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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103374
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】制御装置及びゲート装置
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240725BHJP
【FI】
G07B15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007662
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000143396
【氏名又は名称】株式会社高見沢サイバネティックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇田川 亮太
(72)【発明者】
【氏名】池田 亨平
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA02
3E127BA16
3E127BA25
3E127BA46
3E127CA02
3E127FA16
3E127FA25
(57)【要約】
【課題】複数の通行人が通路に進入した場合に不正進入の可能性を把握できるゲート装置の制御装置及びゲート装置を提供する。
【解決手段】ゲート制御装置50は、通路18が延びる方向に複数が配列されるようにゲート装置1に設けられた検知センサ30から信号を取得する取得部51と、各検知センサ30から取得した信号に基づいて、通行人が検知された検知状態の検知センサ30が配置された位置に通行人がいると判断すると共に、検知状態の検知センサ30の他に所定の範囲の非検知状態の検知センサ30を挟んで別の検知状態の検知センサ30が存在するときに、第1の通行人とは別人の第2の通行人がいると判断する判断部52とを備える。所定の範囲は、複数の検知センサ30を結ぶ仮想直線上における、標準的な成人が直立した状態で腕を伸ばしたまま振り上げたときに指先が描く軌跡が交わる点と、標準的な成人の胴体が交わる点との距離を超える範囲である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行人が通行する通路を有するゲート装置における前記通路を通行している前記通行人の有無を判断する制御装置であって、
前記通路を通行する前記通行人を検知する検知センサであって前記通路が延びる方向に複数が配列されるように前記ゲート装置に設けられた検知センサから信号を取得する取得部と、
複数の前記検知センサのそれぞれから取得した信号に基づいて、前記通行人が検知された検知状態の前記検知センサが配置された位置に前記通行人がいると判断すると共に、前記検知状態の前記検知センサの他に所定の範囲の前記通行人が検知されていない非検知状態の前記検知センサを挟んで別の前記検知状態の前記検知センサが存在するときに、第1の前記通行人とは別人の第2の前記通行人がいると判断する判断部と、を備え、
前記所定の範囲は、複数の前記検知センサを結ぶ仮想直線上における、標準的な成人が直立した状態で腕を伸ばしたまま振り上げたときに指先が描く軌跡が交わる点と、前記標準的な成人の胴体が交わる点と、の距離を超える範囲である、
制御装置。
【請求項2】
前記所定の範囲に対応する距離があらかじめ記憶されていると共に、前記所定の範囲に対応する距離が変更可能に記憶されている、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の制御装置と、
前記通路の一方の側面を構成する第1の筐体と、前記通路の他方の側面を構成する第2の筐体と、を含む筐体と、
前記通路を通行する前記通行人を検知する前記検知センサと、を備える、
ゲート装置。
【請求項4】
前記検知センサは、発光素子と受光素子とを含む光素子セットの複数が前記筐体に設けられて前記通路が延びる方向に配列されており、複数の前記光素子セットのそれぞれは、前記発光素子が前記第1の筐体及び前記第2の筐体のいずれか一方に設けられ、前記受光素子が前記第1の筐体及び前記第2の筐体のうち前記発光素子が設けられた方とは反対側に設けられ、前記受光素子は前記発光素子が発した光を受けるように構成されており、
前記制御装置は、複数の前記光素子セットのそれぞれについて、前記発光素子が発した光を前記受光素子が受ける透光か、前記発光素子が発した光を前記受光素子が受けない遮光か、を前記取得部が取得すると共に、複数の前記光素子セットのうち遮光の前記光素子セットが前記検知状態であり、透光の前記光素子セットが前記非検知状態であるとして処理する、
請求項3に記載のゲート装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記所定の範囲に対応する前記光素子セットの数があらかじめ記憶されている、
請求項4に記載のゲート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は制御装置及びゲート装置に関し、特に建物や施設などへの通行人の入退場を管理するためのゲート装置に設けられる制御装置及びこれを備えるゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物や施設などへの入場及び/又は退場を管理するために、通行を許可する場合は扉を開き、許可しない場合は扉を閉じるゲート装置がある。この種のゲート装置は、一般に、扉を支持すると共に通路を区画する筐体に、通行人を検知可能なセンサを通路に沿って設け、通行人の有無を検知している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-77079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでのゲート装置は、通路に一人ずつ進入することを前提としている。そのため、二人が密接してゲート装置の通路に進入し、その後に通路内で離れた場合は、一方だけを通行人と判断し、他方を通行人ではない物体(例えば認識した通行人の手や手荷物)と判断して、不正な通過を許してしまうおそれがあった。
【0005】
本開示は上述の課題に鑑み、複数の通行人が通路に進入した場合に不正な進入の可能性を把握できるゲート装置に設けられる制御装置及びこの制御装置を備えるゲート装置を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る制御装置は、通行人が通行する通路を有するゲート装置における前記通行人の有無を判断する制御装置であって、前記通路を通行する前記通行人を検知する検知センサであって前記通路が延びる方向に複数が配列されるように前記ゲート装置に設けられた検知センサから信号を取得する取得部と、複数の前記検知センサのそれぞれから取得した信号に基づいて、前記通行人が検知された検知状態の前記検知センサが配置された位置に前記通行人がいると判断すると共に、前記検知状態の前記検知センサの他に所定の範囲の前記通行人が検知されていない非検知状態の前記検知センサを挟んで別の前記検知状態の前記検知センサが存在するときに、第1の前記通行人とは別人の第2の前記通行人がいると判断する判断部と、を備え、前記所定の範囲は、複数の前記検知センサを結ぶ仮想直線上における、標準的な成人が直立した状態で腕を伸ばしたまま振り上げたときに指先が描く軌跡が交わる点と、前記標準的な成人の胴体が交わる点と、の距離を超える範囲である。
【0007】
このように構成すると、検知センサから取得した状態に基づいて、一人の通行人及びその付属物が存在するか複数の通行人が存在するかを判別することができ、複数の通行人が通路にいることを判別したときに、不正な進入の可能性を把握することができる。
【0008】
また、本開示の第2の態様に係る制御装置は、上記本開示の第1の態様に係る制御装置において、前記所定の範囲に対応する距離があらかじめ記憶されていると共に、前記所定の範囲に対応する距離が変更可能に記憶されている。
【0009】
このように構成すると、状況に応じて所定の範囲を適切に設定可能となる。
【0010】
また、本開示の第3の態様に係るゲート装置は、上記本開示の第1の態様又は第2の態様に係る制御装置と、前記通路の一方の側面を構成する第1の筐体と、前記通路の他方の側面を構成する第2の筐体と、を含む筐体と、前記通路を通行する前記通行人を検知する前記検知センサと、を備える。
【0011】
このように構成すると、一人の通行人及びその付属物が存在するか複数の通行人が存在するかを判別することができ、複数の通行人が通路にいることを判別したときに、不正な進入の可能性を把握することができるゲート装置となる。
【0012】
また、本開示の第4の態様に係るゲート装置は、上記本開示の第3の態様に係るゲート装置において、前記検知センサは、発光素子と受光素子とを含む光素子セットの複数が前記筐体に設けられて前記通路が延びる方向に配列されており、複数の前記光素子セットのそれぞれは、前記発光素子が前記第1の筐体及び前記第2の筐体のいずれか一方に設けられ、前記受光素子が前記第1の筐体及び前記第2の筐体のうち前記発光素子が設けられた方とは反対側に設けられ、前記受光素子は前記発光素子が発した光を受けるように構成されており、前記制御装置は、複数の前記光素子セットのそれぞれについて、前記発光素子が発した光を前記受光素子が受ける透光か、前記発光素子が発した光を前記受光素子が受けない遮光か、を前記取得部が取得すると共に、複数の前記光素子セットのうち遮光の前記光素子セットが前記検知状態であり、透光の前記光素子セットが前記非検知状態であるとして処理する。
【0013】
このように構成すると、光素子セットの遮光の状態に基づいて、一人の通行人及びその付属物が存在するか複数の通行人が存在するかを判別することができる。
【0014】
また、本開示の第5の態様に係るゲート装置は、上記本開示の第1の態様又は第2の態様に係るゲート装置において、前記制御装置は、前記所定の範囲に対応する前記光素子セットの数があらかじめ記憶されている。
【0015】
このように構成すると、光素子セットの設置間隔に応じた適切な所定の範囲を設定することができ、不正な進入の可能性を精度よく把握することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、複数の通行人が通路にいることを判別したときに、不正な進入の可能性を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(A)は一実施の形態に係るゲート装置の概略構成を示す平面図、(B)は一実施の形態に係るゲート装置が備える第1筐体の側面図である。
図2】各光素子セットについて時間経過に伴う状態の変化を示すマトリックスの図である。
図3】各光素子セットについて時間経過に伴う状態の変化の別のパターンを示すマトリックスの図である。
図4】所定の範囲を説明する概念図である。
図5】各光素子セットについて時間経過に伴う状態の変化のさらに別のパターンを示すマトリックスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0019】
まず図1を参照して、一実施の形態に係るゲート装置1を説明する。図1(A)は、ゲート装置1の概略構成を示す平面図、図1(B)はゲート装置1が備える第1の筐体11の側面図である。ゲート装置1は、通路18を形成する筐体10と、通路18を通過する通行人の存在を検知する検知センサ30(以下、単に「センサ30」という。)と、一実施の形態に係る制御装置50とを備えている。
【0020】
筐体10は、通行人の通路18を区画すると共に、ゲートの機能に必要な各種部材を収容又は搭載するものである。筐体10は、第1の筐体11(以下「第1筐体11」という。)と、第2の筐体12(以下「第2筐体12」という。)と、を有している。第1筐体11と第2筐体12とに挟まれた空間が、通路18となる。第1筐体11は、通路18が延びる方向に見て、前後及び上下には長く、左右には必要な幅を有した、概ね直方体状に形成されている。第1筐体11の必要な幅は、後述する各種部材を収容するのに足りる幅であり、設置スペースや意匠性の観点から極力小さくすることが好ましい。第1筐体11は、典型的には、直立している標準的な成人の腰から肘あたりの高さを有している。第1筐体11の長さ(通路18が延びる方向の距離)は、通行人が通行している最中に、通行人の認証を行って必要に応じて通行人の通行を中止させる措置を講ずることができる長さであり、例えば1.5m~2.5mや、1.8~2mとしてもよい。
【0021】
第2筐体12は、本実施の形態では、形状及び大きさが、第1筐体11と同様に形成されている。第1筐体11及び第2筐体12は、典型的には、第1筐体11と第2筐体12との対向する内面同士が平行になるように床に設置されている。第1筐体11の内面と第2筐体12の内面との距離(通路18の幅に相当)は、標準的な成人が、通路18が延びる方向を向いて立っている状態で、一人は居ることができるが二人が横に並ぶことはできない距離である。この距離(通路18の幅に相当)は、例えば、500mm~600mmとしてもよく、550mmとしてもよい。このように設置された第1筐体11と第2筐体12との間が通路18である。このとき、第1筐体11は通路18の一方の側面を構成し、第2筐体12は通路18の他方の側面を構成する。第1筐体11と第2筐体12とに挟まれて形成された通路18に関し、一方の端部を入場側E1といい、他方の端部を退場側E2ということとする。入場側E1は、これから管理区域に入場するために認証を受けようとする通行人が通路18に最初に到達する端部であり、管理区域の外側に位置している。退場側E2は、管理区域の内側にいる通行人がこれから管理区域の外に出ようとする場合に最初に到達する通路18の端部であり、管理区域の内側に位置している。
【0022】
本実施の形態では、第1筐体11に、入場用扉15と、退場用扉16とが設けられている。入場用扉15及び退場用扉16は、共に、通路18の空間を遮る部材である。入場用扉15及び退場用扉16は、本実施の形態では、板状の部材が長方形に形成されたものが用いられている。入場用扉15及び退場用扉16は、典型的には、長方形の短辺が第1筐体11の内面に沿って鉛直方向に延び、長方形の長辺が水平に延びるように、第1筐体11に取り付けられている。入場用扉15及び退場用扉16は、長方形の一方の短辺に沿って回転軸(不図示)が設けられており、この回転軸が設けられた部分は常時第1筐体11の内部に存在するようになっている。入場用扉15及び退場用扉16は、それぞれ、回転軸が、第1筐体11に収容された駆動装置(不図示)に支持されており、この駆動装置によって、閉位置と開位置との間を回転軸まわりに往復移動することができるようになっている。入場用扉15及び退場用扉16は、長方形の短辺の長さが典型的には標準的な成人の腹部から腰部を覆う長さになっており、長方形の長辺の長さが概ね通路18の幅と同じであるが通路18の幅よりも若干短くなっている。ここで、入場用扉15及び退場用扉16の長方形の長辺の長さが通路18の幅よりも若干短いとは、入場用扉15及び退場用扉16が回転軸まわりに回転したときに第2筐体12に干渉しない範囲で極力通路18の幅に近づくことを意味している。入場用扉15及び退場用扉16は、透光性を有する板状部材で形成されていてもよく、透明の材料で形成されていてもよい。あるいは、入場用扉15及び退場用扉16は、軽量化の観点からウレタンや射出成形用の合成樹脂で形成されていてもよく、剛性を高める観点から金属板やアクリル等の合成樹脂の厚板で形成されていてもよい。
【0023】
入場用扉15は、管理区域に入場しようとする通行人に対する扉である。入場用扉15は、通路18の長さ(通路18が延びる方向の距離)の中間地点よりも退場側E2で、第1筐体11に取り付けられている。入場用扉15は、本実施の形態では、開位置にあるときに、長方形の一対の短辺のうち、回転軸が設けられている側とは逆側の短辺が、回転軸が設けられている短辺よりも退場側E2に位置した状態で、全体が第1筐体11に収容されるようになっている。入場用扉15は、本実施の形態では、閉位置にあるときに、長方形の長辺が、第1筐体11の内面に対して直角に延びている。退場用扉16は、管理区域から退場しようとする通行人に対する扉である。退場用扉16は、通路18の長さの中間地点よりも入場側E1で、第1筐体11に取り付けられている。退場用扉16は、本実施の形態では、開位置にあるときに、長方形の一対の短辺のうち、回転軸が設けられている側とは逆側の短辺が、回転軸が設けられている短辺よりも入場側E1に位置した状態で、全体が第1筐体11に収容されるようになっている。退場用扉16は、本実施の形態では、閉位置にあるときに、長方形の長辺が、第1筐体11の内面に対して直角に延びている。入場用扉15及び退場用扉16は、それぞれ、駆動装置による回転軸まわりの回転により、開位置と閉位置との間を概ね90度の角度で往復回転移動するようになっている。
【0024】
ゲート装置1は、本実施の形態では、認証器21と、案内器25とを有している。認証器21は、通路18を通過しようとしている通行人が通過させてよい通行人に該当するか否かを判定する機器である。認証器21は、本実施の形態では、生体認証を行う生体認証装置が用いられている。生体認証は、人間の身体的又は行動的特徴を用いて個人認証するものとして周知である。認証器21は、通路18の通過を許可する人の生体データが、内部ストレージ又は上位機器に記憶されており、この記憶されている生体データに、生体認証装置で読み取られた通行人の生体データを照合して、認証の可否を判断することができるようになっている。上位機器は、外部のサーバであってもよい。認証器21は、本実施の形態では、第2筐体12の上面に設けられているが、第2筐体12の上面に代えて、又は第2筐体12の上面と共に、第1筐体11の上面に設けられていてもよい。認証器21は、入場用及び退場用のそれぞれに専用のものが設けられていてもよい。
【0025】
案内器25は、認証器21による判定結果や、通路18の位置等を、通行人に知らせるものである。案内器25は、通行人への通知内容を、ディスプレイに表示する構成、音声で伝える構成、及び色の違いで伝達する構成のうちのいずれか又は複数の組み合わせであってもよい。案内器25は、通行人への通知内容を、ディスプレイに表示する構成の場合はディスプレイを備え、音声で伝える構成の場合はスピーカーを備え、色の違いで伝達する構成の場合はLED等の光源を備えているとよい。案内器25が色の違いで伝達する構成の例として、認証器21による判定結果が、通行可の場合に青又は緑を点灯する、通行不可の場合に赤又は橙を点灯又は点滅することが挙げられる。案内器25は、本実施の形態では、第2筐体12の上面に設けられているが、第2筐体12の上面に代えて、又は第2筐体12の上面と共に、第1筐体11の上面に設けられていてもよく、入場用扉15及び/又は退場用扉16に設けられていてもよい。案内器25が入場用扉15に設けられた例として、入場用扉15の面をディスプレイで構成すること、あるいは、入場用扉15を透光性を有する板状部材で形成して入場用扉15の全部又は一部を所定の色に光らせることが挙げられる。案内器25を退場用扉16に設ける場合も、入場用扉15に設ける場合と同様の構成にすることができる。
【0026】
ゲート装置1が備えるセンサ30は、前述のように、通路18を通過する通行人の存在を検知するものである。センサ30は、発光素子32と受光素子33とを含む光素子セット31を有している。発光素子32は、光を発する素子であり、典型的には発光ダイオードを用いることができる。受光素子33は、発光素子32が発した光を受ける素子であり、典型的にはフォトダイオードを用いることができる。本実施の形態では、発光素子32及び受光素子33の1つずつで光素子セット31を構成している。光素子セット31は、発光素子32が発した光を受光素子33が受けているときは「透光」の状態であることを出力し、発光素子32が発した光を受光素子33が受けていないときは「遮光」の状態であることを出力するようになっている。光素子セット31が遮光の状態は、発光素子32が発した光を、通行人やその他の物体が遮っていて、受光素子33が受けることができない状態である。ここで、物体の例として、通行人の手荷物が挙げられる。光素子セット31が遮光の状態となる原因が、通行人であるかその他の物体であるかは、あらかじめ制御装置50に記憶されている遮光の数やパターンにより区別することができる。光素子セット31が遮光の状態で通行人が検知されている状態が、検知状態に相当する。他方、光素子セット31が透光の状態は、発光素子32が発した光が、通行人やその他の物体で遮られず、受光素子33によって受けられている状態であり、換言すれば通行人又は物体が検知されていない状態であり、非検知状態に相当する。光素子セット31は、発光素子32が第1筐体11及び第2筐体12のいずれか一方に取り付けられ、受光素子33が第1筐体11及び第2筐体12のうちの発光素子32が取り付けられていない方に取り付けられることで、筐体10に設けられている。
【0027】
光素子セット31を構成する発光素子32及び受光素子33は、本実施の形態では、それぞれ、第1筐体11又は第2筐体12の内側の側面の上部に設けられている。光素子セット31は、通路18が延びる方向に適宜の間隔をあけて複数が配列されている。光素子セット31について、図1(A)では、図が乱雑になることを回避するために、最も入場側E1の1つだけを示しているが、実際には複数が配列されている。光素子セット31は、典型的には、通路18が延びる方向に沿って水平に延びる仮想直線上に発光素子32及び受光素子33が位置するように、筐体10に配列されている。光素子セット31を配置する間隔は、通行人が通路18を通行中に1つも遮光が無い状態が現れないように、標準的な成人の胴体の幅を勘案して決定するとよい。光素子セット31は、典型的には通路18が延びる方向に等間隔で配列されており、本実施の形態では100mm間隔で18セットが配列されている。この100mmという間隔は、比較的小柄な女性のヤングアダルト(ティーンエイジャー)の腹部厚径(腰部上部の腹面と背面との間の厚さ)の最小値が159mmであるというデータを参照して決定している。光素子セット31を100mm間隔で配列すると、通行人が通路18を通行中に1つも遮光が無い状態が出現することをほとんど回避することができる。通路18が延びる方向に複数が配列された光素子セット31は、例えば第1筐体11に配置されるのがすべて発光素子32であることとしてもよいが、第1筐体11に発光素子32と受光素子33が交互に配置されることとしてもよい。あるいは、第1筐体11に主として配置される発光素子32の所定の数ごとに受光素子33が配置されることとしてもよい。
【0028】
ゲート装置1は、センサ30の他に、扉保護センサ(不図示)や幼児検知センサ(不図示)等を、第1筐体11及び/又は第2筐体12に設けてもよい。扉保護センサは、入場用扉15及び/又は退場用扉16の近傍に設けられ、入場用扉15及び/又は退場用扉16の可動範囲における障害物を検知するものであってもよい。扉保護センサが検知する障害物の例として、大人に追従する幼児、キャリーバッグ等が挙げられる。幼児検知センサは、例えば身長が120cm未満の通行人を検知するものであってもよい。このような幼児検知センサの例として、光素子セット31と同様の構成のセンサを、センサ30よりも高い位置であってここでの例では床から120cmの高さに設置したものを挙げることができる。この場合、センサ30が遮光になっているが幼児検知センサが遮光になっていない場合に、通行人が身長120cm未満であると判断することができる。
【0029】
制御装置50は、ゲート装置1の動作を制御する機器である。制御装置50は、本実施の形態では第1筐体11の内部に収容されているが、第2筐体12の内部に収容されていてもよく、第1筐体11及び第2筐体12の外に取り付けられ又はこれらから離れた場所に設けられていてもよい。制御装置50は、入場用扉15及び退場用扉16それぞれの駆動装置(不図示)と制御信号線(有線又は無線。以下同じ。)で接続されており、入場用扉15及び退場用扉16のそれぞれを開位置と閉位置との間で移動させることができるように構成されている。また、制御装置50は、認証器21と制御信号線で接続されており、認証器21の判定結果を信号として受信することができるように構成されている。また、制御装置50は、案内器25と制御信号線で接続されており、案内器25に所定の案内動作(例えば、ディスプレイ表示、音声出力、色表示等)をさせることができるように構成されている。また、制御装置50は、取得部51を有している。取得部51は、センサ30と制御信号線で接続されており、各光素子セット31について、個別に、透光の状態にあるか遮光の状態にあるかを信号として受信(取得)することができるように構成されている。また、制御装置50は、ゲート装置1に扉保護センサ(不図示)や幼児検知センサ(不図示)等が設けられている場合は、これらのセンサからも所定の状態を信号として受信することができるように構成されている。また、制御装置50は、判断部52を有している。判断部52は、センサ30からの信号に基づいて、通行人の有無や、通行人の付属物の有無を判定するように構成されている。この判定は、後述する、自己分離、自己分離昇格、及び所定の範囲を含む。なお、取得部51及び判断部52は、本実施の形態では説明の便宜上機能で区別して表しているものである。取得部51及び判断部52は、典型的には制御装置50内に渾然一体に構成されているが、取得部51及び/又は判断部52が制御装置50から物理的に分かれて構成されていてもよい。
【0030】
次に図2図1と併せて参照して、ゲート装置1の作用を説明する。図2は、各光素子セット31について時間経過に伴う状態の変化を示すマトリックスの図である。図2中、横方向の並びは第1筐体11及び第2筐体12に配列された光素子セット31を表し、入場側E1から退場側E2の方向に、第1番から順に番号を付与している。換言すれば、第1番の光素子セット31が最も入場側E1に配置されたものであり、本実施の形態では第18番の光素子セット31が最も退場側E2に配置されたものである。図2中、縦方向の並びは、上から下に向けて、時間経過を示している。なお、図2中の縦方向の並びは、時間経過の順序を示してはいるが、説明の便宜上一部修正しており、升目の数が経過時間に比例するものではない。図2に示すマトリックスにおいて、ブランクは光素子セット31が透光の状態を示し、X印は光素子セット31が遮光の状態を示す。この透光及び遮光の状態をセンサ30が制御装置50の取得部51に信号として送信する際は、透光を「0」、遮光を「1」で表すデジタル信号であってもよい。図2に示すマトリックスは、一人の通行人が入場側E1から退場側E2に移動したときの各光素子セット31の状態の例を示している。以下の説明において、ゲート装置1の構成に言及しているときは、適宜図1を参照することとする。
【0031】
ゲート装置1の作動中、通路18の中に通行人も障害物も存在しない場合、各光素子セット31はすべて透光の状態にあり(例えば図2中の最上段の期間を参照)、典型的には入場用扉15及び退場用扉16の両方共開になっている。この状態で、通行人が入場側E1から通路18に進入すると、通行人が第1番目の光素子セット31に到達したときに、この光素子セット31の発光素子32と受光素子33とを結ぶ光を遮り、遮光を検知する(図2中の上から2段目の期間を参照)。通行人がさらに退場側E2へ進むと、第1番目の光素子セット31に加えて、第2番目の光素子セット31の光も遮って、遮光を検知する(図2中の上から3段目の期間を参照)。同じ要領で、通行人が、一定の速度で退場側E2に進んでいくと、時間の経過と共に(期間が下に行くにつれて)遮光となる光素子セット31が退場側E2に移動していく。図2に示す例では、連続する光素子セット31の4個分で一人の通行人を検知する大きさの通行人が通過したといえる。図2に示す例では、通行人が、19段目の期間において最も退場側E2の光素子セット31に到達しており、23段目の期間において通路18から完全に出た状態になっている。制御装置50は、光素子セット31が透光か遮光かの信号をセンサ30から取得部51において適時に受信して、判断部52において通行人の位置を判断している。
【0032】
上述のように、ゲート装置1を通過している通行人をセンサ30で検知している際、本実施の形態では、通行人が認証器21の付近まで近づいたら、認証器21が通行人の生体データを読み取る。認証器21は、通路18を通過している通行人の生体データを取得したら、内部ストレージ又は外部のサーバに記憶されている通行が許可された人の生体データと照合して、通路18を通過中の通行人の通行を許可するか否かを判断する。認証器21は、当該通行人の通行を許可する判断をしたら、制御装置50にその旨の信号を送信する。制御装置50は、通行を許可する旨の信号を受信したら、入場用扉15を開にするように入場用扉15の駆動装置(不図示)を作動させる。このとき、入場用扉15が既に開になっている場合は、その開の状態を維持すればよい。他方、認証器21は、当該通行人の通行を許可しない判断をしたら、制御装置50にその旨の信号を送信する。制御装置50は、通行を許可しない旨の信号を受信したら、又は通行人が通路内の所定の位置に到達しても通行を許可する旨の信号を受信しない場合に、入場用扉15を閉にするように入場用扉15の駆動装置(不図示)を作動させる。このとき、入場用扉15が既に閉になっている場合は、その閉の状態を維持すればよい。制御装置50は、入場用扉15を閉にする指令を出したら、併せて、案内器25に、通行が許可されていないため通行の要否を再確認する旨の案内をさせる指令を出すようにするとよい。図2に示す例は、通行人が認証器21によって通過を許可すると判断されたため、入場用扉15が閉になることなく、通行人が一定の速度で通路18を通過したことを示している。
【0033】
次に図3を参照して、通行人の別の動作パターンにおけるセンサ30の検知の状態を説明する。図3は、各光素子セット31について時間経過に伴う状態の変化の別のパターンを示すマトリックスの図である。図3における縦横方向に並ぶ項目及び関係は、図2と同様である。図3に示すパターンでは、上から5段目の期間までは、図2に示すパターンと同様の検知結果となっている。そして、6段目の期間において、第1番目から第5番目までの光素子セット31が5個連続で遮光となっている。この結果の原因として、通行人が図2に示す例よりも大柄であるか、通行人に付随する荷物等を検知したこと等が挙げられる。その後、8段目の期間において、第2、4-5、7番目の光素子セット31が遮光となり、これらの間にある第3、6番目の光素子セット31は透光となっている。このように、遮光の光素子セット31の間に透光の光素子セット31が挟まれている状態を「自己分離」ということとする。自己分離が出現する原因の1つとして、通行人が保持する手荷物が通行人から離れた場合や、通路18に進入する通行人は一人であることを前提にしていたが実際は複数の通行人が存在していた場合等が考えられる。自己分離が生じたときに、例えば付属の荷物を検知すること等による一人の通行人に起因するものであるか、複数の通行人が存在することに起因するものであるかは、通行人の不正な通行を予防する観点から重要である。そこで、本実施の形態では、自己分離が生じた原因が複数の通行人が存在することに起因するものであるか否かを、遮光の光素子セット31の2つに挟まれた透光の光素子セット31の範囲が所定の範囲にあるか否かで、判断することとしている。
【0034】
図4は、所定の範囲を説明する概念図である。所定の範囲は、以下の要領で決定することとしている。まず、通路18の上に衣服を着用した状態で直立して静止した標準的な成人61を想定する。この標準的な成人は、通路18が延びる方向を向いている、すなわち退場側E2又は入場側E1の方向を向いていることとする。次に、側面視において(第1筐体11の内面に正対して見た場合において)、複数の光素子セット31を結ぶ仮想直線62を想定する。次に、上記の標準的な成人61が手を開いて腕を伸ばしたまま振り上げたときに指先が描く軌跡63を想定する。この軌跡は、典型的には、標準的な成人61の肩の位置を中心とする円弧を描くことになる。そして、側面視において、仮想直線62と軌跡63とが交わる点と、標準的な成人61の胴体との距離を、一人の通行人及びその付属物が届く範囲(以下「単独可到距離L」という。)とする。この単独可到距離Lを超える範囲を、所定の範囲と規定する。単独可到距離Lの、標準的な成人61の胴体の側の基点は、典型的には当該胴体の表面である。単独可到距離Lをこのように決定することは、一人の通行人がその付属物(荷物等)を移動させることができる範囲を超えた位置に別の遮光の光素子セット31を検知したことを意味するので、複数の通行人の存在を推定することができる。単独可到距離L、ひいては所定の範囲は、代用として、透光の光素子セット31の数及び/又は具体的な数値(距離)が、あらかじめ制御装置50の判断部52に記憶されていてもよい。本実施の形態では、光素子セット31が100mm間隔で配列されていることをふまえて、単独可到距離Lを、5個の連続した透光の光素子セット31の距離としている。換言すれば、遮光の光素子セット31の間に5個以上の連続した透光の光素子セット31が存在する場合に、複数の通行人の存在を推定することとしている。この連続した透光の光素子セット31の5個以上を、所定の範囲に対応する光素子セット31の数として、あらかじめ制御装置50の判断部52に記憶していてもよい。このように、自己分離が発生した原因が、複数の通行人の存在を推定することとした場合を、検知した遮光が付属物から別の通行人に昇格したと捉えて、「自己分離昇格」ということとする。本実施の形態では、単独可到距離Lを、5個の連続した透光の光素子セット31の距離としているが、光素子セット31の設置間隔に応じて、連続した透光の光素子セット31の数を適宜調節するとよい。本実施の形態において、単独可到距離Lは、別の観点から規定すると、420mm~480mmと設定することも可能である。なお、図4から分かるように、単独可到距離Lは、光素子セット31が配置される高さ(仮想直線62の高さ)によって変化し得る。単独可到距離Lは、光素子セット31が配置される高さが、標準的な成人の肩の高さの場合を最大として、その高さよりも上下に移動するにつれて、正弦関数的に減少する。
【0035】
再び図3に戻って、図3に示すパターンの説明を続ける。8段目の期間において、自己分離が生じているが、遮光の光素子セット31の間で透光になっている第3、6番目の光素子セット31は、それぞれ1個の光素子セット31なので、本実施の形態では、自己分離ではあるが、自己分離昇格ではない。連続した遮光の光素子セット31をまとめて1箇所の遮光と取り扱うこととすれば、この8段目の期間では3箇所の遮光が生じている。本実施の形態では、初めて複数箇所の遮光が生じたとき、(1)遮光範囲(連続した遮光の光素子セット31の数)の大きい箇所、(2)遮光範囲が同じ場合は進行方向の先頭の側に存在する箇所、の優先順位で、遮光の光素子セット31の移動を追跡することとしている。ここでの優先順位は、通行人であることを推定する優先順位であり、優先順位の下位の箇所の遮光を追跡対象から除外するものではない。これを図3に示すパターンの8段目の期間に適用して、第4-5番目の光素子セット31の遮光を優先的に(通行人と推定して)追跡しつつ、第2番目の光素子セット31の遮光及び第7番目の光素子セット31の遮光も継続して追跡する。
【0036】
次に9段目の期間において、第2、4、7-8番目の光素子セット31が遮光となり、これらの間にある第3、5-6番目の光素子セット31は透光となっている。ここでも、自己分離昇格はなく、自己分離にとどまっている。ここで、先に8段目の期間において第4-5番目の光素子セット31の遮光を優先的に(通行人と推定して)追跡したため、この9段目の期間においてもその流れを汲んで、第4番目の光素子セット31の遮光を優先的に追跡することとしている。次に、10段目の期間において、第2、8-9番目の光素子セット31が遮光となり、これらの間にある第3-7番目の光素子セット31は透光となっている。この10段目の期間では、9段目の期間で遮光であった第4番目の光素子セット31が透光に変化したため、改めて、初めて複数箇所の遮光が生じたときの優先順位の確認を行い、遮光数の多い第8-9の光素子セット31の遮光を暫定的に通行人であると推定して、追跡を継続する。さらに、この10段目の期間では、第2番目の光素子セット31の遮光と第8-9番目の光素子セット31の遮光との間に、5個の連続した透光の光素子セット31(第3-7番目の光素子セット31)が存在するので、制御装置50の判断部52は自己分離昇格であると判断する。これにより、判断部52は、第2番目の光素子セット31の遮光と、第8-9番目の光素子セット31の遮光との両方を、通行人であると推定する。換言すれば、判断部52は、10段目の期間において、複数の通行人が存在することを推定する。このとき、制御装置50は、不正な通行人が存在する可能性に備えて、入場用扉15及び/又は案内器25の作動の準備をするとよい。次に11段目の期間になると、第9-10番目の光素子セット31だけが遮光となり、自己分離の状態が解消している。ここで、判断部52は、前回の期間で推定した複数の通行人が存在する可能性を消去する。その後、遮光の光素子セット31は、期間の経過に従って、2個の連続の状態のまま退場側E2に向かって移行している。図3に示す例では、最終的に、通行人が、19段目の期間において最も退場側E2の光素子セット31に到達しており、21段目の期間において通路18から完全に出た状態になっている。この間、11段目の期間から21段目の期間までにおいて、自己分離が生じていないことから、判断部52は、一人の通行人による通路18の通過と判断し、制御装置50は上述した通常のゲート装置1の作動を行うこととなる。
【0037】
図5を参照して、通行人のさらに別の動作パターンにおけるセンサ30の検知の状態を説明する。図5は、各光素子セット31について時間経過に伴う状態の変化のさらに別のパターンを示すマトリックスの図である。図5における縦横方向に並ぶ項目及び関係は、図2及び図3と同様である。図5に示すパターンでは、上から5段目の期間までは、図2及び図3に示すパターンと同様の検知結果となっており、上から6段目の期間は、図3に示すパターンと同様の検知結果となっている。そして、7段目の期間において、第1-3、5-6番目の光素子セット31が遮光となり、これらの間にある第4番目の光素子セット31は透光となっている。つまり、図5に示す例では、7段目の期間において、自己分離が生じている。ただし、7段目の期間では、自己分離昇格にはなっていない。この7段目の期間では、第1-3番目の光素子セット31の遮光の方が、第5-6番目の光素子セット31の遮光よりも遮光範囲が大きいので、判断部52は、第1-3番目の光素子セット31の遮光を優先的に(通行人と推定して)追跡することになる。その後、8段目以降の期間に進むにつれて、第1-3番目の光素子セット31の遮光は変わらず、進行方向の先頭の側の2個の連続した遮光の光素子セット31は2個連続の遮光の状態のまま退場側E2に向かって移行している。
【0038】
11段目の期間になると、第1-3番目の光素子セット31が遮光の状態であることは変わらず、進行方向の先頭の側は第9-10番目の光素子セット31が遮光となり、これらの間にある第4-8番目の光素子セット31は透光となっている。ここで、第1-3番目の光素子セット31の遮光と第9-10番目の光素子セット31の遮光との間に、5個の連続した透光の光素子セット31(第4-8番目の光素子セット31)が存在することになったので、判断部52は自己分離昇格であると判断する。これにより、判断部52は、第1-3番目の光素子セット31の遮光と、第9-10番目の光素子セット31の遮光との両方を通行人であると推定し、その結果、複数の通行人が存在することを推定する。その後、期間の経過につれて、第1-3番目の光素子セット31の遮光は変わらない一方で、進行方向の先頭の側の2個の連続した遮光の光素子セット31は2個連続の遮光の状態のまま退場側E2に向かって移行している。この間、制御装置50は、必要に応じて、それぞれの通行人に対して、認証器21による認証処理を行わせ、その結果をふまえて必要に応じて入場用扉15及び/又は案内器25の作動を行わせる。図5に示す例では、進行方向の先頭の側の2個の連続した遮光の光素子セット31は、一定の速度で進行したまま22段目の期間で通路18から出たことが検知されている。このことにより、一人目の通行人(第1の通行人)に対して、正常に通行人の認証が行われて通路18の通過が許可されたものと推定される。また、図5に示す例では、第1-3番目の光素子セット31の遮光は、7段目以降21段目まで状態が変わらず、以降入場側E1に遮光の範囲が小さくなった後、24段目で遮光が消失している。このことにより、別の通行人(第2の通行人)は、しばらく入場側E1付近に滞在した後、入場側E1から通路18を出たものと推定される。
【0039】
以上で説明したように、本実施の形態に係る制御装置50を含むゲート装置1では、光素子セット31の遮光の間の透光の範囲が所定の範囲になったときに、当初検知していた通行人とは別の通行人が存在すると制御装置50の判断部52が判断している。このため、当初一人として検知した通行人を、その後の状況によって複数の通行人が存在する可能性があると認識して追跡することができ、不正な通行人の進入の可能性を把握することができる。
【0040】
以上の説明では、認証器21が生体認証装置であるとしたが、生体認証以外の認証手段を用いてもよい。生体認証以外の認証手段として、例えばICカードに記録された情報を読み取ると共にICカードに対して情報を書き込むICカードリーダライタや、二次元バーコードやQRコード(登録商標)等を読み取ることで認証を行う各種コードのリーダで構成されていてもよい。
【0041】
以上の説明では、入場用扉15及び退場用扉16が別々に設けられていて共に第1筐体11に取り付けられているとした。しかしながら、入場用及び退場用で共用の1つの扉を第1筐体11及び/又は第2筐体12に取り付けて、その扉が通路18の上を180°回転するように構成してもよい。このとき、当該1つの扉を、第1筐体11及び/又は第2筐体12の、通路18が延びる方向の中央に取り付けてもよい。なお、扉の数や取り付け方法は、ここに示した例に限定されるものではない。
【0042】
以上の説明では、発光素子32が第1筐体11及び第2筐体12のいずれか一方に取り付けられ、受光素子33が第1筐体11及び第2筐体12のうちの発光素子32が取り付けられていない方に取り付けられているとした。しかしながら、発光素子32及び受光素子33の両方が第1筐体11及び第2筐体12のいずれか一方に取り付けられ、発光素子32及び受光素子33が取り付けられていない方に反射板等の光を反射する部材を取り付けることとしてもよい。
【0043】
以上の説明では、通行人の管理区域内への入場時の状況(通行人が入場側E1から通路18に進入して退場側E2で通路18から出る状況)の例を説明したが、管理区域からの退場時の場合も同様に適用することができる。退場時の場合、通行人は退場側E2から通路18に進入し、最初に第18番目の光素子セット31を遮光し、以降、遮光する光素子セット31が入場側E1に移動していく。通路18を通行する通行人が退場を許可された者でないことが認証器21に判断された場合、制御装置50は、退場用扉16を閉にするように退場用扉16も駆動装置(不図示)を作動させればよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ゲート装置
10 筐体
11 第1筐体(第1の筐体)
12 第2筐体(第2の筐体)
18 通路
30 センサ(検知センサ)
31 光素子セット
32 発光素子
33 受光素子
50 制御装置
51 取得部
52 判断部
61 標準的な成人
62 仮想直線
63 軌跡
図1
図2
図3
図4
図5