(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024103376
(43)【公開日】2024-08-01
(54)【発明の名称】通信装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
H04L 45/302 20220101AFI20240725BHJP
【FI】
H04L45/302
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007664
(22)【出願日】2023-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】木原 一
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 孝芳
(72)【発明者】
【氏名】中野 亮
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA11
5K030LB08
5K030MA04
5K030MB03
5K030MB04
5K030MB09
5K030MC07
(57)【要約】
【課題】多様な通信要件を満たしつつ、通信回線網に異常が発生した場合でもデータ送信を継続可能な通信装置および通信方法を提供する。
【解決手段】通信装置100において、振分部107は、複数の通信回線網110のうち少なくとも一つ以上の通信回線網110において通信品質の低下が検出された場合に、当該通信回線網110に対する通信特性の評価と、少なくとも一つ以上の他の通信回線網110に対する通信特性の評価結果との比較に基づき、同一グループの通信回線網110の中で機器情報を送信する通信回線網110を変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の機器に関する機器情報を複数の通信回線網に送信する通信装置であって、
複数の前記通信回線網のそれぞれについて、通信帯域、接続ネットワーク種別およびセキュリティ性の少なくともいずれか一つを含む通信特性の評価を行い、前記通信特性の評価結果を前記通信回線網毎に比較する評価部と、
一定期間内での前記機器情報の送信について、全ての前記通信回線網の通信品質を監視する監視部と、
予めグループ分けされた複数の前記通信回線網の少なくとも一つに前記機器情報を送信する振分部と、を備え、
前記振分部は、
複数の前記通信回線網のうち少なくとも一つ以上の通信回線網において前記通信品質の低下が検出された場合に、当該通信回線網に対する前記通信特性の評価結果と、少なくとも一つ以上の他の通信回線網に対する前記通信特性の評価結果との比較に基づき、同一グループの前記通信回線網の中で前記機器情報を送信する通信回線網を変更する、
通信装置。
【請求項2】
前記通信回線網はモバイル通信網を含む、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記評価部は、複数の前記通信回線網の通信帯域同士を比較してその大小を評価し、
前記振分部は、前記監視部により前記通信品質の低下が検出された通信回線網の通信帯域が変更後の通信回線網の通信帯域より大きい場合に、変更後の通信回線網の通信帯域を制限する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記評価部は、複数の前記通信回線網の通信帯域同士を比較してその大小を評価し、
前記振分部は、前記監視部により前記通信品質の低下が検出された通信回線網の通信帯域が他の通信回線網の通信帯域より大きい場合に、予め設定された通知内容を予め設定された宛先へと送信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
複数の前記通信回線網は、インターネット網に接続可能な通信回線網のグループである第1のグループと、インターネット網に接続不可能な通信回線網のグループである第2のグループとにグループ分けされており、
前記監視部は、前記第2のグループに属する全ての前記通信回線網の通信途絶を検知した場合に、前記第1のグループに属する前記通信回線網のいずれかを経由して、前記第2のグループの通信途絶を通知する情報を予め設定された宛先へと送信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記監視部が監視する前記通信回線網の通信品質は、前記通信回線網における通信失敗回数を含み、
前記振分部は、複数の前記通信回線網のうち少なくとも一つ以上の通信回線網における通信失敗回数が所定の閾値を超過した場合に、当該通信回線網において前記通信品質の低下が検出されたと判断する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記監視部が監視する前記通信回線網の通信品質は、前記通信回線網における一定期間内の通信量を含み、
前記振分部は、複数の前記通信回線網のうち少なくとも一つ以上の通信回線網における前記一定期間内の通信量が所定の閾値を超過した場合に、当該通信回線網において前記通信品質の低下が検出されたと判断する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
1以上の機器に関する機器情報を複数の通信回線網に送信する通信方法であって、
複数の前記通信回線網のそれぞれについて、通信帯域、接続ネットワーク種別およびセキュリティ性の少なくともいずれか一つを含む通信特性の評価を行い、
一定期間内での前記機器情報の送信について、全ての前記通信回線網の通信品質を監視し、
予めグループ分けされた複数の前記通信回線網の少なくとも一つに前記機器情報を送信し、
複数の前記通信回線網のうち少なくとも一つ以上の通信回線網において前記通信品質の低下が検出された場合に、当該通信回線網に対する前記評価の結果と、少なくとも一つ以上の他の通信回線網に対する前記評価の結果との比較を行い、
前記比較の結果に基づき、同一グループの前記通信回線網の中で前記機器情報を送信する通信回線網を変更する、
通信方法。
【請求項9】
複数の前記通信回線網の通信帯域同士を比較してその大小を評価し、
前記通信品質の低下が検出された通信回線網の通信帯域が他の通信回線網の通信帯域より大きい場合に、変更後の通信回線網の通信帯域を制限する、
請求項8に記載の通信方法。
【請求項10】
複数の前記通信回線網の通信帯域同士を比較してその大小を評価し、
前記通信品質の低下が検出された通信回線網の通信帯域が他の通信回線網の通信帯域より大きい場合に、予め設定された通知内容を予め設定された宛先へと送信する、
請求項8に記載の通信方法。
【請求項11】
複数の前記通信回線網は、インターネット網に接続可能な通信回線網のグループである第1のグループと、インターネット網に接続不可能な通信回線網のグループである第2のグループとにグループ分けされており、
前記第2のグループに属する全ての前記通信回線網の通信途絶が前記監視部により検出された場合に、前記第1のグループに属する前記通信回線網のいずれかを経由して、前記第2のグループの通信途絶を通知する情報を予め設定された宛先へと送信する、
請求項8に記載の通信方法。
【請求項12】
監視対象とする前記通信回線網の通信品質は、前記通信回線網における通信失敗回数を含み、
複数の前記通信回線網のうち少なくとも一つ以上の通信回線網における通信失敗回数が所定の閾値を超過した場合に、当該通信回線網において前記通信品質の低下が検出されたと判断する、
請求項8に記載の通信方法。
【請求項13】
監視対象とする前記通信回線網の通信品質は、前記通信回線網における一定期間内の通信量を含み、
複数の前記通信回線網のうち少なくとも一つ以上の通信回線網における前記一定期間内の通信量が所定の閾値を超過した場合に、当該通信回線網において前記通信品質の低下が検出されたと判断する、
請求項8に記載の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取得したデータを無線通信により他の装置へ送信する通信装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業分野において、機器の稼働率向上や遠隔地からの機器状態の把握などを目的とする技術である産業IoT(Internet of Things)の導入が進んでいる。産業IoTでは、様々な産業機器から取得したデータを無線通信を介してサーバへ集約し、サーバ側でデータを参照・利活用する事で、産業機器の予兆検知や状態監視に役立てることができる。
【0003】
産業IoTの導入にあたっては一般に、産業機器は通信機能を持たないため、通信機能を持つ通信装置が産業機器と接続されて使用される場合が多い。本用法において通信装置は、例えばRS232、RS485などの所定の通信規格を介して産業機器から稼働情報などのデータを取得し、取得したデータを周期的にサーバへと送信する。サーバは通信装置から受信したデータを参照することで、産業機器の稼働状態把握や、障害の発生検知を行うことができる。
【0004】
また、近年ではLTE/5G通信の活用が広がり、複数のSIMカードを搭載するデュアルSIMや、1枚のSIMカードで複数のネットワークに接続するマルチAPN等の方法で、複数の通信経路に接続可能な通信装置も普及し始めている。複数の通信経路の採用では、単純に経路の冗長化をするだけでなく、アプリケーション毎に異なる要件を満たす様に、故意に通信経路を分ける場合もある。
【0005】
特に、産業IoTに活用される通信装置の一種である産業向けモバイルルータでは、現場機器からデータ収集などに用いる低容量な産業用途通信と、映像等を伝送する高容量な情報伝送とが混在するため、転送先となる通信経路に求める要件が異なる場合がある。このことから、複数の通信要件を満たしつつデータ伝送を行う必要があり、通信のスケジューリングや、複数経路を用いた通信により、これを実現する必要がある。
【0006】
上記に関して、特許文献1の技術が知られている。特許文献1には、複数の異なる満たすべき通信要件を持つデータに対して、制御系データおよび情報系データに加えて制御情報系データをそれぞれの要求を満たしつつ伝送させるための技術が開示されている。本技術は、通信要件の異なる3種類のデータを事前に設定された通信スケジュールに従い、転送方式を切り替えることで各データの通信要件を満たすものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の技術は、通信スケジュールと転送方式のみを切り替えるものであるため、接続する回線やネットワーク自体が通信途絶した場合には、通信要件が満たされないことがある。有線ネットワークに比べ、産業IoTで活用される無線通信においては、通信途絶はしばしば起こり得る。特にモバイル通信網に関しては、大規模な通信障害が発生することもあり、障害が発生している期間中は通信要件を満足することができないおそれが生じる。
【0009】
また、特許文献1の技術では、通信要件として周期送信、到達時間、その他のデータが挙げられているが、実際には通信網自体の特性である、回線種類(インターネット接続か閉域網接続か)や、セキュリティ性能(Virtual Private Networkの適用有無)、通信帯域などを考慮して通信経路を選択する必要がある。すなわち、通信経路の回線種類が異なると、通信パケットが到達できないため通信自体が不可能となる。また、重要なデータをセキュリティ性能が落ちる回線を介して通信することはセキュリティ上許容されない。さらに、十分な通信帯域が確保されない通信経路ではデータの到達時間に影響を及ぼし、通信が詰まることでパケットロスを引き起こす原因にもなる。一方、十分な通信帯域が確保されている通信経路では、通信装置に十分な処理性能があり、通信経路全体の通信遅延が到達時間より短いという前提のもとで、常に通信要件が満たされることが予想される。したがって、多様な通信要件を満足できない場合が存在する。
【0010】
以上説明したように、特許文献1に記載の技術では、通信回線網に異常が発生した場合にはデータ送信を継続するのが困難であり、また、多様な通信要件を満たすには十分ではないという課題があった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、多様な通信要件を満たしつつ、通信回線網に異常が発生した場合でもデータ送信を継続可能な通信装置および通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による通信装置は、1以上の機器に関する機器情報を複数の通信回線網に送信するものであって、複数の前記通信回線網のそれぞれについて、通信帯域、接続ネットワーク種別およびセキュリティ性の少なくともいずれか一つを含む通信特性の評価を行い、前記通信特性の評価結果を前記通信回線網毎に比較する評価部と、一定期間内での前記機器情報の送信について、全ての前記通信回線網の通信品質を監視する監視部と、予めグループ分けされた複数の前記通信回線網の少なくとも一つに前記機器情報を送信する振分部と、を備え、前記振分部は、複数の前記通信回線網のうち少なくとも一つ以上の通信回線網において前記通信品質の低下が検出された場合に、当該通信回線網に対する前記通信特性の評価結果と、少なくとも一つ以上の他の通信回線網に対する前記通信特性の評価結果との比較に基づき、同一グループの前記通信回線網の中で前記機器情報を送信する通信回線網を変更する。
本発明による通信方法は、1以上の機器に関する機器情報を複数の通信回線網に送信するものであって、複数の前記通信回線網のそれぞれについて、通信帯域、接続ネットワーク種別およびセキュリティ性の少なくともいずれか一つを含む通信特性の評価を行い、一定期間内での前記機器情報の送信について、全ての前記通信回線網の通信品質を監視し、予めグループ分けされた複数の前記通信回線網の少なくとも一つに前記機器情報を送信し、複数の前記通信回線網のうち少なくとも一つ以上の通信回線網において前記通信品質の低下が検出された場合に、当該通信回線網に対する前記評価の結果と、少なくとも一つ以上の他の通信回線網に対する前記評価の結果との比較を行い、前記比較の結果に基づき、同一グループの前記通信回線網の中で前記機器情報を送信する通信回線網を変更する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多様な通信要件を満たしつつ、通信回線網に異常が発生した場合でもデータ送信を継続可能な通信装置および通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る通信装置の全体構成およびこれに関係する要素を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る通信装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る各種設定ファイルの例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る各種設定ファイル及び各種リストの例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る各種設定画面の例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る評価部における振分けリスト出力処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る振分部における機器情報収集処理を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る監視部における失敗通知受信処理を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る振分部における宛先回線網の振分け処理を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る監視部における失敗回数リセット処理を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る通信装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る各種設定ファイル及び各種リストの例を示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る通知内容設定画面の例を示す図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る回線評価・グループ設定画面の例を示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る評価部における振分けリスト出力処理を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の第2の実施形態に係る振分部における宛先回線網の振分け処理を示すフローチャートである。
【
図17】本発明の第3の実施形態に係る回線グループ設定ファイルの例を示す図である。
【
図18】本発明の第3の実施形態に係る回線評価・グループ設定画面の例を示す図である。
【
図19】本発明の第3の実施形態に係る監視部における失敗通知受信処理を示すフローチャートである。
【
図20】本発明の第4の実施形態に係る通信装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図21】本発明の第4の実施形態に係る監視設定ファイル及び通信量監視リストの例を示す図である。
【
図22】本発明の第4の実施形態に係る監視設定画面の例を示す図である。
【
図23】本発明の第4の実施形態に係る監視部における通信量監視処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0016】
以下に説明する発明の構成において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信装置の全体構成およびこれに関係する要素を示すブロック図である。
図1において、通信装置100は複数の通信回線網110を介してサーバ111やクラウド112と接続される。また、通信装置100はネットワーク130を介して複数の産業機器120と接続される。
【0018】
ネットワーク130は、例えばIPネットワークもしくは産業用ネットワークであり、通信装置100と産業機器120を接続する。産業機器120は、稼働情報や設定情報を有する空気圧縮機などの産業機器である。産業機器120から取得可能なデータである稼働情報121や設定情報122は、産業機器120に関するModbus等の通信規格に準拠した機器情報として通信装置100に送信される。
【0019】
通信回線網110は、WAN(Wide Area Network)であり、その先に存在するサーバ111やクラウド112への通信経路として利用される。通信回線網110は、例えば公衆回線網やモバイル通信網などを含む。通信装置100に複数の通信回線網110が接続される際、通信回線網110は他の通信回線網110と同一の回線を含む場合もあれば、互いの構成要素が独立しており完全に通信できない通信回線網110の組も存在する。
【0020】
サーバ111やクラウド112は、通信装置100が産業機器120から取得した機器情報を送信する送信先であり、例えば産業機器120の機器情報を可視化する機能を持つサーバ等である。
【0021】
通信装置100は、複数の通信IF(InterFace)101、ローカル通信部102、UI(User Interface)生成部103、設定ファイル104、評価部105、監視部106、振分部107を備えて構成される。
【0022】
ローカル通信部102は、通信装置100のデータ収集対象となる産業機器120から、産業機器120の機器情報を収集するデータ収集部として構成される。
【0023】
複数の通信IF101は、通信回線網110を介して機器情報の送受信を行うゲートウェイ用通信部としてそれぞれ構成される。ここで通信IF101は物理的なIFのみを指さず、論理的または仮想的なインターフェースも含む。
【0024】
UI生成部103は、通信装置100のユーザに対して各種設定画面を生成して提供する。設定画面で保存された設定内容は、設定ファイル104に反映される。設定ファイル104はUI生成部103により生成され、通信装置100の構成要素によって参照される、各種処理に関わる設定が記載されるファイル群である。
【0025】
評価部105は、設定ファイル104に基づき、各通信回線網110の通信特性の評価を行い、その評価結果に基づいて通信回線網110をグループ分けする。このグループ分けの結果に基づき、いずれかの通信回線網110で通信が途絶した際などに、他の通信回線網110のうちどれに優先的に転送するべきかを決定するリストを生成し、設定ファイル104に反映する。
【0026】
監視部106は、通信IF101が行う一定期間内での機器情報の送信について、全ての通信回線網110の通信品質(通信失敗回数、通信遅延時間、誤り率等)を監視する。そして、設定ファイル104と各通信回線網110の通信品質の監視結果に基づき、通信が途絶または通信異常が発生した可能性が高い通信回線網110のリストを途絶回線リストとして保持する。
【0027】
振分部107は、設定ファイル104を参照し、評価部105による通信回線網110のグループ分けの結果に基づいて、特定の通信回線網110を経由先の通信回線網110として選択する。そして、ローカル通信部102を介して取得した産業機器120の機器情報を、特定の通信IF101および経由先に選択した通信回線網110を介して、サーバ111やクラウド112へと送信する。また、機器情報の送信にあたり、監視部106が保持する途絶回線リストを参照し、経由先となる通信回線網110が途絶回線リストに含まれるか否かを確認する。その結果、経由先の通信回線網110が途絶回線リストに含まれる場合には、評価部105による各通信回線網110の評価結果に基づいて、通信可能な別の通信回線網110へ経由先を変更する。
【0028】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る通信装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0029】
図2において、通信装置100はCPU(Central Processing Unit)201、主記憶装置202、WAN通信IF203、入出力IF204、補助記憶IF205、シリアル通信IF206、LAN通信IF207を備え、これら各部がバスにより結合された形態になっている。
【0030】
CPU201は、通信装置100の各部を制御し、主記憶装置202に必要なプログラムをロードして実行する。CPU201が所定のプログラムを実行することにより、
図1のUI生成部103、評価部105、監視部106、振分部107などが通信装置100において実現される。
【0031】
主記憶装置202は、通常、RAM(Random Access Memory)などの揮発メモリで構成される。主記憶装置202には、CPU201が実行するプログラム、及びCPU201が参照するデータが記憶される。
【0032】
補助記憶IF205は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を接続するためのインターフェースである。
【0033】
WAN通信IF203は、通信回線網110と接続するためのインターフェースである。WAN通信IF203は、複数の通信回線網110にそれぞれ対応して設けられる。このWAN通信IF203により、
図1の通信IF101が通信装置100において実現される。
【0034】
入出力IF204は、キーボードやマウスなどの入出力装置を接続するためのインターフェースである。
【0035】
シリアル通信IF206は、産業機器120とModbus-RTU(Remote Terminal Unit)などのシリアル通信を実施する場合に、産業機器120のシリアル通信IFと接続するインターフェースである。LAN通信IF207は、産業機器120とModbus-TCP(Transmission Control Protocol)などのLAN通信を実施する場合に、産業機器120のLAN通信IF207と接続するインターフェースである。シリアル通信IF206やLAN通信IF207により、
図1のローカル通信部102が通信装置100において実現される。
【0036】
補助記憶IF205に接続される補助記憶装置は、大容量の記憶容量を有しており、設定ファイル104や本実施例を実行するための各種プログラムが格納されている。
【0037】
設定ファイル104には、基本設定ファイル211、TCP通信設定ファイル212、シリアル通信設定ファイル213、収集設定ファイル214、回線設定ファイル215、回線評価設定ファイル216、回線グループ設定ファイル217が格納される。基本設定ファイル211は、監視部106や振分部107の処理に関わる基本的な設定の情報を記録するファイルである。TCP通信設定ファイル212は、産業機器120からModbus-TCP等の通信プロトコルを介して情報を収集する際に参照される、LAN通信IF207の通信に関わる設定を記録するファイルである。シリアル通信設定ファイル213は、産業機器120からModbus-RTU等のシリアル通信プロトコルを介して情報を収集する際に参照される、シリアル通信IF206の通信に関わる設定を記録するファイルである。収集設定ファイル214は、振分部107における産業機器120からの情報収集に関わる設定の情報を記録するファイルである。回線設定ファイル215は、通信回線網110の情報を記録するファイルである。回線評価設定ファイル216は、評価部105が通信回線網110の通信特性を評価する際に参照する、通信特性評価に関わる設定の情報を記録するファイルである。回線グループ設定ファイル217は、評価部105による通信特性の評価結果に基づいて複数の通信回線網110をグルーピングして管理するため、グループと各通信回線網110を紐づける情報を記録するファイルである。
【0038】
また、補助記憶装置には、回線評価プログラム221、振分けプログラム222、回線監視プログラム223がインストールされている。回線評価プログラム221、振分けプログラム222、回線監視プログラム223は、それぞれ評価部105、振分部107、監視部106の機能を実現するプログラムであり、CPU201によって実行される。
【0039】
その他、補助記憶装置には、処理の出力として生成される振分けリスト224、失敗回数記録リスト225が格納される。振分けリスト224は評価部105が生成する、通信回線網110毎に、通信が途絶した際に新たな振り分け先とするべき複数の通信回線を優先付けして記録するファイルである。失敗回数記録リスト225は監視部106が生成する、通信回線網110毎に通信失敗回数を記録するファイルである。
【0040】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る各種設定ファイルの例を示す図である。
【0041】
基本設定ファイル211は、振分部107や監視部106の処理における基本的な設定事項を記録したファイルである。基本設定ファイル211は、例えば
図3に示すように、データ送信インターバル211a、通信失敗回数の閾値211b、通信失敗回数リセットインターバル211cの項目を備えて構成される。データ送信インターバル211aは、振分部107が産業機器120からデータを収集して通信回線網110を介して外部へと送信する周期を秒単位で示す設定項目である。通信失敗回数の閾値211bは、監視部106が全ての通信回線網110に対して通信途絶と判断するまでの失敗回数を示す設定項目である。通信失敗回数リセットインターバル211cは、監視部106が蓄積した全ての通信回線網110に対して、通信途絶と見なしてから通信失敗回数をリセットし、通信途絶を解除するまでの時間を分単位で示す設定項目である。
【0042】
TCP通信設定ファイル212は、産業機器120からModbus-TCP等の通信プロトコルを介して情報を収集する際に参照される通信に関わる設定事項を記録したファイルである。TCP通信設定ファイル212は、例えば
図3に示すように、装置名212a、IPアドレス212b、ポート212c、プロトコル212dの項目を備えて構成される。装置名212aは、本設定の各行を一意に識別するユニークな名称である。IPアドレス212bは、LAN通信の宛先となるIPアドレスを示す。ポート212cは、LAN通信の宛先TCPポート番号を示す。プロトコル212dは、LAN通信に使用するプロトコルを示し、例えば「Modbus-TCP」などのプロトコル種類を示す情報を格納する。
【0043】
シリアル通信設定ファイル213は、産業機器120からModbus-RTU等のシリアル通信プロトコルを介して情報を収集する際に参照される通信に関わる設定事項を記録したファイルである。シリアル通信設定ファイル213は、例えば
図3に示すように、装置名213a、ボーレート213b、ビットサイズ213c、パリティ213d、ストップビット213e、プロトコル213fの項目を備えて構成される。装置名213aは、本設定の各行を一意に識別するユニークな名称である。ボーレート213bは、シリアル通信の通信速度(ボーレート)を示す。ビットサイズ213cは、シリアル通信におけるスタートビットからストップビットまでのビット長を示す。パリティ213dは、シリアル通信における誤り検出符号ビットの適用方式を示し、例えば「なし」、「偶数」、「奇数」などの情報を格納する。ストップビット213eは、シリアル通信におけるストップビットの長さを示す。プロトコル213fは、シリアル通信に使用するプロトコルを示し、例えば「Modbus-RTU」などのプロトコル種類を示す情報を格納する。
【0044】
収集設定ファイル214は、産業機器120から収集されるデータの詳細や収集データの送信先に関わる設定事項を記録したファイルである。収集設定ファイル214は、例えば
図3に示すように、対象装置214a、データ設定214b、宛先回線網214c、送信先214dの項目を備えて構成される。対象装置214aは、TCP通信設定ファイル212やシリアル通信設定ファイル213で指定された装置名212a、装置名213aを示す情報であり、これらの装置名で特定される設定を用いて産業機器120の機器情報を収集することを示す。データ設定214bは、収集する機器情報に含まれる各データの個別の設定項目であり、データ名、アドレス、データ長、データ型の項目を備えて構成される。データ名はデータを一意に識別するユニークな名称を示す。アドレスは産業機器120におけるデータの格納アドレスを示す。データ長はデータをワード単位(8Byte)の長さで示す。データ型はデータの型を示し、「int」、「float」などの型名称を格納する。宛先回線網214cは、産業機器120から収集した機器情報をサーバ111やクラウド112へ送信する際に経由先とする通信回線網110の名称を示す。送信先214dは、産業機器120から収集した機器情報の送信先となるサーバ111やクラウド112のIPアドレスまたはURLを示す。
【0045】
回線設定ファイル215は、評価部105が通信回線網110を評価する際に参照する、評価に関わる設定の情報を記録したファイルである。回線設定ファイル215は、例えば
図3に示すように、通信回線網名215a、通信帯域215b、回線網種別215c、セキュリティ性215dの項目を備えて構成される。通信回線網名215aは、通信回線網110を一意に識別するユニークな名称であり、通信回線網110に繋がる通信IF101と対応を取ることが可能な名称を示す。通信帯域215bは通信回線網110の通信帯域(通信速度)を示す。回線網種別215cは、通信回線網110のネットワーク種別を示す。例えば、「インターネット」、「閉域網」、「VPN」などの情報を格納する。セキュリティ性215dは、通信回線網110のセキュリティ性能を段階分けして示す。例えば、「高」、「中」、「低」などのセキュリティ性能の段階を示す情報を格納する。ここで、セキュリティ性能は目安でしかない。例えば「高」と「高」のように同じセキュリティ性能の段階が設定されている通信回線網110同士では、これらが同程度のセキュリティ性能を持ち、転送先としてどちらを選んでも問題が無い事を示す役割を持つ。
【0046】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る各種設定ファイル及び各種リストの例を示す図である。
【0047】
回線評価設定ファイル216は、評価部105が通信回線網110毎に通信途絶時の転送先を優先付けして振分けリスト224として出力する処理で参照されるファイルである。回線評価設定ファイル216は、例えば
図4に示すように、帯域の大小を考慮216a、同一種別のみに転送216b、同一セキュリティレベルのみに転送216cの項目を備えて構成される。帯域の大小を考慮216aは、帯域の大小を考慮して振分けリスト224を作成する処理の有無を決定する設定を示す。同一種別のみに転送216bは、同一の種類の回線網以外の回線網を除外して振分けリスト224を作成する処理の有無を決定する設定を示す。同一セキュリティレベルのみに転送216cは、セキュリティ性能が異なる回線網を除外して振分けリスト224を作成する処理の有無を決定する設定を示す。
【0048】
回線グループ設定ファイル217は、複数の通信回線網110をグルーピングして管理するため、グループと通信回線網110を紐づける情報を記録するファイルである。回線グループ設定ファイル217は、例えば
図4に示すように、キーをグループ名217a、値を通信回線網リスト217bとする項目を複数組み合わせて構成される。グループ名217aはグループを一意に識別するユニークな名称である。通信回線網リスト217bは回線設定ファイル215の通信回線網名215aの名称を参照するリスト型の項目であり、同一リストの項目は同一のグループに分類される。
【0049】
振分けリスト224は、通信回線網110毎に、当該通信回線網の通信が途絶した際に新たな振り分け先とするべき通信回線網の名称を記録するファイルである。振分けリスト224は、例えば
図4に示すように、通信回線網名224aと振分け回線網リスト224bの項目を備えて構成される。振分け回線網リスト224bは、通信回線網名224cの項目を備えて構成される。通信回線網名224aは回線設定ファイル215の通信回線網名215aと同一の要素であり、回線設定ファイル215に存在する通信回線網名が格納される。振分け回線網リスト224bは通信回線網110が途絶した際に新たな振分け先とするべき通信回線網名224cのリストであり、先頭から順に振分け先としての優先度が高い通信回線網110を示す。通信回線網名224cは回線設定ファイル215の通信回線網名215aと同一の要素であり、回線設定ファイル215に存在する通信回線網名が格納される。
【0050】
失敗回数記録リスト225は、通信回線網110毎に通信の失敗回数・失敗時刻を記録するファイルである。失敗回数記録リスト225は、例えば
図4に示すように、通信回線網名225a、失敗回数225b、失敗回数増加時刻225cの項目を備えて構成される。通信回線網名225aは回線設定ファイル215の通信回線網名215aと同一の要素であり、回線設定ファイル215に存在する通信回線網名が格納される。失敗回数225bは通信回線網110の通信失敗回数が記録される。失敗回数増加時刻225cは通信回線網110の通信失敗が通知された時刻が記録される。
【0051】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る各種設定画面の例を示す図である。
【0052】
基本設定画面500は、基本設定ファイル211に関わる画面上での設定と、TCP通信設定ファイル212、シリアル通信設定ファイル213、収集設定ファイル214、回線設定ファイル215のアップロードを行う画面である。本実施形態の通信装置100は、この基本設定画面500を通じて、ユーザ作成・アップロードされたファイルを設定ファイル104として認識する。
【0053】
基本設定画面500には、例えば
図5に示すように、データ送信インターバル設定501、中継先変更までの通信失敗回数設定502、通信失敗回数のリセットインターバル設定503、基本設定保存ボタン504、設定項目毎のファイル選択ボタン505、ファイルパス表示テキストボックス506、TCP通信設定送信ボタン507、シリアル通信設定送信ボタン508、収集設定送信ボタン509、回線設定送信ボタン510が表示される。
【0054】
データ送信インターバル設定501、中継先変更までの通信失敗回数設定502、通信失敗回数のリセットインターバル設定503は、基本設定ファイル211のデータ送信インターバル211a、通信失敗回数の閾値211b、通信失敗回数リセットインターバル211cにそれぞれ対応する設定項目のテキストボックスである。ユーザは入出力IF204を通じて、これらのテキストボックスに設定値を入力できる。基本設定保存ボタン504は、基本設定ファイル211を保存するためのボタンである。このボタンが基本設定画面500上でユーザに選択されると、データ送信インターバル設定501、中継先変更までの通信失敗回数設定502、通信失敗回数のリセットインターバル設定503でそれぞれ設定された値を基本設定ファイル211の形式で保存する。
【0055】
ファイル選択ボタン511が選択されると、ファイルを選択する画面が出力される。例えば、通信装置100にPCを接続して設定ファイル104の設定を行っている場合、ファイル選択ボタン511の操作に応じてPC上のファイルを選択する画面が表示され、任意のファイルを選択できる。ファイルパス表示テキストボックス506には、ファイル選択ボタン511で選択されたファイルのパスが表示される。TCP通信設定送信ボタン507、シリアル通信設定送信ボタン508、収集設定送信ボタン509、回線設定送信ボタン510は、選択済みのファイルを送信するためのボタンである。これらのボタンがユーザに選択されると、それぞれTCP通信設定ファイル212、シリアル通信設定ファイル213、収集設定ファイル214、回線設定ファイル215をアップロードする。
【0056】
回線評価・グループ設定画面520は、回線評価設定ファイル216、回線グループ設定ファイル217に関わる画面上での設定を行う設定画面である。通信装置100は本画面を通じて、作成・アップロードされたファイルを設定ファイル104として認識する。
【0057】
回線評価・グループ設定画面520には、例えば
図5に示すように、通信帯域を考慮して振り分ける設定521、同一種別のネットワークのみで振り分ける設定522、同一セキュリティレベルのみで振り分ける設定523、回線評価設定保存ボタン524、グループボックス525、グループ回線ボックス526、ボックスクローズボタン527、回線選択タブ528、グループ回線ボックス追加ボタン529、グループ追加ボタン530、設定内容保存ボタン531が表示される。
【0058】
通信帯域を考慮して振り分ける設定521、同一種別のネットワークのみで振り分ける設定522、同一セキュリティレベルのみで振り分ける設定523は、それぞれチェックボックスで表される。これらは、
図4に示した回線評価設定ファイル216の帯域の大小を考慮216a、同一種別のみに転送216b、同一セキュリティレベルのみに転送216cにそれぞれ対応する設定項目であり、チェック有りで「True」、チェック無しで「False」を意味する。回線評価設定保存ボタン524は、設定状態を保存するためのボタンである。このボタンがユーザに選択されると、設定された値を回線評価設定ファイル216の形式で保存する。
【0059】
グループボックス525は、回線グループ設定ファイル217のグループ名217aに対応し、通信回線網110のグループが追加された際に自動的に生成されるグループ名217aがボックス上部に表示される。また、ボックスクローズボタン527がボックス右上に、グループ回線ボックス追加ボタン529がボックス内にそれぞれ表示される。
【0060】
グループ回線ボックス526は、通信回線網110のグループが追加されてグループボックス525が表示される際に、当該グループに属する各通信回線網110に対して自動的に表示される。グループ回線ボックス526では、ボックスクローズボタン527がボックス右上に表示され、回線選択タブ528がボックス内に表示される。
【0061】
ボックスクローズボタン527がユーザに選択されると、そのボックスクローズボタン527を囲うボックスを回線評価・グループ設定画面520から削除する。回線選択タブ528は選択式のタブであり、回線グループ設定ファイル217の通信回線網リスト217bの1項目に対応する。回線選択タブ528には回線設定ファイル215における通信回線網名215aの項目のみが表示され、ユーザは回線選択タブ528を用いて任意の通信回線網110を選択できる。
【0062】
グループ回線ボックス追加ボタン529は、グループに属する通信回線網110を追加するためのボタンである。ユーザがこのボタンを選択すると、回線評価・グループ設定画面520にグループ回線ボックス526が追加表示される。ユーザは、表示されたグループ回線ボックス526を用いてグループに追加する通信回線網110を選択できる。
【0063】
グループ追加ボタン530は、通信回線網110のグループを追加するためのボタンである。ユーザがこのボタンを選択すると、回線評価・グループ設定画面520にグループボックス525が追加表示される。ユーザは、表示されたグループボックス525を用いて通信回線網110のグループを追加設定することができる。
【0064】
設定内容保存ボタン531は、回線グループ設定ファイル217を保存するためのボタンである。このボタンが回線評価・グループ設定画面520上でユーザに選択されると、設定された値を回線グループ設定ファイル217の形式で保存する。このとき、グループボックス525上部のグループ名がグループ名217aとして、グループボックス525内の複数のグループ回線ボックス526の回線選択タブ528で選択された通信回線網名が通信回線網リスト217bの項目として、回線グループ設定ファイル217にそれぞれ記述される。
【0065】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る評価部105における振分けリスト出力処理を示すフローチャートである。以下、
図6のフローチャートの項目に従い、評価部105の動作を説明する。
【0066】
評価部105は、回線評価・グループ設定画面520において設定内容保存ボタン531が選択される事で、以降の処理を開始する。(S601)
【0067】
評価部105は、補助記憶装置に格納されている設定ファイル104のうち、回線設定ファイル215、回線評価設定ファイル216、回線グループ設定ファイル217の各ファイルを取得する。(S602)
【0068】
評価部105は、直前のステップS604でデータ読み込みの対象とした回線設定ファイル215の行(以下の
図6の説明において「対象行」と称する)が、ファイル末尾の行であるか否かを判定する。(S603)対象行がファイル末尾の行ではないとステップS603で判定した場合(NO)、回線設定ファイル215におけるこれまでの対象行の次の行を新たな対象行として、回線設定ファイル215から対象行1行分の設定データを読み込む。(S604)なお、最初にステップS603の判定を行う場合は、ステップS604の処理を未実施であるため、この場合には対象行がファイル末尾の行ではないとステップS603で判定し、回線設定ファイル215の最初の行を対象行として、ステップS604で回線設定ファイル215の最初の行の設定データを読み込めばよい。
【0069】
評価部105は、回線設定ファイル215の全行を読み込み、回線設定ファイル215に記録されている全ての通信回線網名215aを抽出したリストを、仮の振分けリストとして作成する。(S605)
【0070】
評価部105は、回線評価設定ファイル216において帯域の大小を考慮216aが有効か否かを判定する。(S606)ステップS606で有効と判定した場合(YES)、回線設定ファイル215において通信帯域215bに示された通信帯域の値が対象行よりも小さい各行の通信回線網名215aが表す通信回線網110を、ステップS605で作成した仮の振分けリストから除去する。(S607)その後、処理をステップS608に進める。一方、ステップS606で無効と判定した場合(NO)、ステップS607を実行せずに処理をステップS608に進める。
【0071】
評価部105は、回線評価設定ファイル216において同一種別のみに転送216bが有効か否かを判定する。(S608)ステップS608で有効と判定した場合(YES)、回線設定ファイル215において回線網種別215cに示されたネットワーク種別が対象行とは異なる各行の通信回線網名215aが表す通信回線網110を、ステップS608までに作成した仮の振分けリストから除去する。(S609)その後、処理をステップS610に進める。一方、ステップS608で無効と判定した場合(NO)、ステップS609を実行せずに処理をステップS610に進める。
【0072】
評価部105は、回線評価設定ファイル216において同一セキュリティレベルのみに転送216cが有効か否かを判定する。(S610)ステップS610で有効と判定した場合(YES)、回線設定ファイル215においてセキュリティ性215dに示されたセキュリティ性能の段階が対象行とは異なる各行の通信回線網名215aが表す通信回線網110を、ステップS610までに作成した仮の振分けリストから除去する。(S611)その後、処理をステップS612に進める。一方、ステップS610で無効と判定した場合(NO)、ステップS611を実行せずに処理をステップS612に進める。
【0073】
評価部105は、回線グループ設定ファイル217を参照し、対象行の通信回線網110とは同一グループに属さない各通信回線網110を、ステップS612までに作成した仮の振分けリストから除去する。(S612)具体的には、回線設定ファイル215において、対象行の通信回線網名215aが表す通信回線網110を特定し、回線グループ設定ファイル217において、この通信回線網110が所属するグループ名217aの通信回線網リスト217bには含まれていない各通信回線網110を、同一グループに属さない通信回線網110として仮の振分けリストから除去する。
【0074】
評価部105は、対象行の通信回線網名215aを通信回線網名224a、ステップS613までに作成した仮の振分けリストを振分け回線網リスト224bとして、これらの組み合わせを振分けリスト224の1項目として出力する。(S613)なお、ステップS602以降の処理が初めて実行された場合には、振分けリスト224を新規作成して出力する。ステップS613の処理が終了したら、S603に処理を戻す。
【0075】
ステップS603で対象行がファイル末尾の行であると判定した場合(YES)、評価部105は、
図6のフローチャートに示す振分けリスト出力処理を終了する。
【0076】
本実施形態において評価部105は、以上説明した
図6の振分けリスト出力処理を行うことにより、通信装置100が接続可能な複数の通信回線網110のそれぞれについて、通信帯域、接続ネットワーク種別およびセキュリティ性の少なくともいずれか一つを含む通信特性の評価を行い、その評価結果を通信回線網110毎に比較して、振分けリスト224に反映することができる。すなわち、各通信回線網110に対して、当該通信回線網110に対する通信特性の評価結果と、他の通信回線網110に対する通信特性の評価結果とを比較することで、通信特性の評価結果がある一定の条件を満たす通信回線網110同士の組み合わせを、振分けリスト224に記述することができる。
【0077】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る振分部107における機器情報収集処理を示すフローチャートである。以下、
図7のフローチャートの項目に従い、振分部107の動作を説明する。
【0078】
振分部107は、TCP通信設定ファイル212、シリアル通信設定ファイル213、及び収集設定ファイル214の少なくとも何れかが更新される事で、以降の処理を開始する。(S701)
【0079】
振分部107は、補助記憶装置に格納されている設定ファイル104のうち、基本設定ファイル211、TCP通信設定ファイル212、シリアル通信設定ファイル213及び収集設定ファイル214の各ファイルと、振分けリスト224を取得する。(S702)
【0080】
振分部107は、終了命令を受信したか否かを判定する。(S703)例えば、ユーザが入出力IF204を用いて所定の操作を行うことで通信装置100に対して終了命令を入力した場合や、産業機器120から終了命令が送信された場合には、その終了命令が振分部107において受信される。ステップS703で終了命令を受信していないと判定した場合(NO)、処理をステップS704に進める。
【0081】
振分部107は、直前のステップS705で参照した収集設定ファイル214の項目(以下の
図7の説明において「参照項目」と称する)が、ファイル末尾の項目であるか否かを判定する。(S704)参照項目がファイル末尾の項目ではないとステップS704で判定した場合(NO)、収集設定ファイル214におけるこれまでの参照項目の次の項目を新たな参照項目として、収集設定ファイル214から参照項目1つ分の設定データ(対象装置214aから送信先214dまでのデータ1組分)を読み込む。(S705)なお、最初にステップS704の判定を行う場合は、ステップS705の処理を未実施であるため、この場合には参照項目がファイル末尾の項目ではないとステップS704で判定し、収集設定ファイル214の最初の項目を参照項目として、ステップS705で収集設定ファイル214の最初の項目の設定データを読み込めばよい。
【0082】
振分部107は、ステップS705で読み込んだ参照項目の設定データに基づき、機器情報の収集を実施する。(S706)ここでは、例えば参照項目の設定データのうち対象装置214aに記載された内容に基づき、TCP通信設定ファイル212やシリアル通信設定ファイル213の内容を参照して産業機器120との通信を開始する。また、参照項目のデータ設定214bに記載された内容に基づき、産業機器120の既定のアドレスにアクセスし、そのアドレスに格納されている機器情報データを取得する。
【0083】
振分部107は、ステップS705で読み込んだ参照項目の設定データに基づき、ステップS706で収集した機器情報の送信を行う。(S707)ここでは、例えば参照項目の設定データのうち宛先回線網214cと送信先214dにそれぞれ記載された内容に基づき、中継先の通信回線網110を設定し、その通信回線網110を経由して、指定されたサーバ111やクラウド112へ取得した機器情報のデータを送信する。このとき、宛先回線網214cで指定された通信回線網110が途絶している場合には、振分けリスト224に従い、中継先の通信回線網110を変更する。
【0084】
振分部107は、ステップS707において機器情報の送信に失敗したか否かを判定する。(S708)ステップS708で送信に失敗したと判定された場合(YES)、監視部106へ通信失敗を通知する。(S709)ここでは、ステップS705で読み込んだ参照項目の設定データにおける宛先回線網214cが表す通信回線網110について、通信が失敗したことを知らせる情報を通知する。ステップS709の処理終了後、ステップS704へ処理を戻す。
【0085】
ステップS708で送信に失敗していないと判定された場合(NO)、ステップS704へ処理を戻す。
【0086】
ステップS704で参照項目がファイル末尾の項目であると判定した場合(YES)、振分部107は、基本設定ファイル211のデータ送信インターバル211aで指定された時間だけスリープした後、ステップS703に処理を戻す。(S710)
【0087】
ステップS703で終了命令を受信していると判定した場合(YES)、振分部107は、
図7のフローチャートに示す機器情報収集処理を終了する。
【0088】
振分部107は、以上説明した
図7の機器情報収集処理を行うことにより、各産業機器120から機器情報を収集し、予めグループ分けされた複数の通信回線網110の少なくとも一つに、収集した機器情報を送信することができる。
【0089】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る監視部106における失敗通知受信処理を示すフローチャートである。以下、
図8のフローチャートの項目に従い、監視部106の動作を説明する。
【0090】
監視部106は、前述の
図7のステップS709の処理によって振分部107から通知される通信失敗通知を受信する事で、以降の処理を開始する。(S801)
【0091】
監視部106は、振分部107からの受信データ(通信失敗通知の情報)をパースし、その中に含まれている宛先回線網214cの情報を取得することで、機器情報の送信に失敗した通信回線網110の名称(以下「失敗回線網名」と称する)を特定する。(S802)
【0092】
監視部106は、失敗回数記録リスト225を参照し、ステップS802で特定した失敗回線網名と同一の通信回線網名225aの行における失敗回数225bの値をインクリメントするとともに、失敗回数増加時刻225cに現在時刻を入力する。(S803)
【0093】
監視部106は、基本設定ファイル211を参照し(S804)、ステップS803でインクリメントした失敗回数225bの値が、基本設定ファイル211の通信失敗回数の閾値211bを超過したか否かを判定する。(S805)
【0094】
ステップS805でインクリメント後の失敗回数225bの値が通信失敗回数の閾値211bを超過したと判定した場合(YES)、監視部106は、当該通信回線網110が通信途絶したと判断し、当該通信回線網110について通信品質の低下を検出する。そして、揮発データとして保持している前述の途絶回線リストに、ステップS802で取得した失敗回線網名を追加する。(S806)このとき、監視部106において途絶回線リストが未作成の場合は、途絶回線リストを新規作成する。
【0095】
ステップS806の実施後、もしくは、ステップS805でインクリメント後の失敗回数225bの値が通信失敗回数の閾値211bを超過していないと判定した場合(NO)、監視部106は、
図8のフローチャートに示す失敗通知受信処理を終了する。
【0096】
監視部106は、以上説明した
図8の失敗通知受信処理を行うことにより、一定期間内での機器情報の送信について、全ての通信回線網110の通信品質(通信失敗回数)を監視することができる。
【0097】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る振分部107における宛先回線網の振分け処理を示すフローチャートである。本フローチャートは、
図7のステップS707において、宛先回線網214cで指定された通信回線網110が通信途絶している場合の処理内容を、より詳細に説明するものである。以下、
図9のフローチャートの項目に従い、振分部107の動作を説明する。
【0098】
振分部107は、
図7のステップS707において宛先回線の振分け処理が実行開始される事で、以降の処理を開始する。(S901)
【0099】
振分部107は、
図8のステップS806で作成、編集されて監視部106に保持される前述の途絶回線リストを、監視部106から取得する。(S902)
【0100】
振分部107は、
図7のステップS705で読み込んだ参照項目の宛先回線網214cが表す通信回線網110の名称が、ステップS902で取得した途絶回線リストに存在するか否かを判定する。(S903)
【0101】
ステップS903で当該通信回線網110の名称が途絶回線リストに存在すると判定した場合(YES)、振分部107は、監視部106により当該通信回線網110において通信品質の低下が検出されたと判断して、振分けリスト224を参照する(S904)。そして、当該通信回線網110の名称に対応する振分け回線網リスト224bを振分けリスト224から取得し、ここから途絶回線リストに記載されている各通信回線網110の名称を除外したリストを作成する。(S905)
【0102】
一方、ステップS903で当該通信回線網110の名称が途絶回線リストに存在しないと判定した場合(NO)、振分部107は、ステップS908へ処理を進める。
【0103】
振分部107は、ステップS905で作成したリストにおいて、少なくとも1つ以上の通信回線網110の名称が存在するか否かを判定する。(S906)ステップS906で、少なくとも1つ以上の通信回線網110の名称が存在すると判定した場合(YES)、すなわち、途絶回線リストに含まれている通信回線網110と同じグループに属し、かつ、当該通信回線網110に対して、回線評価・グループ設定画面520上で設定された振分け条件を満たす他の通信回線網110が少なくとも1つ以上存在する場合には、その中でいずれかの通信回線網110を、変更後の宛先回線網に設定する。(S907)ここでは、例えばリストの中で最も優先度が高い(先頭に近い)通信回線網110を、変更後の宛先回線網として決定する。
【0104】
振分部107は、ステップS907までに決定した変更後の宛先回線網を経由して、取得した機器情報の通信処理を実行する。(S908)ここでは、変更後の宛先回線網を経由先の通信回線網110とし、
図7のステップS705で読み込んだ参照項目の設定データにおいて送信先214dに記載されたサーバ111やクラウド112を機器情報の送信先として、機器情報を送信する。
【0105】
ステップS908の実施後、もしくは、ステップS906でリストに通信回線網110の名称が1つも存在しないと判定した場合(NO)、振分部107は、
図9のフローチャートに示す宛先回線網の振分け処理を終了する。
【0106】
本実施形態において振分部107は、以上説明した
図9の宛先回線網の振分け処理を行うことにより、複数の通信回線網110のうち少なくとも一つ以上の通信回線網110において監視部106により通信品質の低下が検出された場合(宛先回線網214cで指定された通信回線網110の通信失敗回数が閾値を超過することで、途絶回線リストに当該通信回線網110が記録された場合)に、振分けリスト224に記述された、当該通信回線網110に対する通信特性の評価と、少なくとも一つ以上の他の通信回線網110に対する通信特性の評価との比較に基づき、同一グループの通信回線網110の中で機器情報を送信する通信回線網110を変更することができる。
【0107】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る監視部106における失敗回数リセット処理を示すフローチャートである。以下、
図10のフローチャートの項目に従い、監視部106の動作を説明する。
【0108】
監視部106は、以降の処理を定期的に開始する。(S1001)このときの処理周期は、例えば、1分毎、10分毎、60分毎などが考えられる。なお、本発明は処理周期を固定するものではなく、処理周期には任意の時間を設定できるものとする。
【0109】
監視部106は、補助記憶装置に格納されている設定ファイル104のうち、基本設定ファイル211を取得する。(S1002)
【0110】
監視部106は、失敗回数記録リスト225を参照する。(S1003)
【0111】
監視部106は、直前のステップS1005でデータ読み込みの対象とした失敗回数記録リスト225の行(以下の
図10の説明において「対象行」と称する)が、リスト末尾の行であるか否かを判定する。(S1004)対象行がリスト末尾の行ではでないとステップ1004で判定した場合(NO)、失敗回数記録リスト225におけるこれまでの対象行の次の行を新たな対象行として、失敗回数記録リスト225から対象行1行分のデータを読み込む。(S1005)なお、最初にステップS1004の判定を行う場合は、ステップS1005の処理を未実施であるため、この場合には対象行がリスト末尾の行ではないとステップS1004で判定し、失敗回数記録リスト225の最初の行を対象行として、ステップS1005で失敗回数記録リスト225の最初の行のデータを読み込めばよい。
【0112】
監視部106は、ステップS1005でデータを読み込んだ対象行に対応する通信回線網110について、最後に通信途絶が検知された時点から既定のリセットインターバルを経過したか否かを判定する。(S1006)具体的には、例えば、ステップS1005で読み込んだ対象行のデータにおける失敗回数増加時刻225cに記録されている日時と現在の日時との差分を計算することで、最後に通信途絶が検知されてからの経過時間を計算し、この経過時間と、基本設定ファイル211の通信失敗回数リセットインターバル211cに記述された時間とを比較する。その結果、経過時間の方が短い場合、もしくは、対象行のデータにおいて失敗回数増加時刻225cが記載されていなかった場合は、ステップS1006でリセットインターバルが未経過と判定し(NO)、ステップS1004に処理を戻す。
【0113】
通信失敗回数リセットインターバル211cに記述された時間よりも経過時間の方が長い場合には、監視部106は、ステップS1006でリセットインターバルを経過したと判定し(YES)、処理をステップS1007に進める。監視部106は、ステップS1005で取得した対象行の失敗回数225bの値を0にリセットし、失敗回数増加時刻225cの記載を削除する。(S1007)その後、監視部106が保持する前述の途絶回線リストから、対象行の通信回線網名225aと同一の通信回線網の名称を削除して、削除後の途絶回線リストを保存する。(S1008)
【0114】
ステップS1004で対象行がリスト末尾と判定した場合(YES)、監視部106は、
図10のフローチャートに示す失敗回数リセット処理を終了する。
【0115】
監視部106は、以上説明した
図10の失敗回数リセット処理を行うことにより、基本設定ファイル211の通信失敗回数リセットインターバル211cに記述された時間が経過した後に、失敗回数記録リスト225の内容をリセットすることができる。
【0116】
以上説明した本発明の第1の実施形態に係る通信装置100によると、評価部105は、回線設定ファイル215と回線評価設定ファイル216に基づき、通信回線網110の別や、セキュリティ性能、通信帯域などの通信特性を考慮して、多様な通信要件を満たす、通信回線網110の通信途絶時のデータ転送先リストである振分けリスト224を作成する。振分部107は、収集設定ファイル214に基づき、産業機器120から稼働情報121、設定情報122を取得し、これらのデータを産業機器に関する機器情報として、宛先回線網214cに示された通信回線網110を経由して、送信先214dに示されたサーバ111やクラウド112に送信する。
【0117】
監視部106が宛先回線網214cに示された通信回線網110の通信失敗回数の閾値超過を検出すると、その通信回線網110は通信途絶状態と判断され、別の通信回線網110を経由して機器情報を送信するために、振分部107による宛先回線網の変更が実施される。新たな送信先となる通信回線網110には、通信が可能な通信回線網110であり、かつ、回線グループ設定ファイル217にて変更前の通信回線網110と同一のグループに設定された通信回線網110が選ばれる。
【0118】
これにより、接続する通信回線網110が途絶した場合にも、回線網種別や、セキュリティ性能、通信帯域を考慮して、多様な通信要件を満たしながら機器情報の送信を継続することが可能となる。
【0119】
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0120】
(1)通信装置100は、1以上の産業機器120に関する機器情報を複数の通信回線網110に送信するものである。通信装置100は、複数の通信回線網110のそれぞれについて、通信帯域、接続ネットワーク種別およびセキュリティ性の少なくともいずれか一つを含む通信特性の評価を行い、通信特性の評価結果を通信回線網110毎に比較する(S604~S611)評価部105と、一定期間内での機器情報の送信について、全ての通信回線網110の通信品質を監視する(S802~S806)監視部106と、予めグループ分けされた複数の通信回線網110の少なくとも一つに機器情報を送信する(S707)振分部107とを備える。振分部107は、複数の通信回線網110のうち少なくとも一つ以上の通信回線網110において通信品質の低下が検出された場合に(S805:YES、S903:YES)、当該通信回線網110に対する通信特性の評価と、少なくとも一つ以上の他の通信回線網110に対する通信特性の評価結果との比較に基づき、同一グループの通信回線網110の中で機器情報を送信する通信回線網110を変更する(S904~S907)。このようにしたので、多様な通信要件を満たしつつ、通信回線網110に異常が発生した場合でも機器情報のデータ送信を継続可能な通信装置100を提供することができる。
【0121】
(2)通信回線網110はモバイル通信網を含むことができる。このようにすれば、通信途絶が起こりやすいモバイル通信網を含む通信回線網110において異常が発生した場合でも、機器情報のデータ送信を継続することが可能となる。
【0122】
(3)監視部106が監視する通信回線網110の通信品質は、通信回線網110における通信失敗回数を含むことができる。この場合、振分部107は、複数の通信回線網110のうち少なくとも一つ以上の通信回線網110における通信失敗回数が所定の閾値を超過した場合に(S805:YES、S903:YES)、当該通信回線網110において通信品質の低下が検出されたと判断する。このようにすれば、通信途絶につながる通信品質の低下を容易に把握することが可能となる。
【0123】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、通信装置100の振分部107において、機器情報のデータ送信時に宛先回線網が通信不可能な場合、振分けリスト224と回線グループ設定ファイル217に従い、経由する宛先回線網を変更する例を説明した。しかしながら、新たな経由先となる通信回線網110を経由して送信する機器情報の重要度が高い場合や、当該通信回線網110の通信帯域が狭い場合には、別の通信回線網110を経由するはずであった機器情報が当該通信回線網110に流れ込むことで通信帯域を圧迫してしまい、本来の通信データが正常に送信されない可能性がある。このため、第2の実施形態では、宛先回線網が通信不可能となり新たな宛先回線網にデータを転送する場合に、その通信帯域を制限する例を説明する。
【0124】
さらに、大容量データを送信するアプリケーションでは、通信帯域を制限することでデータが詰まり、正常にデータが送信されない可能性がある。このため、第2の実施形態における振分部107では、上記のように宛先回線網が通信不可能となって新たな宛先回線網の通信帯域を制限する場合に、機器情報のデータ量を削減して送信する代わりに、予め設定された通知データを任意の宛先へと送信する例を説明する。
【0125】
これにより、本来その通信回線網を通過していたデータの正常送信を可能にする。また、帯域制限により正常に送信されない可能性のある通信データの送信を中止し、データ量の少ない通知データを送信することで、通信回線網110の通信途絶を保守人員にいち早く通知する事が可能となる。
【0126】
本効果を実現するため、第2の実施形態では、回線評価設定ファイル216において、通信回線網110毎に転送を受け入れる際の最大通信帯域の項目を追加する。そして、振分けリスト224の振分け回線網リスト224bにも通信帯域の項目を追加し、この項目を振分部107が参照して通信帯域の制限を行う処理を追加する。さらに、通知内容や宛先を設定する通知内容設定ファイルと通知のインターバル調整のため、通知ログファイルを導入する。そして、回線評価設定ファイル216、振分けリスト224に通知内容に関する項目をそれぞれ追加し、振分部107の処理に帯域制限を行う振分け時に、予め定めた通知データを送信する処理を追加する。
【0127】
以下、本発明の第2の実施形態における第1の実施形態からの差分について、図を用いて説明する。
【0128】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る通信装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0129】
図11に示すハードウェア構成では、第1の実施形態との差分として、設定ファイル104に通知内容設定ファイル1101、その他のファイルに通知ログファイル1102がそれぞれ追加されている。通知内容設定ファイル1101は、通知データの送信時に参照される通知内容に関わる設定ファイルである。通知ログファイル1102は、通知データの送信時に参照される過去の通知データ送信の記録ファイルである。
【0130】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る各種設定ファイル及び各種リストの例を示す図である。
【0131】
通知内容設定ファイル1101は、通知データの送信時に参照される通知内容に関わる設定ファイルである。通知内容設定ファイル1101は、例えば
図12に示すように、設定名1101a、種別1101b、メールサーバ1101c、To1101d、CC1101e、BCC1101f、件名1101g、本文1101h、宛先1101i、ヘッダー1101j、ボディ1101kの項目を備えて構成される。
【0132】
設定名1101aは、通知設定内容を一意に識別するためのユニークな名称である。種別1101bは、通知データを送信する際に、どのようなプロトコルで通信を行うかを示す設定項目である。本実施形態では種別1101bが表すプロトコルの具体例として、「メール通知」、「HTTP/POST通信」の2つの項目を挙げるが、本発明で設定可能な通信プロトコルはこれらに限定されない。他のプロトコルについても同様に、通知データの通信プロトコルとして使用できるものとする。
【0133】
メールサーバ1101cからボディ1101kまでの各項目は、種別1101bで指定された通信プロトコルに必要な設定項目を表す。これらの内容は、種別1101bに応じて変化する。このうちメールサーバ1101cから本文1101hまでの各項目は、種別1101bに「メール通知」が指定された際に設定する必要がある項目である。メールサーバ1101cは、メールの宛先を示す。To1101d、CC1101e、BCC1101fは、メールの宛先を示し、それぞれTo、CC、BCCとする宛先のメールアドレスを格納する。件名1101gは、メールの件名を示す。本文1101hは、メールの本文の内容を示す。
【0134】
宛先1101iからボディ1101kまでの各項目は、種別1101bに「HTTP/POST通信」が指定された際に設定する必要がある項目である。宛先1101iは、HTTP/POST通信の宛先URLを示す。ヘッダー1101jは、HTTP/POST通信のヘッダの内容を示す。ボディ1101kは、HTTP/POST通信のボディの内容を示す。
【0135】
本実施形態では、回線評価設定ファイル216において、例えば
図12に示すように、第1の実施形態で説明した各項目に加えて、さらに帯域制限設定216dの項目が追加される。帯域制限設定216dは、通信回線網名216e、最大通信帯域216f、通知設定216g、通知内容216h、通知インターバル216iの項目を備えて構成される。これらの項目は、通信回線網110毎に設定される。
【0136】
通信回線網名216eは、回線設定ファイル215の通信回線網名215aと同一の要素であり、回線設定ファイル215に存在する通信回線網名が格納される。最大通信帯域216fは、他の通信回線網宛のデータを転送する際の最大通信帯域を、例えばkbps(bit per sec)の単位で示す設定項目である。通知設定216gは、通信回線網名216eで示された通信回線網110が通信途絶し、かつ帯域を確保できない場合に、予め設定された宛先へと通知データを送信するか否かを示す設定項目である。具体的には、通知設定216gが「True」の場合は通知データを送信し、「False」の場合は通知データを送信しないことを示す。通知内容216hは、どの通知内容設定を参照して通知データを送信するかを指定する設定項目である。これは、通知内容設定ファイル1101の設定名1101aと同一の要素であり、通知内容設定ファイル1101に存在する設定名1101aのみが格納される。通知インターバル216iは、一度通知データを送信した後、次の通知データを送信するまでの期間を、例えば分単位で示す設定項目である。
【0137】
本実施形態では、振分けリスト224において、例えば
図12に示すように、第1の実施形態で説明した各項目に加えて、さらに通信回線網名224d、途絶時通知内容224e、通知インターバル224fの項目が追加される。また、振分け回線網リスト224bに通信帯域224gの項目が追加される。
【0138】
通信回線網名224dは、回線設定ファイル215の通信回線網名215aと同一の要素であり、回線設定ファイル215に存在する通信回線網名が格納される。途絶時通知内容224eは、どの通知内容設定を参照して通知データを送信するかを指定する設定項目である。これは通知内容設定ファイル1101の設定名1101aと同一の要素であり、通知内容設定ファイル1101に存在する設定名1101aと同じ内容が格納される。なお、通知データを送信しない設定の場合、途絶時通知内容224eは空欄となる。
【0139】
通知インターバル224fは、一度通知データを送信した後、次の通知データを送信するまでの期間を表す設定項目であり、例えば分単位で示される。通信帯域224gは、通信回線網名224cに対応する通信回線網に送信先を変更した場合の最大通信帯域を表す設定項目であり、例えばkbpsの単位で示される。
【0140】
通知ログファイル1102は、通知データの送信時に参照される過去の通知データ送信の記録ファイルである。通知ログファイル1102は、例えば
図12に示すように、通信回線網名1102a、最終通知時刻1102bの項目を備えて構成される。通信回線網名1102aは、回線設定ファイル215の通信回線網名215aと同一の要素であり、回線設定ファイル215に存在する通信回線網110の名称が格納される。最終通知時刻1102bは、通信回線網名1102aで示された通信回線網110において最後に通知データが送信された時刻が格納される。なお、通知ログファイル1102の生成直後やリセット直後の場合は、最終通知時刻1102bが空欄となる。
【0141】
図13は、本発明の第2の実施形態に係る通知内容設定画面の例を示す図である。
【0142】
通知内容設定画面1300には、例えば
図13に示すように、複数の通知内容設定ボックス1301が表示される。各通知内容設定ボックス1301には、ボックスクローズボタン1302、通信種別設定1303、メールサーバ設定1304、To設定1305、CC設定1306、BCC設定1307、件名設定1308、本文設定1309、宛先アドレス設定1310、ヘッダー設定1311、ボディ設定1312、通知内容追加ボタン1313、設定内容保存ボタン1314が表示される。
【0143】
通知内容設定ボックス1301は、通知内容設定ファイル1101の設定名1101aに対応する。通知内容設定画面1300においてユーザの操作に応じて通知内容設定ボックス1301が追加されると、設定名1101aがボックス上部に、ボックスクローズボタン1302がボックス右上に、通信種別設定1303がボックス内にそれぞれ自動的に表示される。
【0144】
ボックスクローズボタン1302がユーザに選択されると、そのボックスクローズボタン1302を囲うボックスを通知内容設定画面1300から削除する。通信種別設定1303は選択式のタブであり、通知内容設定ファイル1101の種別1101bに対応する。ユーザは、この通信種別設定1303において任意のタブを選択することで、例えばメール通知、HTTP/POST通信などの通信種別の中からいずれかを選択できる。
【0145】
メールサーバ設定1304、To設定1305、CC設定1306、BCC設定1307、件名設定1308、本文設定1309、宛先アドレス設定1310、ヘッダー設定1311、ボディ設定1312はそれぞれ、
図12に示した通知内容設定ファイル1101のメールサーバ1101c、To1101d、CC1101e、BCC1101f、件名1101g、本文1101h、宛先1101i、ヘッダー1101j、ボディ1101kの各項目に対応するテキストボックスである。ユーザは、これらのテキストボックスに任意の設定値を入力することで、通知内容設定ファイル1101の各項目を設定できる。なお、メールサーバ設定1304からボディ設定1312までの各テキストボックスは、通信種別設定1303で選択された内容に応じて、通知内容設定画面1300での表示の有無が変化する。例えば、通信種別設定1303において「メール通知」が選択された場合、通知内容設定画面1300では、メールサーバ設定1304から本文設定1309までが表示され、「HTTP/POST通信」が選択された場合、通知内容設定画面1300では、宛先アドレス設定1310からボディ設定1312までが表示される。
【0146】
通知内容追加ボタン1313は、通知データの設定を追加するためのボタンである。ユーザがこのボタンを選択すると、通知内容設定画面1300に通知内容設定ボックス1301が一つ追加表示される。ユーザは、追加表示された通知内容設定ボックス1301を用いて帯域制限時に送信される通知データを追加設定することができる。
【0147】
設定内容保存ボタン1314は、通知内容設定ファイル1101を保存するためのボタンである。このボタンがユーザに選択されると、設定された値を通知内容設定ファイル1101の形式で保存する。
【0148】
図14は、本発明の第2の実施形態に係る回線評価・グループ設定画面の例を示す図である。
【0149】
本実施形態では、回線評価・グループ設定画面520において、例えば
図14に示すように、第1の実施形態で説明した各項目に加えて、さらに複数の通信回線網ボックス1401の項目が追加されるとともに、通信帯域を考慮して振り分ける設定521が除外される。各通信回線網ボックス1401には、転送されたデータの最大通信帯域の設定1402、通信回線網毎に途絶かつ帯域を確保できない場合に通知のみを送信設定1403、通知内容設定1404、通知インターバル設定1405の項目が表示される。
【0150】
本実施形態では、回線評価・グループ設定画面520における通信回線網ボックス1401は、回線設定ファイル215に存在する通信回線網名215aの数だけ自動生成される。各通信回線網ボックス1401には、どの通信回線網110に対する設定かを区別するため、ボックス上部に通信回線網名215aが表示される。
【0151】
転送されたデータの最大通信帯域の設定1402は、回線評価設定ファイル216における帯域制限設定216dの最大通信帯域216fに対応するテキストボックスである。ユーザは、このテキストボックスに任意の設定値を入力することで、回線評価設定ファイル216の最大通信帯域216fを設定できる。
【0152】
通信回線網毎に途絶かつ帯域を確保できない場合に通知のみを送信設定1403は、回線評価設定ファイル216の通知設定216gに対応するチェックボックスである。ユーザは、このチェックボックスを選択することで、回線評価設定ファイル216の通知設定216gを設定できる。具体的には、チェック有りで「True」を意味し、チェック無しで「False」を意味する。
【0153】
通知内容設定1404は選択式のタブであり、回線評価設定ファイル216の通知内容216hに対応する。ユーザは、この通知内容設定1404において任意のタブを選択することで、通知内容の設定を選択できる。なお、通知内容設定1404では通知内容設定ファイル1101における設定名1101aに対応するタブのみが表示され、このタブの中からいずれかを選択できる。
【0154】
通知インターバル設定1405は、回線評価設定ファイル216の通知インターバル216iに対応するテキストボックスである。ユーザは、このテキストボックスに任意の設定値を入力することで、回線評価設定ファイル216の通知インターバル216iを設定できる。
【0155】
第1の実施形態で説明したように、回線評価設定保存ボタン524は、回線評価設定ファイル216を保存するためのボタンである。このボタンがユーザに選択されると、同一種別のネットワークのみで振り分ける設定522、同一セキュリティレベルのみで振り分ける設定523に加えて、転送されたデータの最大通信帯域の設定1402から通知インターバル設定1405までの各設定値を通信回線網ボックス1401上部の通信回線網名215aと組み合わせて帯域制限設定216dを構築し、回線評価設定ファイル216に出力する。
【0156】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る評価部105における振分けリスト出力処理を示すフローチャートである。
図15に示すフローチャートは、第1の実施形態で説明した
図6のフローチャートからの差分として、ステップS1501、S1502の処理が追加され、ステップS613の処理がS1503に変更されている。以下、これらの差分について評価部105の動作を説明する。
【0157】
評価部105は、ステップS612までに生成した仮の振分けリストにおいて、直前のステップS604でデータ読み込みの対象とした回線設定ファイル215の行(以下の
図15の説明において「対象行」と称する)に記載されている通信回線網110よりも通信帯域が小さい通信回線網110が存在するか否かを判定する。(S1501)具体的には、例えば、ステップS604で回線設定ファイル215から読み込んだ対象行1行分の設定データにおける通信帯域215bの値と、他の各通信回線網110に対する回線評価設定ファイル216の最大通信帯域216fの値とを比較し、前者の値よりも後者の値の方が小さい通信回線網110が仮の振分けリストに存在するか否かを判定する。この際、通信帯域215bが「制限なし」の場合、通信帯域215bの値を無限大として判定を行う。ステップS1501の判定の結果、対象行の通信回線網110よりも通信帯域が小さい通信回線網110が存在すると判定された場合(YES)、評価部105は、該当の各通信回線網110について、ステップS1501で参照した回線評価設定ファイル216の最大通信帯域216fの値を、対象行の通信回線網110の代わりの中継先として機器情報を送信する際に帯域制限を行う必要がある他の通信回線網110(以下、「帯域制限対象回線」と称する)の通信帯域の値として取得し、これをリスト化する。(S1502)一方、ステップS1501で対象行の通信回線網110よりも通信帯域が小さい通信回線網110が存在しないと判定された場合(NO)、処理をステップS1503に進める。
【0158】
評価部105は、ステップS612までに生成された仮の振分けリストと、ステップS1502の処理で生成された帯域制限対象回線の通信帯域のリストとを組み合わせ、対象行の通信回線網110に対する振分け回線網リスト224bの要素として、振分けリスト224の形式で出力する。(S1503)なお、ステップS1502の処理において、回線評価設定ファイル216の最大通信帯域216fに値が存在しない通信回線網110については、帯域制限対象回線の通信帯域のリストに値が記録されない。この場合、当該通信回線網110については、通信帯域224gの欄を空欄として振分けリスト224を生成すればよい。ステップS1503の処理が終了したら、S603に処理を戻す。
【0159】
本実施形態において評価部105は、以上説明した
図15の振分けリスト出力処理を行うことにより、通信装置100が接続可能な複数の通信回線網110の通信帯域同士を比較してその大小を評価し、評価結果を振分けリスト224に反映することができる。すなわち、各通信回線網110に対して、それよりも他の通信回線網110の通信帯域が小さい場合には、その通信帯域の値を振分けリスト224に記述することができる。
【0160】
図16は、本発明の第2の実施形態に係る振分部107における宛先回線網の振分け処理を示すフローチャートである。
図16に示すフローチャートは、第1の実施形態で説明した
図9のフローチャートからの差分として、ステップS907とステップS908の間に、ステップS1601からS1605までの処理が追加されている。以下、これらの差分について振分部107の動作を説明する。
【0161】
振分部107は、ステップS907の処理で変更後の宛先回線網として設定した通信回線網110に対する帯域制限の有無を判定する。(S1601)ここでは、例えば振分けリスト224において、変更後の宛先回線網に設定した通信回線網110に対応する名称が通信回線網名224dに格納されている部分を参照し、この部分の通信帯域224gに何らかの数値が格納されているか否かを確認する。その結果、通信帯域224gに数値が格納されている場合は、帯域制限ありと判定し(YES)、その後のステップS908において変更後の宛先回線網を中継先として機器情報を送信する際に、通信帯域224gの値に従って帯域制限を行う設定を実施する。(S1602)
【0162】
続いて振分部107は、変更後の宛先回線網として設定した通信回線網110に対する通知設定の有無を判定する。(S1603)ここでは、例えばステップS1601で参照した振分けリスト224の部分において、途絶時通知内容224eに何らかの情報が格納されているか否かを確認する。その結果、途絶時通知内容224eに情報が格納されている場合は、通知設定ありと判定し(YES)、ステップS1604に処理を進める。
【0163】
振分部107は、予め設定された通知インターバルを経過したか否かを判定する。(S1604)ここでは、例えば通知ログファイル1102において、変更後の宛先回線網に設定した通信回線網110に対応する名称が通信回線網名1102aに格納されている行を参照し、その行の最終通知時刻1102bの値と現在時刻とを比較することで、最後に通知データを送信した時刻からの経過時間を算出する。そして、算出した経過時間と、振分けリスト224の通知インターバル224fの値とを比較し、経過時間の方が長いか、もしくはこれらの値が等しい場合は、通知インターバルを経過したと判定し(YES)、ステップS1605に処理を進める。
【0164】
振分部107は、帯域制限を行う通知を既定の通知先へ送信する。(S1605)ここでは、例えば通知内容設定ファイル1101において、振分けリスト224の途絶時通知内容224eと一致する名称が設定名1101aに格納されている部分を参照し、この部分に記載されている設定内容に従って、帯域制限の通知を送信する。なお、ステップS1605で通知を送信後、振分部107は、通知ログファイル1102においてステップS1604dで参照した行の最終通知時刻1102bの値を、現在時刻に上書きする。
【0165】
ステップS1601で通信帯域224gに数値が格納されている場合は、帯域制限ありと判定し(NO)、ステップS908に処理を進める。また、途絶時通知内容224eに情報が格納されていない場合は、通知設定なしと判定し(NO)、この場合もステップS908に処理を進める。ステップS908の実施後、振分部107は、
図16のフローチャートに示す宛先回線網の振分け処理を終了する。
【0166】
ステップS1604において経過時間の方が短い場合は、振分部107は、通知インターバルを経過していないと判定し(NO)、
図16のフローチャートに示す宛先回線網の振分け処理を終了する。
【0167】
本実施形態において振分部107は、以上説明した
図16の宛先回線網の振分け処理を行うことにより、複数の通信回線網110のうち少なくとも一つ以上の通信回線網110において監視部106により通信品質の低下が検出された場合(宛先回線網214cで指定された通信回線網110の通信失敗回数が閾値を超過した場合)であって、かつ、その通信回線網110の通信帯域が変更後の通信回線網の通信帯域より大きい場合(通信帯域224gに数値が格納されている場合)に、振分けリスト224の通信帯域224gに設定された値に基づき、変更後の通信回線網110の通信帯域を制限することができる。
【0168】
以上説明した本発明の第2の実施形態に係る通信装置100によると、宛先回線網が通信不可能となり、新たな宛先回線網にデータを転送する場合に、通信帯域の制限を実現する設定を追加した。また、通信帯域を制限する場合に、通信帯域を制限した機器情報の送信を行うのではなく、予め設定された通知データを任意の宛先へと送信する。これにより、変更後の通信回線網110を経由して行われる本来の通信を阻害することなく、通信不可能となった通信回線網110の代わりに変更後の通信回線網110を経由した機器情報の送信を可能にする。さらに、正常に送信されない可能性のある大容量な機器情報の送信を停止し、その代わりにデータ量の少ない通知データを送信することで、通信回線網110の通信途絶を保守人員にいち早く通知する事が可能となる。
【0169】
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、評価部105は、複数の通信回線網110の通信帯域同士を比較してその大小を評価する(S1501)。振分部107は、監視部106により通信品質の低下が検出された通信回線網110の通信帯域が変更後の通信回線網110の通信帯域より大きい場合に(S1601:YES)、変更後の通信回線網110の通信帯域を制限する(S1602)。このようにしたので、いずれかの通信回線網110に異常が発生した場合に、他の通信回線網110を代替手段に用いて、その通信回線網110を経由して行われる本来の通信を阻害することなく、機器情報のデータ送信を継続可能な通信装置100を提供することができる。
【0170】
さらに振分部107は、変更後の通信回線網110の通信帯域を制限する際に、予め設定された通知内容を予め設定された宛先へと送信する(S1605)。このようにしたので、機器情報のデータ量の削減によって異常な機器情報が送信されることを防止しつつ、通信回線網110の通信途絶を素早く通知することが可能となる。
【0171】
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では、通信装置100の振分部107において、機器情報のデータ送信時に宛先回線網が通信不可能な場合、振分けリスト224と回線グループ設定ファイル217に従い、経由する宛先回線網を変更する例を説明した。しかしながら、同一のグループに属する通信回線網110が全て途絶した場合には、機器情報の通信データは正常に宛先へと届かず、保守人員はその状況も把握できない。保守人員が状況を把握するためには、キャリアの閉域網やVPNではない、インターネットに接続可能な通信回線網110を活用して、保守人員が参照可能なサーバへ通知データを送信する必要がある。
【0172】
このため、第3の実施形態では、同一のグループに属する通信回線網110が全て途絶した場合に、インターネットに接続可能な別グループの通信回線網110を用いて、予め設定された通知データを任意の宛先へ送信する。これにより、同一のグループの通信回線網110が全て途絶した場合にも、保守人員が参照可能なサーバへ通知データを送信できる。本効果を実現するため、第3の実施形態では、回線グループ設定ファイル217において、インターネット接続か否か、途絶時に通知を行うかを選択する設定を追加するとともに、監視部106にグループ内の全回線が通信途絶した場合の通知データ送信処理を追加する。
【0173】
以下、本発明の第3の実施形態における第2の実施形態からの差分について、図を用いて説明する。
【0174】
図17は、本発明の第3の実施形態に係る回線グループ設定ファイルの例を示す図である。
【0175】
本実施形態において、回線グループ設定ファイル217は、グループ名217aをキーとしたオブジェクトに、グループ回線網リスト217c、インターネット接続217d、途絶時通知217e、通知内容217fの各設定項目を組み合わせて、グループ毎に構成される。
【0176】
グループ回線網リスト217cは、通信回線網リスト217bと同様に、回線設定ファイル215の通信回線網名215aの名称を参照するリスト型の項目であり、同一リストの項目は同一のグループに分類される。インターネット接続217dは、各グループがインターネットに接続される回線網か否かを指定する設定項目であり、「True」でインターネットに接続されるグループであることを、「False」でインターネットに接続されないグループであることをそれぞれ示す。途絶時通知217eは、グループに属する全ての通信回線網110が途絶した場合に通知データを送信するか否かを指定する設定項目であり、「True」で送信することを、「False」で送信しないことをそれぞれ示す。通知内容217fは、通知内容設定ファイル1101を参照して通知データを送信するかを指定する設定項目である。これは、通知内容設定ファイル1101の設定名1101aと同一の要素であり、通知内容設定ファイル1101に存在する設定名1101aが格納される。
【0177】
図18は、本発明の第3の実施形態に係る回線評価・グループ設定画面の例を示す図である。
【0178】
本実施形態では、回線評価・グループ設定画面520において、例えば
図18に示すように、第1および第2の実施形態で説明した各項目に加えて、インターネットに接続しているグループとみなす設定1801、グループ内の全回線が途絶したらインターネットを介して通知する設定1802、通知内容設定1803の各項目がグループボックス525内に追加される。
【0179】
インターネットに接続しているグループとみなす設定1801、グループ内の全回線が途絶したらインターネットを介して通知する設定1802は、それぞれチェックボックスで表される。これらのチェックボックスは、
図17の回線グループ設定ファイル217におけるインターネット接続217d、途絶時通知217eとそれぞれ対応する設定項目であり、チェック有りで「True」、チェック無しで「False」を意味する。
【0180】
通知内容設定1803は、回線グループ設定ファイル217の通知内容217fと対応する設定項目であり、選択式のタブとして表示される。ここには、通知内容設定ファイル1101に存在する設定名1101aがリスト表示され、ユーザは任意のタブを選択することで、当該タブの設定名1101aに対応する通知内容を、グループ内の全回線が途絶した場合の通知内容として設定できる。
【0181】
図19は、本発明の第3の実施形態に係る監視部106における失敗通知受信処理を示すフローチャートである。
図19に示すフローチャートは、第1の実施形態で説明した
図8のフローチャートからの差分として、ステップS806以降に、ステップS1901からS1909までの処理が追加されている。以下、これらの差分について監視部106の動作を説明する。
【0182】
監視部106は、回線グループ設定ファイル217を参照し(S1901)、機器情報の送信に失敗した通信回線網110と同一のグループに属する全ての通信回線網110が通信途絶したか否かを判定する。(S1902)ここでは、例えば監視部106は、回線グループ設定ファイル217において、ステップS806で途絶回線リストに追加した失敗回線網名がグループ回線網リスト217cに含まれるグループを特定する。そして、当該グループのグループ回線網リスト217cに記述されている他の通信回線網110の名称の全てが、途絶回線リストに含まれているか否かを判定する。その結果、グループ回線網リスト217cに示された全ての通信回線網110が途絶回線リストに含まれている場合には、同一グループに属する全ての通信回線網110が通信途絶したと判定し(YES)、処理をステップS1903に進める。
【0183】
監視部106は、回線グループ設定ファイル217において、ステップS1902で全ての通信回線網110が通信途絶したと判定したグループのオブジェクトを参照し、途絶時通知217eが有効か否かを判定する。(S1903)ステップS1903で途絶時通知217eが有効だと判定した場合(YES)、監視部106は、回線グループ設定ファイル217においてインターネット接続217dが有効な全てのグループのオブジェクトに含まれるグループ回線網リスト217cを参照し、インターネットに接続可能な通信回線網のリストを作成する。(S1904)その後、ステップS1904で作成したリストから、途絶回線リストに含まれる通信回線網を除外する。(S1905)
【0184】
続いて監視部106は、ステップS1904で作成したリストのうち、直前のステップS1907で参照した項目(以下の
図19の説明において「参照項目」と称する)が、リスト末尾の項目であるか否かを判定する。(S1906)参照項目がリスト末尾の項目ではないとステップS1906で判定した場合(NO)、監視部106は、リストの次の項目を新たな参照項目として取得する。(S1907)なお、最初にステップS1906の判定を行う場合は、ステップS1907の処理を未実施であるため、この場合には参照項目がリスト末尾の行ではないと判定すればよい。
【0185】
監視部106は、グループ内の全回線が途絶した通知を既定の通知先へ送信する。(S1908)ここでは、例えば通知内容設定ファイル1101において、回線グループ設定ファイル217の通知内容217fと一致する名称が設定名1101aに格納されている部分を参照し、この部分に記載されている設定内容に従って、グループ内の全回線が途絶したことを示す通知を送信する。
【0186】
続いて監視部106は、ステップS1908で通信に成功したか否かを判定する。(S1909)ステップS1909で通信に失敗したと判定した場合(NO)、処理をステップS1906に戻す。
【0187】
ステップS1902でグループ回線網リスト217cに示された通信回線網110の少なくとも1つ以上が途絶回線リストに含まれていない場合には、監視部106は、同一グループに属する全ての通信回線網110が通信途絶していないと判定し(NO)、
図19のフローチャートに示す失敗通知受信処理を終了する。また、ステップS1903で途絶時通知217eが無効だと判定した場合(NO)、もしくは、ステップS1906で参照項目がリスト末尾の項目であると判定した場合(YES)、もしくは、ステップS1909で通信に成功したと判定した場合(YES)にも、監視部106は失敗通知受信時処理を終了する。
【0188】
本実施形態において監視部106は、以上説明した
図19の失敗通知受信時処理を行うことにより、同一グループの通信回線網110が全て通信途絶した場合に、インターネットに接続可能な他のグループの通信回線網110を用いて、予め設定された通知データを任意の宛先へ送信する。これにより、同一グループの通信回線網110が全て通信途絶した場合にも、保守人員が参照可能なサーバへ通知データを送信できる。
【0189】
以上説明した本発明の第3の実施形態によれば、複数の通信回線網110は、インターネット網に接続可能な通信回線網110のグループである第1のグループと、インターネット網に接続不可能な通信回線網110のグループである第2のグループとにグループ分けされている。監視部106は、第2のグループに属する全ての通信回線網110の通信途絶を検知した場合に(S1902:YES)、第1のグループに属する通信回線網110のいずれかを経由して、第2のグループの通信途絶を通知する情報を予め設定された宛先へと送信する(S1908)。このようにしたので、グループ内の全ての通信回線網110が通信途絶した場合であっても、他のグループに属する通信回線網110を用いて通信途絶の発生を通知可能な通信装置100を提供することができる。
【0190】
(第4の実施形態)
第1~第3の実施形態では、通信装置100において、いずれかの通信回線網110の途絶を検知した場合に、他の通信回線網110を変更後の宛先回線網とする例を説明した。しかしながら、通信回線網110がモバイル通信網の場合には、月毎に通信量の閾値を超えると通信帯域を制限される回線が存在し、通信帯域が制限されることで、当該通信回線網110を経由するデータが正常に送信されない可能性が存在する。このような通信回線網110を活用する場合、宛先回線網の途絶のみならず、通信量の閾値超過も検知対象として、他の通信回線網110へ宛先回線網を変更する必要が生じる。
【0191】
このため、第4の実施形態では、監視部106において各通信回線網110の通信量を監視し、通信量が閾値を超過した通信回線網110を途絶回線リストに追加することで、通信帯域が制限される通信回線網110を用いた通信を抑制する。これにより、例えばモバイル通信網のように、月毎に通信量の閾値を超えると通信帯域を制限される回線を活用した場合にも、多様な通信要件を満たしながら機器情報の送信を継続することが可能となる。本効果を実現するため、第4の実施形態では、通信量監視のための監視設定ファイルと通信量監視リストを導入するとともに、監視部106に、通信量を監視して閾値を超過した場合に途絶回線リストへ追加する処理を追加する。
【0192】
以下、本発明の第4の実施形態における第2の実施形態からの差分について、図を用いて説明する。
【0193】
図20は、本発明の第4の実施形態に係る通信装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0194】
図20に示すハードウェア構成では、第2の実施形態との差分として、設定ファイル104に監視設定ファイル2001、その他のファイルに通信量監視リスト2002がそれぞれ追加される。監視設定ファイル2001は、通信量監視に関わる設定を保存するファイルである。通信量監視リスト2002は、通信回線網110毎に通信量の増加量を記録するファイルである。
【0195】
図21は、本発明の第4の実施形態に係る監視設定ファイル及び通信量監視リストの例を示す図である。
【0196】
監視設定ファイル2001は、各通信回線網110の通信量の監視に関わる設定ファイルである。監視設定ファイル2001は、例えば
図21に示すように、通信回線網名2001a、通信量超過で停止2001b、通信量の閾値2001c、リセット日2001dの項目を備えて構成される。
【0197】
通信回線網名2001aは、回線設定ファイル215の通信回線網名215aと同一の要素であり、回線設定ファイル215に存在する通信回線網名が格納される。通信量超過で停止2001bは、通信回線網名2001aと対応する通信回線網が通信量の閾値を超過した場合に、以降の通信を停止するか否かを示す設定項目である。具体的には、通信量超過で停止2001bが「True」の場合は通信を停止し、「False」の場合は通信を停止しない事を示す。通信量の閾値2001cは、通信量超過で停止2001bが「True」の場合に有効となる設定項目であり、通信を停止する通信量の閾値を示す。リセット日2001dは、毎月の使用通信量をリセットする日程を示す。
【0198】
通信量監視リスト2002は、各通信回線網110の通信量を記録したリストであり、通信回線網名2002a、残通信量2002b、超過解除日時2002cの項目を備えて構成される。
【0199】
通信回線網名2002aは、回線設定ファイル215の通信回線網名215aと同一の要素であり、回線設定ファイル215に存在する通信回線網名が格納される。残通信量2002bは、通信量が閾値を超えるまでの残量を示す項目である。具体的には、通信量監視リスト2002の作成直後やリセット後は、通信回線網名2002aに対応する通信回線網について、監視設定ファイル2001の通信量の閾値2001cに示された通信量の閾値が、残通信量2002bに格納される。その後、通信量の増加を検知する度に、その増加量分だけ残通信量2002bの数値が減算されて更新される。通信量が閾値を超えた場合、残通信量2002bには、そのことを表す値として、例えば「-1」が格納される。超過解除日時2002cは、残通信量をリセットする日時が格納される。
【0200】
図22は、本発明の第4の実施形態に係る監視設定画面の例を示す図である。
【0201】
監視設定画面2100には、例えば
図22に示すように、複数の通信回線網ボックス2101が表示される。各通信回線網ボックス2101には、通信IF毎に通信量が閾値を超えた場合に通信を停止する設定2102、通信量の閾値設定2103、通信量のリセット日設定2104、設定内容保存ボタン2105の項目が表示される。
【0202】
通信回線網ボックス2101は、回線設定ファイル215に存在する通信回線網名215aの数だけ自動生成され、監視設定画面2100に表示される。各通信回線網ボックス2101がどの通信回線網110に対する設定を示すかを区別するため、ボックス上部に通信回線網名215aが表示される。
【0203】
通信量が閾値を超えた場合に通信を停止する設定2102は、チェックボックスで表される。このチェックボックスは、監視設定ファイル2001の通信量超過で停止2001bと対応する設定項目であり、チェック有りで「True」、チェック無しで「False」を意味する。
【0204】
通信量の閾値設定2103、通信量のリセット日設定2104は、監視設定ファイル2001の通信量の閾値2001c、リセット日2001dとそれぞれ対応する設定項目であり、テキストボックスで表される。ユーザは、これらのテキストボックスに任意の設定値を入力することで、監視設定ファイル2001の通信量の閾値2001c、リセット日2001dを設定できる。
【0205】
設定内容保存ボタン2105は、監視設定ファイル2001を保存するためのボタンである。このボタンがユーザに選択されると、通信IF毎に通信量が閾値を超えた場合に通信を停止する設定2102、通信量の閾値設定2103、通信量のリセット日設定2104のそれぞれの設定値を、通信回線網ボックス2101上部の通信回線網名215aと組み合わせて、監視設定ファイル2001の1項目として保存する。
【0206】
図23は、本発明の第4の実施形態に係る監視部106における通信量監視処理を示すフローチャートである。以下、
図23のフローチャートの項目に従い、監視部106の動作を説明する。
【0207】
監視部106は、定期的に通信量監視処理を開始する。(S2301)ステップS2301において、処理の周期は、例えば、1分毎、10分毎、60分毎などが考えられる。なお、本発明は周期を固定するものではなく、周期には任意の時間を設定できるものとする。
【0208】
監視部106は、通信回線網110毎に、前回の処理周期からの通信量の増加量を取得する。(S2302)ステップS2302における通信量の増加量取得は、例えば、インターフェース毎のステータスを確認するコマンド実行等により実現される。
【0209】
監視部106は、通信量監視リスト2002を参照する。(S2303)
【0210】
監視部106は、直前のステップS2305でデータ読み込みの対象とした通信量監視リスト2002の行(以下の
図23の説明において「対象行」と称する)が、リスト末尾の行であるか否かを判定する。(S2304)対象行がリスト末尾の行ではないとステップS2304で判定した場合(NO)、通信量監視リスト2002におけるこれまでの対象行の次の行を新たな対象行として、通信量監視リスト2002から対象行1行分のデータを読み込む。(S2305)なお、最初にステップS2304の判定を行う場合は、ステップS2305の処理を未実施であるため、この場合には対象行がリスト末尾の行ではないとステップS2304で判定し、通信量監視リスト2002の最初の行を対象行として、ステップS2305で通信量監視リスト2002の最初の行のデータを読み込めばよい。
【0211】
監視部106は、ステップS2305で読み込んだ対象行のデータにおける残通信量2002bに記録されている値から、ステップS2302で取得した通信量の増加量を減算し、得られた減算結果により残通信量2002bの値を上書きする。(S2306)この際、ステップS2302で取得した通信回線網110毎の通信量の増加量のうち、対象行の通信回線網名2002aと対応する通信回線網110の分のみを、残通信量2002bから減算する。
【0212】
監視部106は、対象行の通信回線網名2002aと対応する通信回線網110の通信量が、監視設定ファイル2001の通信量の閾値2001cに示された通信量の閾値を超過したか否かを判定する。(S2307)具体的には、例えば、ステップS2306で上書きされた残通信量2002bの値が負の値であるか否かを確認する。その結果、残通信量2002bの値が負の値である場合は、通信量の閾値を超過したと判定し(YES)、処理をステップS2308に進める。
【0213】
監視部106は、通信量監視リスト2002の対象行における残通信量2002bの値を、通信量が閾値を超えたことを表す「-1」に上書きし(S2308)、超過解除日時2002cに、現在以降の最も時期の早いリセット日2001dの日付に該当する日時を上書きする。(S2309)さらに、通信量監視リスト2002の対象行における通信回線網名2002aと対応する通信回線網110を、途絶回線リストへ追加する。(S2310)
【0214】
ステップS2307で残通信量2002bの値が正の値である場合は、通信量の閾値を超過していないと判定し(NO)、ステップS2304に処理を戻す。また、ステップS2310の処理終了後にも、ステップS2304に処理を戻す。
【0215】
ステップS2304で対象行がファイル末尾の行であると判定した場合(YES)、監視部106は、
図23のフローチャートに示す通信量監視処理を終了する。
【0216】
なお本実施形態では、監視部106は、以上説明した通信量監視処理に加えて、第1の実施形態で説明した
図10の失敗回数リセット処理において、ステップS1004で対象行がリスト末尾と判定した場合(YES)、処理を終了する前に、残通信量2002bの値が「-1」となっている通信回線網110を途絶回線リストに追加する処理を実施することが好ましい。通信量が閾値を超えた通信回線網110は、通信帯域が制限されるためそれ以上の通信を行うべきではなく、したがって途絶回線リストに含めておくことが好ましいが、通信に失敗していないことから、ステップS1008で途絶回線リストから除外されることになる。上記処理はこれを防止し、通信量が閾値を超えた通信回線網110を途絶回線リストに残しておくための処理である。
【0217】
また、監視部106は、通信量監視リスト2002の超過解除日時2002cの値を定期的(例えば、1日毎)に参照し、現在日時が超過解除日時2002cより後である行の項目に対して、リセット処理を行うことが好ましい。リセット処理では、例えば、残通信量2002bの値をリセットして監視設定ファイル2001の通信量の閾値2001cに上書きする処理と、該当する通信回線網110を途絶回線リストから除外する処理とを行う。本処理は、通信容量の制限が解除される日時に合わせて、残通信量2002bの値をリセットするとともに、該当の通信回線網110が途絶回線リストに含まれている場合に、これを除外するための処理である。
【0218】
本実施形態において監視部106は、各通信回線網110の通信量を監視し、通信量が閾値を超過した通信回線網110を途絶回線リストに追加することで、通信帯域が制限される通信回線網110を用いた通信を抑制する。これにより、月毎に通信量の閾値を超えると通信帯域を制限される回線を活用した場合にも、多様な通信要件を満たしながらデータ送信の継続が可能となる。
【0219】
以上説明した本発明の第4の実施形態によれば、監視部106が監視する通信回線網110の通信品質は、通信回線網110における一定期間内の通信量を含むことができる。この場合、振分部107は、複数の通信回線網110のうち少なくとも一つ以上の通信回線網110における一定期間内の通信量が所定の閾値を超過した場合に(S2307:YES、S903:YES)、当該通信回線網110において通信品質の低下が検出されたと判断する。このようにすれば、例えばモバイル通信網のように、月毎に通信量の閾値を超えると通信帯域を制限される通信回線網110を用いた場合でも、通信帯域の制限によって生じる通信品質の低下を確実に把握することが可能となる。
【0220】
なお、以上説明した各実施形態では、監視部106において、各通信回線網110の通信品質として通信失敗回数や一定期間内の通信量を監視する例を説明したが、他の通信品質、例えば通信遅延時間や誤り率等を監視してもよい。この場合、基本設定ファイル211において、通信失敗回数の閾値211bの代わりにこれらの通信品質に対する閾値を記載しておき、
図8のステップS805では、この閾値と通信品質とを比較することが好ましい。また、
図7のステップS708の判定を省略し、ステップS709において、振分部107から監視部106へ通信品質の情報を通知することが好ましい。さらに、複数種類の通信品質を組み合わせて、各通信回線網110の監視を行ってもよい。
【0221】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記の各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0222】
100 通信装置
101 通信IF
102 ローカル通信部
103 UI生成部
104 設定ファイル
105 評価部
106 監視部
107 振分部
110 通信回線網
111 サーバ
112 クラウド
120 産業機器
130 ネットワーク
201 CPU
202 主記憶装置
203 WAN通信IF
204 入出力IF
205 補助記憶IF
206 シリアル通信IF
207 LAN通信IF
211 基本設定ファイル
212 TCP通信設定ファイル
213 シリアル通信設定ファイル
214 収集設定ファイル
215 回線設定ファイル
216 回線評価設定ファイル
217 回線グループ設定ファイル
221 回線評価プログラム
222 振分けプログラム
223 回線監視プログラム
224 振分けリスト
225 失敗回数記録リスト
1101 通知内容設定ファイル
1102 通知ログファイル
2001 監視設定ファイル
2002 通信量監視リスト