分として設けられている。また、係止部37は、略矩形状の本体部36における1つの角部分において段差状に凹み形成された部分として設けられている。即ち、係止部37は、本体部36における前後方向X3の一方の端部側であって且つ高さ方向X1の一方の端部側において段差状に凹むように形成された部分として設けられている。
【0059】
図9及び
図10を参照して、係止金具14が本体ハウジング11の係止金具挿入溝27に挿入されると、係止部37は、本体ハウジング11の凹部28と高さ方向X1において対向して配置される。そして、係止部37が凹部28と対向して配置された状態では、凹部28に挿入されているカバーハウジング13の回転軸33が、係止部37と転動可能な状態で係止する。そして、回転軸33が、係止部37と凹部28との間において遊嵌状態で回転自在な状態で、保持される。これにより、カバーハウジング13の回転軸33は、本体ハウジング11の凹部28と係止金具14の係止部37との間で回転自在に保持される。
【0060】
尚、カバーハウジング13の回転軸33は、本体ハウジング11の係止金具挿入溝27に係止金具14が挿入されていない状態において、本体ハウジング11の凹部28に挿入される。そして、回転軸33が凹部28に挿入された後に、係止金具14が係止金具挿入溝27に挿入される。係止金具14が係止金具挿入溝27に挿入されると、係止部37が凹部28と対向し、係止部37と凹部28との間で回転軸33が回転自在に保持される。これにより、カバーハウジング13の回転軸33は、本体ハウジング11と係止金具14とで回転自在に保持される。
【0061】
図9、
図10、及び
図15を参照して、係止金具14の一対のアーム部38は、係止金具14が本体ハウジング11に挿入される際に本体ハウジング11に対してそれぞれ圧入される部分として設けられている。より具体的には、一対のアーム部38は、係止金具14が本体ハウジング11の係止金具挿入溝27に挿入される際に、係止金具挿入溝27に連通する一対の圧入孔30にそれぞれ圧入される部分として設けられている。一対のアーム部38のそれぞれは、本体部32から前後方向X3に沿って片持ち状に延びるように設けられている。そして、一対のアーム部38は、本体部32から前後方向X3に沿って互いに平行に延びるように設けられている。また、一対のアーム部38のそれぞれには、圧入孔30に圧入された際に圧入孔30の内壁に対して食い込むように係合する圧入突起38aが設けられている。係止金具14は、本体ハウジング11に挿入された際に、一対のアーム部38が本体ハウジング11に圧入されることで、本体ハウジング11に強固に保持される。
【0062】
係止金具14は、本体ハウジング11において前後方向X3の一方に開口する係止金具挿入溝27に挿入されて、本体ハウジング11の内側で保持されるように構成されている。そして、係止金具14は、高さ方向X1における寸法が、本体ハウジング11の高さ方向X1の寸法よりも小さく構成されている。更に、係止金具14は、本体ハウジング11に対して、本体ハウジング11の高さ方向X1における寸法の範囲の内側において、本体ハウジング11の高さ方向X1の寸法よりも突出しない状態で、本体ハウジング11の内側で保持されている。また、係止金具14は、前後方向X3における寸法が、本体ハウジング11の前後方向X3の寸法よりも小さく構成されている。更に、係止金具14は、本体ハウジング11に対して、本体ハウジング11の前後方向X3における寸法の範囲の内側において、本体ハウジング11の前後方向X3の寸法よりも突出しない状態で、本体ハウジング11の内側で保持されている。このため、係止金具14は、基板100に実装されることがなく、基板100に対して接続されない状態で本体ハウジング11に保持されている。
【0063】
[コネクタとフレキシブル導電部材との接続動作]
次に、上述したコネクタ1とフレキシブル導電部材101との接続動作について説明する。
図16は、コネクタ1とフレキシブル導電部材101との接続動作について説明するための図であって、
図16(A)は、フレキシブル導電部材101がコネクタ1に挿入される前の状態を示す断面図であり、
図16(B)は、フレキシブル導電部材101がコネクタ1に挿入された状態を示す断面図であり、
図16(C)は、コネクタ1とフレキシブル導電部材101とが接続された状態を示す断面図である。尚、
図16(A)乃至16(C)の断面図は、幅方向X2に対して垂直な断面を示している。
【0064】
コネクタ1とフレキシブル導電部材101との接続は、コネクタ1が基板100に実装されて接続された状態で行われる。即ち、コネクタ1の複数のコンタクト12が基板100の実装面100aにはんだ付けで固定されて接続された状態で、コネクタ1に対してフレキシブル導電部材101が接続される。
図16(A)に示すように、コネクタ1とフレキシブル導電部材101との接続前の状態では、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して開いた状態となっている。
【0065】
コネクタ1とフレキシブル導電部材101との接続動作が開始されると、
図16(B)に示すように、フレキシブル導電部材101の端部101aが、本体ハウジング11の開口領域26に挿入される。フレキシブル導電部材101の端部101aは、開口領域26に挿入されると、複数のコンタクト12に対してカバー保持部24とバネ接点部23との間で挿入された状態となる。
【0066】
フレキシブル導電部材101の端部101aが本体ハウジング11に挿入されると、次いで、
図16(C)に示すように、カバーハウジング13の回転操作が行われ、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じられる。カバーハウジング13が閉じられると、フレキシブル導電部材101の端部101aが、本体ハウジング11とカバーハウジング13の本体部32との間で挟まれ、カバーハウジング13の本体部32によって本体ハウジング11に対して押し付けられる。そして、フレキシブル導電部材101の端部101aの導体露出部分において露出した導体が、コンタクト12のバネ接点部23の接点23aと接触し、フレキシブル導電部材101の導体とコンタクト12とが電気的に接続される。これにより、コネクタ1とフレキシブル導電部材101とが電気的に接続され、コネクタ1とフレキシブル導電部材101との接続動作が完了する。
【0067】
尚、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じた状態では、カバーハウジング13の複数の被保持用リブ34が、複数のコンタクト12のカバー保持部24の保持用切欠き部24aとそれぞれ係止する。このため、カバーハウジング13は、複数のコンタクト12によって、本体ハウジング11に対して閉じた状態で、保持される。これにより、カバーハウジング13が本体ハウジング11に対して閉じてフレキシブル導電部材101の端部101aがカバーハウジング13と本体ハウジング11とで挟まれ、フレキシブル導電部材101とコネクタ1とが電気的に接続された状態が維持される。
【0068】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態によると、本体ハウジング11に保持された複数のコンタクト12が基板100に対して固定されて接続されることで、コネクタ1が、基板100に対して接続されて実装される。そして、本体ハウジング11に保持された状態でカバーハウジング13の回転軸33と係止してカバーハウジング13の回転軸33を本体ハウジング11とともに回転自在に保持する係止金具14が、本体ハウジング11の内側に挿入されて本体ハウジングの内側で保持されるように構成される。よって、カバーハウジング13の回転軸33を回転自在に係止する係止金具14が、本体ハウジング11の内側に挿入されて本体ハウジング11の内側で保持され、基板100に対して接続されない状態で本体ハウジング11に保持される。このため、基板100の表面の実装面100aにおいては、係止金具14を接続するための領域が不要となる。これにより、基板100の表面の実装面100aにおける回路パターンの配置の制約が緩和され、基板100上における回路パターンが配置される領域の面積を縮小することができる。
【0069】
したがって、本実施形態によると、コネクタ1が接続される基板100における回路パターンの配置の制約を緩和して基板100上で回路パターンが配置される領域の面積を縮小することができる、コネクタ1を提供することができる。
【0070】
また、本実施形態によると、カバーハウジング13の回転軸33が本体ハウジング11の凹部28に挿入され、本体ハウジング11に挿入された係止金具14の係止部37が凹部28と対向して配置されることで、カバーハウジング13の回転軸33が回転自在に保持される。よって、本体ハウジング11と本体ハウジング11に挿入した係止金具14とでカバーハウジング13を回転自在に保持する構成を、本体ハウジング11に凹部28を設けて係止金具14に凹部28と対向する係止部37を設けた簡素な構造で実現することができる。
【0071】
また、本実施形態によると、係止金具14に設けられた一対のアーム部38が本体ハウジング11に圧入されるため、本体ハウジング11に挿入した係止金具14を本体ハウジング11に対して強固に保持することができる。
【0072】
また、本実施形態によると、コネクタ1において幅方向X2に並んで配置される複数のコンタクト12の基板接続部22が、コネクタ1の前後方向X3における逆方向に向かって交互に本体ハウジング11から突出して設けられる。このため、コネクタ1は、前後方向X3の両側で交互に本体ハウジング11から突出したコンタクト12の基板接続部22で基板100に対して固定されて接続される。これにより、コネクタ1を前後方向X3の両側で基板100に対してより強固に安定した状態で固定することができる。
【0073】
また、本実施形態によると、カバーハウジング13には、幅方向X2の両端側に厚肉部35が設けられるため、カバーハウジング13の剛性を向上させることができる。そして、本体ハウジング11に凹み溝29が設けられ、カバーハウジング13が開いた状態ではカバーハウジング13の厚肉部35が本体ハウジング11の凹み溝29に嵌り込む。このため、カバーハウジング13が開いた状態においては、カバーハウジング13は、その厚肉部35が本体ハウジング11の凹み溝29に嵌り込み、本体ハウジング11に対して安定した状態で強固に支持される。これにより、カバーハウジング13が開いた状態でカバーハウジング13に外力が作用することがあっても、カバーハウジング13は、本体ハウジング11に安定して強固に支持されており、破損してしまうことが抑制される。
【0074】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0075】
(1)前述の実施形態では、基板100において実装面100a側から反実装面100b側へと貫通する貫通孔100cが設けられ、コネクタ1が基板100の貫通孔100cの内側に配置された状態で基板100に実装される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。貫通孔100cが設けられていない基板100の実装面100aに対してコネクタ1が実装される形態が実施されてもよい。
【0076】
(2)前述の実施形態では、係止金具14に設けられた一対のアーム部38が本体ハウジング11に対して圧入される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。係止金具14に設けられた1つのアーム部38が本体ハウジング11に圧入される形態が実施されてもよい。
【0077】
(3)前述の実施形態では、係止金具14が本体ハウジング11に対して前後方向X3に沿って挿入されて保持される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。係止金具14が本体ハウジング11に対して高さ方向X1に沿って挿入されて保持される形態が実施されてもよい。この場合、例えば、本体ハウジング11の凹部28は、前後方向X3の一方に開口するように構成されてもよい。そして、係止金具14には、前後方向X3に延びるアーム部38が設けられず、本体ハウジング11に高さ方向X1に沿って挿入される際に本体ハウジング11に圧入される圧入突起が設けられてもよい。更に、係止金具14の係止部37は、係止金具14が本体ハウジング11に挿入された状態で、本体ハウジング11の凹部28と前後方向X3において対向し、凹部28との間でカバーハウジング13の回転軸33を回転自在に保持するように構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、複数の導体を有するフレキシブル導電部材と基板とを接続するコネクタとして、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0079】
1 コネクタ
11 本体ハウジング
12 コンタクト
13 カバーハウジング
14 係止金具
22 基板接続部
28 凹部
33 回転軸
37 係止部
38 アーム部
100 基板
101 フレキシブル導電部材
101a フレキシブル導電部材の端部