(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103351
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007631
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】田端 邦裕
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB23
4C053JJ27
4C053JJ40
(57)【要約】
【課題】 使用者の衣類に対し簡易に着脱可能としつつ、電極を身体表面の所望の位置にずれない状態で配置でき、電気的刺激付与の効率を高められ、治療に係る効果を最大限得られる、治療装置を提供する。
【解決手段】 並列配置した本体部11と拘束片13が衣類60を相対的に拘束することで衣類60に装着され、本体部11における使用者の皮膚に面する一の面に設けられる電極部12から、皮膚に治療に係る刺激を与えるようにすることから、衣類60に装着された装置が身体に対し動きにくく、使用者が身体を動かしても皮膚への当接状態を維持でき、電極部12から連続的に通電を行え、効率よく刺激を付与して月経痛の緩和が図れる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の皮膚を経由して所定の電気的刺激を身体に付与可能な治療装置において、
使用者の身体に向けられる一の面、及び当該一の面の反対側に位置する他の面を有する本体部と、
少なくとも導電性を有する材質で形成され、前記本体部の一の面に配設される電極部と、
前記本体部における前記他の面に対して、他の面と重ならずに一又は複数の並列方向に並ぶ配置とされて、本体部に取り付けられる一又は複数の拘束片とを備え、
使用者の身体所定部位に着用された衣類に対し、前記本体部と拘束片が、前記並列方向における本体部と拘束片との間に前記衣類の一部を介在させつつ、衣類の内面に本体部の他の面の少なくとも一部を当接させると共に、前記拘束片の一部を衣類の外面又は内面に当接させて、衣類を相対的に拘束し、衣類への保持状態とされることを
特徴とする治療装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記拘束片が、前記衣類に対し、一部を衣類の外面に当接させて衣類の外側に配置され、
前記衣類における、前記拘束片の一部への当接部分と前記本体部の他の面への当接部分との間に位置する一部を、前記並列方向における本体部と拘束片との間に通すことを
特徴とする治療装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の治療装置において、
前記拘束片が、前記衣類の外面に当接する一部を、前記本体部の一の面に対し、前記他の面の位置より近位側に位置させるように、本体部に取り付けられることを
特徴とする治療装置。
【請求項4】
前記請求項2に記載の治療装置において、
前記拘束片が、前記衣類の外面に当接する一部に、衣類に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる滑り止めを設けられることを
特徴とする治療装置。
【請求項5】
前記請求項1に記載の治療装置において、
前記拘束片が、前記衣類に対し、少なくとも一部を衣類の内面に当接させて、衣類の内側に配置され、
前記本体部が、前記衣類に対し、前記他の面を前記衣類の内面に向けて、衣類の内側に配置され、
前記本体部及び拘束片が、前記並列方向における本体部と拘束片との間に、前記衣類における一部を挟持して、衣類を相対的に拘束することを
特徴とする治療装置。
【請求項6】
前記請求項5に記載の治療装置において、
前記拘束片が、前記並列方向における前記本体部寄りの一部と、本体部との間隔を調整可能とされて、本体部に取り付けられることを
特徴とする治療装置。
【請求項7】
前記請求項5に記載の治療装置において、
前記拘束片が、前記並列方向における前記本体部寄りの一部に、前記衣類に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる滑り止めを設けられることを
特徴とする治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の皮膚を通じて身体内部に対し所定の治療に係る刺激を与える治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の身体の表面に複数の電極を接触させ、これらの電極を通じて筋肉等の身体の内部に対し電気的に刺激を付与可能とする電気治療器は、家庭用の簡易な単機能、低出力のものから、業務用として用いられる多機能、高出力のものまで、様々な種類のものが利用されている。
【0003】
こうした電気治療器のうち、腹部や背中などの皮膚表面に接した電極から身体の内部に対し所定周波数の波形をなす電気信号を通電出力し、その電気的刺激の作用で、女性の月経痛を緩和する効果を得ようとするものが近年注目されている。
このような従来の電気治療器の例として、特許第4839457号公報や特許第5497769号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4839457号公報
【特許文献2】特許第5497769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の治療装置は前記特許文献に示される構成となっており、こうした装置の使用の際には、通常、装置本体部に接続された通電用の電極を、腹部など治療対象の身体内部に対し近傍となる皮膚に当てた上で、通電する操作を使用者が行うことで、皮膚を通じて身体内部に通電による刺激を与えることができた。
【0006】
ただし、こうした従来の治療装置において、通電用の電極として、身体表面に貼り付けて装着するパッド型の電極を用いる場合、皮膚表面への貼り付け状態を維持するために、使用者は動くことが難しくなり、活動が制限されるという問題があった。
【0007】
一方、電極を身体表面に配置した状態でも活動できるようにするために、身体に着用する下着状や帯状の装着具で電極を支持して身体表面から脱落しない状態として用いる場合もあった。この場合、電極は装着具の内面に固定されたものとなるため、使用時は装着具を常に着用する必要があり、使用者に煩わしさを感じさせるおそれがあった。また、装着具を衣服の内側に着用するため、嵩張る状態となり、電極を付けた状態で外出等を行うのは難しいという課題を有していた。
【0008】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、使用者の衣服に対し簡易に着脱可能としつつ、電極を身体表面の所望の位置にずれない状態で配置でき、電気的刺激付与の効率を高められ、治療に係る効果を最大限得られる、治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の開示に係る治療装置は、使用者の皮膚を経由して所定の電気的刺激を身体に付与可能な治療装置において、使用者の身体に向けられる一の面、及び当該一の面の反対側に位置する他の面を有する本体部と、少なくとも導電性を有する材質で形成され、前記本体部の一の面に配設される電極部と、前記本体部における前記他の面に対して、他の面と重ならずに一又は複数の並列方向に並ぶ配置とされて、本体部に取り付けられる一又は複数の拘束片とを備え、使用者の身体所定部位に着用された衣類に対し、前記本体部と拘束片が、前記並列方向における本体部と拘束片との間に前記衣類の一部を介在させつつ、衣類の内面に本体部の他の面の少なくとも一部を当接させると共に、前記拘束片の一部を衣類の外面又は内面に当接させて、衣類を相対的に拘束し、衣類への保持状態とされるものである。
【0010】
このように本発明の開示によれば、並列配置した本体部と拘束片が衣類を相対的に拘束することで衣類に装着され、本体部における使用者の皮膚に面する一の面に設けられる電極部から、皮膚に治療に係る刺激を与えるようにすることにより、衣類に装着された装置が身体に対し動きにくく、使用者が身体を動かしても皮膚への当接状態を維持でき、電極部から連続的に通電を行え、効率よく刺激を付与して、身体の不調や不快感をもたらす痛み、例えば月経痛など、の緩和が図れる。また、別途の装着具を用いることなく電極部を皮膚に当接させて通電を行える状態を維持でき、嵩張らず使い勝手に優れ、行動制限を課されることなく使用でき、刺激付与を無理なく継続実行して最大限の効果が得られる。
【0011】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束片が、前記衣類に対し、一部を衣類の外面に当接させて衣類の外側に配置され、前記衣類における、前記拘束片の一部への当接部分と前記本体部の他の面への当接部分との間に位置する一部を、前記並列方向における本体部と拘束片との間に通すものである。
【0012】
このように本発明の開示によれば、拘束片が衣類の外側に配置され、本体部と拘束片で衣類の内外で衣類に当接して、本体部及び拘束片と衣類との各接触面で生じる摩擦に基づいて、本体部と拘束片が衣類に対し動かない状態を得ることにより、本体部と拘束片を衣類に拘束した状態を容易に確保することができ、速やかに装置の装着状態を得て、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0013】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束片が、前記衣類の外面に当接する一部を、前記本体部の一の面に対し、前記他の面の位置より近位側に位置させるように、本体部に取り付けられるものである。
【0014】
このように本発明の開示によれば、本体部の衣類内面に接する接触面と、拘束片の衣類外面に接する接触面とが、互いに離隔して段差をなすように、拘束片を本体部に取り付けて、本体部と拘束片との間に屈曲状態で位置する衣類の変形量を大きくし、衣類が本体部と拘束片との間を相対的に移動しようとする場合の抵抗を増大させることにより、衣類による拘束力を大きくして本体部と拘束片が確実に動かない状態を得られ、皮膚に当接する電極部の位置を保持して、皮膚への通電による刺激付与を効率よく実行できる。
【0015】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束片が、前記衣類の外面に当接する一部に、衣類に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる滑り止めを設けられるものである。
【0016】
このように本発明の開示によれば、拘束片の衣類外面に接する接触面に滑り止めを設けて、衣類を本体部と拘束片との間で相対的に動かそうとすると大きな摩擦抵抗が加わるようにすることにより、衣類による本体部と拘束片の拘束を強力にして、衣類に対し本体部がより確実に動かない状態を得て、電極部を適切な位置に保持して、皮膚への通電による刺激付与のさらなる効率化が図れる。
【0017】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束片が、前記衣類に対し、少なくとも一部を衣類の内面に当接させて、衣類の内側に配置され、前記本体部が、前記衣類に対し、前記他の面を前記衣類の内面に向けて、衣類の内側に配置され、前記本体部及び拘束片が、前記並列方向における本体部と拘束片との間に、前記衣類における一部を挟持して、衣類を相対的に拘束するものである。
【0018】
このように本発明の開示によれば、拘束片が本体部と共に衣類の内側に配置され、並列方向に並ぶ本体部と拘束片で衣類の一部を挟持して衣類を相対的に拘束し、本体部と拘束片が衣類に対し拘束された状態を得ることにより、衣類の内側のみで本体部が衣類に対し動きにくい状態を無理なく確保することができ、衣類を介して本体部とこれに設けられた電極部の身体への適切な装着状態を得て、電極部が身体に対しずれにくく、皮膚への通電による刺激付与を問題なく実行できる。また、本体部と拘束片が共に衣類の内側に位置することで、装置が目立ちにくく、使用者が外出時等で装置の使用を気にすることなく行動できる。
【0019】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束片が、前記並列方向における前記本体部寄りの一部と、本体部との間隔を調整可能とされて、本体部に取り付けられるものである。
【0020】
このように本発明の開示によれば、拘束片の衣類に当接する一部が本体部に対し並列方向に可動とされ、衣類の一部を挟持する本体部と拘束片の間隔を適宜調整して、衣類を本体部と拘束片の間に介在させやすい状態が得られることにより、拘束片の一部を本体部から遠ざけた状態から、本体部と拘束片との間に衣類の一部を差し入れ、拘束片の一部を本体部に近付けて当接させると、本体部と拘束片とで並列方向に衣類を挟持する状態に無理なく移行させられ、本体部と拘束片とで衣類を相対的に拘束状態とする操作が行いやすく、速やかに衣類を介した本体部の身体への装着状態を得て、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。
【0021】
また、本発明の開示に係る治療装置は必要に応じて、前記拘束片が、前記並列方向における前記本体部寄りの一部に、前記衣類に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる滑り止めを設けられるものである。
【0022】
このように本発明の開示によれば、拘束片の並列方向における本体部寄りの一部に、衣類と接する滑り止めを設けて、衣類を本体部と拘束片との間で相対的に動かそうとすると大きな摩擦抵抗が加わるようにすることにより、衣類の相対的な拘束を強力にして、衣類に対し本体部がより確実に動かない状態を得られ、電極部を適切な位置に保持して、皮膚への通電による刺激付与のさらなる効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る治療装置の正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る治療装置の背面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る治療装置の右側面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る治療装置の拘束片傾動状態における右側面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る治療装置の平面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る治療装置の底面図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る治療装置の斜視図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第一の他例の斜視図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第二の他例の斜視図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第三の他例の斜視図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第四の他例の正面図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第四の他例の平面図である。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第五の他例の正面図である。
【
図15】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第五の他例の平面図である。
【
図16】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第六の他例の正面図である。
【
図17】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第六の他例の側面図である。
【
図18】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第六の他例の平面図である。
【
図19】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第七の他例の概略断面図である。
【
図20】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第八の他例の概略断面図である。
【
図21】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第九の他例の概略断面図である。
【
図22】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第十の他例の概略断面図である。
【
図23】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第十一の他例の概略断面図である。
【
図24】本発明の第1の実施形態に係る治療装置における第十二の他例の概略断面図である。
【
図25】本発明の第2の実施形態に係る治療装置の平面図である。
【
図26】本発明の第2の実施形態に係る治療装置の拘束片傾動状態における平面図である。
【
図27】本発明の第2の実施形態に係る治療装置における衣類の拘束状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る治療装置を前記
図1ないし
図8に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る治療装置1は、使用者の身体に向けられる一の面及びこの一の面の反対側に位置する他の面を有する本体部11と、導電性を有する材質で形成され、本体部11の一の面に配設される電極部12(刺激付与部)と、本体部11の他の面に対して所定の並列方向に並ぶ配置とされて、本体部11に取り付けられる複数の拘束片13と、電極部12への通電状態等を制御する制御部14と、使用者による通電状態切り替え等の指示操作を受け入れる操作部15とを備える構成である。
【0025】
前記本体部11は、略板状の基部11aと、この基部11aから突出する凸部11bとを有する構成である。この本体部11は、樹脂等の絶縁体製とされ、基部11aにおける表面の中央に凸部11bが突出する形状として形成される。
【0026】
そして、本体部11は、基部11aにおける凸部11bが突出する表面に対する裏面を、使用状態で使用者の身体に向けられる前記一の面としての第一面11cとされる。この本体部11の第一面11cに、電極部12が配設される。
【0027】
また、本体部11は、第一面11cの反対側に位置する前記他の面として、凸部11bの先端部に面(第二面11d)を有する。本体部11の第二面11dは、中央部が凸部11bの突出方向とは逆向きに凹んだ曲面となっている。この第二面11dには、操作部15が設けられる。
【0028】
なお、本体部における一の面と対をなす他の面は、一の面の反対側の端部に位置する面、すなわち、一の面を一端部とすると他端部に相当する面である。略板状の基部11aの中央に凸部11bが突出する形状の本体部11においては、凸部11bの先端部の面(第二面11d)のみが他の面にあたり、端部ではない基部11aの表面は他の面とはならない。そして、本体部11においては、基部11aの第一面11cのある側を基端側、凸部11bの第二面11dのある側を先端側とする。
【0029】
本体部11の内部には、制御部14等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)が配設される。制御部14は、第一面11c側の電極部12と電気的に接続されると共に、第二面11d側の操作部15とも電気的に接続される仕組みである。
この他、本体部11における凸部11bの外側には、拘束片13が取り付けられる。
【0030】
本体部11は、使用者の腹部周りに着用された衣類60に対し、衣類60の内面に本体部11の第二面11dの一部を当接させるようにして、衣類60の内側、すなわち、衣類60の内面と身体との間に配置されることとなる。
【0031】
前記電極部12は、導電性を有する材質でシート状に形成され、使用者の皮膚に接触可能となる接触面を有するものである。後述する制御部14と電気的に接続される。なお、電極部12の接触面については、導電性を有する材質であれば、例えば、公知の低周波治療器の電極パッドで採用されているような、粘着性のあるゲル材など、身体表面への密着性を重視した材質で形成してもかまわない。
【0032】
前記拘束片13は、本体部11における凸部11bの第二面11dに対して、この第二面11dと重ならずに、所定の複数の並列方向に並ぶ配置とされて、本体部11の凸部11bに取り付けられる構成である。
【0033】
凸部11bの第二面11dに対し、拘束片13は、本体部11における凸部11bの突出する方向に対し直角をなす二つの並列方向、具体的には第二面11dの縦方向と横方向、にそれぞれ並ぶ配置とされる。
本体部11の第二面11dに対してその縦方向と横方向に並ぶ拘束片13の各部は、凸部11bを取り囲むように互いに連結一体化しており、拘束片13は環状体とされる。
【0034】
拘束片13は、本体部11の凸部11bとの間に、衣類60の生地が通るような隙間を空けるようにして、凸部11bの近傍に配設される。各並列方向における拘束片13と本体部11の凸部11bとの間の隙間は、ここに衣類60の生地を通す場合に、拘束片13と凸部11bが生地を挟持圧迫せず、生地を無理なく通せるように、生地の厚さより大きくされる。
【0035】
拘束片13の本体部11に対する配設位置は、拘束片13における本体部11の基端側寄りとなる一端部13aが、凸部11bの第二面11dよりも基端側、すなわち、基部11aの第一面11cにより近い位置となるようにされる。ただし、この拘束片13の一端部13aは、本体部11の基部11aには接触せず、基部11aからも本体部11の先端側に離した状態とされる。
【0036】
また、拘束片13における、前記一端部13aとは反対側の表面(本体部11の先端側寄りとなる表面)は、本体部11の第二面11dのうち、操作部15が設けられて凹んだ曲面となっている中央部以外の部分と、同じ曲面の一部をなすよう形成される。このように、拘束片13の表面と本体部11の第二面11dとを略同じ面上に位置するように形成すれば、これらの面に連続する印象を与えられ、調和のとれた外観とすることができ、好ましい。例えば、本体部の第二面を平面状に形成する場合は、拘束片の表面を第二面と同じ平面上に位置するよう形成することとなる。
【0037】
そして、拘束片13は、一体形成された傾動中心軸13bを介して、凸部11bに対し傾動可能に取り付けられる。拘束片13は、その一端部13a全体が、凸部11bの第二面11dよりも第一面11cに近付いた位置にある通常状態から、一端部13aの一部が第一面11cに対し第二面11dより遠位側に達する状態まで傾動可能とされる(
図4参照)。
さらに、拘束片13は、所定の付勢手段により、傾動させた状態から通常状態に戻る向きに付勢されており、通常状態をできるだけ維持するようにされる。
【0038】
拘束片13は、衣類60に対し、本体部11の基端側寄りとなる一端部13aを衣類60の外面に当接させて衣類60の外側に配置されることとなる。
拘束片13は、こうした衣類60の外面に当接する一端部13aに、衣類60に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる、連続する細かな凹凸等の、滑り止めを設けられる構成とすることもできる。
この滑り止めとしては、接した衣類の屈曲や湾曲の頻度を大きくして、単位長さあたりの衣類との接触面積を増やすと共に、衣類の変形度合いを大きくする、波状や歯形状の連続する凹凸等を設けるようにしてもよい。
【0039】
また、拘束片13の一端部13aのうち、傾動中心軸13bから離れた位置にあり、拘束片13を傾動させる場合に通常状態から大きく変位する前記一部には、基部11a側に突出する突部13cが形成される。この突部13cは、拘束片13を傾動させた状態から通常状態に戻す場合に、拘束片13の一部が前記付勢手段による付勢で通常状態の位置を越える勢いで傾動し、本体部11の基部11aに近付き過ぎることを防ぐストッパーの機能を有するものである。
【0040】
本体部11と拘束片13は、衣類60に対し、前記並列方向における本体部11と拘束片13との間に衣類60の一部を介在させつつ、衣類60の内面に本体部11の第二面11dの一部を当接させると共に、拘束片13の一端部13aを衣類60の外面に当接させて、衣類60を本体部11と拘束片13に対し動かないよう相対的に拘束する。すなわち、衣類60を基準にすると、本体部11と拘束片13が衣類60に装着、拘束されて、衣類60の腹部対応部分に保持された状態となる。
【0041】
詳細には、この拘束状態で、衣類60は、凸部11bの突出する方向に離して配置される、拘束片13の一端部13aと本体部11の第二面11dに、それぞれ当接する。加えて、これら拘束片13への当接部分と本体部11への当接部分との間に位置する衣類60の一部が、並列方向における本体部11と拘束片13との間に通されることで、衣類60は本体部11と拘束片13の間で段差を生じさせるように大きく屈曲している。また、衣類60は、本体部11の第二面11dに当接した部分の周囲を、拘束片13の一端部13aで衣類外側から相対的に押されることで、衣類60のうち、拘束片13への当接部分と本体部11への当接部分との間に位置する部分は、伸張状態となって変形しにくくなっている。
【0042】
このため、仮に衣類60を本体部11及び拘束片13に対し相対移動させようとしても、衣類60そのものの屈曲変形に対する抵抗、及び、衣類60とこれに当接する本体部11及び拘束片13との間の摩擦による抵抗により、移動させにくい状態、すなわち拘束された状態が得られる仕組みである。
【0043】
なお、拘束状態で、各並列方向における拘束片13と本体部11の凸部11bとの間の隙間は、本体部11と拘束片13の拘束対象となる衣類60の生地の厚さより大きいことから、前述のようにここを通る衣類60の生地を拘束片13と凸部11bが挟持圧迫することはなく、衣類60の生地を通すのみで、衣類60の相対的な拘束に直接は寄与しない。また、拘束片13の突部13cは本体部11の基部11a側に突出しているが、拘束状態であっても、突部13cと基部11aとの間には隙間が生じるようにされる。この突部13cと基部11aとの間の隙間の大きさは、各並列方向における拘束片13と凸部11bとの間の隙間以上となっており、突部13cと基部11aの両方が衣類60の生地に対しこれを挟むように接触することはない。
【0044】
前記制御部14は、本体部11に内蔵され、使用者の操作部15への入力操作を受けて、対をなす電極部12間の通電を制御し、皮膚への通電状態を調整可能とするものである。
具体的には、制御部14は、電極部12間を通電状態とする場合に、使用者による操作部15への操作を受けて、通電により使用者の皮膚を流れる電流の強さの調整制御を行う。
【0045】
前記操作部15は、本体部11の第二面11dに設けられ、電源の入切や通電の強弱を切り替える各スイッチ(電源スイッチ15a及び強度切替スイッチ15b)を有し、使用者の入力操作を受けて、制御部14に治療に係る制御を実行させるものである。
【0046】
操作部15は、電源スイッチ15aを中心に位置させると共に、これを取り囲むように強度切替スイッチ15bを配置される構成である。強度切替スイッチ15bは、強弱それぞれのスイッチからなり、通電強度を強側に変化させる操作を受ける強(+)のスイッチが拘束片13の傾動中心軸13bに近い方に、通電強度を弱側に変化させる操作を受ける弱(-)のスイッチが拘束片13の傾動中心軸13bから遠い方に、それぞれ配置される。
【0047】
強度切替スイッチ15bのうち強(+)のスイッチが拘束片13の傾動中心軸13bに近い方に位置することで、腹部を覆う衣類60の上端部が、傾動させた拘束片13と本体部11の凸部11bの間に下から入る状態となる通常の装着状態の場合、この強(+)の強度切替スイッチ15bが上側に位置することとなる。これにより、強度切替に係るスイッチ操作を感覚的に行いやすくすることができる。
【0048】
また、操作部15の各スイッチは、使用者の操作でスイッチ機構を動かして物理的に接点を接触させるスイッチに限られるものではなく、例えば、使用者の身体の一部がスイッチに触れた状態を検出してスイッチ操作として認識し、スイッチとしてのオンオフ制御を実行する、タッチセンサータイプのスイッチであってもかまわない。
【0049】
この操作部15のある本体部11の第二面11dは、その面の中央部が外縁部に対し基部11a寄りに凹んだ曲面となっており、衣類60の第二面11dに対する接触面圧を操作部15上では小さくなるようにして、衣類60の接触面圧で操作部15が押されて誤って操作された状態となることを防いでいる。
【0050】
なお、操作部15は、本体部11の第二面11dに設けられ、使用状態で衣類60と重なることで、この操作部15への操作は衣類60の上から衣類60の生地を介して行われる。このため、操作部15においては、衣類60の上から触れても各スイッチが判別可能となる凹凸などの判別手段を各スイッチ上に形成することが望ましい。この他、操作部15が発光するようにすれば、衣類60の生地が薄手の場合、操作部15から発する光が透けて見える状態となることで、操作部15の各スイッチの識別が容易となり、操作性が向上し、好ましい。
【0051】
次に、本実施形態に係る治療装置の身体装着状態及び作動状態について説明する。前提として、使用者は治療装置1を保持可能な衣類60を少なくとも腹部に位置させる状態で着用した状態にあるものとする。そして、治療装置1の内蔵電源(電池)は十分な容量を有して、操作部15から治療に係る作動の開始を指示入力されれば、装置の作動をあらかじめ設定された期間の終了まで無理なく継続できる状態であるものとする。
【0052】
まず、治療装置1の身体への装着として、通常状態にある拘束片13を本体部11に対し傾動させ、拘束片13と本体部11の凸部11bとの間を開いた状態とする(
図4参照)。拘束片13と凸部11bとの間を開いたら、その開いた状態を維持したままで、腹部を覆う衣類60の上端部が、この開いた拘束片13と凸部11bの間に入った状態となるように、本体部11及び拘束片13を移動させる。この移動に伴い、本体部11は、その基部11aの第一面11cを腹部の皮膚に向けて、使用者の身体と衣類60との間に挿入されていくこととなる。
【0053】
衣類60の上端部が、開いた拘束片13と凸部11bの間を相対移動して、拘束片13の傾動中心軸13b近傍まで達したら、本体部11及び拘束片13の移動を止め、本体部11に対し傾動させていた拘束片13を元の通常状態に戻して、拘束片13と凸部11bとの間を閉じる。
【0054】
拘束片13の通常状態では、衣類60の内面が凸部11bの第二面11dに接し、衣類60の外面が拘束片13の一端部13aに接する。そして、衣類60における凸部11bの第二面11dに接する部分と拘束片13の一端部13aに接する部分との中間部分が、凸部11bと拘束片13との間を通った状態となっている。こうして衣類60と本体部11及び拘束片13とが係わり合うことで、衣類60は本体部11及び拘束片13に相対的に拘束されて動かない状態となる。言い換えると、本体部11及び拘束片13が衣類60に拘束され、衣類60の上部から動かずに保持された状態となる。
【0055】
これに伴い、本体部11は、使用者の身体と衣類60との間に配置されて、第一面11cにある電極部12が、ちょうど腹部表面の皮膚に当接した状態となる。
なお、電極部12を使用者の腹部皮膚に当接させる位置については、使用者におけるいわゆるデルマトームが、痛みの発生する箇所(子宮)と対応する、皮膚の所定領域、例えば、へそ下方部位の皮膚表面に電極部12が当接するように設定することが望ましい。
【0056】
続いて、治療装置の電気刺激付与に係る作動について説明する。
電極部12が皮膚に接した状態で、使用者が操作部15の電源スイッチ15aを操作して、電源ONとすると、制御部14は対をなす電極部12間に、低周波(周波数が約1kHz以下)の、正弦波や方形波等の周期的な波形又は周期的なパルスとなる電流を流す、通電状態を開始させる。
【0057】
この通電状態で、使用者が操作部15の強度切替スイッチ15bを操作すると、制御部14は通電における電流の出力レベル(大きさ)を調整して、通電状態における電気刺激の強度を増大又は減少させる。
【0058】
通電状態では、皮膚を通じて身体の内部を流れる低周波電流の作用による電気刺激を身体に付与することで、子宮に由来する痛み(月経痛(生理痛や排卵痛とも呼称される))を軽減したり、消失させたりすることが可能となる。
なお、通電に際しては、電気刺激への慣れを生じさせないために、低周波電流の周波数を所定時間ごとに変化させることが好ましい。
【0059】
本体部11及び拘束片13による衣類60への拘束を解いて電極部12を皮膚から離した場合や、過剰な刺激付与防止のために自動停止を設定された所定時間が経過して、制御部14が通電出力を下げる又は止めた場合には、通電による電気刺激の付与は中断される。
【0060】
皮膚への通電を終える場合は、使用者が操作部15の電源スイッチ15aを操作して電源OFF状態に切替えるようにすれば、電極部12間の通電が停止し、通電による電気刺激付与も終了する。この他、いわゆるOFFタイマー機能として、通電開始からあらかじめ設定した所定時間の経過後に制御部で通電を自動停止して、刺激付与を終了するようにしてもよい。
なお、電源OFFの際の通電の出力レベルを制御部14で記録保持し、次回の皮膚を介した身体内部への通電の際に同じ出力レベルで通電を実行できるようにしてもかまわない。
【0061】
このように、本実施形態に係る治療装置は、並列配置した本体部11と拘束片13が衣類60を相対的に拘束することで衣類60に装着され、本体部11における使用者の皮膚に面する一の面に設けられる電極部12から、皮膚に治療に係る刺激を皮膚に与えるようにしている。これにより、衣類60に装着された装置が身体に対し動きにくく、使用者が身体を動かしても電極部12が皮膚への当接状態を維持でき、この電極部12から連続的に通電を行え、効率よく刺激を付与して月経痛の緩和が図れる。また、別途の装着具を用いることなく電極部12を皮膚に当接させて通電を行える状態を維持でき、嵩張らず使い勝手に優れ、行動制限を課されることなく使用でき、刺激付与を無理なく継続実行して最大限の効果が得られる。
【0062】
なお、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部11と拘束片13を少なくとも一部が腹部に位置する衣類60に保持させることで、電極部12を使用者の腹部の皮膚に当接させ、通電による刺激の付与を実行可能とする構成としているが、これに限られるものではなく、腹部以外の、例えば肩や背中、腰、脚など身体の他の部位を、電極部を当接させて刺激を付与する対象として、これらの部位やその近傍に位置する衣類に本体部と拘束片を保持させ、刺激付与を実行するようにしてもよい。
【0063】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部11の第一面11c(一の面)に電極部12を配設し、本体部11の内部で制御部14と電気的に接続された電極部12を用いて通電を行う構成としているが、この他、前記実施形態同様に本体部の一部に配設された電極部、又は、本体部とは分離された電極部に対し、本体部の外部に設けられたケーブルを介して、本体部内部の電気回路を電気的に接続する構成とすることもできる。特に、電極部が本体部とは分離されている場合は、電気的接続用のケーブルを十分な長さとしておけば、本体部を刺激付与の対象位置近くに保持しておく必要がなくなり、本体部をより嵩張らず目立たない位置に配置できるなど、使い勝手を向上させられ、好ましい。
【0064】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部11の第二面11dに対し拘束片13の並ぶ並列方向や、凸部11bの突出する方向における、本体部11と拘束部13の間に、隙間が空くようにされる構成としているが、これに限らず、前記並列方向及び/又は凸部の突出する方向において、本体部と拘束部との間に隙間がない配置態様とする構成とすることもできる。この場合、本体部と拘束部との間に隙間がない配置状態が、拘束片の一端部全体を、本体部の第一面に最も近付けた位置とした通常状態(拘束片が傾動していない状態)に対応することとなる。こうした通常状態に対し、本体部と拘束片が衣類を相対的に拘束する拘束状態では、隙間のない位置関係とされた本体部と拘束部との間に、所定の厚みを有する衣類の生地が介在することで、凸部の突出する方向への拘束片の変位量が大きくなり、本体部と拘束部が前記並列方向において重ならない程度にずれることとなる。そして、衣類は、拘束片の一端部における側端部(コーナー部)と、本体部の第二面における側端部(コーナー部)とで挟持されて拘束される状態となる。
【0065】
さらに、このように衣類の拘束状態で、拘束片の一端部における側端部と、本体部の第二面における側端部とで衣類を挟持するように、本体部と拘束片が配置される場合に、凸部の突出する方向における拘束片の本体部に対する位置関係を調整して、拘束片が傾動していない通常状態の段階でも、本体部と拘束部が前記並列方向において重ならずずれた配置状態となる構成とすることもでき、衣類の相対的拘束のために本体部に対し拘束片を動かす量を少なくすることができる。
【0066】
この他、凸部11bの突出する方向における本体部11と拘束部13の間に隙間がない配置構成としては、具体的には、拘束片13の一端部13a全体が、本体部11の第一面11cに最も近付いた位置にある状態(拘束片13が傾動していない状態)において、拘束片13の一端部13aと、本体部11の基部11aとが接触する構成であってもよい。
【0067】
また、前記実施形態に係る治療装置において、本体部11は、その基部11aを、電極部12を横に二つ並べて第一面11cに配置可能な横長の形状に形成される構成としているが、これに限らず、
図9に示すように、本体部の基部を縦長形状とすることもできる。また、基部だけでなく凸部についても横長や縦長の形状とすることもできる(
図10参照)。すなわち、本体部における基部と凸部はそれぞれ任意の形状として形成することができる。
【0068】
この他、本体部11の基部11aを略矩形状、凸部11bの第二面11dを略方形状としているが、他の形状、例えば、凸部の第二面を略円形状等に置き換えたり、基部と凸部の第二面とを、共に略方形状や略円形状、略長円形状(
図10参照)として形成する構成としてもかまわない。また、拘束片についても、本体部の第二面(他の面)に対し並列方向に並ぶ配置とすることができる範囲で、任意形状としてかまわない。
【0069】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部11を基部11aと凸部11bで形成して、本体部11における他の面としての第二面11dを、一の面としての第一面11cより小さくし、第二面11dに対し並列状態となる拘束片13を、凸部11b突出方向において基部11aと重なる配置とする構成としているが、これに限らず、本体部を他の形状、例えば、
図11に示すように、本体部を、一の面となる一方の板面の反対側も板面となることで、他の面が一の面とほぼ同じ大きさとなる略板状とし、この本体部に拘束片が並列状態で取り付けられ、拘束片が本体部の正面には重ならない構成とすることもできる。この場合も、本体部や拘束片の形状は任意の形状として形成してかまわない。
【0070】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、凸部11bの先端にあって、身体への装着状態で前方に位置する、本体部11における他の面としての第二面11dに、操作部15を設ける構成としているが、これに限らず、本体部における他の面以外の部位に操作部を設ける構成とすることもできる。特に、本体部の形状に関わりなく、衣類と重ならない本体部の上部に操作部を設けるようにすれば(
図11参照)、使用者による操作部を視認しながらの操作が容易となり、誤った操作を行いにくく、好ましい。さらに、操作部の一部を拘束片に設けたり、操作部全体を本体部に代えて拘束片に設ける構成とすることもできる。この他、操作部の一部又は全部を装置側に設けない代わりに、遠隔操作用の端末から使用者が操作を行うようにし、使用者の操作に応じて遠隔操作用の端末から送信された情報を制御部で受信し、この受信した情報に基づいて、通電に係る制御が行われるようにしてもかまわない。
【0071】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部11における他の面としての第二面11dを、基部11aのある側、すなわち凸部11bの突出方向とは逆向きに凹んだ凹面状の曲面として形成する構成としているが、これに限らず、本体部の他の面に設ける操作部が、衣類の接触面圧程度では操作状態とならない構造とされたり、操作部が本体部の他の面以外の箇所に設けられるような場合には、本体部の他の面を平面としたり、凸面状の曲面として形成する構成としてもかまわない。この他、衣類60の拘束状態において本体部11の第二面11dより基部11a寄りに後退した配置となっている拘束片13の表面について、この拘束片の表面を本体部より前方(本体部における凸部の突出する方向)に突出する構成としてもよい。この場合、本体部の第二面(他の面)に操作部が設けられたとしても、この操作部より前方に突出する拘束片によって、操作部に外部の物体が接触しにくくなる。これにより、誤って操作部に物体が接触して操作状態となり、装置が意図せず作動したり作動状態を変化させる事態を未然に防止することができる。
【0072】
また、前記実施形態に係る治療装置において、拘束片13は、本体部11の凸部11bに対し傾動可能に取り付けられる構成としているが、これに限られるものではなく、拘束片の衣類外面に接する一端部全体が本体部の第二面(他の面)よりも第一面(一の面)に近付いた位置にある通常状態から、一端部の少なくとも一部が第一面(一の面)に対し第二面(他の面)より遠位側に達する状態まで、拘束片を本体部に対し動かせるのであれば、例えば拘束片を本体部にスライド移動可能に取り付けるなど、他の取り付け構造を採用してもかまわない。スライド移動可能とする場合は、拘束片を本体部における凸部の突出方向へ単純に移動させる他に、凸部の突出方向から傾いた斜め方向に移動させるようにしてもよい。
【0073】
こうした他の取付構造を採用する場合も、前記実施形態の場合と同じように、拘束片の少なくとも一部が本体部の第一面(一の面)に対し第二面(他の面)より遠位側に達した状態から通常状態に戻る向きに、拘束片を付勢する所定の付勢手段を設けて、拘束片が通常状態をできるだけ維持して衣類の拘束を保てるようにするのが望ましい。
【0074】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部11に対し、複数並列配置した各拘束片を相互に連結して、一体化した拘束片13の形状を、本体部11の凸部11bを取り囲む環状体とするようにしているが、これに限らず、本体部に対し、各並列方向の拘束片を互いに連結しない状態で複数並列配置する構成とすることもできる。
【0075】
さらに、拘束片13を、本体部11に対し複数の並列方向(例えば、縦及び横)にそれぞれ並べて配置する構成に代えて、拘束片を一つの並列方向のみに並べる、例えば、
図12及び
図13に示すように、本体部11の横方向の両側のみに拘束片13を並べて配置する構成としてもかまわない。
【0076】
加えて、本体部11と並べて設ける拘束片13を複数にする構成に限られるものではなく、例えば、
図14及び
図15に示すように、本体部11の中央部に拘束片13を配置するなどして、本体部に対し拘束片を一つのみ並ぶ配置で設ける構成としてもかまわない。
【0077】
上記のように本体部11に対し拘束片13を一つの並列方向のみに並べる場合、装置に対し並列方向と直交する向き(例えば縦方向)に衣類60を相対的に移動させて(
図12、
図14参照)、衣類内面に本体部11が接すると共に衣類外面に拘束片13が接して、本体部11と拘束片13とで衣類60を拘束する状態にすることとなる(
図13、
図15参照)。この場合に対応して、拘束片の衣類外面に接する面を、平面とする以外に、並列方向と直交する向きに波状に連続する凹凸面とすることもできる。
【0078】
凹凸面とした場合、本体部に対する凸部の衣類外面側への突出高さ(凸部の突出する方向における突出高さ)を大きくして拘束の度合いを大きくするなど、凹凸面の形状を調整して拘束状態を設定することができる。また、衣類外面に向かう凸部の配設ピッチを小さくすることで、本体部と拘束片との間に拘束される衣類の、並列方向と直交する向き(例えば縦方向)における拘束位置の設定の自由度をより高められる。
【0079】
また、前記実施形態に係る治療装置において、本体部11に対し所定の並列方向(例えば、横方向)に並ぶ拘束片13は、並列方向(横方向)から見ると本体部11と重なるように配置される構成としているが、これに限らず、
図16ないし
図18に示すように、並列方向から見ても拘束片が本体部とは重ならない構成とすることもできる。この場合、衣類における本体部の第二面(他の面)への当接部分と拘束片の一端部への当接部分との間に生じる段差が小さくなるなど、衣類の屈曲の度合いが弱まる分、衣類が本体部及び拘束片に対し動きやすくなることから、衣類を相対的に拘束する拘束力を確保するために、本体部の第二面(他の面)及び/又は拘束片の一端部に、衣類の相対移動に対し抵抗を与える凹凸などの形状を付与することが好ましい。
【0080】
なお、
図12、
図14、及び
図16にそれぞれ示した例では、本体部11や拘束片13を略矩形の板状としているが、あくまで一例に過ぎないものであり、いずれの場合も本体部や拘束片の形状は任意の形状として形成してかまわない。
【0081】
また、前記実施形態に係る治療装置においては、治療に係る刺激付与として、電極部12を用いて皮膚への通電を実行し、皮膚を通じて身体に電気的刺激を付与する構成としているが、これに限られるものではなく、他の刺激付与として、本体部内に発熱機構を設け、発生させた熱を電極部(刺激付与部)を通じて皮膚に伝えるようにして、皮膚への通電に代えて、又は通電と同時に、皮膚に温熱刺激を付与可能としたり、電極部を用いて皮膚へのラジオ波等の高周波による通電を実行し、通電で熱を発生させて皮膚を温める温熱刺激付与等を利用可能としたり、本体部内に圧電素子等による超音波発生機構を設け、電極部(刺激付与部)に超音波の振動が伝わるようにして、皮膚への通電に代えて、又は通電と同時に、皮膚に超音波振動の刺激を付与可能とする構成としてもかまわない。
【0082】
このような発熱機構や温熱刺激付与用の高周波通電機構、超音波発生機構等の刺激付与機構については、いずれかを前記実施形態における低周波通電機構と置き換える形で単独で設ける構成とする他、上記低周波通電機構も含めて、複数の刺激付与機構を併設する構成とすることもできる。そして、電気的刺激以外の刺激付与機構の場合、電極部は、付与可能な各種刺激に対応する刺激付与部となる。
【0083】
特に、複数の刺激付与機構を併設する場合には、操作部や遠隔操作用の端末に、複数種類の刺激付与機構の作動を切替可能とする、作動モード切替用のスイッチを設けるなど切替機能を付与し、こうした切替用のスイッチ等への使用者の操作を受けて、制御部が操作部で選択された各作動モードに対応して、一又は複数の刺激付与機構の作動に伴う所定の刺激付与状態とする制御を行うようにすることが望ましい。
【0084】
さらに、前記実施形態に係る治療装置においては、本体部11と拘束片13における、衣類60と接触する部位のコーナー部を、丸みのある断面形状とし、衣類60に対し滑らかに接触可能とする構成としているが、これに限らず、
図19ないし
図21に示すように、本体部11と拘束片13における各コーナー部11e、13eを、丸みのない断面形状や、鋭角となる断面形状として形成する構成とすることもできる。また、
図22に示すように、本体部11と拘束片13における各コーナー部11e、13eに突起を設ける構成とすることもできる。これらにより、各コーナー部11e、13eが衣類60に食い込んだ状態を得やすく、本体部11と拘束片13に対し衣類60をより一層ずれにくくすることができる。このうち、本体部11と拘束片13の各コーナー部11e、13eを、鋭角となる断面形状として形成する構成(
図19、
図20参照)では、各コーナー部以外で本体部11と拘束片13の間隔を広げた状態にでき、衣類60が厚い生地からなる場合であっても、本体部11と拘束片13との間に衣類60を問題なく通すことができる。
【0085】
なお、拘束片13におけるコーナー部13eに設ける突起については、前記実施形態における拘束片13において基部11a側に突出するように形成される突部13cの役割を兼ねるものであってもよい。
【0086】
加えて、
図23及び
図24に示すように、本体部11と拘束片13が、衣類60を拘束した状態において、互いの並列方向の重なりを減らす又は0にするようずらした配置とされて、二つのコーナー部11e、13e間の距離を大きくする構成とすることもできる。これにより、各コーナー部11e、13eに接する衣類60の接触圧力を大きくし、各コーナー部11e、13eの衣類60への食い込みを促すと共に、衣類60のうち、拘束片13と本体部11との間に位置する部分を、コーナー部間距離を増大させた分、より強い伸張状態として、さらに衣類60を本体部11及び拘束片13に対し動きにくくすることができる。
【0087】
この他、前記実施形態に係る治療装置においては、電極部12のある本体部11を拘束片13より大きく(広く)する構成としているが、これに限らず、本体部を拘束片より小さく(狭く)する構成とすることもできる。例えば、前記
図11、
図12、
図14、
図16に示される各構成において、本体部11を拘束片とし、拘束片13を本体部とするように役割を入れ替え、本体部(入れ替え前の拘束片13に相当する大きさ)に電極部を設けて、これを身体表面に向けるように衣類に保持させる構成としてもかまわない。
【0088】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る治療装置を前記
図25ないし
図27に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る治療装置2は、前記第1の実施形態と同様に、本体部21と、電極部22と、拘束片23と、制御部(図示を省略)と、操作部25とを備える一方、異なる点として、拘束片23も本体部21と共に衣類60の内面側に位置して、衣類60を内面側から相対的に拘束する構成を有するものである。
なお、制御部については、前記第1の実施形態と同様のものであり、説明を省略する。
【0089】
また、操作部25については、前記第1の実施形態とは配置及び形状を異にするものの、前記第1の実施形態の場合と同じ役割を担う各スイッチを有し、且つ、使用者の入力操作を受け、制御部に治療に係る制御を実行させる機能は前記第1の実施形態と同様のものであるため、詳細な説明を省略する。
【0090】
前記本体部21は、略板状に形成され、使用者の身体に向けられる一の面、及びこの一の面の反対側に位置する他の面を有する構成である。この本体部21は、樹脂等の絶縁体製とされ、一方の板面(表面)を前記一の面としての第一面21cとされると共に、他方の板面(裏面)を前記他の面としての第二面21dとされる構成である。なお、略板状の本体部では、一の面をなす一方の板面の反対側の端部には、同様の板面(他方の板面)が位置するのみであり、これが他の面となることで、他の面と一の面はほぼ同じ大きさとなっている。
【0091】
そして、本体部21の第一面21cに電極部22が配設され、第一面21cと第二面21d以外の所定面(例えば、本体部21が衣類60に保持された状態で上面となる面)に操作部25が配設される。
なお、本体部21においては、その板厚方向を前後方向とし、第一面21cのある側を後端側、第二面21dのある側を前端側とする。
【0092】
この本体部21の内部には、前記第1の実施形態同様に、制御部等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)が配設される。制御部は、第一面21c側の電極部22と電気的に接続されると共に、操作部25とも電気的に接続される仕組みである。
この他、本体部21における所定方向の両端部には、拘束片23がそれぞれ取り付けられる。
【0093】
本体部21は、使用者の腹部周りに着用された衣類60に対し、衣類60の内面に本体部21の第二面21dを向けると共にその一部を当接させるようにして、前記第1の実施形態と同様に、衣類60の内側、すなわち、衣類60の内面と身体との間に配置されることとなる。
【0094】
前記電極部22は、前記第1の実施形態と同様、導電性を有する材質でシート状に形成され、使用者の皮膚に接触可能となる接触面を有して、本体部21の第一面21cに配設されるものである。
【0095】
前記拘束片23は、本体部21における第二面21dに対して、この第二面21dと重ならずに、所定の並列方向に並ぶ配置とされて、本体部21に取り付けられる構成である。
詳細には、拘束片23は、本体部21に対して、本体部21の前後方向と直交する所定方向である前記並列方向に並び、本体部21を挟むようにして本体部21の両端にそれぞれ傾動可能に取り付けられる構成である。
【0096】
各拘束片23は、略棒状体として形成され、その長手方向を本体部21の前後方向及び前記並列方向と直交する向きとして配設される。そして、拘束片23は、並列方向における本体部21の端部のうち、後端側部分(第一面21c寄りの部分)に傾動可能に取り付けられる一方、本体部21の端部のうち前端側部分(第二面21d寄りの部分)との間に、衣類60の生地の一部が入り込める隙間を設けるようにされる。
【0097】
拘束片23は、本体部21に対し傾動可能とされることで、この拘束片23と本体部21端部の前端側部分との間隔(隙間の大きさ)を調整可能とされる。
詳細には、拘束片23における本体部21の第二面21dに近い部位が、並列方向における本体部21の端部に近い位置にある通常状態から、本体部21の端部から離れて、この端部との間の前記隙間を大きくする状態まで傾動可能とされる。
【0098】
また、拘束片23は、所定の付勢手段により、本体部21との間の隙間を大きくするよう傾動させた状態から前記通常状態に戻る向きに付勢されており、通常状態をできるだけ維持するようにされる仕組みである。
【0099】
拘束片23は、衣類60に対し、衣類60の内面に本体部21の第二面21dを向ける状態で、拘束片23が本体部21に対し横方向に位置する向きとされて、一部を衣類60の内面に当接させ、本体部21と同様に衣類60の内側に配置されることとなる。
【0100】
そして、拘束片23は、本体部21との間の隙間を最小とした通常状態で、本体部21の第二面21dと隣り合って衣類60の内面に向けられる面(前面23a)を、第二面21dと同一平面上に揃った位置となるようにされる。
この通常状態で、拘束片23における本体部21の端部に面する部位(当接部23b)が、衣類60の内面に当接する一部を担うこととなる。
【0101】
拘束片23は、このような当接部23bに、衣類60に対し所定の摩擦抵抗を生じさせる、粗面や連続する細かな凹凸等の、滑り止めを設けられる構成とすることもできる。
この滑り止めとしては、粗面等に限らず、接した衣類の屈曲や湾曲の頻度を大きくして、単位長さあたりの衣類との接触面積を増やすと共に、衣類の変形度合いを大きくすることで、衣類を本体部と拘束片との間で相対的に移動させようとする場合の抵抗力を増大させ、衣類の拘束を強化できる、波状や歯形状の凹凸を設けるようにしてもよい。また、こうした滑り止めは、拘束片の当接部だけでなく、これに対向する本体部の端部に設けるようにしてもよい。
【0102】
本体部21と拘束片23は、拘束片23を傾動させてから、並列方向における本体部21の端部と拘束片23の当接部23bとの間に衣類60の一部を挟んだ後、拘束片23を通常状態に戻し、本体部21と拘束片23との間に衣類60の一部を介在させて挟持した状態とすることで、衣類60を本体部21と拘束片23に対し動かないよう相対的に拘束する。すなわち、衣類60を基準にすると、本体部21と拘束片23が衣類60に装着、拘束されて、衣類60に保持された状態となる。
【0103】
この他、拘束片23における本体部21の端部に面する当接部23bのうち、前面23a寄りの一部を、本体部21側に凸状に突出させる一方、本体部21の端部のうち、第二面21d寄りの一部を切欠く又は凹ませて凹部とし、拘束片23と本体部21との間の隙間を最小とした通常状態で、拘束片23の凸状突出部分が本体部21側の凹部に入り込むようにする構成とすることもできる。こうして、本体部21と拘束片23における衣類60の一部を挟持する各部位の形状をより複雑なものとすることで、本体部21と拘束片23に挟まれて挟持される衣類60の一部の屈曲度合いをより大きくすることができ、衣類60を動かそうとする際の抵抗を大きくして、本体部21と拘束片23による拘束を確実なものとすることができる。
【0104】
次に、本実施形態に係る治療装置の身体装着状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、使用者は治療装置2を保持可能な衣類60を少なくとも腹部に位置させる状態で着用した状態にあるものとする。そして、治療装置2の内蔵電源(電池)は十分な容量を有して、操作部25から治療に係る作動の開始を指示入力されれば、装置の作動をあらかじめ設定された期間の終了まで無理なく継続できる状態であるものとする。
【0105】
まず、治療装置2の身体への装着として、本体部21と拘束片23は、拘束片23が本体部21に対し横方向に位置する向きで、且つ本体部21の第一面21cを腹部の皮膚に向けるようにして、腹部を覆う衣類60と身体との間に位置した状態とされる。
【0106】
次いで、並列方向における本体部21の両端で通常状態にある各拘束片23を本体部21に対し傾動させ、本体部21の端部と拘束片23との間の隙間を大きくした開放状態とする(
図20参照)。この開放状態を維持したままで、衣類60の二箇所が、本体部21と各拘束片23との間にそれぞれ入った状態となるようにする。
【0107】
具体的には、本体部21と一方の拘束片23との間の隙間に面する衣類60の所定箇所において、衣類60の一部を撓ませるようにして、本体部21と拘束片23との間の隙間に差し入れる。隙間に衣類60の一部が入ったら、本体部21に対し傾動させていた拘束片23を元の通常状態に戻して、本体部21と拘束片23との間の隙間を小さくし、本体部21と拘束片23とで衣類60の一部を挟持する。また、本体部21と他方の拘束片23との間の隙間に面する衣類60の他の所定箇所においても、同様に衣類60の一部を本体部21と拘束片23との間の隙間に差し入れた後、拘束片23を元の通常状態に戻して、本体部21と拘束片23とで衣類60の一部を挟持するようにする。
【0108】
各拘束片23の通常状態では、衣類60における二箇所が、本体部21と各拘束片23との間に介在してこれらに挟持された状態となっており、衣類60の内面は、本体部21の並列方向における端部と第二面21dに接し、且つ拘束片23の当接部23bと前面23aに接する。
【0109】
こうして衣類60と本体部21及び拘束片23とが係わり合うことで、衣類60は本体部21及び拘束片23に相対的に拘束されて動かない状態となる。言い換えると、本体部21及び拘束片23が衣類60に拘束され、衣類60に対し動かずに保持された状態となる。
これに伴い、本体部21の第一面21cにある電極部22が、ちょうど腹部表面の皮膚に当接してずれない状態となる。
【0110】
使用者の身体に適切に装着された、治療装置の電気刺激付与に係る作動については、前記第1の実施形態の場合と同様であり、説明を省略する。
【0111】
このように、本実施形態に係る治療装置は、拘束片23が本体部21と共に衣類60の内側に配置され、並列方向に並ぶ本体部21と拘束片23で衣類60の一部を挟持して衣類60を相対的に拘束し、本体部21が衣類60に対し拘束された状態を得ることから、衣類60の内側のみで本体部21が衣類60に対し動きにくい状態を無理なく確保することができ、衣類60を介して本体部21とこれに設けられた電極部22の身体への適切な装着状態を得て、電極部22が身体に対しずれることはなく、皮膚への通電による刺激付与を適切に実行できる。また、本体部21と拘束片23が共に衣類60の内側に位置することで、装置が目立ちにくく、使用者が外出時等で装置の使用を気にすることなく行動できる。
【0112】
なお、前記実施形態に係る治療装置において、本体部21の形状は特に規定していないが、身体と衣類60との間に嵩張らない状態で位置させられる略板状のものであれば、その形状(前後方向から見た形状)は任意の形状でかまわない。また、拘束片についても、略棒状体に限らず、本体部と拘束片との間に衣類の一部を挟持可能となるものであれば、任意の形状でかまわない。
【0113】
また、前記実施形態に係る治療装置において、二つの拘束片23が、本体部21に対して一つの並列方向に並び、本体部21を挟むようにして本体部21の両端にそれぞれ傾動可能に取り付けられる構成としているが、これに限らず、一つの拘束片が本体部に対し所定の並列方向に並ぶようにして本体部に取り付けられたり、三つ以上の複数の拘束片が、本体部に対して二つ以上となる複数の並列方向に並ぶようにして本体部に取り付けられる構成とすることもできる。例えば、本体部が多角形の板状に形成される場合、この本体部に対し、本体部の前後方向と直交し且つ本体部の各端辺と直交する向きとされる複数の並列方向に拘束片がそれぞれ並ぶようにして、複数の拘束片が本体部に取り付けられて、本体部の各端辺ごとに拘束片を対向させて配置する構成とすることもできる。
【0114】
より具体的には、本体部が四角形(矩形又は方形)の板状に形成される場合、この本体部に対し、平行となる所定の二端辺と直交する一の並列方向と、別の平行となる二端辺と直交する他の並列方向との合計二つの並列方向に拘束片がそれぞれ並び、且つ各並列方向で拘束片がそれぞれ本体部を挟むようにして本体部に取り付けられて、合計四つの拘束片が本体部の四つの端辺ごとにそれぞれ配置される構成とすることもできる。また、本体部が五角形の板状に形成される場合、この本体部に対し、五つの端辺に直交する五つの並列方向にそれぞれ並ぶようにして五つの拘束片が本体部に取り付けられて、拘束片が本体部の五つの端辺ごとにそれぞれ配置される構成とすることもできる。
【0115】
また、前記実施形態に係る治療装置において、拘束片23と共に衣類60の一部を挟持する、本体部21の前記並列方向における端部は、
図25ないし
図27に示されるように、その衣類60との接触面が、本体部21の第二面21dに対し直交する面となるようにして形成される構成としているが、これに限らず、本体部の第二面(他の面)に対し斜めに傾いた面となるようにされる構成としてもかまわない。この場合、拘束片についても、本体部の傾いた端部との間に衣類の一部を挟持可能な形状及び配置とされることは言うまでもない。本体部の端部における衣類との接触面を傾斜面とすることで、挟持状態における衣類との接触面積を増やして、拘束を強化できる。
【0116】
また、前記実施形態に係る治療装置において、拘束片23と並列方向における本体部21の端部との間隔、すなわち、本体部21と拘束片23との間の、衣類60の一部が入る隙間の大きさ、を調整可能とするために、拘束片23が本体部21の端部における後端側部分に傾動可能に取り付けられる構成としているが、これに限らず、拘束片を、並列方向における本体部の端部に近い位置にある通常状態から、本体部の端部から離れて、この端部との間の隙間を大きくする状態まで、本体部に対し並列方向にスライド移動可能となるように取り付ける構成とすることもできる。この場合、所定の付勢手段が、隙間を大きくするよう移動させた状態から前記通常状態に戻る向きに、拘束片を付勢するように設けられることが望ましい。
【0117】
また、前記実施形態に係る治療装置において、拘束片23の当接部23bは、拘束片23の長手方向に連続する形状とされて、本体部21の端部との間に一様な隙間を生じさせる構成としているが、これに限らず、拘束片における当接部のうち、衣類に保持させた状態で上部に位置する一部を、並列方向における本体部の端部側に凸状に突出させ、本体部の端部を上方から覆うようにして、本体部と拘束片との間の隙間が、この当接部の突出部分により上方には開放しない構成とすることもできる。
【0118】
この場合、本体部と拘束片との間の隙間に差し入れられ、本体部と拘束片により挟持されて相対的に拘束される衣類の一部が、拘束片の当接部の突出部分より上には位置させられなくなり、本体部に対する衣類の上端位置が相対的に規制されることとなる。これにより、本体部及び拘束片を衣類の上部に対し位置決めしやすくなると共に、衣類を挟持して相対的に拘束する本体部と拘束片が、仮に下向きの力を受けても、衣類に対し下にずれにくくなり、身体に対する電極部の位置を確実に維持することができる。
【0119】
前記第1及び第2の各実施形態で具体的に示した、本発明の開示に係る治療装置は、国際連合で定められた「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」で示される17の目標のうち、例えば、「3:すべての人に健康と福祉を(あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する)」や「12:つくる責任つかう責任(持続可能な生産消費形態を確保する)」といった一部の目標の達成に寄与することが期待できる。
【符号の説明】
【0120】
1、2 治療装置
11、21 本体部
11a 基部
11b 凸部
11c、21c 第一面
11d、21d 第二面
11e、13e コーナー部
12、22 電極部
13、23 拘束片
13a 一端部
13b 傾動中心軸
13c 突部
23a 前面
23b 当接部
14 制御部
15、25 操作部
15a 電源スイッチ
15b 強度切替スイッチ
60 衣類