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  • 特開-外ケース付包装箱 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103345
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】外ケース付包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/38 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
B65D5/38 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007624
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】391064197
【氏名又は名称】株式会社パッケージ中澤
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】中澤 洋介
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB15
3E060BA23
3E060BB01
3E060BB05
3E060BC04
3E060DA30
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】 角筒状の外ケースに対し箱形の内ケースを差込み挿脱する包装箱の内ケースの抜け出しを防止し且つ抜き出しを容易にする。
【解決手段】 この発明の外ケース付包装箱は、直交する側壁4と底壁3を備えた箱状の内ケース1と、該内ケース1を差込み挿脱可能に収容する筒状の外ケース2とからなり、内ケース1を差込み完了した状態で内ケース1と外ケース2を位置決めするように互いに係脱可能に係合し合う係止爪14と該係止爪14を受け止めるスリット状の係止孔21aを上記内ケース1と外ケース2の底部コーナー部の対応位置に下向きに設けている。
上記係止爪14は内ケース1の側壁4と一体的な山形に且つ差込み方向の前後端が緩やかな傾斜面に形成され又は係止爪14が側面視で円弧状の山形に形成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交する側壁(4)と底壁(3)を備えた箱状の内ケース(1)と、該内ケース(1)を差込み挿脱可能に収容する筒状の外ケース(2)とからなり、内ケース(1)を差込み完了した状態で内ケース(1)と外ケース(2)を位置決めするように互いに係脱可能に係合し合う係止爪(14)と該係止爪(14)を受け止めるスリット状の係止孔(21a)を上記内ケース(1)と外ケース(2)の底部コーナー部の対応位置に下向きに設けた外ケース付包装箱。
【請求項2】
係止爪(14)が内ケース(1)の側壁(4)と一体的な山形に且つ差込み方向の前後端が緩やかな傾斜面に形成された請求項1に記載の外ケース付包装箱。
【請求項3】
係止爪(14)が側面視で円弧状の山形に形成された請求項2に記載の外ケース付包装箱。
【請求項4】
係止孔(21a)が外ケース(2)の底板(17)のコーナー部を内側向きの山形に半抜き形成され、抜き残された山形が外ケース組立時に側壁(18)と一体的に下向きに且つ爪状に突出し、包装箱を載置する平面に接地する脚部(21b)を構成する請求項1に記載の外ケース付包装箱。
【請求項5】
係止爪(14)が外ケース(2)の底面より突出し、包装箱を載置する平面に接地する脚部を兼ねてなる請求項1又は4に記載の外ケース付包装箱。
【請求項6】
係止爪(14)を脚部(21b)と重なり合って共に外ケース(2)の底板(17)の底面側に突出させた請求項1又は4に記載の外ケース付包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はケーキその他の商品等を収容する箱状の内ケースを筒状の外ケースに挿脱可能に差込挿入する外ケース付包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来ショートケーキや菓子類等を収容する直方体形状の箱型内ケースを筒状の外ケースに差込挿入することによって包装する包装箱が蓋の開閉や包装形態の安定性等の利便性から広く利用されている。
【0003】
一方、この形態の包装箱は内ケースと外ケース差込みによる周面の摩擦力で包装状態を維持するため、ケースの材質や収容物の重量等によっては、取扱中に内ケースが抜け出る場合があるため、内ケースと外ケースの端部に接着テープやシール等貼り付け又はロック機構を設けて抜出しの防止を図っていた。
【0004】
この問題に関し、内ケースの外周に突起を設け、外ケースの差込時の対応位置に、上記突起と係合して内ケースと外ケースを位置決め固定する特許文献1,同2に示すものが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-11734号公報
【特許文献2】特開2011-12162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1,2の発明は、いずれも商品を固定的に収容する内ケースの外周に係合突起を突設し、内ケースを差込み挿入する筒状の外ケースに上記係合突起を定位置(差込み完了位置)で位置決め係合させる係止爪を設けることにより、内ケースの簡単な抜き出しや抜け出しを防止するものである。
【0007】
そして上記特許文献1,2の発明は、包装の対象となる商品がカプセル状の薬剤や電子機器等のようにいずれも外形が比較的強固であり且つ商品自体が内ケース側に安定的にホールドされるほか、ケース全体が薄型のプレート状に形成されており、荷姿の上下左右の方向性もない。
【0008】
これに対し、例えばケーキ類や和菓子等のように内ケース内に収容するだけで強固に固定できず、取扱い時も上下の方向性を持つ商品では、コストや冷蔵効率の点からケースが薄手のボール紙で十分な内部空間も確保しながら作られるため、位置決め部の係脱のために強い力も加えられないほか、上記特許文献1,2のものでは上記のような包装対象物の包装は想定されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の包装箱は、第1に直交する側壁4と底壁3を備えた箱状の内ケース1と、該内ケース1を差込み挿脱可能に収容する筒状の外ケース2とからなり、内ケース1を差込み完了した状態で内ケース1と外ケース2を位置決めするように互いに係脱可能に係合し合う係止爪14と該係止爪14を受け止めるスリット状の係止孔21aを上記内ケース1と外ケース2の底部コーナー部の対応位置に下向きに設けたことを特徴としている。
【0010】
第2に、係止爪14が内ケース1の側壁4と一体的な山形に且つ差込み方向の前後端が緩やかな傾斜面に形成されたことを特徴としている。
【0011】
第3に、係止爪14が側面視で円弧状の山形に形成されたことを特徴としている。
【0012】
第4に、係止孔21aが外ケース2の底板17のコーナー部を内側向きの山形に半抜き形成され、抜き残された山形が外ケース組立時に側壁18と一体的に下向きに且つ爪状に突出し、包装箱を載置する平面に接地する脚部21bを構成することを特徴としている。
【0013】
第5に、係止爪14が外ケース2の底面より突出し、包装箱を載置する平面に接地する脚部を兼ねてなることを特徴としている。
【0014】
第6に、係止爪14を脚部21bと重なり合って共に外ケース2の底板17の底面側に突出させたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
以上のように構成される本発明の包装箱は、比較的薄手のボール紙によって作られるものであっても、内ケースと外ケースの係止爪と係止孔の係合により、取扱い中の内ケースの抜け出し防止ができ且つ上記係合爪と係止孔の係脱も無理なく軽い力で操作できる利点がある。
【0016】
また外ケースの底壁から下向きに突出した係止爪や爪状の突起を脚部として接地させることができるため、商品の冷蔵・冷凍を伴う保管や搬送中に包装箱底面側に形成される隙間に冷気が流通することによる冷却効果を高めることができる。
【0017】
さらに、係合爪や爪状の脚部が下向きに突出しているため、包装箱の側壁同士を接触させて複数個の包装箱をセットにして搬送や保管ができ、逆に上下方向に包装箱を重ねる場合も左右両側の爪状の脚部が下方の両側に弾性変形しながら係止されることにより、左右方向のズレを防止する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の包装箱の一部を破断した全体斜視図である。
図2】包装箱の外ケースに内ケースを挿入した際の係合部の係合状態を示す断面図である。
図3】包装箱の内ケースの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図3はこの発明の1実施形態を示し、図1は例えば小形のケーキ類、生菓子等の和菓子等を収容する上部開放型の紙箱からなる内ケース1と、該内ケース1を差込挿入して閉塞する角筒状の外ケース2とその構成を示している。
【0020】
内ケース1は図示するように前後縦長の直方体形状で、長方形の底壁3に対してその各辺に中空の二重壁からなる左右の側壁4,4と前後壁6,6が前後左右共に対象な展開形状で構成され平面視で額縁タイプの箱となっている。図3に示す内側展開図中実線で示す折目は谷線の折目を、破線で示す折目は山線の折目を、ハッチング部分は接着固定用ののり代をそれぞれ示している。
【0021】
上記底壁3の左右両側辺には折目A1を介して側壁4が連設され、同様に折目B1を介して前後壁6が連設されている。さらに側壁4は、折目A1で接続される外板4aと、該外板4aの外周辺側に壁厚となる帯状のマチ4c及びその両側の折目A2,A3とを介して外板4aと同形の内板4bとで構成される。
【0022】
各内板4bの外側端には折目A4を介して帯状の固定フラップ7が連設され、固定フラップ7の展開内面は、のりしろ8によって底壁3の内面左右両端側に前後平行に予め接着固定され、この接着状態で底壁3の内面に対して直立させることにより、中空の側壁4が形成される。
【0023】
この時側壁4の厚みは、上端はマチ4cの幅により、上端は前記折目A4に沿って内向きの山形に切り残し(半抜き)形成された爪状又は舌状のスペーサー部9によって決められる。スペーサー部9は、固定フラップ7を底壁3の内面に沿って折曲げ接着する際に、その先端が外板4aの下端内面に当接し、内板4bの左右位置決めをし且つその壁厚を決める(図2参照)。
【0024】
他方、前後壁6も側壁4と同様に折目B1~B4を介して外板6a,内板6b,マチ6c及び固定フラップ11が連設されるが、底壁3に対して起立した状態での固定機構が側壁4の場合と異なる。以下この点につき詳述する。
【0025】
前述した側壁4の内板4bの前後端には、山線の折目B5を介して折り曲げフラップ12が連設され、前後壁6の外板6aと左右壁4の外板4aの前後端との間には、四辺形の連接フラップ13がそれぞれの谷線の折目A5,同B6を介して連設され、連接フラップ13の折目A5,B6の交点と外向きの頂角間には、対角線状の山線の折目Cが付されており、図1に示すように内ケース組立時には折目Cによってヒダを形成するように内向きに折畳まれ、共に外板6a,内板6b,マチ6cにより、前後壁6内に収容されて折り込まれる。
【0026】
この組立作業では、予め左右側壁6を内側に起立させて直立させるとともに、折り曲げフラップ12を起立状態で重ね合わせながら直立させ、次いで前後の連接フラップ13を内向きに折畳んでヒダを形成しながら外板6aを内向きに起立させ、内板6bを互いに重なり合う折り曲げフラップ12と連接フラップ13に被せながら内部に折り込むことにより、前後壁6を形成する。
【0027】
この時固定フラップ11の先端コーナーは、図3に示すように底壁3上に予め接着固定されている固定フラップ7の前後端と側壁4の内板4bの前後の内端部に囲まれた状態で底壁3の内面に当接し且つ係脱可能に係止され、前後壁6は側壁4とともに起立して内ケース1の箱形態を保持する。
【0028】
図3図1に示すように前記底壁3の左右両端の折目A1の内側には、内向きの円弧状の係止爪14が前後位置に振り分けて切り残し形成され、内ケース組立時には、左右の側壁4の外板4aと一体的に内ケース1の底面側に突出し、後述する外ケース2に対する差込み時の位置決めと抜け出し防止機能を果たすものである。
【0029】
次に外ケース2について説明すると、外ケース2は内ケース1を内部にスライド挿入する両端開放タイプの筒状の直方体形状であり、上下の天板16及び底板17,左右の側壁18,左右いずれかの側壁18と底板17(天板16でも良い)を接着連結する連結フラップ19とで周壁が構成されている。
【0030】
そして図1に示す例では底板17の左右両辺のコーナー部の前後位置には、前記内ケース1を挿入した際の内ケース1の係止爪14の設置位置に対応する位置に、当該コーナーの折目に沿った内向きに山形を形成するスリット状の係止孔21aが半抜き状に形成される。
【0031】
この係止孔21aは、底板17の左右両端に下向きに開口し且つ係止孔21a形成時の切り残し部分は、山形の爪状の突起を形成し、外ケース組立状態では左右の側壁18と一体となって下向きに突出し、外ケース2を平面上に載置した時の脚部21bとして接地する。
【0032】
上記構造により内ケース1を外ケース2に対して差込挿入すると、内ケース1側の係止爪14は外ケース2の底板17に弾力的に押接され(底板17を押し開き)ながら挿入される。係止爪14が係止孔21aに差し掛かると係止爪14が係止孔21aに嵌って位置決め固定され、外ケース2外に内ケース1を押し出す際は、逆に係止爪14の係止(摩擦)抵抗に抗して内ケース1を一方から他方に押し出すことにより係止爪14の係止が外れて押し出すことができる。
【0033】
この時係止爪14の前後が緩やかな傾斜面(アール面)に形成されているため、内ケース1の押し込み時又は係止爪14と係止孔21aの係脱は強い力や特別な係脱操作を要することなく、スムースに行われる。尚、この挿脱や係脱をスムースに行うためには係止爪14が山形で緩やかなカーブの円弧状であることが望ましいが、例えば台形状で前後の傾斜面を緩傾斜に形成しても良い。
【0034】
また図2及び前述の説明では、外ケース2の係止孔21aの切り残し部を包装箱の脚部21bとして利用しているが、係止爪14を脚部21bと同一高さに突出させて共に脚として利用し、又は係止爪14の突出高さを高くして、係止爪14のみを脚として利用することも可能である。
【0035】
その他脚部21bの突出量をより大きくして、包装箱同士を重ねた際に、前後左右の脚部21bを、下側の外ケース2の上端コーナーの両外側に弾力的に当接させて、上下の包装箱同士の左右動を規制し、積み重ね時の荷崩れを防止することもできる。
【0036】
上記のように係止爪14に脚部を兼ねさせ又は、別途脚部21bを底面側に突出させて設けることにより、包装箱の下面側の載置面との間に空間が形成され、例えば、包装箱をケーキ類や生菓子類,フルーツ菓子,アイスクリーム等のように冷蔵又は冷凍を要する食品の場合に冷気の通風空間となり、冷却効果が高まる利点がある。
【符号の説明】
【0037】
1 内ケース
2 外ケース
3 底壁
4 側壁
6 前後壁
14 係止爪
17 底板
18 側壁
21a 係止爪
21b 脚部
図1
図2
図3