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  • 特開-貨物用搬送車両及び光照射方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010335
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】貨物用搬送車両及び光照射方法
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/32 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
B64F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111620
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 亮
(57)【要約】
【課題】トーイングトラクタの運転者の運転経験の多少に拘わらず、運搬台車を貨物用搬送車両に対して適正な位置に停車させることが可能となる技術を提供する。
【解決手段】コンテナ・パレットローダ1は、横付けされた運搬台車110a~110eに積載されたコンテナCを運搬台車110a~110eから移動させ、移動させたコンテナCを搬送して航空機Aに搬入させるとともに、航空機Aから搬出した貨物を搬送し、搬送したコンテナCを運搬台車110a~110eに移動させて積載する。そして、トーイングトラクタ100は、運搬台車110a~110eの横付け位置を示す光を照射する光源Lを備えている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機に対して略垂直方向に接近し、貨物を搭載する貨物用搬送車両であり、
前記貨物用搬送車両に横付けされた運搬台車に積載された貨物を前記運搬台車から移動させ、移動させた前記貨物を搬送して前記航空機に搬入させるとともに、前記航空機から搬出した貨物を搬送し、搬送した前記貨物を前記運搬台車に移動させて積載する貨物用搬送車両であって、
前記運搬台車の横付け位置を示す光を照射する光源
を備えた貨物用搬送車両。
【請求項2】
前記光源は、前記運搬台車の横付け位置のうち、前記運搬台車と前記貨物用搬送車両との適正な間隙を示す位置と前記運搬台車の進行方向の停車位置とを1本の光で照射する、
請求項1に記載の貨物用搬送車両。
【請求項3】
前記光源は、前記運搬台車の横付け位置のうち、前記運搬台車と前記貨物用搬送車両との適正な間隙を示す位置を少なくとも1本の光で照射する部分と、前記運搬台車の横付け位置のうち、前記運搬台車の進行方向の停車位置を少なくとも1本の光で照射する部分の少なくともどちらか一方を有する、
請求項1に記載の貨物用搬送車両。
【請求項4】
前記運搬台車と前記貨物用搬送車両との適正な間隙を示す位置を照射する前記部分は、当該適正な間隙を示す位置を1本の光で照射する場合、複数の異なる位置から選択されたいずれか1つの位置を示す光を照射し、当該適正な間隙を示す複数の異なる位置を複数本の光で照射する場合、各態様を変更した複数本の光を照射する、
請求項3に記載の貨物用搬送車両。
【請求項5】
航空機に対して略垂直方向に接近し、貨物を搭載する貨物用搬送車両に横付けされた運搬台車に積載された貨物を前記運搬台車から移動させ、移動させた前記貨物を搬送して前記航空機に搬入させるとともに、前記航空機から搬出した貨物を搬送し、搬送した前記貨物を前記運搬台車に移動させて積載する前記貨物用搬送車両に備えられた光源から前記運搬台車の横付け位置を示す光を照射する光照射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、貨物を搬送するための貨物用搬送車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば空港において、航空機の貨物室の搬入搬出口に隣接させた状態で貨物(コンテナに収納した状態やパレットに積載した状態など)を搬送するようにした貨物用搬送車両が記載されている。この貨物用搬送車両は、航空機の方向を向いた状態である前方から後方に向けて、前部プラットフォームと、後部プラットフォームと、延長台車とを備えている。貨物は、まず、延長台車の後方に横付けされた、貨物搬送用車両とは別の運搬台車から延長台車に移動される。そして、この移動された貨物は、延長台車から後部プラットフォームへ、後部プラットフォームから前部プラットフォームへ搬送され、次いで、前部プラットフォームから航空機の貨物室に積み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-199180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運搬台車から延長台車へ貨物を移動させるときは通常、貨物を運搬台車上で90°回転させてから延長台車へ移動させるので、運搬台車と延長台車との前後方向の距離を所定の距離だけ離した状態で、運搬台車を延長台車に横付けしなければならない。したがって、その前後方向の距離が所定の距離を所定の閾値以上離間した状態で運搬台車を横付けすると、貨物を運搬台車から延長台車へ移動させる際に、貨物が運搬台車と延長台車との間隙に嵌まり、貨物を運搬台車から延長台車へ移動させることができない。また、前後方向と水平に直交する左右方向の運搬台車と延長台車との位置関係も同様で、貨物を運搬台車上で90°回転させたときに、貨物が延長台車の幅内に収まっていなければ、貨物を運搬台車から延長台車へ移動させることができない。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の貨物用搬送車両では、延長台車に対する運搬台車の停車位置を、運搬台車を牽引するトーイングトラクタの運転者に知らせることは考慮していないので、運搬台車を延長台車に対して適正な位置に停車させることは、専ら運転者の経験や勘に委ねられていた。したがって、経験の浅い運転者は、運搬台車を1回で適正な位置に停車させることができず、位置合わせをやり直すことがあり、これにより、作業効率が低下する。また、経験のそれほど浅くない運転者でも、夜間や雨天時は、目視による位置合わせがかなり困難な状況となり、他者による誘導が必要となったり、ベテランの運転者の経験に頼ることになる。
【0006】
本願は、トーイングトラクタの運転者の運転経験の多少に拘わらず、運搬台車を貨物用搬送車両に対して適正な位置に停車させることが可能となる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願の貨物用搬送車両は、航空機に対して略垂直方向に接近し、貨物を搭載する貨物用搬送車両であり、貨物用搬送車両に横付けされた運搬台車に積載された貨物を運搬台車から移動させ、移動させた貨物を搬送して航空機に搬入させるとともに、航空機から搬出した貨物を搬送し、搬送した貨物を運搬台車に移動させて積載する貨物用搬送車両であって、運搬台車の横付け位置を示す光を照射する光源を備えたことを特徴とする。
【0008】
これにより、運搬台車を牽引するトーイングトラクタの運転者は、光源から照射された、運搬台車の横付け位置を示す光を目視し、その光の照射位置に合わせて運搬台車を貨物用搬送車両に横付けすれば、運搬台車は自然に適正な位置に停車することになるので、トーイングトラクタの運転者の運転経験の多少に拘わらず、運搬台車を貨物用搬送車両に対して適正な位置に停車させることが可能となる。
【0009】
また、光源は、運搬台車の横付け位置のうち、運搬台車と貨物用搬送車両との適正な間隙を示す位置と運搬台車の進行方向の停車位置とを1本の光で照射するようにしてもよい。
【0010】
これにより、上記効果を奏しつつ、光源から照射される光の本数を最低限の1本に削減することができるので、より安価な光源を用いることができる。このため、貨物用搬送車両全体の製造コストを削減することが可能となる。
【0011】
また、光源は、運搬台車の横付け位置のうち、運搬台車と貨物用搬送車両との適正な間隙を示す位置を少なくとも1本の光で照射する部分と、運搬台車の横付け位置のうち、運搬台車の進行方向の停車位置を少なくとも1本の光で照射する部分の少なくともどちらか一方を有するようにしてもよい。
【0012】
これにより、運搬台車を牽引するトーイングトラクタの運転者は、光源から照射された、運搬台車の横付け位置のうち、運搬台車と貨物用搬送車両との適正な間隙を示す位置及び/又は運搬台車の進行方向の停車位置を示す光を目視し、その光の照射位置に合わせて運搬台車を貨物用搬送車両に横付けできるので、上記効果を奏することが可能となる。
【0013】
また、運搬台車と貨物用搬送車両との適正な間隙を示す位置を照射する部分は、当該適正な間隙を示す位置を1本の光で照射する場合、複数の異なる位置から選択されたいずれか1つの位置を示す光を照射するようにしてもよい。
【0014】
これにより、運搬台車に積載された、あるいは積載する貨物のサイズに応じた適正な間隙を示す位置の光を光源から照射することができるので、貨物のサイズが変動したとしても、運搬台車を貨物用搬送車両に対して適正な位置に停車させることが可能となる。
【0015】
また、運搬台車と貨物用搬送車両との適正な間隙を示す位置を照射する部分は、当該適正な間隙を示す複数の異なる位置を複数本の光で照射する場合、各態様を変更した複数本の光で照射するようにしてもよい。
【0016】
これにより、トーイングトラクタの運転者は、運搬台車に積載された、あるいは積載する貨物のサイズに応じた態様の光を目視し、その光の照射位置に合わせて運搬台車を貨物用搬送車両に横付けすればよいので、貨物のサイズが変動したとしても、運搬台車を貨物用搬送車両に対して適正な位置に停車させることが可能となる。
【0017】
上記目的を達成するため、本願の光照射方法は、航空機に対して略垂直方向に接近し、貨物を搭載する貨物用搬送車両に横付けされた運搬台車に積載された貨物を運搬台車から移動させ、移動させた貨物を搬送して航空機に搬入させるとともに、航空機から搬出した貨物を搬送し、搬送した貨物を運搬台車に移動させて積載する貨物用搬送車両に備えられた光源から運搬台車の横付け位置を示す光を照射することを特徴とする。
【0018】
これにより、運搬台車を牽引するトーイングトラクタの運転者は、光源から照射された、運搬台車の横付け位置を示す光を目視し、その光の照射位置に合わせて運搬台車を貨物用搬送車両に横付けすれば、運搬台車は自然に適正な位置に停車することになるので、トーイングトラクタの運転者の運転経験の多少に拘わらず、運搬台車を貨物用搬送車両に対して適正な位置に停車させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願の一実施形態に係るコンテナ・パレットローダに運搬台車からコンテナを移動させている様子を示す模式図である。
図2】本願の一実施形態に係る貨物用搬送車両の平面図である。
図3図1中の光の照射態様と異なる照射態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
コンテナ・パレットローダ1(「貨物用搬送車両」の一例)は、図1に示すように、前方から後方に向けて、前部プラットフォーム11(「ブリッジプラットフォーム」とも言う)と後部プラットフォーム12(「メインプラットフォーム」とも言う)とを備え、さらに、後部プラットフォーム12の後方に連結された延長台車13(「エクステンションドーリ」とも言う)を備えている。なお、各図において、方向に言及するときには、各図に示される矢印の方向を用いるものとする。
【0022】
図1では、トーイングトラクタ100に牽引された複数台(本実施形態では、5台)の運搬台車110a~110eのうち、2台目の運搬台車110bが延長台車13の後方に横付けされている様子が示されている。各運搬台車110b~110eにはコンテナC(「貨物」の一例)が積載されているが、1台目の運搬台車110aに積載されたコンテナCは既に運搬台車110bから延長台車13側に移動しているので、運搬台車110aにはコンテナCは積載されていない。
【0023】
運搬台車110a~110eにそれぞれ積載されているコンテナCを各運搬台車110a~110eから延長台車13に移動させる場合、その移動方法は、運搬台車110a~110e毎に異ならないので、2台目の運搬台車110bからその積載されたコンテナCを延長台車13に移動させる方法を例に挙げて説明する。
【0024】
まずオペレータ(本実施形態では、トーイングトラクタ100の運転者と同一人)は、コンテナCを運搬台車110b上で90°、例えば時計方向に回転させる。次にオペレータは、運搬台車110b上のコンテナCを前方に押して、コンテナCの底面の前端部を、延長台車13に設けられた複数の搬送ローラ(図示せず)のうち、最後方の搬送ローラに載せる。そして、オペレータが、コンテナCが前方に搬送されるように搬送ローラの回転方向を指示すると、コンテナCは、運搬台車110bから延長台車13に移動する。同様の搬送ローラは、前部プラットフォーム11及び後部プラットフォーム12にも複数設けられているので、コンテナCは、延長台車13から後部プラットフォーム12に搬送され、後部プラットフォーム12から前部プラットフォーム11に搬送される。
【0025】
図2に示すように、前部プラットフォーム11及び後部プラットフォーム12は、各々別個で上下方向に昇降可能な昇降台2(2a,2b)を備えている。各昇降台2(2a,2b)は、上下方向に伸縮可能とされ、左右方向に離間して対向する一対のシザースリンク機構5,5に下方から支持されている。各シザースリンク機構5は公知の機構であり、斜め方向に延びる1組の支持柱体51,51の交差角度を変更することにより伸縮を行う機構である。このシザースリンク機構5により、前部プラットフォーム11及び後部プラットフォーム12における各昇降台2(2a,2b)の上面を水平状態で航空機Aの搬入搬出口AO(図1参照)の床面に一致させることができ、航空機Aの機種に応じて高さを変更することで、搬入搬出口AOへコンテナCを容易に搬送できる。
【0026】
前部プラットフォーム11の側方(本実施形態では、右側方)には運転台11aが設けられている。この運転台11aは前部プラットフォーム11の、昇降台2a上に設けられており、前部プラットフォーム11上のコンテナCにオペレータがアクセスし易い。図2の例では、前部プラットフォーム11に1台のコンテナCが載せられ、後部プラットフォーム12に前後に並ぶ2台のコンテナCが載せられているが、各プラットフォーム11,12へのコンテナCの積載については、コンテナCの搬送の仕方の設定に応じて種々に変更できる。
【0027】
さらに、延長台車13の後端部側面にはライン状の光を発生させる光源Lが設けられている。光源Lは、図1に示すように、3本の所定長の光R1~R3を発生させる。光R1は、各運搬台車110a~110eを延長台車13の後方に横付けする位置のうち、各運搬台車110a~110eと延長台車13との適正な間隙を示す位置を照射する。光R2は、コンテナCが各運搬台車110a~110eから延長台車13上に移動したときのコンテナCの移動方向の幅の一端を照射し、光R3は、その他端を照射する。このように、光源Lは、異なる位置から異なる方向(ただし、光R2と光R3は同じ方向)に3本の光R1~R3を照射するので、光源Lを1つの光源で構成することが困難であれば、2つ以上の複数の光源で構成するようにしてもよい。
【0028】
トーイングトラクタ100の運転者は、これら3本の光R1~R3を目視し、各光R1~R3の照射位置に合わせて各運搬台車110a~110eを延長台車13の後方に横付けすることで、各運搬台車110a~110eは自然に、コンテナCを延長台車13に移動させるための適正な位置に停車することになる。なお、トーイングトラクタ100の特性として、牽引する各運搬台車110a~110eはほぼ同じ軌跡を辿るので、光R1の照射位置に合わせて1台目の運搬台車110aを横付けすれば、2台目以降の運搬台車110b~110eと延長台車13との適正な間隙はそのまま維持される。
【0029】
このように、トーイングトラクタ100の運転者は、各光R1~R3の照射位置に合わせて各運搬台車110a~110eを延長台車13の後方に横付けするだけでよいので、経験の浅い運転者であっても、各運搬台車110a~110eの停車位置の位置ずれによる合わせ直しといった余分な作業が改善される。
【0030】
また、夜間や雨天時であっても、運転者は、光R1~R3を目視できれば、晴天時の日中と同様に、各運搬台車110a~110eを適正な位置に停車させることができる。このように光R1~R3は、どのような環境下においても、運転者が目視できるものである必要がある。つまり、光R1~R3は、晴天時の日中でも、悪天候時の夜間でも、運転者が目視できるものである必要がある。このため、光R1~R3は、レーザ光であることが好ましいが、LED光などの他の種類の光であっても、上記条件を満たすものであれば、その種類は問わない。
【0031】
さらに、光R1は、その照射位置に障害物はないので、光源Lを延長台車13の後端部側面に取り付ける位置の制約は少ない。しかし、光R2及び光R3の各照射位置には、各運搬台車110a~110eが横付けされるので、各運搬台車110a~110eとその積載されたコンテナCが光R2及び光R3の照射の障害物とならないような位置に光源Lを設置する必要がある。例えば、光R2及び光R3が各運搬台車110a~110eの貨物載置面の裏面と路面との間隙を通って各運搬台車110a~110eの延長台車13と反対側の端部に抜けるような、延長台車13の後端部側面の位置に光源Lを設置する。したがって、この場合、光R2及び光R3における所定長とは、各運搬台車110a~110eの進行方向の幅を所定の長さ分超えた長さとなる。
【0032】
なお、光R1~R3を水平方向に照射して所定長の光を生成することは困難であるので、光R1~R3を斜め下方に照射することにより、その終端が路面上に位置するようにして所定長の光を生成するようにすればよい。
【0033】
このように本実施形態では、光源Lは、3本の所定長の光R1~R3を所定位置に照射するようにし、トーイングトラクタ100の運転者は、各光R1~R3の照射位置に合わせて各運搬台車110a~110eを延長台車13の後方に横付けするようにした。しかし、光R1に、適正な間隙を示す位置を照射する機能に加えて、各運搬台車110a~110eの進行方向の適正な停車位置を照射する機能も営ませるようにすれば、他の2本の光R2及び光R3を省略することができる。ここで、各運搬台車110a~110eの進行方向の適正な停車位置を照射する機能は、例えば、光R1の所定長を調整することにより、光R1の終端位置が適正な停車位置となるようにすることで実現できる。つまり、運転者は、各運搬台車110a~110eの延長台車13側の側面を光R1に合わせるとともに、各運搬台車110a~110eの進行方向の停車位置を光R1の終端に合わせることで、1本の光R1に基づいて、各運搬台車110a~110eを、コンテナCを延長台車13に移動させるための適正な位置に停車させることが可能となる。
【0034】
また、光R1に加え、光R2及び光R3のうちのいずれか1本を照射するようにしてもよい。これにより、運転者は、光R1に基づいて各運搬台車110a~110eと延長台車13との適正な間隙を示す位置を目視できるとともに、光R2及び光R3のうちのいずれか1本に基づいてコンテナCが各運搬台車110a~110eから延長台車13上に移動したときのコンテナCの移動方向の幅の一端の位置を目視できるので、これら2本の光に合わせて各運搬台車110a~110eを停車させることで、各運搬台車110a~110eは、コンテナCを延長台車13に移動させるための適正な位置に停車することになる。
【0035】
さらに、各運搬台車110a~110eに積載されるコンテナCのサイズは常に同じではなく、状況に応じて変動する。特に、各運搬台車110a~110eと延長台車13との適正な間隙を示す位置は、コンテナCの長手方向の長さが長くなればなるほど、広くする必要がある。これに対処するために、光R1の照射位置を、コンテナCのサイズに応じて変動させることが考えられる。具体的には、各運搬台車110a~110eに積載されるコンテナCのサイズは予め分かっているので、光R1の照射位置をそのサイズに応じた位置に変動させる。あるいは、各運搬台車110a~110eに積載可能なコンテナCのサイズの最大値から最小値までを所定の間隔で区切り、各区切りにおける適正な間隙を示す位置を照射する光を、区切り毎にその態様(色など)を変動させて、光R1として、複数本照射しておく。運転者は、各運搬台車110a~110eに積載されているコンテナCのサイズに対応する態様の光R1を目視し、光R1の照射位置に合わせて各運搬台車110a~110eを延長台車13の後方に横付けする。これにより、コンテナCのサイズが変動したとしても、各運搬台車110a~110eを延長台車13に対して適正な位置に停車させることが可能となる。
【0036】
以上、各運搬台車110a~110eに積載されたコンテナCを、コンテナ・パレットローダ1を介して航空機Aの搬入搬出口AOへ搬入する方法を主として説明したが、この逆を辿れば、航空機Aに積載されたコンテナCを搬入搬出口AOから搬出し、コンテナ・パレットローダ1を介して各運搬台車110a~110eに積載する方法は容易に実施できるので、その説明は省略する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態のコンテナ・パレットローダ1は、航空機Aに対して略垂直方向に接近し、コンテナCを搭載するコンテナ・パレットローダ1であり、横付けされた運搬台車110a~110eに積載されたコンテナCを運搬台車110a~110eから移動させ、移動させたコンテナCを搬送して航空機Aに搬入させるとともに、航空機Aから搬出した貨物を搬送し、搬送したコンテナCを運搬台車110a~110eに移動させて積載する。そして、コンテナ・パレットローダ1は、運搬台車110a~110eの横付け位置を示す光R1~R3を照射する光源Lを備えている。
【0038】
本実施形態のコンテナ・パレットローダ1によれば、運搬台車110a~110eを牽引するトーイングトラクタ100の運転者は、光源Lから照射された、運搬台車110a~110eの横付け位置を示す光R1~R3を目視し、その光R1~R3の照射位置に合わせて運搬台車110a~110eをコンテナ・パレットローダ1に横付けすれば、運搬台車110a~110eは自然に適正な位置に停車することになるので、トーイングトラクタ100の運転者の運転経験の多少に拘わらず、トーイングトラクタ100をコンテナ・パレットローダ1に対して適正な位置に停車させることが可能となる。
【0039】
また、光源Lは、運搬台車110a~110eの横付け位置のうち、運搬台車110a~110eとコンテナ・パレットローダ1との適正な間隙を示す位置と運搬台車110a~110eの進行方向の停車位置とを1本の光R1で照射する。
【0040】
これにより、上記効果を奏しつつ、光源Lから照射される光R1の本数を最低限の1本に削減することができるので、より安価な光源Lを用いることができる。このため、コンテナ・パレットローダ1全体の製造コストを削減することが可能となる。
【0041】
また、光源Lは、運搬台車110a~110eの横付け位置のうち、運搬台車110a~110eとコンテナ・パレットローダ1との適正な間隙を示す位置を少なくとも1本の光R1で照射する部分と、運搬台車110a~110eの横付け位置のうち、運搬台車110a~110eの進行方向の停車位置を少なくとも1本の光R2,R3で照射する部分の少なくともどちらか一方を有するようにしてもよい。
【0042】
これにより、運搬台車110a~110eを牽引するトーイングトラクタ100の運転者は、光源Lから照射された、運搬台車110a~110eの横付け位置のうち、運搬台車110a~110eとコンテナ・パレットローダ1との適正な間隙を示す位置及び/又は運搬台車110a~110eの進行方向の停車位置を示す光を目視し、その光の照射位置に合わせて運搬台車110a~110eをコンテナ・パレットローダ1に横付けできるので、上記効果を奏することが可能となる。
【0043】
また、運搬台車110a~110eとコンテナ・パレットローダ1との適正な間隙を示す位置を照射する部分は、当該適正な間隙を示す位置を1本の光で照射する場合、複数の異なる位置から選択されたいずれか1つの位置を示す光を照射する。
【0044】
これにより、運搬台車110a~110eに積載された、あるいは積載するコンテナCのサイズに応じた適正な間隙を示す位置の光R1を光源Lから照射することができるので、コンテナCのサイズが変動したとしても、運搬台車110a~110eをコンテナ・パレットローダ1に対して適正な位置に停車させることが可能となる。
【0045】
また、運搬台車110a~110eとコンテナ・パレットローダ1との適正な間隙を示す位置を照射する部分は、当該適正な間隙を示す複数の異なる位置を複数本の光で照射する場合、各態様を変更した複数本の光で照射する。
【0046】
これにより、トーイングトラクタ100の運転者は、運搬台車110a~110eに積載された、あるいは積載するコンテナCのサイズに応じた態様の光R1を目視し、その光R1の照射位置に合わせて運搬台車110a~110eをコンテナ・パレットローダ1に横付けすればよいので、コンテナCのサイズが変動したとしても、運搬台車110a~110eをコンテナ・パレットローダ1に対して適正な位置に停車させることが可能となる。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0048】
(1)上記実施形態では、コンテナ・パレットローダ1に延長台車13を含むものを例に挙げて説明したが、これに限らず、コンテナ・パレットローダとして、延長台車13を含まず、前部プラットフォーム11及び後部プラットフォーム12からなるものを用いてもよい。この場合、光源Lは、後部プラットフォーム12の後端部側面に取り付けるようにすればよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、光R2及び光R3は、各運搬台車110a~110eの貨物載置面の裏面と路面との間隙を通って各運搬台車110a~110eの延長台車13と反対側の端部に抜けるように照射したが、これに限らず、コンテナCの上から照射するようにしてもよい。この場合、光源Lは、例えば、運転台11aの天井部に近い位置に取り付けるようにすればよい。運転台11aの天井部は、コンテナCの高さより高いからである。なお、運転台11aの天井部以外に、コンテナ・パレットローダ1内の位置で、コンテナCの高さより高い位置があれば、その位置に光源Lを取り付けるようにしてもよい。
【0050】
(3)上記実施形態では、トーイングトラクタ100自体に、各運搬台車110a~110eを延長台車13の後方の適正な位置に横付けするための工夫はなされていない。しかし、トーイングトラクタ100として、自動運転可能なものを採用した場合、コンテナ・パレットローダ1とトーイングトラクタ100との間で相互通信を行うことにより、トーイングトラクタ100は、光R1~R3の各照射位置を自動認識し、その照射位置に合わせて自動的に停止するようにしてもよい。また、コンテナ・パレットローダ1は、トーイングトラクタ100が牽引している各運搬台車110a~110eの大きさや、各運搬台車110a~110eが積載している各コンテナCの大きさをトーイングトラクタ100や地上支援車両を管理しているシステム等から取得し、光R1~R3の各照射位置を自動で調整するようにしてもよい。
【0051】
(4)上記実施形態では、光R2,R3は、コンテナCの移動方向の幅を示すものとして説明したが、これに限らず、各運搬台車110a~110eの停止位置を示すようにしてもよい。図3は、この場合の光の照射態様の一例を示している。図3(a)に示す光R4は、T字状に照射され、T字の縦線が光R1に相当し、横線が各運搬台車110a~110eの停止位置を示している。また、図3(b)に示す光R5は、十字状に照射され、縦線が光R1に相当し、横線が各運搬台車110a~110eの停止位置を示している。さらに、図3(c)に示す光R6は、180°回転させたL字状に照射され、L字の縦線が光R1に相当し、横線が各運搬台車110a~110eの停止位置を示している。この場合、トーイングトラクタ100運転者は、各運搬台車110a~110eの停止位置を示す光の位置を目視して、その位置に各運搬台車110a~110eを停車させれば、各運搬台車110a~110eは、コンテナCを延長台車13に移動させるための適正な位置に停車することになる。
【0052】
(5)上記実施形態では、各運搬台車110a~110eを延長台車13の後方に横付けする場合を例に挙げて説明したが、各運搬台車110a~110eは、コンテナ・パレットローダ1と並列に並んで横付けされる場合がある。この場合に対処するためには、光源Lをコンテナ・パレットローダ1の図1における左右方向の一方の側面、つまり、各運搬台車110a~110eが横付けされる側の側面の適当な位置に設置するようにすればよい。
【0053】
(6)上記実施形態では、各運搬台車110a~110eの貨物積載面の角に光R1~R3を照射したが、各運搬台車110a~110eのタイヤの停止位置に照射するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…コンテナ・パレットローダ、11…前部プラットフォーム、12…後部プラットフォーム、13…延長台車、100…トーイングトラクタ、110a~110e…運搬台車、C…コンテナ、L…光源、R1~R3…光。
図1
図2
図3